JPH0588202A - 薄膜積層デバイス用プラスチツク基板およびそれを用いた薄膜積層デバイス - Google Patents

薄膜積層デバイス用プラスチツク基板およびそれを用いた薄膜積層デバイス

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JPH0588202A
JPH0588202A JP27474491A JP27474491A JPH0588202A JP H0588202 A JPH0588202 A JP H0588202A JP 27474491 A JP27474491 A JP 27474491A JP 27474491 A JP27474491 A JP 27474491A JP H0588202 A JPH0588202 A JP H0588202A
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勝幸 山田
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健司 亀山
Masayoshi Takahashi
正悦 高橋
Makoto Tanabe
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチック基板とその上に設けられた薄膜
積層デバイスとの間に剥離やクラック等が発生すること
がなく、デバイスの信頼性を高いものとする。 【構成】 SiOxNyからなる薄膜が少なくとも片面
に形成されている薄膜積層デバイス用プラスチック基板
において、前記SiOxNy層がプラスチック基板側か
ら表面に向かってxは小さくなり、yは大きくなるよう
な傾斜分布を有する薄膜積層デバイス用プラスチック基
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、薄膜積層デバイス用、アクテイ
ブマトリックス用プラスチック基板、および薄膜積層用
兼液晶表示装置用プラスチック基板に関する。また、本
発明はそれを使用した薄膜積層デバイスおよびOA機器
用、TV用等のフラットパネルディスプレー等に好適な
液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来技術】OA機器端末機や液晶TVは大面積液晶パ
ネルの使用の要望が強く、そのため、アクティブマトリ
ックス方式では各画素ごとにスイッチを設け、電圧を保
持するように工夫されている(特開昭62−6233
3、同61−260219号公報)。また、近年液晶パ
ネルの軽量化、低コスト化が盛んに行なわれており、基
板にプラスチックスを用いることが検討されている(特
開平1−47769号公報)。しかし、プラスチック上
に、薄膜積層デバイスを作製する際、酸、アルカリ、水
等の溶液中にプラスチックを浸漬する工程があり、プラ
スチック内に酸、アルカリ、水等が残存し、素子劣化の
原因となる。
【0003】これを回避するために、プラスチック基板
の少なくとも片面(薄膜積層デバイスの形成される
面)、望ましくは両面に無機物質からなる薄膜を形成す
ることが考えられる。このような薄膜には、 1)プラスチック基板との密着性に優れている、 2)プラスチック内に残存する酸、アルカリ、水等の成分
が浸透しにくい、 3)上に形成される薄膜積層デバイスを構成する薄膜の密
着性に優れている、 4)機械的強度に優れている、 等の性質を有することが要求されるが、一種類の薄膜で
それらを同時に満足することは困難な場合が多い。
【0004】
【目的】本発明の目的は上記問題を解決し、特性が良好
で劣化の少ない薄膜積層デバイスを形成し得るプラスチ
ック基板を提供する点にある。すなわち、本発明の目的
は、プラスチックスへの水分の進入を防ぐとともに、プ
ラスチックスが含有している水分等の素子への進入を防
ぐことのできるプラスチック基板を提供する点にある。
本発明の他の目的は、前記改良されたプラスチック基板
を用いた薄膜積層デバイス、液晶表示装置を提供する点
にある。
【0005】
【構成】本発明の第1は、SiOxNyからなる薄膜が
少なくとも片面に形成されている薄膜積層デバイス用プ
ラスチック基板において、前記SiOxNy層がプラス
チック基板側から表面に向かってxは小さくなり、yは
大きくなるような傾斜分布を有する薄膜積層デバイス用
プラスチック基板に関する。本発明の第2は、前記プラ
スチック基板とその上に形成された薄膜積層デバイスよ
りなることを特徴とするプラスチックスを基板とする薄
膜積層デバイスに関する。前記薄膜積層デバイスは第1
の導体と第2の導体の間に硬質炭素膜を介在させてなる
薄膜二端子素子であることが好ましい。
【0006】SiOxNyの組成について、プラスチッ
ク基板との密着性を考えた場合、xが小さく、yが大き
くなるほど膜の内部応力が増大し密着力が低下すること
から、プラスチック基板側ではxを大きく、yを小さく
することではがれやクラックを防止することができる。
その値としては 1.1≦x≦2、 0≦y≦1.1が
好適である。一方、透湿性を考えた場合には、xが小さ
くyが大きくなるほど透湿度が小さくなり、プロセスや
環境に対して安定となることから、表面ではxを小さく
yを大きくすることでその上に形成される薄膜積層デバ
イスの特性劣化を防止することができる。その値として
は 0≦x≦0.8、 0.8≦y≦1.3が好適であ
る。SiOxNyの組成の分布の例を図7に示す。Si
OxNyの組成の分布はSiOxNyの膜厚、プラスチ
ック基板とSiOxNyとの密着力、SiOxNyの透
湿度、製膜パラメーター(ガス流量、パワー等)の制御
性によって図7の(a)、(b)、(c)、(d)など
の種々の形が採用できる。製膜パラメーターを連続的に
変化させれば(a)となるが、特にプラスチック基板と
SiOxNyとの密着力の向上と透湿度の減少に主眼を
おくならば、(b)や(d)などのタイプが好ましい。
SiOxNyの膜厚は数百Å〜数μm、好ましくは10
00Å〜1.5μmである。
【0007】このようなけい素窒化酸化物層を有する基
板は、種々の薄膜積層デバイス、例えばフラットパネル
ディスプレー用スイッチング素子、原稿読取用センサ
ー、光プリンター用光源等に使用し得るが、特に液晶デ
ィスプレー用アクティブマトリックス基板として好適に
使用される。
【0008】アクティブマトリクッス基板においては各
画素毎にスイッチング素子を設けてなるが、該スイッチ
ング素子として本発明の薄膜積層デバイスは好適であ
る。
【0009】本発明の薄膜積層デバイスとしては、金属
−絶縁体−金属層構成のMIM型素子、特開昭61−2
75811号公報で言うところのMSI素子(Meta
l−Semi−Insulator)、半導体−絶縁体
−半導体層構成のSIS素子、特開昭64−7577号
公報に記載の金属−絶縁体−金属−絶縁体−金属のMI
MIM素子などがある。なかでも、絶縁体に硬質炭素膜
を用いたMIM型素子が有利である。硬質炭素膜を用い
ることにより広範囲でのデバイス設計が可能で、しかも
素子特性のバラツキが少なく、また、しきい値電圧、耐
圧に優れ、歩留りのよい薄膜二端子素子が得られる。
【0010】プラスチックスとしてはとくに制限はない
が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエー
テルサルホン(PES)、ポリアリレート、ポリイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルフ
ァイド(PPS)等の耐熱性プラスチックの使用が好ま
しい。
【0011】本発明のMIM素子の作製方法について図
1に基づき説明する。まず、プラスチック基板の少なく
とも片面に前述した傾斜をもつSiOxNy膜をスパッ
タリング法、プラズマCVD法、イオンプレーティング
法、塗布法等により数百Å〜数μm堆積する。この上に
画素電極用透明電極材料を蒸着、スパッタリング等の方
法で堆積し、所定のパターンにパターニングし、画素電
極4とする。
【0012】次に、蒸着、スパッタリング等の方法で下
部電極用導体薄膜を形成し、ウエット又はドライエッチ
ングにより所定のパターンにパターニングして下部電極
となる第1導体1とし、その上にプラズマCVD法、イ
オンビーム法等により硬質炭素膜2を被覆後、ドライエ
ッチング、ウエットエッチング又はレジストを用いるリ
フトオフ法により所定のパターンにパターニングして絶
縁膜とし、次にその上に蒸着、スパッタリング等の方法
によりバスライン用導体薄膜を被覆し、所定のパターン
にパターニングしてバスラインとなる第2導体3を形成
し、最後に下部電極の不必要部分を除去し、透明電極パ
ターンを露出させ、画素電極4とする。この場合、MI
M素子の構成はこれに限られるものではなく、MIM素
子の作成後、最上層に透明電極を設けたもの、透明電極
が上部又は下部電極を兼ねた構成のもの、下部電極の側
面にMIM素子を形成したもの等、種々の変形が可能で
ある。
【0013】ここで下部電極、上部電極及び透明電極の
厚さは通常、夫々数百〜数千Å、数百〜数千Å、数百〜
数千Åの範囲である。硬質炭素膜の厚さは、100〜8
000Å、望ましくは200〜6000Å、さらに望ま
しくは300〜4000Åの範囲である。
【0014】又プラスチック基板の場合、いままでその
耐熱性から能動素子を用いたアクティブマトリックス装
置の作製が非常に困難であった。しかし硬質炭素膜は室
温程度の基板温度で良質な膜の作製が可能であり、プラ
スチック基板においても作製が可能であり、非常に有効
な画質向上手段である。
【0015】次に本発明で使用されるMIM素子の材料
について更に詳しく説明する。下部電極となる第1導体
1の材料としては、Al,Ta,Cr,W,Mo,P
t,Ni,Ti,Cu,Au,W,ITO,ZnO:A
l,In23,SnO2等種々の導電体が使用される。
【0016】次にバスラインとなる第2導体3の材料と
しては、Al,Cr,Ni,Mo,Pt,Ag,Ti,
Cu,Au,W,Ta,ITO,ZnO:Al,In2
3,SnO2等種々の導電体が使用されるが、I−V特
性の安定性及び信頼性が特に優れている点からNi,P
t,Agが好ましい。絶縁膜として硬質炭素膜2を用い
たMIM素子は電極の種類を変えても対称性が変化せ
ず、またlnI∝√vの関係からプールフレンケル型の伝
導をしていることが判る。またこの事からこの種のMI
M素子の場合、上部電極と下部電極との組合せをどのよ
うにしてもよいことが判る。しかし硬質炭素膜と電極と
の密着力や界面状態により素子特性(I−V特性)の劣
化及び変化が生じる。これらを考慮すると、Ni,P
t,Agが良いことがわかった。
【0017】本発明のMIM素子の電流−電圧特性は図
2のように示され、近似的には以下に示すような伝導式
で表わされる。
【数1】 I:電流 V:印加電圧 κ:導電係数 β:プールフレンケ
ル係数 n:キャリヤ密度 μ:キャリヤモビリティ q:電子の
電荷量 Φ:トラップ深さ ρ:比抵抗 d:硬質炭素の膜厚(Å) k:ボルツマン定数 T:雰囲気温度 ε1:硬質炭素の誘
電率 ε2:真空誘電率
【0018】本発明における硬質炭素膜について詳しく
説明する。この膜は、炭素原子及び水素原子を主要な組
織形成元素として非晶質及び微結晶質の少なくとも一方
を含む硬質炭素膜(i−C膜、ダイヤモンド状炭素膜、
アモルファスダイヤモンド膜、ダイヤモンド薄膜とも呼
ばれる)からなっている。硬質炭素膜の一つの特徴は気
相成長膜であるがために、後述するように、その諸物性
が製膜条件によって広範囲に制御できることである。従
って、絶縁膜といってもその抵抗値は半絶縁体から絶縁
体までの領域をカバーしており、この意味では本発明の
薄膜二端子素子はMIM素子は勿論のこと、それ以外で
も例えば特開昭61−260219号公報でいうところ
のMSI素子(Metal-Semi-Insulator)や、SIS素子
(半導体−絶縁体−半導体であって、ここでの「半導
体」は不純物を高濃度にドープさせたものである)とし
ても位置付けられるものである。なお、この硬質炭素膜
中には、さらに物性制御範囲を広げるために、構成元素
の一つとして少なくとも周期律表第III族元素を全構成
原子に対し5原子%以下、同じく第IV族元素を35原子
%以下、同じく第V族元素を5原子%以下、アルカリ土
類金属元素を5原子%以下、アルカリ金属元素を5原子
%以下、窒素原子を5原子%以下、酸素原子を5原子%
以下、カルコゲン系元素を35原子%以下、またはハロ
ゲン系元素を35原子%以下の量で含有させてもよい。
これら元素又は原子の量は元素分析の常法、例えばオー
ジェ分析によって測定することができる。また、この量
の多少は原料ガスに含まれる他の化合物の量や成膜条件
で調節可能である(なお、硬質炭素膜については特願平
3−89640号において詳述している)。硬質炭素膜
を形成するためには有機化合物ガス、特に炭化水素ガス
が用いられる。これら原料における相状態は常温常圧に
おいて必ずしも気相である必要はなく、加熱或は減圧等
により溶融、蒸発、昇華等を経て気化し得るものであれ
ば、液相でも固相でも使用可能である。原料ガスとして
の炭化水素ガスについては、例えばCH4,C26,C3
8,C410等のパラフィン系炭化水素、C2H4等のアセ
チレン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ジオレフィ
ン系炭化水素、さらには芳香族炭化水素などすベての炭
化水素を少なくとも含むガスが使用可能である。さら
に、炭化水素以外でも、例えば、アルコール類、ケトン
類、エーテル類、エステル類、CO,CO2等、少なく
とも炭素元素を含む化合物であれば使用可能である。
【0019】本発明における原料ガスからの硬質炭素膜
の形成方法としては、成膜活性種が、直流、低周波、高
周波、或いはマイクロ波等を用いたプラズマ法により生
成されるプラズマ状態を経て形成される方法が好ましい
が、より大面積化、均一性向上、低温成膜の目的で、低
圧下で堆積を行なうため、磁界効果を利用する方法がさ
らに好ましい。また高温における熱分解によっても活性
種を形成できる。その他にも、イオン化蒸着法、或いは
イオンビーム蒸着法等により生成されるイオン状態を経
て形成されてもよいし、真空蒸着法、或いはスパッタリ
ング法等により生成される中性粒子から形成されてもよ
いし、さらには、これらの組み合せにより形成されても
よい。
【0020】こうして作製される硬質炭素膜の堆積条件
の一例はプラズマCVD法の場合、次の通りである。 RF出力:0.1〜50W/cm2 圧 力:1/103〜10Torr 堆積温度:室温〜950℃ このプラズマ状態により原料ガスがラジカルとイオンと
に分解され反応することによって、基板上に炭素原子C
と水素原子Hとからなるアモルファス(非晶質)及び微
結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μm)の少くとも
一方を含む硬質炭素膜が堆積する。また、硬質炭素膜の
諸特性を表1に示す。
【表1】 注)測定法; 比抵抗(ρ):コプレナー型セルによるI-V特性より求
める。 光学的バンドギャップ(Egopt):分光特性から吸収係数
(α)を求め、数2式の関係より決定。
【数2】 膜中水素量〔C(H)〕:赤外吸収スペクトルから29
00/cm付近のピークを積分し、吸収断面積Aを掛け
て求める。すなわち、 〔C(H)〕=A・∫α(v)/v・dv SP3/SP2比:赤外吸収スペクトルを、SP3,SP2
にそれぞれ帰属されるガウス関数に分解し、その面積比
より求める。 ビッカース硬度(H):マイクロビッカース計による。 屈折率(n) :エリプソメーターによる。 欠陥密度 :ESRによる。
【0021】こうして形成される硬質炭素膜はラマン分
光法及びIR吸収法による分析の結果、夫々、図4及び
図3に示すように炭素原子がSP3の混成軌道とSP2
混成軌道とを形成した原子間結合が混在していることが
明らかになっている。SP3結合とSP2結合の比率は、
IRスペクトルをピーク分離することで概ね推定でき
る。IRスペクトルには、2800〜3150/cmに
多くのモードのスペクトルが重なって測定されるが、夫
々の波数に対応するピークの帰属は明らかになってお
り、図5の如くガウス分布によってピーク分離を行な
い、夫々のピーク面積を算出し、その比率を求めればS
3/SP2を知ることができる。また、X線及び電子回
折分析によればアモルファス状態(a-C:H)、及び
/又は約50Å〜数μm程度の微結晶粒を含むアモルフ
ァス状態にあることが判っている。一般に量産に適して
いるプラズマCVD法の場合には、RF出力が小さいほ
ど膜の比抵抗値および硬度が増加し、低圧力なほど活性
種の寿命が増加するために基板温度の低温化、大面積で
の均一化が図れ、かつ比抵抗、硬度が増加する傾向にあ
る。更に、低圧力ではプラズマ密度が減少するため、磁
場閉じ込め効果を利用する方法は比抵抗の増加には特に
効果的である。さらに、この方法は常温〜150℃程度
の比較的低い温度条件でも同様に良質の硬質炭素膜を形
成できるという特徴を有しているため、MIM素子製造
プロセスの低温化には最適である。従って、使用する基
板材料の選択自由度が広がり、基板温度をコントロール
し易いために大面積に均一な膜が得られるという特徴を
もっている。また硬質炭素膜の構造、物性は表1に示し
たように、広範囲に制御可能であるため、デバイス特性
を自由に設計できる利点もある。さらには膜の比誘電率
も2〜6と従来のMIM素子に使用されていたTa
25,Al23,SiNxと比較して小さいため、同じ
電気容量を持った素子を作る場合、素子サイズが大きく
てすむので、それほど微細加工を必要とせず、歩留りが
向上する(駆動条件の関係からLCDとMIM素子の容
量比はC(LCD)/C(MIM)=10:1程度必要
である)。さらに膜の硬度が高いため、液晶材料封入時
のラビング工程による損傷が少なくこの点からも歩留り
が向上する。以上の点を顧みるに、硬質炭素膜を使用す
ることで、低コスト、階調性(カラー化)、高密度LC
Dが実現できる。
【0022】液晶駆動用薄膜二端子素子として好適な硬
質炭素膜は、駆動条件から膜厚が100〜8000Å、
比抵抗が106〜1013Ω・cmの範囲であることが有
利である。なお、駆動電圧と耐圧(絶縁破壊電圧)との
マージンを考慮すると膜厚は200Å以上であることが
望ましく、また、画素部と薄膜二端子素子部の段差(セ
ルギャップ差)に起因する色むらが実用上問題とならな
いようにするには膜厚は6000Å以下であることが望
ましいことから、硬質炭素膜の膜厚は200〜6000
Å、比抵抗は5×106〜1012Ω・cmであることが
より好ましい。硬質炭素膜のピンホールによる素子の欠
陥数は膜厚が減少にともなって増加し、300Å以下で
は特に顕著になること(欠陥率は1%を越える)、及
び、膜厚の面内分布の均一性(ひいては素子特性の均一
性)が確保できなくなる(膜厚制御の精度は30Å程度
が限度で膜厚のバラツキが10%を越える)ことから、
膜厚は300Å以上であることがより望ましい。また、
ストレスによる硬質炭素膜の剥離が起こりにくくするた
め、及び、より低デューティ比(望ましくは1/100
0以下)で駆動するために、膜厚は4000Å以下であ
ることが望ましい。これらを総合して考慮すると、硬質
炭素膜の膜厚は300〜4000Å、比抵抗は107
1011Ω・cmであることが一層好ましい。
【0023】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。 実施例1 ポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にSiタ
ーゲットを用い、Ar、O2及びN2の混合ガスのスパッ
タリングによって、SiOxNy膜を4000Å形成し
た。SiOxNyはAr、O2及びN2の流量比を制御し
て図7(a)の分布で作製した。次に図1に示す薄膜二
端子素子を以下のように作製した。まずITOをスパッ
タリング法により700Å厚に堆積後、パターニングし
て画素電極4を形成した。次にAlを蒸着法により60
0Å厚に堆積後、パターニングして下部導体1を形成し
た。その上に絶縁膜2として硬質炭素膜をプラズマCV
D法により900Å堆積させたのち、ドライエッチング
によりパターニングした。さらにこの上にNiをEB蒸
着法により1000Å厚に堆積後、パターニングして上
部導体3を形成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以
下の通りである。 圧力 :0.035Torr CH4流量 :10SCCM RFパワー :0.3W/cm2
【0024】実施例2 ポリアリレート基板上にSiターゲットを用い、Ar、
2及びN2の混合ガスのスパッタリングによって、Si
OxNy膜を6000Å形成した。SiOxNyはA
r、O2及びN2の流量比を制御して図7(b)の分布で
作製した。次に図6に示す薄膜二端子素子を以下のよう
に作製した。まずITOをスパッタリング法により70
0Å厚に堆積後、パターニングして画素電極4を形成し
た。次にAlを蒸着法により1000Å厚に堆積後、パ
ターニングして下部導体1を形成した。その上に硬質炭
素膜をプラズマCVD法により1100Å堆積させたの
ち、NiをEB蒸着法により1000Å厚に堆積させ
た。Ni硬質炭素膜を順次エッチングし、上部導体3、
絶縁膜2を形成した。この時硬質炭素膜の成膜条件は以
下の通りである。 圧力 :0.035Torr CH4流量 :10SCCM RFパワー :0.6W/cm2
【0025】
【効果】本発明の薄膜積層デバイス用基板は、前述のよ
うに傾斜をもつSiOxNy層を少なくとも片面に形成
したためプラスチックとの密着性に優れ、剥離、クラッ
ク等の発生がなく、また、透湿度も低いので、その上に
形成された薄膜積層デバイスの信頼性が高い。さらに薄
膜積層デバイスとして第1導体と第2導体との間に絶縁
膜を介在させてなる薄膜二端子素子を用いると、TFT
に比べ、低コストで開口率が高いという利点があるた
め、液晶デイスプレー用アクティブマトリクス基板とし
て、特に好ましい。また絶縁膜に硬質炭素膜を用いる
と、この硬質炭素膜は、 1) プラズマCVD法等の気相合成法で作製されるた
め、成膜条件によって物性が広範に制御でき、従ってデ
バイス設計上の自由度が大きい、 2) 硬質でしかも厚膜にできるため、機械的損傷を受け
難く、また厚膜化によるピンホールの減少も期待でき
る、 3) 室温付近の低温においても良質な膜を形成できるの
で、基板材質に制約がない、 4) 膜厚、膜質の均一性に優れているため薄膜デバイス
用として適している、 5) 誘電率が低いので、高度の微細加工技術を必要とせ
ず、従って素子の大面積化に有利であり、さらに誘電率
が低いので素子の急峻性が高くIon/Ioff比がとれるの
で、低デューティ比での駆動が可能である、 等の特長を有し、このため特に信頼性の高い液晶表示用
スイッチング素子として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMIM素子の1例を示す斜視図であ
る。
【図2】図2a,bはMIM素子のI−V特性曲線、l
nI-√v特性曲線をそれぞれ示す。
【図3】本発明のMIM型素子の絶縁層に使用した硬質
炭素膜をIR吸収法で分析した分析結果を示すスペクト
ル図である。
【図4】本発明のMIM型素子の絶縁層に使用した硬質
炭素膜をラマン分光法で分光した分析結果を示すスペク
トル図である。
【図5】IRスペクトルのガウス分布を示す。
【図6】本発明のMIM素子の他の1例を示す斜視図で
ある。
【図7】本発明におけるSiOxNy層の傾斜分布の4
つの具体例を(a)、(b)、(c)、(d)に示す。
【符号の説明】
1 下部導体 2 絶縁膜 3 上部導体 4 画素電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 勝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 亀山 健司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 高橋 正悦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田辺 誠 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiOxNyからなる薄膜が少なくとも
    片面に形成されている薄膜積層デバイス用プラスチック
    基板において、前記SiOxNy層がプラスチック基板
    側から表面に向かってxは小さくなり、yは大きくなる
    ような傾斜分布を有する薄膜積層デバイス用プラスチッ
    ク基板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のプラスチック基板とその
    上に形成された薄膜積層デバイスよりなることを特徴と
    するプラスチックスを基板とする薄膜積層デバイス。
  3. 【請求項3】 薄膜積層デバイスが第1の導体と第2の
    導体の間に硬質炭素膜を介在させてなる薄膜二端子素子
    である請求項2記載のプラスチックスを基板とする薄膜
    積層デバイス。
JP27474491A 1991-09-26 1991-09-26 薄膜積層デバイス用プラスチック基板およびそれを用いた薄膜積層デバイス Expired - Lifetime JP3009520B2 (ja)

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