JPH0586637B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金属部品の加熱のための電磁誘導装
置に関するものである。この装置は、金属部品、
特にアルミニウムの線または棒の誘導加熱処理に
適用される。ソレノイド型インダクタの中を処理
すべき金属部品を通過させて熱処理を行う装置が
知られている。この型の装置は非常に単純である
という利点を持つ一方、重大な欠陥がある：その
効率が非鉄金属に対しては良くない；更に、アル
ミニウムの線や棒のような金属部品が、連続鋳造
過程から送り出され、処理を受ける場合には、こ
れらの金属部品は、下流側の機械系の動作のはず
みで、ソレノイドの中でもつれることがあり、傷
められるおそれがある。

金属部品の加熱のための電磁誘導装置には、別
の型もある；その装置は、開いた、平らな環状の
磁気回路を持ち、その両端が対面しており、この
回路上にインダクタ・コイルが巻かれている。加
熱される金属部品は、この環の両端の間の磁極間
ギヤツプ中に置かれる。この型の装置は、本筆者
により、1981年８月27日に出願されたフランス特
許出願No.2489645の中で記述されている。この型
の装置は、処理される金属線が踊つた時に傷がつ
くという不都合はないけれども、効率が著るしく
低い；この低い効率の原因は、本質的に、インダ
クタ・コイルが磁気回路上に置かれていること及
び、磁気回路とコイル両者に損失があることにあ
る。このコイルは、実際、磁極間ギヤツプからか
なり離れて置かれており、効率は渦電流（温電
流）と熱的損失のために非常に低くなる。

本発明の目的とするところは、上に述べた欠点
を改良し、特に、熱的な損失と渦電流損を極限し
た、高い効率を持つ、金属部品の加熱のための電
磁誘導装置を実現することにある；更に、装置の
形態は、棒状の（切断された）線またはギヤツプ
中を連続的に流れる線状の金属部品を、傷つける
危険なしに、加熱することができるようなもので
ある。

本発明の目的とする装置は、金属部品の加熱の
ためのものであり、その両端が対面している、開
いた、平面状の環の型をなす少くとも一箇の磁気
回路と、この磁気回路上に巻かれたインダクタを
持ち、加熱される部品は環の両端の間の磁極間ギ
ヤツプ中に置かれ、かつ、このインダクタは磁気
回路上に巻かれた二つのコイルから成り、コイル
の各々は環の端部の近傍に位置し、各々は同位相
の交流電流によつて励磁され、環の各端部はギヤ
ツプに向かつて隅落としの型で細くなつており、
この隅落としとしては環の各端部の全周において
実施され、磁気回路は少くとも上記の両端の近傍
において、冷却液によつて環流され磁気回路の中
に置かれた少くとも一箇の導管より成る冷却機構
を持つことを特徴とする。

本発明の他の特徴として、コイルは冷却機構を
持つ。

本発明の他の特徴として、磁気回路は、端の開
いた単純な環の型に切り抜かれた板の集合から作
られ、それらの板は、端部が上記の隅落としを成
すように切断され、組み上げられる。

本発明の他の特徴として、磁気回路の内部の冷
却導管は、その磁気回路を成す板をくり抜いて作
られる。

本発明の他の特徴として、環の両端面に、巻線
によつて発生する磁場の方向と直角、環状磁気回
路の面にも直角の方向の刻み目が彫られる。

本発明の他の特徴として、各コイルは、環の対
応する端の近傍にインダクタとして巻かれた多芯
線ケーブルによつて構成される。

本発明の他の特徴として、上記の各コイルの冷
却機構は、各ケーブルを納め、冷却液によつて環
流される鞘によつて構成される。

本発明の他の特徴として、本装置は、少くとも
一対の、隣合つて平行に置かれた、相似の磁気回
路を有しており、それらの磁極間ギヤツプは互に
向かい合つた形に置かれ、一方の磁気回路に巻か
れたコイルは、もう一方のコイルに流れるのと同
じ位相の交流電流によつて励磁される。

本発明の特徴及び利点は、付録の一枚の図と関
連づけつつ以下に与えられる説明を読むと、一層
はつきりするであろう。

図は、本発明に適合する装置を模式的に表わし
ている。この電磁誘導装置は、金属部品、特に、
連続鋳造過程から送り出されるアルミニウムの線
または棒を加熱できる；これらの線または棒は、
例えば520℃まで再加熱することによつて処理さ
れなければならないものである。

本装置は、その端部３，４が対面している、開
いた平面状の環の形をなす少くとも一箇の磁気回
路２を有する。この装置は、また、磁気回路２上
で、環の両端３，４の各々の近傍に巻かれたコイ
ル５，６から成るインダクタを持つ。加熱される
金属部品は、環の両端の間の磁極間ギヤツプ７の
中に置かれる；コイル５，６は、例えば交流電源
８から供給される同位相の交流電流によつて励磁
される。磁気回路２の環の各端部は、ギヤツプ７
に向つて隅落としの形になつている。磁気回路２
の両端３，４の面に、巻線によつて発生する磁場
の方向と直角、環状磁気回路の面にも直角の方向
の刻み目９，１０が彫られている。この隅落とし
は、環の各端部の全周において実施されねばなら
ないことに注意しなければならない。

既知の装置においては、３と２７のような隅落
としだけが行われている。その結果、これら既知
の型の装置では、渦電流損が局在する。実際、２
５のような隅落としがないと、磁力線は、ギヤツ
プの外側を通過する時に、磁気回路の薄板と直角
になる。このような磁力線の一本が、断線２６で
表わされている。本発明においては、まさに２５
のような隅落としがあるお陰で、明らかにこのよ
うな磁力線は存在しない。渦電流損は極限され、
装置の効率はずつと良い。本発明においては、ギ
ヤツプの中で、環の両端の向かい合つた二つの面
に直角な磁力線だけが存在する。

磁気回路は、軟鉄の薄板またはフエライトのブ
ロツクで作ることができる。、この回路の相対す
る両端の隅落としは、加熱される金属部品の方向
へ、磁力線の集中度を高める。更に、隅落とし２
４と２５によつて、渦電流による磁気回路の加熱
を減少させることもできる。渦電流は、これらの
隅落としがなければ、磁気回路の端部の縁に発生
するであろう。刻み目９，１０は、金属部品が特
に線状または棒状である時に、ギヤツプ中にそれ
を機械的に上手く安定させるためのものである。
刻み目９，１０は、実際に、ギヤツプ中に定常磁
場を発生させるので、加熱される部品をギヤツプ
から弾き出そうとする反発力の出現を防ぐことが
できる。実際、刻み目がないと、ギヤツプの高さ
の中程に、非平衡安定点が現われる。加熱される
金属部品が特に線状または棒状である時に、更に
確実にそれを誘導できるように、誘導部品１１が
ギヤツプ７の中に置かれている；この誘導部品
は、例えば、断熱材によつて作ることができ、刻
み目９，１０に嵌め込まれて、磁気回路２を成す
環の両端に固定される。コイル５，６は、磁束の
漏洩を防ぐように、環の両端の、ギヤツプに最も
近い部分に巻かれる。これらのコイルは、図に示
されているように、（例えば銅の）多芯線ケーブ
ル１２，１３によつて構成される。

コイルの冷脚機構が用意されている： 本発明の製作方法では、この冷却機構はケーブ
ルを被覆するプラスチツクの鞘１５，１６によつ
て構成され、その中を、冷却液（例えば水）を含
む貯槽１８に接続されたポンプ１７から送り出さ
れる冷却液が循環する。コイルの冷却は、磁気回
路を出る誘導によつて生じる渦電流損を極限する
ことができる；この型のインダクタによつて、装
置の効率が高められる。

環の両端の近傍には、磁気回路２の冷却機構も
用意されている；それらは導管１９，２０によつ
て構成され、これらの導管は、例えば磁気回路２
の内部の導管に冷却液を送ることができるような
ポンプ１７と貯槽１８に接続される。現在の技術
で既に知られているこれらの冷却回路は、図には
示されていない。磁気回路２の鉄の薄板またはフ
エライトのブロツクの冷却もまた、装置の効率の
改善に効果がある。

磁気回路内部の冷却回路は、適当な形の導管、
または、磁気回路の特に環の端部の近傍とうまく
形の合う“水箱”によつて構成することができ、
これらの水箱は、磁気回路の板の幾枚かをくり抜
いて作ることができる。磁気回路を構成する鉄板
またはフエライトのブロツクは現在の技術で既に
知られている方法で組み上げられるので、図には
示されていない。これらの板は、環の形に、か
つ、組み上げた時に両端が隅落としの形になるよ
うに切り抜かれる。

本発明の装置は、できれば、一対の、隣合つて
平行に置かれた相似の磁気回路２，２１を含み、
それらの磁極間ギヤツプ７，２２は互に向かい合
つた形に置かれることが望ましい。第二の磁気回
路２１もまた、その端部の各々に巻かれた二つの
コイル（図には示されていない）と、ギヤツプ２
２中の誘導機構２３を持つ。第二の磁気回路２１
に巻かれたコイルは、磁気回路２に巻かれたコイ
ルに流れる交流電流と逆相の交流電流によつて、
（図には示されていないが、コイル５，６と同様
に）励磁される。加熱されるアルミニウムの線ま
たは棒は、断熱材でできた誘導部品１１，２３の
中を通過する。

第一と第二の磁気回路２，２１のコイルを逆相
の交流電流によつて励磁することで、これらのコ
イルのギヤツプ中に、互に逆方向の磁束を発生さ
せることができる；この配置によつて、加熱され
る部品とこの部品を扱う装置とで形成される回路
の中に、磁束が全く存在しないようにすることが
できる。この回路中に磁束が存在すると、実際、
金属部品の加熱を防げる電流が現われる。

直径26mmのアルミニウムの線から成る試料に行
われた試験で、この装置は、65％の効率を示し
た；この試験に使われた装置の、各々の磁気回路
のギヤツプの巾は45mmである。この試験におい
て、コイルは、電流の大きさが約2500オーム、周
波数が280ヘルツの交流電流によつて励磁され
た；装置の所要電力は、14000ワツトである。試
験に使われた装置は、アルミニウムの線の温度
を、520℃に上げることができた。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明の実施例を示す図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 両端３，４が対面している、開いた、平面状
   の環の形をなす少くとも一箇の磁気回路２、この
   磁気回路上に巻かれたインダクタ５，６を有し、 加熱される部品１は、環の両端３，４の間のエ
   アギヤツプ７中に置かれ、かつ、 上記インダクタは、磁気回路２上に巻かれた二
   つのコイル５，６から成り、 コイルの各々は環の端部３，４の近傍に位置
   し、 コイルの各々は同位相の交流電流によつて励磁
   され、 環の各端部はギヤツプに向かつて隅落としの形
   で細くなつており、 この隅落としは環の各端部の全周において実施
   され、磁気回路２は、少くとも上記の両端３，４
   の近傍において、冷却液によつて環流され、磁気
   回路の中に置かれた少くとも一箇の導管より成る
   冷却機構１７，１８，１９，２０を持つことを特
   徴とする、金属部品１の加熱のための、電磁誘導
   装置。 ２ コイル５，６が冷却機構１５，１６，１７，
   １８を持つことを特徴とする、特許請求の範囲第
   １項に記載の装置。 ３ 磁気回路２が、端の開いた単純な環の形に切
   り抜かれた板の集合から作られ、それらの板は、
   端部３，４が上記の隅落としを成すように切断さ
   れ、組み上げられることを特徴とする、特許請求
   の範囲第１項または第２項のいずれかに記載の装
   置。 ４ 磁気回路の内部の冷却導管が、この磁気回路
   を成す板をくり抜いて作られることを特徴とす
   る、特許請求の範囲第３項に記載の装置。 ５ 環２の両端３，４の面の各々に、巻線によつ
   て発生する磁場の方向と直角、環状磁気回路の面
   にも直角の方向の刻み目が一つづつ（９または
   10）彫られていることを特徴とする、特許請求の
   範囲第４項に記載の装置。 ６ 各コイル５または６が、環の対応する端の近
   傍において磁気回路２に巻かれた、多芯線ケーブ
   ル１２または１３によつて構成されることを特徴
   とする、特許請求の範囲第５項に記載の装置。 ７ 上記の各コイルの冷却機構が、各ケーブル１
   ２または１３を納め、冷却液によつて環流される
   鞘によつて構成されることを特徴とする、特許請
   求の範囲第６項に記載の装置。 ８ 少くとも一対の、隣合つて平行に置かれた、
   相似の磁気回路２，２１を有しており、それらの
   エアギヤツプ７，２２は互に向かい合つた形に置
   かれ、一方の磁気回路２に巻かれたコイルは、も
   う一方の回路２１に巻かれたコイルに流れる交流
   電流と逆相の交流電流によつて励磁されることを
   特徴とする、特許請求の範囲第７項に記載の装
   置。