JPH0585831U - 複層ガラス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】複層ガラスにおけるシーリング材の劣化を抑
え、かつ容易に形成できる複層ガラスを提供する。 【構成】少なくとも一対のガラス板を対面させ、両ガラ
ス板間の端部より稍内側寄りにスペーサーを介挿、接着
し、両ガラス板端部域とスペーサー外周面で形成される
凹所にシーリング材を充填し一体化せしめた複層ガラス
において、前記一方のガラス板内面のスペーサー介挿部
を含む端部域に、物理的蒸着手段により紫外線遮断用の
着色膜を形成したことからなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は複層ガラスにかかり、特にその周縁部に配したシーリング材の劣化を 抑えた複層ガラスに関する。

【０００２】

【従来技術とその問題点】

特開昭61-191546 号には一方のガラス板の内面側の端部域に有色の耐候性プラ イマーを塗布した複層ガラスが開示されており、前記プライマーが紫外線による シーリング材の劣化を遅らせ、またスペーサーやシーリング材が透視されて外観 が損なわれるのを防ぐべくこれらを隠蔽すること等が言及されている。

【０００３】 しかしプライマー自体所詮有機重合体であるので紫外線による劣化は否めず、 特に長期間屋外に露呈するとプライマーと接着剤、シーリング剤との接着が弱ま り複層ガラス自体の性能を損なう危惧がある。またプライマー塗布面を複層ガラ スの内側面として採用する場合、プライマー中の溶媒を完全に揮散させないと、 その蒸気が複層ガラスの内部に残留して内部空気の露点を上昇させて曇化し易く 、他方プライマーを充分乾燥させるためには長時間を要する等不都合な面も多い 。

【０００４】 本考案は前記問題点を解消し、かつ容易に形成できる複層ガラスを提供するも のである。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】

本考案は、少なくとも一対のガラス板を対面させ、両ガラス板間の端部より稍 内側寄りにスペーサーを介挿、接着し、両ガラス板端部域とスペーサー外周面で 形成される凹所にシーリング材を充填し一体化せしめた複層ガラスにおいて、前 記一方のガラス板内面のスペーサー介挿部を含む端部域に、物理的蒸着手段によ り紫外線遮断用の着色膜を形成したこと、前記着色膜が熱線反射性の膜であるこ と、さらに複層ガラスを外側ガラスと内側ガラスとで形成せしめ、内側ガラスを 稍小サイズとし、前記内側ガラス端面部を跨ぐごとく配した断面略コ型の支持辺 と、前記支持辺の下片に連なる断面略逆Ｔ型の脚部辺からなる接続金具を付設し 、シーリング材により接着、一体化したことからなる。

【０００６】

【実施例】

以下本考案を添付の図面に基づき説明する。 図１は本考案の部分側断面図であり、1 が複層ガラス、2 が無色透明ガラスか らなる一方のガラス板 (外側ガラス) 、3 が無色透明ガラスからなる他方のガラ ス板 (内側ガラス) 、4 がスペーサーであり、図示しないがその内部にはゼオラ イト等の乾燥剤を収納せしめ、またスペーサー4 の内周には乾燥ガスが充満して いる内部空間5 と連通させるべく孔またはスリットを設けておく。

【０００７】 6 、6 はスペーサー4 と両ガラス板2 、3 を接着シールする内部シーリング材 で、ブチルゴム系のもの等を採用する。 7 はスペーサー4 の外周を覆う被覆シーリング材であり、シリコーン、ポリサ ルファイド等を採用する。

【０００８】 8 は複層ガラス1 の端面域と、後述する接続金具9 とを接着, シールし、一体 化するための構造用シーリング材であるが、上記同様シリコーン、ポリサルファ イド等が採用できる。

【０００９】 前記一方のガラス板2 の内面には予め端部域の四辺にわたり紫外線遮断用の着 色膜10を膜付けしておく。膜成分は限定するものではなく、紫外線遮断機能を有 すればよい。一例としてスパッタリング法によりステンレススチール膜を膜付け するのが適当であるが、他の例として同様な手段による酸化チタンや窒化チタン 等の膜も好適に採用できる。

【００１０】 このようにすることにより、着色膜10の内側のシーリング材6 、7 、8 は該着 色膜10の紫外線遮断作用により、自然光等の影響による劣化が抑えられ、長期に わたり安定して使用できる。ステンレススチール膜や酸化チタン膜、窒化チタン 膜は赤外線反射機能をも有するので、シーリング材6 、7 、8 の熱による劣化も 抑制できる。

【００１１】 9 は接続金具で図において上下片11a 、11b および垂直片11c よりなる断面略 コ型の支持辺11と、垂片12a 、水平片12b よりなる断面略逆Ｔ型の脚部辺12で以 て形成されるもので、前記支持辺11の上片11a の両サイドおよび垂直片11c 、下 片11b の内側はシーリング材8 と接着する。

【００１２】 また脚部辺12の水平片12b は図示しない躯体からの嵌込係止具と接続するもの である。 13は一例として発泡ポリエチレンからなるバックアップ材で、例えば構造用シ ーリング材に何らかの衝撃により亀裂が貫入した場合においても、該バックアッ プ材13が内側のシーリング材への貫入を防止する。

【００１３】 ガラス板2 に着色膜10を膜付けするには、例えばスパッタリング、真空蒸着等 の手段を講ずればよく、一例としてガラス板2 上の非成膜部分にマスキング材と してアルミニウム薄板を敷設し、これをスパッタリング装置内に移送して例えば ステンレススチールをターゲットとしてスパッタリングすればよい。

【００１４】 複層ガラス1 の作製は通常の手段によるもので、二枚のガラス板間に内部シー リング材を塗布したスペーサーを挿着し、要すれば例えばスペーサーの一局部に 穿孔して内部ガスの交換をした後、該孔を密閉し、さらにスペーサーの外周を被 覆シーリング材で被覆するものである。

【００１５】 接続金具9 の取付けは、複層ガラス1 の端面凹所に構造用シーリング材8 を充 填するとともに、直ちに接続金具9 の上片11a を該シーリング材8 中に挿入し、 支持辺11の内面側を密着させればよい。

【００１６】 このようにして得た本実施例にかかる着色膜を有する複層ガラスと、同様な構 成で、但し着色膜を有しない比較例にかかる複層ガラスを、試験棟の日射をよく 受ける開口部に嵌込み、3000時間にわたり放置した後、取出し、観察. 調査した ところ、比較例においてはシーリング剤が変質し手操作できわめて容易に剥離で きるという不具合が生じたが、本実施例においてはそのような異常が認められず 、本実施例のものが極めて優れていることが明白であった。

【００１７】 図２は別の態様を示した複層ガラス1 の略中央部 (図1 X-X に対応) を縦断し た概略斜視図で、図示のごとく接続金具9 、9 は、透明板ガラス2 と透明網入板 ガラス3 よりなる複層ガラス1 の少なくとも対向する 2辺に配すればよい。

【００１８】 図示のごとく同様な複層ガラス1a、1b、1cを左右上下に配することにより金具 類の露呈しないきわめて製品寿命の永いガラスウォールを形成でき、きわめて美 観に富む様相を呈するものとなる。

【００１９】

【考案の効果】

本考案によれば、シーリング材の紫外線や熱線による劣化を抑制し、またシー リング部の美観が損なわれる部分を隠蔽するという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図1 】本考案の実施の一例を示す部分側断面図であ
る。

【図2 】別の態様を示す縦断斜視図である。

【符号の説明】1 、1a、1b、1c ---複層ガラス 2 ------ 外側ガラス 3 ------ 内側ガラス 4 ------ スペーサー 6 、6 ------ 内部シーリング材 7 ------ 被覆シーリング材 8 ------ 構造用シーリング材9 ------ 接続金具 10 ------ 着色膜

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも一対のガラス板を対面させ、両
   ガラス板間の端部より稍内側寄りにスペーサーを介挿、
   接着し、両ガラス板端部域とスペーサー外周面で形成さ
   れる凹所にシーリング材を充填し一体化せしめた複層ガ
   ラスにおいて、前記一方のガラス板内面のスペーサー介
   挿部を含む端部域に、物理的蒸着手段により紫外線遮断
   用の着色膜を形成したことを特徴とする複層ガラス。
2. 【請求項２】着色膜が熱線反射性の膜であることを特徴
   とする請求項１記載の複層ガラス。
3. 【請求項３】複層ガラスを外側ガラスと内側ガラスとで
   形成せしめ、内側ガラスを稍小サイズとし、前記内側ガ
   ラス端面部を跨ぐごとく配した断面略コ型の支持辺と、
   前記支持辺の下片に連なる断面略逆Ｔ型の脚部辺からな
   る接続金具を付設し、シーリング材により接着、一体化
   したことを特徴とする請求項１または２記載の複層ガラ
   ス。