JPH0584374A - 縫製工場における各工程の配分時間算出方式及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 縫製工場における各工程の配分時間を、割り
当てられた各従業員の技能度，各工程の難易度，及び使
用する装置の機種をも考慮して精度よく容易に算出で
き、且つ必要なデータ量も大幅に減らす。 【構成】 縫製工場において縫製品を生産するための各
工程に対してそれぞれ作業を行なう従業員が割り当てら
れたとき、その各工程毎に割り当てられた従業員の使用
する機種群のランクに応じて個人技能度ランクを決定
し、その個人技能度ランクと該工程の工程ランクから技
能度係数を決定した後、該工程の工程時間にこの決定し
た技能度係数を乗じて配分時間を算出する

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、縫製工場において注
文品の生産計画を立てる際に、注文された縫製品を生産
するための各工程毎にその作業を行なう従業員を割り当
てたとき、その各工程の配分時間を算出するための配分
時間算出方式及びその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】縫製品の生産（特に縫製部門）は人間集
約型の産業であり、縫製工場での生産計画及び生産実績
は従業員個々の能力（熟練度等）に負うところが大きい
が、その能力に応じて各工程への人員配置を適切に行な
い、各工程での作業時間すなわち配分時間にあまり差が
出ないようにして待ち時間を少なくし、ラインの稼動効
率をあげることも重要である。

【０００３】そこで、生産計画を立てる際に、各従業員
をその経験年数や実績等によってランク付けして係数を
定め、縫製品を生産するための各工程の標準的な作業時
間である工程時間にその作業を担当する従業員の係数を
乗じて配分時間を算出することが考えられている。ま
た、過去の実績（例えば前日の実績）をその従業員の当
日の予想作業時間（配分時間）として置き換えるシステ
ムもある。

【０００４】あるいは、各工程に従業員を配分した時
に、予想される工程時間をキーボードから入力して生産
計画データを作成することも行なわれている。さらに進
んだ方式として、各従業員の技能度，各工程の難易度，
及び使用する装置の機種を考慮して配分時間を算出する
ことも考えられてはいる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単に割
り当てた従業員の経験年数等による係数を工程時間に乗
じてその工程の配分時間を算出するのでは、同一の従業
員が作業しても単能機と自動機，専用機と汎用機のよう
に使用する機種によって実際の作業時間にはかなりの差
が生じるが、使用する装置の機種を考慮していないため
その差が現われないという問題がある。

【０００６】また、過去の実績を当日の予想作業時間
（配分時間）として置き換えるのでは、初日には過去の
実績がないため配分時間の目標が定められず、全工程に
要する時間や工数等も未定になるため、生産に入ってか
らでないとスケジュールも決まらないという問題があ
る。配分した従業員に応じて予想される工程時間をキー
ボードから入力するのでは、その入力に手間と時間がか
かりすぎるし、入力者の感や判断力に依存するところが
多くなるという問題がある。

【０００７】さらに、各従業員の技能度，各工程の難易
度，及び使用する装置の機種を考慮して配分時間を算出
すれば、実状に合った精度のよい生産計画を作成するこ
とができるが、従業員個々の技能度のデータが工程ラン
ク毎に機種の数分だけ存在するため、各機種に対応する
技能度を決定する必要があり、そのデータの作成が複雑
化するばかりか、従業員数が多くなると必要なデータ量
が膨大になり、実用に適さなかった。

【０００８】この発明は上記のような問題に鑑みてなさ
れたものであり、縫製工場において縫製品を生産するた
めの各工程の配分時間を、割り当てられた各従業員の技
能度，各工程の難易度，及び使用する装置の機種をも考
慮して精度よく容易に算出できるようにし、しかもそれ
に必要なデータ量も大幅に減らすことを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明による縫製工場における各工程の配分時間
算出方式は、予め決定された各工程に対してその難易度
を示す工程ランクと使用する機械の機種群ランクと標準
的な作業時間である工程時間とに対し、各従業員毎に使
用する機械の機種群ランク別に個人技能度ランクを設定
し、その個人技能度ランクと前記工程ランクとの組み合
わせに対して作業の速さを示す技能度係数を設定してお
き、上記各工程に対してそれぞれ作業を行なう従業員が
割り当てられたとき、その各工程毎に割り当てられた従
業員に対して使用する機械の機種群ランクに応じて個人
技能度ランクを決定し、該個人技能度ランクと該工程の
工程ランクから技能度係数を決定した後、該工程の工程
時間にこの決定した技能度係数を乗じて配分時間を算出
することを特徴とする。

【００１０】また、この発明による縫製工場における各
工程の配分時間算出装置は、縫製工場において縫製品を
生産するための各工程に対して、その難易度を示す工程
ランクと使用する機械の機種群ランクと標準的な作業時
間である工程時間とを記憶した工程ファイルと、各従業
員の従業員番号と使用する機械の機種群ランクとの組み
合わせに対して個人技能度ランクをマトリクス形式で記
憶した従業員ファイルと、個人技能度ランクと工程ラン
クとの組み合わせに対して作業の速さを示す技能度係数
をマトリクス形式で記憶した技能度係数ファイルとをそ
れぞれ格納した記憶装置を備える。

【００１１】そしてさらに、上記各工程に対してそれぞ
れ作業を行なう従業員が割り当てられたとき、その各工
程毎に割り当てられた従業員に対して従業員番号と前記
工程ファイルから読み出される該工程に使用する機械の
機種群ランクとから前記従業員ファイルを参照して個人
技能度ランクを決定する手段と、該手段によって決定さ
れた個人技能度ランクと上記工程ファイルから読み出さ
れる該工程の工程ランクとから上記技能度係数ファイル
を参照して技能度係数を決定する手段と、上記工程ファ
イルから読み出される該工程の工程時間に上記手段によ
つて決定された技能度係数を乗じて配分時間を算出する
手段とを備えたものである。

【００１２】この装置にさらに、算出した配分時間を表
示する手段と、該手段によって表示された配分時間を変
更する手段と、該配分時間が算出された工程に対する従
業員の割り当てを変更する手段とを設けると便利であ
る。

【００１３】

【作用】この発明によれば、縫製工場において縫製品を
生産するための各工程に対してそれぞれ作業を行なう従
業員が割り当てられたとき、その各工程毎に割り当てら
れた従業員に対して使用する機械の機種群のランクに応
じて個人技能度ランクを決定し、該個人技能度ランクと
該工程の工程ランクから技能度係数を決定した後、該工
程の工程時間にこの決定した技能度係数を乗じて配分時
間を算出するので、予めファイル化するデータの作成が
容易になり、しかも技能度係数は各従業員個々に持つ必
要がなく、個人技能度ランクのランク数と工程ランクの
ランク数との積（例えばそれぞれのランク数が９ランク
ずつであれば９×９＝８１）だけのデータ数で済むた
め、必要なデータ量も大幅に低減する。そして、実状に
合った精度の高い配分時間を算出できるので、全行程に
要する時間や工数等も計画段階で決定でき、生産目標や
スケジュールも決められる。

【００１４】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて具
体的に説明する。図２は、この発明による縫製工場にお
ける各工程の配分時間算出方式を実現する時間配分算出
装置の一例のハード構成を示すブロック図である。

【００１５】この装置は、汎用のパーソナルコンピュー
タ等のデータ処理装置と同様な構成であり、ＣＰＵ１，
ＲＯＭ２，及びＲＡＭ３からなるコンピュータシステム
を中心として構成され、そのＣＰＵ１に、ディスプレイ
・インタフェース（以下インタフェースを「Ｉ／Ｆ」と
略称する）４を介してＣＲＴ又は液晶表示器等のディス
プレイ５が、キーボードＩ／Ｆ６を介して入力装置であ
るキーボード７が、ハードディスクＩ／Ｆ８を介してハ
ードディスク１０に対してデータの書き込み及び読み出
しを行なうハードディスク・ドライブ装置（ＨＤＤ）９
がそれぞれ接続されている。

【００１６】この時間配分算出装置のＲＯＭ２には、図
１を参照して後述する各工程の配分時間を算出するため
の処理をＣＰＵ１に行なわせるためのプログラムが格納
されている。また、ハードディスク１０には、その配分
時間算出に使用する工程ファイル，従業員ファイル，及
び技能度係数ファイルがそれぞれ格納されている。これ
らのファイルを総称してマスタファイルという。

【００１７】その工程ファイルは、縫製品を生産するた
めの各工程に対してその難易度を示す工程ランクと、こ
の工程の作業に使用する機械の機種群ランクと、標準的
な作業時間である工程時間とを記憶したファイルであ
る。従業員ファイルは、各従業員の従業員番号と上記機
種群ランクとの組み合わせに対して個人技能度ランクを
マトリクス形式で記憶したファイルであり、その一例を
図３に示す。そのデータ量は従業員数と機種群ランクの
数の積であり、例えば作業可能な従業員が１００人で機
種群ランクの数が９の場合は「９００」になる。

【００１８】技能度係数ファイルは、個人技能度ランク
と工程ランクとの組み合わせに対して作業の速さを示す
技能度係数をマトリクス形式で記憶したファイルであ
り、その一例を図４に示す。そのデータ量は個人技能度
ランクの数と工程ランクの数の積であり、図示のように
それぞれ９ランクずつであれば、９×９＝８１だけで済
む。

【００１９】ここで、上述した各用語についてもう少し
具体的に説明する。「工程ランク」は、パーツ工程，組
立工程等の各工程の作業をこなすための難易度によって
決定する。この実施例では１〜９の９ランクに分けてい
る。「個人技能度ランク」は、新入社員が行なった場
合、入社１年目までの人が行なった場合、班長クラスの
人が行なった場合等にグループ分けし、工場内で平均的
な作業が行なえる人を基準にして決定する。この実施例
では１〜９の９ランクに分けている。

【００２０】「機種群ランク」は、各工程の作業に使用
する機械（あるいは装置）を、本縫ミシン，特殊縫ミシ
ン，アイロン，プレス，自動機等にグループ分けして、
その操作の難易度や効率等によって決定する。この実施
例では１〜９の９ランクに分けている。

【００２１】「技能度係数」は、平均的に作業ができる
状態を「１」に設定して、工程の作業をこなすことがで
きて遅い人と早い人との比率により係数を決定する。こ
の技能度係数をｇとすると、０＜ｇ＜∞である（標準値
はｇ＝１）。工程の作業をこなすことができない範囲
は、特別な係数を用いて警告表示をして配分不可である
ことを知らせるか、あるいは平均的に作業をこなす時の
係数「１」のｎ倍の値を設定して、再配分を促す状態と
する。後述の例では後者を採用している。

【００２２】次に、この実施例による配分時間算出処理
を図１のフローチャートに従って説明する。この処理は
図２に示した装置のＣＰＵ１が主として実行する。この
ルーチンがスタートする前に、ハードディスク１０に格
納されている前述したマスタファイル（工程ファイル，
従業員ファイル，及び技能度係数ファイル）のデータを
読み出してＲＡＭ３にロードしておく。

【００２３】スタートすると、まずキーボード７から工
程番号（各工程に対して付した固有の番号）とその工程
に割り当てる従業員の従業員番号が入力されると、その
各番号をＲＡＭ３に一時記憶する。そして、その工程番
号から工程ファイルを参照して、該工程の工程ランクと
工程時間を決定し、さらに該工程の作業に使用する機械
のグループ分けによる機種群ランクを決定する。

【００２４】次に、図３に示した従業員ファイルを参照
して、従業員番号と機種群ランクとから個人技能度ラン
クを決定する。さらに、図４に示した技能度係数ファイ
ルを参照して、この個人技能度ランクと先に工程ファイ
ルから決定した工程ランクとから技能度係数を決定す
る。そして、この技能度係数と先に工程ファイルから決
定した工程時間とにより、 配分時間＝工程時間×技能度係数 の乗算を行なって配分時間を算出し、その算出した配分
時間を図２のディスプレイ５に表示する。

【００２５】この装置の操作者がこの表示を確認して、
変更を要しないと判断した場合には、例えば図２のキー
ボード７の登録キーを押せば、この装置は変更せずに登
録すると判断して算出した配分時間をそのまま工程番号
及び従業員番号のデータと共にハードディスク１０に格
納して登録する。

【００２６】操作者が表示された配分時間を見て不適当
であるので変更したいと判断した場合には、例えばキー
ボード７の変更キーを押すと、この装置は従業員の変更
か配分時間の変更かを選択させる表示を行ない、そのい
ずれか数字キー等で選択されると、従業員変更の選択で
あれば従業員番号の入力を可能にし、それが入力される
と、先と同じ工程についてその新たに入力された従業員
番号で、個人技能度ランクの決定から配分時間を算出し
て表示するまでの処理を再度実行する。

【００２７】そして、それを登録するか再度変更するか
を選択することができ、従業員番号を変更すれば、何度
でも上述の処理を繰り返す。変更の選択が配分時間の変
更であれば、算出した配分時間の変更を可能にし、操作
者がキーボード７から該工程に割り当てた従業員に適当
と思われる配分時間に変更して、それを登録することも
できる。

【００２８】この配分時間の決定に際しては、作業の速
い人と遅い人との差が倍以上になるとラインバランスが
くずれ、ラインの編成に無理が生じるので、無理かどう
かを判断して、無理な場合にはその工程に割り当てる従
業員を変更する等の処置が必要になる。また、この装置
で計算により求まった配分時間が、その従業員の現在で
のレベルアップや体調変化などの事情で、実際に予測さ
れる作業時間とマッチしなくなる場合もあるので、その
ような場合には算出された配分時間を変更（修正）でき
るので便利である。

【００２９】このような処理を、必要な全工程に対して
行うことにより、全工程の時間配分データを得ることが
できる。それによって、全工程に要する時間や工数等も
決定でき、生産目標やスケジュールも決められる。

【００３０】この実施例によれば、技能度係数のランク
付けを個々の従業員の技能に限定していないため、ラン
ク付けが同程度の従業員については平均的な配分時間が
求まるので、従業員の割り振りが変更されても対応でき
る。また、実績データを次回以降の配分時間の算出にフ
ィードバックさせたい場合、実績時間から技能度係数を
除算して標準時間として保存することにより対応でき
る。

【００３１】

【発明の効果】以上説明してきたようにこの発明によれ
ば、縫製工場において縫製品を生産するための各工程の
配分時間を、割り当てられた各従業員の技能度，各工程
の難易度，及び使用する装置の機種をも考慮して精度よ
く容易に算出でき、しかもそれに必要なデータの作成が
容易でデータ量も少なくて済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２の配分時間算出装置による配分時間算出処
理のフローチャートである。

【図２】この発明による配分時間算出装置のハード構成
例を示すブロック図である。

【図３】図２のハードディスク１０に格納される従業員
ファイルの一例を部分的に示す図である。

【図４】同じく技能度係数ファイルの一例を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ ＣＰＵ ２ ＲＯＭ ３ Ｒ
ＡＭ ５ ディスプレイ ７ キーボード １０ ハ
ードディスク

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 縫製工場において縫製品を生産するため
   の各工程毎にその作業を行なう従業員が割り当てられた
   ときに、その各工程の配分時間を算出する方式であっ
   て、 予め決定された前記各工程に対してその難易度を示す工
   程ランクと使用する機械の機種群ランクと標準的な作業
   時間である工程時間とに対し、各従業員毎に前記機種群
   ランク別に個人技能度ランクを設定し、その個人技能度
   ランクと前記工程ランクとの組み合わせに対して作業の
   速さを示す技能度係数を設定しておき、前記各工程に対
   してそれぞれ作業を行なう従業員が割り当てられたと
   き、その各工程毎に割り当てられた従業員に対して使用
   する機械の機種群ランクに応じた個人技能度ランクを決
   定し、該個人技能度ランクと該工程の工程ランクから技
   能度係数を決定した後、該工程の工程時間にこの決定し
   た技能度係数を乗じて配分時間を算出することを特徴と
   する縫製工場における各工程の配分時間算出方式。
2. 【請求項２】 縫製工場において縫製品を生産するため
   の各工程に対して、その難易度を示す工程ランクと使用
   する機械の機種群ランクと標準的な作業時間である工程
   時間とを記憶した工程ファイルと、各従業員の従業員番
   号と使用する機械の機種群ランクとの組み合わせに対し
   て個人技能度ランクをマトリクス形式で記憶した従業員
   ファイルと、前記個人技能度ランクと前記工程ランクと
   の組み合わせに対して作業の速さを示す技能度係数をマ
   トリクス形式で記憶した技能度係数ファイルとをそれぞ
   れ格納した記憶装置と、 前記各工程に対してそれぞれ作業を行なう従業員が割り
   当てられたとき、その各工程毎に割り当てられた従業員
   の従業員番号と使用する機械の機種群ランクとから前記
   従業員ファイルを参照して個人技能度ランクを決定する
   手段と、 該手段によって決定された個人技能度ランクと前記工程
   ファイルから読み出される該工程の工程ランクとから前
   記技能度係数ファイルを参照して技能度係数を決定する
   手段と、 前記工程ファイルから読み出される該工程の工程時間に
   前記手段によつて決定された技能度係数を乗じて配分時
   間を算出する手段とを備えたことを特徴とする縫製工場
   における各工程の配分時間算出装置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の縫製工場における各工程
   の配分時間算出装置において、算出した配分時間を表示
   する手段と、該手段によって表示された配分時間を変更
   する手段と、該配分時間が算出された工程に対する従業
   員の割り当てを変更する手段とを設けたこと特徴とする
   縫製工場における各工程の配分時間算出装置。