JPH0581322U - 畦畔被覆用板 - Google Patents

畦畔被覆用板

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JPH0581322U JP3067792U JP3067792U JPH0581322U JP H0581322 U JPH0581322 U JP H0581322U JP 3067792 U JP3067792 U JP 3067792U JP 3067792 U JP3067792 U JP 3067792U JP H0581322 U JPH0581322 U JP H0581322U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水田の畦畔を被覆することによって、畦畔の
変形や崩落を防ぎ、雑草を生やさず、有害虫や野鼠の温
床をなくし、更には漏水対策をも行うことを目的とす
る。 【構成】 側面が或る肉厚を持った鉤括弧形状をしてい
て、その形状で長手方向に伸びて成る被覆用板を、畦畔
に並べて設置施工する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、水田の畦畔を被覆するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
日本の水耕田地帯では遠い昔から畔道、即ち畦畔が設けられてきた。これを設 ける目的は、水田を区画に仕切り、稲の成育に必要な水をせきとめて貯め、人の 歩ける道を確保することにある。 しかるに、この畦畔は水田の耕土を採取して単に台形状に盛土をして作られた ものである。従って元々軟弱であり、人が歩いたり強い雨にあたったりする度に 変形したり崩落したりした。冬期に氷点下の気温が長く続く寒冷地にあっては、 畦畔の凍土が溶ける早春になると自然崩落さえも起してきたのである。 このような変形や崩落を修復する作業は毎年繰り返される上に、畦畔は長い距 離を持つがゆえにそれに要する手間は馬鹿にならないものがあり、又そのまま放 置しておけばやがて原形をとどめぬ程にまで崩れてしまい、再度築堤するという 大仕事が待ち受けているのである。
【0003】 ところで、盛土をしただけで出来た従来の畦畔は、これ以外にも様々な問題を 提起しているのである。そこで、以下にこれらの諸問題を一括して説明するとと もに、それらの諸問題に対処した従来の技術についても述べる。 従来の畦畔が抱える諸問題としては以下のものがある。
【0004】 1.畦畔は元々軟弱で多量の水分を含んだ水田の耕土を用いて築かれる上に、 畦畔の下部は季節になれば絶えず水に浸っている訳であるから、非常に変形しや すいものである。よって、前述したように人の歩行や強い雨のために、又寒冷地 では凍結が緩む際の作用も加わって、変形や崩落が容易に発生してしまう。又、 畦畔上面にできる凹凸は畦畔を非常に歩きずらいものともしている。 そこで昔からの知恵として、畦畔の斜面部を45度位の傾斜角度とすることが 一般に推奨されている。しかし、これは自然崩落を防ぐ意味ではある程度有効で はあるが、歩行による変形や崩落をも防ぎきるものではない。その上、45度も の角度で築かれたのでは、畦畔下端部の幅は極めて大きなものとなり、本来耕作 可能な水田の面積をも喰ってしまう結果となっている。
【0005】 2.次の厄介な問題点は雑草の蔓延である。畦畔が土のまま露出している限り は必ず付いて回る現象であるが、この雑草がもたらす具体的問題点は以下の3つ に分けられる。 a.雑草がある程度成長すると畦畔上を歩きずらくなり、その上草丈の高い雑 草があると歩けなくなったり、場合によっては稲の成育に好ましからざる日蔭を 作ってしまう可能性さえある。 よって、手作業で又は草刈機でそれらの雑草を始末する必要に迫られる。さも なければ、そのための除草剤を必要とし、除草剤をまく手間を必要とする。いず れにしても面倒な労働や出費を強いられることになる。 b.又、雑草がはびこると、病害虫の発生を助長することになる。例えば、二 化螟虫は7月頃になると成虫の二化螟蛾となり、やがて稲の葉に卵を産みつける 。すると、この卵が新たな二化螟虫という幼虫となり、成育中の稲の茎の中に入 り込んで喰い荒すために、稲はその成育を阻害されて遂には倒れてしまう。その 後、幼虫のまま畦畔の雑草中に潜り込んで冬を越し、蛾になる一生を繰り返す。 その他、稲泥負い虫やイナゴ等々の虫なども畦畔の雑草や土を利用して孵化、 成長し、やがて稲の成育や収穫に被害をもたらす結果となってくる。よって従来 方式の畦畔は、稲にとって有害な虫たちの温床ともなっているのである。 e.次には、野鼠の害が挙げられる。食べ物の乏しい冬になると野鼠は畦畔の あちこちに穴を作り、穴の中に顔を出した雑草の根を食べて生き延びる。こうし てネズミ算式に増えてゆき、水田の水が抜かれて稲の最終成育段階に入る晩夏に なると、今度は稲の茎をも喰い荒すようになって被害をもたらす。 更に悪いことには、水田に水のない冬期の間に野鼠が作ったこれらの畦畔の穴 は、水田に水が張られた状態になると、水の導通をする役目をしてしまう。即ち 、水田に引水しても水の漏れを生じるために仲々所定の水深が得られなかったり 、これらの穴を通じて一つの水田から他の水田へ、そして更に又他の水田へと不 必要な水の流れを順次生じてしまう。又この穴から畦畔下部の土の中にも漏水を 起す。よって、水の浪費が起るとともに、水がとどまっていれば太陽熱で徐々に 温められる筈の水も絶えず流れ込む冷たい水の影響で水温が仲々上がらず、つい には稲にとっての冷害が発生する。これの影響は元々が寒冷地のような水田地帯 では必然的に冷水が流入するので、とりわけ深刻な問題となる。 これを防ぐためには事前に畦畔を見廻り、穴を見つけしだい補修をするという 面倒な作業を必要としてくる。 以上のように、盛土をしたままの畦畔では、稲作にとって有害な野鼠を育てる 温床ともなっているのが現実である。
【0006】 3.畦畔を構成する土壌のうちでも、水面下にある部分はたっぷりと水を含ん でいて特に軟弱である。よって、はっきりとした穴がなくても、水田に張られた 水が耕土部分から畦畔下部の土を通して徐々に地下へと自然に漏水をするため、 そのための水の補給を必要とする。よって、上記2−cの項で述ベたと同じ悪影 響が生じてくる。
【0007】 さて、以上の説明から、従来方式の単に盛土をしただけの畦畔では実に多くの 欠点を持っていることが理解される。しかるに、これらの欠点のすべてを解消し たものは未だになく、せいぜい以下に述べるようなものが存在する程度の現状に とどまっている。
【0008】 1.プラスチックで出来た帯状の平板又は波板である。これは25cm前後の 幅のものが多いが、安価なのでよく使われる。しかし、これを使う目的は上記し た3項のみに対する対策にある。即ち、水面下にある軟弱な耕土と畦畔下部の土 壌を通して水が地下へ漏れ落ちるのを防止することにある。従って、このプラス チック板は畦畔の側面に沿って敷設され、その下端が水田の耕土の下に位置する 鍬床にまで差し込まれて、鍬床の水の不透過性を利用することで漏水防止をする ものである。 しかしながら、この場合は畦畔の殆んどが露出したままであるので、他の目的 には役にたたないと同時に、草刈りの際に草刈機でプラスチック板の上部が削り 取られたりして草刈機が傷むのは元より、見た目にも不恰好なものとなったりひ び割れを生じたりする。その上、野焼きをされたときなどは、それが黒く焦げた り縮んだりして使いものにならなくなる。ゆえに一種の消耗品でもある。
【0009】 2.上記プラスチック板よりも丈夫で恒久的なものとして、コンクリート板が ある。これは長方形状の板であるが、短辺を立てて次々と並べてゆき長い帯状の ものとする。その目的とするところと、その下端が鍬床の中にまで潜り込んで鍬 床の水に対する不透過性を利用して漏水を防止する点は1の場合と同じである。 こちらの方が丈夫で恒久的であるのはよいが、やはり畦畔の殆んどが露出した ままであるので草刈りを必要とし、下手をすると草刈機の刃が大きな損傷を受け たり、人間の大怪我にまで発展しかねない危険性をもはらんでいる。
【0010】 3.次に、耕土トラクターに付属機械を取り付けたものがある。これは事前防 止には全く役立たないものであるが、畦畔を補修するという対症療法を行うため のもので、畔塗り機と呼ばれる。これによって水田から取られた土を畦畔に塗り 付けて、畦畔の変形や崩落や穴の開いたりした個所を補修しながら畦畔の形状を 整えてゆくものである。従って、この機械は従来方式の畦畔を少しも改善するも のではなく、むしろ従来方式の畦畔であることを必要とさえするのである。その 上、毎年この作業を繰り返すことの必要性を回避することはできず、更には高額 の付属機械、平成4年現在で40万円程度の値段、を購入する必要にも迫られる のである。
【0011】 以上に説明したことから理解されるとおり、先に列挙した問題点をことごとく 解決したものはないのが現状である。 よって本考案としては、これらの課題を全部一挙に解決するための手段を提供 しようと試みるものである。しかも、寒冷地における畦畔土の冬期凍結と春期溶 解の変化にも十分対応できる考案として提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案では、これらの課題を解決するために、コンクリートで出来た畦畔被覆 用板を用いることにした。この畦畔被覆用板は基本的には三つのタイプがある。 A.図1の斜視図に示される形状を持つ畦畔被覆用板で、温暖地や寒冷地の別 を問わず、日本全国どこでも使用できるものである。 即ち、水平面部(P)は斜面部(S)に連続し斜面部(S)は垂直面部(V) に連続して成り、それらの面部が連続して形成する側面の形状が適宜な肉厚を持 った鉤括弧形状をしており、水平面部(P)が水平に置かれると垂直面部(V) は垂直となる関係を有し、その側面形状と基本的には同じ断面形状を有しながら 長手方向に適宜な長さを持つ畦畔被覆用板(1)を用いて課題を解決する手段と しているのである。 このブロック(1)を畦畔の両側に組み合わせて用い、又は片側のみに用いて その目的を達成する手段とするものである。実施例1〜8がこれに該当する。
【0013】 B.図7の側面図に示される形状を持つ畦畔被覆用板で、寒冷地を除いて日本 全国どこでも使用できるものである。 即ち、垂直面部(V1)は斜面部(S1)に連続し斜面部(S1)は水平面部 (P)に連続しその水平面部(P)は別の斜面部(S2)に連続しその斜面部( S2)は別の垂直面部(V2)に連続して成り、それらの面部が連続して形成す る側面の形状が適宜な肉厚を持った略コの字形状をしており、水平面部(P)が 水平に置かれると両方の垂直面部(V1、V2)は垂直となる関係を有し、その 側面形状と基本的には同じ断面形状を有しながら長手方向に適宜な長さを持つ畦 畔被覆用板(1X)を用いて課題を解決する手段としているのである。実施例9 がこれに該当する。
【0014】 C.図15の側面図に示される形状を持つ畦畔被覆用板で、寒冷地を除いて日 本全国どこでも使用できるものである。 即ち、斜面部(S1)は水平面部(P)に連続し水平面部(P)は別の斜面部 (S2)に連続して成り、それらの面部が連続して形成する側面の形状が適宜な 肉厚を持った鉤括弧形状をしており、水平面部(P)が水平に置かれると両方の 斜面部(S1、S2)は斜めとなる関係を有し、その側面形状と基本的には同じ 断面形状を有しながら長手方向に適宜な長さを持つ畦畔被覆用板(1Y)を用い て課題を解決する手段としているのである。実施例10がこれに該当する。
【0015】
【作用】
これ以降においては「畦畔被覆用板」を単に「被覆用板」と称して説明する。 上記した三つのタイプをそれぞれのタイプ別に分けてその作用を論じる。 1.実施例1〜8に用いられ、請求項1に記載された被覆用板の現わす作用。 この形状をした被覆用板(1)の作用の現われ方を、畦畔の片側のみに用いた 場合と両側に用いた場合とに分けて説明する。尚、この際には当然のことながら 、畦畔は被覆用板(1)側面の内面形状と同じように整形されている状態に既に あるものと仮定する。 A.畦畔の片側に使用の場合を図2及び図3に基づいて説明する。 イ.被覆用板(1)の下端(a)を鍬床(5A)の中にまで達するようにして 水平面部(P)を平坦で水平にされている畦畔の上面に水平に置く。このとき、 その垂直面部(V)は自動的に垂直な状態となってくれる。 ロ.このとき、畦畔土(2)の上部は台形状にされているがゆえに安定してい て、被覆用板(1)設置の際に畦畔の形崩れを起さない作用を現わす。 ハ.被覆用板(1)自体の重さが作用して、水平面部(P)は絶えず畦畔の上 面と密着しながらそれを下方に圧迫するので畦畔により密着安定する作用を生じ 、放っておけば垂直面部(V)の下端(a)が土中深く沈み込んでしまう危険性 を阻止する役割をも同時に果たす。 ニ.この被覆用板(1)の設置された場所では、被覆用板(1)が畦畔土(2 )を被覆し、又強く接触している上に鍬床(5A)にまで達している。よって、 畦畔の変形や崩落が生ぜず、雑草が生えず、野鼠が穴を掘れず、漏水を起さず、 といった作用となって現われる。 ホ.被覆用板(1)が鉤括弧形状をしていることから、硬い鍬床(5A)の中 に埋め込まれた垂直面部(V)の下端(a)は動きずらいのに対し、水平面部( P)の側端(b)は動き得る自由度を持つと同時に、被覆用板(1)自体の重さ がa点を支点としてb点を下向きに下げようとする強いモーメントとして現れる ことになる。換言すれば、図2における被覆用板(1)自体が絶えず右下方向に 倒れようとする作用を生じ、これが畦畔上面をより強く圧迫して畦畔上面により 強く密着する作用となって現れる。よって、被覆用板(1)を畦畔に固定するよ うな方策を一切講じなくとも、地震等で水田側に倒れ込むようなことは絶対にな いのである。 ヘ.更に特筆すべき作用は、冬期に氷点下の気温が長期間続く寒冷地で使われ た場合に現われる。即ち、凍土と化した畦畔が春の訪れとともに溶解するとき、 畦畔の変形や崩落が自然に発生する訳であるが、この被覆用板(1)を使うと、 これを阻止できるのである。 これは図2の通常の状態が、冬期になると畦畔土の上部の特に10cm前後の 深さの部分が凍土と化すことによって極めて硬くなると同時に膨脹し、この膨脹 が被覆用板(1)を図3のように押して変位させた恰好となる。もし被覆用板( 1)がなければ、図3の右側に見るように野鼠の掘った穴や気温の上昇に伴う凍 土の溶解、雪の重さ、小さな雪崩等の影響で畦畔の変形や崩落は避けられない。 しかるに、畦畔が凍土と化しても、被覆用板(1)はその内面が凍土に密着し た状態を保ちつつ凍土の膨脹に応じて傾き動いてくれる。しかも、凍土が緩めば 緩んだで凍土に接触しつつ凍土の緩みに応じながら原状復帰を果たそうとするモ ーメントが絶えず働いている訳であるから、畦畔土(2)を壊すことなく独りで に原状復帰を果たす作用が出てくる。被覆用板(1)上に積もっている雪の重さ がこのモーメントをより強くする役割を担う結果にさえもなっている。 B.畦畔の両側に使用の場合。 これは図4のように用いられる場合と図6のように用いられる場合とがある。 両者ともに、上記Aのイ〜ホの項目の要旨はそのまま流用できるので、ここで の重複記載は省略する。 ヘの項目については、図6の場合には上記のへの項目の説明を両側にあてはめ れば容易に理解されるところであるので説明を省略する。図4に対しては、図5 のように両方の被覆用板(1A、1B)が傾く点を除いては、上記のへの項目と 同様であるので特に説明をするまでもなく容易に理解されるところである。 よって、これに関する重複的な記載を省略する。
【0016】 2.実施例9に用いられ、請求項2に記載された被覆用板の現わす作用。 これは図7に示すものである。この場合には、密閉方式であるため、寒冷地で は凍土の膨脹による破壊が起って不向きであるが、それ以外の地では使え、一つ の被覆用板(1X)で畦畔の上面と両側面とを同時に被覆できる作用が生れると 同時に、前述しているAのイ〜ニの作用がある。
【0017】 3.実施例10に用いられ、請求項3に記載された被覆用板の現わす作用。 これは図15に示すものである。形状は異なるものの、上記2の説明がそのま ま適用できるので重複説明を省略する。
【0018】
【実施例】
以下、図面に基づいて、実施の具体的な態様を説明する。 尚、実施に際しては幾つかの留意点があるので、これらを先ず列挙する。 a.以下の実施例に挙げるものの施工は、水田に水のある時期には行なわず、 水田に水のない状態となる秋から翌年の春にかけての農閑期に行なわれることが 望ましい。 b.本願の実施例では被覆用板(1、1A、1B、1X、1Y)がコンクリー ト製であることを念頭において説明している。この場合には被覆用板(1、1A 、1B、1X、1Y)の内部には、鉄筋又は太めの金網等を配して丈夫な加工を 施したものが望まれる。しかしこれは、コンクリートがコスト的にみて一般性を 持つからとの理由による。よって、コスト面を無視してかかるのであれば、これ の代りに厚手のプラスチック板や鉄板を加工したものであっても良い。 c.被覆用板(1、1A、1B、1X、1Y)の肉厚や長さに関しては、必要 な強度が十分に得られることと、一人又は二人で十分に運搬施工できる程度の重 さにできることとを加味して決められるのが望ましい。 d.被覆用板(1、1A、1B、1X、1Y)の内側に畦畔土(2)との接触を より強くするための凹凸、又は外側に滑り止めのための凹凸を設けたものであっ ても良い。この場合には、被覆用板の側面と長手方向におけるその断面との形状 に違いが出てくる。請求項中で「・・その側面形状と基本的には同じ断面形状を 有し・・」としてあるのは、この場合も含むとの意味である。 e.水平面部(P、P1、P2)や垂直面部(V、V1、V2)の幅及び斜面 部(S、S1、S2)の幅や傾斜角度に関しては、それぞれの水田地帯における 畦畔の実情に合わせて決められるのが望ましい。ただし、請求項1及び2の場合 には、水平面部(P)と垂直面部(V、V1、V2)との配置関係は角度位置に して90度である。しかしながら、この90度は寸分の違いも許さぬ90度であ るという意味ではなく、多少の角度の違いがあっても支障はなく、要は水平面部 が水平のときに垂直面部が垂直か垂直に近い状態になるならばそれでよい。 f.被覆用板の下端(a、c)は丸みがあっても鋭角にされていてもよい。
【0019】 さて、以下の実施例の施工に当っては、被覆用板(1、1A、1B、1X、1 Y)の内側形状に合う形に畦畔土(2)を修正する必要があるが、畦畔土(2) は極めて軟らかいものであるので、これはスコップを用いたり、鉄板をこの形に 折り曲げたもの等を用いて容易に実行できるし、又それほど厳密に形を整えるこ とを要求するものでもない。ところで、以下の実施例を説明するに際して、水田 の構成のされ方を参考までに再認識しておく必要がある。 これは図2などに見られるように、水田(3A、3B)は水田の耕土(4A、 4B)から採取された土を盛って作られた畦畔土(2)によって囲まれ、水田( 3A、3B)自体は深さが15cm程度の軟らかくて水分の多い耕土(4A、4 B)と、その下にあって水に対する不透過性の強い数cmの鍬床(5A、5B) 及び更にその下に位置する心土(6A、6B)とで構成され、田植の季節になる と水(7A、7B)が数cmから十数cmの深さに張られて成るものである。
【0020】 [実施例1] これは、図4に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆す る場合で、しかも隣り合う水田(3A、3B)同士に特に高低差がない場合の実 施例であって、被覆用板(1A)と同仕様の被覆用板(1B)とがそれらの平面 部(P1、P2)で重なり合うように配された場合である。 イ.被覆用板(1A)の垂直面部(V1)を畦畔土(2)の垂直面に押し当て ながらその下端(a)を鍬床(5A)の中まで埋め込んで、被覆用板(1A)の 水平面部(P1)を平坦にされた畦畔土(2)上面に水平に置く。 ロ.被覆用板(1A)と同じ仕様の被覆用板(1B)を用いて、その垂直面部 (V2)を畦畔土(2)の垂直面に押し当てながらその下端(c)を鍬床(5B )の中まで埋め込んで、被覆用板(1B)の水平面部(P2)が被覆用板(1A )の水平面部(P1)上面に重ね合わさる状態に置く。 このときa点とc点との高さの違いが被覆用板(1B)の肉厚分だけ生じるが 、両者ともに鍬床(5A、5B)の中までそれぞれ十分に埋め込まれているので 地下漏水対策に対する不都合は何ら生じない。 尚、分かりきったことではあるが、被覆用板(1A)を水平面上で180度回 転して前後を逆にすれば、同じものが被覆用板(1B)の形状となる訳である。 ハ.上記イ及びロの手順を繰り返しながら、被覆用板(1A)同士が、又被覆 用板(1B)同士がそれぞれ隙間なく連続するように配して施工し、これを畦畔 の全長にわたって行う。 この際、組み合わせの下側に位置する被覆用板(1A)を畦畔の全長にわたっ て先ず配置施工し、次に被覆用板(1B)を配置施工してゆく方法を採ってもよ く、特に作業者が一人の場合には、この施工方法の方が畦畔両側への一々の移動 がなくて能率的である。 尚、この施工の際、図8に示すようなプラスチックでできた接続補助板(8) を被覆用板(1A)のつなぎ目部分で畦畔土(2)の上面に置いてから、被覆用 板(1A)とそれに続く被覆用板との両方の端をこの接続補助板(8)に載せる ようにした工事とすれば、被覆用板のつなぎ目で起るかもしれない凹凸の波打ち 現象を事前に防止でき、更には、そのつなぎ目における雨水のしみ込みも雑草の 吹き出しもなくなり、より理想的な施工とすることができる。しかしながら、接 続補助板(8)を用いなくとも十分実用にはなる訳であり、これの代りに厚手の 農業用ビニールシートを用いても雨水のしみ込みや雑草の吹き出しならば十分防 止できる。 以上のイ〜ハの手順で、畦畔が一直線状態の部分の工事は完了する。 ニ.畦畔が直角に交わっている水田の4ケ所の角部においては、図9に見られ るごとく被覆用板(1A、1B)で畦畔を被覆できない部分(Q)を生ずる。 しかし、この部分の畦畔の面積は極めて僅かであってみれば、これへの対処と しては、市販品のコンクリート板を用いて覆ってもよいし、モルタルを塗っても よいし、或るいは厚手のビニールシートを被覆用板(1A、1B)に挟み込んで 被覆してもよい。又被覆用板(1A、1B)を45度の角度で切断して、額縁の 縁板のように合わせて直角部分に対応するのもよい。この切断はハンマーとタガ ネを用い、必要なら金切りノコギリをも用いて、或るいはコンクリートカッター を用いて容易に実行できる。従って、絶対的需要数の少ないことを念頭においた 上で角部に用いるものを製品として製造するのはよいが、あえて製品化しないで も上記の方策で間に合うものである。 よって、上記イ〜ニの手順を踏むことによって、畦畔の全長にわたる被覆は完 了する。 ホ.尚、畦畔が被覆される際、隣地への又は隣地からの導水対策も講じておく 必要があるが、これには被覆用板(1A、1B)の水に浸る部分にハンマーとタ ガネを用いて穴を開け、この部分に従来通りパイプを差し込んでおけばよい。パ イプと被覆用板(1A、1B)との僅かな隙間はモルタルで簡単に埋めることが できる。
【0021】 [実施例2] これは、図6に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆す る場合で、しかも隣り合う水田(3A、3B)同士に特に高低差がない場合の実 施例であって、被覆用板(1A)と同仕様の被覆用板(1B)とが平面部(P1 、P2)の側端(b、d)で接するように配置された場合である。 実施例1で用いる被覆用板と本実施例2で用いる被覆用板との差異は、同じ畦 畔に適用するものと仮定すれば、本実施例2で用いる被覆用板平面部(P1、P 2)の幅が実施例1のそれよりも約半分程度に狭くなっている点である。 この場合の施工の順序や方法であるが、これは実施例1で述べたイ〜ホとほぼ 同じであるため、ここでは実施例1との差異を明記するにとどめ、他は実施例1 のイ〜ホの記述を借用して説明に代えるものとする。差異点を以下に記述する。 1.実施例1中のロの項を次のように修正して本実施例のロの項とする。 ロ.被覆用板(1A)と同じ仕様の被覆用板(1B)を用いて、その垂直面部 (V2)を畦畔土(2)の垂直面に押し当てながらその下端(c)を鍬床(5B )の中まで埋め込んで、被覆用板(1B)水平面部(P2)の側端(d)が被覆 用板(1A)水平面部(P1)の側端(b)に接触するように置く。 2.実施例1中のハの項に次の事柄を加えて本実施例のハの項とする。 「この施工の際、被覆用板(1A、1B)平面部(P1、P2)端部(b、d )でのつなぎ目部分の畦畔上面に、ビニール等の帯状のシート様のものをつなぎ 目に沿って設けてやると、この部分における雨水のしみ込みや雑草の吹き出しも 防止できて尚更よい。」
【0022】 [実施例3] これは、図10に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆 する場合で、しかも隣り合う水田(3A、3B)同士に小中程度の高低差がある 場合の実施例であって、被覆用板(1A)と必然的に異なる仕様の被覆用板(1 B)とが平面部(P1、P2)で重なり合うように配された場合である。 上記では小中程度の高低差という言葉を用いたが、これは具体的な高さをもっ て言うことは難しい。しかし、図10において畦畔の上面から見た場合に、3A の水田耕土には極めて簡単に降りられ、3Bのより深い水田の方の耕土にも無理 なく股ぎ降りられる程度を限度として、これより少し低い高さまでを一応中程度 と称し、小程度とはこれより一段と低い場合を称するものとする。 この場合には小中いずれの高低差にしても、水田(3A)と水田(3B)とで は畦畔上面よりの深さに違いがある訳であるから、使われる被覆用板(1A)と 被覆用板(1B)とでは必然的に斜面部(S1、S2)の長さが異なってくる。 この場合斜面部(S1、S2)の傾斜角度は異なったものを用いてもよいし、同 じにされたものを用いてもよい。 以上のような前提の下で、畦畔の被覆工事がされてゆく有様は、実施例1で記 述したイ〜ホの項と同様であるので、ここでの重複説明は省略する。
【0023】 [実施例4] これは、図11に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆 する場合で、しかも隣り合う水田(3A、3B)同士に小中程度の高低差がある 場合の実施例であって、被覆用板(1A)と必然的に異なる仕様の被覆用板(1 B)がそれらの側端(b、d)で接するように配された場合である。 この場合には水田(3A、3B)同士の高低差に対応するために被覆用板(1 A、1B)同士の斜面部(S1、S2)の長さに違いのあるものを使用する必要 があるが、その他の点は実施例2の場合と同じ説明が適用できるので、ここでの 重複記載を省略する。
【0024】 [実施例5] これは、図12に見られるように、隣り合う水田(3A、3B)同士の高低差 が大きい場合である。このような場合には隣接する水田(3A、3B)を仕切る 畦畔も二段構えとなり、畦畔土(2A)と畦畔土(2B)とで構成されているの が通例である。 この場合は、畦畔土(2A)と畦畔土(2B)との形状いかんによって、使わ れる被覆用板は同じ場合もあるし、異なる仕様のものとされる場合もある。しか しながら、実施例1又は2のような組み合わせで用いることは実際的ではない。 この理由は、図12で畦畔の右側斜面までをも被覆用板で被うとすると、被覆用 板は極めて膨大なものとならざるを得ず、その上複雑な形状になったり、折れ易 くなったり、更にはその運搬や施工に困難を来すからである。よって、畦畔の右 側斜面までをも覆いたいとするならば、土木工事で斜面によく用いられるコンク リート板を張ってゆく等の工事方法を採用した方が利口であると言える。 この場合の施工はどちらを先にしてもよいのであるが、施工の最中に畦畔土( 2A)の土が 畦畔土(2B)上に落ちる可能性を考慮して、被覆用板(1A) から始めるとした場合のプロセスは次の通りである。 イ.被覆用板(1A)の垂直面部(V1)の下端(a)を鍬床(5A)の中に まで十分に埋め込みながら、被覆用板(1A)の水平面部(P1)を平坦にされ た畦畔土(2A)上面に水平に置く。 ロ.上記イの手順を繰り返しながら、被覆用板(1A)同士が隙間なく連続す るように配して施工し、これを畦畔の全長にわたって行う。 ハ.下段の畦畔に対しても上記イ、ロと同様の手順で行ってゆくことで、上下 段の畦畔に対する施工が完了する。 尚、本実施例の場合にも、実施例1にて記載した項目ハ〜ホの考慮は適用され る。ただし、本実施例は被覆用板の組み合わせ使用ではないので、組み合わせに 関連する事柄及びそれに伴って当然に変わる接続補助板等の形状については常識 をもって容易に修正解釈ができるので、ここでの重複的記載を省略する。
【0025】 さて、以上の実施例1〜5は、畦畔が自分の所有地内にあったり、或るいは隣 接する水田の持主との合意が得られた場合には、何らの問題も無く工事の着工が できる。しかし、何らかの理由でその持主の合意が得られない場合もある。この ようなときでも本考案の被覆用板を使えば、自分側のみの畦畔の工事施工も実行 できるのである。尚、水田における隣地との境界線は、畦畔の上面幅の中心位置 にあるのが通例である。以下の実施例は合意のあるなしをも論じたものである。
【0026】 次の実施例6は、畦畔が隣地との境界を成す場合でしかも隣地の持主の合意が 得られた場合に、自分側の畦畔被覆工事を単独で行う場合の例を示す。 [実施例6] これは、図2に示される施工の方法で、自分側の水田が3Aであり隣りのもの が3Bである。この施工の場合には、畦畔上面の全部を被うことになり、従って 隣地に属する畦畔上面をも被っている。この施工はこちら側の費用と手間とで行 う上に、畦畔上面の全部を被っているのでそれだけ歩き易くもなり、又見た目に も奇麗に仕上がるのであるから、無償でこの利益を享受できる隣地の持主からは 文句の出ないのが通例である。 この場合の施工のプロセスは図12を用いて被覆用板(1A)の施工を説明し た実施例5と同じことになるので、ここでの重複説明は省略する。 後日になってから、隣地の持主も畦畔被覆をしたいと考えたときには、図4の ような組み合わせ方式にすることで簡単に施工できる訳である。
【0027】 [実施例7] しかながら、隣地の持主が頑固な人で、境界線より1cmたりとも入り込んだ 工事を許さない場合には、図13に示すような状態で自分側のみの被覆用板(1 )の施工とすれば良い訳である。 この場合の被覆用板(1)の側端(b)は境界線止まりとされていること、及 び本実施例に使用する被覆用板(1)の平面部(P)の幅は図2の場合の約半分 程度であることは説明するまでもない自明の事柄である。 この場合の施工のプロセスは図6を用いて被覆用板(1A)の施工を説明した 実施例2と同じようなことであるので、重複的な説明を省略する。 後日になってから、隣地の持主も畦畔被覆をしたいと考えたときには、図6の ような組み合わせ方式にすることで簡単に施工できる訳である。
【0028】 [実施例8] これは実施例7の応用例である。即ち、図13に示す方式を用いた実施例7で は、被覆用板(1)を畦畔上面に並べてゆくだけなので、自分にとっての施工は 楽であるし、後日隣地の持主が施工をする場合でも楽な方式ではあるが、畦畔上 面に段差ができるためにやや歩きずらくなる。 よって、本実施例では境界線までの畦畔上面を被覆用板(1)の肉厚分だけ削 り取ってから配列施工し、図14に示すように畦畔上面全部が平坦となるように したものである。 この場合の被覆用板(1)の側端(b)は境界線止まりとされていること、及 び本実施例に使用する被覆用板(1)の平面部(P)の幅は図2の場合の約半分 程度であることは説明するまでもない自明の事柄である。 この場合の施工のプロセスは、境界線までの畦畔上面を被覆用板(1)の肉厚 分だけ削り取られる作業が加わった以外は図13を用いて被覆用板(1)の施工 を説明した実施例7と同様なことであるので、重複的な説明を省略する。 後日になってから、隣地の持主も畦畔被覆をしたいと考えたときには、やはり 畦畔上面を被覆用板(1)の肉厚分だけ削り取ってから、図6のような組み合わ せ方式にすることで簡単に施工ができる訳である。
【0029】 さて、以上の実施例1〜8は、そのいずれもが図1に示す鉤括弧形状、即ち「 〔」又は「〕」の側面を持つ被覆用板(1)を一種類又は二種類用いたものであ ることに気が付く。これによって上述してきたような様々な畦畔被覆の形態に対 応できるのである。ここに本考案の主流を成すものの大きな特長が潜んでいる。
【0030】 ところで、以上の実施例1〜8は、温暖地であっても凍土になる程の寒冷地で あっても共に適用できるものであったが、凍土になる程の寒冷地を除いた地帯に あっては、別な形状の被覆用板(1X、1Y)を用いても目的を果たすことがで きるのである。ただし、隣り合う水田同士の高低差があまり無い場合であって、 畦畔が自分で所有する水田の内にあるとか、畦畔が隣地との境界を成していても 隣地の持主の承諾や合意が得られた場合という条件を前提とする。 寒冷地以外で以下の実施例9及び10も適用できる理由は次の通りである。 1.寒冷地では冷害から稲を護るために、水深を大きくとることが奨励され、 他の地帯では5〜10cmが一般的なのに、寒冷地では最高の水深が30cm程 度にも達する。これは、日中の太陽熱を利用して水に十分に蓄熱をさせておき、 その蓄熱の放散により水面上60cm程度までの空気をも温めて冷害の影響から 脱するための方策である。よって必然的に被覆用板の高さも大きくされるため、 以下の実施例を採用すると非常に重くて扱いにくいものとなる。 2.寒冷地では凍土の心配が付きまとう。即ち、畦畔土が密閉された状態にさ れると、膨脹する凍土により密閉をするもの即ち被覆用板が破壊されてしまう。 3.寒冷地以外では畦畔は低く作られているのが一般的であって、それゆえ被 覆用板の高さは低くて済むためにそれだけ小型に軽く出来、しかも凍土による破 壊の心配も無い。
【0031】 [実施例9] これは図7に示すとおり、側面が略コの字形状とも言える形状をした被覆用板 (1X)である。換言すれば図6の突き合わせ形状において被覆用板(1A)と 被覆用板(1B)とが一体として製造された様なものである。 この場合の畦畔整地後の施工のプロセスは以下のとおりである。 イ.被覆用板(1X)の垂直面部(V1、V2)の両下端(a、c)を、両水 田(3A、3B)の鍬床(5A、5B)の中にまで十分に埋め込みながら、被覆 用板(1X)の水平面部(P)を平坦にされた畦畔土(2)上面に水平に置く。 ロ.上記イの手順を繰り返しながら、被覆用板(1X)同士が隙間なく連続す るように配して施工し、これを畦畔の全長にわたって行う。 以上が基本的な施工の説明であるが、その他参考になる事項は実施例1のハ〜 ホの項目に記載されているので、それらを参照するものとして、重複的な説明を 省略する。
【0032】 [実施例10] これは図15に示すものである。即ち、図1で示した、側面が鉤括弧形状をし
た被覆用板(1)でありながら、その水平面部(P)、垂直面部(V)をこの場 合の斜面部(S1、S2)とし、斜面部(S)をこの場合の水平面部(P)とし たものであって、その側面が左右の対称的な鉤括弧形状となっている被覆用板( 1Y)である。言うなれば、図1に示すものの内の対称形状のものである。 この場合の施工のプロセス及びその他の事項は実施例9に記載と同様であるの で、ここでの重複記載を省略する。
【0033】
【考案の効果】
以上に述べてきた実施例は数々の効果を持っているので、それらを先ず一括に まとめた上で、次に各請求項及び各実施例に対応しながら順次述べてゆく。 本考案は以下の効果を現わす。 1.人が畦畔上面を踏み歩いたり、ついつい畦畔の角部や斜面に足をかけたりす ることによる畦畔の変形や崩落がなくなる。 2.雨や雪溶けの水が畦畔内部に入り込まないため、強固な畦畔土にできる。 3.畦畔土が凍土と化すような寒冷地において、凍土が溶けてゆく際の畦畔土の 自然崩落がなくなる。 4.畦畔に雑草が生えなくなる。よって以下の細目に記すように、雑草がもたら す種々の弊害がなくなる。 a.除草剤を散布するための費用や手間を不必要とし、草刈りの面倒もなくな る。b.病害虫の発生を抑止できるので、殺虫剤を散布するための費用や手間を 減少できると同時に、稲の病害虫による被害から護れる。c.野鼠が越冬中に食 する雑草の根がなくなるので、野鼠の繁殖に対する抑止力となる。d.野鼠が掘 った畦畔の穴が原因となる漏水がなくなり、水の浪費が防げ、そのための水の補 給の手間も要らなくなる。又、これによって、寒い地方では冷たい水が絶えず流 れ込むことが防止できるので、これから来る冷害の影響を減少させられる。 5.畦畔土の下部における自然漏水が防げ、上記4dと同じ効果が得られる。 6.被覆用板が傾斜した斜面部を持つことによって、畦畔土を台形状にしてその 安定を図っていると同時に、耕土トラクター等の機械からの多少の出っ張り部分 からも逃げられて、機械を傷めることも防止している。 7.畦畔の傾斜角度は従来の盛土畦畔の45度よりも急峻に立ち上げることがで きるため、その分多少なりとも耕地面積の増大が図れる。 8.畦畔上に地堺があっても、隣地の持主に迷感をかけずに施工ができる。 9.後日、隣地の持主が畦畔被覆を施工したくなった場合でも、実施例1〜8の うちのどの施工方法であってもやり直しとなる部分は一切無いので簡単である。 10.被覆用板を畦畔土に固定する方策は一切採らないのに、被覆用板の自重に よる力のモーメントを利用している関係上、地震があっても水田側に倒れること は絶対になく、安全である。 11.被覆用板同士が接合されている場合だと、或る個所に不具合が発生した場 合はその補修は大変な大仕事となるが、本考案では接合されてはおらずにそれぞ れ独立しているため、不具合個所における被覆用板の扱いのみで済む。 12.一度施工したら半永久的に使用でき、毎年繰り返される畦畔の補修、草刈 り、殺虫剤散布等に要する機械、農薬、手間の諸費用を勘案すると、本考案の方 が一定期間後にはずっと得策となる。 13.水田に水の張っていない農閑期を利用して、農業従事者自信の手で簡単に 施工ができる。 14.毎年繰り返される無意味なきつい労働から農業従事者を少しでも解放し、 後継者にとっても稲作農業が魅力ある仕事になるための一助となる。
【0034】 以上の総括的に記載した効果のうち、各請求項は以下の効果を持つ。 [請求項1] これは、実施例1から8までの全部に対応し、上記効果の全部を持つ。 [請求項2] これは、実施例9に対応し、上記の効果のうち8項、9項及び10項を除いた 全部の効果を持つ。ただし、10項中の地震に対する安全性はその作用原理は異 なれども同じく有するのである。 [請求項3] これは実施例10に対応し、実施例9の場合と形状が多少異なるものの、その 持つ効果は請求項2と同じである。
【提出日】平成4年9月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全 文
【補正方法】変更
【補正内容】 【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、水田の畦畔を被覆するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
日本の水耕田地帯では遠い昔から畔道、即ち畦畔が設けられてきた。これを設 ける目的は、水田を区画に仕切り、稲の成育に必要な水をせきとめて貯め、人の 歩ける道を確保することにある。 しかるに、この畦畔は水田の耕土を採取して単に台形状に盛土をして作られた ものである。従って元々軟弱であり、人が歩いたり強い雨にあたったりする度に 変形したり崩壊したりした。冬期に氷点下の気温が長く続く寒冷地にあっては、 畦畔の凍土が溶ける早春になると自然崩落さえも起してきたのである。 このような変形や崩落を修復する作業は毎年繰り返される上に、畦畔は長い距 離を持つがゆえにそれに要する手間は馬鹿にならないものがあり、又そのまま放 置しておけばやがて原形をとどめぬ程にまで崩れてしまい、再度築堤するという 大仕事が待ち受けているのである。
【0003】 ところで、盛土をしただけで出来た従来の畦畔は、これ以外にも様々な問題を 提起しているのである。そこで、以下にこれらの諸問題を一括して説明するとと もに、それらの諸問題に対処した従来の技術についても述べる。 従来の畦畔が抱える諸問題としては以下のものがある。
【0004】 1.畦畔は元々軟弱で多量の水分を含んだ水田の耕土を用いて築かれる上に、 畦畔の下部は季節になれば絶えず水に浸っている訳であるから、非常に変形しや すいものである。よって、前述したように人の歩行や強い雨のために、又寒冷地 では凍結が緩む際の作用も加わって、変形や崩落が容易に発生してしまう。又、 畦畔上面にできる凸凹は畦畔を非常に歩きずらいものとしている。 そこで昔からの知恵として、畦畔の斜面部を45度位の傾斜角度とすることが 一般に推奨されている。しかし、これは自然崩落を防ぐ意味ではある程度有効で はあるが、歩行による変形や崩落をも防ぎきるものではない。
【0005】 2.次の厄介な問題点は雑草の蔓延である。畦畔が土のまま露出している限り は必ず付いて回る現象であるが、この雑草がもたらす具体的問題点は以下の3つ に分けられる。 a.雑草がある程度成長すると畦畔上を歩きずらくなり、その上草丈の高い雑 草があると歩けなくなったり、場合によっては稲の成育に好ましからざる日陰を 作ってしまう可能性さえある。 よって、手作業で又は草刈機でそれらの雑草を始末する必要に迫られる。さも なければ、そのために除草剤を必要とし、除草剤をまく手間を必要とする。いず れにしても面倒な労働や出費を強いられることになる。 b.又、雑草がはびこると、病害虫の発生を助長することになる。例えば、二 化螟虫は7月頃になると成虫の二化螟蛾となり、やがて稲の葉に卵を産みつける 。すると、この卵が新たな二化螟虫という幼虫となり、成育中の稲の茎の中に入 り込んで喰い荒すために、稲はその育成を阻害されて遂には倒れてしまう。その 後、幼虫のまま畦畔の雑草中に潜り込んで冬を越し、蛾になる一生を繰り返す。 その他、稲泥負い虫やイナゴ等々の虫なども畦畔の雑草や土を利用して孵化、 成長し、やがて稲の成育や収穫に被害をもたらす結果となってくる。よって従来 方式の畦畔は、稲にとって有害な虫たちの温床ともなっているのである。 c.次には、野鼠の害が挙げられる。食べ物の乏しい冬になると野鼠は畦畔の あちこちに穴を作り、穴の中に顔を出した雑草の根を食べて生き延びる。こうし てネズミ算式に増えてゆき、水田の水が抜かれて稲の最終成育段階に入る晩夏に なると、今度は稲の茎をも喰い荒すようになって被害をもたらす。 更に悪いことには、水田に水のない冬期の間に野鼠が作ったこれらの畦畔の穴 は、水田に水が張られた状態になると、水の導通をする役目をしてしまう。即ち 、水田に引水しても水の漏れを生じるために仲々所定の水深が得られなかったり 、これらの穴を通じて一つの水田から他の水田へ、そして更に又他の水田へと不 必要な水の流れを順次生じてしまう。又この穴から畦畔下部の土の中にも漏水を 起す。よって、水の浪費が起るとともに、水がとどまっていれば太陽熱で除々に 温められる筈の水も絶えず流れ込む冷たい水の影響で水温が仲々上がらず、つい には稲にとっての冷害が発生する。これの影響は元々が寒冷地のような水田地帯 では必然的に冷水が流入するので、とりわけ深刻な問題となる。 これを防ぐためには事前に畦畔を見廻り、穴を見つけしだい修理をするという 面倒な作業を必要としてくる。 以上のように、盛土をしたままの畦畔では、稲作にとって有害な野鼠を育てる 温床ともなっているのが現実である。
【0006】 3.畦畔を構成する土壌のうちでも、水面下にある部分はたっぷりと水を含ん でいて特に軟弱である。よって、はっきりとした穴がなくても、水田に張られた 水が耕土部分から畦畔下部の土を通して徐々に地下へと自然に漏水をするため、 そのための水の補給を必要とする。よって、上記2−cの項で述べたと同じ悪影 響が生じてくる。
【0007】 さて、以上の説明から、従来方式の単に盛土をしただけの畦畔では実に多くの 欠点を持っていることが理解される。しかるに、これらの欠点のすべてを解消し たものは未だになく、せいぜい以下に述べるようなものが存在する程度の現状に とどまっている。
【0008】 1.プラスチックで出来た帯状の平板又は波板である。これは25cm前後の 幅のものが多いが、安価なのでよく使われる。しかし、これを使う目的は上記し た3項のみに対する対策にある。即ち、水面下にある軟弱な耕土と畦畔下部の土 壌を通して水が地下へ漏れ落ちるのを防止することになる。従って、このプラス チック板は畦畔の側面に沿って敷設され、その下端が水田の耕土の下に位置する 鍬床にまで差し込まれて、鍬床の水の不透過性を利用することで漏水防止をする ものである。 しかしながら、この場合は畦畔の殆んどが露出したままであるので、他の目的 には役にたたないと同時に、草刈りの際に草刈機でプラスチック板の上部が削り 取られたりして草刈機が傷むのは元より、見た目にも不恰好なものとなったりひ び割れを生じたりする。その上、野焼きをされたときなどは、それが黒く焦げた り縮んだりして使いものにならなくなる。ゆえに一種の消耗品でもある。
【0009】 2.上記プラスチック板よりも丈夫で恒久的なものとして、コンクリート板が ある。これは長方形状の板であるが、短辺を立てて次々と並べてゆき長い帯状の ものとする。その目的とするところと、その下端が鍬床の中にまで潜り込んで鍬 床の水に対する不透過性を利用して漏水を防止する点は1の場合と同じである。 こちらの方が丈夫で恒久的であるのはよいが、やはり畦畔の殆んどが露出した ままであるので草刈りを必要とし、下手をすると草刈機の刃が大きな損傷を受け たり、人間の大怪我にまで発展しかねない危険性をもはらんでいる。
【0010】 3.次に、耕土トラクターに付属機械を取り付けたものがある。これは事前防 止には全く役立たないものであるが、畦畔を補修するという対症療法を行うため のもので、畦塗り機と呼ばれる。これによって水田から取られた土を畦畔に塗り 付けて、畦畔の変形や崩落や穴の開いたりした箇所を補修しながら畦畔の形状を 整えてゆくものである。従って、この機械は従来方式の畦畔を少しも改善するも のではなく、むしろ従来方式の畦畔であることを必要とさえするのである。その 上、毎年この作業を繰り返すことの必要性を回避することはできず、更には高額 の付属機械、平成4年現在で40万円程度の値段、を購入する必要にも迫られる のである。
【0011】 以上に説明したことから理解されるとおり、先に列挙した問題点をことごとく 解決したものはないのが現状である。 よって本考案としては、これらの課題を全部一挙に解決するための手段を提供 しようと試みるものである。しかも、寒冷地における畦畔土の冬期凍結と春期溶 解の変化にも十分対応できる考案として提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案では、これらの課題を解決するために、コンクリートで出来た畦畔被覆 用板を用いることにした。 図1の斜視図に示される形状を持つ畦畔被覆用板で、温暖地や寒冷地の別を問 わず、日本全国どこでも使用できるものである。 即ち、水平面部(P)は斜面部(S)に連続し斜面部(S)は垂直面部(V) に連続して成り、それらの面部が連続して形成する側面の形状が適宣な肉厚を持 った鉤括弧形状をしており、水平面部(P)が水平に置かれると垂直面部(V) は垂直となる関係を有し、その側面形状と基本的には同じ断面形状を有しながら 長手方向に適宣な長さを持つ畦畔被覆用板(1)を用いて課題を解決する手段と しているのである。 このブロック(1)を畦畔の両側に組み合わせて用い、又は片側のみに用いて その目的を達成する手段とするものである。実施例1〜8がこれに該当する。
【0013】
【作用】
これ以降においては「畦畔被覆用板」を単に「被覆用板」と称して説明する。 1.実施例1〜8に用いられ、請求項1に記載された被覆用板の現わす作用。 この形状をした被覆用板(1)の作用の現われ方を、畦畔の片側のみに用いた 場合と両側に用いた場合とに分けて説明する。尚、この際には当然のことながら 、畦畔は被覆用板(1)側面の内面形状と同じように整形されている状態に既に あるものと仮定する。 A.畦畔の片側に使用の場合を図2及び図3に基づいて説明する。 イ.被覆用板(1)の下端(a)を鍬床(5A)の中にまで達するようにして 水平面部(P)を平坦で水平にされている畦畔の上面に水平に置く。このとき、 その垂直面部(V)は自動的に垂直な状態となってくれる。 ロ.このとき、畦畔土(2)の上部は台形状にされているがゆえに安定してい て、被覆用板(1)設置の際に畦畔の形崩れを起さない作用を現わす。 ハ.被覆用板(1)自体の重さが作用して、水平面部(P)は絶えず畦畔の上 面と密着しながらそれを下方に圧迫するので畦畔により密着安定する作用を生じ 、放っておけば垂直面部(V)の下端(a)が土中深く沈み込んでしまう危険性 を阻止する役割をも同時に果たす。 ニ.この被覆用板(1)の設置された場所では、被覆用板(1)が畦畔土(2 )を被覆し、又強く接触している上に鍬床(5A)にまで達している。よって、 畦畔の変形や崩落が生ぜず、雑草が生えず、野鼠が穴を掘れず、漏水を起さず、 といった作用となって現われる。 ホ.被覆用板(1)が鉤括弧形状をしていることから、硬い鍬床(5A)の中 に埋め込まれた垂直面部(V)の下端(a)は動きずらいのに対し、水平面部( P)の側端(b)は動き得る自由度を持つと同時に、被覆用板(1)自体の重さ がa点を支点としてb点を下向きに下げようとする強いモーメントとして現れる ことになる。換言すれば、図2における被覆用板(1)自体が絶えず右下方向に 倒れようとする作用を生じ、これが畦畔上面をより強く圧迫して畦畔上面により 強く密着する作用となって現れる。よって、被覆用板(1)を畦畔に固定するよ うな方策を一切講じなくとも、地震等で水田側に倒れ込むようなことは絶対にな いのである。 ヘ.更に特筆すべき作用は、冬期に氷点下の気温が長期間続く寒冷地で使われ た場合に現われる。即ち、凍土と化した畦畔が春の訪れとともに溶解するとき、 畦畔の変形や崩落が自然に発生する訳であるが、この被覆用板(1)を使うと、 これを阻止できるのである。 これは図2の通常の状態が、冬期になると畦畔土の上部の特に10cm前後の 深さの部分が凍土と化すことによって極めて硬くなると同時に膨張し、この膨張 が被覆用板(1)を図3のように押して変形させた恰好となる。もし被覆用板( 1)がなければ、図3の右側に見るように野鼠の掘った穴や気温の上昇に伴う凍 土の溶解、雪の重さ、小さな雪崩等の影響で畦畔の変形や崩落は避けられない。 しかるに、畦畔が凍土と化しても、被覆用板(1)はその内面が凍土に密着し た状態を保ちつつ凍土の膨張に応じて傾き動いてくれる。しかも、凍土が緩めば 緩んだで凍土に接触しつつ凍土の緩みに応じながら現状復帰を果たそうとするモ ーメントが絶えず動いている訳であるから、畦畔土(2)を壊すことなく独りで に現状復帰を果たす作用が出てくる。被覆用板(1)上に積もっている雪の重さ がこのモーメントをより強くする役割を担う結果にさえもなっている。 B.畦畔の両側に使用の場合 これは図4のように用いられる場合と図6のように用いられる場合とがある。 両者ともに、上記Aのイ〜ホの項目の要旨はそのまま流用できるので、ここで の重複記載は省略する。 ヘの項目については、図6の場合には上記のヘの項目の説明を両側にあてはめ れば容易に理解されるところであるので説明を省略する。図4に対しては、図5 のように両方の被覆用板(1A,1B)が傾く点を除いては、上記のヘの項目と 同様であるので特に説明をするまでもなく容易に理解されるところである。 よって、これに関する重複的な記載を省略する。
【0014】
【実施例】
以下、図面に基づいて、実施の具体的な態様を説明する。 尚、実施に際しては幾つかの留意点があるので、これらを先ず列挙する。 a.以下の実施例に挙げるものの施工は、水田に水のある時期には行なわず、 水田に水のない状態となる秋から翌年の春にかけての農繁期に行なわれることが 望ましい。 b.本願の実施例では被覆用板(1,1A,1B)がコンクリート製であるこ とを念頭において説明している。この場合には被覆用板(1,1A,1B)の内 部には、鉄筋又は太めの金網等を配して丈夫な加工を施したものが望まれる。し かしこれは、コンクリートがコスト的にみて一般性を持つからとの理由による。 c.被覆用板(1,1A,1B)の肉厚や長さに関しては、必要な強度が十分 に得られることと、一人又は二人で十分に運搬施工できる程度の重さにできるこ ととを加味して決められるのが望ましい。 d.被覆用板(1,1A,1B)の内側に畦畔土(2)との接触をより強くす るための凸凹、又は外側に滑り止めのための凸凹を設けたものであっても良い。 この場合には、被覆用板の側面と長手方向におけるその断面との形状に違いが出 てくる。請求項中で「‥その側面形状と基本的には同じ断面形状を有し‥」とし てあるのは、この場合も含むとの意味である。 e.水平面部(P,P1,P2)や垂直面部(V,V1,V2)の幅及び斜面 部(S,S1,S2)の幅や傾斜角度に関しては、それぞれの水田地帯における 畦畔の実情にあわせて決められるのが望ましい。ただし、水平面部(P)と垂直 面部(V,V1,V2)との配置関係は角度位置にして90度である。しかしな がら、この90度は寸分の違いも許さぬ90度であるという意味ではなく、多少 の角度の違いがあっても支障はなく、要は水平面部が水平のときに垂直面部が垂 直か垂直に近い状態になるならばそれでよい。 f.被覆用板の下端(a,c)は丸みがあっても鋭角にされていてもよい。
【0015】 さて、以下の実施例の施工に当っては、被覆用板(1,1A,1B)の内側形 状に合う形に畦畔土(2)を修正する必要があるが、畦畔土(2)は極めて軟ら かいものであるので、これはスコップを用いたり、鉄板をこの形に折り曲げたも の等を用いて容易に実行できるし、又それほど厳密に形を整えることを要求する ものでもない。ところで、以下の実施例を説明するに際して、水田の構成のされ 方を参考までに再認識しておく必要がある。 これは図2などに見られるように、水田(3A,3B)は水田の耕土(4A, 4B)から採取された土を盛って作られた畦畔土(2)によって囲まれ、水田( 3A,3B)自体は深さが15cm程度の軟らかくて水分の多い耕土(4A,4 B)と、その下にあって水に対する不透過性の強い数cmの鍬床(5A,5B) 及び更にその下に位置する心土(6A,6B)とで構成され、田植の季節になる と水(7A,7B)が数cmから十数cmの深さに張られて成るものである。
【0016】 [実施例1] これは、図4に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆す る場合で、しかも隣り合う水田(3A,3B)同士に特に高低差がない場合の実 施例であって、被覆用板(1A)と同仕様の被覆用板(1B)とがそれらの平面 部(P1,P2)で重なり合うように配された場合である。 イ.被覆用板(1A)の垂直面部(V1)を畦畔土(2)の垂直面に押し当て ながらその下端(a)を鍬床(5A)の中まで埋め込んで、被覆用板(1A)の 水平面部(P1)を平坦にされた畦畔土(2)上面に水平に置く。 ロ.被覆用板(1A)と同じ仕様の被覆用板(1B)を用いて、その垂直面部 (V2)を畦畔土(2)の垂直面に押し当てながらその下端(c)を鍬床(5B )の中まで理め込んで、被覆用板(1B)の水平面部(P2)が被覆用板(1A )の水平面部(P1)上面に重ね合わさる状態に置く。 このときa点とc点との高さの違いが被覆用板(1B)の肉厚分だけ生じるが 、両者ともに鍬床(5A,5B)の中までそれぞれ十分に埋め込まれているので 地下漏水対策に対する不都合は何ら生じない。 尚、分かりきったことではあるが、被覆用板(1A)を水平面上で180度回 転して前後を逆にすれば、同じものが被覆用板(1B)の形状となる訳である。 ハ.上記イ及びロの手順を繰り返しながら、被覆用板(1A)同士が、又被覆 用板(1B)同士がそれぞれ隙間なく連続するように配して施工し、これを畦畔 の全長にわたって行う。 この際、組み合わせの下側に位置する被覆用板(1A)を畦畔の全長にわたっ て先ず配置施工し、次に被覆用板(1B)を配置施工してゆく方法を採ってもよ く、特に作業者が一人の場合には、この施工方法の方が畦畔両側への一々の移動 がなくて能率的である。 尚、この施工の際、被覆用板(1A)のつなぎ目部分に、厚手の農業用ビニー ルシートを用いて畦畔土(2)の上面に置いてから、工事をすれば雨水のしみ込 みや雑草の吹き出しならば十分防止できる。 以上のイ〜ハの手順で、畦畔が一直線状態の部分の工事は完了する。 ニ.畦畔が直角に交わっている水田の4ヵ所の角部においては、図12に見ら れるごとく被覆用板(1A,1B)で畦畔を被覆できない部分(Q)を生ずる。 しかし、この部分の畦畔の面積は極めて僅かであってみれば、これへの対処と しては、市販品のコンクリート板を用いて覆ってもよいし、モルタルを塗っても よいし、或るいは厚手のビニールシートを被覆用板(1A,1B)に挟み込んで 被覆してもよい。又被覆用板(1A,1B)を45度の角度で切断して、額縁の 縁板のように合わせて直角部分に対応するのもよい。この切断はハンマーとタガ ネを用い、必要なら金切りノコギリをも用いて、或るいはコンクリートカッター を用いて容易に実行できる。従って、絶対的需要数の少ないことを念頭においた 上で角部に用いるものを製品として製造するのはよいが、あえて製品化しないで も上記の方策で間に合うものである。 よって、上記イ〜ニの手順を踏むことによって、畦畔の全長にわたる被覆は完 了する。 ホ.尚、畦畔が被覆される際、隣地への又は隣地からの導水対策も講じておく 必要があるが、これには被覆用板(1A,1B)の水に浸る部分にハンマーとタ ガネを用いて穴を開け、この部分に従来通りパイプを差し込んでおけばよい。パ イプと被覆用板(1A,1B)との僅かな隙間はモルタルで簡単に埋めることが できる。
【0017】 [実施例2] これは、図6に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆す る場合で、しかも隣り合う水田(3A,3B)同士に特に高低差がない場合の実 施例であって、被覆用板(1A)と同仕様の被覆用板(1B)とが平面部(P1 ,P2)の側端(b,d)で接するように配置された場合である。 実施例1で用いる被覆用板と本実施例2で用いる被覆用板との差異は、同じ畦 畔に適用するものと仮定すれば、本実施例2で用いる被覆用板平面部(P1,P 2)の幅が実施例1のそれよりも約半分程度に狭くなっている点である。 この場合の施工の順序や方法であるが、これは実施例1で述べたイ〜ホとほぼ 同じであるため、ここでは実施例1との差異を明記するにとどめ、他は実施例1 のイ〜ホの記述を借用して説明に代えるものとする。差異点を以下に記述する。 1.実施例1中のロの項を次のように修正して本実施例のロの項とする。 ロ.被覆用板(1A)と同じ仕様の被覆用板(1B)を用いて、その垂直面部 (V2)を畦畔土(2)の垂直面に押し当てながらその下端(c)を鍬床(5B )の中まで埋め込んで、被覆用板(1B)水平面部(P2)の側端(d)が被覆 用板(1A)水平面部(P1)の側端(b)に接触するように置く。 2.実施例1中のハの項に次の事柄を加えて本実施例のハの項とする。 「この施工の際、被覆用板(1A,1B)水平部(P1,P2)端部(b,d )でのつなぎ目部分の畦畔上面に、ビニール等の帯状のシート様のものをつなぎ 目に沿って設けてやると、この部分における雨水のしみ込みや雑草の吹き出しも 防止できて尚更よい。」
【0018】 [実施例3] これは、図7に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆す る場合で、しかも隣り合う水田(3A,3B)同士に少中程度の高低差がある場 合の実施例であって、被覆用板(1A)と必然的に異なる仕様の被覆用板(1B )とが水平部(P1,P2)で重なり合うように配された場合である。 上記では少中程度の高低差という言葉を用いたが、これは具体的な高さをもっ て言うことは難しい。しかし、図7において畦畔の上面から見た場合に、3Aの 水田耕土には極めて簡単に降りられ、3Bのより深い水田の方の耕土にも無理な く股ぎ降りられる程度を限度として、これより少し低い高さまでを一応中程度と 称し、少程度とはこれより一段と低い場合を称するものとする。 この場合には少中いずれの高低差にしても、水田(3A)と水田(3B)とで は畦畔上面よりの深さに違いがある訳であるから、使われる被覆用板(1A)と 被覆用板(1B)とでは必然的に斜面部(S1,S2)の長さが異なってくる。 この場合斜面部(S1,S2)の傾斜角度は同じにされたものを用いる。 以上のような前提の下で、畦畔の被覆工事がされていく有様は、実施例1で記 述したイ〜ホの項と同様であるので、ここでの重複説明は省略する。
【0019】 [実施例4] これは、図8に見られるように、畦畔土(2)の上面と両側面の三面を被覆す る場合で、しかも隣り合う水田(3A,3B)同士に少中程度の高低差がある場 合の実施例であって、被覆用板(1A)と必然的に異なる仕様の被覆用板(1B )がそれらの側端(b,d)で接するように配された場合である。 この場合には水田(3A,3B)同士の高低差に対応するために被覆用板(1 A,1B)同士の斜面部(S1,S2)の長さに違いのあるものを使用する必要 があるが、その他の点は実施例2の場合と同じ説明が適用できるので、ここでの 重複記載を省略する。
【0020】 [実施例5] これは、図9に見られるように、隣り合う水田(3A,3B)同士の高低差が 大きい場合である。このような場合には隣接する水田(3A,3B)を仕切る畦 畔も二段構えとなり、畦畔土(2A)と畦畔土(2B)とで構成されているのが 通例である。 この場合は、畦畔土(2A)と畦畔土(2B)との形状いかんによって、使わ れる被覆用板は同じ場合もあるし、異なる仕様のものとされる場合もある。しか しながら、実施例1又は2のような組み合わせで用いることは実際的ではない。 この理由は、図9で畦畔の右側斜面までをも被覆用板で被うとすると、被覆用板 は極めて膨大なものとならざるを得ず、その上複雑な形状になったり、折れ易く なったり、更にはその運搬や施工に困難を来すからである。よって、畦畔の右側 斜面までをも覆いたいとするならば、土木工事で斜面によく用いられるコンクリ ート板を張ってゆく等の工事方法を採用した方が利口であると言える。 この場合の施工はどちらを先にしてもよいのであるが、施工の最中に畦畔土( 2A)の土が、畦畔土(2B)上に落ちる可能性を考慮して、被覆用板(1A) から始めるとした場合のプロセスは次の通りである。 イ.被覆用板(1A)の垂直面部(V1)の下端(a)を鍬床(5A)の中に まで十分に埋め込みながら、被覆用板(1A)の水平面部(P1)を平坦にされ た畦畔土(2A)上面に水平に置く。 ロ.上記イの手順を繰り返しながら、被覆用板(1A)同士が隙間なく連続す るように配して施工し、これを畦畔の全長にわたって行う。 ハ.下段の畦畔に対しても上記イ、ロと同様の手順で行ってゆくことで、上下 段の畦畔に対する施工が完了する。 尚、本実施例の場合にも、実施例1にて記載した項目ハ〜ホの考慮は適用され る。ただし、本実施例は被覆用板の組み合わせ使用ではないので、組み合わせに 関連する事柄及びそれに伴って当然に変わる接続補助板等の形状については常識 をもって容易に修正解釈ができるので、ここでの重複的記載を省略する。
【0021】 さて、以上の実施例1〜5は、畦畔が自分の所有地内にあったり、或るいは隣 接する水田の持主との合意が得られた場合には、何らの問題も無く工事の着工が できる。しかし、何らかの理由でその持主の合意が得られない場合もある。この ようなときでも本考案の被覆用板を使えば、自分側のみの畦畔の工事施工も実行 できるのである。尚、水田における隣地との境界線は、畦畔の上面幅の中心位置 にあるのが通例である。以下の実施例は合意のあるなしをも論じたものである。
【0022】 次に実施例6は、畦畔が隣地との境界を成す場合でしかも隣地の地主の合意が 得られた場合に、自分側の畦畔被覆工事を単独で行う場合の例を示す。 [実施例6] これは、図2に示される施工の方法で、自分側の水田が3Aであり隣りのもの が3Bである。この施工の場合二は、畦畔上面の全部を被うことになり、従って 隣地に属する畦畔上面をも被っている。この施工はこちら側の費用と手間とで行 う上に、畦畔上面の全部を被っているのでそれだけ歩き易くもなり、又見た目に も奇麗に仕上がるのであるから、無償でこの利益を享受できる隣地の地主からは 文句の出ないのが通例である。 この場合の施工のプロセスは図9を用いて被覆用板(1A)の施工を説明した 実施例5と同じことになるので、ここでの重複説明は省略する。 後日になってから、隣地の地主も畦畔被覆をしたいと考えたときには、図4の ような組み合わせ方式にすることで簡単に施工できる訳である。
【0023】 [実施例7] しかながら、隣地の地主が頑固な人で、境界線より1cmたりとも入り込んだ 工事を許さない場合には、図10に示すような状態で自分側のみの被覆用板(1 )の施工とすれば良い訳である。 この場合の被覆用板(1)の側端(b)は境界線止まりとされていること、及 び本実施例に使用する被覆用板(1)の平面部(P)の幅は図2の場合の約半分 程度であることは説明するまでもない自明の事柄である。 この場合の施工のプロセスは図6を用いて被覆用板(1A)の施工を説明した 実施例2と同じようなことであるので、重複的な説明を省略する。 後日になってから、隣地の持主も畦畔被覆をしたいと考えたときには、図6の ような組み合わせ方式にすることで簡単に施工できる訳である。
【0024】 [実施例8] これは実施例7の応用例である。即ち、図10に示す方式を用いた実施例7で は、被覆用板(1)を畦畔上面に並べてゆくだけなので、自分にとっての施工は 楽であるし、後日隣地の地主が施工をする場合でも楽な方式ではあるが、畦畔上 面に段差ができるためにやや歩きずらくなる。 よって、本実施例では境界線までの畦畔上面を被覆用板(1)の肉厚分だけ削 り取ってから配列施工し、図11に示すように畦畔上面全部が平坦となるように したものである。 この場合の被覆用板(1)の側端(b)は境界線止まりとされていること、及 び本実施例に使用する被覆用板(1)の平面部(P)の幅は図2の場合の約半分 程度であることは説明するまでもない自明の事柄である。 この場合の施工のプロセスは、境界線までの畦畔上面を被覆用板(1)の肉厚 分だけ削り取られる作業が加わった以外は図10を用いて被覆用板(1)の施工 を説明した実施例7と同様なことであるので、重複的な説明を省略する。 後日になってから、隣地の持主も畦畔被覆をしたいと考えたときには、やはり 畦畔上面を被覆用板(1)の肉厚分だけ削り取ってから、図6のような組み合わ せ方式にすることで簡単に施工ができる訳である。
【0025】 さて、以上の実施例1〜8は、そのいずれもが図1に示す鉤括弧形状の側面を 持つ被覆用板(1)を一種類又は二種類用いたものであることに気が付く。これ によって上述してきたような様々な畦畔被覆の形態に対応できるのである。ここ に本考案の主流を成すものの大きな特長が潜んでいる。
【0026】
【考案の効果】
本考案は以下の効果を現わす。 1.人が畦畔上面を踏み歩いたり、ついつい畦畔の角部や斜面に足をかけたりす ることによる畦畔の変形や崩落がなくなる。 2.雨や雪溶けの水が畦畔内部に入り込まないため、強固な畦畔土にできる。 3.畦畔土が凍土と化すような寒冷地において、凍土が溶けてゆく際の畦畔土の 自然崩落がなくなる。 4.畦畔に雑草が生えなくなる。よって以下の細目に記すように、雑草がもたら す種々の弊害がなくなる。 a.除草剤を散布するための費用や手間を不必要とし、草刈りの面倒もなくな る。b.病害虫の発生を抑止できるので、殺虫剤を散布するための費用や手間を 減少できると同時に、稲の病害虫による被害から護れる。c.野鼠が越冬中に食 する雑草の根がなくなるので、野鼠の繁殖に対する抑止力となる。d.野鼠が堀 った畦畔の穴が原因となる漏水がなくなり、水の浪費が防げ、そのための水の補 給の手間も要らなくなる。又、これによって、寒い地方では冷たい水が絶えず流 れ込むことが防止できるので、これから来る冷害の影響を減少させられる。 5.畦畔土の下部における自然漏水が防げ、上記4dと同じ効果が得られる。 6.被覆用板が傾斜した斜面部を持つことによって、畦畔土を台形状にしてその 安定を図っていると同時に、耕土トラクター等の機械からの多少の出っ張り部分 からも逃げられて、機械を傷めることも防止している。 7.畦畔上に他界があっても、隣地の持主に迷惑をかけずに施工ができる。 8.後日、隣地の持主が畦畔被覆を施工したくなった場合でも、実施例1〜8の うちのどの施工方法であってもやり直しとなる部分は一切無いので簡単である。 9.被覆用板を畦畔土に固定する方策は一切採らないのに、被覆用板の自重によ る力のモーメントを利用している関係上、地震があっても水田側に倒れることは 絶対になく、安全である。 10.被覆用板同士が接合されている場合だと、或る箇所に不具合が発生した場 合はその補修は大変な大仕事となるが、本考案では接合されてはおらずにそれぞ れ独立しているため、不具合箇所における被覆用板の扱いのみで済む。 11.一度施工したら半永久的に使用でき、毎年繰り返される畦畔の補修、草刈 り、殺虫剤散布等に要する機械、農薬、手間の諸費用を勘案すると、本考案の方 が一定期間後にはずっと得策となる。 12.水田に水の張っていない農繁期を利用して、農業従事者自信の手で簡単に 施工できる。 13.毎年繰り返される無意味なきつい労働から農業従事者を少しでも開放し、 後継者にとっても稲作農業が魅力ある仕事になるための一助となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】畦畔被覆用板の斜視図。
【図2】畦畔被覆用板が畦畔の片側に設置された状態を
示す畦畔の断面図。
【図3】図2における状態が、凍土と化した畦畔土の膨
脹による圧迫を受けて、畦畔被覆用板が変位を起こして
いる状態を示す畦畔の断面図。
【図4】畦畔被覆用板が畦畔両側に設置されたときの実
施態様を示す畦畔の断面図。
【図5】図4における状態が、凍土と化した畦畔土の膨
脹による圧迫を受けて、畦畔被覆用板が変位を起こして
いる状態を示す畦畔の断面図。
【図6】畦畔被覆用板が畦畔両側に設置されたときの他
の実施態様を示す畦畔断面図。
【図7】一種類のみの畦畔被覆用板によって畦畔全面を
被覆されたときの実施態様を示す畦畔の断面図。
【図8】接続補助板の斜視図。
【図9】畦畔の交差部分における畦畔被覆用板の被覆具
合を示す斜視図。
【図10】隣り合う水田同士に小中の高低差がある場合
で、畦畔被覆用板が畦畔両側に設置されたときの実施態
様を示す畦畔の断面図。
【図11】隣り合う水田同士に小中の高低差がある場合
で、畦畔被覆用板が畦畔両側に設置されたときの他の実
施態様を示す畦畔の断面図。
【図12】隣り合う水田同士に大きな高低差がある場合
における畦畔被覆用板の畦畔への施工の様子を示す畦畔
の断面図。
【図13】畦畔上にある隣地との境界線以内にとどめる
ようにして、畦畔被覆用板が畦畔の片側に設置されたと
きの実施態様を示す畦畔の断面図。
【図14】畦畔上にある隣地との境界線以内にとどめる
ようにして、畦畔被覆用板が畦畔の片側に設置されたと
きの他の実施態様を示す畦畔の断面図。
【図15】一種類のみの畦畔被覆用板によって畦畔の全
面を被覆されたときの他の実施態様を示す畦畔の断面
図。
【符号の説明】
1、1A、1B、1Y・・鉤括弧形状をした畦畔被覆用
板、 1X・・・・・・・・・・略コの字形状をした畦畔被覆
用板、 2、2A、2B・・・・・畦畔土、 3A、3B・・・・・・・水田、 4A、4B・・・・・・・耕土、 5A、5B・・・・・・・鍬床、 6A、6B・・・・・・・心土 7A、7B・・・・・・・水、 8・・・・・・・・・・・接続補助板、 P、P1、P2・・・・・畦畔被覆用板の水平面部、 S、S1、S2・・・・・畦畔被覆用板の斜面部、 V、V1、V2・・・・・畦畔被覆用板の垂直面部、 a、c・・・・・・・・・畦畔被覆用板の垂直面部の下
端、 b、d・・・・・・・・・畦畔被覆用板の水平面部の側
端、 Q・・・・・・・・・・・畦畔の交差する部分における
畦畔の露出部。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全 文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 畦畔被覆用板
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】畦半被覆用板の斜視図。
【図2】畦半被覆用板が畦畔の片側に設置された状態を
示す畦畔の断面図。
【図3】図2における状態が、凍土と化した畦畔土の膨
張による圧迫を受けて、畦畔被覆用板が変位を起こして
いる状態を示す畦畔の断面図。
【図4】畦半被覆用板が畦畔両側に設置されたときの実
施態様を示す畦畔の断面図。
【図5】図4における状態が、凍土と化した畦畔土の膨
張による圧迫を受けて、畦畔被覆用板が変位を起こして
いる状態を示す畦畔の断面図。
【図6】畦半被覆用板が畦畔両側に設置されたときの他
の実施態様を示す畦畔断面図。
【図7】隣り合う水田同士に少中の高低差がある場合
で、畦畔被覆用板が畦畔両側に設置されたときの実施態
様を示す畦畔の断面図。
【図8】隣り合う水田同士に少中の高低差がある場合
で、畦畔被覆用板が畦畔両側に設置されたときの他の実
施態様を示す畦畔の断面図。
【図9】隣り合う水田同士に大きな高低差がある場合に
おける畦畔被覆用板の畦畔への施工の様子を示す畦畔の
断面図。
【図10】畦畔上にある隣地との境界線以内にとどめる
ようにして、畦畔被覆用板が畦畔の片側に設置されたと
きの実施態様を示す畦畔の断面図。
【図11】畦畔上にある隣地との境界線以内にとどめる
ようにして、畦畔被覆用板が畦畔の片側に設置されたと
きの他の実施態様を示す畦畔の断面図。
【図12】畦畔の交差部分における畦畔被覆用板の被覆
具合を示す斜視図。
【符号の説明】 1,1A,1B‥‥‥‥鉤括弧形状をした畦畔被覆用
板、 2,2A,2B‥‥‥‥畦畔土、 3A,3B‥‥‥‥‥‥水田、 4A,4B‥‥‥‥‥‥耕土、 5A,5B‥‥‥‥‥‥鍬床、 6A,6B‥‥‥‥‥‥心土、 7A,7B‥‥‥‥‥‥水、 P,P1,P2‥‥‥‥畦畔被覆用板の水平面部、 S,S1,S2‥‥‥‥畦畔被覆用板の斜面部、 V,V1,V2‥‥‥‥畦畔被覆用板の垂直面部、 a,c‥‥‥‥‥‥‥‥畦畔被覆用板の垂直面部の下
端、 b,d‥‥‥‥‥‥‥‥畦畔被覆用板の水平面部の側
端、 Q‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥畦畔の交差する部分における畦
畔の露出部。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平面部(P)は斜面部(S)に連続し
    斜面部(S)は垂直面部(V)に連続して成り、それら
    の面部(P、S、V)が連続して形成する側面の形状が
    適宜な肉厚を持った鉤括弧形状をしており、水平面部
    (P)が水平に置かれると垂直面部(V)は垂直となる
    関係を有し、その側面形状と基本的には同じ断面形状を
    有しながら長手方向に適宜な長さを持つ畦畔被覆用板
    (1)。
  2. 【請求項2】 垂直面部(V1)は斜面部(S1)に連
    続し斜面部(S1)は水平面部(P)に連続しその水平
    面部(P)は別の斜面部(S2)に連続しその斜面部
    (S2)は別の垂直面部(V2)に連続して成り、それ
    らの面部(V1、S1、P、S2、V2)が連続して形
    成する側面の形状が適宜な肉厚を持った略コの字形状を
    しており、水平面部(P)が水平に置かれると両方の垂
    直面部(V1、V2)は垂直となる関係を有し、その側
    面形状と基本的には同じ断面形状を有しながら長手方向
    に適宜な長さを持つ畦畔被覆用板(1X)。
  3. 【請求項3】 斜面部(S1)は水平面部(P)に連続
    し水平面部(P)は別の斜面部(S2)に連続して成
    り、それらの面部(S1、P、S2)が連続して形成す
    る側面の形状が適宜な肉厚を持った鉤括弧形状をしてお
    り、水平面部(P)が水平に置かれると両方の斜面部
    (S1、S2)は斜めとなる関係を有し、その側面形状
    と基本的には同じ断面形状を有しながら長手方向に適宜
    な長さを持つ畦畔被覆用板(1Y)。
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JP1992030677U Expired - Lifetime JP2517112Y2 (ja) 1992-03-26 1992-03-26 畦畔被覆用板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018071306A (ja) * 2016-11-04 2018-05-10 株式会社パディ研究所 畦畔保護用仮設スロープ

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6220508U (ja) * 1985-07-23 1987-02-06
JPS62129433U (ja) * 1986-02-10 1987-08-15

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JP2517112Y2 (ja) 1996-11-13

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