JPH0580955B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明はインクジエツト記録用水性インクに関
するものである。 〔従来の技術〕 インクジエツト記録用インクは、従来殆ど水溶
性染料と水及び湿潤剤を主要成分とする溶媒とか
らなり、記録方式からの要求特性を充たすため
に、この他表面張力等の物性を調整する添加剤が
含有されている場合もある。従つてインクジエツ
ト記録用インクの組成は複雑であり、また添加剤
によりノズル等の記録装置の接液部分や安全性に
影響を及ぼす２次的障害を発生する場合があつ
た。更に、従来のインクを用いたインクジエツト
記録により形成される画像は、染料そのものが水
溶性であるために耐水性が劣るという欠点を有し
ていた。 この欠点を除去するため非水溶性顔料系のイン
クを使用する試みも提案されているが、顔料がイ
ンク媒体に対して不溶性であるためインク中に顔
料を微細粒子として分散させる必要がある。しか
し顔料を微粒子状態で長時間安定に保つことが極
めて困難であるために、インクジエツト記録用と
して顔料系インクは、水性インクに対して実用上
主流となるには至つていない。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明の目的は、インクジエツト記録により得
られる画像が、耐水性に優れたインクジエツト記
録用水性インクを提供することにある。 また、本発明の目的は、記録方式から要求され
る表面張力の大きさを、染料の構造及びその含有
量を変えることによつて調整可能とし、画像形成
のために従来必要とされていた添加剤の使用量を
低減して、２次的障害が発生しないより単純な組
成のインクジエツト記録用水性インクを提供する
ことにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明の目的は、水溶性染料、有機溶剤及び水
を主成分とするインクジエツト記録用水性インク
において、水溶性染料が親水性構造部分と疎水性
構造部分とを含むアゾベンゼン及び／又はナフタ
リンアゾベンゼンの誘導体であり、該疎水性構造
部分が式C_o＋H_2o+1（ｎは８から20の整数を表わ
す。）であることを特徴とするインクジエツト記
録用水性インクにより達成することができる。 以下、本発明の特徴である水性インク中に含有
せしめる染料について詳しく説明する。 インクジエツト記録においてインクが安定して
吐出され、それにより得られる画像の耐水性を特
定の耐水性付与剤を加えることなしに向上させる
には染料自体の界面活性作用及びインク媒体への
溶解性が重要と考えられる。そこで、本発明では
染料として界面活性作用があり、インク媒体中で
良好な状態で安定に保たれるような親水親油性バ
ランス値（HLB値）、すなわち水溶液中において
HLB値が10〜13程度である親水性基と疎水性基
を有する染料を使用したのである。HLB値が前
記の範囲内であれば、染料中の親水性基及び疎水
基の種類、数及びそれらの基の結合位置は特に限
定されない。 親水性基としてはスルホン酸基、カルボキシリ
ル基、これらの基のNa、Ｋ、Li塩、

【式】 基〔基中、Ｒ及びR′はＨ、CH₃又は（CH₂−CH₂
−Ｏ）_X――Ｈ（ｘは20以下の整数である。）である。
〕
及び水酸基等から選ばれる１種あるいは２種以上
の基が挙げられる。 また疎水性基としては式C_oH_2o+1（ｎは８以上
20以下の整数である。）で示される長鎖アルキル
基が用いられる。ｎが８未満であると疎水性基の
疎水性が小さすぎる。また、ｎが20を超えると疎
水性が大きすぎる場合がある。 本発明によるインクにおいては、アゾベンゼン
系染料及びナフタリンアゾベンゼン系染料のフエ
ニル部分及び／又はナフチル部分に前記の親水性
基及び疎水性基が結合しているため、インクジエ
ツト用インクに要求される表面張力の調整が容易
に行え、また記録画像の耐水性が上昇する。 例えばｐ−ｔ−オクチルフエノールイエローア
ミンポリエチレンオキサイドは、メタノール水溶
液中に溶解し、その含有量によつて表面張力は30
〜60dyn／cm程度の範囲で変化する。 また、この染料を用いてインクを調整し、記録
画像を得た場合、その耐水性は通常の水性インク
を用いた場合に比較して著しく向上する。これは
親水基であるアミンポリエチレンオキサイドが染
料・紙界面に配向し疎水基であるオクチルフエノ
ールが画像表面に配向し易いことによると考えら
れる。また上述の様に染料の含有量を変えること
によりインクの表面張力を通常の記録方式から要
求される値の範囲内で、ある程度調整可能である
ので、特別に表面張力調整剤を加える必要がなく
なる。また本発明に用いる染料は２種以上を混合
してもよく、インクの物性を損わない範囲では、
他の染料を併用することも可能である。 次に、本発明の水性インクを組成するインク媒
体としては、水あるいは水と水溶性有機溶剤との
混合液が使用される。有機溶剤としては例えば、
メチルアルコール、エチルアルコール、ｎ−プロ
ピルアルコール、イソプロピルアルコール等のア
ルキルアルコール類、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール
等のグリコール類、１，３−ジメチル−２−イミ
ダゾリジノン、Ｎ−メチル−２−ピロリドン等の
含窒素複素環式ケトン類、エチレングリコールモ
ノメチル（又はエチル）エーテル、ジエチレング
リコールモノメチル（又はエチル）エーテル等の
多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ジオ
キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジ
メチルホルムアミド等のアミド類等が１種もしく
は２種以上の混合液として使用される。 またこの他に従来から知られているPH調整剤、
防カビ剤等の各種添加剤を更に含有させても良い
が、表面張力調整剤に関しては先に示した理由に
より特に添加する必要はない。 〔実施例〕 以下本発明を実施例により更に詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例によつて限定されるも
のではない。 実施例 １ 水：67重量 エチレングリコールモノメチルエーテル：30重量
部 式

【化】 で示されるアゾベンゼン誘導体：３重量部からな
る組成物を均一に混合し溶解した後、0.2μｍのミ
リポアフイルターで過してインクとしたこのイ
ンクを用いて内径50μｍのノズルを有するオンデ
マンド型インクジエツト記録装置により記録を行
なつたところ詳明な画像が得られた。 またこの画像を水道水に１分間浸漬した後の濃
度低下率、すなわち 初期濃度−処理後画像濃得／初期画像濃度×100は約６
％であ り、従来のサンプルの場合（約10％）と比較し著
しく低かつた。 実施例 ２ 水：77重量部 ジエチレングリコール：20重量部 式

〔発明の効果〕

本発明は、水溶性染料、有機溶剤及び水を主成
分とするインクジエツト記憶用水性インクにおい
て、水溶性染料が親水性構造部分と疎水性構造部
分とを含むアゾベンゼン及び／又はナフタリンア
ゾベンゼンの誘導体であるインクジエツト記憶用
水性インクを提供したものであり、インクジエツ
ト記録により得られる画像は耐水性に優れている
こと、インクジエツト記録用インクとして必要な
表面張力を染料の構造及びその含有量から調整で
きるので、インク組成が単純となり、従来のイン
クで用いられていた物性調整剤等が添加剤が不要
となるので添加剤による２次的障害を生じること
がないこと等の特長を有する。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 水溶性染料、有機溶剤及び水を主成分とする
   インクジエツト記録用水性インクにおいて、水溶
   性染料が親水性構造部分と疎水性構造部分とを含
   むアゾベンゼン及び／又はナフタリンアゾベンゼ
   ンの誘導体であり、前記疎水性構造部分が式C_o
   ＋H_2o+1（ｎは８から20の整数を表わす。）である
   ことを特徴とするインクジエツト記録用水性イン
   ク。 ２ 親水性構造部分が、スルホン酸基、カルボキ
   シリル基、これらの基のNa、Ｋ、Li塩、
   【式】基［基中、Ｒ及びR′はＨ、CH₃又は （CH₂−CH₂−Ｏ）_XＨ（ｘは20以下の整数である。）
   である。］及び水酸基から選ばれる１種あるいは
   ２種以上の基である特許請求の範囲第１項に記載
   のインクジエツト記録用水性インク。