JPH0580496A - 異物検査装置 - Google Patents

異物検査装置

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JPH0580496A
JPH0580496A JP23948091A JP23948091A JPH0580496A JP H0580496 A JPH0580496 A JP H0580496A JP 23948091 A JP23948091 A JP 23948091A JP 23948091 A JP23948091 A JP 23948091A JP H0580496 A JPH0580496 A JP H0580496A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、回路パターンを有する透明
または半透明の基板、特に転写解像度の向上を図った位
相シフト膜を有するレチクル等の回路パターン上に付着
したサブミクロンオーダーの微細な異物を、主として光
学的な簡単な構成で、容易に安定して回路パターンから
分離して検出することができる異物検査装置を提供する
ことにある。 【構成】 斜方照明(2)により発生する散乱光をNA
0.4以上の光学系(41)で試料裏面から集光し、フ
ーリエ変換面上に設けた空間フィルタ(44)により回
路パターンからの回折光を遮光し、検出器(51)上に
結像させる検出光学系(4)と、検出器の検出値を照明
むらに合わせて補正する回路(113)と、2×2画素
の検出値の加算値を求める回路および検出器画素の周囲
4方向へ1画素づつシフトした4つの加算値の最大値を
求める回路(114)と、検出結果を試料上を数百画素
ごとにブロック分けしたメモリへ収納する回路(11
2)から構成されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レチクルやホトマスク
等(以下レチクル等という)の回路パターン上に付着し
た異物を検出する異物検査装置に係り、特に、ウェハ上
に転写する前に行なわれる検査であって、前記レチクル
等の、特に転写解像度の向上を図った位相シフト膜を有
するレチクル上のサブミクロンオーダーの微細な異物
を、簡単な構成で検出する異物検査装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】LSIあるいいはプリント基板などを製
造するのに使用されるレチクル等の露光工程において、
レチクル等の回路パターンはウェハ上に焼付転写する前
に検査されるが、該回路パターン上に例えばミクロンオ
ーダーの微小異物が存在している場合においても、該異
物により前記回路パターンがウェハに正常に転写されな
いことから、LSIチップ全数が不良になる問題があ
る。この問題点は、最近のLSIの高集積化に伴い一層
顕在化し、より微小のサブミクロンオーダーの異物の存
在も許容されなくなってきている。
【0003】上記転写不良防止のため、露光工程前の異
物検査は不可欠であり、レチクル等の管理上、従来から
種々の異物検査技術が提供されているが、レチクル等の
回路パターンの検査は、レーザ光等の指向性の良い光源
で斜めから照射し、異物から発生する散乱光を検出する
方法が検査速度および感度の点から有利で一般的に使用
されている。ところが上記検査方法においては、レチク
ル等の回路パターンのエッジ部からも回折光が発生する
ため、この回折光から異物のみを弁別して検出するため
の工夫が必要であり、そのための技術が次のように公開
されている。
【0004】その1は、例えば特開昭54−10139
0号公報に開示されているように、直線偏光レーザと、
特定の入射角度で該レーザ光を斜めから照射する手段
と、偏光板およびレンズを用いた斜方結像光学系とを備
えたことをを特徴とする異物検査装置で、直線偏光を照
射した際、回路パターンからの回折光と異物からの散乱
光では、光の偏光方向が異なることを利用し、異物だけ
を輝かせて検出するものである。
【0005】その2として、レーザ光を斜方から被検査
試料に照射し走査する手段と、該レーザ光の照射点と集
光点面がほぼ一致するように被検査試料の上方に設けら
れ、該レーザ光の散乱光を集光する第1のレンズと、該
第1のレンズのフーリエ変換面に設けられ被検査試料の
回路パターンからの規則的回折光を遮光する遮光板と、
遮光板を通して得られる異物からの散乱光を逆フーリエ
変換する第2のレンズと、該第2のレンズの結像点に設
けられ被検査試料上のレーザ光照射点以外からの散乱光
を遮光するスリットと、該スリットを通過した異物から
の散乱光を受光する受光器とから構成された異物検査装
置が開示されている(例えば、特開昭59−65428
号公報、特開平1−117024号公報および特開平1
−153943号公報)。この装置は、回路パターンが
一般的に視界内で同一方向かあるいいは2〜3の方向の
組合せで構成されていることに着目し、この方向の回路
パターンによる回折光をフーリエ変換面に設置した空間
フィルタで除去することにより、異物からの散乱光だけ
を強調して検出しようとするものである。
【0006】その3は、例えば、特開昭57−8054
6号公報に記載されているように、回路パターンエッジ
部で生じた回折光には指向性があるが、異物による散乱
光には指向性がないことに着目し、斜方に設置した複数
の検出器のそれぞれの検出出力の論理積を取ることで異
物を弁別する構成のものである。
【0007】その4は、回路パターンエッジからの回折
光はある特定の方向にのみ集中して行くのに対して、異
物からはすべての方向に散乱していくという現象を利用
し、複数の検出器を配置して異物を弁別するものである
(例えば、特開昭60−154634号公報および特開
昭60−154635号公報)。
【0008】また、その5は、1次元固体撮像素子のよ
うなアレイ状の検出器を使用した場合、アレイを構成す
る各画素と画素とにまたがって異物が検出され、異物か
らの出力が複数の画素に分散されて検出される。結果と
して、検出器からの出力は分散された分だけ小さなもの
となり、異物を見逃す可能性がある。これを避ける発明
として、特開昭61−104242号公報にはアレイ状
の検出器の配置を試料台の走査方向に対して傾斜させる
方法が、また特開昭61−104244号公報,特開昭
61−104659号公報には、特殊な形状,配列のア
レイ状検出器を使用する方法が記述されている。
【0009】また、その6として、照明のむらや変動は
検出の再現性や精度に影響を及ぼすが、例えば特開昭6
0−38827号公報には、散乱光の強度を予め測定し
た標準試料を用いて自動校正する発明が記載されてい
る。
【0010】さらに、その7として、特開昭56−13
2549号公報には、大きな異物から発生する多量の散
乱光を多数の小異物からの散乱光と誤認しないための発
明が記載されている。なお、微小異物検査に関連する方
法および装置として、シュリーレン法、位相差顕微鏡、
有限の大きさの光源の回折像等に関する技術が、例え
ば、久保田 広著、応用光学(岩波全書)第129頁〜
第136頁に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、検出
すべき異物が小さくなるに従って、LSIの製造に影響
を及ぼす異物の見逃しの増加が問題になってきた。前記
従来技術その1(例えば特開昭54−101390号公
報)においては、微小異物からの散乱光の偏光方向と、
回路パターンエッジからの回折光の偏光方向との差異が
小さくなることから異物の弁別検出ができないという問
題があった。
【0012】つぎに前記従来技術その2(例えば、特開
昭59−65428号公報、特開平1−117024号
公報および特開平1−153943号公報)は、異物か
らの散乱光を遮光板によって回路パターンからの回折光
と分離し、かつスリツトにより異物からの散乱光のみを
検出するもので、異物を簡単な2値化法により検出する
ため検出機構が簡単になる特徴を有するが、前記回路パ
ターンの交差部分からの回折光には、直線部分からの回
折光のように特定位置に偏る傾向は小さく、前記空間フ
ィルタにより回路パターンの交差部分からの回折光を完
全に遮光することはできない。また、近年のLSI高集
積化に伴うミクロンオーダーの微細構造パターンを有す
る回路パターンから発生する回折光は、異物からの散乱
光と挙動が類似してきているため一層前記傾向が強く、
簡単な2値化法により異物を回路パターンから分離して
検出することは事実上困難であり、問題点となってい
た。
【0013】前記従来技術その3(例えば特開昭57−
80546号公報)および前記従来技術その4(例え
ば、特開昭60−154634号公報および特開昭60
−154635号公報)における各装置においては、そ
の装置構成上、十分な集光能力を持つ光学系の採用が困
難であり、微小な異物から発生する微弱な散乱光を検出
するのは実際上困難な問題点を有していた。
【0014】また、前記従来技術その5(例えば特開昭
61−104244号公報、特開昭−104242号公
報)における各装置においては、その構成上特殊な検出
器を特別に製作したり、特殊な光学系を構成する必要が
あり、実用上コストがかさむという問題があった。さら
に、前記従来技術その6(例えば特開昭60−0388
27号公報)における装置では、高速検出に適したアレ
イ状検出器への対応や、微小異物検出に対応する構成精
度の点で難点を有していた。さらに、前記従来技術その
7(例えば特開昭56−132544号公報)における
装置では、大異物の1点だけを代表とするため、特に長
細い異物の形状を正確に認識できない問題があった。
【0015】また、最近になりクロム等の金属薄膜で形
成されたレチクル上の回路パターンの転写解像度の向上
を目的として、レチクル上の回路パターン間に位相シフ
ト膜あるいは位相シフタと呼ばれる透明または半透明薄
膜(概ね露光光源の波長の1/2の奇数倍の膜厚を有す
る)を設けたレチクルが開発された。この膜は、透明ま
たは半透明だが、回路パターン(厚さ0.1μm程度)
の数倍の大きさの構造を有しているため、膜のエッジ部
からの回折光は、従来の回路パターン・エッジ部からの
回折光と比較して数倍から数十倍もの大きなものとな
り、異物の検出感度を著しく低下させてしまうという問
題がある。
【0016】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、回路パターンを有する透明または半透明の基
板、特に転写解像度の向上を図った位相シフト膜を有す
るレチクル等の回路パターン上に付着したサブミクロン
オーダーの微細な異物を、主として光学的な簡単な構成
で、容易に安定して回路パターンから分離して検出する
ことができる異物検査装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る異物検査装置の構成は、回路パターン
を有する透明または半透明の基板試料上に付着した異物
を、少なくとも、基板試料を照射する照明系と、照射さ
れた検査領域を検出器上に結像する光学系とを用いて検
出する異物検査装置において、前記基板試料を載置して
X,Y,Zの各方向へ任意に移動可能なステージおよび
その駆動制御系からなる検査ステージ部と、前記回路パ
ターンを斜方から対向して照射する照明系と、照明され
た検査領域を(照明系とは反対側の)試料の裏面側から
検出器上に結像する結像光学系と、回路パターンの直線
部分からの回折光を遮光するために、フーリエ変換面上
に設けた空間フィルタと、前記検出器の出力をしきい値
を設定した2値化回路の出力値により出力される信号に
より前記回路パターン上の異物データを演算表示する信
号処理系とを備えたものである。
【0018】また、検出光学系は、開口数(NA)を
0.4〜0.6に構成したものである。さらに、信号処
理系は、検出器の検出値を照明むらに合わせて補正する
回路と、2×2画素の検出値の加算値を求める回路およ
び検出器画素の周囲4方向へ1画素づつシフトした4つ
の加算値の最大値を求める回路と、検出結果を試料上を
数百画素ごとにブロック分けしたメモリへ収納する回路
とからなるものである。
【0019】
【作用】Wolf著,“Principles of
Optics”pp.647−664などの文献によれ
ば、微小な粒子が照明光の波長と同程度の大きさになっ
た場合、異物からの散乱光は均一にはならずに鋭い分布
を持つ。本発明では、前述の異物の見逃しが増加してき
たのは、この微小な粒子からの散乱光が分布を持つため
であることに着目した。これは、従来、検出光学系の開
口数(NA)に関しては言及されていなかっただけでな
く、異物を検出する場合、検出光学系が異物を解像でき
ない場合であっても検出は可能であると考えられていた
ためである。ところが、上記の文献に示されたように微
小異物からの散乱光は不規則な指向性をもつため、開口
数の小さな検出光学系では検出できない可能性があり、
この結果、異物の検出見逃しが起こると考えられる。
【0020】すなわち、本発明の思想により、従来技術
の有する分解能の検出光学系では、「微小異物を検出で
きることもある。」のであって、「安定して検出でき
る。」のではないことが明らかになった。「異物の検
出」という目標を達成するためにも、検出すべき異物の
大きさを解像する程度の分解能が必要であることが判明
した。以下にその検討の過程を述べる。
【0021】光散乱の物理学は、実際はきわめて複雑で
ある。空間に浮遊した単一の球に平面波が照射された場
合といったもっとも簡単な問題が、1908年にGus
tav Mieによって始めて解析された。Mieの理
論として知られている解法は、球状ハーモニスクと呼ば
れる数学関数の求和級数であるが、本発明の主題から外
れるので言及しない。しかし、結果の解釈は比較的容易
である。ラテックス球などのパーティクルは、反射、屈
折、吸収そして回折といったプロセスの組合せで、入射
ビーム中の光を散乱する。球状異物(粒子)からの散乱
光強度を図21に示す。
【0022】図21は、異物からの散乱光強度の理論値
をレーザ光の波長λ,異物の粒径Dによる無次元数πD
/λについて示した図であり、Mieの散乱の論理値
を、本発明の適用例のごとく基板上に付着した粒子の場
合に変形したものである。横軸は、検出光の波長λ(例
えば550nm)、dは検出異物径を用いた無次元数で
ある。ここでπd/λが概ね4より小さな領域(λ=5
50nmのときd=0.7μmより小さな異物)は、特
にレーリー散乱領域と呼ばれ、異物からの散乱光は、直
径の6乗に逆比例して、急激に減少する。したがって、
この領域の異物の検出には、検出器の感度には十分な注
意を払う必要がある。πd/λが概ね4より大きな領域
では、その散乱光は、回折の理論に従って方向性を持っ
て散乱する。
【0023】その様子は、図14に示すとおりである。
図14は、本発明に係る高NA光学系を用いて異物から
の散乱光を検出した図で、この領域の異物を検出するた
めには、異物からの散乱光が分布を持つため、検出器の
NAを分布に注意して決定する必要がある。図22は、
異物からの回折光の方向を示す説明図である。図22に
レチクル6上の異物70に対し、レーザ照明2221を
行なった場合の回折光の方向を示す。回折光は、0次回
折光2222,1次元回折光2223,さらに角度θだ
け離れて2次元回折光……と続く。
【0024】0次回折光2222は、レーザ照明222
1の正反射光であり、異物の散乱光を検出するというこ
とは、1次以上の回折光を検出することになる。ここで
θは、回折光の式からd0・sinθ=λで求められて
いる。d0は、不定形な異物に対しては、直径、幅、長
さあるいは直径の平均値など様々な定義が考えられる。
しかし、以下の議論はd0の値によらず成り立つので、
上記のいずれの定義でも、結果に影響をおよぼさない。
そこで、ここではd0=d、すなわちd0を異物径と仮定
した。
【0025】検出光学系の必要なNAを、最も条件の厳
しいπd/λ=4の場合について求める。
【数1】 となる。これは、回折光の間隙が最大で52°になるこ
とを意味する。したがって、52°以上の開口を有する
検出光学系を用いれば、最低でも1次の回折光だけは検
出できることになり、異物は見逃しとはならない。
【0026】図23は、光学系のNAの定義を示した説
明図である。図23において、NA=sin(θ/2)
(n:光路の屈折率、空気ではn≒1)で検出系対物レ
ンズ41のNAは求められ、NA=1・sin(52°
/2)=0.44となる。よって、概ね0.44より大
きなNAをもつ検出系により異物からの散乱光を見逃し
なく検出できる。この場合、NAが大きい程検出に余裕
ができ、またレーリー領域の異物の検出にも都合が良く
なる。逆にNA≧0.44を満たさない場合でもNA=
0.4程度ならば、回折光にある程度の幅があるため、
実用上は異物の検出は可能である。逆に、NAを0.5
より大きくすると後で述べる理由によって回路パターン
からの散乱光が検出系に入射してしまい、異物からの散
乱光だけを検出する要求に障害を及ぼし、NAをわざわ
ざ大きくするメリットが減少する。このため、おおよそ
0.4から0.6位までのNAが実用上適切なNAとな
る。
【0027】次にレーリー領域の異物の検出について述
べる。先に述べたごとく、従来技術の有する分解能の検
出光学系では、「微小異物を検出できることもある。」
のであって、「安定して検出できる。」のではない。
「異物の検出」という目標を達成するためには、検出す
べき異物の大きさを解像する程度の分解能が必要であ
る。本発明は、この検出すべき異物を解像する程度の開
口数(NA)を有する検出光学系を有する。具体的には
下記の式(1)により、算出される。 d=0.6(λ/NA) ……(1) このNAに概ね近い値を有する光学系が望ましい。ここ
で、dは検出すべき異物の寸法、λは照明光の波長、N
Aは開口数である。また検出系のNAを式(1)を満た
すように設定できない場合、照明系のλを短くして式
(1)を満たす必要がある。
【0028】すなわち、異物検査のための検出光学系で
は、従来は異物を解像する解像力が必要と考えられてい
なかったが、本発明では式(1)に示すような異物を解
像する検出光学系が必要であるという新規な考え方に立
っている。ただし、式(1)の係数は、0.6という一
般の解像度を算出する際の値ほど大きい必要はなく、本
発明に際して発明者により実施された実験によると、
0.24〜0.6の範囲であれば必要とされる異物検出
性能は発揮される。
【0029】次に、その理由について説明する。図24
は、異物からの散乱光強度に比例する散乱断面積を異物
径に対して示した線図である。図24では、横軸に異物
径を、縦軸に散乱断面積をとってある。この散乱断面積
は、異物から発生する散乱光に比例し、Mieの散乱の
理論から求められる。その解釈は、発生する散乱光を観
察した場合、あたかも図中の実線で示される異物から発
生する散乱光であるかのように観察されることを意味す
る。図中には、破線で、幾何学的に断面積も合わせて示
した。これにより、散乱光で観察した場合には、実際の
異物寸法よりも大きく観察されることがわかる。(これ
は、まさしく異物検査が散乱光で行われている理由であ
る。)そして、その比率は、図24より面積比で約3倍
〜6倍、したがって直径では√3〜√6倍となる。この
場合、式(1)は、 d=(0.6/(√3〜√6))・(λ/NA) =(0.24〜0.35)・(λ/NA) …(1)
´ となり、先の実験結果を説明できる。
【0030】また、レチクル上の異物検査では、検出す
べき異物サイズdはレチクル最小寸法の1/4程度とさ
れているため、レチクル上最小寸法2.5μm(5:1
縮小転写の場合、ウェハ上0.5μm、これは、16M
DRAM相等)の場合0.6μm、レチクル上最小寸法
1.5μm(64MDRAM相等)の場合0.4μmで
ある。したがって、0.4μmの異物を、先の検討から
求められたNA=0.4の検出光学系で検出するために
は、(1)´式を変形した λ=d・NA/(0.35〜0.24) …(2) により、λ=660nm〜460nmよりも波長の短い
光源が必要となる。
【0031】次に、この波長範囲で、回路パターンの形
成されたレチクルのような試料上の異物検査に適した波
長を選択する検討を行うが、その前提となる異物を回路
パターンから(光学的に)分離して検出する原理につい
て説明する。本発明は、レチクル等の回路パターンが
縦,横,斜めの3方向の直線および該直線の交差部(以
下、回路パターンコーナ部)で構成されていることに着
目してなされている。前記回路パターンが、指向性のよ
いレーザ光等で斜方から入射角i(i<90°)で照射
された場合、回路パターンの直線部分からの散乱光のフ
ーリエ変換像は、照明視野内の回路パターンの位置によ
らず、フーリエ変換像面上の特定の位置へ細い直線状に
集光され、一方、異物からの散乱光はフーリエ変換像面
上の特定の位置へ偏らないことが知られている。
【0032】そこで本発明は、フーリエ変換像面上の特
定位置へ直線状の遮光板(空間フィルタと呼ばれる)を
配置し、回路パターンの直線部分からの散乱光を遮光
し、異物からの散乱光だけを検出できる原理に基づいて
いる。ところが、前記回路パターンコーナ部およびコー
ナ部が連続する微細構造部からの散乱光は遮光しきれな
い。このため従来のような、10×20μm2の検出画
素で検出を行った場合(図4(B)に示す)、画素中に
複数のパターンコーナー部分からの散乱光が入射してし
まい、異物だけを検出することができない。そこで本発
明では、検出器の画素を2×2μm2にまで高分解能化
し(図4(C)に示す)、回路パターンからの影響を極
力排除し、0.5μmの異物検出を可能とした。またこ
こで、検出器の画素を2×2μm2と設定したが、この
理由は以下に述べるものであり、必ずしも2×2μm2
である必要はない。
【0033】この場合の画素寸法は、レチクル上の最も
パターン寸法Lよりも小さければ良い。したがって、
0.8μmプロセスLSIを縮小率1/5のステッパで
露光する場合のレチクルでは、おおむね、0.8×5=
4μm、0.5μmプロセスLSIではおおむね0.5
×5=2.5μmよりも小さい画素で検出すれば良い。
また、実際にはパターンコーナーからの影響を十分に小
さくできる値であれば、さらに大きくても小さくても良
い。具体的には、検査対象となるレチクル上の最小パタ
ーン寸法程度が望ましい。この最小パターン寸法程度の
大きさであれば、検出器の1画素に2個未満のコーナー
のみが入ることになり図10に示した実験よってもこの
値で十分である。さらに具体的には最小寸法が1.5μ
m程度の64MDRAM用レチクルでは、1〜2μm程
度の画素寸法が望ましい。
【0034】
【実施例】以下本発明の一実施例の構成を図1ないし図
3を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係
る異物検査装置の構成を示すブロック図、図2は、図1
の装置におけるレチクルの検査状況を示す平面図、図3
は、図1の装置における照射系の構成例を示す説明図で
ある。図1において、1は検査ステージ部で、検査ステ
ージ部1は、ペリクル7を有するレチクルを6を固定手
段8により上面に固定してZ方向に移動可能なZステー
ジ9と、Zステージ9を介してレチクル6をX方向へ移
動させるXステージ10と、同じくレチクル6をY方向
へ移動させるYステージ11と、Zステージ9,Xステ
ージ10,Yステージ11の各ステージを駆動するステ
ージ駆動系12と、レチクル6のZ方向位置を検出する
焦点位置検出用の制御系13とから構成されており、各
ステージは、レチクル6の検査中常に必要な精度で焦点
合せ可能に制御されるようになっている。
【0035】Xステージ10およびYステージ11は、
図2に破線矢印で示すごとく走査され、その走査速度は
任意に設定することができる。例えば、Xステージ10
を、約0.2秒の等加速時間と、4.0秒の等速運動
と、0.2秒の等減速時間とに設定し、約0.2秒の停
止時間を1/2周期で最高速度約25mm/秒、振幅1
05mmの周期運動をするように形成し、Yステージ1
1を、Xステージ10の等加速時間および等減速時間に
同期してレチクル6を0.5mmづつステップ状にY方
向に移送するように構成すれば、1回の検査時間中に2
00回移送することにすると約960秒で100mm移
送することが可能となり、100mm四方の領域を約9
60秒で走査することができることになる。また、焦点
位置検出用の制御系13は、エアーマイクロメータを用
いるものでも、あるいはレーザ干渉法で位置を検出する
ものでも、さらには縞パターンを投影し、そのコントラ
ストを検出する構成のものでもよい。なお、座標X,
Y,Zは、図に示す方向である。
【0036】図1において、2は第一の照明系、3は第
二の照明系で、両者は独立しており、かつ同一の構成要
素からなっている。21,31はレーザ光源で、両者の
波長は、本例ではレーザ光源21の波長λ1が例えば5
14.5nm、レーザ光源31の波長λ2が例えば53
2nmと異なっているが、一般には同一の波長で良い。
22,32は集光レンズで、レーザ光源21,31から
射出された光束をそれぞれ集光してレチクル6の回路パ
ターン上に照射する。この場合、回路パターンに対する
両者の入射角iは、後述する検出光学系4の対物レンズ
41を避けるため約30°より大きくし、また、被検体
がペリクル7を装着したレチクル6の場合は、ペリクル
7を避けるためにほぼ80°より小さくしなければなら
ないことから、おおよそ30°<i<80°にされる。
【0037】上記第一の照明系2および第二の照明系3
の詳細な構成例を、図3を参照して説明する。図3は第
一の照明系2の構成例を示す図(この場合、第二の照明
系3側は同一構成のため省略している)である。図中、
図1と同符号のものは同じものを示す。図3において、
223は凹レンズ、224はシリンドリカルレンズ、2
25はコリメータレンズ、226は集光レンズで、これ
ら符号223〜226に示す各レンズにより集光レンズ
22を構成している。レーザ光源21は、Y´方向に磁
界ベクトルを持つ直線偏光(この状態をS偏光と呼ぶ)
を有するように配置される。S偏光にするのは、例え
ば、入射角iが約60°の場合、ガラス基板上における
反射率が、P偏光の場合より約5倍程度高い(例えば、
久保田 広著、応用光学(岩波全書)第144頁)から
で、より小さい異物まで検出することが可能になるから
である。
【0038】そして第一の照明系2,第二の照明系3の
照度を高めるため、集光系の開口数(NA)を約0.1
にし、レーザビームを約10μmまで絞り込んでいる
が、この絞り込みにより焦点深度は約30μmと短くな
り、図3に示す検査視野15全域S(500μm)に焦
点を合わせることができなくなる。しかし、本実施例に
おいてはこの対策として、シリンドリカルレンズ224
を図3に示すX´軸回りに傾動させ(図3はすでに傾動
した状態を示す)、例えば、入射角iが60°でも検査
視野15の全域Sに焦点を合わせることが可能になって
おり、後述する信号処理系5の検出器51,551に一
次元固体撮像素子を使用した場合に、検査視野15の検
査領域が検出器51,551と同様に直線状になっても
該直線状の検査領域を高い照度でかつ均一な分布で照明
をすることが可能になる。
【0039】さらに、シリンドリカルレンズ224を図
3に示すX´軸回りに加えて、Y´軸回りにも傾動させ
ると例えば、入射角iが60°で任意の方向から射出し
た場合でも、検査視野15の全域S上を高い照度で、か
つ均一な分布の直線状の照明をすることが可能である。
図1において、4は検出光学系で、検出光学系4は、レ
チクル6に相対する対物レンズ41、対物レンズ41の
結像位置付近に設けられる視域レンズ(以下フィールド
レンズという)43、フィールドレンズ43により集光
された光束の波長分離用のミラー(図示せず)、レチク
ル6の検査視野15に対するフーリエ変換の位置に設け
られた帯状の遮光部とその外部に透過部を有する空間フ
ィルタ44,444、および結像レンズ45,445と
からなっており、レチクル6上の検査視野15を後述す
る信号処理系5の検出器51,551に結像するように
構成されている。フィールドレンズ43は、対物レンズ
41上の上方の焦点位置46を空間フィルタ44,44
4上に結像するものである。
【0040】図1において、5は信号処理系で、信号処
理系5は、前記検出器51,551と、該検出器51,
551の出力を2値化処理する第一および第二の2値化
回路52,552と、論理積回路53と、マイクロコン
ピュータ54と、表示手段55とからなっている。検出
器51,551は、例えば電荷移動形の一次元固体撮像
素子などにて形成され、Xステージ10を走査しながら
レチクル6上の回路パターンからの信号を検出するが、
この場合、レチクル6上に異物が存在していると、入力
する信号レベルおよび光強度が大きくなるため、検出器
51,551の出力も大きくなるように形成されてい
る。なお、前記の如く検出器51,551に一次元固体
撮像素子を用いれば、分解能を維持したまま検出視野を
広くすることができる利点を有するが、これに限定され
ることなく2次元のもの、あるいは、単素子のものでも
使用可能である。
【0041】2値化回路52,552は、2値化のしき
い値が予め設定されており、検出器51,551から出
力された検出したい大きさの異物に相当する反射光強度
以上の出力値が入力された場合に、論理レベル「1」を
出力するように構成されている。シェーディング補正回
路113,123および4画素加算処理回路114,1
24に関しては後述する。ブロック処理回路112は、
2値化回路52,552からの信号をとりこみ、2つの
信号のダブルカウントを防止する回路であるが、これに
関しても後述する。また、マイクロコンピュータ54
は、ブロック処理回路112が、処理レベル「1」を出
力した場合に「異物あり」と判定し、Xステージ10お
よびYステージ11の位置情報、単素子ではない検出器
51,551の場合にその素子中の画素位置から計算さ
れる異物の位置情報および検出器51,551の検出出
力値を異物データとして記憶し、その結果を表示手段5
5に出力するように構成されている。
【0042】つぎに検査装置の作用について、図4ない
し図10および図36を参照して説明する。図4は、本
発明に係るレチクルの検査状況を示す説明図、図5は、
本発明に係る回路パターンの角度パターンを説明する平
面図、図6は、本発明に係るフーリェ変換面上における
散乱光および回折光の分布状況を示す説明図、図7は、
回路パターンのコーナー部を示す拡大図、図8は、異物
からの散乱光検出出力値と回路パターンからの検出出力
値との関係説明図、図9は、微細構造パターンを有する
回路パターンを示す拡大図、図10は、異物および回路
パターンコーナー部から検出される検出信号の出力値レ
ベルを示す図である。図中、図1と同符号のものは同じ
ものを示す。
【0043】図4(A)図において、70は、固定手段
8によりZステージ9上に固定されたレチクル6上の異
物、81は、回路パターン80の直線部分、82は、回
路パターン80のコーナー部である。基板試料に係るレ
チクル6上を第一の照明系2または第二の照明系3によ
って斜方より照射し、発生する散乱光を対物レンズ41
で集光すると、図5に示すレチクル6上の回路パターン
80と照明系2または3のレチクル6面上への投影像6
0との位置関係で定義される角度θが0゜のときの角度
パターン(以下0゜パターンという)の回折光は、対物
レンズ41のフーリエ変換面上では図6(a)に示すよ
うに帯状に表われる。ここで前記回路パターン80の角
度θの種類は、0゜,45゜,90゜の角度パターンに
限られていて、図4に示すように45゜および90゜の
パターンからの回折光(b),(c)は、対物レンズ41
の瞳に入射しないため、検出に影響を及ぼすことがな
い。
【0044】一方、異物70からの散乱光は、方向性が
無いため図6(e)に示すようにフーリエ変換面上の全
面に広がる。このため、フーリエ変換面上に帯状の遮光
部と、その外部に透過部とを有する空間フィルタ44,
444を配置して、図4(A)に示す0゜パターンから
の回折光(a)を遮光することにより、異物70を回路
パターン80と弁別して検出することが可能となる。こ
の構成により高NA検出光学系が初めて実現でき、NA
を0.5に選んだ場合、その開口面積は、低NA検出光
学系の約20倍にもできる。但し、回路パターンコーナ
ー部分(図4(D)参照)からの散乱光は、直線状の空
間フィルタでは十分に遮光しきれない。このため従来の
ような10×20μm2の検出画素で検出を行った場合
(図4(B)参照)、4画素中に複数のパターンコーナ
ー部分からの散乱光が入射してしまい、異物だけを検出
することができない。
【0045】そこで本発明では、検出器の画素を2×2
μm2にまで高分解能化し(図4(C)参照)、回路パ
ターンからの影響を極力排除し、0.5μmの異物検出
を可能とした。またここで、検出器の画素を2×2μm
2と設定したが、この理由は以下に述べるものであり、
必ずしも2×2μm2である必要はない。この場合の画
素寸法は、レチクル上の最もパターン寸法Lよりも小さ
ければ良い。したがって、0.8μmプロセスLSIを
縮小率1/5のステッパで露光する場合のレチクルで
は、概ね0.8×5=4μm、0.5μmプロセスLS
Iでは概ね0.5×5=2.5μmよりも小さい画素で
検出すれば良い。
【0046】また、実際にはパターンコーナーからの影
響を十分に小さくできる値であれば、さらに大きくても
小さくても良い。具体的には、検査対象となるレチクル
上の最小パターン寸法程度が望ましい。この最小パター
ン寸法程度の大きさであれば、検出器の1画素に2個未
満のコーナーのみが入ることになり図10に示した実験
によってもこの値で十分である。さらに具体的には最小
寸法が1.5μm程度の64MDRAM用レチクルで
は、1〜2μm程度の画素寸法が望ましい。
【0047】上記内容を図7を用いて再度説明を試み
る。図7(A)に示す回路パターン80の交差部分にで
きるコーナー部82は、該部アを微視的に見た図7
(B)に示すように連続的な角度のコーナー820で構
成されているため、コーナー部82からの回折光(d)
もフーリエ変換面上で広がる傾向があり、空間フィルタ
44,444により完全に遮光することができず図6
(d)に示すようになる。このため、一つの検出器51
または551に複数のコーナー部82からの回折光が入
射すると、検出器51または551の出力Vが増大し
て、異物70との弁別検出ができなくなる。
【0048】図8はこの状態を示したもので、複数のコ
ーナー部82からの検出出力値822が単一のコーナー
部82からの検出出力値821に比べて高い値になり、
図に示す点線90のレベルで2値化したのでは、異物7
0からの検出出力値701を分離して検出することがで
きないことを示している。上記図8にて説明した不具合
点の対策として、本発明では、レチクル6上の検査視野
15を対物レンズ41、結像レンズ45,445等を介
して検出器51,551に結像するように構成し、検出
器51,551の寸法と結像倍率を選択することによ
り、レチクル6面上における検出視野15を任意の寸法
(例えば2μm×2μm)に設定し、簡易な検出光学系
4でありながら複数のコーナー部82からの回折光が検
出器51,551に同時に入射しないようにしている。
【0049】しかし、前記従来の寸法の異物では検出が
できても、サブミクロンオーダーの異物の検出において
は、回路パターン80の形状によっては一部のコーナー
部82との分離検出が不十分であり、また、LSIの高
集積化により、回路パターン80の通常の構造部分の寸
法83よりも微細な図9に示すようなミクロンオーダー
の寸法84を有する回路パターンから発生するような回
折光は、異物70からの散乱光と挙動がさらに類似して
来ているため、異物70を回路パターンから分離して検
出することが一層難しくなってきている。
【0050】本発明は、上記図9に示すようなミクロン
オーダーの寸法84を有する回路パターンに対しても、
以下に説明する対策を有し異物を検出することができる
ようにしている。図10はその説明図で、図中、70
1,702はサブミクロンオーダーの微小の異物70か
らの散乱光検出出力値、864,874,865,87
5,866,876,867,877は、0゜,45
゜,90゜の各回路パターンで形成されるすべてのコー
ナー部82からの回折光の検出出力値、861,87
1,862,872,863,873は、ミクロンオー
ダーの寸法84を有する微細構造回路パターンからの回
折光の検出出力値をそれぞれ示す。このうち、701,
861,862,863,864,865,866,8
67は、第一の照明系2による検出出力値を、また、7
02,871,872,873,874,875,87
6,877は、第二の照明系3による検出出力値を示
す。
【0051】例えば861←→871は、回路パターン
の同一位置における照明系別の検出出力値で、861が
第一の照明系2による値、871が第二の照明系3によ
る値を示す。また、異物70は、図からもわかるよう
に、回路パターンに比べて照射方向による散乱光の検出
出力値の変動は小さい。なお、図中の破線91は、検出
出力値のしきい値を示す。上記図10から、同一の回路
パターンでも照射される方向により回折光の出力が大き
く異なることが判明し、しかも、レチクル6面上を18
0°方向をずらした対向する2方向の斜方から照明した
場合、いずれか一方の側の回折光の出力値は、図中●印
で示すように、サブミクロンオーダーの異物からの出力
値よりも必ず小さいことが分かる。
【0052】図36は、本発明のさらに他の実施例に係
る異物検査装置の構成を示すブロック図である。図中、
図1と同一符号のものは同等部分であるから、その説明
を省略する。図36の装置では、レチクル6面上の同一
位置からの上記各出力値を、波長分離フィルター47に
より検出器51と651とに分けて別個に検出し、前記
●印で示した値の小さい方の検出出力値を採用し、2値
化回路52と652とにより2値化した後、論理積回路
53で論理積をとり、サブミクロンオーダーの異物70
のみを回路パターン80から分離して検出することを可
能にしたものである。
【0053】図10に示すように、2値化回路52と6
52にしきい値91を設定すると、しきい値91以上の
値は、異物70の検出出力値701,702と、回路パ
ターンの検出出力値861,863,874,875と
になるが、これら回路パターンからの2値化出力は、2
値化回路52または552のいずれか一方からのみの出
力となるため、論理積回路53からは出力されず、した
がって、異物70のみを回路パターンから分離して検出
することができる。そして、検出時のXステージ10お
よびYステージ11の位置情報のほか、検出器51,6
51が単素子でない場合には、その素子中の画素位置か
ら計算される異物70の位置情報および検出器51,6
51の検出出力値が、異物データとしてマイクロコンピ
ュータ54が管理するメモリに記憶されるとともに、該
記憶内容が演算処理されてCRT等の表示手段55に表
示される。
【0054】図11は、従来技術で見逃した異物の実施
例を示す説明図、図12は、従来技術の課題を説明する
ための図、図13は、従来技術の課題を説明するための
図である。図11(A)ないし(C)に示すこれらの異
物は寸法的に本来なら検出されるべき寸法の異物であ
る。本発明では、これら従来技術における見逃しのメカ
ニズムについて検討を加え、新規な構成による異物検査
方式を提案する。
【0055】図12に従来装置での問題点について示す
レチクル上の異物検査装置においては、レチクル上に形
成された回路パターンからの回折光を除去し、異物から
の散乱光だけを検出する方式が、技術の重要なポイント
となる。そのため、散乱光の偏光状態を解析する方式、
複数の検出器の出力を比較する方式などが開発・実用化
されている。しかし、そのいずれもが回路パターンから
発生する散乱光の影響を避けるため、NA0.1程度の
開口の小さな光学系を回路パターンからの散乱光を避け
た斜方に配置している。このような構成では、後で述べ
る理由により、不規則な形状の異物を見逃しやすいとい
う問題を生ずる。ここで用いたNAとは、レンズの開口
径と対象物体までの距離で決まる、レンズの特性を表現
する数値で、具体的には図12の右側に示す図中のθを
用いて、NA=sinθで求められる数値である。
【0056】もう一つの問題点は、回路パターンの微細
化に対応し、各種検査技術で補助的に用いられだしたパ
ターン除去技術である。これらの多くは、検査中に回路
パターンを見つけると、自動的に異物検出器の検出感度
を下げる方式をとっている。このような方式には、回路
パターンの誤検出を減らす一方でパターンエッジ近傍の
異物を見逃してしまう問題が発生する。それでは、以下
に、これらの2つの問題点に対する、本発明の解決対策
を述べる。
【0057】図14は、本発明に係る高NA光学系を用
いて異物から散乱光を検出した説明図、図15は、図1
に示す装置の主要部を示す構成図、図16は、検出異物
寸法に対する検出異物箇数を本は明と従来技術との各々
の場合について示した柱状グラフ、図17は、図16の
検出異物を異物の付着位置別に分類した結果を示す柱状
グラフである。図14中の画像1004,1005は、
異物へレーザを照射したときに発生する散乱光を上方よ
り観察したものである。この画像で注目すべきことは、
異物からの散乱光(e)が方向性をもって分布している
ことである。このため、破線で示す従来型の低NA検出
器1001では、検出器の設置位置を適正にしないと、
異物から発生する散乱光(e)がうまい具合に低NAの
光学系に入射するとは限らず、見逃しが発生する。しか
も、これらの散乱光の分布の具合は異物の大きさや形状
により異なるため、すべての異物に対し、低NAの光学
系を適正に配置することは事実上不可能である。
【0058】このことを実験的に測定した結果を図13
に示す。異物を入射角60°のレーザ光で照明した場合
の散乱光分布を、NAの低い(NA≒0.1)検出光学
系1001,1002で検出角を変えながら、上記異物
からの散乱光レベルを測定して示した。この図は、点A
1001では検出レベルが検出しきい値を越えているの
に対し、点B1002では検出しきい値を越えず検出で
きないことを示している。実異物の散乱光分布は一定し
ていないため、A,Bのような低開口数の検出方式では
検出性能が安定しないことを示す。
【0059】そこで本発明では、開口の大きな高NA検
出光学系41により様々な散乱分布を持つ異物からの散
乱光を有効に集光することを開発した。図15に示すよ
うに、レーザ21、集光レンズ22、対物レンズ41、
フィールドレンズ43、空間フィルタ44、結像レンズ
45、検出器51で構成された装置により、レチクル6
上の異物70を検出する際の本発明の効果を図16に示
す。図16では、5枚のレチクルで検出された異物個数
の合計を縦軸に、検出された異物の寸法を横軸に示して
いる。また、異物のうち従来技術でも検出された異物に
ついては色を変えて示している。
【0060】従来技術の検出能力は、0.8μmとされ
ていた。このため、1μmより小さい異物の領域で検出
能力に本発明との差が存在するのは理解できる。しか
し、1μmより大きな異物の領域においても、本発明
は、大幅な検出個数の向上が見られている。その検出率
は、従来技術の検出個数の比で約10倍にもなる。これ
は本発明が採用した高NA検出光学系が不規則な形状の
異物に良く対応し、異物からの散乱光を安定して検出し
ているためと考えられる。
【0061】次に回路パターンエッジに付着していた異
物に対する検出状況について説明する。図16の検出異
物を異物の付着位置別に分類した結果を図17に示す。
付着位置は、レチクルの回路パターン面を、ガラス部分
(透過部分)とクロム部分(遮光部分、遮光部分はクロ
ム等の金属薄膜で形成されることが多い)、そして両者
の境界部分であるエッジ部分の3領域に分類した。この
うちエッジ部分は最も異物付着の影響を大きく受け、ク
ロム部分の異物はクロム部分上に留まる限り転写に影響
を及ぼさない。転写に最も影響を及ぼす、すなわち、最
も検出の必要性を有するエッジ部の異物に対する検出性
能が向上していることは図17から明らかである。
【0062】ここで述べたクロム部分上の異物を問題に
しないという発想を用いると、図18のような構成でも
可能になる。図18は、本発明の他の実施例に係る異物
検査装置の要部構成図である。図18の例では、レーザ
21、集光レンズ22からなる照明系の配置は図15の
例と同様であるが、対物レンズ41、フィールドレンズ
43、空間フィルタ44、結像レンズ45からなる検出
光学系と検出器51とは、レチクル6の回路パターン8
0が形成された面の裏面側に配設されたものである。こ
の場合、クロム部分上の異物の検出を行うことはできな
いが、転写不良に影響する、ガラス部分、エッジ部分の
異物からの散乱光は透明な基材であるレチクル6を通し
て行うことができる。
【0063】この構成の利点としては、図19に示すよ
うな断面を持ったレチクルへの対応がある。図19は、
本発明に係る位相シフタ膜付きレチクルからの散乱光,
回折光を示す説明図、図20は、本発明のさらに他の実
施例に係る異物検査装置の要部構成図である。図19中
のレチクルでは、クロム部分間に、転写解像度の向上を
目的とした位相シフタ膜によるパターン(シフタパター
ン)1003が設けられている。この膜は、透明だが、
クロム部分(厚さ0.1μm程度)の数倍の大きさの構
造を有しているため、そのエッジ部1006からの回折
光は、クロム部分のエッジ部からの回折光と比較して大
きなものとなる。
【0064】しかし、図18のように検出光学系を下方
に設けた構成では、シフタパターン1003から発生す
る回折光は、レチクル自身のクロム部分に遮光され、検
出光学系には入射せず、異物の検出に影響を及ぼさな
い。また、ここでは、レチクルと照明系2および対物レ
ンズ41を図に示した配置にしているが、本発明の目的
は、クロム部分上に配置された位相シフタ膜によるパタ
ーン1003のエッジ部1006からの散乱光をクロム
部分を利用して遮光すれば、達成できるものである。し
たがって、照明系2、対物レンズ41がレチクル6に対
して、それぞれ反対側にあれば良いため図20の構成あ
っても良い。ただし、シフタパターン1003は厚みが
あるため、斜方照明の場合、図20の構成では、照明で
きない部分1007が生じるため、図18の構成の方が
好ましい。
【0065】また、照明系および光学検出系をそれぞれ
回路パターン面の裏側に配置した図34の構成であって
も同等の効果が得られる。図34は、本発明のさらに他
の実施例に係る異物検査装置の要部構成図である。先
に、検査対象にクロム部分を含まないと述べたが、図1
のような構成にして表面,裏面の散乱光を2系統の光学
検出系で検出を行うと、ある程度の性能で、クロム部分
上を含む全面の検査が可能となる。
【0066】図35は、本発明に係る、標準粒子および
回路パターンコーナ部からの散乱光を検出した検出器の
出力を示した線図である。すなわち、図35には、表面
検出系(図1中の4)・裏面検出系(図1中の40)に
よるモデル異物である標準粒子と回路パターン(クロム
部分のエッジ部)およびシフタパターンからの散乱光検
出出力を示した。図35では、横軸に粒子径、縦軸に散
乱光検出出力を示し、図中に横線で示した回路パターン
および位相シフタ膜からの散乱光検出出力のレベルをこ
える粒子が検出可能な粒子である。同図から、クロム部
分上の標準粒子からの散乱光は、ガラス部分上の標準粒
子の数倍の出力を出し、特に0.8ミクロン以上のそれ
は位相シフタ膜からの散乱光のレベルよりも大きくなる
ことが分かる。
【0067】すなわち、位相シフタの影響を受けるクロ
ム部分上の異物でも0.8ミクロン以上の粒子に関して
は検出が可能である。そこで本発明では、図1のごと
く、ガラス部分上の異物を裏面検出系が担当し、クロム
部分上の異物を表面検出系が担当するような構成にし、
クロム部分上から他の部位へ移動する可能性のある異物
の検出もできるようにした。またクロム部分上の異物検
出へのニーズには以下のような場合もある。先に述べた
クロム部分上の異物を許容する考え方は、露光時に主と
して成立する。しかし、位相シフト膜付きのレチクルの
製造工程においては、クロム部分上の異物が問題となる
場合がある。
【0068】位相シフト膜付きのレチクルは、一般に、
クロム部分の形成後(ここまではシフタ膜のないレチク
ルと同じプロセスである)、全面にシフタ膜材料を塗布
またはスパッタにより成膜し、エッチングプロセスによ
ってシフタ膜によるパターン(シフタパターン)を形成
するものである。そこで、成膜前にクロム部分上に異物
が存在すると、成膜に悪影響を及ぼし、シフタ膜に気泡
や欠け等の欠陥を発生させる場合がある。このため、こ
れまでに述べたシフタパターン形成後の異物検査の他
に、成膜の前後にクロム部分上を含む全面の異物検査
(本発明の方式では気泡や欠け等の欠陥も異物と同様に
検出できる)を行なう必要がある。ただし、この場合は
シフタパターンは形成前であり、シフタパターンからの
散乱光は発生しないため、本発明の図1のごとく表面検
出系を備えておけば、高感度に全面を検出することがで
きる。
【0069】また、特にアレイ型の検出器において、異
物の検出,判定を画素単位で行なった場合、以下のよう
な不都合が生ずる。図25は、4画素加算処理を行わず
に2×2μm2画素で異物を検出した場合の説明図、図
26は、4画素加算処理によって1×1μm2画素で異
物の検出を行なった説明図、図27は、4画素加算処理
を適用しない場合の本発明の異物の検出再現性の例を示
した柱状グラフ、図28は、4画素加算処理回路の一例
を示すブロック図である。2×2μm2の検出器の画素
寸法で異物の検出,判定を行なった場合を例にすると、
図25に示すごとく、異物が複数(2から4個)の画素
間にまたがって検出される条件では、異物からの散乱光
も複数の画素に分散してしまい、結果として1つの画素
の検出出力は1/2〜1/4(実際には検出器画素間の
クロストークの影響で1/3程度)にまで低下してしま
い、異物の検出率が低下する。
【0070】また、検出器の画素と微小な異物との位置
関係は、その寸法から大変微妙であり、毎回の検査で変
化する。この場合、同一試料でも検査ごとに結果が異な
り、検出の再現性が低下する。そこで、今回は図26に
示すごとく、検出画素を1×1μm2に縮小して行い、
各画素の隣接する4つの1×1μm2画素の検出出力を
電気的に加算し、2×2μm2画素による検出出力をシ
ミュレートする。これを1μmづつ重複して求め(図中
でa,b,c,d)、最大値(図中でa)を2×2μm
2画素による代表出力として異物の検出判定を行うよう
にした。これにより、同一異物からの検出出力の変動は
実績で±10%におさまり、全ての異物に対して検出再
現性80%以上を確保できる。
【0071】図16は、4画素加算処理回路を適用した
場合の結果(検出再現性80%以上)である。適用前の
検出再現性の例を図27に示すが、4画素加算処理を行
わないと、検出再現性が十分確保されないことが明らか
である。図28に4画素加算処理回路の具体例のブロッ
ク図を示す。これは、1μmに縮小した場合の画素を5
12画素並べた1次元型撮像素子で、1次元型撮像素子
の奇数番目の画素からの出力2503と偶数番目の画素
の出力2502がそれぞれ別々に出力される(一般的
な)1次元型撮像素子による例である。256段シフト
レジスタ2501と1段シフトレジスタ2504と加算
器2505〜2508により縮小した1画素(1μm)
づつ4方向にシフトした4画素(2×2画素)を加算
し、除算器2509〜2512により各々の平均値の平
均値を求める。そして最大値判定回路2513により4
方向の内の最大値を求め、異物からの検出値2514と
して出力する。
【0072】本方式では、光学的な処理により異物のみ
を明るく顕在化し、検出を行うため、設定されたしきい
値から検出された信号が大きい場合に「異物あり」と判
定(2値化)して異物の検出が可能である。しかし、検出
信号には、1次元撮像素子検出器の各画素ごとの感度
特性のばらつき(±15%程度)および照明光源の照度
分布に起因する感度ムラ(シェーディング)が存在する。
図29は、シエーディングによる異物検出への影響を示
した線図、図30は、シエーディングの原理を示した線
図、図31は、シエーディングの補正回路の例のブロッ
ク図である。シエーディングの存在により図29に示す
ように、同一異物でも検出する画素(Y方向の位置)によ
り検出信号の大きさが異なり、しきい値による2値化で
異物を安定に検出することは不可能である。
【0073】本発明では、図30に示すように、予め図
1の標準試料111にて、上記とを含んだシェーデ
ィングを測定(a)し、この測定データの逆数を演算し
たシェーディング補正データ(b)を求め、これにより
検出器検出信号の増幅器ゲインを各画素ごとに変化さ
せ、シェーディングの影響を無くして(c)異物を検出
している。標準試料111は、図1の検査ステージ上に
載置あるいは検査ステージの近傍に設置されるが、シェ
ーディング測定時だけレチクルに代えて試料台に載置さ
れる構成も可能である。標準試料111は、微小凹凸表
面で、均一な散乱特性を有する必要があり、ガラス基板
を研磨し微細な加工痕を付けたものや微小な凹凸のでき
る薄膜(例えばアルミニウムをスパッタ処理で基板上に
成膜したもの)を付けたものを用いる。ただし、標準試
料111上の微小凹凸を画素1×1μm2に対して均一
に加工することは現実的には困難である。そこで、シェ
ーディングの測定を多数回(たとえば1000回)繰り
返した平均値から補正データを求めた。
【0074】また、微小凹凸からの散乱光には強弱のム
ラがあるため、単純な平均値(たとえば1000回の繰
返しデータを1000で割ったもの)では、その値が小
さくなりすぎて、演算の精度が低下する場合がある。こ
のような条件では、割る値を繰返し回数の数分の1(例
えば1000回の繰返しで200)にすれば良い。図3
0に示すように、補正前のシェーディング(a)および
補正後(b)を比較すると、補正前には50%程度存在
したシェーディングが5%以下に補正されている様子が
わかる。なお、上記補正データを毎回の検査ごとに再測
定,更新すれば、照明,光学検出系等が時間的に不安定
でも、光学的な変動成分を除去することができる。
【0075】図31にシェーディング補正回路の具体例
のブロック図を示す。1次元撮像素子の検出値をA/D
変換(ここでは256階調、8bit)した値3212
から1次元撮像素子の暗電流部分の値を、各画素ごとに
同期回路3205により制御されるメモリ3206から
のデータによって減算する減算回路3209と、シェー
ディング補正倍率を、各画素ごとに同期回路3205に
より制御されるメモリ3207からのデータによって乗
算する乗算回路3210と、1次元撮像素子の検出値を
A/D変換(ここでは256階調、8bit)した値3
212の2倍のbit数(ここでは16bit)になっ
た乗算結果をもとのbit数(ここでは8bit)に戻
す中位bit出力回路3211からなる。同図からも判
るように本例は、デジタル回路によって補正を行う例で
あるが、A/D変換前にアナログ的に補正を行なっても
同様の結果が得られる。
【0076】異物判定を例えば2×2μm2の画素単位
で行なっている場合、2μm以上の大きさの異物が存在
した場合、異物を検出した画素の数は、実際の異物の個
数と異なることになる。仮に10μmの異物が1個存在
した場合、(10μm/2μm)2=25個程度の画素数
で検出されることになり、このままでは、検出した異物
を観察しようとした場合、25個検出結果全てを確認す
る必要があり、不都合が生じる。従来は、ソフトウェア
的に、異物を検出した画素間の連結関係を調べ、画素が
隣接している場合には、「1個の異物を検出した」と判
断するグルーピング処理機能によりこの不都合を回避し
ていた。しかしこの方法では、ソフトウェア的な処理を
必要とするため、検出信号が多数の場合に処理に多大な
時間(例えば検出信号1000個で約10分)を要し新
たな不都合を生じる。
【0077】そこで本発明では、全検査領域を1度に観
察のできる視野範囲(例えば32×32μm2)のブロ
ックに分割し、同一のブロック内の検出信号をすべて同
一の異物として判定(ブロック処理)するようにした。
これにより、大きな異物でもその形状に関係無く、1度
で視野範囲内に収めて、観察,確認が可能となる。ブロ
ック処理は、機能からすると簡易なグルーピング処理で
あるが、ハードウェア化が容易であるという特徴を有す
る。本発明では、ブロック処理のハードウェア化により
処理が実時間で行われ、検査時間を含めた装置のスルー
プットを大幅(検出信号1000個の場合、従来比で2
/3以下)に向上できる。
【0078】図32は、ブロック処理回路の一例のブロ
ック図を示す。図32の例の場合、同一異物の判定だけ
ではなく、判定の根拠となった検出信号の個数を予め設
定された大/中/小のしきい値により分類してカウント
することができ、またブロック内の検出信号の最大値も
知ることができる。これらのデータから、異物のおおよ
その大きさや、複数の異物が同一ブロックに含まれてい
る状況などが推定できるように工夫されている。また、
異物が検出された信号の数が予め設定された個数になる
と検査の中止信号を出力する回路も組み込まれている。
【0079】図33は、シェーディング補正回路,4画
素加算処理回路,ブロック処理回路の関係の例を示すブ
ロック図である。すなわち、検出器信号3301は、A
/D変換器3302を経て、シェーディング補正回路3
303,4画素加算処理回路3304,ブロック処理回
路3305の各処理が行なわれたのち、異物検出結果3
306を出力する。
【0080】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、回路パターンを有する透明または半透明の基板、
特に転写解像度の向上を図った位相シフト膜を有するレ
チクル等の回路パターン上に付着したサブミクロンオー
ダーの微細な異物を、主として光学的な簡単な構成で、
容易に安定して回路パターンから分離して検出すること
ができる異物検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る異物検査装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置におけるレチクルの検査状況を示す
平面図である。
【図3】図1の装置における照射系の構成例を示す説明
図である。
【図4】本発明に係るレチクルの検査状況を示す説明図
である。
【図5】本発明に係る回路パターンの角度パターンを説
明する平面図である。
【図6】本発明に係るフーリエ変換面上における散乱光
および回折光の分布状況を示す説明図である。
【図7】回路パターンのコーナー部を示す拡大図であ
る。
【図8】異物からの散乱光検出出力値と回路パターンか
らの検出出力値との関係説明図である。
【図9】微細構造パターンを有する回路パターンを示す
拡大図である。
【図10】異物および回路パターンコーナー部から検出
される検出信号の出力値レベルを示す図である。
【図11】従来技術で見逃した異物の実施例を示す説明
図である。
【図12】従来技術の課題を説明するための説明図であ
る。
【図13】従来技術の課題を説明するための説明図であ
る。
【図14】本発明に係る高NA光学系を用いて異物から
の散乱光を検出した説明図である。
【図15】図1に示す装置の主要部を示す構成図であ
る。
【図16】検出異物寸法に対する検出異物箇数を本発明
と従来技術との各々の場合について示した柱状グラフで
ある。
【図17】図16の検出異物を異物の付着位置別に分類
した結果を示す柱状グラフである。
【図18】本発明の他の実施例に係る異物検査装置の要
部構成図である。
【図19】本発明に係る位相シフタ膜付レチクルからの
散乱光,回折光を示す説明図である。
【図20】本発明のさらに他の実施例に係る異物検査装
置の要部構成図である。
【図21】異物からの散乱光強度の理論値をレーザ光の
波長λ,異物の粒径Dによる無次元数πD/λについて
示した図である。
【図22】異物からの回折光の方向を示す説明図であ
る。
【図23】光学系のNAの定義を示した説明図である。
【図24】異物からの散乱光強度に比例する散乱光断面
積を異物径に対して示した線図である。
【図25】4画素加算処理を行わずに2×2μm2画素
で異物を検出した場合の説明図である。
【図26】4画素加算処理によって1×1μm2画素で
異物の検出を行なった説明図である。
【図27】4画素加算処理を適用しない場合の本発明の
異物の検出再現性の例を示した柱状グラフである。
【図28】4画素加算処理回路の例のブロック図であ
る。
【図29】シェーディングによる異物検出への影響を示
した線図である。
【図30】シェーディングの原理を示した図である。
【図31】シェーディング補正回路の例のブロック図で
ある。
【図32】ブロック処理回路の例のブロック図である。
【図33】シェーディング補正回路,4画素加算処理回
路,ブロック処理回路の関係の例を示したブロック図で
ある。
【図34】本発明のさらに他の実施例に係る異物検査装
置の要部構成図である。
【図35】本発明に係る、標準粒子および回路パターン
コーナ部からの散乱光を検出した検出器の出力を示した
線図である。
【図36】本発明のさらに他の実施例に係る異物検査装
置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 検査ステージ部 2 第一の照明系 3 第二の照明系 4 検出光学系 5 信号処理系 6 レチクル 9 Zステージ 10 Xステージ 11 Yステージ 21,31、 レーザ光源 44,444 空間フィルタ 51,551,651 検出器 52 第一の2値化回路 552 第二の2値化回路 53 論理積回路 70 異物 80 回路パターン 111 標準試料 112 ブロック処理回路 113 第一のシェーディング補正回路 123 第二のシェーディング補正回路 114 第一の4画素加算処理回路 124 第二の4画素加算処理回路 223 凹レンズ 224 シリンドリカルレンズ 225 コリメータレンズ 226 集光レンズ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回路パターンを有する透明または半透明
    の基板試料上に付着した異物を、少なくとも、基板試料
    を照射する照明系と、照射された検査領域を検出器上に
    結像する光学系とを用いて検出する異物検査装置におい
    て、 前記基板試料を載置してX,Y,Zの各方向へ任意に移
    動可能なステージおよびその駆動制御系からなる検査ス
    テージ部と、 前記基板試料の回路パターンが形成された面の表面を斜
    方から照射する照明系と、 該照明系の照射により前記基板試料の上に発生する散乱
    光および回折光を、回路パターンが形成された面の裏面
    から前記透明または半透明の基板試料を通して光学系に
    より集光し、該光学系のフーリエ変換面上に設けた空間
    フィルタにより前記回路パターンの直線部分からの回折
    光を遮光して検出器上に結像させる検出光学系と、 前記検出器の出力をしきい値を設定した2値化回路によ
    り2値化し、前記基板試料上の異物データを演算表示す
    る信号処理系とを備えたことを特徴とする異物検査装
    置。
  2. 【請求項2】 回路パターンを有する透明または半透明
    の基板試料上に付着した異物を、少なくとも、基板試料
    を照射する照明系と、照射された検査領域を検出器上に
    結像する光学系とを用いて検出する異物検査装置におい
    て、 前記基板試料を載置してX,Y,Zの各方向へ任意に移
    動可能なステージおよびその駆動制御系からなる検査ス
    テージ部と、 前記基板試料の回路パターンが形成された面を回路パタ
    ーンが形成された面の裏面から前記透明または半透明の
    基板試料を通して斜方から照射する照明系と、 該照明系の照射により前記基板試料の上に発生する散乱
    光および回折光を、回路パターンが形成された面の表面
    から光学系により集光し、該光学系のフーリエ変換面上
    に設けた空間フィルタにより前記回路パターンの直線部
    分からの回折光を遮光して検出器上に結像させる検出光
    学系と、 前記検出器の出力をしきい値を設定した2値化回路によ
    り2値化し、前記基板試料上の異物データを演算表示す
    る信号処理系とを備えたことを特徴とする異物検査装
    置。
  3. 【請求項3】 回路パターンを有する透明または半透明
    の基板試料上に付着した異物を、少なくとも、基板試料
    を照射する照明系と、照射された検査領域を検出器上に
    結像する光学系とを用いて検出する異物検査装置におい
    て、 前記基板試料を載置してX,Y,Zの各方向へ任意に移
    動可能なステージおよびその駆動制御系からなる検査ス
    テージ部と、 前記基板試料の回路パターンが形成された面を回路パタ
    ーンが形成された面の裏面から前記透明または半透明の
    基板試料を通して斜方から照射する照明系と、 該照明系の照射により前記基板試料の上に発生する散乱
    光および回折光を、回路パターンが形成された面の裏面
    から前記透明または半透明の基板試料を通して光学系に
    より集光し、該光学系のフーリエ変換面上に設けた空間
    フィルタにより前記回路パターンの直線部分からの回折
    光を遮光して検出器上に結像させる検出光学系と、 前記検出器の出力をしきい値を設定した2値化回路によ
    り2値化し、前記基板試料上の異物データを演算表示す
    る信号処理系とを備えたことを特徴とする異物検査装
    置。
  4. 【請求項4】 回路パターンを有する透明または半透明
    の基板試料上に付着した異物を、少なくとも、基板試料
    を照射する照明系と、照射された検査領域を検出器上に
    結像する光学系とを用いて検出する異物検査装置におい
    て、 前記基板試料を載置してX,Y,Zの各方向へ任意に移
    動可能なステージおよびその駆動制御系からなる検査ス
    テージ部と、 前記基板試料の回路パターンが形成された面を回路パタ
    ーンが形成された面の裏面から前記透明または半透明の
    基板試料を通して斜方から照射する照明系と、 該照明系の照射により前記基板試料の上に発生する散乱
    光および回折光を、回路パターンが形成された面の裏面
    から第一の光学系により集光し、該第一の光学系のフー
    リエ変換面上に設けた空間フィルタにより前記回路パタ
    ーンの直線部分からの回折光を遮光して第一の検出器上
    に結像させる第一の検出光学系と、 前記第一の検出器の出力をしきい値を設定した第一の2
    値化回路により2値化して異物データを作成する第一の
    信号処理系と、 回路パターンが形成された面の表面から第二の光学系に
    より集光し、該第二の光学系のフーリエ変換面上に設け
    た空間フィルタにより前記回路パターンの直線部分から
    の回折光を遮光して第二の検出器上に結像させる第二の
    検出光学系と、 前記第二の検出器の出力をしきい値を設定した第二の2
    値化回路により2値化して異物データを作成する第二の
    信号処理系と、 前記基板試料上の異物データを演算表示する表示処理系
    とを備えたことを特徴とする異物検査装置。
  5. 【請求項5】 回路パターンを有する透明または半透明
    の基板試料上に付着した異物を、少なくとも、基板試料
    を照射する照明系と、照射された検査領域を検出器上に
    結像する光学系とを用いて検出する異物検査装置におい
    て、 前記基板試料を載置してX,Y,Zの各方向へ任意に移
    動可能なステージおよびその駆動制御系からなる検査ス
    テージ部と、 前記基板試料の回路パターンが形成された面を回路パタ
    ーンが形成された面の表面の斜方から照射する照明系
    と、 該照明系の照射により前記基板試料の上に発生する散乱
    光および回折光を、回路パターンが形成された面の裏面
    から第一の光学系により集光し、該第一の光学系のフー
    リエ変換面上に設けた空間フィルタにより前記回路パタ
    ーンの直線部分からの回折光を遮光して第一の検出器上
    に結像させる第一の検出光学系と前記第一の検出器の出
    力をしきい値を設定した第一の2値化回路により2値化
    して異物データを作成する第一の信号処理系と、 回路パターンが形成された面の表面から第二の光学系に
    より集光し、該第二の光学系のフーリエ変換面上に設け
    た空間フィルタにより前記回路パターンの直線部分から
    の回折光を遮光して第二の検出器上に結像させる第二の
    検出光学系と、 前記第二の検出器の出力をしきい値を設定した第二の2
    値化回路により2値化して異物データを作成する第二の
    信号処理系と、 前記基板試料上の異物データを演算表示する表示処理系
    とを備えたことを特徴とする異物検査装置。
  6. 【請求項6】 検出光学系は、開口数(NA)を0.4
    〜0.6に構成したことを特徴とする請求項1ないし5
    記載のいずれかの異物検査装置。
  7. 【請求項7】 信号処理系は、検出器の検出値を照明む
    らに合わせて補正する回路と、2×2画素の検出値の加
    算値を求める回路および検出器画素の周囲4方向へ1画
    素づつシフトした4つの加算値の最大値を求める回路
    と、検出結果を試料上を数百画素ごとにブロック分けし
    たメモリへ収納する回路とからなることを特徴とする請
    求項1ないし5記載のいずれかの異物検査装置。
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