JPH0579953A - 試料採取供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、密栓した採血管内の圧力が陰圧，陽
圧いずれの場合でも試料がコンタミすることなく、吸引
採取し吐出供給する装置の提供を目的とする。 【構成】一本一重構造の吸引針３とそれにつづくサンプ
リング流路１７、そしてそこから分岐する等圧調節用通
気路１６、さらに通気路１６から分岐する洗浄流路から
なる試料採取供給装置において、各流路上の弁４〜９を
開閉することで流路制御を行なう。その結果、採血管内
部の圧力を外気圧と等圧にした後、試料を吸引採取、吐
出供給することができ、さらにサンプリング流路と通気
路を同時に洗浄することで密栓した採血管内の圧力が陰
圧，陽圧いずれの場合でも試料がコンタミすることな
く、一連の試料採取供給を行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、試料の入った容器から
試料の採取を行う装置、例えば臨床検査分野におけるゴ
ムキャップをした試験管（採血管）からの、血清や血液
などの検体の採取を行うサンプリング機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】看護婦、医師らによる採血作業の簡便
化、及び臨床検査分野における血液検体取り扱い時の感
染防止への配慮から、近年ゴムキャップ付きの真空採血
管が広く普及している。真空採血管を用いた採血方法
は、まず両方向に針先をもつ針の一方の針先を血管に刺
し、次にもう一方の針先に真空採血管を繋げることで採
血するものである。

【０００３】真空採血管内部は採血終了後でも若干の陰
圧が保持され、このことが後で試料採取時支障をきたす
ことから、採血管内部の圧力を外気圧と等圧にすること
は極めて重要である。このため従来技術には、例えば特
開昭58−76768 号公報に記載された二重管状の吸引針を
突き刺し試料を吸引する装置や、特開平3−31392号公報
に記載された二本の針状の細管（試料用，空気用）によ
って貫通される吸引装置が提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術には以下
の様な問題点がある。採血後、開栓しなければ採血管内
は陰圧を保ちつづけるが、一旦開栓後再び栓をして次の
検査項目に備えると、採血管内部の圧力は陽圧に転じて
しまう。すなわち上記従来技術の問題点は、採血管内部
の圧力が陽圧のときの試料採取に対する配慮が成されて
おらず、等圧調節用通気路へ付着する血液からのコンタ
ミに問題を残していることである。

【０００５】また、二重管状の吸引針は構造が複雑で作
りにくく、二本の針状の吸引針同様密栓に突き刺すとき
の抵抗が大きい点である。

【０００６】従って本発明の目的は、密栓した採血管内
の圧力が陰圧，陽圧いずれの場合でも試料がコンタミす
ることなく吸引採取し吐出供給する装置を提供すること
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、一本の吸引針（サンプリング流路）とそこから分岐
する等圧調節用通気路、さらに通気路から分岐する洗浄
流路の各流路上の弁を開閉することにより、採血管内部
の圧力を外気圧と等圧にした後、試料を吸引採取，吐出
供給後、サンプリング流路と通気路を同時に洗浄するこ
とで一連の試料採取供給を行なうものである。

【０００８】

【作用】吸引針が密栓に使用されるゴムキャップを突き
刺すときの時間から、採血管内の圧力が外気圧と等圧に
なるまでのタイミング、そして試料の吸引吐出、流路の
洗浄に要する時間から各流路上の弁を開閉することによ
り、密栓した採血管内の圧力が陰圧，陽圧いずれの場合
でも試料をコンタミさせることなく採取供給できる。

【０００９】また、吸引針を一本一重構造にすることで
吸引針の製作を簡単にし、ゴムキャップに突き刺すとき
の抵抗を小さくするものである。

【００１０】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
を詳細に説明する。ただしこの実施例に記載されている
構成機器の性状、その相対配置などは特に特定的な記載
が無い限り、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨
のものではなく、単なる説明例にすぎない。

【００１１】図１は、本発明の実施例に基づく試料採取
供給装置を示す図である。

【００１２】前提として、この試料採取供給装置は吸引
針３が採血管１を密栓するゴムキャップ２を突き刺す機
構と、吸引針３の洗浄槽を備えているものとする。

【００１３】初期状態では吸引針３の針先からピンチ弁
（ＰＶ２）５とピンチ弁（ＰＶ１）４を通って外気に至
る経路は貫通し、そのほかのピンチ弁（ＰＶ３）６〜ピ
ンチ弁（ＰＶ６）９は閉じているものとする。以後ピン
チ弁の開閉状態の説明は表１に従う。また、サンプリン
グ流路１７の内部はあらかじめ等張液（生理食塩水）を
通しておくものとする。

【００１４】

【表１】

【００１５】吸引針３がゴムキャップ２を突き刺した直
後のピンチ弁の開閉状態は状態No．１の通りで、採血管
１内部が陰圧，陽圧いずれのときも外気がピンチ弁(Ｐ
Ｖ１)４とピンチ弁（ＰＶ２）５を通って等圧になる。
尚、採血管１内部が陽圧のとき吸引針３から吐き出され
る試料は通気路１６に流れるため、ピンチ弁（ＰＶ２）
５に至るまでの通気路１６の距離は十分とっている。

【００１６】試料の吸引採取時のピンチ弁の開閉状態は
状態Ｎｏ．２の通りである。ピンチ弁（ＰＶ５）８のみ
開で、サンプリング用しごきポンプ１２によって一定量
の試料の採取を行なう。吸引針３をゴムキャップ２から
抜き取った後の、試料の吐出供給時のピンチ弁の開閉状
態は状態Ｎｏ．３の通りである。ピンチ弁の開閉状態は
状態Ｎｏ．２同様であるが、サンプリング用しごきポン
プ１２が逆回転で一定量の試料の供給を行なう。

【００１７】試料を供給した後の、サンプリング流路の
洗浄時のピンチ弁の開閉状態は状態Ｎｏ．４に示す通り
である。イオン交換水タンク１４内のイオン交換水が送
イオン交換水用ポンプ１１によって吸引針３から排出さ
れ、これによって試料で汚れた通気路１６とサンプリン
グ流路１７を同時に洗浄する。このとき吸引針３外面も
洗浄槽内部で洗浄する。

【００１８】最後に等張液（生理食塩水）をサンプリン
グ流路１７内に通して、次回試料採取時の溶血を防ぐ操
作を行なう。この時のピンチ弁の開閉状態は状態Ｎｏ．
５に示す通りである。生食タンク１５内の生理食塩水が
送生食用しごきポンプ１３によって吸引針３から排出さ
れ、これによってサンプリング流路１７は溶血を防ぐこ
とができる。そして最後に吸引針３の針先からピンチ弁
（ＰＶ２）５とピンチ弁（ＰＶ１）４を通って外気に至
る経路を初期状態（貫通した状態）に戻すため、ピンチ
弁の開閉状態を状態Ｎｏ．６の通りにし送生食用しごき
ポンプ１３を逆回転して流路内の生理食塩水を取り除
き、次回の試料の採取に備えて一連の試料採取供給動作
を終了する。

【００１９】尚、前提となる吸引針３が採血管１を密栓
するゴムキャップ２を突き刺す機構において、吸引針３
がゴムキャップ２を突き刺すまでは採血管１は上を向い
ていて、外気圧と等圧になったタイミングを見計らって
採血管１が下を向き試料を採取するほうがより効果的で
ある。

【００２０】

【発明の効果】本発明の装置は上記のように構成されて
いるので、次のような効果が奏せられる。

【００２１】(a) 密栓した試料容器内の圧力が陰圧，陽
圧いずれの場合でも試料をコンタミさせることなく採取
供給できる。

【００２２】(b) 試料採取用の吸引針は一本一重構造に
することで、吸引針の製作が簡単であり、しかも容易に
試料容器の密栓（ゴムキャップ）に突き刺すことができ
る。 (c) 本発明の装置は分析装置のすぐ近く、または分析装
置内に配置することができ、また試料吸引用の細管から
分析装置までの液体流路を短くすることができるので、
必要な吸引試料量が少なくて済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に基づく試料採取供給装置の流
路構成を示す図である。

【符号の説明】

１…採血管、２…ゴムキャップ、３…吸引針、４…ピン
チ弁（ＰＶ１）、５…ピンチ弁（ＰＶ２）、６…ピンチ
弁（ＰＶ３）、７…ピンチ弁（ＰＶ４）、８…ピンチ弁
（ＰＶ５）、９…ピンチ弁（ＰＶ６）、１０…分岐管、
１１…送イオン交換水用ポンプ、１２…サンプリング用
しごきポンプ、１３…送生食用しごきポンプ、１４…イ
オン交換水タンク、１５…生食タンク、１６…通気路、
１７…サンプリング流路。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】試料を入れた密閉しうる構造の試料容器か
   ら、試料を吸引採取し吐出供給することを特徴とする試
   料採取供給装置。
2. 【請求項２】請求項１において、針の貫入可能なゴムキ
   ャップを備えている密閉しうる構造の試料容器に対し
   て、試料を採取することを特徴とする試料採取供給装
   置。
3. 【請求項３】請求項１又は２においてし、密閉された試
   料容器内の圧力が陰圧、陽圧いずれの場合でも、試料容
   器内の圧力を外気圧と等圧にしてから試料を採取するこ
   とを特徴とした試料採取供給装置。
4. 【請求項４】請求項３において、試料採取部及び外気圧
   との等圧調節用通気路内に残った、前回採取残存試料を
   排出することを特徴とした試料採取供給装置。