JPH0579325B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、健康管理に供する血圧測定装置に関
する。

〔従来の技術〕

周知のように、高齢化社会の到来を余儀なくさ
れている先進諸国においては、高血圧症や動脈硬
化症等の循環器疾患が急増しつつある。特に近年
においては、下肢動脈の閉塞性疾患の多発が重視
されており、下肢の血圧測定が普及しつつあるの
が現状である。

この場合において、血圧測定は、その目的が異
なれば装置も異なるのが通例である。

即ち、血圧測定の目的が下肢動脈の閉塞性疾患
診断である場合には、第８図に示すように、左右
両側の足関節部Ａ、Ａに夫々カフＢ、Ｂを巻着し
た状態で、カフ圧を下降させながら、両足の足背
動脈Ｃ、Ｃと後脛骨動脈Ｄ、Ｄとの計四箇所に対
して超音波血流検知器で血管雑音を開き、水銀血
圧計で収縮期血圧を測定して装置本体の表示手段
により表示し、足背動脈と後脛骨動脈とのいずれ
か高い値をもつて当該足関節部の血圧値とし、こ
の血圧値を別途測定した上腕収縮期血圧値で除算
して左右両側の足関節部血圧指数（API）を求
め、このAPIに基づいて下肢動脈の閉塞性疾患を
診断するといつた手段が用いられていた。

また、血圧測定の目的が両上肢動脈の閉塞性疾
患診断である場合には、先ず左右いずれか一方の
上腕にカフを巻着し、聴診器で血管音（コロトコ
フ音）を聞き、水銀血圧形で血圧を測定して表示
し、然る後、他方の上腕に対して同様の方法によ
り血圧を測定して表示し、この結果得られた左右
上腕の夫々の血圧値を比較するといつた手段や、
或いは、二個のカフを同時に左右の上腕に巻着
し、二人の検査者が上記と同様の方法により左右
の血圧を同時に測定して表示された測定値を比較
するといつた手段が用いられていた。

更に、血圧測定の目的が多人数についての場合
には、一人ずつ個別に上腕にカフを巻着し、前述
のように聴診器及び水銀血圧計により測定するか
或いはデイジタル表示式の自動血圧計により測定
して表示するといつた手段が用いられていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、血圧は絶えず変動するものであり、
時間経過により或いは安静、運動、興奮、緊張等
により大幅に変動するため、測定条件によつて著
しいバラツキがあり、判定には慎重を要するもの
である。

しかるに、上記従来における下肢動脈の閉塞性
疾患診断を目的とする血圧測定装置によれば、例
えば動脈閉塞症が重症である場合、測定が困難で
所要時間が長くなるため、その間における血圧の
時間的変動に起因して、正確な測定が行えないと
いう問題を生ぜしめるばかりでなく、技術の巧拙
や熟練度によつても、測定所要時間の差や測定結
果のバラツキが大きくなるという問題を生ぜしめ
る。

また、上記従来における両上肢動脈の閉塞性疾
患診断を目的とする血圧測定装置によれば、左右
上腕のいずれか一方ずつについて別々に測定を行
うため、つまり測定時間が同時刻でないため、血
圧の時間的変動に起因する誤差は避けられず、仮
に左右両側上腕を同時に測定すれば時間差による
誤差は回避できるものの、二人の検査者が必要と
なり、作業能率の悪化を招くこととなる。

更に、上記従来における多人数の血圧測定装置
によれば、例えば重症患者集中治療室（ICU）に
おいては複数の患者について長時間にわたり頻回
な血圧測定監視が必要であるため、検査者が患者
個々について測定作業を頻繁に繰り返さねばな
ず、極めて非能率であるという問題を生ぜしめ
る。尚、これに対しては、集中血圧監視システム
が市販されているものの高価であるという難点を
有している。また、高血圧外来や集団検診時等に
おいては、限られた時間内に多人数について信頼
度の高い血圧測定を行う必要があるが、上記従来
のように個々の被検者毎に順次煩雑な測定を行い
表示していたのでは、１人当りの測定時間が短く
なり、充分な安静後の血圧測定を行い得ないとい
う問題を生ぜしめる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであつ
て、その具体的手段とするところは、複数のエア
ホースを介して設けられた複数のカフと、これら
のカフを加圧、減圧するエアポンプと、足関節部
血圧指数即ちAPI（足関節部収縮期血圧÷上腕収
縮期血圧）を算出する演算回路とを備え、被検者
の異なる箇所の収縮期血圧値及び拡張期血圧値と
心拍数とを、前記APIと同時に或いは別々に表示
する表示手段を設けたところにある。

〔作用〕

上記構成の血圧測定装置において、従来より周
知のように、各々のカフ内の圧力を検出する各々
の圧力センサーが設けられている。このような血
圧測定装置を用いて、例えば、エアポンプに３つ
のエアホースを接続し、これら３つのエアホース
の各々を介してカフを設けた場合について説明す
る。先ず、検査者は、これら３つのカフをそれぞ
れ被検者の右上腕と左右両側の足関節部との３個
所に巻着する。そして、スイツチを操作してエア
ポンプによりこれらカフを同時に加圧、減圧する
のであるが、前記のように、これら各々のカフ内
の圧力は各々の圧力センサーにより検出されてお
り、この圧力センサーからの信号が示す圧力値の
大きさに基づいて、前記３個所の収縮期血圧及び
拡張期血圧は略同時刻に表示手段により表示され
る。そして、装置内に内蔵された演算回路により
右足関節部血圧指数であるAPIと、左足関節部血
圧指数であるAPIとがそれぞれ求められ、これら
２つのAPIが前記と同様に表示手段により表示さ
れる。又、この圧力測定装置においては、前記圧
力センサーからの信号が示す圧力値変化特性の周
波数に基づいて、心拍数も検出されており、前記
それぞれの血圧値及びAPIと共に、表示手段によ
り心拍数をも表示される。このようにして、いず
か一方の上腕と左右両側の足関節部との計三箇所
の血圧が略同時刻に測定されることから、測定時
間差による誤差の除去されたAPIが算出され且つ
表示手段にて表示されるため、操作が簡素化さ
れ、更には検査者の技術の巧拙に関係なくきわめ
て短時間で正確な検査結果が得られることとな
る。

又、例えば、エアポンプに２つのエアホースを
接続し、これら２つのエアホースの各々を介して
カフを設けた場合について説明する。前記と同様
に、検査者は、これら２つのカフをそれぞれ被検
者の右上腕と左上腕の２箇所に巻着する。そし
て、スイツチを操作してエアポンプによりこれら
カフを同時に加圧、減圧して、前記２箇所の収縮
期血圧及び拡張期血圧を略同時刻に検出して、表
示手段により表示する。この時、APIは表示され
ず、前記血圧値と心拍数とが表示される。このよ
うにして、左右の両上腕に夫々巻着される二個の
カフが単一の装置本体に接続されていることか
ら、一人の検査者による測定が可能になると共
に、左右両上腕の血圧が略同時刻に測定されて表
示手段にて表示されることから、血圧の時間的変
動による悪影響を受けることなく、双方の血圧値
の比較を正確に行えることとなる。

更に、エアポンプに３つのエアホースを接続
し、これら３つのエアホースの各々を介してカフ
を設けた血圧測定装置を用いて、同時に３人の被
検者の血圧値を測定する場合について説明する。
検査者は、３人の被検者のいずか一方の上腕にそ
れぞれカフを巻着し、スイツチを操作してエアポ
ンプによりこれらカフを同時に加圧、減圧して、
３人の被検者の収縮期血圧及び拡張期血圧を略同
時刻に検出して、表示手段により表示する。この
時、APIは表示されず、３人の被検者の血圧値と
心拍数とが各々表示される。このようにして、三
人の被検者の血圧測定が個別に而も繰り返し行え
ることとなるので、時間が節約できるばかりでな
く、一人当りについて充分な時間をもつて信頼の
できる血圧値を得ることが可能となる。

上記に示すように、当該血圧測定装置を使用す
ることにより、様々な血圧測定方法の実施が可能
となる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に参照しながら説
明する。

先ず、本発明に係る血圧測定装置の構成を第１
図に基づいて説明する。

即ち、この血圧測定装置１、三個のカフ２，
３，４を有し、これらの各カフは、相互に独立し
た各エアホース５，６，７を介して本体８に接続
されている。尚、この血圧測定装置１には、従来
より周知のように、各々のカフ内の圧力を検出す
る各々の圧力センサー（図示せず。）が設けられ
ている。又、この本体８には、前記各エアホース
５，６，７を介して各カフ２，３，４に通じる三
個のエアポンプが内蔵されており、各カフを加
圧、減圧できるようになつている。また、この本
体８には、左右の足関節部血圧指数即ちAPIを算
出する演算回路（マイクロコンピユータ）が内蔵
されている。更に、この本体８の前面は表示部９
されており、この表示部９には、三行三列の計九
個の表示窓１０〜１８が配設されている。そし
て、この血圧決定装置１には、前記各表示窓１０
〜１８の表示モードを三段階に切り換える切換ス
イツチ１９が取り付けられている。更に、この血
圧測定装置１は、スイツチ操作により、同時に或
いは個別に夫々のカフ２，３，４の加圧、減圧が
可能であり、また、個別に測定時間間隔の任意設
定、測定値の記憶、測定値のプリントアウトが可
能である。

次に、上記構成からなる血圧測定装置１を使用
して血圧を測定する方法について説明する。

先ず、第１の血圧測定方法について説明する
と、第２図に示すように、被検者の右上腕と左右
両側の足関節部（足首）との計三箇所にカフ２，
３，４を夫々巻着し、この各カフを同時に加圧、
減圧して、前記三箇所の血圧を略同時刻に検出す
る。この時点においては、表示部９のモードが第
３図に示す状態となつており、前記三箇所の収縮
期血圧値及び拡張期血圧値が表示窓１０〜１５に
夫々表示される。更に、本体８に内蔵されている
演算回路により得られる左右のAPIを、表示窓１
７，１８に夫々表示させる。尚、表示窓１６に
は、心拍数が表示される。

次に、第２の血圧測定方法について説明する
と、第４図に示すように、被検者の左右両側の上
腕に夫々カフ２，３を巻着し（カフ４は使用せ
ず）、この両カフを同時に加圧、減圧して左右上
腕の血圧を略同時刻に検出する。この時点におい
ては、切換スイツチ１９が別位置に切り換えられ
ていることから、表示部９のモードが第５図に示
す状態となつており、左右上腕の収縮期血圧値及
び拡張期血圧値が表示窓１０，１１，１３，１４
に夫々表示され、左右上腕の血圧差の程度を診断
する。尚、この場合にも、表示窓１６，１７には
心拍数が表示される。

更に、第３の血圧測定方法について説明する
と、第６図に示すように、三人の被検者イ，ロ，
ハのいずれか一方の上腕に夫々カフ２，３，４を
巻着し、この各カフを個別に加圧、減圧して三人
の血圧を個別に測定する。この時点においては、
切換スイツチ１９が更に別の位置に切り換えられ
ていることから、表示部９のモードが第７図に示
す状態となつており、三人の被検者イ，ロ，ハの
収縮期血圧値、拡張期血圧値、及び心拍数が表示
窓１０〜１８に夫々表示される。

〔発明の効果〕

本発明の血圧測定装置は、上述の通り構成され
ているので、以下に示す効果を奏する。

一方の上腕及び両足関節部の血圧測定が略同時
刻に行われるため、従来のように超音波血流検知
器及び水銀血圧計を使用して血圧測定を行う場合
に比べて、各部位の血圧測定値の時間差による誤
差が除去されて、これにより演算されるAPIが極
めて正確な値となる。また、操作が簡易化され、
検査者の技術の巧拙による測定値のバラツキが皆
無となる。更に、測定時間が極めて短縮され、作
業能率が向上するため、高齢者の下肢動脈硬化症
の集団健診の実施も可能となる。

又、左右両上腕の血圧の同時測定を一人の検査
者により実施することが可能になると共に、測定
時間のずれによる誤差が生じなくなる。

更に、三人までの被検者が血圧測定が一人の検
査者により又は無人で個別に行えることとなるた
め、従来における複数自動血圧計の監視センター
装置よりも大幅なコストの低廉化を図れると共
に、重症患者集中治療室等における医師、看護
婦、医療技術者の作業の能率化及び省人化が期待
でき、更には高血圧外来における多数患者に対す
る血圧測定結果の正確性の向上及び集団健診にお
ける作業の能率化、省人化、大量処理に寄与でき
ることとなる。

以上のように、本発明の血圧測定装置によれ
ば、様々な場合での血圧測定が可能となり、多目
的に使用可能な装置が実現されることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の血圧測定装置の概略斜視図、
第２図は本発明の血圧測定装置の第１の実施状態
を示す概略図、第３図は前記第１を実施状態に対
応する表示部の表示状態を示す概略正面図、第４
図は本発明の血圧測定装置の第２の実施状態を示
す概略図、第５図は前記第２の実施状態に対応す
る表示部の表示状態を示す概略正面図、第６図は
本発明の血圧測定装置の第３の実施状態に示す概
略図、第７図は前記第３の実施状態に対応する表
示部の表示状態を示す概略正面図、第８図は従来
における血圧測定方法の実施状態を示す概略図で
ある。 １……血圧測定装置、２……血圧測定用圧迫帯
（カフ）、３……血圧測定用圧迫帯（カフ）、４…
…血圧測定用圧迫帯（カフ）、９……表示手段
（表示部）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数のエアホースを介して設けられた複数の
   カフと、これらのカフを加圧、減圧するエアポン
   プと、足関節部血圧指数即ちAPI（足関節部収縮
   期血圧÷上腕収縮期血圧）を算出する演算回路と
   を備え、被検者の異なる箇所の収縮期血圧値及び
   拡張期血圧値と心拍数とを、前記APIと同時に或
   いは別々に表示する表示手段を設けたことを特徴
   とする血圧測定装置。