JPH0578082A - 乗客コンベアの安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変位検出器の出力値に対して調整が必要な旨
の保守要求信号の出力がされたとき、変位検出器が連続
的に変化したのか、周期的に変化したのかを、調整作業
時に確認できる乗客コンベアの安全装置を提供するにあ
る。 【構成】 スカートガード２の変位を検出する差動トラ
ンス３の変位信号４の値を弁別する弁別手段５と、変位
信号４を記憶する第１の記憶手段７と、この第１の記憶
手段７で記憶された変位信号４に対して、周期性を判定
する周期性判定手段１７と、連続性を判定する連続性判
定手段１６と、これら判定手段１６、１７との信号出力
を記憶する第２の記憶手段１８とを備えた構成である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、乗客コンベアの安全装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術は、特公昭６２−５０３６９
号公報記載のように、乗客コンベアのフレームに固定さ
れ、スカートガードの変位をアナログ値で連続的に検出
する変位検出器を備え、この変位検出器の出力信号を周
期的にサンプリングしたサンプリング値と予め設定した
値とを比較し、サンプリング値が予め設定した値を超え
た値のとき、乗客コンベアを停止するように構成されて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、スカ
ートガードに取り付けた変位検出器の出力値によって、
スカートガードと踏段との間隙に乗客の靴が挾まれた場
合、乗客コンベアの停止を行ったり、また、スカートガ
ードと踏段との間隙寸法が所定の間隙を超えて変位検出
器の出力値に変化が生じた場合、調整が必要な旨の保守
要求信号を出力したり、また、例えば乗客が故意にスカ
ートガードをけとばした場合、すなわち、変位検出器の
急激な変化に対しては除くようにしている。

【０００４】しかし、変位検出器の出力値に変化が生じ
る保守要求信号の発生原因が、踏段の変形によるスカー
トガードとの周期的な接触なのか、踏段チェーンが伸び
て一方のスカートガード側に踏段が移動して、スカート
ガードと踏段とが連続的に接触したり、スカートガード
の変形によって変位検出器の連続的な出力値変化の発生
なのかなどの判断がつかないため、原因究明の調査作業
が必要となり、多くの作業時間を費やす問題があった。

【０００５】本発明の目的は、変位検出器の出力値に対
して調整が必要な旨の保守要求信号の出力がされたと
き、変位検出器が連続的に変位したのか、周期的に変化
したのかを、調整作業時に確認できる乗客コンベアの安
全装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、無端状に連結された踏段と、この踏段に沿って設け
られたスカートガードが、乗客或は乗客の所有物の接触
圧力を受けて発生する変位を連続的に検出する変位検出
器と、この変位検出器の検出出力を時系列的にサンプリ
ングするサンプリング手段と、このサンプリング手段で
サンプリングされた変位信号値が所定の値を超えて所定
時間継続する第１の値のとき、乗客コンベアの停止手段
を起動させて乗客コンベアを停止させるとともに、通信
回線を介してビルの設備を遠隔的に監視する監視センタ
に当該乗客コンベアの異常発生の通報を行う通信手段を
起動させる乗客コンベアの安全装置において、前記変位
信号値を前記第１の値とそれ以外の第２の値とに弁別す
る弁別手段と、前記第２の値を記憶する第１の記憶手段
と、この第１の記憶手段で記憶された前記第２の値に対
して、発生の周期性を判定し信号を出力する周期性判定
手段と、発生の連続性を判定し信号を出力する連続性判
定手段と、前記周期性判定手段と前記連続性判定手段と
の信号出力を記憶する第２の記憶手段とを備えた構成に
したものである。

【０００７】

【作用】このように構成されているので、変位検出器の
出力値に変化が発生したとき、第２の記憶手段の記憶内
容を読めば、踏段の変形により踏段とスカートガードと
が周期的に接触して発生したのか、スカートガードの変
形や踏段チェーンが伸びて一方のスカートガード側に踏
段が移動し、踏段とスカートガードとが連続的に接触し
て発生したのかが、判断がつくので、保守要求信号が発
生したときの原因究明の調査作業時間が大幅に短縮で
き、作業性が著しく向上する。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【０００９】図において、無端状に連結された複数の踏
段１は、図示しない踏段チェーンを介して連続的に回転
駆動される。この踏段１の側面に変位部材であるスカー
トガード２が立設してあり、このスカートガード２の反
踏段側のフレーム（図示せず）に変位検出手段である差
動トランス３の固定部３ａが固定されている。差動トラ
ンス３の可動鉄心（図示せず）に連動する変位検出部３
ｂはスカートガード２にばね（図示せず）を介在して接
触しているので、スカートガード２の変位量が検出で
き、また、差動トランク３の出力信号の変化量とスカー
トガード２の変位量は比例関係にある。

【００１０】差動トランス３はスカートガード２の変位
量に比例した変位信号４を弁別手段５に出力する。弁別
手段５は変位信号４を時系列的にサンプリングするとと
もに、予めスカートガード２の所定の変位量に相当する
変位信号値を記憶し、この予め記憶された変位信号値と
差動トランス３から入力される変位信号４とのサンプリ
ング値とを比較して、サンプリング値の方が大きい場合
は停止検出手段６へサンプリング値を出力し、サンプリ
ング値の方が小さい場合は第１の記憶手段７にサンプリ
ング値を出力するよう弁別接続されている。また、弁別
手段５が第１の記憶手段７にサンプリング値を出力し、
同時に、弁別手段５から信号出力が２入力ＡＮＤ回路８
の一方の入力端子に出力される。

【００１１】停止検出手段６は、弁別手段５からのサン
プリング値入力が所定回数継続されているとき、すなわ
ち、スカートガード２に所定以上の変位量が所定時間継
続したとき、乗客コンベア停止回路９と通信装置１０と
に信号を出力する。また、停止検出手段６は、弁別手段
５からのサンプリング値入力が所定回数以内で停止され
たときは、乗客が故意にスカートガード２をけとばした
と判断し、入力されたサンプリング値を第１の記憶手段
７に出力するとともに、２入力ＡＮＤ回路１１の一方の
入力端子に信号を出力する。

【００１２】乗客コンベア停止回路９は信号が入力され
ると乗客コンベアを即座に停止させる。また、通信装置
１０とビルの設備を遠隔的に監視する監視センタ１２と
は、通信回線１３を介して接続されている。

【００１３】２入力ＡＮＤ回路８の出力端子は警告装置
１４に接続され、さらに、２入力ＡＮＤ回路８や２入力
ＡＮＤ回路１１の出力信号で起動される警告装置１４
は、例えば、乗客が靴をスカートガード２に押しつけた
り、乗客が故意にスカートガード２をけとばしたことを
検出する。この警告装置１４は乗客コンベアの降口に設
置されているスピーカ１５に接続されている。この警告
装置１５は予め定められた放送内容、例えば「危ないで
すからスカートガードから足をお離しください。」や
「スカートガードを蹴ることは止めてください。」など
を記憶しており、起動されるとスピーカ１５から乗客に
対して警告放送を行う。

【００１４】また、弁別手段５や停止検出手段６からの
サンプリング値を記憶する第１の記憶手段７は、連続性
判定手段１６と周期性判定手段１７とに接続され、記憶
されたサンプリング値を所定時間毎に連続性判定手段１
６と周期性判定手段１７とに出力する。

【００１５】連続性判定手段１６は、入力されたサンプ
リング値が継続していた場合、踏段チェーンが伸びて一
方のスカートガード側に踏段が移動して、スカートガー
ドと踏段とが連続的に接触したり、スカートガードの変
形などによって、連続的な接触が生じたと判断して信号
を出力する。また、連続性判定手段１６は、通信装置１
０と第２の記憶装置１８と２入力ＯＲ回路１９の一方の
入力端子とに接続されている。

【００１６】周期性判定手段１７は、入力されたサンプ
リング値が周期的に発生していた場合、踏段に変形が生
じ、この踏段とスカートガードとが周期的に接触してい
ると判断して信号を出力する。また、周期性判定手段１
７は、第２の記憶装置１８と２入力ＯＲ回路１９の他方
の入力端子とに接続されている。

【００１７】また、２入力ＯＲ回路１９の出力は、ＮＯ
Ｔ回路２０を介して、２入力ＡＮＤ回路８と２入力ＡＮ
Ｄ回路１１のそれぞれの他方の入力端子に接続されてい
る。

【００１８】次に、動作について説明を行う。

【００１９】今、乗客の靴が踏段１とスカートガード２
との間隙に挾まったとすると、スカートガード２が差動
トランス３の変位検出部３ｂを押し、差動トランス３は
変位信号４を弁別手段５に出力し、弁別手段５は、変位
信号４を時系列的にサンプリングして、そのサンプリン
グ値と予め記憶されている変位信号値とを比較する。靴
が踏段１とスカートガード２との間隙に挾まった場合な
ので、サンプリング値が所定以上の変位量で所定時間継
続しており、停止検出手段６へサンプリング値を出力す
る。ここで、停止検出手段６は、乗客コンベア停止回路
９へ信号を出力し、乗客コンベアを停止させるととも
に、通信装置１０へ信号を出力し、乗客の靴が踏段１と
スカートガード２との間隙に挾まって乗客コンベアが停
止した旨の通報を、通信回線１３を介して監視センタ１
２へ行う。

【００２０】また、乗客が靴でスカートガード２をけと
ばしたとすると、差動トランス３は変位信号４を弁別手
段５に出力し、弁別手段５は、変位信号４を時系列的に
サンプリングして、そのサンプリング値と予め記憶され
ている変位信号値とを比較する。スカートガード２をけ
とばした場合なので、サンプリング値が所定以上の変位
量であるが、所定以上の変位量の継続が所定時間以内で
あるので、停止検出手段６へサンプリング値を出力する
が、停止検出手段６は入力されたサンプリング値を第１
の記憶装置へ出力するとともに、２入力ＡＮＤ回路１１
の一方の入力端子へ出力する。

【００２１】２入力ＡＮＤ回路１１は警告装置１４に信
号を出力し、警告装置１４はスピーカ１５を介して乗客
に、例えば「スカートガードを蹴ることは止めてくださ
い。」なる警告放送を行う。

【００２２】一方、サンプリング値を入力された第１の
記憶装置７は、記憶されたサンプリング値データを所定
時間毎に、連続性判定手段１６と周期性判定手段１７と
に信号を出力するが、スカートガード２をけとばした場
合であるので、サンプリング値に対する連続性や周期性
がみられず、連続性判定手段１６と周期性判定手段１７
からの信号出力はない。

【００２３】次に、差動トランス３の取り付け位置のス
カートガード２が、例えば、乗客に蹴られて内側に変形
してしまった場合、差動トランス３はスカートガード２
が変形した分だけの変位信号４を弁別手段５に出力し、
弁別手段５は、変位信号４を時系列的にサンプリングし
て、そのサンプリング値と予め記憶されている変位信号
値とを比較するが、サンプリング値が所定の変位信号値
以下であるので、このサンプリング値を第１の記憶装置
へ出力するとともに、２入力ＡＮＤ回路８の一方の入力
端子へ出力する。

【００２４】２入力ＡＮＤ回路１１は警告装置１４に信
号を出力し、警告装置１４はスピーカ１５を介して乗客
に、例えば「危ないですからスカートガードから足をお
離しください。」なる警告放送を行う。

【００２５】一方、サンプリング値を入力された第１の
記憶装置７は、記憶されたサンプリング値データを所定
時間毎に、連続性判定手段１６と周期性判定手段１７と
に信号を出力する。ここで、スカートガード２の変形に
起因する変位信号値であるので、連続性判定手段１６
は、サンプリング値に対する連続性を検出し、通信装置
１０と第２の記憶装置１８と２入力ＯＲ回路１９の一方
の入力端子とに信号を出力する。

【００２６】ここで、通信装置１０は通信回線１３を介
してスカートガード２の変形などが原因で、差動トラン
ス３に連続的な出力値変化が生じている旨の保守要求の
通報を監視センタ１２に行う。

【００２７】さらに、２入力ＯＲ回路１９より信号がＮ
ＯＴ回路２０を介して２入力ＡＮＤ回路１１の他方の入
力端子に入力されるので、２入力ＡＮＤ回路１１の他方
の入力端子の入力信号が無くなり、２入力ＡＮＤ回路１
１は警告装置１４への信号出力を停止する。これによっ
て、スカートガード２の変形などの連続的な差動トラン
ス３の出力値変化によって生じる警告放送を止めること
ができる。

【００２８】また、監視センタ１２から調査や調整の依
頼を受けた専門技術者は、第２の記憶装置１８に記憶さ
れたデータを図示しない専用の保守装置で読み取り、差
動トランス３の出力値変化を解析することで、発生原因
の究明が容易になる。

【００２９】次に、例えば、踏段に変形が生じて差動ト
ランス３の出力値変化が周期的に発生していた場合につ
いては、周期性判定手段１７が周期性を判定して、第２
の記憶装置１８と２入力ＯＲ回路１９の他方の入力端子
とに信号を出力しており、連続性判定手段１６での信号
処理とほぼ同一であるので説明は省略する。

【００３０】本実施例では、差動トランス３の出力値変
化によって警告放送を行うが、スカートガード２の変形
や踏段１の変形などの原因で、差動トランス３の出力値
変化に連続性や周期性が有ると、連続性判定手段１６や
周期性判定手段１７が判断したとき、警告放送が繰返し
行われないので、乗客に対しスカートガード２や踏段１
などに異常が発生しているなどの不信感を与えない。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、変位検出器の出力値に
変化が発生したとき、第２の記憶手段の記憶内容を読め
ば、踏段の変形により踏段とスカートガードとが周期的
に接触して発生したのか、スカートガードの変形や踏段
チェーンが伸びて一方のスカートガード側に踏段が移動
し、踏段とスカートガードとが連続的に接触して発生し
たのかの判断をすることができるので、保守要求信号が
発生したときの原因究明の調査作業時間が大幅に短縮で
き、作業性が著しく向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の要部構成を示す機能ブロッ
ク図である。

【図２】本発明の一実施例が適応される乗客コンベアの
一部切開斜視図である。

【符号の説明】

３ 差動トランス ４ 変位信号 ５ 弁別手段 ７ 第１の記憶装置 １６ 連続性判定手段 １７ 周期性判定手段 １８ 第２の記憶装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端状に連結された踏段と、この踏段に
   沿って設けられたスカートガードが、乗客或は乗客の所
   有物の接触圧力を受けて発生する変位を連続的に検出す
   る変位検出器と、この変位検出器の検出出力を時系列的
   にサンプリングするサンプリング手段と、このサンプリ
   ング手段でサンプリングされた変位信号値が所定の値を
   超えて所定時間継続する第１の値のとき、乗客コンベア
   の停止手段を起動させて乗客コンベアを停止させるとと
   もに、通信回線を介してビルの設備を遠隔的に監視する
   監視センタに当該乗客コンベアの異常発生の通報を行う
   通信手段を起動させる乗客コンベアの安全装置におい
   て、前記変位信号値を前記第１の値とそれ以外の第２の
   値とに弁別する弁別手段と、前記第２の値を記憶する第
   １の記憶手段と、この第１の記憶手段で記憶された前記
   第２の値に対して、発生の周期性を判定し信号を出力す
   る周期性判定手段と、発生の連続性を判定し信号を出力
   する連続性判定手段と、前記周期性判定手段と前記連続
   性判定手段との信号出力を記憶する第２の記憶手段とを
   備えたことを特徴とする乗客コンベアの安全装置。