JPH0576571A

JPH0576571A - エアマツト

Info

Publication number: JPH0576571A
Application number: JP3268190A
Authority: JP
Inventors: Takae Kusano; 孝衛草野; Koichi Katahira; 紘一片平; Akira Yoshizaki; 昭吉崎
Original assignee: KOSHIN RUBBER KK
Current assignee: KOSHIN RUBBER KK
Priority date: 1991-09-19
Filing date: 1991-09-19
Publication date: 1993-03-30

Abstract

(57)【要約】【目的】エアマット内の空気圧を病臥する人体の体重
による如何なる部位にも同一に作用せしめるよう安定し
た状態にし、人体の局部位の底接触が長時間病臥する患
者の床ずれを防止する。【構成】空気密封性軟質材料からなるエアマットにお
いて、空気室となるマット内部に軟質シート材料からな
る隔壁を配設して格子状に複数個の空気室を構成し、当
該隔壁には空気が少しずつ流通可能な通孔を設けて、マ
ット内部に封入した空気の移動する量と流れの速度を抑
制するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は長い間ベッドに病臥した
患者の体位の局部位の底接触をなくし、体圧均一にして
床ずれを防ぐエアマットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自分の意志で自由に動けない寝た
きりの病人や老人の床ずれを防止するためには、数時間
置きに体位変換をさせるなど介護者の労力負担が大きい
ものであった。そこで体位の変換をすることなく床ずれ
を防ぐためのエアマットが提案されているが、従来のも
のは単一又は複数の系統の空気圧からなるものであり、
人間工学的考慮の点において充分なものとはいえないも
のであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のエアマットは、
多数の空気袋を形成して扁平状に膨満させた空気袋で患
者をその上に持ち上げ、場合によっては両側に空気層を
２系統にして交互に空気を入れ換える方式であるが、こ
れは床ずれの原因となる偏荷重体圧に対応する内圧の調
整という点では不充分である。また、体重がかかった場
合、空気袋内の偏重された空気が単に瞬時、多量に移動
するのみであることから、身体の各部位に受ける圧力は
不均等で体位が不安定となるのみで、床ずれ対策として
は不完全である。

【０００４】従って、病床となるエアマットは、袋内に
封入した空気の内圧はいかなる場所でも外圧に対して同
一となるという原理を応用したものであるが、荷重の負
荷部位が大きく変位することにより、空気の変位が急激
に、かつ多量に移動し安定感が失われると共に、身体に
受ける圧力が不均等で、重圧部位の変位が大きく骨部に
押圧された筋肉部が底面に接触して血行を阻害し、床ず
れの原因を作るという課題を解決するためには袋内の空
気圧を高くしなければならず、そのことが更に床ずれ発
生の原因になってしまう。

【０００５】本発明は、空気袋を複数の筋状の空気室に
区画し、更に各空気室間に移動する空気の流れの速度を
緩慢にすることにより、体位圧を体位の部分毎に安定的
に保持して快適な使用に供し、それ以外の体位変換、排
泄処理、衣服の着脱、入浴作業等もエアマット上に臥位
のまま容易に行うことができるエアマットを提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を解決するために次のような手段を講じたものであ
る。特許を受けようとする第１の発明は、空気密封性軟
質材料からなるエアマットにおいて、空気室となるマッ
ト本体の内部に軟質シート材料からなる隔壁を設けて複
数個の空気室を構成し、当該隔壁間には空気が流通可能
な通孔を設けて、マット内部での空気がゆっくり移動す
るように制御するようにしたものである。マット本体内
の空気が多量に急激に移動するのを抑制し、体圧をどの
部分でもほぼ同一とするもので、人体の横臥時の変位の
差の最大値を吸収できるようにするものである。

【０００７】特許を受けようとする第２の発明は、上記
第１の発明においてエアマット本体の内部に設けられる
隔壁を６０ｍｍ〜１２０ｍｍの高さに設定したものであ
る。床ずれの予防対策としては、医学的には２７ｇ／ｃ
ｍ² 以下の体圧が要求されているものであるが、この値
より基準を見積もった場合、２０ｇ／ｃｍ² あるいは更
に低い１５ｇ／ｃｍ² とした場合、マット表面からの落
ち込みを１２０ｍｍとすれば、体重が１００ｋｇまでは
床面への底突きはないものである。一方、床臥者の体重
を総体的に見た場合、５０〜７０ｋｇが最多であると考
えられる。従っていずれの体重にも対応することができ
る７０ｋｇ体重の場合から、マット空気圧２７ｇでのマ
ットの落ち込みは６０ｍｍとなる。以上の結果により、
隔壁の高さをこの範囲に形成することは、使用上の安定
感からも適切である。この範囲を５０ｍｍ等、低く設定
する場合には底突き状態を避けるためにマット内圧を高
くする必要があり、床ずれの原因となってしまうし、１
２０ｍｍ以上に設定する場合には横揺れ状態が大きくな
り安定性に欠けるという問題がある。

【０００８】特許を受けようとする第３の発明は、上記
第２の発明において、エアマット本体の一部を局部的に
打ち抜き、この周囲を壁面シートでシール接合した円孔
を形成し、該円孔に着脱嵌合する大きさで、内部に数個
の隔壁を設けた空気袋にマット本体と連通するエアホー
スで連接して、マット本体と空気袋との内圧を同一にな
るようにしたものである。上記のように構成することに
より、ベッドに寝たきりの病人や老人であっても排泄が
便利となるようにしたものである。

【０００９】特許を受けようとする第４の発明は、内部
に隔壁を形成した空気枕、肩部、腕部となるマット本体
の側部に形成した空気袋、足パット用空気袋をマット本
体に設けると共に、上体起伏用空気袋を設けてなるエア
マットにおいて、空気枕はマット本体に、肩部、腕部と
なるマット本体の側部に形成した空気袋は上体起伏用空
気袋にそれぞれエアホースを介して連通し、足パット用
空気袋は単独で膨縮可能に形成したエアマットである。
この発明は、マット本体に空気枕、肩部、腕部となるマ
ット本体の側部に形成した空気袋及び足パット用空気袋
を形成することにより、空気枕の場合にはマット本体の
使用時に適度な高さに頭部を安定させて、且つ床ずれを
防ぐことができ、肩部、腕部となるマット本体の側部に
形成した空気袋の場合には、上体の起伏時に上体の安定
性を図って床臥者に対して安心感を与えることができ、
更に足パット用空気袋の場合には、必要に応じて膨縮さ
せるものであるが、足部を高くすることによってリラッ
クスした姿勢を保持して床臥者に安らぎを与えることと
なる。これらの部材はマット本体に必要な部分だけ個別
に形成してもよく、あるいはこれらを一体に形成しても
良い。更には着脱自在に形成しても良い。

【００１０】

【作用】本発明は軟質シート袋体の上面に人体が横臥し
た場合、図３で示すように封入する空気圧を身体各部位
の凹凸によって生ずる異なる変位に対応せしめることに
より、各部位の体圧差を極めて少なくしたので、安定し
た状態で身体を支え、大きな変位の部位でも底面に接触
しないようにできる。即ち、エアポンプのホースを連通
して軟質シート袋体内に空気を送り込むと、空気の量と
流れが抑制され、空気は分断されて各空気室に流れ込む
が、この時、仕切壁によって形成された空気室は仕切壁
に設けた細孔を通じて互いに流通する空気が緩慢に移動
し合い、身体部位の体重に応じて流れが抑制調整され、
変位の異なる部位もすべて体圧差が少なくて身体全体を
部位ごとに極めて安定した状態で支持するから局部的な
重圧がかからず、長時間の床臥でも床ずれを防ぐことが
できる。このように気体である空気に液体のようにみか
けの粘性を持たせるようにしたものであるから、人間工
学的に使用に際しての安心感と快適感を与えるようにし
た。

【００１１】

【実施例】図１は本発明の実施例に係る一部を切除した
エアマットの斜視図で、図２は他の実施例のエアマット
の平面図で、図３は使用者がエアマットに臥位した場合
の体圧の関係を示す側面図で、図４は第３発明の実施例
に係るエアマットの斜視図で、図５は他の実施例にかか
るエアマットの斜視図で、図６は第４発明の実施例にか
かるエアマットの斜視図で、図７は各種マットの横臥体
の各部位の体圧の測定値を示したものである。

【００１２】図において、１はマット本体で、このマッ
ト本体１は軟質合成樹脂等のゴム質からなる扁平方形の
密閉した袋体に形成されている。そして、マット本体１
の空気袋内に封入された圧力空気の移動量を抑制して少
量宛時間をかけて移動せしめるようにしたものである。
このマット本体１内には、内部空間を複数の空気室に区
分する隔壁が設けられている。この隔壁はその長手方向
に軟質シートからなる縦格子状の多数の仕切壁２，２，
…と、中央付近に横方向に仕切る邪魔板３とによって形
成されている。この隔壁間には空気が流通可能な通孔を
設けられており、マット本体１内の空気の移動は、液体
のようにみかけの粘性を持たせてあるので、急激に空気
が移動することがない。なお、マット本体１に空気を送
入したり排出したりする制御機器についてはその説明を
省略する。

【００１３】上記の邪魔板３には１〜複数個の細孔３
ａ，３ａ，…が穿設されており、また上記の仕切壁２，
２，…は、少なくとも上下四周縁をマット本体１の内壁
面に接着して形成され、また、四周縁を完全シールした
場合にあっては、各仕切壁２，２，…には１又は複数個
の細孔を穿設して空気の移動量を抑制するようにしても
良い。そして、マット本体１内に送入された空気を分断
してその流量を抑制し、各空気室に移動する空気の流れ
速度を抑えて、空気の動きを安定状態にして身体の各部
位を支持することにより、快適な使用感が得られる。

【００１４】また、図２で示すように、縦格子状の仕切
壁２，２，…の上下端縁はマット本体１の表面及び底面
の内壁面に密着接合し、各側端縁はマット本体１の内壁
面と邪魔板３の壁面との間に細い溝間隙４，４，…を形
成して、空気の移動する流れの量と速度を抑制して緩慢
にし、身体重を安定して支持し、局部のみの偏荷重が防
がれ床ずれ防止となる。

【００１５】また、マット本体１の頭部枕部分の部材及
び又は踵周辺の部材は、伸縮性に富むシート部材で構成
すると内圧がより平均化されることが実験結果により立
証されている。マット本体又はその上面片面を伸縮性シ
ート部材で構成すれば体圧は、より均一化される。

【００１６】これらの仕切壁２，２，…の高さは、６０
ｍｍ〜１２０ｍｍの範囲に設定しておけば、マット本体
１に臥床した病人等の体位のどの部位の体圧も床ずれ予
防のために必要な体圧以下に保持される。そして、体位
の最深最低部位でも接地することなく十分な高さが確保
されて局部的に圧迫した底接触がない。仕切壁の高さを
６０ｍｍ以上にすると体圧・分散が効率的に行われ、且
つ底突き感もなくなる。理想的には７５ｍｍ〜１１０ｍ
ｍが適度の高さであり体重の重い患者でも効果的に体圧
の分散が行われる。

【００１７】図７は横臥体の各部位と各部位と空気内圧
との関係を比較した実験グラフを示したもので、Ａ線は
在来のエアマット使用時の体圧、Ｂ線は理想に近いとさ
れるウォーターベッド使用時の体圧、Ｃ線は本発明によ
るエアマットを使用した場合の体圧で、各部位の体圧が
均一に近い線、ほぼ一直線になることが示されている。
○印の大きさは検体４人（体重４９kg、５８kg、７３k
g、９９kg）の測定値のゆれ幅の大きさを示している。
なお図７中で、本発明の踵部の体圧は、一体部材に形成
した場合と軟質部材により形成した場合によって体圧の
値が変化することを示してある。このことより、体位支
持部の空気圧を０〜０．０８kg/cm²の圧力範囲の中で、
低圧になるほど身体に対するマット面の受圧面積が増大
し、体圧の分布が広く床ずれ防止効果が向上する。

【００１８】また、図４に示したように、エアマット本
体１で人体が床臥した場合の尻部位となる部分を打抜孔
５に形成し、その周壁は壁面シート５ａで密封シールを
して、これに本体と空気を流通せしめるエアホース６を
連通した空気袋７を着脱自在に付属し、病臥患者の排便
や介護に便利なようにする。この際、空気袋７に対する
エアホースは、マット本体１と連結しておき空気の送排
出をマット本体１と連動せしめる。

【００１９】また、図５で示したようなシート袋８をシ
ーツ交換の要領で体位変換機構を利用して、床臥患者の
下に敷き込み、マット本体１に重合して、シート袋８に
給気、膨化してボート状の浴槽を構成して湯をはれば、
患者をマット上に床臥せしめたまま入浴せしめることが
できる。

【００２０】図６の実施例は、内部に仕切壁２，２を有
する隔壁を形成した空気枕９、肩部、腕部となるマット
本体の側部に形成した空気袋１０，１０、足パット用空
気袋１１をマット本体１に設けると共に、上体起伏用空
気袋１２を設けてなるエアマットにおいて、空気枕９は
マット本体１に、肩部、腕部となるマット本体１の側部
に形成した空気袋１０，１０は上体起伏用空気袋１２に
それぞれエアホースを介して連通し、足パット用空気袋
１１は単独で膨縮可能に形成してある。このマット本体
１の両側部に形成した空気袋１０，１０は、上体起伏用
空気袋１２と連通しているので、マット本体１の起伏時
に上体の左右横側に対する安定性を確保することがで
き、床臥者又は介護者に対して安心感を与える。また、
この空気枕９はエアホースでマット本体１に連通し内圧
を一体化すれば頭部支持が快適になり、かつ頭部の床ず
れを防止できる。

【００２１】

【発明の効果】本発明は上述のように、空気密封性軟質
材料からなるエアマットにおいて、空気室となるマット
本体の内部に軟質シート材料からなる隔壁を設けて複数
個の空気室を構成し、当該隔壁間には空気が流通可能な
通孔を設けて、マット内部での空気がゆっくり移動する
ように制御するようにしたものである。

【００２２】従って、余分な空気の逃げを防いで安定的
に空気の移動が可能であり、安定感があってあたかもウ
ォーターベッドと同一効果を呈するようになり使い心地
が極めて良い。

【００２３】しかも、細孔により空気の移動量を制御し
て緩慢にするので、床臥した患者の体重による押圧力の
身体部位の差に応じてマット表面の凹凸に対応するか
ら、身体を各部位毎に安定して保持することができ、か
つマットの厚さを規制しているので押圧力の大きい部位
でも底面に接触することなく支持して長時間の横臥にも
床ずれを防止することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】一部を切除したエアマットの斜視図である。

【図２】他の実施例に係る一部を切除したエアマットの
平面図である。

【図３】使用者がエアマットに臥位した場合の体圧の関
係を示す側面図である。

【図４】第３発明の実施例に係るエアマットの斜視図で
ある。

【図５】他の実施例にかかるエアマットの斜視図であ
る。

【図６】第４発明の実施例にかかるエアマットの斜視図
である。

【図７】各種マットの横臥体の各部位の体圧の測定値を
示したものである。

【符合の説明】

１マット本体２仕切壁３邪魔板４溝間隙５打抜孔６エアホース７空気袋８シート袋

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】空気密封性軟質材料からなるエアマット
において、空気室となるマット本体の内部に軟質シート
材料からなる隔壁を設けて複数個の空気室を構成し、当
該隔壁間には空気が流通可能な通孔を設けて、マット内
部での空気がゆっくり移動するように制御するようにし
たことを特徴とするエアマット。
【請求項２】エアマット本体の内部に設けられる隔壁
の高さが６０ｍｍ〜１２０ｍｍであることを特徴とする
請求項１記載のエアマット。
【請求項３】エアマット本体の一部を局部的に打ち抜
き、この周囲を壁面シートでシール接合した円孔を形成
し、該円孔に着脱嵌合する大きさで、内部に数個の隔壁
を設けた空気袋にマット本体と連通するエアホースで連
接して、マット本体と空気袋との内圧を同一になるよう
にした請求項２記載のエアマット。
【請求項４】内部に隔壁を形成した空気枕、肩部、腕
部となるマット本体の側部に形成した空気袋、足パット
用空気袋をマット本体に設けると共に、上体起伏用空気
袋を設けてなるエアマットにおいて、空気枕はマット本
体に、肩部、腕部となるマット本体の側部に形成した空
気袋は上体起伏用空気袋にそれぞれエアホースを介して
連通し、足パット用空気袋は単独で膨縮可能に形成した
ことを特徴とする請求項１記載のエアマット。