JPH057519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は縦型圧縮機に係り、特に高圧ドーム方
式の縦型圧縮機の油分離に関する。

従来技術 従来の高圧ドーム方式の縦型圧縮機において
は、第４図（特開昭57−129287号公報）に示す如
く電動機３下部に位置する圧縮機構２から吐出さ
れる冷媒ガス中には、ミスト状になつた多量の潤
滑油が含まれており、この油滴が、ステータ４の
外周面４ａとケーシング１との間にある間隙１０
を通つて圧縮機外の冷凍回路に吐出されるのみな
らず、吐出される冷媒ガスが圧縮機のケーシング
１の下部の油溜１３の潤滑油表面に噴射され、油
面を乱して潤滑油を捲き上げて冷凍回路に冷媒ガ
スとともに吐出され、潤滑油が不足して圧縮機の
焼損を起こしたり、また冷凍回路中の熱交換器の
効率を低下させるなどの欠点がある。また、最近
の如く電源の周波数を増減させて圧縮機の回転数
を変化して能力を変化させるものにあつては、こ
の傾向が特に問題となつているものである。

目 的 そこで本考案は、従来の圧縮機の構造を大幅に
変更することなく、簡素な構造の油分離器を圧縮
機内の空所に配設することにより、吐出冷媒ガス
より潤滑油を分離し、また油溜の油面の乱れを防
止して圧縮機内の潤滑油量を確保することを目的
とするものである。

構 成 本考案は、ケーシング内に圧縮機構を下部に、
電動機を上部にそれぞれ内蔵し、該圧縮機構の吐
出口より電動機側に吐出する冷媒ガスを、電動機
のステータの軸方向の外周面を切欠いで、該外周
面とケーシング内面との間に形成させた間隙を経
由して電動機上部のケーシングを貫挿した吐出管
より冷凍回路に吐出するとともに、圧縮機構下部
のケーシング内空間を油溜となした縦型圧縮機に
おいて、冷媒流通方向に対して前記間隙の風上側
であつて、かつ前記圧縮機構上面と、電動機下面
との間に形成される空間内に金網状のフイルタエ
レメントを筒状に設けたことにより、冷媒ガス中
の潤滑油を完全に分離し、かつ油面の乱れを少な
くし圧縮機内の潤滑油を確保するものである。

実施例 以下、本考案を第１図ないし第２図に示す一実
施例に基づいて詳細に説明する。

付号１は圧縮機のケーシングであり、該ケーシ
ング１内に圧縮機構２を下部に、電動機３を上部
にそれぞれ内蔵している。４および５は電動機３
のステータおよびロータであり、ステータ４は軸
方向にその四隅を第２図の如く切欠き、ステータ
４の外周面４ａとケーシング１内面との間に間隙
１０を形成している。６は冷媒ガスを圧縮するシ
リンダ、７はシリンダ６を覆うフロント軸受、８
はフロント軸受に穿設され圧縮された冷媒ガスを
吐出する吐出口、１１は電動機３上部のケーシン
グ１の空間、１２はケーシング１の上部を貫通し
冷媒ガスを圧縮機外部の冷凍回路へ吐出する吐出
管、１３は圧縮機構２下部のケーシング１内空間
に形成した油溜である。

しかして、１４は本考案の特徴をなすフイルタ
エレメントであり、該フイルタエレメント１４は
線径約0.25mm、線間のピツチ約1.5mmの金網のシ
ートを環状にし、その外形がケーシング１の内径
よりやや小さく、かつステータ４のコイル４ｂの
外形よりやや大なる如くし、かつ、その長さをス
テータ４の下方より圧縮機構２の上方に達する寸
法とほぼ等しく形成するとともに該フイルタエレ
メント１４を冷媒流通方向に対して気密状に前記
間隙１０の風上側に位置し、ケーシング１に内接
して筒状に配設するものである。

なお、前記フイルタエレメント１４の材質は、
前記金網のほか繊維で形成しても良いものであ
る。

かくの如く形成した縦型圧縮機の作用について
説明する。圧縮機構２のシリンダ６に吸入された
冷媒ガスはシリンダ６によつて圧縮され、フロン
ト軸受７に穿設された吐出口８を経由してロータ
５に向かつてケーシング１内に吐出され油分を含
んだ状態でその大部分がケーシング１内面とステ
ータ４の外周面４ａとの間の間隙１０を流通する
とともに、一部は電動機３下部に衝突してケーシ
ング１内面に向かい、油溜１３の油面を経て間隙
１０を流通するのである。そして、このように流
通した冷媒ガスは電動機３上部のケーシング１の
空間１１に導かれ、ケーシング１の上部を貫通せ
る吐出管１２より冷凍回路に吐出される。このと
き、金網状のフイルタエレメント１４が冷媒ガス
流通方向に対して前記間隙１０の風上側であつ
て、かつ前記圧縮機構２上面と、電動機３下面と
の間に形成される空間内に、冷媒流通を阻止する
如く筒状に設けられているため、冷媒ガス中に含
まれた潤滑油はフイルタエレメント１４により捕
捉されて冷媒ガスと分離され、冷媒ガスのみがフ
イルタエレメント１４を通過して吐出されるとと
もに、分離された潤滑油は下部の油溜１３へ落下
し、冷媒ガス中に含まれた潤滑油が完全に分離さ
れるものである。また油溜１３に向かつて流通す
る冷媒ガスについても吐出口８を出てフイルタエ
レメント１４を通過する際、その流通速度は落
ち、かつ一旦通過したガス中の油量は減少してい
るため油面にその冷媒ガスが到達しても油面の乱
れは少なく、油の捲き上げを防止しているのであ
る。

効 果 本考案は叙上の如く、従来の圧縮機の構造を大
幅に変更することなく、簡素な構造のフイルタエ
レメントを、冷媒流通路となるケーシングとステ
ータ間隙の風上側に配設するだけの簡単な構成に
より、吐出冷媒ガス中の潤滑油を完全に捕捉する
とともに、吐出冷媒ガスによる油面の乱れによる
油の捲き上げを防ぐものであり、かくして、第３
図図示の如く圧縮機外に吐出される油量は、電源
周波数40〜80Hzの範囲で本考案装置は従来の30〜
40％であり、きわめてわずかであることが分る。

ここで、曲線Ａは本考案圧縮機、曲線Ｂは従来
例の圧縮機の性能を示す。

この現象は、最近の如く電源の周波数を増減さ
せて圧縮機の回転数を変化して能力を変化させる
ものにあつては特に効果が大であり、圧縮機内に
十分の潤滑油を確保できるものである。

この結果、潤滑油の充填量を少なくでき、圧縮
機の小型化が可能になるとともに、圧縮機外の冷
凍回路に吐出される潤滑量が減少し、吐出された
潤滑油が冷凍回路中の熱交換器の管内壁に付着し
て熱交換効率を低下させる欠点が解消され、熱交
換効率が向上するなど秀れた効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第２図は本考案の実施例に係る縦
型圧縮機であり、第１図は縦断面図、第２図は第
１図の−線の横断面図、第３図は本考案と従
来例との圧縮機外に吐出される油量と電源周波数
との関係を示す図、第４図は従来装置の縦断面図
である。 １……ケーシング、２……圧縮機構、３……電
動機、４……ステータ、４ａ……外周面、４ｂ…
…コイル、５……ロータ、６……シリンダ、７…
…フロント軸受、８……吐出口、１０……間隙、
１１……空間、１２……吐出管、１３……油溜、
１４……フイルタエレメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシング１内に圧縮機構２を下部に、電動機
   ３を上部にそれぞれ内蔵し、該圧縮機構２の吐出
   口８より電動機３側へ吐出する冷媒ガスを、電動
   機３のステータ４の軸方向の外周面４ａとケーシ
   ング１内面との間に形成させた間隙１０を経由し
   て電動機３上部のケーシング１を貫挿した吐出管
   １２より冷凍回路に吐出するとともに、圧縮機構
   ２下部のケーシング１内空間を油溜１３となした
   縦型圧縮機において、冷媒流通方向に対して前記
   間隙１０の風上側であつて、かつ前記圧縮機構２
   上面と、電動機３下面との間に形成される空間内
   に金網状のフイルタエレメント１４を筒状に設け
   たことを特徴とする縦型圧縮機。