JPS6120311Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は下部に圧縮機構部と上部に電動機部を
ハウジング内に密閉して、前記電動機固定子の外
縁がハウジング内壁面に密接する冷媒ガス圧縮機
の改良に係るものである。

本考案はハンジング内上部即ち電動機固定子の
上部に吹き上げられた潤滑油が再び下部の油溜め
部へ流下する油戻しなどの通路を、電動機固定子
の外縁部を利用して設け、前記電動機の効率を低
下さすことなくより効果的に運転できるようにす
ることを目的とするものである。

従来、小型冷凍用に用いられる回転冷媒ガス圧
縮機においては、往復式に比較してその構造上の
利点から圧縮機外形（ハウジング外形）より小型
化を目指すため、ハウジング上部に設けられる電
動機固定子は、圧入等の工作法によつて、ハウジ
ング内側にその外縁部のほとんど密接して組立て
る構成が主に行なわれている。これを更に詳しく
第１図に沿つて説明する。

第１図は従来の冷媒ガス圧縮機の上部に設けら
れた電動機部の切断平面図である。

従来はハウジング１内側に電動機固定子２の外
縁が密着して固定されるため、電動機固定子２の
外縁部には吐出冷媒ガスおよび潤滑油流動のため
の通路、すなわち固定子部の半月状切切欠き部３
が設けられる必要があつた。すなわち回転子４と
固定子２の間には電動機のエアギヤツプ５を有す
るが、この通路のみでは前記流体の通路として不
足するからである。しかしこの様な従来例におい
ては以下に説明するような問題点があつた。流体
通路を確保するため電動機固定子２の外縁の一部
に半月状切欠部３を構成することにより、固定子
２の半月状切欠部３の付近６のみの電動機磁束密
度が高まり、電動機効率の低下を招いていた。特
に圧縮機が高速運転化する際には、吐出冷媒ガス
および潤滑油流動路の必要面積（平面図におい
て）増加の理由から、半月状切欠部３の開口面積
を拡げなければならず、電動機効率の低下、ひい
てはエネルギ有効利用に反する特性を呈する傾向
が強かつた。又、切欠き部が固定子の外縁部全周
にほぼ均等に配置していないので潤滑油の流下し
にくい部分（切欠きの無い固定子外縁側部分）が
あつた。本考案は前記従来例の問題点を解消した
冷媒ガス圧縮機を提供するものである。

そのための構成として、本考案は、ハウジング
内の下部に圧縮機構部、上部に電動機部を構成し
て全体を垂直に設け、ハウジング内壁面に接する
電動機固定子の外縁部で電動機巻線用の多数のス
ロツト群に対して電動機固定子の中心部からみて
スロツト間の放射線上に、任意断面形状の油戻し
などの通路を全周に亘つて設け、ハウジング内部
空間の循滑油の油滴を前記油戻しなどの通路を介
してハウジング下部の油溜め部に流下させたもの
である。

以下添付図面第２図〜第４図に沿つて本考案の
一実施例を説明する。

第２図は本考案の一実施例の一部断面図であ
る。ハウジング１０内の下部に圧縮機構部１１、
上部に電動機部１２を有する。圧縮機部１１から
吐出される吐出冷媒ガス中には、かなりの潤滑油
が油滴および微細油ストの状態で含まれていて、
この混合冷媒ガスは固定子１３と回転子１４との
間の電動機エアギヤツプ１５および油戻しなどの
通路１６を流動して上部空間１７に達する。ここ
で混合冷媒ガス中に含まれる多くの潤滑油成分が
粒子状態から液体状態へと変化し、潤滑油液は上
部空間１７から固定子１３の油戻しなどの通路１
６を流下して下部の油溜め部１８に帰環し、適量
の潤滑油が前記油溜め部１８に確保される。

この作用をさらに詳しく説明すると、上部空間
１７に達した循滑油混合冷媒ガスは電動機エアギ
ヤツプ１５および油戻しなどの通路１６から上部
空間１７に吐出されたことになる。上部空間１７
に至つた循滑油混合冷媒ガスは流速も遅くその中
に含まれる潤滑油成分は前記ガス中を浮遊流動し
ながら他の潤滑油成分と合体し、次第に大きな油
滴となつてそれ自身の質量によつて落下したり、
ハウジング内壁面に付着して液状となるものであ
る。

そして油戻しなどの通路１６から潤滑油液が流
下するかどうかは潤滑油混合ガスおよび潤滑油液
の粘性係数、流速、通路１６の相当直径および総
面積、重力加速度を加味した実験式から求めるこ
とができるものである。なわち多数の油戻しなど
の通路１６の総開口面積を任意に設計することに
よつて、最高回転数時で通路１６の上向きガス流
が高い場合にでもハウジングの上部空間１７から
液状潤滑油をハウジング下部の油溜め部１８へ上
向き流れのガスと慣性に逆らつて帰環させること
が電動機効率を損わずに可能とするものである。

すなわち油戻しなどの通路１６の開孔形状、相
当直径は最高回転数時にも十分に液状潤滑油が通
路１６の内壁面に沿つて流下するよう、上向きの
潤滑油混合冷媒ガスの流速が小さくなるように決
定される。

第３図は電動機部の平断面図である。ハウジン
グ１０内面には、電動機固定子１３が密接され、
前記電動機固定子１３は回転子１４との間にエア
ギヤツプ１５を有するとともに外縁側部に油戻し
などの通路１６を多数構成する。したがつて電動
機部としてはエアギヤツプ１５と多数の通路１６
を有するが、通路１６は主に油戻しの機能を果
す。

第４図は油戻しなどの通路の一部平断面図であ
る。電動機固定子１３は電動機巻線用の多数のス
ロツト１９を有する。互いに隣接する多数のスロ
ツト１９群に対し、電動機固定子１３の中心部Ｏ
からみてスロツト１９の間の放射線上の固定子外
縁側部に油戻しの通路１６を配置している。油戻
しなどの通路１６の断面形状は必要面積から設計
される任意形状でよい。

本考案の冷媒ガス圧縮機は、ハウジング内壁面
に接する電動機固定子の外縁側部に、電動機に設
けた各スロツトとスロツトの間の放射線上に位置
する油戻しなどの通路を全周に亘つて設けたもの
で、固定子に設けられたスロツトとスロツトの間
に位置する油戻し通路は、従来のようにスロツト
と固定子外縁（即ちハウジング内面）までの距離
を狭くすることがないので、固定子の全周に渡つ
てほぼ均一な磁束密度の分布を得ることができ、
電動機効率を従来に比較して大幅に改善できると
いう省エネギ的効果をもたらすことや固定子外縁
側部に油戻しなどの通路を形成することで、圧縮
機上部空間からの潤滑油の下部油溜め部への流動
が従来に比較して容易に行なわれて下部油溜め部
の潤滑油量の確保が行なわれることや固定子外縁
部の通路の面積は電動機の効率をなうことなく任
意に拡大できるので、圧縮機の高速運転化に伴う
潤滑油および吐出冷媒ガスの流動量の増加に対し
てもよく適応できるきわめて実用的効果の大なる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の冷媒ガス圧縮機の平断面図、第
２図は本考案の一実施例における冷媒ガス圧縮機
の一部縦断面図、第３図は同冷媒ガス圧縮機の電
動機部の平断面図、第４図は要部の一部平断面図
である。 １０……ハウジング、１１……圧縮機構部、１
２……電動機構部、１３……電動機固定子、１６
……油戻しなどの通路、１９……スロツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンジング内の下部に圧縮機構部、上部に電動
   機部を構成して全体を垂直に設け、ハウジング内
   壁面に接する電動機固定子の外縁部で電動機巻線
   用の多数のスロツト群に対して電動機固定子の中
   心部からみてスロツト間の放射線上に、任意断面
   形状の油戻しなどの通路を全周に亘つて設け、ハ
   ウジング内部空間の循環油の油滴を前記油戻しな
   どの通路を介しハウジング下部の油溜め部に流下
   させた冷媒ガス圧縮機。