JPH0574697U - 固定床式廃水処理設備における固定床支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 筒状網体を固定床として利用する排水処理設
備において、網体のメンテナンスを容易にし、かつ排水
抜取などを最小限にした固定床支持装置をうることを目
的とするものである。 【構成】 筒状網体を収納固定する支持枠を小支持枠と
して、カートリッジ式に構成し、これを複数大きな枠体
に支持させる構造として、小固定床体を一つ一つ別個に
懸吊可能とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本案は固定網を利用し、微生物を付着させて生物学的廃水処理を行う排水処理 設備における固定網の支持装置に関するもので、食品工業、薬品工業、畜肉産業 、魚介類加工産業など、生物学的な排水処理設備において広く利用可能な固定床 式廃水処理設備における固定床支持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

廃水処理設備において、微生物が付着し活性汚泥を養生させるフィルム、もし くはシート状の膜体を複数処理槽内に配置したものが実開昭４９ー１１０９６１ 号公報に示されている。また合成樹脂線状で構成される網体を処理槽内に配置し 、バクテリアを付着させて排水処理を行うものが実開昭５０ー７３２６４号公報 に示されており、回転軸に架装されたエンドレス網体に微生物を付着させて排水 処理を行い、網体の回転によって汚水の流入を複雑にすることで、微生物の繁殖 を推進すると共に適度な自然掻き取りが行われ、処理面を有効に利用するものが 実開昭５３ー８０５８号公報に示されていて、更に生物膜接触酸化方式による排 水処理において網状体を一定間隔で支持し、着脱自在となるように上フレームと 下フレームを構成したものが実開昭５３ー９３９５８号公報でそれぞれ示されて いる。 以上のものは何れも平面状のフィルム、もしくはシート状の膜体か、網体を利 用した固体床式排水処理方法であるが、近年では、一定長の筒状の網体で形成し たものが用いられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

以上の如く網体を利用した固定床式排水処理方法であると、これは平面状網体 であるため一辺の長さが槽の幅となり、他の一辺が槽の深さのものとなってその 面積が大きくなり槽内への配置や、取り出しに手間がかかる。しかるに一定長の 筒状網体で固定床式排水処理装置を構成するものでは、筒状網体を複数個支持枠 内に配置することで平面状網体よりも管理がしやすくなっている。 しかし、筒状網体は支持枠がなければ槽内において支持が不可能であり、したが って支持枠を形成して配置されるが、従来はこの支持枠が槽の容積に匹敵する容 積をもった大きさとならざるを得なかった。

【０００４】 このため網体のメンテナンスによる取り換え時などは、網体一本が軽量であり 、かつ取り出し易いため手間のかからぬ作業であったが、そのためには支持枠全 体を懸吊するか槽内の排水をすくなくとも半量抜きとる必要があった。 そこで、本案は筒状網体を固定床として利用する排水処理設備において、網体の メンテナンスを容易にし、かつ排水抜取などを最小にした固定床支持装置をうる ことを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本案は以上のような目的を達成するため、次のような固定床式廃水処理設備に おける固定式支持装置を提供するものである。 すなわち、固定床として一定の筒状に成形した固定網を複数個固定枠内に配置し て、この網部に微生物を付着固定させる生物学的排水処理設備において、前記円 筒状固定網が小枠内に複数個配置されて一つの小固定床を形成し、更にこの小固 定床を複数個配置できるよう大枠を構成して、小固定床は大枠に着脱自在に固定 されると共に、小固定床自体は互いに独立して小固定床一つ一つを別個に懸吊可 能とした固定床式廃水処理設備における固定床支持装置である。

【０００６】 又、以上の小固定床の上部フレームが着脱自在か、もしくは開閉自在に構成さ れ、円筒状固定網が小固定床単位で入れ替え可能に構成したものである。 更に、以上のような小固定床のフレームに沿って流体の噴出孔を多数設けた配管 を配置し、その配管の上端部が他の管と接続可能に構成され小固定床単位で、洗 浄や曝気を可能なように構成したものである。

【０００７】

【作用】 固定床として一定長の筒状に成形した固定網を固定枠内に複数個配置して、一 つの小固定床を形成し、この小固定床を一つ一つ別個に懸吊できるので不必要な セクションを外して点検ができる。

【０００８】

【実施例】

以下図面に示す実施例について説明する。 図１は微生物を付着させて生物学的廃水処理を行う排水処理設備における固定 網の支持装置を示すもので、図２、３、４はその大枠（Ａ）を示し、図５、６、 ７はその大枠に設置される小固定床を構成する小支持枠（Ｂ）を示すものである 。 そこで、大枠（Ａ）について説明すると、図２は平面図、図３は正面図、図４は 側面図である。 大枠（Ａ）は平面視矩形の上部フレーム（１）と同形の下部フレーム（２）の四 隅を角主柱（３）（３）（６）（６）で連結し、更に長辺方向の前後の両中間面 を面支柱（４）（４）（５）（５）でそれぞれ連結して、１つの櫓を形成してい る。 各支柱は下部フレーム（２）より下方に延長（３ａ）（３ａ）（４ａ）（４ａ） （５ａ）（５ａ）（６ａ）（６ａ）していて、この延長した部分によって構成さ れる正面はステー（７）で三角状に補強連結され、延長（３ａ）（３ａ）及び（ ６ａ）（６ａ）によって構成される側面もステー（８）で、三角状に補強連結し ている。

【０００９】 上部フレーム（１）と下部フレーム（２）との間の正面の支柱間は、交叉ステ ー（９）で補強し、側面の支柱間は交叉ステー（13）で補強している。 又、下部フレーム（２）は縦ステー（10）と横ステー（11）で格子状に補強され 、更に横ステー（11）（11）間及び下部フレーム（２）の短辺と横ステー（11） 間がそれぞれ交叉ステー（12）で補強されていて、これ等のものによって構成さ れる面上に後述する小固定床を構成する小支持枠（Ｂ）が載置される。 そこで大枠（Ａ）内に設置される小固定床を構成する小支持枠（Ｂ）について 説明すると、図５は平面図、図６は正面図、図７は側面図を示すものである。 小支持枠（Ｂ）は、矩形状の上部フレーム（14）と同形の下部フレーム（15）と を、左右の縦ステー（16）（16）（17) （17）で角隅を連結して箱形に形成し、 その前後面は横ステー（21）で、又左右の側面は縦ステー（19）と横ステー（18 ）とで格子状に補強している。そして、前後面の上下に網体（29）が張設され、 後述する円筒状固定網（Ｃ）が小支持枠（Ｂ）から外れないようになっている。 又、下部フレーム（15）は横ステー（20）で連結していて、このフレーム上に図 示しない網体が敷設されて、この上に円筒状固定網（Ｃ）が多数直立状態に載置 される。

【００１０】 以上のように円筒状固定網（Ｃ）の内装された小固定床を構成する小支持枠（ Ｂ）は大枠（Ａ）内に数個内装される。内装に当っては、大枠（Ａ）の上部フレ ーム（１）側から下部フレーム（２）上に装入されるもので、図示のものは大枠 の長辺方向に向かって相隣るように装填される。このようにして小支持枠（Ｂ） は大枠（Ａ）に着脱自在に装置され、小固定床を形成するもので、小固定床自体 は互いに独立して一つ一つを別個に懸吊可能に図８のような吊上フック（28）を 設ける。

【００１１】 図８は円筒状固定網（Ｃ）を内装した小支持枠（Ｂ）の上部フレーム（14）に 、開閉蓋（27）を蝶着したものを示したが、開閉蓋の代わりにボルトナットで固 定できる蓋体を設けてもよいもので、この蓋体で円筒状固定網（Ｃ）を固定する 。勿論蓋体には汚水が流通できるように網体が張設される。 図９のものは小支持枠（Ｂ）に沿って流体噴出孔を多数設けた配管のあるもの が図示されている。 図示のものは上部フレーム（14）に沿って平面視矩形状の主噴出管（22）があ り、これから縦ステー（16）（17）に沿って技噴出管（23）が分岐している。 主噴出管（22）には連結管（24）があり、このフランジ（25）で他の小固定床の 噴出管の連結管と接続され、フランジ部分で小固定床同志が分離可能であり、又 連通可能である。 そして連結管の端部は液体又は気体の送水、又は通気装置に連結される。 又、以上のような噴出管（22）（23）にはその噴出口（26）が内側に開口してい る。したがって、以上の噴出管（22）（23）の噴出口（26）から液体もしくは気 体を噴出させて固定網（Ｃ）を洗浄したり曝気することができる。 これによって洗浄や曝気が小固定床単位で行え、排水負荷に応じた細かな管理が 可能になる。

【００１２】 噴出管の配管方法は図示のものに限定されるものではなく、又管は細くてもか まわないため、図示のようにフレーム内に設置しても固定網（Ｃ）の挿入には邪 魔とならない。その他噴出管は大枠には必要はない。 以上、何れにしても本案のものは、筒状固定網を収納固定する支持枠を小支持 枠としてカートリッジ式に構成し、これを複数大きな枠体に支持させる構造とし たもので、これによって筒状固定網の管理が容易となり、メンテナンスが一名で 実施可能になると共に大きな設備を必要とせず費用、安全性、作業性が改善でき る。 その他、小支持枠や大枠の構造は図示のものに限定されるものではなく、本案の 精神の範囲内において任意に変更しうるものである。

【００１３】

【考案の効果】

本案のものによれば、円筒状固定網を複数配置した小固定床をカートリッジ式 に大枠内に納めることができて、小固定床を一つ一つ別個に大枠から取り出す事 ができるので、抜取に当たって小固定床を構成する支持枠の頭部が水面上に現れ るだけの排水抜取で良いため準備に手間がかからないと共に、未処理水の流出を 防止できる。 又、小固定床を一つ一つ別個に懸吊可能なため一人で作業でき、かつ点検が段 階的に実施できるので作業性がよいし、メンテナンスの不必要なセクションを外 して作業が可能であり、網の管理が細部にわたってできるのでバルキングなど処 理上の事故を減少させることができる。 更に小固定床に配置される液体、もしくは気体の噴出管により網の洗浄や曝気 が小固定床単位で行え、排水負荷に応じた細かな管理が可能になる。 更に、季節によって排水負荷の変動が大きい処理設備の場合においては、その状 況によって小固定床の数を操作でき、処理槽の容積を有効に利用することができ ると共に、排水管理費用を低減できるし、固定床の懸吊設備が小型のもので可能 となり設備費用を低減できるという特徴がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案装置の斜面図である。

【図２】本案装置における大枠の平面図である。

【図３】同上正面図である。

【図４】同上側面図である。

【図５】本案装置における小固定床の平面図である。

【図６】同上の正面図である。

【図７】同上の側面図である。

【図８】本案装置における小固定床の斜面図である。

【図９】本案装置における小固定床に噴出管を備えたも
のの要部の斜面図である。

【符号の説明】

Ａ 大枠 Ｂ 小固定床 Ｃ 円筒状固定網 ２２ 噴出管 ２７ 開閉蓋 ２８ 懸吊フック

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定床として一定長の円筒状に成形した
   固定網を複数個固定枠内に配置して、この網部に微生物
   を付着固定させる生物学的排水処理設備において、前記
   円筒状固定網が小枠内に複数個配置されて一つの小固定
   床を形成し、更にこの小固定床を複数個配置できるよう
   大枠を構成して、小固定床は大枠に着脱自在に固定され
   ると共に小固定床自体は互いに独立して小固定床一つ一
   つを、別個に懸吊可能とした固定床式廃水処理設備にお
   ける固定床支持装置。
2. 【請求項２】 小固定床の上部フレームが着脱自在か、
   もしくは開閉自在に構成され、円筒状網が小固定床単位
   で入れ替え可能とした請求項１記載の固定床式廃水処理
   設備における固定床支持装置。
3. 【請求項３】 小固定床のフレームに沿って流体噴出孔
   を多数設けた配管を配置し、その配管の上端部が他の管
   と接続可能に構成され小固定床単位で洗浄や曝気を可能
   とした請求項１、２に記載の固定床式廃水処理設備にお
   ける固定床支持装置。