JPH0574173U - 永久磁石界磁型電動機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 分割型永久磁石を備えたロータを電動機組立
後に着磁する永久磁石界磁型電動機において、ロータの
外周面の磁石の分割部分をまたいで一つの極が着磁され
ないようにすることで、永久磁石の磁束分布が一様にな
るようにする。 【構成】 電機子鉄心の歯先または歯先付近に電機子巻
線の励磁により発生する磁極位置に対応する目印Ａ１１
を設けた電機子と、端板または保護パイプの軸方向端部
の外径付近に永久磁石の磁極位置に対応する目印Ｂ１２
を設けた永久磁石回転子とを備えることにより、永久磁
石の磁束分布が一様になる永久磁石界磁型電動機がえら
れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は永久磁石を用いた電動機の電機子と界磁の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ロータに永久磁石の界磁を使用した永久磁石界磁型電動機は図４のごとく断面 がアーク状の複数個の磁石１を鉄心２の外周に固定した後、磁石１が運転中の遠 心力により飛散するのを防止するためロータの両端面を端板３で、また外周をパ イプ４の保護材で覆っている。前記界磁磁石１は別に着磁ヨークで（図示せず） 所定の磁極に着磁され界磁５を構成し、電機子６の内径に組み込まれている。

【０００３】 一方、ステータの電機子鉄心７は複数個のスロット８と複数個の歯９を有し、 前記スロット８に界磁極に対応する電機子巻線１０が巻装され、この巻線１０に 通電することにより界磁（ロータ）５にトルクを発生させている。

【０００４】 前記着磁に際しては、永久磁石１の分割部分を着磁器の極間に配置することに より、永久磁石１の界磁分布が一様になるようにして、電動機の運転時の振動や 騒音を低減するとともに、界磁の総磁束量を多くすることができ電動機の特性の 向上を図っている。

【０００５】 このような電動機の着磁において着磁器を用いず、電機子巻線を用いて電動機 組立後に着磁をおこなう方法がおこなわれている。これは電機子（ステータ）と 界磁（ロータ）とを組立てた後、電機子巻線に大電流を短時間通電するもので、 着磁ヨークによる方法にくらべ組立後に着磁するため組立の途中で電機子（ステ ータ）に働く界磁（ロータ）の吸引作用がないので組立作業が容易であるなどの 利点がある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】 しかしながら上述した着磁方法では、界磁の永久磁石が複数個のアーク状に分 割され、これが外部を保護部材で覆われているため、永久磁石の分割部が判別で きないので電機子巻線に通電することにより生ずる磁極の位置と、永久磁石の所 定の位置とを合致させることができず、理想的な着磁が得られないので電動機の 振動・騒音が増し、特性を損ねるという問題があった。

【０００７】 本考案は上記問題に鑑み、電機子の磁極と界磁の磁極との位置関係が判別でき るしるしをあらかじめ決められた位置に設け、界磁の所定位置への着磁を容易に かつ磁束分布を一様にして総磁束量を高めようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

従来の課題を解決するために本考案は、電機子鉄心の少なくとも１個の歯先部 分または歯先付近の鉄心積厚方向の少なくとも端部に、電機子巻線がなす磁極の 位置関係を示す切欠けＡを設けるとともに、界磁ロータの端板または保護パイプ の少なくとも一方の軸方向端部の外周付近に、永久磁石の磁極の位置関係を示す 切欠けＢを設け、この電機子の切欠けＡとロータの切欠けＢを位置合せした後、 前記電機子巻線により前記アーク状永久磁石に所定の着磁をしてなるものである 。

【０００９】

【作用】

上記構成によれば、無着磁の界磁磁石を電機子に組み込み、電機子鉄心歯先に 設けた切欠けＡと界磁端部の外周付近に設けた切欠けＢを目視あるいは治具等に より円周方向に合致させ、界磁の所定の位置に所定の着磁をおこなうことにより 、安価で振動の少ない高性能な永久磁石界磁型電動機を得ることができる。

【００１０】

【実施例】

以下本考案の一実施例による永久磁石界磁型電動機を図面により説明する。

【００１１】 図１は本考案の一実施例による永久磁石界磁型電動機の電機子鉄心の平面図で ある。７は電機子鉄心、８は電機子巻線を収納するスロット、９は複数の歯、１ １は切欠けＡを示す。切欠けＡ１１は電機子鉄心７の歯９の少なくとも１個に電 機子鉄心７の積厚方向の少なくとも端部に設けられている。また、図２は本考案 の一実施例による永久磁石界磁型電動機の界磁の断面を示す図面である。１はア ーク形状の永久磁石、３は端板、４は保護パイプで、これらは従来例と同じであ る。１２は端板３に設けた切欠けＢを示し、界磁５の少なくとも一方の軸方向端 部の外径付近に少なくとも１個設けられている。

【００１２】 図３は本考案の一実施例による電機子と界磁を用い永久磁石１を着磁する時の 電機子６と界磁５との相対位置を示す図である。電機子鉄心７の歯９に設けた切 欠けＡ１１と、界磁端板３に設けた切欠けＢ１２の円周方向位置を合せることに より、電機子巻線（図示しない）のなす磁極１３と永久磁石１の位置関係を規定 することができるので永久磁石１の所定の円周方向位置に所定の磁極を着磁する もので、電機子６の無磁界位置に設けた切欠けＡ１１と界磁磁石１の分割部分に 設けた切欠けＢ１２とを、円周方向に合致させることにより夫々の磁石の着磁分 布を一様にできるとともに、総磁束量を最も多くすることができる。

【００１３】 これにより電動機は、振動・騒音が少なく、かつ高特性のものとすることがで きる。なお、電機子界磁に設ける切欠け等のしるしは外観上容易に判別できるも のであれば形状は任意である。

【００１４】

【考案の効果】

本考案により、永久磁石の所定の円周方向位置に所定の磁極を着磁することが できるため、振動・騒音が少なく、性能の良い永久磁石界磁型電動機を提供する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による永久磁石界磁型電動機
の電機子鉄心平面図

【図２】本考案の一実施例による永久磁石界磁型電動機
の界磁を示す図

【図３】本考案の一実施例による永久磁石界磁型電動機
の永久磁石を着磁する時の電機子と界磁の磁極の相対位
置を示す図

【図４】従来の永久磁石界磁電動機の電機子と界磁を示
す図

【符号の説明】

１ 永久磁石 ３ 端板 ４ 保護パイプ ７ 電機子鉄心 ８ スロット ９ 歯 １１ 切欠けＡ １２ 切欠けＢ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のアーク状の断面を有する永久磁石を
   備え、この永久磁石を鉄心の外周に固定し、前記鉄心の
   端部と前記永久磁石の端部を共に覆う端板を両端部に設
   け、前記永久磁石の外周は保護パイプで覆ったロータ
   と、巻線を巻回した電機子とを有する永久磁石界磁型電
   動機において、電機子鉄心の歯先または歯先付近の積厚
   方向の少なくとも端部に電機子巻線がなす磁極の発生方
   向に対応した切欠けＡを設け、前記ロータの端板または
   保護パイプの軸方向端部の外径付近に前記永久磁石の磁
   極の発生方向に対応した切欠けＢを設け、前記電機子の
   切欠けＡと前記ロータの前記端板または保護パイプの切
   欠けＢとを位置合せ後、前記電機子巻線により前記アー
   ク状永久磁石に所定の着磁をしたことを特徴とする永久
   磁石界磁型電動機。