JPH0573706U - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JPH0573706U
JPH0573706U JP1146292U JP1146292U JPH0573706U JP H0573706 U JPH0573706 U JP H0573706U JP 1146292 U JP1146292 U JP 1146292U JP 1146292 U JP1146292 U JP 1146292U JP H0573706 U JPH0573706 U JP H0573706U
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magnetic
groove
magnetic head
metal
film
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JP1146292U
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俊彦 佐藤
文人 小池
正路 斎藤
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 メタル磁性膜の金属磁性薄膜の成長方向を安
定化させる。 【構成】 非磁性体からなる一対のハーフコアがそれぞ
れ接合されている側面部には、溝部が形成され、この溝
部はハーフコアの側面に平行な底面と、2つの内側面か
らなり、前記内側面の一方は傾斜状態で媒体対向面に露
出されて磁気ギャップが形成され、他方は底面に対して
溝内部側に15度から75度の傾斜角度を有してなり、
一対の前記ハーフコアの内面を囲んで媒体対向面に露出
し媒体対向面において磁気ギャップを形成するメタル磁
性膜が形成されてなる磁気ヘッド。 【効果】 高周波対応を容易にし、磁気記録特性の向上
を図る。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、磁気回路の小型化をなし得るとともに高周波対応性を高めた新規な 構造の磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープに磁気記録される信号が高密度化されてくるに従い、高い残留磁束 密度を有する優れた磁性層を備えたメタルテープなどの磁気テープが使用されて きている。このメタルテープなどの高い抗磁力を有する磁気テープに適用される 磁気ヘッドは、その磁気ギャップにより発生される磁界強度を高くする必要があ る。また、記録される信号の高密度化に伴い、磁気ヘッドのトラック幅をより狭 くする必要がある。
【0003】 従来、このような要求を満たすために提供されている磁気ヘッドの一従来例と して、図14に示す構造の磁気ヘッドAが知られている。 この磁気ヘッドAは、磁気コア半体1、1をガラスなどの接合材で溶着一体化 してなるもので、各磁気コア半体1は、メタル磁性膜2を非磁性体からなる板状 のサイドコア半体3、3で挟んで一体化されている。前記メタル磁性膜2は、ス パッタなどの成膜法により高透磁率合金の金属磁性膜を積層してなるもので、メ タル磁性膜2の膜厚はトラック幅に等しい値にされている。なお、前記磁気ヘッ ドAの媒体対向面4は、磁気テープに摺動する際の抵抗などを考慮して曲面状に 研摩されている。
【0004】 また、媒体対向面4において、メタル磁性膜2、2が接合された部分には、非 磁性体からなるギャップ層が介在されて磁気ギャップが形成されるとともに、磁 気コア半体1、1が接合された部分において、一方の磁気コア半体1の側部には 、巻線窓6が形成されている。
【0005】 一方、前記要求を満たすために提供されている磁気ヘッドの他の従来例として 、図15と図16に示す構造の磁気ヘッドBが知られている。 この磁気ヘッドBは、一対のフェライト製の磁気コア半体11、11の側部に 凸部11aを形成し、凸部11aを覆うように金属磁性薄膜と層間絶縁層からな るメタル磁性膜14とギャップ層13を形成し、磁気コア半体11、11をギャ ップ層13を介して凸部11aどうしで突き合わせ、磁気コア半体11、11を ガラス層15、15で接合してなる構造であり、MIG(Metal In G ap)型と称されている磁気ヘッドである。
【0006】 このMIGヘッド型の磁気ヘッドBは、メタル磁性膜14を用いていない構造 のフェライトヘッドに比較すると、磁気ギャップから発生される磁界を強く急峻 なものとすることができるので、磁気記録の高密度化に対応することができる優 れたものであり、VTRの映像記録用の磁気ヘッド、あるいは、デジタルテープ レコーダー用の磁気ヘッドなどとして広く使用されている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
図14に示す従来の磁気ヘッドAにあっては、製造時において、磁気コア半体 1、1をガラスなどの接合材で接合する工程の他に、サイドコア半体3、3およ びメタル磁性膜2を一体化するためにこれらを接着剤などで接合する工程を行な わなくてはならず、製造工程が煩雑化する問題があった。 また、一般に磁気ヘッドを高周波対応とするためには、磁気回路を小型化する 必要があるが、図14に示す構成の磁気ヘッドAにあっては、メタル磁性膜2が サイドコア半体3、3の一面全部に形成されているのでこれ以上磁気回路を小型 化できない問題がある。
【0008】 一方、図15と図16に示す従来の磁気ヘッドBにあっては、フェライト製の 磁気コア半体11を用いているがために、フェライト材自体の磁気特性の限界が メタル磁性膜14の磁気特性を抑制するので高周波対応には限界があり、また、 磁気コアの大半がフェライト材で占められているため、磁気ヘッドのインダクタ ンスを小さくできない問題がある。
【0009】 そこで、上記問題の解決を図った図11及び図13に示す磁気ヘッドが、本願 発明者らによって、平成4年2月26日に出願されている。 図11ないし図13に示す磁気ヘッドCは、左右一対の磁気コア半体120、 120をそれらの側面部においてガラス部121、128により一体に接合して なるもので、磁気コア半体120、120の図1における上面側が媒体対向面 122とされている。 前記磁気コア半体120は、結晶化ガラスあるいはセラミックスなどの非磁性 体からなる略長方形板状のハーフコア123と、このハーフコア123の側部側 に形成されたメタル磁性膜124とを主体として構成されている。
【0010】 前記ハーフコア123がそれぞれ接合されている側面部には、溝部125が形 成され、この溝部125は、ハーフコア123の側面に平行な底面125aとこ の底面に対して傾斜された内側面125b、125bとからなり、2つの内側面 125bのうちの一方は、傾斜状態で媒体対向面122に到達されている。
【0011】 前記溝部125の底面125a上と内側面125b上には、高透磁率で飽和磁 束密度の高い軟磁性合金薄膜などからなる複数の金属磁性薄膜124aが、個々 に層間絶縁層124bを介して積層され、金属磁性薄膜124a…と層間絶縁層 124b…とによってメタル磁性膜124が形成されている。前記金属磁性薄膜 124aを形成する軟磁性材料は、飽和磁束密度が10000G以上のFe- Al-Si系合金、Fe-Ta-C系などの軟磁性合金、アモルファス合金など、 通常知られているフェライトよりも飽和磁束密度の高い軟磁性材料を適宜用いれ ば良い。
【0012】 また、磁気コア半体120のメタル磁性膜124において、ハーフコア123 に最も近い金属磁性薄膜124aは、媒体対向面122に露出され、図11に示 すように一対の磁気コア半体123、123のメタル磁性膜124、124の間 には、SiO2、Al23、CrSiO2などの非磁性層からなるギャップ層12 7が形成され、媒体対向面122側に磁気ギャップGが形成されている。 また、ハーフコア123、123が一体化されて、ハーフコア123、123 の接合部には6角形状の巻線窓126が形成されている。
【0013】 一方、図12に示すように、ハーフコア123、123の接合部における厚さ 方向両端部には、ハーフコア123、123の端部側を切り欠いて形成した接合 溝123aが形成されていて、この接合溝123aにもガラスが充填されてガラ ス部128が形成されている。また、前記接合溝123a、123aの間であっ て、ハーフコア123の側面部には、接合溝123a、123aに挟まれた凸部 123bが形成され、各ハーフコア123の凸部123bと前記金属磁性薄膜 124aで図3に示すようにギャップ層127を挟んで磁気ギャップGが形成さ れている。
【0014】 なお、図11に示す磁気ヘッドCの両側部には、前記巻線窓126に対応する 高さ位置に巻線溝129が形成され、一方の巻線溝129と巻線窓126の一端 部側を介して巻線コイルが設けられるように、また、他方の巻線溝129と巻線 窓126の他端部側を介して巻線コイルが設けられるようになっている。
【0015】 前記構造の磁気ヘッドCにあっては、ギャップ深さGdを3〜30μm程度、 層間絶縁層124bの厚さを0.01〜0.1μm程度、金属磁性薄膜124aの 厚さを5〜10μm程度、ギャップ層の厚さを0.1〜0.5μm程度とすること ができる。
【0016】 前記構成の磁気ヘッドCは、従来の磁気ヘッドと同様に、磁気テープなどの磁 気記録媒体に対する磁気記録と再生を行なうために使用する。それには、前記磁 気ヘッドCに設けた巻線コイルに通電して磁気ギャップGの外方に磁束の勾配を 形成してこれにより磁気記録媒体の所用の箇所の磁化を行なえば良い。 この場合、高透磁率で飽和磁束密度の高い金属磁性薄膜124aが磁気ギャッ プGの外方に急峻な磁界を生成させるので、抗磁力の高い磁性層を備えた磁気記 録媒体であっても余裕をもって磁気記録を行なうことができ、磁気記録の高密度 化に対応することができる。また、フェライト部分と金属磁性薄膜を用いた従来 のMIG型の磁気ヘッドに比較すると、フェライト部分が無いだけ高周波磁気記 録に有利である。
【0017】 また、溝部124に沿って形成されたメタル磁性膜124、124が巻線窓 126の周囲を囲むような環状の磁気回路を形成するので、図14に示す従来構 造の磁気ヘッドA、あるいは、図15と図16に示す従来構造のMIG型の磁気 ヘッドBと比較して磁気回路を小型化することができる。従って従来の磁気ヘッ ドよりも高周波対応に有利な特徴があり、磁気回路の小型化により磁気記録媒体 に記録された磁気情報を読み取り易くなり再生時の効率も向上させることができ る。 更に、磁気ギャップGに向けてメタル磁性膜124、124が傾斜しつつ接近 しているので、磁気ギャップGでの磁界発生に有利な形状になっている。
【0018】 このように上述した磁気ヘッドCは、前記従来の磁気ヘッドA及び磁気ヘッド Bにおける問題点を解消し、磁気コア半体を非磁性体で構成し、巻線窓の周囲部 分にメタル磁性膜を環状に配置して磁気回路を構成することで、磁気回路を小型 化して高周波対応を容易にした磁気ヘッドを提供することに成功したが、上記磁 気ヘッドCにおいても以下のような問題点を有する。
【0019】 上述した図11及び図13に示す磁気ヘッドCを構成するハーフコア123の 溝部125においては、金属磁性薄膜124aがスパッタリング等によって被着 形成された場合の、金属磁性薄膜124aの膜構造すなわち、その成長方向が、 溝部125の底部125aと内側部125b、125bにおいて、特には前記底 部125aと内側部125b、125bの折曲部αにおいて異ったものとなる。 従って、前記底部125a及び内側部125b、125b、そして特に、前記底 部125aと内側部125b、125bの折曲部αにおいて、透磁率が異なると いった不具合が生じる。
【0020】 上記のような問題は、前記磁気ヘッドCの溝部125上に形成される金属磁性 薄膜124aが、真空薄膜形成技術によって形成されるため、この金属磁性薄膜 124aが下地の影響等を受け、前記溝部125を構成する底部125a、内側 面125b、125bの傾きに応じて、前記金属磁性薄膜124aの成長方向が 一定に形成されず、結果的に膜の透磁率の低下をもたらすと考えられる。
【0021】 よって、前記金属磁性薄膜124aの透磁率や異方性は膜構造によってその特 性が敏感に左右されるため、磁気ヘッド特には記録再生用の磁気ヘッドを構成す る磁性膜は、構造的に均一なものであることが望ましいといえる。
【0022】 そこで、本考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、一対のハーフコアを を非磁性体で構成し、巻線窓の周囲部分にメタル磁性膜を環状に配置して磁気回 路を構成してなる磁気ヘッドにおいて、前記ハーフコアがそれぞれ接合されてい る側面部には、溝部が形成され、この溝部はハーフコアの側面に平行な底面とこ の底面に対して傾斜された内側面とからなり、2つの内側面のうちの一方は、傾 斜状態で媒体対向面に到達され、他方は、前記底面に対して溝内部側に15度か ら75度の傾斜角度を有してなり、一対の前記ハーフコアの溝部により巻線窓が 形成されるとともに、前記溝部の内面に前記巻線窓を囲んで媒体対向面に露出し 媒体対向面において磁気ギャップを形成するメタル磁性膜が形成されてなること 、により成膜される前記メタル磁性膜の金属磁性薄膜の成長方向を安定化させ、 その磁気特性の向上を図り、磁気ヘッドの磁気回路を小型化しつつ、高周波対応 を容易にして、磁気記録特性の向上を図った磁気ヘッドの提供を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本考案による磁気ヘッドは、上記課題を解決するために、非磁性体からなる一 対のハーフコアが、それらの側部に形成されたメタル磁性膜をギャップ層を介し て突き合わせメタル磁性膜どうしの間に磁気ギャップを形成して一体化されてな り、前記ハーフコアの側面に隣接するハーフコアの一面が、媒体対向面にされて なる磁気ヘッドにおいて、前記ハーフコアがそれぞれ接合されている側面部には 、溝部が形成され、この溝部はハーフコアの側面に平行な底面とこの底面に対し て傾斜された内側面とからなり、2つの内側面のうちの一方は、傾斜状態で媒体 対向面に到達され、他方は、前記底面に対して溝内部側に15度から75度の傾 斜角度を有してなり、一対の前記ハーフコアの溝部により巻線窓が形成されると ともに、前記溝部の内面に前記巻線窓を囲んで媒体対向面に露出し媒体対向面に おいて磁気ギャップを形成するメタル磁性膜が形成されてなることを特徴とする ものである。
【0024】
【作用】
非磁性体のハーフコアの接合部に形成された巻き線窓を囲むようにメタル磁性 膜による環状の磁気回路が形成されているので、磁気回路が従来構造よりも小さ くなる。また、この小型化した磁気回路により記録再生ができるので、高周波に 対応した記録再生特性が得られる。更に、メタル磁性膜のみで記録再生ができる ので、フェライト部分の存在により高周波対応に限界を生じていた従来のMIG 型の磁気ヘッドよりも有利になる。
【0025】 そして更に、本考案による磁気ヘッドにおいては、前記巻線窓のを形成するハ ーフコアにおいて、前記ハーフコアのそれぞれ接合されている側面部に、溝部が 形成され、この溝部はハーフコアの側面に平行な底面とこの底面に対して傾斜さ れた内側面とからなり、2つの内側面のうちの一方は、傾斜状態で媒体対向面に 到達され、他方は、前記底面に対して溝内部側に15度から75度の傾斜角度を 有してなり、一対の前記ハーフコアの溝部により巻線窓が形成されるとともに、 前記溝部の内面に前記巻線窓を囲んで媒体対向面に露出し媒体対向面において磁 気ギャップを形成するメタル磁性膜が形成されてなることにより、成膜される前 記メタル磁性膜の金属磁性薄膜の成長方向を安定化させ、その磁気特性の向上を 図ることにより、磁気ヘッドの磁気記録特性の向上を図ることができる。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照して本考案の実施例について説明する。 図1は、本考案に係わる磁気ヘッドの断面構造を示す図であり、この実施例の 磁気ヘッドDは、左右一対の磁気コア半体20、20をそれらの側面部において ガラス部21、28により一体に接合してなるもので、磁気コア半体20、20 の図1における上面側が媒体対向面22とされている。 前記磁気コア半体20は、結晶化ガラスあるいはセラミックスなどの非磁性体 からなる略長方形板状のハーフコア23と、このハーフコア23の側部側に形成 されたメタル磁性膜24とを主体として構成されている。
【0027】 前記ハーフコア23がそれぞれ接合されている側面部には、溝部25が形成さ れ、この溝部25は、ハーフコア23の側面に平行な底面25aとこの底面に対 して傾斜された内側面25b、25cとからなり、2つの内側面25b、25c のうちの一方25cは、傾斜状態で媒体対向面22に露出され磁気ギャップを形 成している。そして、他方は、前記底面に対して溝内部側に15度から75度の 傾斜角度を有する。
【0028】 前記溝部25の底面25aと内側面25b、25c上には、高透磁率で飽和磁 束密度の高い軟磁性合金薄膜などからなる複数の金属磁性薄膜24aが、個々に 層間絶縁層24bを介して積層され、金属磁性薄膜と層間絶縁層とによってメタ ル磁性膜24が形成されている。前記金属磁性薄膜24aを形成する軟磁性材料 は、飽和磁束密度が10000G以上のFe−Al−Si系合金、Fe−Ta− C系などの軟磁性合金、アモルファス合金など、通常知られているフェライトよ りも、飽和磁束密度の高い軟磁性材料を適宜用いれば良い。
【0029】 また、磁気コア半体20のメタル磁性膜24において、ハーフコア23に最も 近い金属磁性薄膜24aは、媒体対向面22に露出され、図1に示すように一対 の磁気コア半体23、23のメタル磁性膜24、24の間には、SiO2、Al23、CrSiO2などの非磁性層からなるギャップ層27が形成され、媒体対向 面22側に磁気ギャップGが形成されている。 また、ハーフコア23、23が一体化されて、ハーフコア23、23の接合部 には6角形状の巻線窓26が形成されている。
【0030】 一方、図2に示すようにハーフコア23、23の接合部における厚さ方向両端 部には、ハーフコア23、23の端部側を切り欠いて形成した接合溝23aが形 成されていて、この接合溝23aにもガラスが充填されてガラス部28が形成さ れている。また、前記接合溝23a、23aに挟まれた凸部23bが形成され、 各ハーフコア23の凸部23bと前記金属磁性膜24aで図2に示すようにギャ ップ層27を挟んで磁気ギャップGが形成されている。
【0031】 なお、図1に示す磁気ヘッドの両側部には、前記巻線窓26に対応する高さ位 置に、巻線溝29が形成され、一方の巻線溝29と巻線窓26の一端部側を介し て巻線コイルが設けられるように、また、巻線溝29と巻線窓26の他端部側を 介して巻線コイルが設けられるようになっている。
【0032】 前記構造の磁気ヘッドCにあっては、ギャップ深さGdを3〜30μm程度、 層間絶縁層24bの厚さを0.01〜0.1μm程度、金属磁性膜24aの厚さ を5〜10μm程度、ギャップ層の厚さを0.1〜0.5μm程度とすることがで きる。
【0033】 次に、図1に示す磁気ヘッドDの製造方法の一例について説明する。 磁気ヘッドDを製造するには、まず、結晶化ガラスあるいはセラミックスなど の非磁性体からなる図3に示すような平面長方形状の板状のブロック40を用い 、このブロック40の上面にその長さ方向に沿って、砥石などを用いて研削加工 を施して図4あるいは図5に示すような溝部41を形成する。この溝部41は、 ブロック40の上面に対して平行に形成した底面41aと、この底面41aの両 側に底面41aに対して斜めに形成した内側面41bとからなるものであり、前 記2つの内側面41b、41cのうちの一方41bは、傾斜状態で媒体対向面に 露出され磁気ギャップが形成されるものであり、他方の41cは、前記底面に対 して溝内部側に15度から75度の傾斜角度を有するように形成されている。
【0034】 次いで、図6に示すように、ブロック40の上面40aに、正面から見て輪郭 が半楕円型になるような凸部42を複数、所定間隔に形成し、凹部42、42の 間には凸部43を形成する。 続いて、図7に示すようにブロック40の上面全部に金属磁性膜45を複数、 層絶絶縁層とともに交互に積層し、次に図に示すように溝部41の外部の金属磁 性薄膜45を研摩加工などにより取り除く。これによりブロック40の溝部41 には、メタル磁性膜45’が形成される。
【0035】 図8に示す状態のブロック40を一対形成したならば、図9に示すようにメタ ル磁性膜45’、45’どうしを位置合わしてブロック40、40をガラス部 42、43により接合する。この接合には、接合用のガラスを溶融してブロック 40、40の凹凸部に流し込むことによって行なえば良い。
【0036】 次に、図9に示す状態に接合したブロック40、40の上面を砥石などを用い て研摩加工してゆくと、ブロック40、40の内部側に隠れていたメタル磁性膜 45’が露出してくるので、トラック幅に対応するように所定幅露出したところ で研摩加工を停止する。この際に、研摩加工を更に続行すれば、媒体対向面22 に露出する金属磁性薄膜24aの幅が増加するので、所望のトラック幅に合わせ ることが容易にできる。 また、ブロック40、40を図9に示す鎖線に沿って切断することで、図1に 示す構造の磁気ヘッドCをブロック40、40から多数同時に製造することがで きる。
【0037】 以上説明した方法を実施して磁気ヘッドDを製造することで、2つのブロック から多数の磁気ヘッドを同時に製造することができる。また、本考案における磁 気ヘッドを製造する上記の方法によれば、図15及び図16を基に、先に説明し たMIG型の磁気ヘッドBと同様に、ブロックの切出加工工程と金属磁性薄膜の 形成工程とガラス溶着工程と切断工程を行なうことで磁気ヘッドDを大量に製造 できるので、従来と同様の製造設備で同様の手順で磁気ヘッドDを製造すること ができる。従って、新規な構造の高性能の磁気ヘッドDを従来の磁気ヘッドB用 の製造設備で製造することができる。 なお、本考案における磁気ヘッドを製造する上記の方法では、ガラスにより溶 着する工程が一度で済むので溶着工程を2回以上必要とする図14に示す構造の 磁気ヘッドAよりも溶着工程が少なくなり、製造しやすくなるので低コストで製 造できるようになる。
【0038】 (試験例) そこで、上述した磁気ヘッドにおいて、以下のような試験を行なった。 前記磁気ヘッドにおけるハーフコアに形成された溝部の2つの内側面25b、 25cは、一方25bが媒体対向面22に到達され、他方25cは前記底面25 aに対して、溝内側部にθの傾斜角度を有しており、これら一対のハーフコアの 溝部により巻線窓が形成されるとともに、前記溝部の内面に前記巻線窓を囲んで 媒体対向面に露出し媒体対向面において磁気ギャップを形成するメタル磁性膜が 形成されて磁気ヘッドが構成される。そこで、前記内側面25cのθの角度を変 化させて、被膜された金属磁性薄膜24aの透磁率を測定した。その結果を図 10に示す。
【0039】 また、ここで使用した磁気ヘッドの緒言は以下の通りである。 金属磁性薄膜の膜厚 :30μm トラック幅 :20μm ギャップ深さ :20μm ギャップ長 :0.25μm
【0040】 図10に示されているように、前記ハーフコア23の溝を形成する内側面25 cの傾き角度θは、θが小さくなるほど透磁率μが大きくなり、磁気ヘッドDの 磁気特性は良くなることが判るが、θを小さくするとコイルを巻くための巻線窓 26の穴幅が細くなってしまい、製造上の都合において前記巻線窓の穴幅を最低 でも0.35mmを保つように磁気ヘッドを製造すると、必然的に前記巻線窓の 穴の縦方向の長さを長くする必要がある。しかし、前記巻線窓の縦方向の穴幅を 長くすると磁路長Lが長くなり、磁気コアの磁気抵抗R∝L/μS(Lは磁路長 、μは透磁率、Sは断面積)が大きくなるため、磁気ヘッドDの性能が劣化して しまうといった不具合が生じる。従って、前記磁気ヘッドDの内側面25cの傾 斜角度θは、少なくともθ=15度以上、好ましくは30度以上とすることが望 ましい。
【0041】 そして、前記θは大きくなりすぎるとμは小さくなってしまい、さらに、前記 θの角度が大きくなればなるほど、ハーフコア23の溝部25内面に被膜される 金属磁性薄膜24の付きまわりが悪くなる(膜厚が薄くなる)。よって、前記θ =75度以下、好ましくは60度以下とすることが望ましい。
【0042】 又、前記構成の磁気ヘッドCは、従来の磁気ヘッドと同様に、磁気テープなど の磁気記録媒体に対する磁気記録と再生を行なうために使用する。それには、前 記磁気ヘッドCに設けた巻線コイルに通電して磁気ギャップGの外方に磁束の勾 配を形成して、これにより磁気記録媒体の所用の箇所の磁化を行なえば良い。 この場合、高透磁率で飽和磁束密度の高い金属磁性膜24aが磁気ギャップG の外方に急峻な磁界を発生させるので、抗磁力の高い磁性層を備えた磁気記録媒 体であっても余裕をもって磁気記録を行なうことができ、磁気記録の高密度化に 対応することができる。また、フェライト部分と金属磁性薄膜を用いた従来のM IG型の磁気ヘッドに比較すると、フェライト部分が無いだけ高周波磁気記録に 有利である。
【0043】 また、溝部24に沿って形成されたメタル磁性膜24、24が巻線窓26の周 囲を囲むような環状の磁気回路を形成するので、図14に示す従来構造の磁気ヘ ッドAあるいは、図15と図16に示す従来構造のMIG型の磁気ヘッドBと比 較して、磁気回路を小型化することができる。従って、従来の磁気ヘッドよりも 高周波対応に有利な特徴があり、磁気回路の小型化により磁気記録体に記録され た磁気情報を読み取り易くなり再生時の効率も向上させることができる。 更に、磁気ギャップGに向けてメタル磁性膜24、24が傾斜しつつ接近して いるので、磁気ギャップGでの磁界発生に有利な形状になっている。
【0044】 さらに、本考案による磁気ヘッドは、上記前記巻線窓を形成するハーフコア 23が、それぞれ接合されている側面部には、溝部25が形成され、この溝部 25はハーフコア23の側面に平行な底面25aと、この底面25aに対して傾 斜された内側面25b、25cとからなり、2つの内側面25b、25cのうち の一方25bは、傾斜状態で媒体対向面に到達され、他方25cは、前記底面2 5aに対して溝内部側に15度から75度の傾斜角度を有してなり、一対の前記 ハーフコアの溝部により巻線窓が形成されるとともに、前記溝部の内面に前記巻 線窓を囲んで媒体対向面に露出し媒体対向面において磁気ギャップを形成するメ タル磁性膜が形成されてなることにより、成膜される前記メタル磁性膜24の金 属磁性薄膜24aの膜の成長方向を一定化し、膜構造を安定化させて、前記金属 磁性薄膜の磁気特性の向上を図ることにより、磁気ヘッドの磁気記録特性の向上 を図ることが可能である。
【0045】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案による磁気ヘッドは、非磁性体のハーフコアの接 合部に形成された巻き線窓を囲むようにメタル磁性膜による環状の磁気回路が形 成されているので、磁気コア半体の側面全部にメタル磁性膜を形成していた従来 構造の磁気ヘッドに比較して磁気回路を形成することができ、磁気ヘッドの小型 化をなし得る。また、この小型化した磁気回路により記録再生ができるので、従 来の磁気ヘッドよりも高周波に対応した記録再生特性が得られる。 更に、メタル磁性膜のみで記録再生ができるので、フェライト部分の存在によ り、高周波対応に限界を生じていた従来のMIG型の磁気ヘッドよりも有利にな る。
【0046】 そして更に、本考案による磁気ヘッドにおいては、上記前記巻線窓のを形成す るハーフコアにおいて、前記ハーフコアのそれぞれ接合されている側面部に、溝 部が形成され、この溝部はハーフコアの側面に平行な底面とこの底面に対して傾 斜された内側面とからなり、2つの内側面のうちの一方は、傾斜状態で媒体対向 面に到達され、他方は、前記底面に対して溝内部側に15度から75度の傾斜角 度を有してなり、一対の前記ハーフコアの溝部により巻線窓が形成されるととも に、前記溝部の内面に前記巻線窓を囲んで媒体対向面に露出し媒体対向面におい て磁気ギャップを形成するメタル磁性膜が形成されてなるにより、成膜される前 記メタル磁性膜の金属磁性薄膜の成長方向を安定化させ、その磁気特性の向上を 図ることにより、磁気ヘッドの磁気記録特性の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本考案による磁気ヘッドを示す斜視図
である。
【図2】図2は、図1の磁気ヘッドの正面図である。
【図3】図3は、本考案の磁気ヘッドを製造する時に使
用する非磁性体ブロックの斜視図である。
【図4】図4は、図3に示すブルックに巻線溝を形成し
た状態を示す側面図である。
【図5】図5は、同巻線溝を形成したブロックを示す斜
視図である。
【図6】図6は、同ブロックにトラック加工施した状態
を示す正面図である。
【図7】図7は、トラック加工後にブロックに金属磁性
薄膜を成膜した状態を示す側面図である。
【図8】図8は、金属磁性薄膜を形成した後のブロック
に研磨加工を施した状態を示す側面図である。
【図9】図9は、研磨加工後のブロックを接合した状態
を示す側面図である。
【図10】図10は、図1に示す本考案による磁気ヘッ
ドにおける試験例の結果を示す図である。
【図11】図11は、従来例の磁気ヘッドを示す斜視図
である。
【図12】図12は、図11に示す磁気ヘッドの正面図
である。
【図13】図13は、図11に示す磁気ヘッドの要部拡
大図である。
【図14】図14は、従来例の磁気ヘッドを示す斜視図
である。
【図15】図15は、従来例の磁気ヘッドを示す斜視図
である。
【図16】図16は、図15に示す磁気ヘッドの正面図
である。
【符号の説明】
D 磁気ヘッド G ギャップ 20 磁気コア半体 21 ガラス部 22 媒体対向面 23 ハーフコア 24 メタル磁性膜 24a 金属磁性薄膜 25 溝部 25a 底面 25b 内側面 25c 内側面 26 巻線窓 27 ギャップ層 30 金属磁性薄膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性体からなる一対のハーフコアが、
    それらの側部に形成されたメタル磁性膜をギャップ層を
    介して突き合わせメタル磁性膜どうしの間に磁気ギャッ
    プを形成して一体化されてなり、前記ハーフコアの側面
    に隣接するハーフコアの一面が、媒体対向面にされてな
    る磁気ヘッドにおいて、 前記ハーフコアがそれぞれ接合されている側面部には、
    溝部が形成され、この溝部はハーフコアの側面に平行な
    底面と、この底面に対して傾斜された内側面とからな
    り、2つの内側面のうちの一方は、傾斜状態で媒体対向
    面に到達され、他方は、前記底面に対して溝内部側に1
    5度から75度の傾斜角度を有してなり、一対の前記ハ
    ーフコアの溝部により巻線窓が形成されるとともに、前
    記溝部の内面に前記巻線窓を囲んで媒体対向面に露出し
    媒体対向面において磁気ギャップを形成するメタル磁性
    膜が形成されてなることを特徴とする磁気ヘッド。
JP1146292U 1992-03-06 1992-03-06 磁気ヘッド Withdrawn JPH0573706U (ja)

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