JPH0572468B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明はスパツタリング装置を用いて基材の表
面着色を行う表面着色方法に関する。 ［従来の技術］ 従来、ガラス、金属、プラスチツク等の基材に
金属光沢を有する表面着色を施すために、金属を
蒸着し金属膜を形成した後この蒸着金属膜上に色
素含有のコート剤を塗布していた。 また、金属表面に着色を施す方法として、ステ
ンレス鋼板に於いては硫酸溶液中で表面に水酸化
物、酸化物膜を形成するインコ法、Ti、Al表面
に水酸化物を形成する陽極酸化方法が用いられて
いる。 更には、特開昭55−69254に見られる様に、イ
オンプレーテイング装置を用いて基材の表面着色
を行う方法も提案されている。このイオンプレー
テイング装置を用いた基材の表面着色方法は、酸
素、窒素、アンモニア、エチレン、硫化水素等の
反応性ガス含有雰囲気中で、アルミニウム、銅、
ニツケル、亜鉛、クロム等の金属を加熱し蒸発さ
せ、金属化合物を形成し、基材にイオンプレーテ
イングすることにより、基材表面に金属光沢を有
する着色を施すことを特徴としている。 ［発明が解決しようとする課題］ 金属を蒸着し金属膜を形成した後色素含有のコ
ート剤を塗布する着色方法では、コートむらが生
じやすく、コートむらは色むらを起こす欠点があ
つた。また、コート剤塗布による表面着色では着
色部の表面強度を向上させることは極めて困難で
ある。また、インコ法、陽極酸化による金属表面
着色法では、表面強度が充分ではなく、耐摩耗性
に欠点があつた。 さらに、イオンプレーテイング法による表面着
色方法に於いては、着色部の表面強度の向上、耐
摩耗性の向上等の表面の物理的特性の改善は達成
された。しかしながら、イオンプレーテイング法
では、表面着色膜を均一の厚みで形成することが
困難であり、このことは、干渉色の表面着色膜を
形成した場合に色むらを起こすという欠点があつ
た。 本発明は、色むらがなく、着色表面の表面強
度、耐摩耗性の良好な表面着色を施すことを目的
とする。 ［課題を解決するための手段・作用］ 本発明の表面着色方法は、減圧下に於ける不活
性ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で、酸素ガ
ス濃度を50vol％以下として金属ニオブをスパツ
タリングし、基材にニオブ酸化物膜を膜厚を調整
して形成することを特徴とする。 第１図に、本発明の表面着色方法を実施する際
に使用するスパツタリング装置の一例を示す。第
１図に於いて、蒸着室１には、ガスを蒸着室に導
入、排気するガス導入口２、及び排気口３が備え
られている。金属ターゲツト６には、高周波電源
７が接続してあり、金属ターゲツト６と蒸着室１
の間は絶縁されている。また、着色する基材４
は、ヒーター５によつて加熱可能となつている。 上記の構成のスパツタリング装置を用いた表面
着色方法について詳細を説明する。先ず基材４を
蒸着室１内の所定の位置に取り付けた後、蒸着室
内を排気して10⁵〜10^-4Torrまで減圧し、次にヘ
リウム、アルゴン等の不活性ガスを導入口２から
導入して10^-4〜10^-2Torrの範囲で圧力調整をす
る。更に、酸素ガスを所定の量導入口２から導入
する。このような減圧下に於ける酸素ガス含有雰
囲気中で、金属ニオブからなる金属ターゲツト６
に高周波を印加しスパツタリングを行い、酸素ガ
スとの反応で得られるニオブ酸化物を生成すると
同時に基材４上にニオブ酸化物膜を形成する。 上記方法に於いて、酸素ガス濃度を適宜選択し
て条件を定め、選定した条件下でスパツタリング
を行い、基材４上に形成されたニオブ酸化物膜の
組成及び膜厚を調整することによつて、所定の色
彩の着色をすることができる。ここで、酸度ガス
濃度を50vol％より大きくしても、形成される膜
の色彩、特性は酸素ガス濃度50vol％のものと同
様であり、ガス消費量を考慮すると経済的に不利
になるため、酸度ガス濃度を50vol％以下とした。
また、酸素ガス濃度を50vol％以下の一定値とし、
スパツタリグ時間を調整することによりニオブ酸
化物膜の膜厚を調整して所定の色彩の着色をする
こともできる。スパツタリング時間の調整は、第
１図のような装置に於いては処理時間を調整して
行い、基材を連続的に搬送する方式の装置におい
ては基材の搬送速度を調整して行う。更には、酸
素ガス濃度を50vol％以下の特定条件下でスパツ
タリングを行うことで、ニオブ酸化物の組成（ニ
オブ原子と酸素原子の比率）を調整することによ
つて黒色、および濃紺色の特徴のある着色を施す
こともできる。着色された基材は色むらがなく、
着色表面の強度が高く、耐摩耗性が良好である。 ［実施例］ ステンレス鋼板を第１図に於いて説明したスパ
ツタリング装置の蒸着室１内に装着し、蒸着室１
内を排気して５×10^-5Torrまで減圧し、次に表
１に示した割合のアルゴンガスと酸素ガスの混合
雰囲気中で、1Kwの高周波電力を金属ニオブタ
ーゲツト６に印加しスパツタリングを行い、ステ
ンレス鋼板基材上にニオブ酸化物膜を形成した。
このようにしてステンレス鋼板基材上に表２に示
したように、色調に特徴のある物理的性質が良好
な着色膜が得られた。表２には、本発明による表
面着色膜の比較として、インコ法によるステンレ
ス鋼板着色材、イオンプレーテイング法によるニ
オブ酸化物膜着色材についても併せて記載した。

【表】

【表】 また、表１の条件で作成したニオブ酸化物膜の
組成をグロー放電発光分析法（GDS）により組
成分析を行い、ニオブと酸素の原子比率を求めた
結果、黒色膜（条件２−１、２−２）はＯ／Nb
＝0.5、濃紺色膜（条件３−１、３−２）はＯ／
Nb＝１、干渉色膜（条件４−１、４−２、５−
１、５−２、６−１、６−２、６−３）はＯ／
Nb＝2.5であり、それぞれの膜の組成は、Nb₂O、
NbO、Nb₂O₅であると考えられる。 本実施例では、ステンレス鋼板を基材とした例
を記載したが、普通鋼、ガラス基材に於いても、
ステンレス鋼板と同等の色調に特徴のある、物理
的性質が良好な着色を行うことができた。 ［発明の効果］ 本発明法により、色むらのない各種色彩の着色
材料が得られ、これらの着色材料は、着色表面の
強度が高く耐摩耗性が優れている。したがつて、
建材、室内装飾品等の各種装飾材料として広範囲
の用途に使用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明を実施するための装置例を示
す図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 減圧下に於ける不活性ガスと酸素ガスの混合
   ガス雰囲気中で、酸素ガス濃度を50vol％以下と
   して金属ニオブをスパツタリングし、基材にニオ
   ブ酸化物膜を膜厚を調整して形成することを特徴
   とする表面着色方法。