JPH0572190A - カラム充填剤及びその製造方法 - Google Patents

カラム充填剤及びその製造方法

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JPH0572190A
JPH0572190A JP4047880A JP4788092A JPH0572190A JP H0572190 A JPH0572190 A JP H0572190A JP 4047880 A JP4047880 A JP 4047880A JP 4788092 A JP4788092 A JP 4788092A JP H0572190 A JPH0572190 A JP H0572190A
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未知夫 横内
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Si−R(Rは疎水性基)結合、及びSi−
R’(R’は親水性基)結合を有するシリコーンポリマ
ーで被覆された多孔性担体よりなることを特徴とするカ
ラム充填剤およびその製造方法。 【効果】 本発明にかかるカラム充填剤は、シリコーン
ポリマー12が担体10を均一にコートした樹脂カプセ
ル型であるため、個々の粉体の持つ極性基(例えばシリ
カゲルのシラノール基)の影響をほとんど受けない。ま
た、充填剤の外表面の一部は親水性16であるため、タ
ンパク質等の吸着は行われず、安定でしかも分離能に優
れた充填剤を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラム充填剤及びその製
造方法、特にその活性基修飾状態の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より各種液体試料の分離に充填剤を
詰めたカラムが用いられており、血清等の各種物質の混
合試料の分離、分析には液体クロマトグラフィー、特に
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が汎用され、
また工業的にも特定成分の分離・抽出にカラム充填剤が
応用されている。ところで、血清等のタンパク質成分を
多量に含有する生体成分中の薬物や代謝物等をHPLC
を用いて定量する場合、タンパク質のカラム充填剤への
吸着による弊害を除去するため、従来は除タンパク等の
前処理を必要としていた。
【0003】しかし、このような前処理操作は、多大の
時間と労力を要し、且つ分析精度を悪化させるという問
題を有している。そこで、近年これらの除タンパク操作
を行うことなく直接タンパク質成分含有試料を注入し、
この試料中に含まれる各種成分を分離することのできる
カラム充填剤が開発されている。これらの改良されたカ
ラム充填剤は、多孔性ガラスやシリカゲルを担体とし
て、その細孔内外に異なる性質を付与したものである。
【0004】そして、この充填剤を用いれば血清中のタ
ンパク質(アルブミンやグロブリン)は巨大分子なので
細孔内に入らず、且つ親水性の外表面(孔外面)に吸着
されることなくカラムを素通りし、比較的小さな薬物等
の分子は疎水性の内表面(孔内面)に吸着して分離され
ることとなる。このような充填剤の具体例としては、特
開昭60−56256号公報に記載されたものが挙げら
れる。この充填剤では、オクタデシルシリル(ODS)
基を化学結合させたシリカの外表面にタンパク質をコー
トしている。このコート用タンパク質はウシ血清アルブ
ミンあるいは家兎血漿タンパク質よりなり、該タンパク
質をODS結合シリカに吸着、変性させることにより充
填剤を得ている。
【0005】しかしながら、上述した充填剤のうちタン
パク質をコートしたODSシリカ充填剤では、使用が長
期にわたると吸着・変性したタンパク質が溶離を起こす
ことがあり、また高分離効率のカラムが得られない等、
耐久性や分離能の点で課題を残している。このような点
を改良するため、特開昭61−65159号公報及び特
開平1−123145号公報に記載されたように、 多孔質担体の内表面及び外表面に疎水性基を導入す
る。 それ自身が巨大分子であり、シリカ等の細孔内に侵入
できない酵素を用いて外表面の疎水性基だけを切断す
る。 その後、外表面に親水性基を導入する。 ことにより、カラム充填剤を得る方法も開発されてい
る。
【0006】すなわち、特開昭61−65159号公報
記載の方法では、グリセリルプロピル基を導入した多孔
性シリカを出発原料とし、これにカルボニルジイミダゾ
ールを介してオリゴペプチド(グリシル−フェニルアラ
ニル−フェニルアラニン等)を結合させ、タンパク質加
水分解酵素であるカルボキシペプチダーゼAを用いて加
水分解を行うことにより外表面のフェニルアラニン側鎖
を切断している。その結果、充填剤の内表面には疎水性
リガンドとしてグリシル−フェニルアラニル−フェニル
アラニンが残り、外表面は親水性のグリシル−グリセリ
ルプロピル基となる。
【0007】一方、特開平1−123145号公報記載
の方法は、アミノプロピル基を導入した多孔性シリカを
出発原料として、トリエチルアミン存在下、オクタノイ
ルクロリドを反応させ、アミド結合を介して疎水性基を
導入し、次にポリミキシン・アシラーゼにより外表面の
アシル基を加水分解し、外表面のアミノ基をグリシドー
ルとの反応を行うことにより親水性とする方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開昭61
−65159号公報あるいは特開平1−123145号
公報に記載された方法では、酵素反応を利用しているた
め、工程が複雑化するとともに得られた充填剤の特性に
バラツキが生じやすいものであった。また、これらの充
填剤は溶離液のpHが狭い範囲に限定されたり、安定し
た信頼性の高い測定結果を得るのが困難である等の課題
もあった。本発明は前記従来技術の課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は製造が容易でしかも分離能の
高いカラム用充填剤及びその製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者が鋭意検討した結果、多孔性担体の表面を疎
水性基及び親水性基で修飾することによりタンパク含有
試料等の分離能が極めて高いカラム充填剤が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに致った。すなわち本出
願の請求項1記載のカラム充填剤は、Si−R(Rは疎
水性基)結合、及びSi−R’(R’は親水性基)結合
を有するシリコーンポリマーで被覆された多孔性担体よ
りなることを特徴とする。
【0010】また、請求項2に記載のカラム充填剤は、
R’基は水酸基を有する親水性基であることを特徴とす
る。請求項3記載のカラム充填剤は、R基は炭素数1〜
18の炭化水素残基であることを特徴とする。請求項4
記載のカラム充填剤の製造方法は、多孔性担体をシリコ
ーンポリマーで被覆する被覆工程と、前記被覆シリコー
ンポリマーの一部の−SiH残基に、二重結合を有する
炭化水素基Rを結合させ、−Si−R基とする疎水性化
工程と、前記被覆シリコーンポリマーの−SiH残基の
残部の少なくとも一部に、二重結合を有する親水性基
R’を結合させ、−Si−R’基とする親水性化工程
と、を含むことを特徴とする。
【0011】請求項5記載のカラム充填剤の製造方法
は、多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆する被覆工
程と、前記被覆シリコーンポリマーの一部の−SiH残
基に、二重結合を有する親水性基R’を結合させ、−S
i−R’基とする親水性化工程と、前記被覆シリコーン
ポリマーの−SiH残基の残部の少なくとも一部に、二
重結合を有する炭化水素基Rを結合させ、−Si−R基
とする疎水性化工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】請求項6記載のカラム充填剤の製造方法
は、多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆する被覆工
程と、前記被覆シリコーンポリマーの少なくとも一部の
−SiH残基に、それぞれ二重結合を有する炭化水素基
Rおよび親水性基R’を修飾し、−Si−R’基および
−Si−R基を形成する修飾工程と、を含むことを特徴
とする。
【0013】請求項7記載のカラム充填剤の製造方法
は、多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆する被覆工
程と、前記被覆シリコーンポリマーの一部の−SiH残
基に、二重結合を有する炭化水素基Rを結合させ、−S
i−R基とする疎水性化工程と、前記被覆シリコーンポ
リマーの−SiH残基の残部の少なくとも一部に、二重
結合を有し他端にエポキシ基を有する中間基を結合させ
る中間基修飾工程と、前記中間基のエポキシ基に、グリ
セリン基を反応させ、−Si−R’基とする親水性化工
程と、を含むことを特徴とする。以下、本発明の構成を
詳細に説明する。
【0014】多孔性担体 本発明において用いられる多孔性担体としては、例えば
液体クロマトグラフィー用の担体として一般に使用され
ている任意の粉体であるシリカゲル、アルミナ、ガラス
ビーズ(例えばポーラスガラス)、ゼオライト、ヒドロ
キシアパタイト又はグラファイト等を使用することがで
きる。また、複合粉体、例えばポリアミド、アクリル樹
脂、又はポリビニルアルコール等の合成樹脂の表面に、
微細な無機粉体、例えばシリカゲル、二酸化チタン又は
ヒドロキシアパタイトを被覆処理した粉体も使用するこ
とができる。
【0015】また、多孔性担体の平均粒径は2〜200
μmで、比表面積200〜800m2/g、40〜120
Åの細孔を有するものが好適である。特に好適な多孔性
担体としては、60〜80Åの細孔を持ち、比表面積が
400〜600m2/gで粒径3〜50μmの球形あるい
は破砕型のシリカゲルである。
【0016】シリコーンポリマー 本発明において使用されるSi−H基を有するシリコー
ン化合物は、下記一般式化1
【化1】 (R1HSiO)a(R23SiO)b(R456SiO1/2)c (化1中R1、R2及びR3は相互に独立に水素原子であ
るか又はハロゲン原子の少なくとも1個で置換されてい
ることのある炭素数1〜10の炭化水素基であるが、R
1,R2,R3が同時に水素原子であることはない。ま
た、R4,R5,R6は相互に独立に水素原子であるか又
はハロゲン原子に少なくとも一個で置換されていること
のある炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0又は
1以上の整数であり、bは0又は1以上の整数であり、
cは0又は2であるが、但しcが0である場合にはaと
bとの和が3以上の整数であるものとする)の少なくと
も一種である。
【0017】上記化1のシリコーン化合物は2種の群か
らなる。第1の群は、前記化1においてc=0の場合に
相当し、下記一般式化2
【化2】(R1HSiO)a(R23SiO)b (化2中R1、R2、R3、a及びbは前記と同じ意味で
あるが、好ましくはR1、R2及びR3が相互に独立にハ
ロゲン原子に少なくとも一個で置換されていることのあ
る炭素数1〜10の炭化水素基であり、aとbとの和が
3以上である)で表わされた環状シリコーン化合物であ
る。
【0018】この化合物の代表例を挙げれば以下の通り
である。
【化3】
【化4】 上記の化3および化4で示される化合物は、それぞれ単
独で又はそれらの混合物の形で使用することができる。
上記化3及び化4の各式において、n(又はa+b)は
好ましくは3〜7である。nの値が小さくなるのにした
がってその沸点が低下するので、蒸発して担体上に吸着
する量が多くなる。特に3量体及び4量体は、その立体
性質上、重合しやすいので特に適している。
【0019】前記式化2の環状シリコーン化合物の具体
例としては、ジハイドロジェンヘキサメチルシクロテト
ラシロキサン、トリハイドロジェンペンタメチルシクロ
テトラシロキサン、テトラハイドロジェンテトラメチル
シクロテトラシロキサン、ジハイドロジェンオクタメチ
ルシクロペンタシロキサン、トリハイドロジェンヘプタ
メチルシクロペンタシロキサン、テトラハイドロジェン
ヘキサメチルシクロペンタシロキサン、及びペンタハイ
ドロジェンペンタメチルシクロペンタシロキサン等を挙
げることができる。
【0020】前記式化1のシリコーン化合物の第二の群
は、前記式化1においてc=2の場合に相当し、下記一
般式化5
【化5】 (R1HSiO)a(R23SiO)b(R456SiO1/2c (化5中R1、R2、R3、R4、R5、R6、a及びbは前
記と同じ意味であり、cは2であるが、好ましくはR1
〜R6が相互に独立にハロゲン原子の少なくとも1個で
置換されていることのある炭素数1〜10の炭化水素基
である)で表わされる直鎖状シリコーン化合物である。
この化合物の代表例としては、下記一般式化6
【化6】 で表わされる化合物を挙げることができる。
【0021】上記式化5の直鎖状シリコーン化合物の具
体例としては、1,1,1,2,3,4,4,4-オクタメチルテトラシ
ロキサン、1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナメチルペンタシロキ
サン、及び1,1,1,2,3,4,5,6,6,6-デカメチルヘキサシロ
キサン等を挙げることができる。前記一般式化1で表わ
されるシリコーン化合物は、気相状態又は液相状態で前
記多孔性担体と接触させる。
【0022】気相状態での接触(気相処理)は、例えば
密閉容器を用い、120℃以下好ましくは100℃以下
の温度下で、好ましくは200mmHg以下さらに好ましく
は100mmHg以下の圧力下において、前記シリコーン化
合物の蒸気を分子状態で担体表面上に接触させる方法、
120℃以下好ましくは100℃以下の温度下で前記シ
リコーン化合物とキャリアーガスとの混合ガスを担体と
接触させる方法等により行うことができる。この気相処
理に適したシリコーン化合物としては、例えばテトラヒ
ドロテトラエチルシクロテトラシロキサン、テトラヒド
ロテトラメチルシクロテトラシロキサンを挙げることが
できる。
【0023】一方、液相状態での接触(液相処理)は、
例えば前記シリコーン化合物を溶解することができる揮
発性溶媒であるベンゼン、ジクロロメタン、又はクロロ
ホルム等、特にはヘキサンに溶解した1〜50重量%シ
リコーン化合物溶液を担体1重量部に対してシリコーン
化合物0.01〜1重量部になるように担体に添加すれ
ば良い。この場合、攪拌下に添加することが好ましい。
担体表面上でのシリコーン化合物の表面重合は前記接触
処理後の担体を温度50〜200℃で2時間以上放置あ
るいは攪拌することによって行うことができる。
【0024】この表面重合は、担体自身の表面活性点の
作用により促進されるので、特に触媒を加える必要はな
い。ここで、「活性点」とはシロキサン結合(Si−O
−Si)またはSi−H(ヒドロシリル)基をもつシリ
コーン化合物の重合を触媒することのできる部位であ
り、例えば酸点、塩基点、酸化点、又は還元点を意味す
る。表面重合は、担体表面の活性点がシリコーンポリマ
ーの被膜で覆われてしまうまで行われる。担体自体の活
性が非常に弱い場合には、前記接触処理前又は後の担体
にアルカリ触媒例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム若しくは水酸
化カルシウム等、アルキル金属触媒例えばジブチル錫等
を適宜添加した後に重合させても良い。
【0025】担体表面を被覆したシリコーンポリマー被
覆の構造には2種類のものがある。すなわち、重合がシ
ロキサン結合(−Si−O−Si)の開裂及び再結合に
よって起きるシリコーンポリマーでは−Si−O−Si
−単位の鎖状構造のみを持ち、一方重合がH2O又はO2
の存在下におけるヒドロシリル結合(Si−H)同士の
架橋反応によって起きる場合には、
【化7】 から誘導される、
【化8】 単位をもつ網状構造をシリコーンポリマーが含むことに
なる。
【0026】以上の二つの異なった型の重合は、担体の
種類や反応条件(温度、触媒等)によって、それぞれ単
独に進行する場合と、両方の型の重合が同時に進行する
場合とがある。そして、重合の程度も様々である。以上
のように、本発明においては分子量の低いシリコーン化
合物を担体と接触させるので、シリコーン化合物が担体
の細孔内部にまで侵入して粉体の実質的全表面上に付着
又は吸着して重合し、シリコーンポリマーの極めて薄い
被膜(3Å〜30Åの被膜)が担体上に形成され、担体
の多孔性が実質的に元のまま維持される。この多孔性
は、続いて実施するビニル化合物付加等によっても実質
的に損われない。
【0027】以上の重合反応により担体表面に形成され
たシリコーンポリマーの分子量(重量平均分子量)は1
5万以上である。但し、シリコーン化合物の場合、重合
により高分子化するにつれ、水や有機溶媒に溶けにくく
なってしまい、ポリマーを抽出して分子量を測定するこ
とはできず、また担体表面上にコートされている状態で
のポリマーの分子量を測定することも不可能である。
【0028】そこで、重合進行中の各段階のポリマーを
クロロホルム抽出し、ポリスチレン換算でポリマーの分
子量を求めたところ、最大15万のポリマーが存在する
ことが確認された。従って、クロロホルムに抽出されな
い状態にまで充分に重合させたポリマーの分子量は、1
5万以上であると言うことができるが、より詳しく分子
量を確認することは困難である。
【0029】疎水性基 ところで、担体表面を被覆したシリコーンポリマー中に
は、未反応のSi−H基が残存している。このSi−H
基に、分子中にビニル基を有する炭化水素を反応させる
ことによって、Si−C結合を有するシリコーンポリマ
ーとすることができる。前記のビニル化合物としては、
例えば一般式
【化9】R8−CH=CH−R9 (式中、R8及びR9は、相互に独立に水素原子、炭素数
1〜40のアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル
基若しくはシクロアルケニル基、又は炭素数1〜20の
アルキル基で置換されていることのあるアリール基であ
る)で表わされる化合物を使用することができる。
【0030】前記一般式で表わされるビニル化合物は、
8及びR9がともに水素原子であるエチレン、R8及び
9の一方が水素原子であって他方が水素原子以外の置
換基であるビニル化合物例えばα−オレフィン化合物、
8及びR9がともに水素原子以外の同じ置換基である対
称形ビニル化合物、あるいはR8及びR9が水素以外の異
なる置換基である非対称形ビニル化合物のいずれかであ
っても良い。
【0031】好ましいビニル化合物は、前記一般式にお
いてR8及びR9が相互に独立に、水素原子;炭素数4〜
20のアルキル基例えば1−ヘキシル基、1−オクチル
基、1−デシル基、1−ドデシル基、1−ヘキサデシル
基、又は1−オクタデシル基;シクロヘキシル基又はシ
クロヘキセニル基;フェニル基又はナフチル基;又は炭
素数1〜4の低級アルキル基で置換されているフェニル
基又はナフチル基であるビニル化合物である。
【0032】R8が水素原子であり、R9がエチル基、ヘ
キシル基、ヘキサデシル基、又はフェニル基であるビニ
ル化合物を付加させると、それぞれ従来の化学結合型充
填剤のC4−タイプ、C8−タイプ、C18−タイプ又はフ
ェニルタイプに相当するものを得ることができる。前記
ビニル化合物と前記シリコーンポリマー被覆粉体との反
応は、例えば溶媒の存在下において50〜300℃、気
相あるいは液相で2時間以上接触させることにより行う
ことができる。触媒としては、白金属触媒すなわちルテ
ニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウ
ム又は白金の化合物が適している。特にパラジウム化合
物及び白金化合物が良好である。
【0033】この反応の確認はFT−IR装置を用いた
拡散反射スペクトルの測定により行える。すなわち、21
60cm-1のSi−H基の吸収は、ビニル化合物の付加によ
り吸収強度が大幅に減少し、これに変って2800cm-1〜30
00cm-1に新たにアルキル基に基づく吸収が表われる。従
って、この吸収強度の比を求めることによって反応率が
計算される。
【0034】親水性基 本発明にかかる液体クロマトグラフィー用充填剤を得る
ためには、上記のようにして得たシリコーンポリマー被
覆担体の表面のSiH基の一部を親水性に変える必要が
ある。ここで、親水性基としては、次の化10に示すテ
トラオール等が用いられる。
【化10】 なお、このテトラオールは、次のように合成される。
【化11】 ここで、ジグリセリンをポリグリセリンとすれば、ポリ
オールが形成され、これらもまた本発明の親水性基とし
て用い得る。
【0035】また、親水性基としては、次の化11に示
すポリオキシエチレンアリルエーテルを用いることも好
適である。
【化12】なお、このポリオキシエチレンアリルエーテ
ルは化13に示すようにアリルアルコールにエチレンオ
キサイドを付加させることによって合成することができ
る。
【化13】以上のようにして得た充填剤は、化学結合型
を特徴とする従来の充填剤とはタイプが異なり、使用可
能なpH範囲も2〜10と極めて広く、従来の充填剤で
は用い得なかったアルカリ性溶媒でも使用でき、安定性
も非常に良い。
【0036】また、本発明にかかる充填剤を用いて血漿
等の生体成分中の薬物や代謝物をHPLCを用いて定量
する場合、繁雑な前処理なしに生体成分を直接注入して
も精度よく分析が可能である。なお、本発明により得ら
れる充填剤は、完全なポリマーコート型であり、ルイス
酸を用いないため、2−エチルピリジンやN,N’−ジ
メチルアニリンのような塩基性物質も溶出可能である。
【0037】疎水性化−親水性化法 本発明にかかる充填剤は、シリコーンポリマーで被覆さ
れた多孔性担体を、まず疎水性化し、その次に親水性化
する方法で製造することができる。すなわち、図1
(A)に示すように多孔性担体10の表面を、前述した
方法によりシリコーンポリマー12で被覆する。この
際、シリコーン単体の有する−SiH基は重合に用いら
れるが、そのすべてが消費されてしまうわけではない。
そして、図1(B)に示すようにそのシリコーンポリマ
ー12に残存する−SiH基と、二重結合を有する疎水
性基Rを反応させ、−SiR基14とする。なお、ここ
でシリコーンポリマー12のすべての−SiH基が−S
iR基となってしまうと、後の親水性基導入が行ない得
ないので、疎水性基Rの添加量ないし反応条件を目的に
応じて定める。
【0038】次に図1(C)に示すようにシリコーンポ
リマー12の未反応−SiH基と、二重結合を有する親
水性基R’(図中○−で示す)16を反応させ、親水性
の−SiR’基を形成する。従って、シリコーンポリマ
ー12の表面は、疎水性基Rと親水性基R’により修飾
されたいわゆるミックスドファンクション構造となり、
両基の修飾割合等により特異的な溶離特性を得ることが
できる。なお、疎水性化−親水性化法は、特に保持に大
きな影響を及ぼす疎水性基の導入が容易に制御可能なた
め、疎水性基の導入量を調整することにより保持の大き
さを調整できる利点がある。
【0039】親水性化−疎水性化法 本発明にかかる充填剤は、シリコーンポリマーで被覆さ
れた多孔性担体を、まず親水性化し、その次に疎水性化
する方法でも製造することができる。すなわち、図2
(A)に示すように多孔性担体10の表面を、シリコー
ンポリマー12で被覆する。そして、図2(B)に示す
ようにそのシリコーンポリマー12に残存する−SiH
基と、二重結合を有する親水性基R’(図中○−で示
す)16を反応させ、−SiR’基16とする。なお、
ここでシリコーンポリマー12のすべての−SiH基が
−SiR’基16となってしまうと、後の疎水性基導入
が行ない得ないので、親水性基R’の添加量ないし反応
条件を目的に応じて定める。
【0040】次に図2(C)に示すようにシリコーンポ
リマー12の未反応−SiH基と、二重結合を有する疎
水性基Rを反応させ、親水性の−SiR基14を形成す
る。この親水性化−疎水性化法は、先に親水性化を行な
うため、その親水性化率は大きく、タンパク質の吸着は
少ない。親水性化反応は、水中で行なうことが望まし
く、シリコーンポリマーで覆われたシリカゲルは撥水性
があり、反応は細孔外表面から起こっていく。従って、
細孔外表面は相対的に細孔内表面と比較してより親水性
であると考えられる。疎水性化は相対的に外より内で起
こりやすいと考えられる。
【0041】疎水,親水性化同時処理法 本発明にかかる充填剤は、シリコーンポリマーで被覆さ
れた多孔性担体の親水性化および疎水性化を同時に行な
う方法でも製造することができる。すなわち、図3
(A)に示すように多孔性担体10の表面を、シリコー
ンポリマー12で被覆する。そして、図3(B)に示す
ようにそのシリコーンポリマー12に残存する−SiH
基と、末端に二重結合を有する疎水性基R、および末端
に二重結合を有する親水性基R’(図中○−で示す)を
反応させ、親水性の−SiR基14および疎水性の−S
iR’基16とする。
【0042】この、疎水,親水性化同時処理法は、反応
が一回でよいという利点がある。相対的に疎水性基(ス
チレン等)の化合物を親水性基の化合物(テトラオー
ル、ポリオール等)よりその添加量を少なくし、反応性
の違い(疎水性基の化合物は親水性基化合物よりかさ高
くなく、反応性はより高いと考えられる)によって目的
とする充填剤を得ることができる。反応溶媒としてはア
ルコール(スチレンおよびテトラオール等を同時に混合
することも可能)が望ましい。
【0043】疎水性化−エポキシ化−親水性化法 本発明にかかる充填剤は、シリコーンポリマーで被覆さ
れた多孔性担体を、まず疎水性化し、その次にエポキシ
基を有するエポキシ化合物を導入し、該末端エポキシ基
に親水性基を結合させて親水性化する方法で製造するこ
とができる。すなわち、図4(A)に示すように、多孔
性担体10の表面を、前述した方法によりシリコーンポ
リマー12で被覆する。
【0044】そして、図4(B)に示すようにそのシリ
コーンポリマー12に残存する−SiH基と、二重結合
を有する疎水性基Rを反応させ、−SiR基14とす
る。なお、ここでシリコーンポリマー12のすべての−
SiH基が−SiR基となってしまうと、後の親水性基
導入が行ない得ないので、疎水性基Rの添加量ないし反
応条件を目的に応じて定める。
【0045】次に図4(C)に示すようにシリコーンポ
リマー12の未反応−SiH基と、二重結合及びエポキ
シ基を有するエポキシ化合物18を反応させる。このた
め、エポキシ化合物は二重結合端でシリコーンポリマー
と結合し、エポキシ基を有する状態となる。次に図4
(D)に示すように親水性基(図中○で示す)20を反
応させ、親水性の−SiR’基16を形成する。
【0046】この、疎水性化−エポキシ化−親水性化法
は、先に疎水性基を導入した後、まずアリルグリシジル
エーテル(末端に二重結合、もう一つの末端にエポキシ
基)のようなテトラオールよりかさ高くない基を導入
し、さらにグリセリンやジグリセリンを反応させること
により、親水性化密度を大きくすることが可能である。
このため、タンパク質の回収率が高くなる。例えば、ま
ず始めに疎水性基(フェニル基、C8、C18)を導入
し、その後アリルグリシジルエーテル(一方の末端に二
重結合をもち、好ましくは他方の末端にエポキシ基をも
つもの)を結合させ、ジグリセリン、グリセリン等の−
OH基あるいは−COOH基のような親水性基をもつも
のをエポキシ基に結合させる。
【0047】疎水性基およびアリルグリシジルエーテル
のような末端に二重結合をもつものと、Si−H基の反
応は白金酸等を触媒として反応させる(ヒドロシリル
化)。また、エポキシ基とジグリセリン等の反応は、ル
イス酸、四級アンモニウム塩、三級アミン等が用いられ
る。なお、アリルグリシジルエーテル付加後、酸性溶液
中でエポキシ環を開環させ、ジオール型にするだけでも
よい。
【0048】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例をさらに詳細に
説明する。なお、本発明はこれにより限定されるもので
はない。また、配合量は重量%で示す。
【0049】実施例1 疎水性化処理−親水性化処理に
より製造された充填剤 製造法 約60Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(前記化1におい
て、R1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)
2gとを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環
状シリコーン化合物を窒素バブリングすることによって
気相状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させ
た。
【0050】続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出
し、恒温槽内において105℃で1時間加熱した。冷却
後、粉体10gを200mlの三ツ口フラスコに取り、反
応溶液としてトルエン40ml、触媒として塩化白金酸の
トリ−n−ブチルアンモニウム塩1mg、スチレン(疎水
性基R)118.4mg(Si−H基のモル数に対して3
%(モル比)に相当)、p−t−ブチルカテコール(ス
チレンの重合禁止剤)10mgとを加えて油浴中におい
て120℃で5時間還流加熱した後、グラスフィルター
(G−4)を用いて濾過し、さらにトルエンおよびアセ
トンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ1
時間乾燥させた。
【0051】次いで得られた粉末10gおよび触媒とし
て塩化白金酸1mgを500mlの三ツ口フラスコにとり、
これに水100ml、およびテトラオール(親水性基
R’)10gを加えて油浴中で4時間還流加熱した。こ
れをグラスフィルターで濾過し、続いて水およびアセト
ンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ1時
間乾燥して本実施例にかかる液体クロマトグラフィー用
充填剤を得た。溶出例1−1 実施例1にかかる充填剤1.5gをパッカーとポンプを
用い、内径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール
製カラムに平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成
した。
【0052】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にカルバ
マゼピン(10μg/ml)を標準添加したもの(試料B)
の分離を調べた。移動相は、100mM NaH2PO4
100mM Na2HPO4−CH3CN(42.5−4
2.5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は285
nmで行なった。また、注入量は10μlであった。得ら
れたクロマトグラムを図5に示す。
【0053】図5(A)は試料Aの溶出状態を示すもの
で、ラット血漿タンパクのピークが注入後直ちに溶出し
た。図5(B)は試料Bを示すもので、ラット血漿タン
パクの後に、カルバマゼピンのピークが溶出し、血漿
成分と良好に分離している。溶出例1−2 実施例1にかかる充填剤をパッカーとポンプを用い、内
径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール製カラム
に平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成した。
【0054】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にフェニ
トイン(40μg/ml)を標準添加したもの(試料B)の
分離状態を調べた。移動相は、100mM NaH2PO4
−100mM Na2HPO4−CH3CN(42.5−4
2.5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は254
nmで行なった。また、注入量は10μlであった。得ら
れたクロマトグラムを図6に示す。
【0055】図6(A)は試料Aを示すもので、ラット
血漿タンパクのピークが注入後直ちに溶出した。図6
(B)は試料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの後
に、フェニトインのピークが溶出し、血漿成分と良好
に分離している。溶出例1−3 実施例1にかかる充填剤をパッカーとポンプを用い、内
径4.6mm、長さ15cmのステンレススチール製カラム
に平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成した。
【0056】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にテオフ
ィリン(10μg/ml)およびカフェイン(10μg/ml)
を標準添加したもの(試料B)の分離状態を調べた。移
動相は、100mM NaH2PO4−100mM Na2
PO4−CH3CN(47.5−47.5−5)を1.0
ml/minで送液し、検出は270nmで行なった。また、注
入量は10μlであった。
【0057】得られたクロマトグラムを図7に示す。図
7(A)は試料Aを示すもので、ラット血漿タンパクの
ピークが注入後直ちに溶出した。図7(B)は試料Bを
示すもので、ラット血漿タンパクの後に、テオフィリン
およびカフェインのピークが溶出し、血漿成分と良
好に分離している。
【0058】スチレン量の検討 前記実施例1においては、シリコーンポリマーで被覆し
たシリカゲルの元素分析測定を行なうことにより、Si
−H基のモル数を算出し、得られたSi−H基のモル数
に対して3%に相当するスチレンの量(モル数)を決定
している。なお、このシリコーンポリマーの被覆の反応
条件によって微妙にSi−H基の量が異なるため、添加
量は常にこの量比でいいというわけではない。ただし、
一般的には前記条件下でスチレンの添加量は100〜4
00mgの範囲である。
【0059】また、スチレンの添加量を増加することに
より、保持力の調整が可能となる。一般に添加量が増加
すると保持力も大きくなる。図8にはスチレンをモル比
で3%…(A),5%…(B),10%…(C)とした
場合の、ナフタレン(↓で示す)のクロマトグラムの変
化を示している。なお、測定条件は、カラムサイズ:内
径4.6mm×長さ100mm、温度:40℃、移動相:メ
タノール/水=50/50、流速:1.0mm/ml、検出
器:UV(254nm)である。
【0060】同図より明らかなように、ピークが溶出す
るまでの保持時間が、スチレンの量が多くなるにつれて
大きくなることが理解される。塩基性物質の溶出 本実施例にかかる充填剤は、親水性化ないし疎水性化処
理にルイス酸を用いないため、完全なポリマーコート型
であり、ルイス酸に起因する金属が残存していない。こ
のため、図9にも示すように2−エチルピリジンやN,
N’−ジメチルアニリンのような溶出も可能である。
【0061】実施例2 親水性化処理−疎水性化処理に
より製造された充填剤(1) 製造法 約60Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(化1において、
1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)2g
とを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環状シ
リコーン化合物を窒素バブリングすることによって気相
状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させた。
続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温槽内
において105℃で1時間加熱した。
【0062】冷却後、粉体5gを200mlの三ツ口フラ
スコに取り、これに触媒として塩化白金酸0.5mg、テ
トラオール(親水性基R’)5g、水40mlを加え
て、油浴中において0.5時間還流加熱した後、グラス
フィルター(G−4)を用いて濾過し、さらに水および
アセトンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入
れ2時間乾燥させた。
【0063】次いで得られた乾燥粉末を100mlの三ツ
口フラスコにとり、これに触媒として塩化白金酸のトリ
−n−オクチルメチルアンモニウム塩0.5mgと1−オ
クテン(疎水性基R C8)40mlを加えて油浴中で5
時間還流加熱した。これをグラスフィルターで濾過し、
続いてクロロホルムおよびアセトンで充分洗浄し濾過し
た後、105℃の恒温槽に入れ2時間乾燥して実施例2
にかかる液体クロマトグラフィー用充填剤を得た。
【0064】溶出例2−1 上記実施例2で作成した充填剤を内径4.6mm、長さ1
0cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で
充填し、充填カラムを作成した。このカラムを用いてラ
ットコントロール血漿(試料A)、およびラットコント
ロール血漿にフェニトイン(40μg/ml)を標準添加し
たもの(試料B)の分離状態を調べた。移動相は、10
0mM NaH2PO4−100mM Na2HPO4−CH3
CN(42.5−42.5−15)を1.0ml/minで送
液し、検出は254nmで行なった。また、注入量は10
μlであった。
【0065】得られたクロマトグラムを図10に示す。
図10(A)は試料Aを示すもので、ラット血漿タンパ
クのピークが注入後直ちに溶出した。図10(B)は試
料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの後に、フェニ
トインのピークが溶出し、血漿成分と良好に分離して
いる。溶出例2−2 実施例2で作成した充填剤を、内径4.6mm、長さ10
cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で充
填し、充填カラムを作成した。
【0066】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にカルバ
マゼピン(10μg/ml)を標準添加したもの(試料B)
の分離状態を調べた。移動相は、100mM NaH2
4−100mM Na2HPO4−CH3CN(42.5−
42.5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は28
5nmで行なった。また、注入量は10μlであった。得
られたクロマトグラムを図11に示す。図11(A)は
試料Aを示すもので、ラット血漿タンパクのピークが注
入後直ちに溶出した。
【0067】図11(B)は試料Bを示すもので、ラッ
ト血漿タンパクの後に、カルバマゼピンのピークが溶
出し、血漿成分と良好に分離している。溶出例2−3 実施例2で作製した充填剤を、内径4.6mm、長さ10
cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で充
填し、充填カラムを作成した。このカラムを用いてラッ
トコントロール血漿(試料A)、およびラットコントロ
ール血漿にフェノバルビタール(20μg/ml)を標準添
加したもの(試料B)の分離状態を調べた。移動相は、
100mM NaH2PO4−100mM Na2HPO4−C
3CN(45−45−10)を1.0ml/minで送液
し、検出は240nmで行なった。また、注入量は10μ
lであった。
【0068】得られたクロマトグラムを図12に示し
た。図12(A)は試料Aを示すもので、ラット血漿タ
ンパクのピークが注入後直ちに溶出した。図12(B)
は試料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの後に、フ
ェノバルビタールのピークが溶出し、血漿成分と良好
に分離している。
【0069】実施例3 親水性化処理−疎水性化処理に
より製造した充填剤(2) 製造法 約60Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体5gと環状シリコーン化合物(化1において、R
1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)2gと
を、両者が連結された別々の密封容器にとり、環状シリ
コーン化合物を窒素バブリングすることによって気相状
態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させた。
【0070】続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出
し、恒温槽内において105℃で1時間加熱した。冷却
後、粉体5gを200mlの三ツ口フラスコに取り、これ
に触媒として塩化白金酸0.5mg、テトラオール5gと
水40mlとを加えて油浴中において0.5時間還流加熱
した後、グラスフィルター(G−4)を用いて濾過し、
さらに水およびアセトンで充分洗浄し、しかる後105
℃の恒温槽に入れ2時間乾燥させた。
【0071】次いで得られた粉末を100mlの三ツ口フ
ラスコにとり、これに触媒として塩化白金酸のトリ−n
−ブチルアンモニウム塩0.5mgとスチレン(疎水性基
Rフェニル)25mlを加えて油浴中で5時間還流加熱し
た。これをグラスフィルターで濾過し、続いてトルエ
ン、クロロホルムおよびアセトンで充分洗浄し濾過した
後、105℃の恒温槽に入れ2時間乾燥して本実施例に
かかる液体クロマトグラフィー用充填剤を得た。
【0072】溶出例3−1 上記実施例3で作成した充填剤を内径4.6mm、長さ1
0cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で
充填し、充填カラムを作成した。このカラムを用いてラ
ットコントロール血漿(試料A)およびラットコントロ
ール血漿にフェニトイン(40μg/ml)を標準添加した
もの(試料B)の分離状態を調べた。移動相は、100
mM NaH2PO4−100mM Na2HPO4−CH3
N(42.5−42.5−15)を1.0ml/minで送液
し、検出は254nmで行なった。また、注入量は10μ
lであった。得られたクロマトグラムを図13に示す。
【0073】図13(A)は試料Aを示すもので、ラッ
ト血漿タンパクのピークが注入後直ちに溶出した。図1
3(B)は試料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの
後に、フェニトインのピークが溶出し、血漿成分と良
好に分離している。溶出例3−2 実施例3で作成した充填剤を、内径4.6mm、長さ10
cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で充
填し、充填カラムを作成した。
【0074】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)およびラットコントロール血漿にカルバマ
ゼピン(10μg/ml)を標準添加したもの(試料B)の
分離状態を調べた。移動相は、100mM NaH2PO4
−100mM Na2HPO4−CH3CN(42.5−4
2.5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は285
nmで行なった。また、注入量は10μlであった。得ら
れたクロマトグラムを図14に示す。図14(A)は試
料Aを示すもので、ラット血漿タンパクのピークが注入
後直ちに溶出した。図14(B)は試料Bを示すもの
で、ラット血漿タンパクの後に、カルバマゼピンのピ
ークが溶出し、血漿成分と良好に分離している。
【0075】実施例4 親水性化処理−疎水性化処理に
より製造した充填剤(3) 製造法 約60Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(化1において、
1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)2g
とを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環状シ
リコーン化合物を窒素バブリングすることによって気相
状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させた。
続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温槽内
において105℃で1時間加熱した。
【0076】冷却後、粉体5gを200mlの三ツ口フラ
スコに取り、これに触媒として塩化白金酸0.5mg、テ
トラオール(親水性基R’)5g、水40mlを加えて
油浴中において6時間還流加熱した後、グラスフィルタ
ー(G−4)を用いて濾過し、さらに水およびエタノー
ルで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ2時
間乾燥させた。
【0077】次いで得られた乾燥粉末を100mlの三ツ
口フラスコにとり、これに触媒として塩化白金酸のトリ
−n−オクチルメチルアンモニウム塩0.5mgと1−オ
クタデセン(疎水性基R C18)30mlを加えて油浴中
で5時間還流加熱した。これをグラスフィルターで濾過
し、続いてクロロホルム、メタノールおよび水で充分洗
浄し濾過した後、105℃の恒温槽に入れ2時間乾燥し
て実施例4にかかる液体クロマトグラフィー用充填剤を
得た。
【0078】溶出例4−1 上記実施例4で作成した充填剤を内径4.6mm、長さ1
0cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で
充填し、充填カラムを作成した。このカラムを用いてラ
ットコントロール血漿(試料A)およびラットコントロ
ール血漿にフェノバルビタール(20μg/ml)を標準添
加したもの(試料B)の分離状態を調べた。移動相は、
100mM NaH2PO4−100mM Na2HPO4−C
3CN(45−45−10)を1.0ml/minで送液
し、検出は240nmで行なった。また、注入量は10μ
lであった。得られたクロマトグラムを図15に示し
た。
【0079】図15(A)は試料Aを示すもので、ラッ
ト血漿タンパクのピークが注入後直ちに溶出した。図1
5(B)は試料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの
後に、フェノバルビタールのピークが溶出し、血漿成
分と良好に分離している。溶出例4−2 実施例4で作成した充填剤を、内径4.6mm、長さ10
cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で充
填し、充填カラムを作成した。
【0080】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)およびラットコントロール血漿にカルバマ
ゼピン(10μg/ml)を標準添加したもの(試料B)の
分離を調べた。移動相は、100mM NaH2PO4−1
00mM Na2HPO4−CH 3CN(42.5−42.
5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は285nmで
行なった。また、注入量は10μlであった。
【0081】得られたクロマトグラムを図16に示す。
図16(A)は試料Aを示すもので、ラット血漿タンパ
クのピークが注入後直ちに溶出した。図16(B)は試
料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの後に、カルバ
マゼピンのピークが溶出し、血漿成分と良好に分離し
ている。
【0082】実施例5 疎水,親水性化同時処理により
製造した充填剤 製造法 約60Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(化1において、
1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)2g
とを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環状シ
リコーン化合物を窒素バブリングすることによって気相
状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させた。
【0083】続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出
し、恒温槽内において105℃で1時間加熱した。冷却
後、粉体3gを200mlの三ツ口フラスコに取り、これ
に触媒として塩化白金酸0.5mg、テトラオール(親水
性基R’)1.638g、スチレン(疎水性基R フェ
ニル)0.1219g、p−t−ブチルカテコール1mg
およびジメチルホルムアミド40mlを加えて油浴中にお
いて120℃で5時間還流加熱した後、グラスフィルタ
ー(G−4)を用いて濾過し、さらにアセトンおよび水
で充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ2時間
乾燥させた。
【0084】なお、上記の反応は、シリコーンポリマー
で被覆したシリカゲルにおける、シリコーンポリマーの
Si−H基の総モル数を10としたとき、テトラオー
ル:スチレンのモル比が10:2となる場合の添加量で
ある。なお、ここでは、Si−H基のモル数から換算
し、その添加量を決定しているが、この添加量は任意に
かえることができる。また、疎水性基の添加量をSi−
H基の総モル数より少なくし、テトラオールの添加量は
過剰量を加えても問題はない。すなわち、テトラオール
の量をスチレン(1−オクタデセン,1−オクテン等)
より過剰に加えることができる。
【0085】これは−SiH基とスチレンとの反応性
が、−SiH基とテトラオールとの反応性と比較して極
めて大きいためである。なお、反応溶媒はエタノール、
メタノール、イソプロパノール等のアルコールあるいは
水−アルコール系が好ましいと考えられる。溶出例5−1 上記実施例5で作成した充填剤を内径4.6mm、長さ1
0cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で
充填し、充填カラムを作成した。
【0086】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にフェニ
トイン(40μg/ml)を標準添加したもの(試料B)の
分離を調べた。移動相は、100mM NaH2PO4−1
00mM Na2HPO4−CH 3CN(42.5−42.
5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は254nmで
行なった。また、注入量は10μlであった。得られた
クロマトグラムを図17に示した。
【0087】図17(A)は試料Aを示すもので、ラッ
ト血漿タンパクのピークが注入後直ちに溶出した。図1
7(B)は試料Bを示すもので、ラット血漿タンパクの
後に、フェニトインのピークが溶出し、血漿成分と良
好に分離している。溶出例5−2 実施例5で作成した充填剤を、内径4.6mm、長さ10
cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で充
填し、充填カラムを作成した。
【0088】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にカルバ
マゼピン(10μg/ml)を標準添加したもの(試料B)
の分離を調べた。移動相は、100mM NaH2PO4
100mM Na2HPO4−CH3CN(42.5−4
2.5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は285
nmで行なった。また、注入量は10μlであった。得ら
れたクロマトグラムを図18に示す。図18(A)は試
料Aを示すもので、ラット血漿タンパクのピークが注入
後直ちに溶出した。図18(B)は試料Bを示すもの
で、ラット血漿タンパクの後に、カルバマゼピンのピ
ークが溶出し、血漿成分と良好に分離している。
【0089】実施例6 疎水性化−エポキシ化−親水性
化法 製造法 約60Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(化1において、
1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)2g
とを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環状シ
リコーン化合物を窒素バブリングすることによって気相
状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させた。
続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温槽内
において105℃で1時間加熱した。
【0090】冷却後、粉体8gを200mlの三ツ口フラ
スコに取り、これに触媒として塩化白金酸のトリ−n−
ブチルアミン塩0.5mg、スチレン(疎水性基R フェ
ニル)0.1579g、トルエン40mlおよびp−t−
ブチルカテコール10mgを加えて油浴中において120
℃で5時間還流加熱した後、グラスフィルター(G−
4)を用いて濾過し、さらにトルエンおよびアセトンで
充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ2時間乾
燥させた。次いで、乾燥粉体と、触媒として塩化白金酸
0.5mgとを200mlを三ツ口フラスコにとり、イソプ
ロピルアルコール30mlおよびアリルグリシジルエーテ
ル(中間基)15gを加えて油浴中で5時間還流加熱し
た。これをグラスフィルターで濾過し、続いてイソプロ
ピルアルコールおよびアセトンで充分洗浄した後、濾過
し105℃の恒温槽に入れ1時間乾燥させた。
【0091】次に、乾燥粉体1.5gを200mlの三ツ
口フラスコにとり、これに触媒としてリン酸二水素アン
モニウム0.2gと水40mlおよびジグリセリン4gを
加えて油浴中で5時間還流加熱した。これをグラスフィ
ルターで濾過し、水およびアセトンで充分洗浄した後、
濾過し、105℃の恒温槽に入れ1時間乾燥させて実施
例6にかかる充填剤を得た。溶出例6−1 上記実施例6で作成した充填剤を内径4.6mm、長さ1
0cmのステンレススチール製カラムに平衡スラリー法で
充填し、充填カラムを作成した。
【0092】このカラムを用いてラットコントロール血
漿(試料A)、およびラットコントロール血漿にフェノ
バルビタール(20μg/ml)を標準添加したもの(試料
B)の分離状態を調べた。移動相は、100mM NaH
2PO4−100mM Na2HPO4−CH3CN(45−
45−10)を1.0ml/minで送液し、検出は240nm
で行なった。また、注入量は10μlであった。得られ
たクロマトグラムを図19に示す。図19(A)は試料
Aを示すもので、ラット血漿タンパクのピークが注入後
直ちに溶出した。図19(B)は試料Bを示すもので、
ラット血漿タンパクの後に、フェニトインのピークが
溶出し、血漿成分と良好に分離している。
【0093】実施例7 疎水性化処理−親水性化処理に
より製造された充填剤 製造法 約80Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(前記化1におい
て、R1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)
2gとを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環
状シリコーン化合物を窒素バブリングすることによって
気相状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させ
た。続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温
槽内において105℃で1時間加熱した。
【0094】冷却後、粉体10gを200mlの三ツ口フ
ラスコに取り、反応溶液としてトルエン40ml、触媒と
して塩化白金酸のトリ−n−ブチルアンモニウム塩1m
g、スチレン(疎水性基R)197.3mg(Si−H基
のモル数に対して5%(モル比)に相当)、p−t−ブ
チルカテコール(スチレンの重合禁止剤)10mgとを
加えて油浴中において120℃で5時間還流加熱した
後、グラスフィルター(G−4)を用いて濾過し、さら
にトルエンおよびアセトンで充分洗浄し、しかる後10
5℃の恒温槽に入れ1時間乾燥させた。
【0095】次いで得られた粉末10gおよび触媒とし
て塩化白金酸1mgを500mlの三ツ口フラスコにとり、
これに水100ml、およびテトラオール(親水性基
R’)10gを加えて油浴中で4時間還流加熱した。こ
れをグラスフィルターで濾過し、続いて水およびアセト
ンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ1時
間乾燥して本実施例にかかる液体クロマトグラフィー用
充填剤を得た。溶出例7−1 実施例7にかかる充填剤1.5gをパッカーとポンプを
用い、内径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール
製カラムに平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成
した。
【0096】このカラムを用いてコウシコントロール血
清にカルバマゼピン(10μg/ml)を標準添加したもの
を試料とし試料注入を連続して行い、試験開始時と50
0回連続注入後のカルバマゼピンのk’及びピ−ク形状
について調べた。移動相は、100mM NaH2PO4
100mM Na2HPO4−CH3CN(44−44−1
2)を1.0ml/minで送液し、検出は285nmで行なっ
た。また、注入量は10μlであった。
【0097】得られたクロマトグラムを図20に示す。
図20(A)は試料の試験開始時を示すもので、コウシ
血清タンパクのピークが注入後直ちに溶出し、カルバマ
ゼピンのk’は13.2であった。図20(B)は試
料注入500回目を示すもので、コウシ血清タンパクの
後に、カルバマゼピンのピークが溶出し、k’は1
3.7と試験開始時とほとんど変化なく、またピ−ク形
状も変化なく、本充填剤は非常に安定であった。
【0098】実施例8 疎水性化処理−親水性化処理に
より製造された充填剤 製造法 約80Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(前記化1におい
て、R1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)
2gとを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環
状シリコーン化合物を窒素バブリングすることによって
気相状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させ
た。続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温
槽内において105℃で1時間加熱した。
【0099】冷却後、粉体4gを200mlの三ツ口フラ
スコに取り、反応溶液としてトルエン40ml、触媒とし
て塩化白金酸のトリ−オクチルメチルアンモニウム塩2
mg、1−オクテン(疎水性基R)170.1mg(Si−
H基のモル数に対して10%(モル比)に相当)とを加
えて油浴中において120℃で5時間還流加熱した後、
グラスフィルター(G−4)を用いて濾過し、さらにト
ルエンおよびアセトンで充分洗浄し、しかる後105℃
の恒温槽に入れ1時間乾燥させた。
【0100】次いで得られた粉末1.8gおよび触媒と
して塩化白金酸1mgを200mlの三ツ口フラスコにと
り、これに水40ml、およびポリオキシエチレンアリル
エ−テル(エチレンオキサイド16モル添加物)(親水
性基R’)4gを加えて油浴中で4時間還流加熱した。
これをグラスフィルターで濾過し、続いて水およびアセ
トンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽に入れ1
時間乾燥して本実施例にかかる液体クロマトグラフィー
用充填剤を得た。溶出例8−1 実施例8にかかる充填剤をパッカーとポンプを用い、内
径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール製カラム
に平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成した。
【0101】このカラムを用いてコウシコントロール血
清(試料A)、およびコウシコントロール血清にテオフ
ィリン(10μg/ml)及びカフェイン(10μg/ml)を
標準添加したもの(試料B)の分離状態を調べた。移動
相は、100mM NaH2PO4−100mM Na2HP
4−CH3CN(47.5−47.5−5)を1.0ml
/minで送液し、検出は270nmで行なった。また、注入
量は10μlであった。 得られたクロマトグラムを図
21に示す。
【0102】図21(A)は試料Aを示すもので、コウ
シ血清タンパクのピークが注入後直ちに溶出した。図2
1(B)は試料Bを示すもので、コウシ血清タンパクの
後に、テオフィリン及びカフェインのピークが溶出
し、血清成分と良好に分離している。溶出例8−2 実施例8にかかる充填剤1.5gをパッカーとポンプを
用い、内径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール
製カラムに平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成
した。
【0103】このカラムを用いてコウシコントロール血
清にフェノバルビタ−ル(20μg/ml)を標準添加した
ものを試料とし試料注入を連続して行い、試験開始時と
500回連続注入後のフェノバルビタ−ルのk’及びピ
−ク形状について調べた。移動相は、100mM NaH
2PO4−100mM Na2HPO4−CH3CN(42.
5−42.5−15)を1.0ml/minで送液し、検出は
254nmで行なった。また、注入量は20μlであっ
た。
【0104】得られたクロマトグラムを図22に示す。
図22(A)は試料の試験開始時を示すもので、コウシ
血清タンパクのピークが注入後直ちに溶出し、フェノバ
ルビタ−ルのk,は5.85であった。図22(B)は
試料注入500回目を示すもので、コウシ血清タンパク
の後に、フェノバルビタ−ルのピークが溶出し、k,
は5.85と試験開始時と変化なく、またピ−ク形状も
ほとんど変化なく、本充填剤は非常に安定であった。
【0105】実施例9 疎水性化処理−親水性化処理に
より製造された充填剤 製造法 約80Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(前記化1におい
て、R1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)
2gとを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環
状シリコーン化合物を窒素バブリングすることによって
気相状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させ
た。続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温
槽内において105℃で1時間加熱した。
【0106】冷却後、粉体4gを100mlの三ツ口フラ
スコに取り、反応溶液としてトルエン20ml、触媒とし
て塩化白金酸のトリ−n−ブチルアンモニウム塩2mg、
スチレン(疎水性基R)157.9mg(Si−H基のモ
ル数に対して10%(モル比)に相当)、p−t−ブチ
ルカテコール(スチレンの重合禁止剤)1mgとを加えて
油浴中において120℃で5時間還流加熱した後、グラ
スフィルター(G−4)を用いて濾過し、さらにトルエ
ンおよびアセトンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒
温槽に入れ1時間乾燥させた。
【0107】次いで得られた粉末2gおよび触媒として
塩化白金酸1mgを200mlの三ツ口フラスコにとり、こ
れに水40ml、およびポリオキシエチレンアリルエ−テ
ル(親水性基R’)6gを加えて油浴中で5時間還流加
熱した。これをグラスフィルターで濾過し、続いて水お
よびアセトンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽
に入れ1時間乾燥して本実施例にかかる液体クロマトグ
ラフィー用充填剤を得た。溶出例9−1 実施例9にかかる充填剤をパッカーとポンプを用い、内
径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール製カラム
に平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成した。
【0108】このカラムを用いてコウシコントロール血
清(試料A)、およびコウシコントロール血清にフェノ
バルビタ−ル(20μg/ml)、カルバマゼピン(10μ
g/ml)、フェニトイン(40μg/ml)を標準添加したも
の(試料B)の分離状態を調べた。移動相は、100mM
NaH2PO4−100mM Na2HPO4−CH3CN
(42.5−42.5−15)を1.0ml/minで送液
し、検出は254nmで行なった。また、注入量は10μ
lであった。
【0109】得られたクロマトグラムを図23に示す。
図23(A)は試料Aを示すもので、コウシ血清タンパ
クのピークが注入後直ちに溶出した。図23(B)は試
料Bを示すもので、コウシ血清タンパクの後に、フェノ
バルビタ−ル、カルバマゼピン及びフェニトイン
のピークが溶出し、血清成分と良好に分離している。
【0110】実施例10 疎水性化処理−親水性化処理
により製造された充填剤 製造法 約80Åの細孔を有し、平均粒径5μmの球形シリカゲ
ル粉体10gと環状シリコーン化合物(前記化1におい
て、R1=CH3、a=3〜5、b=0、c=0のもの)
2gとを、両者が連結された別々の密封容器にとり、環
状シリコーン化合物を窒素バブリングすることによって
気相状態でシリカゲル粉体表面に接触させ表面重合させ
た。続いて、容器からシリカゲル粉体を取り出し、恒温
槽内において105℃で1時間加熱した。
【0111】冷却後、粉体4gを100mlの三ツ口フラ
スコに取り、反応溶液としてトルエン20ml、触媒とし
て塩化白金酸のトリ−n−ブチルアンモニウム塩2mg、
スチレン(疎水性基R)315.8mg(Si−H基のモ
ル数に対して20%(モル比)に相当)、p−t−ブチ
ルカテコール(スチレンの重合禁止剤)1mgとを加え
て油浴中において120℃で5時間還流加熱した後、グ
ラスフィルター(G−4)を用いて濾過し、さらにトル
エンおよびアセトンで充分洗浄し、しかる後105℃の
恒温槽に入れ1時間乾燥させた。
【0112】次いで得られた粉末2gおよび触媒として
塩化白金酸1mgを200mlの三ツ口フラスコにとり、こ
れに水40ml、およびポリオキシエチレンアリルエ−テ
ル(親水性基R’)6gを加えて油浴中で5時間還流加
熱した。これをグラスフィルターで濾過し、続いて水お
よびアセトンで充分洗浄し、しかる後105℃の恒温槽
に入れ1時間乾燥して本実施例にかかる液体クロマトグ
ラフィー用充填剤を得た。溶出例10−1 実施例10にかかる充填剤1.5gをパッカーとポンプ
を用い、内径4.6mm、長さ10cmのステンレススチー
ル製カラムに平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作
成した。
【0113】このカラムを用いてコウシコントロール血
清(試料A)、およびコウシコントロール血清にコルチ
ゾ−ル(10μg/ml)及びコルチコステロン(10μg/
ml)を標準添加したもの(試料B)の分離を調べた。移
動相は、100mM NaH2PO4−100mM Na2
PO4−CH3CN(42.5−42.5−15)を1.
0ml/minで送液し、検出は254nmで行なった。また、
注入量は10μlであった。得られたクロマトグラムを
図24に示す。
【0114】図24(A)は試料Aの溶出状態を示すも
ので、コウシ血清タンパクのピークが注入後直ちに溶出
した。図24(B)は試料Bを示すもので、コウシ血清
タンパクの後に、コルチゾ−ル及びコルチコステロン
のピークが溶出し、血清成分と良好に分離している。溶出例10−2 実施例10にかかる充填剤をパッカーとポンプを用い、
内径4.6mm、長さ10cmのステンレススチール製カラ
ムに平衡スラリー法で充填し、充填カラムを作成した。
【0115】このカラムを用いてコウシコントロール血
清にトリメトプリム(25μg/ml)を標準添加したもの
を試料とし、試料注入を連続して行い、試験開始時と3
50回連続注入後のトリメトプリムのk’及びピ−ク形
状について調べた。移動相は、100mM NaH2PO4
−100mM Na2HPO4−CH3CN(45−45−
10)を1.0ml/minで送液し、検出は254nmで行な
った。また、注入量は20μlであった。
【0116】得られたクロマトグラムを図25に示す。
図25(A)は試料の試験開始時を示すもので、コウシ
血清タンパクのピークが注入後直ちに溶出し、トリメト
プリムのk’は6.88であった。図25(B)は試料
注入350回目を示すもので、コウシ血清タンパクの後
に、トリメトプリムのピークが溶出し、k’は6.8
6と試験開始時とほとんど変化なく、またピ−ク形状も
変化なく、本充填剤は非常に安定であった。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかるカラ
ム充填剤は、シリコーン樹脂が担体を均一にコートした
樹脂カプセル型であるため、個々の粉体の持つ極性基
(例えばシリカゲルのシラノール基)の影響をほとんど
受けない。また、充填剤の外表面の一部は親水性である
ため、タンパク質等の吸着は行われず、安定でしかも分
離能に優れた充填剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる疎水性化−親水性化法の工程説
明図である。
【図2】本発明にかかる親水性化−疎水性化法の工程説
明図である。
【図3】本発明にかかる疎水,親水性化同時処理法の工
程説明図である。
【図4】本発明にかかる疎水性化−エポキシ化−親水性
化法の工程説明図である。
【図5】,
【図6】,
【図7】,
【図8】,
【図9】本発明の実施例1にかかる充填剤による分離状
態の説明図である。
【図10】,
【図11】,
【図12】本発明の実施例2にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図13】,
【図14】本発明の実施例3にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図15】,
【図16】本発明の実施例4にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図17】,
【図18】本発明の実施例5にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図19】本発明の実施例6にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図20】本発明の実施例7にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図21】,
【図22】本発明の実施例8にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図23】本発明の実施例9にかかる充填剤による分離
状態の説明図である。
【図24】,
【図25】本発明の実施例10にかかる充填剤による分
離状態の説明図である。
【符号の説明】
10 多孔性担体(シリカゲル) 12 シリコーンポリマー 14 疎水性基 16 親水性基
【12】
【13】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】 また、親水性基としては、次の化12
示すポリオキシエチレンアリルエーテルを用いることも
好適である。
【化12】なお、このポリオキシエチレンアリルエーテ
ルは化13に示すようにアリルアルコールにエチレンオ
キサイドを付加させることによって合成することができ
る。
【化13】以上のようにして得た充填剤は、化学結合型
を特徴とする従来の充填剤とはタイプが異なり、使用可
能なpH範囲も2〜10と極めて広く、従来の充填剤で
は用い得なかったアルカリ性溶媒でも使用でき、安定性
も非常に良い。
フロントページの続き (72)発明者 大津 裕 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si−R(Rは疎水性基)結合、及びS
    i−R’(R’は親水性基)結合を有するシリコーンポ
    リマーで被覆された多孔性担体よりなることを特徴とす
    るカラム充填剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のカラム充填剤におい
    て、R’は水酸基を有する親水性基であることを特徴と
    するカラム充填剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のカラム充填剤にお
    いて、R基は炭素数1〜18の炭化水素残基であること
    を特徴とするカラム充填剤。
  4. 【請求項4】 多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆
    する被覆工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの一部の−SiH残基に、
    二重結合を有する炭化水素基Rを結合させ、−Si−R
    基とする疎水性化工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの−SiH残基の残部の少
    なくとも一部に、二重結合を有する親水性基R’を結合
    させ、−Si−R’基とする親水性化工程と、 を含むことを特徴とするカラム充填剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆
    する被覆工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの一部の−SiH残基に、
    二重結合を有する親水性基R’を結合させ、−Si−
    R’基とする親水性化工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの−SiH残基の残部の少
    なくとも一部に、二重結合を有する炭化水素基Rを結合
    させ、−Si−R基とする疎水性化工程と、 を含むことを特徴とするカラム充填剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆
    する被覆工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの少なくとも一部の−Si
    H残基に、それぞれ二重結合を有する炭化水素基Rおよ
    び親水性基R’を修飾し、−Si−R’基および−Si
    −R基を形成する修飾工程と、 を含むことを特徴とするカラム充填剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 多孔性担体をシリコーンポリマーで被覆
    する被覆工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの一部の−SiH残基に、
    二重結合を有する炭化水素基Rを結合させ、−Si−R
    基とする疎水性化工程と、 前記被覆シリコーンポリマーの−SiH残基の残部の少
    なくとも一部に、二重結合を有し他端にエポキシ基を有
    する中間基を結合させる中間基修飾工程と、 前記中間基のエポキシ基に、グリセリン基を反応させ、
    −Si−R’基とする親水性化工程と、 を含むことを特徴とするカラム充填剤の製造方法。
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