JPH0572113A - 微粒子計測方法及び微粒子を使用した定量方法 - Google Patents

微粒子計測方法及び微粒子を使用した定量方法

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JPH0572113A
JPH0572113A JP3231470A JP23147091A JPH0572113A JP H0572113 A JPH0572113 A JP H0572113A JP 3231470 A JP3231470 A JP 3231470A JP 23147091 A JP23147091 A JP 23147091A JP H0572113 A JPH0572113 A JP H0572113A
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fine particles
fluorescent
substance
pulse
signal
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JP3231470A
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Satoshi Takahashi
智 高橋
Mitsuhiro Tachibana
光廣 立花
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】蛍光強度の小さな微粒子を連続弁別するための
簡便で高感度な計測方法を提供し、さらに、このような
蛍光微粒子を標識物とした生体関連成分の高感度,高精
度な定量方法を提供する。 【構成】蛍光微粒子から発する蛍光の光子に基づく信号
パルスの数をカウンタ22で計数する。この際、ゲート
制御器21により信号パルスを基にパルス幅を伸長した
パルスを発生させて、カウンタ22のゲート信号とする
ことで、時間的に集中して検出される信号パルス群を単
一のゲート内で計数する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体中の微粒子等を蛍
光測定により検出して計測する微粒子計測方法に係り、
特に、微弱な蛍光強度の微粒子を精度良く検出し、解析
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粒子等を分析する好適な方法として、フ
ローサイトメータによる分析方法がある。フローサイト
メータでは、粒子液をシースフローセルに導いてそのほ
ぼ中央部を粒子が一個ずつ分離して流れるようにし、そ
の流れる粒子にレーザ光を照射し、それによって生じる
散乱光または蛍光(粒子が蛍光性の場合)を光電子増倍
管等の光検出器で計測する。この方法では、散乱光また
は蛍光の信号パルスの波高値または積分値により、粒子
の性状が解析できる。このような方法での解析精度を向
上させるために、特開昭58−41336 号公報のように、パ
ルス波高値にパルス幅の情報を付加する方法、または、
特開昭64−35345 号公報のように信号パルスを遅延させ
てそのパルス波高値または積分値の解析開始時間を実質
的に早める方法が検討されている。
【0003】粒子を使用した免疫測定方法は、表面に抗
体を結合させたラテックス粒子と抗原とを反応させ、抗
原抗体反応によって生成するラテックス粒子の凝集状態
を吸光度または散乱光強度により測定して抗原濃度を測
定する方法が知られている。さらに、この凝集状態を精
度良く解析するために、凝集反応液を、フローサイトメ
ータに導いて解析する方法が知られている。この方法で
は、個々の凝集塊の大きさを散乱光強度から算定し、抗
原濃度をより精度良く測定することができる。この方法
は、例えば「検査と技術,16(1988),第607
頁から第613頁」に記載されている。
【0004】さらに、特開昭56−151357号公報のように
ヘテロジニアス系の反応によって、0.5μm 程度の粒
子を測定抗原と結合させて、顕微鏡でその粒子数を数
え、抗原濃度を定量する方法が提示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記フローサイトメー
タでは、粒子がレーザ光の照射範囲を通過する際に生じ
る蛍光強度等を光電子増倍管等の光検出器で測定し、そ
の時間変化を信号パルスとしており、基本的には直流的
な信号強度を測定しているにすぎない。そのため、蛍光
強度がノイズレベルに比べて十分に強ければ、粒子の通
過に基づく信号パルスを精度良く識別することができ
る。しかし、粒子径が小さくなる等の要因によって蛍光
強度が小さくなると、暗雑音,ショット雑音が相対的に
増大するために蛍光強度のS/Nが低下し、粒子の解析
が困難になる。これは、特に蛍光強度がシングル・フォ
トン・エベント状態にあるときに顕著となる。この状態
では、離散的に入射する単一の光子に対し、その平均時
間間隔が光検出器等の分解時間より長くなり、入射光子
ごとにパルスが重なることなしにパルス出力が得られ
る。そのため、従来のピーク強度等を測定する方法で
は、正確な蛍光強度を測定することができなくなる。つ
まり、蛍光強度が弱いとき、例えば、粒子内の蛍光物質
の量が少ないとき、または励起光強度が小さいときに
は、従来例では、正確に測定することが困難になる。
【0006】粒子の凝集反応により免疫測定を行う従来
例では、凝集反応によって形成される種々の大きさの凝
集塊を含む反応液をフローサイトメータで測定する。こ
の方法では、個々の凝集塊の大きさを計測することがで
き、抗原濃度の算出精度を向上させることができる。し
かし、液体中のごみやフローセル、または液体自体から
の散乱光の影響を除去することが困難である。また、試
料中に共存する散乱体や、色素等の吸収体・蛍光物質の
影響を完全に除去することも困難である。さらに、抗原
と微粒子とが一対一に対応しないため、凝集塊の数を計
数する従来方法では、特に、極低濃度領域での計数値の
誤差が発生しやすいという問題がある。ヘテロジニアス
系の反応では、このような凝集反応そのものに由来する
問題が低減し、高感度な定量が期待できる。
【0007】ヘテロジニアス系の反応を利用している特
開昭56−151357号公報で開示されている方法では、使用
できる粒子径について特に設定されていない。しかし、
反応液等の液体中の粒子の観察に電子顕微鏡を使用する
のは困難であり、また、実用的でもない。一般には、光
学顕微鏡を使用することになり、使用できる粒子のサイ
ズは、その分解能等によって決定される。顕微鏡での観
察方法には、透過光,散乱光,蛍光観察等がある。透過
光や散乱光での観察では、液中に存在するごみ等との識
別が困難であることから、ごみ等の影響の少ない蛍光法
で観察するのが望ましい。しかし、粒子径が小さくなる
と、粒子からの蛍光強度も小さくなり、通常の方法では
観察が困難になる。そのため、使用する粒子は0.1μ
m より大きな径である必要がある。検出限界は、正確
には、粒子内の蛍光物質の種類とその分子数で決定され
るが、実際的には、0.2μm 程度以上の径の粒子の使
用が有効である。
【0008】しかし、粒子径が大きくなると別の問題が
生じる。粒子径が大きくなると、粒子の液体中での拡散
速度が小さくなり、反応速度を低下させる可能性があ
る。また、抗原分子と比較して粒子が大きすぎるため
に、粒子サイズより小さな領域に存在しうる複数の抗原
分子に対して抗原分子の数に相当した粒子数が結合でき
ないという立体的な反応障害の可能性もある。さらに、
粒子懸濁液の分散性が良くないために、反応が不均一に
なり、抗原濃度の定量精度が低下する可能性がある。ま
た、粒子径が大きくなると粒子の受ける力が大きくなる
ため、相対的に抗原分子との結合が弱くなり、結合が切
れやすくなり、定量精度が低下しやすい。
【0009】大きな径の粒子では、以上のような問題が
あり、免疫反応での定量精度を高くするため、また反応
時間を短くするため、より小さな径の微粒子の使用が望
まれる。しかし、径が小さくなると信号強度も小さくな
る。上記従来例では、このような微弱な信号の場合につ
いて、その観察方法について説明はない。
【0010】本発明の目的は、簡便で高感度な微粒子計
測方法を提供することにある。また、他の目的は、定量
精度の高く高感度な免疫測定方法等の定量方法を提供す
ることにあり、特に0.1μm 以下の微粒子を標識物と
する高感度な定量方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、液体中の微粒子をその光学的変化に基づ
いて計数し解析する方法において、液体中の微粒子に励
起用の光を照射する工程と、これによって生じる蛍光等
を検出して光子一個に基づく信号パルスを得る工程と、
該信号パルスのパルス幅を伸長し整形したパルスをゲー
ト信号として前記信号パルス数を計数する工程と、得ら
れる計数値から微粒子の存在を識別する工程を含む微粒
子計測方法を提供する。
【0012】なお、光子一個に基づく信号パルスに基づ
くゲート信号は、0.1μs から1msの時間幅のパル
スに伸長することが好ましい。
【0013】また、複数のゲート信号が時間的に重なる
場合、その和をゲート信号とすることで、信号パルス数
を計数する。
【0014】さらに、別の上記目的を達成するために、
本発明では、測定試料中の被測定物質と特異的に結合す
る物質を固定化した反応固相または被測定物質が結合し
うる反応固相と、前記被測定物質と特異的に結合する物
質を固定化した蛍光性の微粒子を使用し、前記反応固相
と前記被測定物質と前記微粒子を接触させることによ
り、微粒子を反応固相に捕捉し、捕捉した微粒子を前述
の微粒子測定方法または微粒子測定装置で計測する定量
方法を提供する。このとき、捕捉した微粒子の計測に
は、捕捉した微粒子を再分散させて微粒子懸濁液を得た
後、計測する場合と、または捕捉した状態のままで計測
する場合とがある。
【0015】さらに、微粒子の大きさを、0.1μm 以
下の径にできることによって達成できる。
【0016】
【作用】液体中の微粒子をその光学的変化に基づいて計
数し解析する方法において、液体中の微粒子に励起用の
光を照射する工程により蛍光等の測定を可能にする。こ
れによって生じる蛍光等を検出して光子一個に基づく信
号パルスを得ることで、熱雑音等のノイズを減らし、光
電子計数法に基づく高感度な蛍光検出を行う。さらに得
られる信号パルスにより、時間幅をより伸長したパルス
を発生させ、これをカウンタのゲートとしてゲート内に
検出される信号パルス数を計数することで、時間的にか
たまってやってくる蛍光パルスの数を計測できる。微粒
子からの蛍光パルスは時間的にかたまって検出されるこ
とから、ゲート内に検出される信号パルス数の計数値か
ら微粒子の存在を識別することができ、微弱な蛍光を高
感度に測定し、微粒子を高感度に解析することができ
る。しかも多数の微粒子を連続的に解析することができ
る。
【0017】本方式では、光検出器として光電子増倍管
等を使用して光電子計数法により、入射する光子を光子
一個毎にパルス信号に変換しそのパルス数を計数し蛍光
強度を測定するものである。この光電子計数法では、光
子検出に基づくパルス波高値分布とそれ以外の熱雑音等
の雑音に基づくパルス波高値分布とが異なることを利用
したパルス波高値分別により、ノイズ成分の除去が容易
になり、S/Nの高い測定が可能になる。
【0018】散乱光に基づくパルスは時間的にランダム
に検出され、微粒子からの蛍光に基づく信号パルスは時
間的に集中して検出される。そこで、光子一個に基づく
信号パルスを0.1μs から1msの時間幅のパルスに
伸長し整形してゲート信号とし、また複数のゲート信号
が時間的に重なる場合にはその和をゲート信号とするこ
とで、集中して検出されるパルスに対しては、各ゲート
信号が重なり、単一のゲートで計数することができる。
逆に、時間的にランダムに検出されるパルスに対して
は、ゲート信号の重なりが少なく、一ゲート当たりのパ
ルス計数値は小さな値となる。つまり、1ゲート当たり
の計数値の分布により微粒子からの蛍光と雑音との識別
が可能となり、微粒子からの蛍光に基づく信号パルスを
効率良く弁別することができる。
【0019】ゲート信号の時間幅は、より具体的には、
散乱光等の背景光の単位時間当たりの平均雑音パルス数
と一微粒子からの蛍光の信号パルス数によって決定され
る。例えば、微粒子からの蛍光の信号パルスの平均時間
間隔の二〜二十倍程度に伸長することで効果的な計数が
可能になる。
【0020】以上のような方法で得た微粒子一個からの
蛍光の光子の計数値から微粒子の存在を弁別することに
よって、微粒子を高感度に解析することができる。
【0021】なお、個々の微粒子に励起光を照射する方
法として、微粒子を含む液体を流して光の照射位置にほ
ぼ一個ずつ導入する方法がある。本方法では、液体中の
多数の微粒子を連続的に測定することができる。例え
ば、シースフローセルを使用し、セル内を層流状態に
し、そのほぼ中心軸付近に粒子懸濁液を少しずつ流すこ
とで粒子をほぼ一個ずつ流すことができる。蛍光励起用
の光を微粒子の通過する部分に照射すれば、個々の微粒
子からの蛍光を別々に検出することができ、測定精度を
高めることができる。シースフローセル以外にも、細い
内径のフローセルを使うことも可能である。
【0022】この微粒子計測方法を活用し、高感度な定
量方法が達成できる。
【0023】測定試料中の被測定物質と特異的に結合す
る物質を固定化した反応固相または被測定物質が結合し
うる反応固相と、被測定物質と特異的に結合する物質を
固定化した蛍光性の微粒子を使用し、反応固相と被測定
物質と蛍光微粒子を接触させることによって、ヘテロジ
ニアス系の反応をおこし、反応固相に被測定物質を捕捉
し、捕捉した被測定物質と蛍光微粒子を結合させて、結
果的に反応容器に蛍光微粒子を捕捉することができる。
そこで、この捕捉した蛍光微粒子を前述の微粒子測定方
法または微粒子測定装置で計測することによって、より
反応時間が短く、より高感度な定量を行うことができ
る。
【0024】反応容器に捕捉した蛍光微粒子を測定する
には、顕微鏡下で蛍光微粒子の存在する位置に焦点を合
わせ、レーザ光をX−Y方向に走査し、または、ステー
ジをX−Y方向に走査することで、生じる蛍光の変化を
前述の微粒子測定方法,装置で測定し、解析し、微粒子
数を計数する方法がある。また、反応容器に捕捉した蛍
光微粒子を物理的、または、化学的に反応容器からはが
すことにより、微粒子懸濁液を調製し、この懸濁液をシ
ースフローセル等の測光セルに導いて、前述の微粒子測
定方法、装置でその蛍光を測定・解析し、微粒子数を計
数する方法等がある。
【0025】さらに微粒子の大きさを、0.1μm より
小さくすることによって、微粒子の液体中での拡散速度
が大きくなり、反応時間をより短くすることができ、ま
た、抗原分子との接触性の向上、粒子懸濁液の分散性の
向上、粒子の受ける抵抗の低下等により、定量精度の向
上が期待でき、高感度な定量測定が可能になる。
【0026】また、本発明では蛍光性の微粒子を使用す
る。この微粒子は、微粒子内部に蛍光物質を含ませるこ
とで、また、微粒子表面に蛍光物質を結合させる等して
得ることができる。微粒子の材質には、例えば、ポリス
チレン,ポリメタクリル酸メチル,スチレン−ブタジエ
ン共重合体等が使用できる。また、ポリアミドアミンを
骨格とした構造の微粒子状物質を使用することもでき
る。
【0027】なお、反応に使用する微粒子には、測定試
料中の被測定物質と特異的に結合する物質を結合させる
必要がある。測定試料中の被測定物質および被測定物質
と特異的に結合する物質の組み合わせは、抗原(または
抗体)と抗体(または抗原)が代表的な組み合わせであ
る。さらにその他に、例えば、ホルモンとレセプタ,糖
とレクチンの組み合わせ、またはハイブリダイゼーショ
ン反応による特定のDNAとプローブDNAの組み合わ
せ等も可能である。また、この微粒子の表面に抗体(ま
たは抗原)等を結合させるには、通常知られている物理
吸着,化学結合等が利用できる。
【0028】本発明により、0.1μm 径以下の蛍光性
の微粒子を高感度に検出し、計数することができる。ま
た、0.1μm 径以下の蛍光性の微粒子を標識物とし
て、イムノグロブリン,α−フェトプロテイン(AF
P),癌胎児性抗原(CEA),フェリチン,風疹抗
体,エイズウィルス抗体,ヒト絨毛性ゴナドトロピン
(HCG),甲状腺刺激ホルモン,成長ホルモン等の種々
の抗原,抗体,ホルモン、さらに特定の変異をもつDN
A等の生体関連物質を高感度に測定することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0030】〈実施例1〉蛍光微粒子の懸濁液をフロー
させて連続的に計測する装置について説明する。図1に
その計測装置のブロック図を示す。計測装置は、主に試
料導入部,励起光照射部,光検出部,カウンタ部及びデ
ータ処理部で構成される。
【0031】試料導入部は、試料吸引ノズル3と電磁バ
ルブ4とシリンジピペッタ5とシースフローセル6から
成る。励起光照射部は、レーザ装置11と集光レンズ1
2で構成するのが適当である。光検出部は、集光レンズ
13及び15,分光フィルタ14,スリット16,光電
子増倍管17,増幅器18,波高弁別・波形整形器19
で構成する。カウンタ部は、ゲート制御器21及びカウ
ンタ22からなる。データ処理部は、波高分析器または
カウンタまたはコンピュータ等のデータ処理器23から
なる。
【0032】次に、装置の動作について説明する。測定
する試料液とシース液をシースフローセルに導き、試料
液をシース液で包んで微細な流れとし、蛍光測定を行
う。まず、容器1内の微粒子懸濁液2を吸引ノズル3,
電磁バルブ4を介してシリンジピペッタ5で吸引する。
次に、電磁バルブ4を切り換えて、吸引した微粒子懸濁
液をシースフローセル6の試料導入管6aから一定流速
で排出する。また、同時に、シース液容器7内のシース
液8を一定流速ポンプ9によりシースフローセル6のシ
ース液導入管6bから導入することで、微粒子懸濁液を
細く絞ってシースフローセル6の測光部6cを通過さ
せ、最終的に廃液容器10に廃棄する。
【0033】次に、蛍光測定について説明する。蛍光微
粒子を励起するため、レーザ装置11から発するレーザ
光をレンズ12により集光し、シースフローセル6の測
光部6c内を流れる微粒子懸濁液に照射する。蛍光微粒
子から発する蛍光は、レンズ13で集光し、バンドパス
干渉フィルタ等の分光フィルタ14で散乱光を可能なか
ぎり除去し、透過する蛍光を再度レンズ15により集光
し、スリット16上に結像させ、蛍光微粒子からの像の
みを通過させ、光検出器である光電子増倍管17で検出
する。光電子増倍管17の出力は、光電子計数法に基づ
き、増幅器18で増幅した後、波高弁別・波形整形器1
9を通すことにより、光電子増倍管17に入射する光子
をパルス信号に変換して出力する。
【0034】この光子の検出に基づくパルス信号をカウ
ンタ22で計数する。カウンタの動作は、ゲート制御器
21によるゲート信号により制御される。ゲート信号
は、光子の検出に基づいて得られるパルス信号によりカ
ウンタ動作をオンにし、一定時間の間カウンタ動作を続
けるようにする。つまり、パルス信号をトリガとし、一
定時間の間オンとなるゲートパルスを発生させる。ま
た、ゲートパルスオンの状態のときに、次の光子の検出
に基づくパルス信号が入力されたときは、この信号を基
準にしてさらに一定時間の間オンとなるゲートパルスを
ゲートをオフすることなしに連続して発生させる。結果
的に、光子の検出に基づいて得られるパルス信号を基
に、パルス幅を伸長したゲート用のパルスを形成し、時
間的にそれらの和をとったものがゲート信号となる。カ
ウンタ22はゲート信号がオンの間に検出されるパルス
信号の数を計数し、ゲート信号がオフに切り替わるとき
にその計数値を出力し、計数値をクリアする。この動作
を連続的に繰り返す。出力される計数値はデータ処理器
23で解析し、計数値に対する頻度を積算する。計数値
は一ゲート当たりに検出される光子数を意味することか
ら、任意の蛍光強度とその値の検出回数が測定される。
これにより、特定の蛍光強度のときの検出回数から、微
粒子の数が算定できる。
【0035】信号処理の流れを図2に示す。(a)は光
電子増倍管17の出力の時間経過を示す。この出力に
は、光子の検出に基づく比較的大きなパルスと光電子増
倍管自体の暗電流に基づく比較的小さなパルスが含まれ
る。また単一の光子が時間的に集中して検出される部分
があり、これは、微粒子からの蛍光であり、このときに
微粒子がシースフローセルの測光部6cを通過している
ことを示す。これらの信号を増幅器18と波高弁別・波
形整形器19によって、閾値を境にして両者を弁別する
ことで、(b)のような光子の検出に基づく信号パルス
を得る。(c)はゲート制御器21の前半の動作であ
り、入力される信号パルス毎に、パルス幅を伸長させた
ゲートパルスを発生させている様子を示し、これらのパ
ルスの時間的な和が最終的にゲート信号としてカウンタ
に出力される。このゲート信号を(d)に示す。ゲート信
号はローレベルのときにカウンタ22が計数動作を起こ
すように表示している。(e)はその結果得られるカウ
ンタの計数値の出力の時間経過である。図より、微粒子
からの蛍光が生じているときに単一のゲートを形成し、
このゲートにより微粒子からの蛍光のパルスを効率良く
計数できる。この計数値及びその頻度をデータ処理部2
3で解析する。特定の範囲の計数値を示す回数から微粒
子の数を算定することができる。
【0036】具体的に、アルゴンレーザ(波長488n
m,出力15mW)を使用し、NDフィルタ等で適当に
減光して、20μm程度に絞ってシースフローセルの測
光部に照射する。蛍光微粒子として、フルオレセイン含
有のポリスチレン微粒子(直径,0.09μm)を使用
し、微粒子懸濁液をシースフローセルに導き、微粒子懸
濁液を10μm程度に細く絞って測光部を通過させる。
流速は、0.3m/s 程度に調整する。生じる蛍光は四
十倍の対物レンズで集光し、並行光とし、510〜55
0nmの光を透過する干渉フィルタにより分光する。再
びレンズにより、流れる蛍光微粒子の像を幅500μ
m,長さ1mmの短冊状の開口をもつスリットに結像さ
せ、通過する蛍光を光電子増倍管で検出し、上述の信号
処理を施す。微粒子を流さないときの測定では、平均二
千個/秒程度の頻度で信号パルスつまり光子が検出され
た。このパルスは主に励起光の散乱に基づくものと考え
られる。このパルスの平均時間間隔は約500μsであ
る。また、微粒子からの蛍光に基づく信号パルスは平均
五十万個/秒程度で検出された。つまり、蛍光に基づく
信号パルスの平均時間間隔は約2μsである。そこで、
信号パルスの入力に基づき、ゲート制御器21で時間幅
を20μsに伸長したゲートパルスを得、ゲート内の信
号パルス数を計測する。その結果を図3に示す。横軸は
一ゲート当たりのカウンタの計数値であり、微粒子等か
らの光子数つまり蛍光強度を意味する。また、縦軸はそ
の値の発生頻度を示す。横軸の値の小さな部分の山は背
景光によるノイズの裾の一部である。また、光子数の大
きな部分にある山が蛍光微粒子からの信号であり、この
山の積分値が検出される蛍光微粒子の総数として、算定
することができる。
【0037】図4は、試料の微粒子懸濁液中の微粒子の
濃度を変えて測定するときの、試料中の蛍光微粒子の総
数と、検出される蛍光微粒子の総数との関係を示す図で
ある。低濃度から高濃度まで、直線関係が保たれ、高精
度に定量できる。
【0038】本実施例によれば、光電子計数法による蛍
光測定を行うことになり、原理的に、蛍光強度を高感度
に計測することができる。つまり、光検出器の熱雑音,
暗電流等によるノイズや増幅器の電気的なノイズを低減
させることができ、精度の高い蛍光測定が可能になる。
このため、蛍光強度の小さい蛍光微粒子を高精度に計数
することができる。つまり、大きさが小さな微粒子,微
粒子の内部または表面に存在する蛍光物質の量が少ない
微粒子,蛍光の収率の小さな蛍光物質を含む微粒子等を
正確に計数することができる。また、励起光強度を強く
することなく計数することができるので、装置の小型化
も達成できる。また、半導体レーザを使っての小型化も
達成できる。また、原理的に、微粒子懸濁液を全量測定
して微粒子数を検出する場合でも、微粒子懸濁液の一部
分を測定して微粒子数を算定する場合でも、蛍光微粒子
を一個一個計数することができ、蛍光微粒子数を高感
度,高精度に測定することが可能である。
【0039】本実施例では、微粒子を流さないとき、平
均二千個/秒程度の信号パルスが背景光として検出され
ている。この値は微粒子の検出限界を決定する因子であ
るが、分光用の光学フィルタをより最適化すれば、背景
光をより減じることができ、より高感度に微粒子を計測
することができる。
【0040】また、本実施例のように、光子による信号
パルスをゲート信号に変換し、一ゲート当たりのパルス
数を計数することで、検出される光子の時間的なかたま
りを容易に、自動的に検出することができ、単一の微粒
子からの蛍光強度を効率よく検出することができる。こ
のことにより、微粒子の解析精度を高めることが容易に
できる。
【0041】また、本実施例では、波高分析器により、
蛍光発光時間当りの光子数を表すパルス波高値を解析し
ているが、あらかじめ、分布が分かっている場合には、
一定の範囲のピーク値のみをカウントするカウンタで計
数することも可能である。
【0042】上記実施例のようにすれば、信号処理回路
を容易に構成することができる。
【0043】〈実施例2〉基板上に付着した蛍光微粒子
の計測方法について説明する。
【0044】表面にカルボキシル基をもつ蛍光微粒子の
懸濁液をスライドガラス等のガラス基板上にのせて、そ
のガラス表面に蛍光微粒子を付着させ、蛍光微粒子を計
数する。
【0045】図5にその計測装置の構成図を示す。光検
出部から信号処理部は実施例1と同様の構成である。蛍
光微粒子24の付着しているガラス基板25をX−Y移
動台26に保持し、X−Y方向に走査する。励起光の照
射及び蛍光の集光は、落射蛍光顕微鏡の構成と同様に行
う。レーザ装置27からの励起用のレーザ光を、まずビ
ームエキスパンダ28で光束を拡大し、正方形の開口を
もつスリット29で透過するレーザ光束を整形し、ダイ
クロイックミラー30で反射させ、対物レンズ31で絞
って、ガラス基板25の蛍光微粒子24に上方より照射
する。蛍光微粒子から発する蛍光は、対物レンズ31で
集光し、ダイクロイックミラー30及びバンドパス干渉
フィルタ等の分光フィルタ32で散乱光を可能なかぎり
除去し、透過する蛍光を再度レンズ33により集光し、
スリット34上に結像させ、蛍光微粒子からの像のみを
通過させ、光検出器である光電子増倍管17で検出す
る。光電子増倍管17の出力は、実施例1と同様に、光
電子計数法に基づき、増幅器18で増幅した後、波高弁
別・波形整形器19を通すことにより、光電子増倍管1
7に入射する光子をパルス信号に変換して出力する。こ
の光子の検出に基づくパルス信号を実施例1と同様に信
号処理し、一ゲートあたりに検出される光子の数を実時
間でモニタして解析する。
【0046】レーザ装置27として、アルゴンレーザ
(波長488nm,出力15mW)を使用し、減光フィ
ルタ等で適当に減光し、1μm角のスポットで蛍光微粒
子に照射する。X−Y移動台26により、5mm/sの速
度でX−Y方向に、順次、走査する。このとき得られる
結果は、ほぼ実施例1での図3と同様の分布を有するヒ
ストグラムが得られる。
【0047】本実施例によれば、ガラス基板等の平面的
な部分に結合した蛍光微粒子をそのままの状態で計測す
ることができる。また、光電子計数法により、光子を個
々に検出し、計数することから、蛍光強度の小さい蛍光
微粒子を高精度に計数することができる。
【0048】また、本実施例は、X−Y移動台によりガ
ラス基板をX−Y方向に走査して、平面上の蛍光微粒子
数の解析を行う場合の例であるが、励起光であるレーザ
光を走査しても同様に解析を行うことができる。
【0049】〈実施例3〉半導体レーザ装置を使った装
置について説明する。
【0050】実施例1の装置(図1)において、レーザ
装置として波長670nmの半導体レーザを使用する。
その場合蛍光体としてフルオレセイン等は使用できない
ため、波長670nm付近に吸収のある物質を使用す
る。例えば、アルミニューム・フタロシアニン錯体等が
使用できる。このアルミニューム・フタロシアニン錯体
等をその内部に含んだ、または、その表面に結合させた
微粒子を使用し、半導体レーザ光を励起光として、蛍光
測定する。アルミニューム・フタロシアニン錯体を蛍光
体とする蛍光微粒子の径は、0.1μm とする。蛍光検
出用の分光フィルタとして、波長695nmから750
nmを透過するバンドパス干渉フィルタを使用する。光
検出器である光電子増倍管は、長波長に感度のあるもの
にし、光電面を冷却して使用する。その他の、蛍光微粒
子懸濁液のフローセルへの導入,信号処理等は、実施例
1と同様に行ことができ、図3に同様の分布する結果を
得ることができる。
【0051】本実施例によれば、光電子計数法による蛍
光測定を行うことになり、原理的に、蛍光強度を高感度
に計測することができる。このため、蛍光強度の小さい
蛍光微粒子を高精度に計数することができる。このた
め、光出力の弱い半導体レーザ装置でも、効率良く蛍光
微粒子からの信号を得ることができ、高感度,高精度な
測定が可能となる。また、蛍光体の励起用の光源に半導
体レーザを使用することで、装置の小型化が図れる。ま
た、安価に構成することもできる。
【0052】また、実施例のように、長波長の蛍光を発
する蛍光体を適用することが可能になるので、散乱光を
抑えることが容易になり、安価な装置作りが可能とな
る。
【0053】〈実施例4〉蛍光微粒子として、0.09
μm 径のフルオレセイン含有のポリスチレン微粒子
と、0.06μm 径のフルオレセイン含有のポリスチレ
ン微粒子とを混合し、この懸濁液を、図1の装置で解析
すると、図6のような結果を得る。ただし、蛍光微粒子
の同時通過の影響を無くすために十分低い濃度の蛍光微
粒子懸濁液の場合である。横軸は一ゲート当たりのカウ
ンタの計数値であり、微粒子等からの光子数つまり蛍光
強度を意味する。また、縦軸はその値の発生頻度を示
す。図のように双峰性の分布が得られる。横軸の蛍光強
度の大きい方の山が0.09μm 径の微粒子からの信号
であり、蛍光強度の小さい方の山が0.06μm 径の蛍
光微粒子からの信号である。これらの谷の部分で微粒子
の種類を識別することができる。このように、一ゲート
あたりに検出される蛍光の光子数から、二種類の蛍光微
粒子を個々に弁別し、計数することが可能となる。
【0054】本実施例によれば、異なる粒径の蛍光微粒
子を個々に弁別することができ、多種類の蛍光微粒子を
識別計数することができる。本実施例では、同一種類の
蛍光体を使用するが、異なる種類の蛍光体を含む蛍光微
粒子の場合でも同様に測定可能である。励起光が一つで
良い場合には、蛍光検出系を種類の異なる蛍光微粒子ご
とに設け、それぞれの信号を解析すれば良い。また、励
起光を蛍光微粒子毎に変えなければならない場合、励起
光光学系と蛍光検出系を蛍光微粒子毎に設けることで解
析が可能になる。
【0055】〈実施例5〉微粒子測定装置の免疫測定の
応用について説明する。
【0056】被測定物質として、ヒトα−フェトプロテ
イン(ヒトAFP)抗原を例にとり、ヘテロジニアスサ
ンドイッチイムノアッセイ法により反応容器に蛍光微粒
子を捕捉し、この蛍光微粒子を実施例の微粒子測定装置
により計数し、抗原濃度を定量する方法及び測定装置に
ついて説明する。
【0057】まず、反応容器として、マイクロタイター
プレートのウェルを使用し、各ウェルに抗体を固定化す
ることで反応用の固相とする。また、標識用の微粒子と
して、抗体を固定化した微粒子を調製する。その後、試
料を反応させて、微粒子を計数する。
【0058】≪反応用固相の調製≫マイクロタイタープ
レートのウェルに抗ヒトAFP抗体を固定化することで
反応用の固相を得、このウェルを反応容器とする。具体
的には、まず、表面にアミノ基をもつポリスチレン製の
マイクロタイタープレートのウェルに0.1% のグルタ
ールアルデヒド溶液100μlを注入し、室温で一晩反
応させた後、溶液を除去して洗浄する。次に、抗ヒトA
FP抗体溶液(濃度1μg/ml)100μlをウェルに
注入し、室温で二時間間歇的に撹拌した後、さらに4℃
で一晩反応させる。最後に、0.5%牛血清アルブミン
(BSA)を含むりん酸緩衝液(0.5%BSA−PB
S)で洗浄することで、反応容器を調製する。
【0059】≪標識微粒子の調製≫表面にカルボキシル
基をもち、蛍光物質をその内部に含有しているポリスチ
レン製の蛍光微粒子を使用する。直径が0.09μm
で、540nm程度の波長に最大蛍光波長をもつ蛍光微
粒子の表面に抗ヒトAFP抗体を固定化することで、標
識微粒子を調製する。具体的には、まず、抗ヒトAFP
抗体((Fab′)2)を2−メルカプトエタノールで処
理し、抗ヒトAFP抗体(Fab′)を調製する。ま
た、別に、蛍光微粒子を1−エチル−3−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライ
ド、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタン、N
−(γ−マイレミドブチリルオキシ)サクシニイミドで
処理する。この蛍光微粒子と、先に調製した抗ヒトAF
P抗体(Fab′)とを反応させることで、表面に抗ヒ
トAFP抗体(Fab′)を固定化した蛍光微粒子、つ
まり、標識微粒子を得る。この標識微粒子は、1%BS
Aを含むりん酸緩衝液に懸濁させて使用する。懸濁時の
標識微粒子の濃度は、0.1% となるように調製する
が、特に限定されるものではなく、測定対象,反応時
間,微粒子の種類等によって、その濃度は決定されるも
のである。
【0060】≪反応手順≫被測定物質であるヒトAFP
を含む試料溶液100μlを抗ヒトAFP抗体を固定化
した反応容器(ウェル)に注入して、室温で二時間反応
させ、ヒトAFPを抗ヒトAFP抗体を介してウェルに
捕捉する。その後、ウェル内の溶液を除去し、0.5%
BSA−PBSでウエルを洗浄する。
【0061】次に、微粒子濃度が0.1% になるように
調製した標識微粒子溶液100μlを注入し、室温で二
時間反応させ、ウェルに捕捉したヒトAFPに標識微粒
子を結合させた。その後、ウェル内の溶液を除去し、
0.5% BSA−PBSで静かに洗浄し、余分の標識微
粒子を除去する。
【0062】≪微粒子計測手順≫上述の操作でウェルに
被測定物質であるヒトAFPの量に比例した標識微粒子
を捕捉することができる。この捕捉した標識微粒子数を
実施例1で説明した微粒子計数装置で測定する。
【0063】まず、ウェルに捕捉された標識微粒子を液
中に懸濁させる。例えば、ウェルにpH2の塩酸−グリ
シン緩衝液を加えて、標識微粒子の結合を切断し、液中
に再分散させ、標識微粒子の懸濁液を得る。標識微粒子
の結合を切断するには、超音波等を作用させる等の機械
的な方法もある。
【0064】この標識微粒子懸濁液を、実施例1の装置
を使用して、標識微粒子の数を計数する。この計数値か
ら被測定物質であるヒトAFPの量を定量することがで
きる。そのためには、あらかじめ、被測定物質濃度に対
する標識微粒子数を測定し、検量線とすることで可能に
なる。再分散させた標識微粒子懸濁液のうちの一定量を
測定し、試料溶液中のヒトAFPの濃度と、計数される
標識微粒子数の関係を図示すると図7のようになる。極
低濃度のヒトAFPを定量することができる。原理的
に、被測定物質の分子数と蛍光微粒子の総数が対応する
ため、正確な定量測定が可能になる。
【0065】本実施例によれば、蛍光微粒子を高精度に
計数することができることから、被測定物質の量を高精
度に定量することができる。また、本例では、微粒子懸
濁液のうち一定量を測定した。また、懸濁液の全量を測
定することも可能であり、この場合は、微粒子数の総数
が計数でき、被測定物質の量を正確に定量することがで
きる。また、本例のように微粒子懸濁液の一部分を測定
しても可能であるが、この場合は、測定液量、測定開始
時間等の条件を制御し、一定にすることで再現性良く計
数することができる。
【0066】また、本実施例では、反応容器に捕捉され
た蛍光微粒子をすべてはがして計数した。この操作で
は、物理吸着等の非特異吸着によって反応容器に結合し
ている微粒子をもはがされることになる。そこで測定抗
原と結合して捕捉された微粒子のみを選択的にはがして
計数することによって、定量感度をさらに向上させるこ
とができる。
【0067】また、本実施例では、反応後に反応容器に
捕捉された蛍光微粒子をはがして懸濁液とし、図1のフ
ロー法を使った装置で計数する例を示した。蛍光微粒子
の計数方法として、図5に記載した装置でも可能であ
る。つまり、蛍光微粒子の結合する反応容器を図5のX
−Y移動台に保持し、X−Y方向に走査することで容器
内に捕捉された蛍光微粒子の数を計数することも可能で
ある。
【0068】また、本実施例では、ヒトAFPを被測定
物質として定量する例を示したが、それ以外の抗原やホ
ルモン等も同様の免疫測定で定量することが可能であ
る。
【0069】さらに、特定の塩基配列をするDNAの検
出にも有効である。具体的には、検出したい塩基配列を
認識するプローブDNAに蛍光微粒子を結合させたプロ
ーブDNA−微粒子複合体を調製する。まず、試料中の
DNAを熱変性またはアルカリ変性等により、一本鎖の
状態にして膜等の固相に結合させ、プローブDNA−微
粒子複合体を反応させてハイブリダイゼーション反応を
起こす。洗浄の後、変性等を起こさせ、プローブDNA
−微粒子複合体をはがして、微粒子懸濁液を得る。この
微粒子懸濁液を、実施例1の装置を使用して分析し、微
粒子の数を計数する。この計数値からプローブDNAの
数が検出でき、つまり、試料中の目的DNAの量が測定
できる。本方法によれば、微粒子を介することで、擬似
的にプローブDNA分子を検出することができ、高感度
な定量方法が達成できる。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、蛍光微粒子からの蛍光
強度をその光子により計測することで、光検出器や増幅
器のノイズを低減させることができ、精度の高い蛍光測
定が可能になる。
【0071】また、蛍光の光子数により蛍光微粒子の弁
別を行うので、蛍光強度の小さな微粒子を精度良く弁別
することができる。
【0072】さらに、光子の検出による信号パルスを伸
長したゲートパルスを発生させ、この時間的な和をゲー
トとして、信号パルスを計数することで、時間的にかた
まって検出される信号パルス群を単一のゲート内で計数
することができ、微弱な蛍光強度をもつ蛍光微粒子を簡
便で連続的に弁別することができる。しかも、信号パル
スの時間的なかたまりの程度に応じてゲート幅が自動的
に変化し、蛍光微粒子からの蛍光強度を効率よく計測す
ることができる。
【0073】本発明によれば、0.1μm 以下の径の蛍
光微粒子を標識物質とすることができるので、標識物の
直接計数が可能になり、かつ、標識物質の反応効率,被
測定物質との結合の安定性の向上による被測定物質の高
精度,高感度な定量が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光微粒子の一実施例の計測装置のブ
ロック図。
【図2】図1の計測装置の信号処理の流れの説明図。
【図3】図1の一ゲート当りに検出される光子数とその
発生頻度特性図。
【図4】試料中に含ませた蛍光微粒子の総数と、検出さ
れる蛍光微粒子の総数との関係を示す特性図。
【図5】本発明の蛍光微粒子の第二の実施例の計測装置
のブロック図。
【図6】二種類の蛍光微粒子を同時に測定するときの、
一ゲート当りに検出される光子数とその発生頻度特性
図。
【図7】試料溶液中のヒトAFPの濃度と、計数される
標識微粒子数の関係を示す特性図。
【符号の説明】
1…容器、3…吸引ノズル、4…電磁バルブ、5…シリ
ンジピペッタ、6…シースフローセル、6a…試料導入
管、6b…シースの液導入管、6c…測光部、7…シー
ス液容器、9…一定流速ポンプ、10…廃液容器、11
…レーザ装置、12,13,15…レンズ、14…分光
フィルタ、16…スリット、17…光電子増倍管、18
…増幅器、19…波高弁別・波形整形器、21…ゲート
制御器、22…カウンタ、23…データ処理部。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体中の微粒子をその光学的変化に基づい
    て計数し解析する方法において、前記微粒子に光を照射
    する工程と、これによって生じる蛍光等を検出して光子
    1個に基づく信号パルスを得る工程と、前記信号パルス
    のパルス幅を伸長し整形したパルスをゲート信号として
    前記信号パルスを計数する工程と、得られる計数値から
    前記微粒子の存在を識別する工程とを含むことを特徴と
    する微粒子計測方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記ゲート信号のパル
    ス幅を、0.1μs から1msに伸長する微粒子計測方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、複数のゲート
    信号が時間的に重なる場合、その和をゲート信号とする
    微粒子計測方法。
  4. 【請求項4】測定試料中の被測定物質と特異的に結合す
    る物質を固定化した反応固相または前記被測定物質が結
    合しうる反応固相と、前記被測定物質と特異的に結合す
    る物質を固定化した蛍光性の微粒子を使用し、前記反応
    固相と前記被測定物質と前記微粒子とを接触させること
    により、前記微粒子を反応固相に捕捉する工程と、捕捉
    した前記微粒子を請求項1ないし請求項3の微粒子測定
    方法により計測する工程とを含む微粒子を使用した定量
    方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記微粒子に0.1μ
    m 以下の径のものを使用する微粒子を使用した定量方
    法。
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