JPH0571023A - 粗紡機のボビンレール昇降用バランス装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重量物の取付け作業をなくして組付け時の作
業性を良くすることができ、しかもコンパクトになって
スペースをとらない装置を提供する。 【構成】 機台の長手方向と平行に回転軸１２が配設さ
れ、ボビンレール３はスプリングピース４の各スパン毎
に配設された揺動レバー５に支承されている。回転軸１
２にはカム１５とプーリ１６とが一体回転可能に固定さ
れている。カム１５には一端が前記揺動レバー５に連結
されたチェーン１７の他端が固定されている。プーリ１
６にはチェーン１９がその一端が固定されるとともに、
その他端がばね２１の一端に連結されている。ばね２１
の他端はスプリングピース４の下端に固定されたスタッ
ド２２に固定されている。カム１５はカム１５が巻取側
へ回動される際に回転軸１２の中心から巻取部（カム
面）までの距離が次第に小さくなるように変化する形状
に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は粗紡機のボビンレール昇
降用バランス装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】粗紡機はドラフトパートから送り出され
る粗糸を、回転しているフライヤとそれより高速回転し
ているボビンとの回転差により粗糸を加撚しながら巻取
る。ボビンはボビンレールに装備されたボビンホイール
に装着され、ボビンレールの昇降運動により粗糸が所定
の粗糸巻形状をなす状態でボビンに巻取られる。ボビン
レールはボビンレールに取付けられたリフターラック
と、リフターラックと噛合するとともに正逆回転駆動さ
れるピニオンとの作用により昇降動される。そして、ボ
ビンレールを小さい一様な力で移動させることができる
ように、従来は揺動レバーでボビンレールを支承すると
ともに、プーリに巻掛けたチェーンの一端に揺動レバー
を連結し他端に重りを取付け、ボビンレールの重量と重
りとをバランスさせていた（例えば特開昭４８−２０９
４７号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ボビンレー
ルの重量が大きなため、従来の構成ではバランス用の重
りの重量及び体積が大きくなる。そのため、重りの取付
け時の作業性が悪いだけでなく、重りを収容するための
大きなスペースが必要となり機台全体も大型化するとい
う問題もある。

【０００４】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その第１の目的は重量物の取付け作業をな
くして取付け時の作業性を良くすることができ、しかも
コンパクトになってスペースをとらない粗紡機のボビン
レール昇降用バランス装置を提供することにある。又、
第２の目的は組付け作業がより容易となる粗紡機のボビ
ンレール昇降用バランス装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項１に記載の発明では、機台の長手方向と平行に
回転軸を配設し、ボビンレールを支承するとともにボビ
ンレールの昇降に伴って揺動する揺動レバーに一端が連
結された第１の索の他端を前記回転軸に一体回転可能に
固定した第１の巻取部材に固定し、前記回転軸に一体回
転可能に固定した第２の巻取部材に第２の索を前記第１
の索と逆方向に巻取られる状態でその一端を固定すると
ともにその他端をばねに連結し、前記ばねを前記第１の
巻取部材が第１の索を巻取る方向に回動付勢される状態
に配設し、かつ前記両巻取部材の少なくとも一方を前記
第１及び第２の索により第１及び第２の巻取部材を介し
て回転軸にそれぞれ作用するモーメントの値がばねの伸
縮に対応して常にバランスするように回転軸の中心から
巻取部までの距離が変化するカムとした。

【０００６】又、前記回転軸を粗紡機のスプリングピー
スのスパン毎に設け、隣接するスプリングピースの側方
に突設された軸受支持部に回転軸の両端を載置した状態
に配設してもよい。

【０００７】

【作用】ばねの付勢力により第２の索及び第２の巻取部
材を介して回転軸が第１の巻取部材が第１の索を巻取る
方向に回動付勢され、第１の索が揺動レバーを介してボ
ビンレールを支える。ボビンレールの昇降に伴って回転
軸が回転し、第２の巻取部材に一端が固定された第２の
索の他端に連結されたばねが伸縮する。ばねの伸縮によ
り第２の索を引っ張るばねの力が変化する。第１の巻取
部材及び第２の巻取部材の少なくとも一方の巻取部材
が、回転軸の中心から巻取部までの距離が変化するカム
で構成されているため、ばねの力が変化しても第１の索
が揺動レバーを介してボビンレールを支える力が一定と
なる。

【０００８】又、回転軸を粗紡機のスプリングピースの
スパン毎に設け、隣接するスプリングピースの側方に突
設された軸受支持部に回転軸の両端を載置した状態に配
設した場合は、回転軸の組付けや取り外しが極めて簡単
となる。

【０００９】

【実施例】

（実施例１）以下、本発明を具体化した第１実施例を図
１〜図３に従って説明する。

【００１０】粗紡機機台１の前側（図１及び図３の左
側）には図示しない駆動機構により駆動されるボビンホ
イール２が前後２列に千鳥状に配設されたボビンレール
３が昇降可能に配設されている。ボビンレール３は粗紡
機機台１を構成するスプリングピース（機枠）４の各ス
パン毎に配設された揺動レバー５に支承されるととも
に、上下方向に延びる状態でスプリングピース４に固定
されたガイド部材６に沿って上下方向に摺動するスライ
ド部材７にボルトにより固定されている。スライド部材
７には上下方向に延びるリフターラック９が固着されて
いる。リフターラック９は図示しない駆動源により正逆
回転される駆動軸１０に一体回転可能に固定されたピニ
オン１１と噛合し、駆動軸１０の回転により上下動され
てスライド部材７とともにボビンレール３を昇降させ
る。

【００１１】スプリングピース４の上部には各スパン毎
に回転軸１２が粗紡機機台１の長手方向と平行に配設さ
れている。図２に示すように、各スプリングピース４の
両側には上方が開放された半円弧状の軸受支持部１３が
突設され、回転軸１２はその両端に固定されたベアリン
グ１４の下側半分が軸受支持部１３に嵌合する状態で隣
接するスプリングピース４間に載置されている。

【００１２】回転軸１２の一端寄りには第１の巻取部材
としてのカム１５と第２の巻取部材としてのプーリ１６
とが一体形成された部材がボルト１６ａにより回転軸１
２と一体回転可能に固定されている。カム１５には一端
が前記揺動レバー５に連結された第１の索としてのチェ
ーン１７の他端が固定されている。チェーン１７はその
一端に固着された掛止リング１８が揺動レバー５の前寄
りに形成された掛止部５ａに掛止された状態で揺動レバ
ー５に連結されている。又、プーリ１６には第２の索と
してのチェーン１９が前記チェーン１７と逆方向に巻取
られる状態でその一端が固定されるとともに、その他端
が連結部材２０を介してばね２１の一端に連結されてい
る。ばね２１の他端はスプリングピース４の下端にスプ
リングピース４を水平方向に貫通する状態で固定された
スタッド２２に、ばね２１の他端が固着された掛止部材
２１ａを介して固定されている。連結部材２０は外周面
にばね２１が巻付け固定された係止部材２３と、係止部
材２３の中心に形成された透孔２３ａにチェーン１７側
に向かって嵌挿されるとともに鍔部において係止部材２
３に係止されるナット２４と、ナット２４に螺合された
ねじ棒２５とから構成され、チェーン１７はねじ棒２５
の一端に固定されている。

【００１３】前記ばね２１はカム１５がチェーン１７を
巻取る方向に回転軸１２を回動付勢する状態に配設され
ている。又、チェーン１７及びカム１５を介して回転軸
１２に作用するモーメントがばね２１の伸縮に対応して
常にほぼ一定となるように、カム１５はカム１５が巻取
側へ回動される際に回転軸１２の中心から巻取部（カム
面）までの距離が次第に小さくなるように変化する形状
に形成されている。なお、各スプリングピース４の下部
寄りにはガイドローラ２６が回転自在に固定され、揺動
レバー５はボビンレール３との係合部と反対側の端部上
面においてガイドローラ２６と係合する状態に保持され
ている。

【００１４】又、回転軸１２の他端寄りには前記プーリ
１６と同じ形状のプーリ２７がボルト２７ａにより一体
回転可能に固定され、プーリ２７にはチェーン１９が前
記チェーン１７と逆方向に巻取られる状態でその一端が
固定されるとともに、その他端が連結部材２０を介して
ばね２１の一端に連結されている。ばね２１の他端はス
プリングピース４の下端に固定されたスタッド２２に掛
止部材２１ａを介して固定されている。

【００１５】前記のように構成されたバランス装置を組
付ける場合は、カム１５及びプーリ１６，２７が固定さ
れるとともにベアリング１４が両端に固定された回転軸
１２を、スプリングピース４に突設された軸受支持部１
３にベアリング１４が係合する状態で配置する。軸受支
持部１３は上方が開放された半円弧状に形成されている
ため、作業者はベアリング１４が軸受支持部１３と対応
する位置の上方まで回転軸１２を持ちあげ、その状態で
回転軸１２をスプリングピース４のスパン間に載置する
ことにより、ベアリング１４が軸受支持部１３に嵌合し
た状態で回転軸１２がスプリングピース４のスパン間の
所定位置に支持される。次にチェーン１７に固着された
掛止リング１８を揺動レバー５の掛止部５ａに掛止す
る。次いでボビンレール３を最大上昇位置に配置した状
態でばね２１の他端の掛止部材２１ａをスタッド２２に
固定する。この状態では掛止部材２１ａをスタッド２２
に固定するために必要な長さにばね２１を引き伸ばすの
に必要な力が小さくてすむ。そして、最後に連結部材２
０のナット２４を回動操作してばね２１の引っ張り力の
調整を行う。従来装置と異なり重りを使用していないた
め、重量物の取付け作業がなく組付け作業が安全に行わ
れる。又、回転軸１２がスプリングピース４のスパン間
に上方から載置するだけで所定位置に支持されるため、
組付け作業が極めて容易となる。

【００１６】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。駆動軸１０が正転駆動すなわち図１の時計方
向に回転されるとピニオン１１を介してリフターラック
９がスライド部材７及びボビンレール３とともに上昇す
る。図１の状態ではばね２１が最も伸びた状態にあり、
ばね２１がチェーン１９を引っ張る力が最大となる。
又、図３はボビンレール３が最大上昇位置に配置された
状態を示し、この状態ではばね２１が最も縮んだ状態に
あり、ばね２１がチェーン１９を引っ張る力は最小とな
る。チェーン１９が巻掛けられているプーリ１６，２７
の径は一定であるため、プーリ１６，２７を介して回転
軸１２に加わるモーメントはばね２１がチェーン１９を
引っ張る力に比例し、図１の状態で最大となり図３の状
態で最小となる。

【００１７】一方、カム１５に一端が固定されたチェー
ン１７に揺動レバー５を介して作用する力すなわちボビ
ンレール３の重量はほぼ一定である（正確には粗糸巻２
８を含んだ重量となるため、巻取の進行にともなって漸
増する）。そして、ボビンレール３の駆動源に無理な力
が加わることなくボビンレール３を円滑に昇降させるに
は、チェーン１７に作用する力に基づきカム１５を介し
て回転軸１２に加わるモーメントと、前記プーリ１６，
２７を介して回転軸１２に加わるモーメントとがボビン
レール３の位置、すなわちばね２１の伸縮量に関係なく
バランスを保つことが必要となる。カム１５はカム１５
が巻取側へ回動される際に回転軸１２の中心から巻取部
（カム面）までの距離が次第に小さくなるように変化す
る形状に形成されているため、チェーン１７に作用する
力に基づきカム１５を介して回転軸１２に加わるモーメ
ントが変化する。そして、前記モーメントの変化の割合
がばね２１の付勢力によりチェーン１９及びプーリ１
６，２７を介して回転軸１２に作用するモーメントの変
化の割合が同じため、両モーメントのバランスが常に保
たれた状態でボビンレール３の昇降が行われ、駆動軸１
０に無理な力が作用することなくボビンレール３の円滑
な昇降が行われる。

【００１８】粗糸巻２８を含めたボビンレール３の重量
は粗糸の巻取の進行に伴って漸増するため、ボビンレー
ル３とバランス状態を保つためのばね２１の付勢力は粗
糸がどの程度巻取とられた時点を基準とするかによって
変更する必要がある。この実施例の構成では連結部材２
０を構成するナット２４を回動することによりねじ棒２
５のナット２４からの突出量が変化し、ばね２１の付勢
力の調整を簡単に行うことができる。

【００１９】又、ボビンレール３とのバランスを保つた
めの機構にばね２１が使用されているため、従来の重り
を使用した装置に比較してバランスを保つための機構が
コンパクトになる。そして、バランスを保つための機構
がスプリングピース４のスパン間の端部寄りに配設され
ているため粗紡機機台の後側にかなり大きなスペースを
確保することができ、本願出願人が先に提案した管替装
置のように粗紡機機台に組込まれる装置の収容が容易と
なる。

【００２０】（実施例２）次に第２実施例を図４に従っ
て説明する。この実施例はバランス装置をスプリングピ
ース４の各スパン毎に設ける代わりに、各スプリングピ
ース４を挟んだ状態に設けられ、回転軸１２がスプリン
グピース４を貫通する状態で配設された点が前記実施例
と異なっており、カム１５、プーリ１６，２７等の構成
は前記第１実施例と同じである。この実施例の装置では
回転軸の長さは前記実施例の場合よりも短くなるが、組
付時にスプリングピース４を貫通させた状態で回転軸１
２を組付ける必要があるため、少なくともプーリ２７は
回転軸１２をスプリングピース４の所定位置に配置した
後、回転軸に嵌挿固定する必要がある。従って、組付け
作業は前記実施例の装置の方が容易である。

【００２１】なお、本発明は前記両実施例に限定される
ものではなく、例えば、チェーン１７が固定される側の
第１の巻取部材をカム１５に代えてプーリとし、チェー
ン１９が固定される側の第２の巻取部材をカムとした
り、両巻取部材をカムとしてもよい。この場合カムの形
状はそれぞれ第１実施例のカム１５とは異なる形状とな
る。又、チェーン１７，１９に代えてベルトやロープを
使用してもよい。ベルトやロープを使用した場合はチェ
ーンを使用した場合に比較して取扱が容易となる。又、
第１実施例においてカム１５とプーリ１６とを別体に形
成したり、プーリ２７とそれに対応するチェーン１９及
びばね２１を無くすとともに付勢力の大きなばね２１を
スプリングピース４の１スパンに対して１個使用するよ
うにしてもよい。又、揺動レバー１個に対してばね２１
を一組あるいは１個設ける代わりに、回転軸１２を複数
スパンの長さに形成するとともに複数の揺動レバーに対
してばね２１を一組あるいは１個設ける構成としてもよ
い。

【００２２】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、バ
ランス用の重りが不要となるため、重量物の取付け作業
がなくなって組付け時の作業性が良くなり、しかも装置
がコンパクトになって粗紡機機台全体の小型化や、粗紡
機機台に管替装置等を組込むことが容易となる。又、回
転軸を粗紡機のスプリングピースのスパン毎に設け、隣
接するスプリングピースの側方に突設された軸受支持部
に回転軸の両端を載置する状態に配設した場合は、回転
軸の組付けや取り外しが極めて簡単となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した第１実施例の概略側面図で
ある。

【図２】同じく一部破断概略正面図である。

【図３】ボビンレールが上昇した状態の概略側面図であ
る。

【図４】第２実施例の一部破断概略正面図である。

【符号の説明】

１……粗紡機機台、３…ボビンレール、４…スプリング
ピース、５…揺動レバー、１２…回転軸、１３…軸受支
持部、１４…ベアリング、１５…第１の巻取部材として
のカム、１６，２７…第２の巻取部材としてのプーリ、
１７…第１の索としてのチェーン、１９…第２の索とし
てのチェーン、２１…ばね。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機台の長手方向と平行に回転軸を配設
   し、ボビンレールを支承するとともにボビンレールの昇
   降に伴って揺動する揺動レバーに一端が連結された第１
   の索の他端を前記回転軸に一体回転可能に固定した第１
   の巻取部材に固定し、前記回転軸に一体回転可能に固定
   した第２の巻取部材に第２の索を前記第１の索と逆方向
   に巻取られる状態でその一端を固定するとともにその他
   端をばねに連結し、前記ばねを前記第１の巻取部材が第
   １の索を巻取る方向に回動付勢される状態に配設し、か
   つ前記両巻取部材の少なくとも一方を前記第１及び第２
   の索により第１及び第２の巻取部材を介して回転軸にそ
   れぞれ作用するモーメントの値がばねの伸縮に対応して
   常にバランスするように回転軸の中心から巻取部までの
   距離が変化するカムとした粗紡機のボビンレール昇降用
   バランス装置。
2. 【請求項２】 前記回転軸は粗紡機のスプリングピース
   のスパン毎に設けられ、隣接するスプリングピースの側
   方に突設された軸受支持部に回転軸の両端が載置された
   状態で配設されている請求項１に記載の粗紡機のボビン
   レール昇降用バランス装置。