JPH0571009A - 補強用繊維状成形体及び建築用材料 - Google Patents

補強用繊維状成形体及び建築用材料

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JPH0571009A
JPH0571009A JP3776692A JP3776692A JPH0571009A JP H0571009 A JPH0571009 A JP H0571009A JP 3776692 A JP3776692 A JP 3776692A JP 3776692 A JP3776692 A JP 3776692A JP H0571009 A JPH0571009 A JP H0571009A
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JP
Japan
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fiber
styrene
fibrous
reinforcing
weight
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JP3776692A
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English (en)
Inventor
Michiaki Yamazaki
亨明 山崎
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石綿の代替材料として有用な繊維状補強材を
提供すること。 【構成】 結晶化度が30%以上であり、且つ複屈折率
の絶対値が20×10-3以上のシンジオタクチックポリ
スチレンを用いて繊維状に成形する。得られた繊維状ポ
リスチレンを補強材としてけい酸カルシウムスラリー,
けい酸原料,石灰原料及び繊維状無機繊維に配合するこ
とにより各種の建築用材料を得ることができる。 【効果】 人体に無害であり、蒸熱乾燥工程において物
性がほとんど低下せず、補強効果が優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、補強用繊維状成形体及
び建築用材料に関し、詳しくは補強材として有用な繊維
状成形体及び該成形体を含む建築用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築用補強材には、石綿が使用さ
れてきた。石綿は数千cm2 /g以上の比表面積を有す
る繊維であることから、けい酸カルシウムの原料である
けい酸原料や石灰原料の粉末類をよく吸着するので、脱
水工程において原料を流出させることがない。また適度
の濾水度を有することから、けい酸カルシウムを抄造可
能ならしめる機能を有するものであり、蒸熱乾燥工程に
おいては、耐アルカリ性が高いので、アルカリ性である
水酸化カルシウムと共存しても劣化することがない等、
製造工程において有意義な役割を果たしている。更に、
石綿は高強度で嵩高い繊維であると共に、けい酸カルシ
ウムとの親和力が大きいため、けい酸カルシウム板に前
述のような優れた諸性能を付与している。
【0003】しかしながら、石綿は国際的需要量の急増
と資源の枯渇とにより価格の高騰を来しており、また必
要量を確保することが困難になって来た。これに加えて
石綿は、労働環境衛生上の観点から発ガン性の恐れがあ
る物質として指摘され、その工業製品の素材としての使
用に制限が加えるられるようになっている。従って、石
綿の代替材料を開発する必要に迫られている。
【0004】石綿の代替材料として、熱可塑性樹脂,ポ
リエチレンテレフタレート(PET),ポリアミド(P
A)等からなる繊維が考えられるが、これらの繊維は蒸
熱乾燥工程における高温のアルカリ性雰囲気の中で劣化
し易く、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(P
P),ビニロン等からなる繊維も同工程の温度に耐える
ことはできない。また、ポリイミド繊維は高価であり、
実用上使用が困難である。更に、ガラス繊維は耐アルカ
リ性に乏しく、耐アルカリ性を改良したガラス繊維は、
剛直で柔軟性に欠け、しかもガラス繊維の表面は一般に
平滑であるため、他の原料との親和性に欠けるという欠
点があった。また、シンジオタクチックポリスチレン系
重合体は、耐熱性,耐酸性,耐アルカリ性に優れてい
る。しかし、コンクリートやけい酸カルシウムの蒸熱過
程において、温度は150℃以上の高温になるため、シ
ンジオタクチックポリスチレン系重合体の繊維が熱収縮
を起こし、脆くなるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
蒸熱乾燥工程における高温のアルカリ性雰囲気に耐える
ことができ、しかも他の原料との親和性に優れた石綿代
替材料を開発すべく鋭意研究を重ねた。
【0006】
【課題を解決するための手段】その結果、本発明者は、
特定の結晶化度を有するシンジオタクチックポリスチレ
ン系重合体からなる繊維状成形体が、熱による収縮,強
度低下が少なく、上記の課題を解決しうることを見出し
た。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであ
る。
【0007】すなわち、本発明は、結晶化度が30%以
上であり、且つ複屈折率の絶対値が20×10-3以上で
あって高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体を主成分として含む補強用繊維状成形体及び該
成形体を含有する建築用材料を提供するものである。
【0008】本発明の補強用繊維状成形体は、上記のよ
うに、結晶化度が30%以上であり、且つ複屈折率の絶
対値が20×10-3以上であって高度のシンジオタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体から成るものであ
る。スチレン系重合体において、高度のシンジオタクチ
ック構造とは、立体化学構造が高度のシンジオタクチッ
ク構造、すなわち、炭素−炭素結合から形成される主鎖
に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互
に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そ
の立体規則性(タクティシティー)は同位体炭素による
核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13
C−NMR法により測定される立体規則性は、連続する
複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイ
アット,3個の場合はトリアッド,4個の場合はテトラ
ド,5個の場合はペンタッドによって表わされる。本発
明に言う高度のシンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体とは、上記方法で求めた立体規則性が、通常
はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以
上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましく
は50%以上のシンジオタクティシティーを有するもの
である。具体的には、上記立体規則性のポリスチレン,
ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレ
ン),ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン),ポリ(ア
ルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステ
ル),これらの水素化重合体及びこれらの混合物、ある
いはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。な
お、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリメ
チルスチレン,ポリエチルスチレン,ポリ(ブチル)ス
チレン,ポリ(フェニルスチレン),ポリ(ビニルナフ
タレン),ポリ(ビニルスチレン)などがあり、ポリ
(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(フルオロスチ
レン),ポリ(クロロスチレン),ポリ(ブロモスチレ
ン)などがある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチ
レン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)など、
ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシ
スチレン)などがある。また、これらの構造単位を含む
共重合体のコモノマー成分としては、上記スチレン系重
合体のモノマーの他、エチレン,プロピレン,ブテン,
ヘキセン,オクテン等のオレフィンモノマー,ブタジエ
ン,イソプレン等のジエンモノマー,環状オレフィンモ
ノマー,環状ジエンモノマー,メタクリル酸メチル,無
水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性ビニルモノマ
ーが挙げられる。なお、これらのうち特に好ましいスチ
レン系共重合体としては、ポリスチレン,ポリ(アルキ
ルスチレン),水素化ポリスチレン,及びこれらの構造
単位を含む共重合体が挙げられる。
【0009】また、本発明に用いる高度のシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体は、結晶化度が3
0%以上、好ましくは35%以上、更に好ましくは38
%以上のものである。しかし、結晶化度が高いのみでは
不十分であり、繊維が上記の結晶化度と特定の配向度を
同時に有することが必要である。一般には配向度の指標
として複屈折率が用いられる。すなわち、本発明におけ
るスチレン系重合体は、複屈折の絶対値が20×10-3
以上、好ましくは25×10-3以上、更に好ましくは3
0×10-3以上である。結晶化度が30%未満では蒸熱
乾燥時の発熱により、繊維が著しい収縮を起こし、脆く
なってしまう。また、複屈折率の絶対値が20×10-3
未満では、たとえ結晶化度が30%以上であっても繊維
は脆くなってしまう。
【0010】さらに、これらスチレン系重合体は、1
0,000〜1,000,000の重量平均分子量、特に好ま
しくは50,000〜800,000の重量平均分子量のも
のである。さらに分子量分布についてはその広狭の制約
はなく、様々なものを用いることができるが、重量平均
分子量/数平均分子量が1.8〜10であるのが好まし
い。
【0011】このようなシンジオタクチック構造のスチ
レン系重合体は、チタン化合物、及び水とトリルアルキ
ルアルミニウムの縮合生成物を触媒としてスチレン系単
量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合
することにより製造することができる(特開昭62−1
87708号公報)。また、ポリ(ハロゲン化アルキル
スチレン)については特開平1−46912号公報、こ
れらの水素化重合体は特開平1−178505号公報に
記載の方法で得ることができる。
【0012】本発明の繊維状成形体は、上記のようなス
チレン系重合体を繊維状に成形したものである。形状に
ついては、用途により様々であり、特に制限されない
が、補強及び抄造時の取扱い上あるいは加工上、繊維長
が1mm〜100mmで、繊維径が1μm〜500μm
の繊維とする。繊維長は、1mm未満では補強材として
十分な強度が得られず、100mmを超えると抄造時の
分散性が悪い。繊維長は、3mm〜50mmであるのが
好ましい。繊維の断面形状についても特に制限はなく、
円,楕円,矩形等,一般に知られているものが使用でき
る。平均的な繊維径(断面が円でない場合には、その断
面積に相当する円の直径で代表する)は、特に制限はな
く、用途により適宜選定できるが、1μm〜500μm
が好ましい。
【0013】また、繊維の表面は、平滑なものでも良
く、あるいは適当な方法で凸凹を設けたものであっても
良い。さらに、親水性を向上するために、繊維表面に親
水基を付与させても良い。親水基としては、スルホン酸
基またはその塩,カルボキシ基またはその塩,水酸基ま
たはその塩,アンモニウム塩,ハロゲン,ニトロ基,リ
ン酸,ニトリル基等が有効である。これらの親水基の付
与は、公知の各種の方法で行うことができ、例えば、浸
漬法などの方法で行うことができる。このとき親水性を
改良することにより、臨界表面張力を35dyne/c
m以上、好ましくは40dyne/cm以上とする。
【0014】さらに、繊維は線状でもよく、捲縮させて
もよい。結晶化度が30%以上且つ複屈折率の絶対値が
20×10-3以上の繊維を用いることにより蒸熱乾燥時
に捲縮がおこり、マトリックスとの接着力を向上させる
ことが可能である。繊維は熱固定を行っても、行わなく
ともよい。熱固定を行う場合は、緊張下あるいは適度な
弛緩状態下で行うことができる。弛緩状態で行う場合
は、物性低下を避けるために、20%以下の弛緩に留め
ることが好ましい。熱固定を行うときの温度は、シンジ
オタクチック構造を有するスチレン系重合体のガラス転
移温度以上且つ融点以下である。具体的には、100℃
以上、好ましくは150℃以上、更に好ましくは200
℃以上であり、融点を越えない温度で行えば良い。熱固
定の時間は特に制限はないが、0.5秒以上30分未満が
好ましい。
【0015】上記のような繊維状シンジオタクチックス
チレン系重合体は、各種の方法によって製造することが
でき、製造方法には特に制限はない。例えば、繊維は、
ステープル法,スパンボンド法,メルトブロウン法等の
溶融紡糸により作成可能である。さらに、他の熱可塑性
樹脂を芯として、シンジオタクチックポリスチレン系重
合体を鞘とした鞘芯構造の繊維とすることもできる。
【0016】繊維状シンジオタクチックスチレン系重合
体を製造する際に、耐熱性,耐アルカリ性を損なわない
程度に熱可塑性樹脂をブレンドすることもできる。ここ
で熱可塑性樹脂としては、様々なものが考えられるが、
例えばアタクチック構造のポリスチレン,アイソタクチ
ック構造のポリスチレン,AS樹脂,ABS樹脂などの
スチレン系重合体をはじめ、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)
などのポリエステル樹脂,さらにポリカーボネート樹
脂,ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS),ナイロ
ン6,ナイロン6・6,ナイロン4・6等のポリアミド
樹脂等を挙げることができる。そのほかポリフェニレン
オキサイド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホンなど
のポリエーテル樹脂,ポリアクリル酸,ポリアクリル酸
エステル,ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系
樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポ
リ4−メチルペンテン−1,エチレン−プロピレン共重
合体,エチレン−アクリル酸共重合体,エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体
などのポリオレフィン樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化
ビニリデン,ポリ弗化ビニリデンなどの含ハロゲンビニ
ル化合物重合体、さらにはポリオキシメチレン,ポリビ
ニルアルコール樹脂及びこれらの誘導体等を挙げること
ができる。
【0017】これらの中で、耐熱性,耐アルカリ性を低
下させないものとして、特にPPS及びポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)あるいはそ
の変性物が好適である。
【0018】あるいは、フラットヤーンを作成し、細か
くフィブリル化することにより断面が矩形の繊維状の成
形体を作成することが可能である。このフィブリル化に
よって得られる繊維状の成形体は、直線状のものの他、
枝分かれを有するものが好ましく用いられる。この場
合、一軸延伸の倍率は、3倍以上、好ましくは3.5倍以
上にすることが好ましく、強度,フィブリル化のし易さ
の点において、高延伸倍率に延伸することが好ましい。
【0019】また、耐火性を向上するために、難燃剤,
難燃助剤を添加したシンジオタクチックスチレン系重合
体を使用してもよい。
【0020】本発明の補強用繊維状成形体は、けい酸カ
ルシウム板,スレート,石膏ボード,石膏スラグ板,セ
メント等の建築用材料の補強に用いられる。例えば、上
記のようにして得られる本発明の繊維状シンジオタクチ
ックスチレン系重合体は、耐熱寸法安定性が優れてお
り、蒸熱乾燥工程で収縮せず、補強性に優れているの
で、これをけい酸カルシウムスラリーの中に分散させ、
常法によって目的とする建築用材料を得ることができ
る。上記繊維状シンジオタクチック系重合体の添加量は
0.1〜15重量%とする。0.1重量%未満では補強効果
が小さく、15重量%を超えると耐火性が悪くなる。
【0021】前記のけい酸カルシウムスラリーは、通
常、けい酸原料及び石灰原料を水熱反応させることによ
って製造される。けい酸原料としては、例えばけい石,
けい藻土,シラス,フエロシリコンダスト,シリコンダ
スト等が使用される。また、石灰原料としては、例えば
消石灰,生石灰,カーバイト滓,セメント等が使用され
る。前記けい酸カルシウムは、予め、別にけい酸原料と
石灰原料とをオートクレーブ中で水熱合成させることに
よって製造された結晶状態のものであるのが好ましく、
殊に、その主成分がゾノトライト結晶,トバモライト結
晶あるいはそれらの混晶であるものが好ましい。けい酸
カルシウムスラリーには、けい酸カルシウムと共に、け
い酸原料及び石灰原料が含まれていてもよい。
【0022】また、けい酸カルシウムスラリーの配合量
は、全原料重量(固形分)に対して固形分で10〜30
%の範囲が好ましい。配合量が10%未満では抄造上の
諸性質が十分改善されないと共に、製品の性能が全般に
十分向上できず、また、配合量が30%を超えると、濾
水度が極度に悪化して抄造できなくなるので好ましくな
い。
【0023】さらに、補強効果を向上させるため、けい
酸カルシウムスラリーにガラスミルドファイバー,カー
ボンミルドファイバー等のミルドファイバー,繊維状ウ
ォラストナイト,セピオライト,ゾノトライト,チタン
酸カリウム,エレスタダイト,石膏ファイバー等の短繊
維,ガラスバルン,フライアッシュ,シラスバルン等の
バルン状物質,マイカ,グラファイト等のフレーク状物
質,炭酸カルシウム,クレー,タルク,ホワイトカーボ
ン等を添加することができる。
【0024】本発明の建築材料においては、けい酸カル
シウム,けい酸原料,石灰原料及び繊維状無機繊維の合
計量が85〜99.9重量%となるようにする。これらの
合計量が85重量%未満であると、材料の耐火性が悪化
し、99.9重量%を越えると強度が改善されない。ま
た、本発明の補強用繊維状成形体は、例えば石膏ボード
のように高温での養生が不要な建築材料においても耐熱
性を高くすることが可能である。
【0025】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明をさら
に詳しく説明する。
【0026】参考例 スチレン系重合体の製造例 (1)トリメチルアルミニウムと水との接触生成物の調
製 アルゴン置換した内容積500mlのガラス製容器に硫
酸銅5水塩(CuSO 4 ・5H2 O)17.8g(71ミ
リモル),トルエン200ml及びトリメチルアルミニ
ウム24ml(250ミリモル)を入れ、40℃で8時
間反応させた。その後、固体部分を除去して得られた溶
液から、更に、トルエンを室温下で減圧留去して接触生
成物6.7gを得た。この接触生成物の分子量を凝固点降
下法によって測定したところ610であった。
【0027】(2)スチレン系重合体の製造 内容積2リットルの反応容器に、精製スチレン1リット
ル、上記(1)で得られた接触生成物をアルミニウム原
子として7.5ミリモル,トリイソブチルアルミニウムを
7.5ミリモル,ペンタメチルシクロペンタジエニルチタ
ントリメトキシド0.038ミリモルを用いて90℃で5
時間重合反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウム
のメタノール溶液で触媒成分を分解後、生成物をメタノ
ールで繰り返し洗浄し、乾燥して重合体466gを得
た。1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として、1
35℃でゲルバーミエーションクロマトグラフィーにて
測定したところ重合体の重量平均分子量は290,000
で,重量平均分子量/数平均分子量は、2.72であっ
た。また、融点及び13C−NMR測定によりこの重合体
はシンジオタクチック構造のポリスチレンであることを
確認した。
【0028】実施例1 (a)ペレットの作成 参考例で得られたシンジオタクチック構造のポリスチレ
ン100重量部に、酸化防止剤として(2,6−ジ−t
ert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリ
トールジホスファイト(商品名PEP−36;アデカ・
アーガス社製)及びテトラキス〔メチレン−3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
−プロピオネート〕メタン〔商品名:Irganox 101
0;日本チバガイギー社製)をそれぞれ0.1重量部添加
し、300℃で溶融押出してペレットを作成した。
【0029】(b)繊維の製造 (a)で得られたペレットを用い押出機の先端に直径0.
5mmΦの口金を4個有するダイを使用し、310℃の
ダイ温度で、1孔当たり1.875g/分の吐出量で押出
し、巻取機(帝人製機(株)製)を用いて巻取速度15
00m/分で巻き取った。
【0030】得られた繊維の繊度は10デニールであ
り、繊維径は40μmであった。示差走査熱量計(DS
C)により求めた結晶化度は41%、弾性率は55g/
デニールであり、強度は1.5g/デニールであった。
【0031】(c)強度保持試験 (b)で得られた直線状の繊維を300mmの長さに切
った。1リットルのオートクレーブにpH=12に調整
したNaOH水溶液を800ml入れ、この中に上記の
繊維を入れ、蓋をした。このオートクレーブの内温を1
80℃に昇温し、10時間保持した。このときの内圧は
10kg/cm2 であった。冷却後、繊維を取り出し
た。繊維は捲縮により約170mmの長さになっていた
が、手で引き伸ばすと約290mmまで長さが回復し、
手をはなすと弾性的に170mmの長さに戻った。
【0032】試験前後の引張強度を測定し、下記の式に
より強度保持率を測定し、結果を第1表に示す。弾性率
は47g/デニールであり、強度は1.3g/デニールで
あった。 強度保持率=〔耐NaOH試験後の強度(または弾性
率)〕/耐NaOH試験前の強度(または弾性率)〕×
100(%)
【0033】実施例2 実施例1(c)において、オートクレーブ内の温度を2
30℃にした(このとき内圧は28kg/cm2 であっ
た)以外は、同様の操作で試験を行った。結果を第1表
に示す。冷却後、取り出すと繊維は捲縮(約170m
m)していたが、手で引き伸ばすと約290mmまで長
さが回復し、手をはなすと弾性的にもとの長さに回復し
た。弾性率は45g/デニールであり、強度は1.29g
/デニールであった。
【0034】比較例1 実施例1(a)で作成したのと同じペレットを使用し
て、1孔当たり0.4g/分の吐出量で押出し、300m
/分の速度で巻き取った。このときの繊維径は40μ
m、繊度は10デニールであり、結晶化度は18%であ
った。又、弾性率は25g/デニールであり、強度は0.
62g/デニールであった。
【0035】得られた繊維を実施例1(c)と同様の試
験を行い、結果を第1表に示す。冷却後取り出すと、繊
維には捲縮がみられず直線状をしており、154mmに
収縮していた。弾性率は16.3g/デニールであり、強
度は0.1g/デニールであった。
【0036】実施例3 実施例1(b)で得られた繊維の両端を伸張状態で固定
し、250℃のオーブン中に30秒間入れて固定長で熱
固定を行った。熱固定後の結晶化度は47%、弾性率は
60g/デニールであり、強度は1.6g/デニールであ
った。得られた繊維を300mmの長さに切り、これを
用いて実施例1(c)と同様の試験を行い、結果を第1
表に示す。冷却後の繊維は直線状であり、長さは295
mmであり、捲縮はみられなかった。このときの弾性率
は55g/デニールであり、強度は1.44g/デニール
であった。
【0037】比較例2 PETの長繊維(10デニール)を用い、実施例1
(c)と同様の試験を行い、結果を第1表に示す。冷却
後、繊維は一部分解し、もとの形状を留めていなかっ
た。
【0038】実施例4 実施例1(a)で作成したものと同じペレットを用い
て、温度300℃に設定したT−ダイ(幅200mm)
から押し出し、ロール表面温度70℃に設定したチルロ
ールで冷却し、厚み30μmの透明な原反を作成した。
引き続き、この原反を、ロール温度120℃に設定した
2本のロール間で4.2倍に一軸延伸した。得られた一軸
延伸フィルムの厚さは7.5μmであった。このフィルム
は延伸方向と同方向に裂けやすい性質を持っていた。次
いで、このフィルムを常法によりフィブリル化し、断面
の形状が約30μm×7.5μmの矩形で、長さ300m
mの繊維を作成した。このフィブリル化した繊維の弾性
率は41g/デニールであり、強度は1.1g/デニール
であった。顕微鏡観察の結果、この繊維の表面は、フィ
ブリル化した際にできたと思われる多数の凹凸を有して
いた。得られた繊維を用いて実施例1(c)と同様の試
験を行い、結果を第1表に示す。弾性率は34g/デニ
ールであり、強度は0.94g/デニールであった。
【0039】実施例5 参考例で得られたシンジオタクチックポリスチレン80
重量部に、ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ンエーテル(PPO)を20重量部添加した。得られた
組成物を実施例1(b)と同様の装置を用いて1700
m/分で紡糸した。得られた繊維の繊維径は25μmで
あり、結晶化度は35%であった。また弾性率は45g
/デニールであり、強度は1.3g/デニールであった。
得られた繊維を用いて、実施例1(c)と同様の試験を
行い、結果を第1表に示す。弾性率は37g/デニール
であり、強度は1.1g/デニールであった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】*1 密度より算出 *2 断面積に相当する円の半径 実施例6 実施例1(b)で得られた繊維を室温でクロルスルホン
酸中に4時間浸漬した後、繊維を十分に水洗した。乾燥
した繊維の赤外分光測定によりスルホン酸基が存在する
ことが確認された。スルホン化した繊維の臨界表面張力
は41dyne/cmであり、未処理の繊維の臨界表面
張力は33dyne/cmであった。すなわち、スルホ
ン化した繊維は、スルホン化しないものと比較して親水
性が向上していた。
【0043】実施例7〜10 実施例1,3,4,6で得られた繊維を10mmの長さ
に切断し、繊維状ウオラストナイト,予め水熱合成して
得られたけい酸カルシウム結晶スラリー,けい石及び消
石灰を第2表に示す固形分割合で配合し、これらの原料
をこの全原料重量の10倍量の水に加えて攪拌混合し、
さらに抄造時には水を加えてスラリー濃度が約3重量%
になるようにして抄造し、生板を形成した。次に得られ
た生板をオートクレーブに入れ、飽和水蒸気圧10kg
/cm2 のもとで、10時間蒸熱処理した後、乾燥し
た。得られた製品の物性を第2表に示す。
【0044】比較例3及び4 比較例1で得られた繊維及びPET繊維を長さ10mm
に切断し、実施例7と同様の操作を行った。得られた製
品の物性を第2表に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】実施例11及び12 実施例3で得られた繊維を用い、第3表に示す割合の混
合物をスクリュー混合機で攪拌し、これらの原料をこの
全原料重量の10倍量の水に加えて攪拌混合し、得られ
たスラリーを抄造して石膏板を作成した。このときの成
形圧力は100kg/cm2 あり、その後120℃で乾燥し
た。得られた石膏板の物性を第4表に示す。また、この
石膏板を250℃のオーブン中で30分熱処理を行い、
耐熱性を評価した結果(耐熱性試験)も第4表に併記し
た。
【0048】比較例5及び6 補強繊維として、比較例1で得られた繊維または市販の
ビニロン繊維(商品名:ユニチカビニロン)を用いた以
外は、実施例11および12と同様にして石膏板を作成
した。得られた物性を第4表に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】本発明による繊維状成形体は、優れた強
度を有し、蒸熱乾燥工程における高温のアルカリ性雰囲
気に耐え、収縮せず、しかも、他の原料との親和性に優
れ、また、人体に無害で、環境汚染の心配もない。した
がって、本発明の繊維状成形体は、補強材として石綿の
代替材料として有用であり、これを補強材として含む建
築用材料は、高い強度を有し、建築用ボード,ジョイン
トシート,壁材料等の各種の建築材料,コンクリート,
石膏ボード,セメント吹付け材,軽量コンクリート等に
有効な利用が期待される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶化度が30%以上であり、且つ複屈
    折率の絶対値が20×10-3以上である高度のシンジオ
    タクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分とし
    て含有する補強用繊維状成形体。
  2. 【請求項2】 繊維の長さが1〜100mmであり、繊
    維径が1μm〜500μmである請求項1記載の補強用
    繊維状成形体。
  3. 【請求項3】 ガラス転移温度以上で捲縮を起こすこと
    ができる請求項1又は2記載の補強用繊維状成形体。
  4. 【請求項4】 臨界表面張力が35dyne/cm以上
    である請求項1〜3のいずれかに記載の補強用繊維状成
    形体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の補強用
    繊維状成形体を含有してなることを特徴とする建築用材
    料。
  6. 【請求項6】 繊維状成形体0.1〜15重量%並びにけ
    い酸カルシウム,けい酸原料及び石灰原料及び/または
    繊維状無機繊維の合計85〜99.9重量%を含有してな
    る請求項5記載の建築用材料。
  7. 【請求項7】 建築用材料が石膏ボードであることを特
    徴とする請求項5記載の建築用材料。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれかに記載の補強用
    繊維状成形体を0.1〜15重量%含有してなる請求項7
    記載の建築用材料。
JP3776692A 1991-02-28 1992-02-25 補強用繊維状成形体及び建築用材料 Pending JPH0571009A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016121283A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 出光興産株式会社 官能基が導入されたシンジオタクティックポリスチレンを含む成形体

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