JPH0570275B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 本発明は大小種々の歯車など金属部材を高周波
焼入れ加工するための焼入れ装置に関するもので
ある。

Ｂ 発明の概要 本発明は、変速又は割り出し回転可能な主イン
デツクステーブルと、その周縁部に回転自在に配
置された副回転テーブルと、主インデツクステー
ブルの周縁部また上面部に面して固定配置された
加熱コイルと、加熱コイルの近傍で副回転テーブ
ルを回転駆動させる駆動装置とで構成され、大き
い部材の焼入れには主インデツクステーブルを、
小さい部材の焼入れには副回転テーブルを、それ
ぞれ使い分けることができるようにしたものであ
る。

Ｃ 従来の技術 歯車の歯部など金属部材の均一な高周波焼入れ
を目的として、回転自在なインデツクステーブル
と、該インデツクステーブルの一部に面して配置
された加熱コイルとを有する高周波焼入れ装置が
用いられることがある。

従来のこの種高周波焼入れ装置を第５図及び第
６図に基づき説明する。第５図に示す高周波焼入
れ装置Ａは、小径の歯車等を焼入れ加工するため
のもので、固定台１上に回転テーブル２が回転自
在に載設され、この回転テーブル２上面に載置さ
れた被焼入れ物３の、例えば外周を取り巻く加熱
コイル４を延設し、この加熱コイル４を整合トラ
ンス５を介し高周波電源６と電気的に接続してな
るものである。

また、第６図に示す高周波焼入れ装置Ｂは、イ
ンデツクステーブル２ａと同程度の大径の歯車な
どの被焼入れ物３ａを焼入れ加工するためのもの
で、インデツクステーブル２ａは割出し回転機能
を有する固定台１上に載設され、また、加熱コイ
ル４ａは被焼入れ物３ａの周側部に面して上下左
右への移動調節が可能であつて、整合トランス５
を介し高周波電源６と電気的に接続されている。
高周波焼入れ装置Ａは、回転テーブル２を回転さ
せながら加熱コイル４に通電することにより被焼
入れ物３の表面焼入れ（所謂一発焼入れ）を行
う。一方、高周波焼入れ装置Ｂは、インデツクス
テーブル２ａの割出し回転と、加熱コイル４ａが
被焼入れ物３ａの周側部に対し、例えば歯部に沿
つて上下動をすることにより、被焼入れ物３ａを
所定の角度（例えば歯車の１歯）毎に移動焼入れ
を行う。

Ｄ 発明が解決しようとする問題点 上記従来の技術によると、高周波焼入れ装置Ａ
を使用して大径の被焼入れ物３ａを焼入れ加工
し、または高周波焼入れ装置Ｂを使用して小径の
被焼入れ物を焼入れ加工することは、それぞれ困
難である。すなわち、両装置Ａ，Ｂはそれぞれ専
用機として製作されているものであるから当然
に、一方が他方の機能をも兼備するものではな
い。

ところで、一般の熱処理工場では、多品種少量
生産形態を採つているから、これを実効あらしめ
るには、前記高周波焼入れ装置Ａ，Ｂの両方を併
設すべき必要に迫られることになる。

そこで、両装置Ａ，Ｂを併設すると設備費の上
昇と設備床面積の増大を来す。のみならず、専用
機であるから作業範囲が限定されるため、作業性
及び作業能率が良好でない。すなわち、径寸法を
異にする歯車などの被焼入れ物３，３ａを焼入れ
加工するときは、両装置Ａ，Ｂをそれぞれ使い分
けなければならないので作業性が悪く、また両装
置Ａ，Ｂはそれぞれ同時に複数個の被焼入れ部
３，３ａを焼入れ加工することができないため
に、自動機械化が困難で、作業能率が低いという
問題がある。

Ｅ 問題点を解決するための手段 本発明は、上記問題点を解決するため、被焼入
れ物の大小を問わず、汎用的に使用できる高周波
焼入れ装置を提供せんとするもので、大径物を載
置して変速又は割り出し回転自在な大径円盤から
なる主インデツクステーブルと、該主インデツク
ステーブルの周縁部に一定間隔で配置されて回転
自在、かつ、小径物を載置可能な複数の小径円盤
からなる副回転テーブルと、前記主インデツクス
テーブルの周縁部又は上面部に面して交換可能に
配置される加熱コイルと、該加熱コイルと連結さ
れる整合トランスを上下及び左右方向へ移動可能
に載置する調整台と、前記加熱コイルの近傍で前
記副回転テーブルを回転させる駆動装置とからな
ることを特徴とする高周波焼入れ装置を構成した
ものである。

Ｆ 作用 本発明によれば、種インデツクステーブルと副
回転テーブルとがそれぞれ回転自在であつて、大
径の被焼入れ物の場合には主インデツクステーブ
ルを用い、また小径の被焼入れ物の場合には副回
転テーブルを用いて、大小いずれの被焼入れ物で
も同じ装置を使い分けて焼入れ加工することがで
き、また小径の被焼入れ物の場合には連続的な大
量加工を可能として作業性及び作業能率を向上さ
せる。

Ｇ 実施例 以下に本発明を図示の実施例に基づき説明す
る。

原理的実施例 第１図及び第２図は原理的実施例を示す正面図
及び平面図である。主インデツクステーブル２ａ
は大径の被焼入れ物３ａを載置可能なもので、そ
の軸８は適宜固定された軸受９を貫通して固定台
１に回転自在に支持されている。固定台１にはサ
ーボモータなどの駆動装置１０と連結された減速
装置が含まれ、またその減速装置の適宜の変速又
は割出回転をする位置検出器１１を備えている。
位置検出器１１は高精度パルスエンコーダからな
り、駆動装置１０と共働して作用する。一方、主
インデツクステーブル２ａの上面には、その中心
から半径方向で等距離の周縁部に、一定間隔の放
射状に配置された副回転テーブル１２がそれぞれ
回転自在に設けられている。１３は副回転テーブ
ル１２の軸、１４は軸１３を貫通して主インデツ
クステーブル２ａに固定された軸受、１５は軸１
３の下端に固着された歯車である。この歯車１５
と係合する歯車１６を備えた駆動装置１７が加熱
コイル４の近傍に適宜固定して配設されている。
加熱コイル４は被焼入れ物３をとりまく従来のも
のと同様のものであるが、必要により従来の加熱
コイル４ａと交換できる。加熱コイル４は整合ト
ランス５と電気的に接続され、また整合トランス
５上下左右方向への移動が可能な調整台１８上に
載設されている。

次に、上記実施例の作用を説明する。第１図中
仮想線で示したように、大径の被焼入れ物３ａを
焼入れ加工するときは、主インデツクステーブル
２ａ上にそれを載置する。一方、小径の被焼入れ
物３を焼入れ加工するときは、副回転テーブル１
２上にそれを載置する。そして、被焼入れ物３の
場合にはその外周を取り巻く形状の加熱コイル４
を、また被焼入れ物３ａの場合には主インデツク
ステーブル２ａの周縁部に面する加熱コイル４ａ
を、それぞれ選択して整合トランス５に取付けて
配設する。ついで、駆動装置１０を回転駆動し、
位置検出器１１で主インデツクステーブル２ａに
所要の割出回転をさせる。そして、被焼入れ物３
の場合では、副回転テーブル１２が加熱コイル４
の位置に移動すると、歯車１５は歯車１６と係合
するので、駆動装置１７による回転駆動が伝達さ
れて、副回転テーブル１２を回転させる。ついで
加熱コイル４又は４ａを被焼入れ物３又は３ａに
対する所定の位置にセツトした後、高周波電流を
通電して焼入れを行う。被焼入れ物３の焼入れが
終ると、加熱コイル４を例えば上方へ移動させて
被焼入れ物３から外し、主インデツクステーブル
２ａを更に所定の角度回転させ新たに後続の被焼
入れ物３を同様に焼入れ加工する。被焼入れ物３
ａの場合では、被焼入れ物３ａの一部（一歯）毎
に主インデツクステーブル２ａを所定の角度回転
して焼入れする。このとき、副回転テーブル１２
が空回り回転できるように、何等かの台を主イン
デツクステーブル２ａ上に載置し、その台上に被
焼入れ物３ａを載置固定する。

具体的実施例 第３図及び第４図は具体的実施例を示す正面図
及び平面図である。図において、前記第１図及び
第２図と同符号は同一又は相当する構成部分を示
す。本実施例において、共通の基台２２上に固定
台１と調整台１８とが載設されている。そして、
主インデツクステーブル２ａの駆動装置１０は基
台２２に、また副回転テーブル１２の駆動装置１
７は固定台１の側面に取付けた側板１９に固定さ
れている。主インデツクステーブル２ａ上には、
副回転テーブル１２よりも高く突出した同一高さ
の支持台２０が等間隔で副回転テーブル１２の間
に放射状で配置されている。一方、調整台１８は
次のように構成されている。すなわち、基台２２
上に４本の筒柱２３を立設し、この筒柱２３に係
合して上下動自在な円柱２４を設けるとともに、
この円柱２４を底面に固着した昇降台２５を設け
る。この昇降台２５の底面略中央部には２基のジ
ヤツキ２６，２６が取付けられる。このジヤツキ
２６，２６はそれぞれ基台２２に固定されてい
る。２７はジヤツキ２６，２６をそれぞれ駆動す
るシヤフト、２８はシヤフト２７を正逆回転させ
る駆動装置である。そして、昇降台２５の上面に
は、その長手方向へ一対のレール２９，２９が敷
設されている。このレール２９，２９上には４個
の摺動ガイド３０を底面に取付けた縦可動台３１
が載置されている。縦可動台３１はスクリユウ軸
３２と係合する。スクリユウ軸３２は昇降台２５
上で回転自在に支持された正逆回転自在な駆動装
置３３により回転する。更に、縦可動台３１の上
面には前記レール２９，２９と直交する方向へ一
対のレール３４，３４が敷設されている。レール
３４，３４には４個の摺動ガイド３５を底面に取
付けた横可動台３６が載置されている。横可動台
３６は前記スクリユウ軸３２と直交する方向のス
クリユウ軸３７と係合する。スクリユウ軸３７は
縦可動台３１上で回転自在に支持された正逆回転
自在な駆動装置３８により回転する。横可動台３
６の上面には整合トランス５が載置固定されてい
る。加熱コイル４ａはこの整合トランス５に支持
されて主インデツクステーブル２ａ上に延伸して
いる。

次に上記具体的実施例の作用について説明す
る。主インデツクステーブル２ａ及び副回転テー
ブル１２の作用は前記原理的実施例と同一であ
る。そこで、調整台１８の作用を説明すると、加
熱コイル４ａを上下動させるときは、駆動装置２
８を正転又は逆転させ、シヤフト２７を介し、ジ
ヤツキ２６を伸縮いずれかの動作を選択して行わ
せ昇降台２５上下動させる。また、加熱コイル４
ａを主インデツクステーブル２ａの半径方向へ進
退させるときは、駆動装置３３を正転又は逆転さ
せてスクリユウ軸３２を介し、縦可動台３１をレ
ール２９に沿い前後動させる。更に、加熱コイル
４ａを左右へ移動させるときには、駆動装置３８
を正転又は逆転させて、スクリユウ軸３７を介し
横可動台３６をレール３４に沿つて移動させる。
かくして、加熱コイル４ａは主インデツクステー
ブル２ａの上面で前後左右並びに上下方向への移
動調整ができ、加熱コイル４ａの適切な位置設定
をすることができる。

なお、前記２実施例において、副回転テーブル
１２は主インデツクステーブル２ａに着脱自在な
構成とし、必要時にのみこれを装着するようにし
てもよい。また、主インデツクステーブル２ａは
割出し回転のみならず、連続的な回転も可能であ
る。従つて、加熱コイル４ａ，４ａに代る種々の
形状の加熱コイルを用意することにより、大径の
被焼入れ物及び小径の被焼入れ物ともに歯車に限
らず、円盤又は環状の被焼入れ物（例えば円鋸
刃）について夫々の外周面や上表面を焼入れ加工
することも可能である。

Ｈ 発明の効果 以上に説明した本発明によると、焼入れ対象が
大径物の場合は主インデツクステーブルを、ま
た、小径物の場合は副回転テーブルを、それぞれ
使い分けて使用することができる高周波焼入れ装
置を得ることができ、一台で各種寸法の歯車等の
焼入れ加工を汎用的になすことができる。しか
も、汎用装置として構成したから、それぞれの専
用装置を併設する設備費と設置面積の低減がで
き、また加工作業の範囲も拡大されて加工処理能
率を向上させる。さらに、副回転テーブルで行う
小径物の焼入れ加工は、主インデツクステーブル
がターンテーブル的な作用をするために、連続処
理が可能になる、等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明の原理的実施例の一
部断面正面図及び平面図、第３図及び第４図は本
発明の具体的実施例の一部断面正面図及び平面
図、第５図及び第６図は従来例の原理的構成の一
部断面正面図である。 １……固定台、２ａ……主インデツクステーブ
ル、３，３ａ……被焼入れ物、４，４ａ……加熱
コイル、５……整合トランス、６……高周波電
源、１０，１７……駆動装置、１１……位置検出
器、１２……副回転テーブル、１５，１６……歯
車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 大径物を載置して変速又は割り出し回転自在
   な大径円盤からなる主インデツクステーブルと、
   該主インデツクステーブルの周縁部に一定間隔で
   配置されて回転自在、かつ、小径物を載置可能な
   複数の小径円盤からなる副回転テーブルと、前記
   主インデツクステーブルの周縁部又は上面部に面
   して交換可能に配置される加熱コイルと、該加熱
   コイルと連結される整合トランスを上下及び左右
   方向へ移動可能に載置する調整台と、前記加熱コ
   イルの近傍で前記副回転テーブルを回転させる駆
   動装置とからなることを特徴とする高周波焼入れ
   装置。