JPH0569503A - 皮革粉含有樹脂膜、この樹脂膜を有する積層体及びこれらの製造方法 - Google Patents

皮革粉含有樹脂膜、この樹脂膜を有する積層体及びこれらの製造方法

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JPH0569503A
JPH0569503A JP10052991A JP10052991A JPH0569503A JP H0569503 A JPH0569503 A JP H0569503A JP 10052991 A JP10052991 A JP 10052991A JP 10052991 A JP10052991 A JP 10052991A JP H0569503 A JPH0569503 A JP H0569503A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 積層体3の場合、ポリウレタン6中に皮革粉
5が分散された樹脂膜2を基材1上にラミネートし、皮
革粉5の周囲に空隙7を形成する。この積層体3の製造
方法は、皮革粉5に水溶性コラーゲンをコーティングす
る工程と、水溶性コラーゲンがコーティングされた皮革
粉5をポリウレタン6と混合した後、この混合物を基材
1上に樹脂膜2として成形して積層体3を作る工程と、
この積層体3を水洗し、皮革粉5の周囲の水溶性コラー
ゲンを溶出させて樹脂膜2に空隙7を形成する工程とを
有する。 【効果】 表面外観(タッチ感)が良好で、吸放湿性、
透湿性、通気性等を兼ね備えた多機能性素材として利用
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮革粉含有樹脂膜、こ
の樹脂膜を有する積層体及びこれらの製造方法に関し、
例えば合成皮革、人工皮革、フィルム、シート、塗料、
インキ等に利用できる。
【0002】
【背景技術】従来、布等の衣料素材に適当な樹脂を付着
させることにより、衣料の防水性や保温性を高めたり、
透湿性を向上させて、むれ等を防ぎ、着心地を改善する
ことが行われているまた、各種成形体に塗装される塗料
中に適当なフィラーを配合することにより、塗膜の表面
に凹凸形状やマット調の外観を形成することも行われて
いる。
【0003】具体的には、表面に天然の皮革粉を含有す
るスキン層が形成された成形品(特開昭63−233828号公
報)、基布上の樹脂フィルムが皮粉とゼラチン粒子を含
んで構成され、この樹脂フィルム中のゼラチン粒子が湯
で溶出されて孔が形成された透湿性防水布(特開平1−
222954号公報)、ゼラチンを含む塗料と皮革粉よりなる
皮革様塗料(特開昭62−257974号公報)、ゼラチンを熱
可塑性樹脂に混入して作製したフィルム及び熱水でこの
ゼラチンを溶出させて微細孔を形成したフィルム(特開
昭63−152643号公報)等が提案、実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例のうち、特
開昭63−233828号公報に係る成形品は、ドライタッチ感
などの風合いの向上や吸放湿性の向上はみられるが、透
湿性の極端な改善効果はみられない。前記特開平1−22
2954号公報に係る透湿性防水布は、透湿性を向上させる
ことはできるが、ドライタッチ感や吸放湿性を持たせる
ことは困難である。前記特開昭63−152643号公報に係る
フィルムは、ゼラチンを溶出させて微細孔を形成すれば
透湿性を改善することはできる。しかし、ゼラチンは吸
湿しやすく、二次凝縮して取扱いに不便であるうえ、ゼ
ラチンを混入したままのフィルム(特開昭63−152643号
公報)や塗料(特開昭62−257974号公報)では、凝集粒
の不均一化が起こって欠陥部が生じやすくなるという欠
点がある。また、ゼラチンは、分子量が大きいため、水
への溶解性が小さく、表面に残存して吸湿した場合、べ
とつきが生じる。本発明は、表面外観(タッチ感)が良
好で、吸放湿性、透湿性、通気性等を兼ね備えた多機能
性素材として利用可能な皮革粉含有樹脂膜、この樹脂膜
を有する積層体及びこれらの製造方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明に係る皮
革粉含有樹脂膜は、樹脂中に皮革粉が分散して樹脂膜が
構成され、前記皮革粉の周囲に空隙が形成されているこ
とを特徴とする。このような皮革粉含有樹脂膜は、多孔
質化しているため、透湿性が良好であり、優れた表面タ
ッチ感が得られる。また、樹脂膜に含有されている皮革
粉が、適度な吸放湿特性を与える。前記樹脂としては、
フィルム状又は塗膜状に加工した後、少なくとも表面に
露出している水溶性物質を水で溶出させることのできる
樹脂を使用する。このような樹脂の具体例として、熱可
塑性樹脂のポリウレタン、ポリオレフィン〔LLDPE
(Linear Low Density Polyethylene )、PE、PP
等〕、塩化ビニル、ナイロン、エチレン酢酸ビニル等が
あり、特に水浸透性に優れたポリウレタンが好ましい。
【0006】前記皮革粉は、動物皮革微粉末(プロティ
ンパウダー)であって、微細で略均一な粒径を有するも
のである。具体的には、平均粒径が7μm以下(標準偏
差σ≦3μm)で、皮質分が85wt%以上、不純物の油脂
分が2wt%以下及び水で溶出する遊離イオン(Na+
Ca2+)の総量が0.5 wt%以下の皮革微粉末が好まし
い。また、この皮革粉は、牛皮原料から製造されたもの
が好ましい。このような皮革粉は、原料の粗粉砕工程、
溶剤による脱脂工程、スチームによる膨潤処理工程、分
級工程等を経て製造することができる(特願平2−1220
01参照)。樹脂と皮革粉との配合割合は、樹脂40〜99重
量部に対して、皮革粉60〜1重量部、好ましくは樹脂50
〜90重量部に対して、皮革粉50〜10重量部とする。
【0007】本発明に係る皮革粉含有樹脂膜の製造方法
は、皮革粉に水溶性物質をコーティングする工程と、水
溶性物質がコーティングされた前記皮革粉を樹脂と混合
した後、この混合物を膜状に成形する工程と、成形され
た樹脂膜を水洗して前記水溶性物質を溶出させる工程と
を有することを特徴とする。前記水溶性物質は、皮革粉
にコーティングした際、皮革粉に被膜が形成されやすい
ものが望ましい。具体的には、水溶性コラーゲン、ゼラ
チン、水溶性大豆タンパク質等のタンパク質系のもの及
びデンプン、寒天等の多糖類系のものがあるが、特に水
溶解性に優れ、またべたつき感の少ない水溶性コラーゲ
ンが好ましい。この水溶性物質を粉体で使用する場合に
は、100 ℃以下の乾燥で水分含量を1wt%以下としたも
のが好ましい。なお、NaCl等の無機化合物も使用可
能であるが、被膜形成能が前記物質ほど良好ではない。
【0008】前記水溶性物質の皮革粉へのコーティング
方式には、大別して湿式及び乾式がある。湿式コーティ
ング方式は、水溶性物質を水に溶かした溶液を皮革粉に
スプレーした後、乾燥させる方式である。乾式コーティ
ング方式には、ジェットミル等で皮革粉以下の粒径とな
るように微粉砕した固形水溶性物質と皮革粉とをブレン
ドした後に、又は各々を別々にフィードし、高速気流中
で両者を衝突させてこの水溶性物質を皮革粉表面にコー
ティングする方式等がある。コーティング量は、少ない
程コーティングが容易となるが、目的に応じて60wt%程
度までとするのが適当である。
【0009】成形された樹脂膜を水洗することにより、
水溶性物質が溶出された後、皮革粉の周囲には空隙が形
成されて多孔質化し、これにより膜厚が薄くなった皮革
粉含有樹脂膜が得られる。樹脂膜を水洗した際、皮革粉
の周囲の水溶性物質は、全部溶出していることが好まし
いが、一部分水溶性物質が溶出されないで、残っていて
もよい。前記皮革粉が樹脂膜の表面から裏面に水溶性物
質を介して連続して含まれている場合には、水溶性物質
が溶出された後、樹脂膜の表面から裏面に空隙による通
孔が形成されて通気性も発現することになる。成形され
た膜を水洗する際、常温の水を使用してもよいが、加熱
した水(湯)を使用するのが、水溶性物質を溶出させや
すくするうえで好ましい。例えば、60〜80℃の湯で10〜
20分間洗浄する。
【0010】そして、この皮革粉含有樹脂膜の製造方法
においては、水溶性物質がコーティングされた前記皮革
粉を樹脂と混合する際、溶剤も合わせて混合し、生成し
た流動性混合物を膜状に成形するのが作業性の点から好
ましい。使用する溶剤は、前記樹脂の種類により異なる
が、例えばポリウレタンの場合、一般的にはジメチルホ
ルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロ
ピルアルコール、酢酸ブチル等及びこれらの混合物を任
意に使用できる。皮革粉と水溶性物質との配合割合は、
皮革粉40〜80重量部に対して、水溶性物質60〜20重量部
とするのが適当である。このような製造方法は、例えば
スプレーコート、フローコート及びロールコートによる
フィルムの製造に利用できる。また、ポリ塩化ビニルや
ポリオレフィンでは、溶剤を使用しないで、直接樹脂と
コーティングした皮革粉とを混合分散した後にカレンダ
ー成形やインフレーション成形等の樹脂に適した成形法
でフィルム化することが可能である。
【0011】また、本発明に係る皮革粉含有積層体は、
基材と、前記皮革粉含有樹脂膜とを有し、この皮革粉含
有樹脂膜が前記基材の上に形成されていることを特徴と
する。前記基材とは、例えば織物、編み物、不織布等で
ある。前記皮革粉含有樹脂膜は、基材の上に直接形成さ
れていてもよく、又は他の樹脂膜等を介して形成されて
いてもよい。このような積層体により、例えば合成皮革
や人工皮革を構成することができる。
【0012】この皮革粉含有積層体の製造方法は、皮革
粉に水溶性物質をコーティングする工程と、水溶性物質
がコーティングされた前記皮革粉を樹脂と混合した後、
この混合物を基材上に膜状に成形してラミネートする工
程と、ラミネートされた積層体を水洗して前記水溶性物
質を溶出させる工程とを有することを特徴とする。基材
上への膜のラミネート方式としては、基材に前記混合物
を直接ダイレクトコートやグラビアコートする方式、一
旦フィルム化されたものを基材にドライラミネートやウ
ェットラミネートする方式等がある。そして、この皮革
粉含有積層体の製造方法においても、水溶性物質がコー
ティングされた前記皮革粉を樹脂と混合する際、溶剤も
合わせて混合し、生成した流動性混合物を膜状に成形す
るのが作業性の点から好ましい。
【0013】
【実施例】実施例1 先ず、水平型シングルトラックジェットミル〔STJ-400
型(商品名)、(株)セイシン企業製〕を使用し、空気
供給圧力7.5 kg/cm2 Gで送り込まれた高速気流のジェ
ットミル内に、ベンチュリーノズルより平均粒径5μm
の原料皮革粉をフィードすると同時に、二流体ノズルよ
り差圧を利用して水溶性コラーゲン〔Nutrilan-I(商品
名)、ヘンケル白水(株)製〕の50wt%水溶液もスプレ
ーフィードして、原料皮革粉に水溶性コラーゲンが固形
分として25wt%コーティングされた皮革粉を得た。この
皮革粉は、保存時において再凝集による大粒径化の発生
は殆ど見られなかった。次に、この水溶性コラーゲンが
コーティングされた皮革粉40重量部と一般タイプのポリ
ウレタン〔レザミンME3612LP(商品名)、大日精化工業
(株)製〕60重量部(固形分重量)とを混合し、更にジ
メチルホルムアミド/メチルエチルケトン混合溶剤を適
当量加えることにより適度な流動性を有するように粘度
調整された流動性混合物を作った。この混合時、皮革粉
は良好に分散し、皮革粉同士の凝集粒ができるようなこ
とはなかった。これにより、樹脂膜の均一性が向上し
た。
【0014】次に、図1に示すように、コータ〔NO.542
-AB (商品名)、(株)安田精機製作所製〕を使用し
て、この流動性混合物を厚さ100 μmのナイロンタフタ
基材1上にダイレクトコートした後、120 ℃で20分間乾
燥させることにより基材1上に皮革粉含有樹脂膜2がラ
ミネートされた積層体3を得た。図示するように、この
樹脂膜2において、水溶性コラーゲン4がコーティング
された皮革粉5は、ポリウレタン6中に分散している。
樹脂膜2中の成分割合は、ポリウレタン60重量部、皮革
粉30重量部、水溶性コラーゲン10重量部である。次に、
図2に示すように、この積層体3を60℃の湯浴に20分間
漬けて水溶性コラーゲン4を溶出させることにより、皮
革粉5の周囲に空隙7が形成され、多孔質化した樹脂膜
2(厚さ10μm)を有する積層体3を得た。この水溶性
コラーゲン4溶出後の重量変化(9.9wt %)は、皮革粉
5にコーティングされた水溶性コラーゲン4の重量に略
相当するものであった。従って、樹脂膜2中の水溶性コ
ラーゲン4の略全部が溶出したことになる。
【0015】次に、この積層体3について、吸湿度、透
湿度、通気度を測定し、また表面外観(タッチ感)を評
価した。その結果を下記の表1及び表2に示す。前記吸
湿度は、試料を23℃、30%RHに置いて平衡状態にした
後、この試料を23℃、30%RHに置いたときの重量増を
測定することにより行った。前記透湿度は、JIS-L1099.
4.1 A−1法に準拠して測定した。前記通気度は、JIS-
L1099.6.27 A法に準拠して測定した。前記表面外観
は、凹凸の程度やべたつきの程度を調べることにより評
価した。同欄で、○、△、×は、順に風合いの良、普
通、悪を示す。
【0016】また、同表において、他の実施例について
の皮革粉の保存性と操作性(分散性)についても併せて
示す。前記皮革粉の保存性は、水溶性コラーゲンがコー
ティングされた皮革粉が保存時において再凝集によって
大粒径化するかどうかを観察することにより評価した。
同欄で、○、△、×は、順に再凝集が起きない、若干起
きる、起きる、を示す。前記操作性は、水溶性コラーゲ
ンがコーティングされた皮革粉を樹脂と混合したときの
皮革粉の分散性(凝集粒のできにくさ)を観察すること
により評価した。同欄で、○、△、×は、順に樹脂膜の
良、普通、不良を示す。
【0017】実施例2〜5 実施例1と同様にして各実施例に係る積層体3を製造し
た。但し、各実施例において、条件を一部次のように異
ならせた。即ち、実施例2では、水溶性コラーゲンのコ
ーティング量を40wt%、水溶性コラーゲンがコーティン
グされた皮革粉の添加量を50重量部とした。実施例3で
は、水溶性コラーゲンのコーティング量を50wt%、水溶
性コラーゲンがコーティングされた皮革粉の添加量を60
重量部とした。実施例4では、水溶性コラーゲンのコー
ティング量を50wt%、水溶性コラーゲンがコーティング
された皮革粉の添加量を40重量部とした。
【0018】実施例5では、樹脂として高透湿タイプの
ポリウレタン〔ハイムレンNPU-5 (商品名)、大日精化
工業(株)製〕を使用した。各実施例に係る積層体3に
ついて、実施例1と同様に吸湿度、透湿度、通気度を測
定し、また表面外観(タッチ感)を評価した。その結果
を下記の表1及び表2に示す。湯洗後の水溶性コラーゲ
ンの溶出量と湯洗後の樹脂膜の厚さについても同表に併
せて示す。
【0019】実施例6 先ず、塗料として2液反応タイプのポリウレタン塗料
〔カシュー(株)製〕を使用し、主剤であるポリウレタ
ン50重量部に対して、実施例3に係る皮革粉(水溶性コ
ラーゲンのコーティング量50wt%)が40重量部となるよ
うに両者を混合した後、更に硬化剤10重量部と溶剤であ
るシンナーを適当量加えて粘度を調整した流動性混合物
を作った。次に、スプレーガン〔W61(商品名)、岩
田塗装機(株)製〕を使用し、この流動性混合物を正方
形(1辺150mm )の無処理のポリプロピレン製樹脂板に
塗布した後、乾燥器に入れ、塗膜を80℃で20分間乾燥固
化させた。次に、塗膜を樹脂板から剥がした後、この塗
膜を上記実施例と同様に湯洗して水溶性コラーゲンを溶
出させた。この塗膜の剥離作業は、塗膜がポリプロピレ
ン製樹脂板に接着していないため、容易に行うことがで
きた。この塗膜について、実施例1と同様に吸湿度、透
湿度、通気度を測定し、また表面外観(タッチ感)を評
価した。その結果を下記の表1及び表2に示す。湯洗後
の水溶性コラーゲンの溶出量と湯洗後の塗膜の厚さにつ
いても同表に併せて示す。
【0020】比較例1〜6 上記実施例と同様にして各比較例に係る積層体を製造し
た。但し、各比較例において、条件を一部次のように異
ならせた。即ち、比較例1では、実施例1の積層体の製
造方法において、一般タイプのポリウレタン〔レザミン
ME3612LP(商品名)、大日精化工業(株)製〕のみをナ
イロンタフタ基材上に約20μmの厚さにダイレクトコー
トした。比較例2では、実施例2の積層体の製造方法に
おいて、水溶性コラーゲンがコーティングされていない
皮革粉をポリウレタンに混合した。比較例3では、実施
例3の積層体の製造方法において、水溶性コラーゲンが
コーティングされた皮革粉の代わりに、ゼラチン〔新田
ゼラチン(株)製、分子量10万〕をジェットミルで再粉
砕して平均粒径3.7 μmとしたものを30重量部ポリウレ
タンに混合した。
【0021】比較例4では、実施例4の積層体の製造方
法において、水溶性コラーゲンがコーティングされた皮
革粉の代わりに、平均粒径5μmの皮革粉とジェットミ
ルで再粉砕して平均粒径3.7 μmとしたゼラチン〔新田
ゼラチン(株)製、分子量10万〕を各々20重量部ポリウ
レタンに混合した。比較例5では、実施例5の積層体の
製造方法において、高透湿タイプのポリウレタン〔ハイ
ムレンNPU-5 (商品名)、大日精化工業(株)製〕のみ
をナイロンタフタ基材上に約20μmの厚さにダイレクト
コートした。比較例6では、実施例6の塗膜の製造方法
において、塗膜に対する湯洗処理を行わなかった。各比
較例に係る積層体又は塗膜について、実施例と同様に吸
湿度、透湿度、通気度を測定し、また表面外観(タッチ
感)を評価した。その結果を下記の表1及び表2に示
す。湯洗後の水溶性コラーゲンの溶出量と湯洗後の樹脂
膜又は塗膜の厚さについても同表に併せて示す。また、
同表において、比較例についての皮革粉の保存性と操作
性(分散性)についても併せて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】実施例及び比較例の考察 実施例1によれば、積層体の製造において水溶性コラー
ゲンがコーティングされた皮革粉を使用したため、得ら
れた積層体は、特に透湿度、表面外観(タッチ感)に優
れ、通気性も有していた。実施例2によれば、実施例1
と比べて、積層体の製造において水溶性コラーゲンのコ
ーティング量を増やしたことによる効果が、樹脂膜の厚
さが厚くなったことにより相殺され、得られた積層体
は、透湿度と通気度が若干低下したが、吸湿度は向上
し、同様の優れた表面外観を有していた。実施例3によ
れば、実施例2と比べて、積層体の製造において水溶性
コラーゲンのコーティング量及び比較粉の添加量を増や
したため、得られた積層体は、透湿度と通気度が向上
し、また吸湿度と表面外観は略同様であった。
【0025】実施例4によれば、実施例3と比べて、積
層体の製造において水溶性コラーゲンのコーティング量
は同じであるが、皮革粉の添加量を減らしたため、得ら
れた積層体は、透湿度と通気度が若干低下したが、全体
的には実施例2と同様の特性を有するものであった。実
施例5によれば、樹脂として高透湿タイプのポリウレタ
ンを使用したため、得られた積層体は、透湿度と通気度
が非常に優れ、また吸湿度と表面外観も良好であった。
実施例6によれば、得られた塗膜は、実施例3の積層体
と略同様の表面外観と多機能性を有するものであった。
従って、本実施例により得られた多機能性積層体を例え
ば、自動車内装材、家具、鞄、衣料、ハンドルカバー等
の素材として使用した場合には、表面がべとつかず、毛
穴に似た皮革様表面を持っているため、人の肌になじみ
のよい(表面タッチ感の良い)ものとなる。
【0026】これに対して、比較例1によれば、得られ
た積層体は、皮革粉が混合されていないため、吸湿度と
透湿度が共に低いことに加えて通気性がなく、また粘着
感があって表面外観が劣っていた。比較例2によれば、
得られた積層体は、皮革粉に水溶性コラーゲンがコーテ
ィングされていないため、実施例2と比べて、吸湿度と
表面外観は略同レベルであるが、多孔質化していないた
め、透湿度が低く、また通気性もなかった。比較例3に
よれば、積層体の製造において水溶性コラーゲンがコー
ティングされた皮革粉の代わりに、ゼラチンを使用して
いるため、湯洗による溶出量が少なく、得られた積層体
は、実施例3と比べて、吸湿度と透湿度が低いうえに通
気性もなく、また湿った指で触ると残存ゼラチンにより
べたつき感がして表面外観も劣っていた。また、この比
較例3では、粉砕ゼラチンが湿気により再凝縮しやす
く、保存性が悪かった。加えて、ゼラチンを含むポリウ
レタン溶液を溶剤で希釈し、ゼラチンを分散させている
時にも一部再凝集を起こし、凝集物を除去しないと樹脂
膜に欠陥として現われやすいという欠点があった。
【0027】比較例4によれば、積層体の製造において
水溶性コラーゲンがコーティングされた皮革粉の代わり
に、皮革粉とゼラチンが単に混合されたものを使用して
いるため、比較例3と同様に湯洗による溶出量が少な
く、得られた積層体は、実施例4と比べて、透湿度が低
いうえに通気性もなく、また湿った指で触ると残存ゼラ
チンによりべたつき感がして表面外観も劣っていた。ま
た、この比較例4では、比較例3と同様に、粉砕ゼラチ
ンの保存性と分散性て関して問題があった。
【0028】比較例5によれば、積層体の製造において
水溶性コラーゲンがコーティングされた皮革粉を混合し
なかったため、得られた積層体は、吸湿度が低いうえに
通気性がなく、また表面は樹脂自体の有する粘着性が現
れて表面外観が劣っていた。しかし、樹脂として高透湿
タイプのポリウレタンを使用した分だけ、透湿度はかな
り良好であった。比較例6によれば、塗膜の製造におい
て、水溶性コラーゲンを溶出除去しなかったため、多孔
質化されず、得られた塗膜は、実施例6と比べて、吸湿
度の点だけ同程度であるが、透湿度はかなり低いうえに
通気性がない。また、汗付着時には、残存水溶性コラー
ゲンが溶け出してべたつきが生じ、表面外観が劣ってい
た。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る皮革粉含有樹脂膜及びこの
樹脂膜を有する積層体によれば、表面外観(タッチ感)
が良好で、吸放湿性、透湿性、通気性等を兼ね備えた多
機能性素材として利用できる。また、本発明に係る製造
方法により、このような皮革粉含有樹脂膜及びこの樹脂
膜を有する積層体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る皮革粉含有樹脂膜を有
する積層体の製造方法の工程図である。
【図2】同じ実施例に係る皮革粉含有樹脂膜を有する積
層体の製造方法の工程図である。
【符号の説明】
1 基材 2 皮革粉含有樹脂膜 3 積層体 4 水溶性物質である水溶性コラーゲン 5 皮革粉 6 樹脂であるポリウレタン 7 空隙

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂中に皮革粉が分散して樹脂膜が構成
    され、前記皮革粉の周囲に空隙が形成されていることを
    特徴とする皮革粉含有樹脂膜。
  2. 【請求項2】 基材と、樹脂中に皮革粉が分散して樹脂
    膜が構成され、前記皮革粉の周囲に空隙が形成された皮
    革粉含有樹脂膜とを有し、この皮革粉含有樹脂膜が前記
    基材の上に形成されていることを特徴とする皮革粉含有
    積層体。
  3. 【請求項3】 皮革粉に水溶性物質をコーティングする
    工程と、 水溶性物質がコーティングされた前記皮革粉を樹脂と混
    合した後、この混合物を膜状に成形する工程と、 成形された膜を水洗して前記水溶性物質を溶出させる工
    程とを有することを特徴とする皮革粉含有樹脂膜の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 皮革粉に水溶性物質をコーティングする
    工程と、 水溶性物質がコーティングされた前記皮革粉を樹脂及び
    溶剤と混合した後、この流動性混合物を膜状に成形する
    工程と、 成形された樹脂膜を水洗して前記水溶性物質を溶出させ
    る工程とを有することを特徴とする皮革粉含有樹脂膜の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 皮革粉に水溶性物質をコーティングする
    工程と、 水溶性物質がコーティングされた前記皮革粉を樹脂と混
    合した後、この混合物を基材上に膜状に成形してラミネ
    ートする工程と、 ラミネートされた積層体を水洗して前記水溶性物質を溶
    出させる工程とを有することを特徴とする皮革粉含有積
    層体の製造方法。
  6. 【請求項6】 皮革粉に水溶性物質をコーティングする
    工程と、 水溶性物質がコーティングされた前記皮革粉を樹脂及び
    溶剤と混合した後、この流動性混合物を基材上に膜状に
    成形してラミネートする工程と、 ラミネートされた積層体を水洗して前記水溶性物質を溶
    出させる工程とを有することを特徴とする皮革粉含有積
    層体の製造方法。
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