JPH056932Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、天ぷら料理鍋などの油調理用鍋に入
れられた油を調理終了後に貯蔵容器に回収すると
きに、油調理用鍋と一体の調理器本体の外側面を
油に濡らさないようにして油を回収することが出
来る油調理用鍋の注油口に関する。

〔従来の技術〕

加熱器を備えた調理器本体の上に油調理用鍋を
固着し、加熱器から発生する熱で油調理用鍋の中
の油を加熱して天ぷらなどの調理を行い、調理後
に、調理器本体を傾けて油調理用鍋の側壁の一箇
所にもうけられた注油口より鍋内の油を貯留容器
に回収する。

〔考案が解決しようとする課題〕

注油口から貯留容器に油を注ぎ入れるときに、
注油開始時と注油終了間際に注油速度が低くなる
ため、油が注油口から放物線を描いて落下しない
で注油口から注油口先端部外壁面に引き寄せられ
て流れ、外壁面の下端から更に引き寄せられた方
向に落下し、下方の調理器本体の外壁面を濡らす
問題があり、調理器本体の外壁面をその都度払拭
しなければならない面倒があつた。

かかる問題を解決するために、油調理用鍋の注
油口の外底面に油切り用の突起を設けて油が油切
り突起から真下に落下するようにし、油切り突起
よりも内側にある調理器本体の外壁面には落下し
た油が付かないように工夫が試みられたが、油に
は油切り突起の表面に沿つて回り込みながら落下
する性質があり、突起だけでは調理器本体に落下
の付着を防止することは出来なかつた。

本考案は、かかる課題を解決することを目的と
したものであり、油が注油口外面から回り込みな
がら落下しないようにし、調理器本体を落下油で
濡らさないようにした油調理用鍋の注油口を提供
するものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の油調理用
鍋の注油口においては、油調理用鍋の側壁の一箇
所に、下方の調理器本体よりも外方に突出し、内
底面の幅方向略中央が僅かに低くなる樋状の注油
口を設け、該注油口の内底面の幅方向略中央部に
上記注油口の先端に開口する溝を設け、上記注油
口の外底面に、下方に垂下し外壁下端部が鋭角を
成す油切り突起を突設した。

〔作用〕

上記のように構成された油調理用鍋を調理器本
体と共に傾けて注油口から貯留容器に油を移し入
れるとき、最初に貯留容器内からこぼれないよう
に慎重に注油した後は、注入量を多くするために
注油口を通過する油の流速は早く、注油口より貯
留容器へ放物線を描いて流れ込み、注油口の外壁
面に回り込まないが、油調理用鍋の中の油量が減
少し注油速度が低下してくる。

然し、注油口を流れる油が減少しても注油口に
設けられた溝に集約されて流れるので、注油速度
の低下が防止され、且つ、油が注油口幅方向に拡
散されるのを防止する。

注油開始及び終了時に、注油口先端の外壁面に
引き寄せられる油が、油切り突起の下端面を回り
込もうとしても、油切り突起の外壁下端部が鋭角
に形成されているので回り込むことなく自然落下
するので、調理器本体は油に漏れない。

〔実施例〕

本考案の実施例について図面を参照しながら説
明する。

第１図は、調理器本体Ａと、調理器本体Ａにこ
着される油調理用鍋Ｂの要部縦断面図、第２図は
油調理鍋Ｂの平面図、第３図は第２図のＸ矢視図
を示す。

油調理用鍋Ｂは、例えば天ぷら料理のように、
下方の調理器本体の加熱器に加熱され内部に収容
した油を加熱して調理する鍋である。

油調理用鍋Ｂは、第２図に示すように、略四角
形の底壁１の周縁に側壁２が周設され、側壁２の
隅部の一箇所に注油口３が設けられる。

注油口３は、先端部が下方の調理器本体よりも
外方に突出し、内底面の幅方向の略中央が僅かに
低くなる樋状を成す（第３図及び第４図参照）。

注油口３は、内底面の最下位部、即ち、幅方向
の略中央部に、先端に開口する溝４が設けられ
る。

従つて、注油口３を流れる油量が少ないときに
は、油が溝４に集約されて先端部へ向かつて流れ
る。

注油口３の外底面には、注油口３を下から見上
げた斜視図である第５図に示すように、注油口３
の先端から下方に垂下する油切り突起５が設けら
れる。

油切り突起５の外壁側下端部５ａ（第１図参照）
は鋭角に形成され、油切り突起５の外壁面に沿つ
て流れ落ちる油滴が注油口３の外底面に回り込む
のを防止するようになつている。

以上のように構成された油調理用鍋Ｂの注油口
３の作用を説明する。

天ぷら揚げなどの調理を終わつた後で、油調理
用鍋Ｂを持ち上げ、注油口３が低くなるように傾
けて油を注油口３を通して貯留容器に移し入れる
と、注油の最初と最後を除けば油量が多く、注油
口３を通過する油の流速は早く、油は注油口３の
外底面を回り込むことなく放物線を描いて貯留容
器内に注入される。

油調理用鍋Ｂ内の油が次第に減少してくると注
油口３を通過する油量も減少してくるが、油が溝
４内に集約されるので比較的に流速が高まり、油
は注油口３の外底面に回り込むことなく貯留容器
に流れ込む。

又、注油口３を流れる油は注油口３の中央に集
められるので注油口３の幅方向の拡散防止にもな
る。

注油開始及び終了時には、注油口３上の油の流
速が低くなり、油が注油口３の外側面に引き寄せ
られて下降し油切り突起の下端部に至るが、鋭角
を成す下端部から急激に大きく方向転換して油切
り突起３の下端面を回り込むことが出来ず、油は
下方に自然落下する（第１図参照）。

第１図に示すように、油切り突起５の先端は調
理器本体Ａの上方より突出しているので、自然落
下した油滴は調理器本体Ａの外面を汚染すること
は無い。

〔考案の効果〕

本考案は、以上説明したように構成されている
ので、以下に示すような効果を奏する。

(1) 注油口に、先端に開口する溝を設けたので、
鍋の中の油が少なくなつても比較的早い流速で
貯留容器に注ぎ込まれ、油が注油口の外底面に
回り込むのを防止出来る。

(2) 調理器本体よりも外方に突出する注油口の外
底面に下方に垂下し且つ下端部が鋭角を成す油
切り突起を設けたので、注油開始及び終了時に
流下する油滴が回り込むことなくそのまま自然
落下するので、調理器本体の油汚染を防止する
ことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の実施例を示し、第１
図は傾けられた油調理用鍋及び調理器本体の要部
縦断面図、第２図は油調理用鍋の平面図、第３図
は第２図のＸ矢視図、第４図は油調理用鍋の注油
口の斜視図、第５図は注油口を下方から見た斜視
図である。 Ａ……調理器本体、Ｂ……油調理用鍋、１……
底壁、２……側壁、３……注油口、４……溝、５
……油切り突起、５ａ……油切り突起の外壁側下
端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 油調理用鍋の側壁の一箇所に、下方の調理器本
   体よりも外方に突出し、内底面の幅方向略中央が
   僅かに低くなる樋状の注油口を設け、該注油口の
   内底面の幅方向略中央部に上記注油口の先端に開
   口する溝を設け、上記注油口の外底面に、下方に
   垂下し外壁下端部が鋭角を成す油切り突起を突設
   したことを特徴とする油調理用鍋の注油口。