JPH0567173U - 小型モータのブラシ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定した接触状態が得られ，コミュテータの
摩耗を小さくすることによりモータ寿命を長くできる小
型モータのブラシ装置を提供する。 【構成】 導電性金属板によって一体に形成されたブラ
シ基部とブラシ・アーム部とブラシ摺動部とを有する１
対のブラシをそなえ，当該夫々のブラシのブラシ摺動部
が小型モータのコミュテータと摺動するように構成され
た小型モータのブラシ装置において，上記ブラシ摺動部
はＶ字形状に折り曲げられて形成されると共に，当該Ｖ
字形状の開脚端が上記ブラシ・アーム部によって作られ
る平面と同一面上に位置して上記コミュテータに摺動す
るように構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は，小型モータのブラシ装置，特に導電性金属板によって一体に形成さ れたブラシ基部とブラシ・アーム部とブラシ摺動部とを有する１対のブラシをそ なえ，当該夫々のブラシのブラシ摺動部が小型モータのコミュテータと摺動する ように構成された小型モータのブラシ装置において，上記ブラシ摺動部はＶ字形 状に折り曲げられて形成し，当該Ｖ字形状の開脚端が上記ブラシ・アーム部によ って作られる平面と同一面上に位置して上記コミュテータと摺動するように構成 し，また上記１対のブラシの夫々のブラシ摺動部の摺動位置をずらすようにする ことによって，コミュテータとの接触状態の安定化を図り，当該安定化の障害と なるコミュテータの摩耗を小さくしてモータ寿命を長くすることに寄与する小型 モータのブラシ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

小型モータに限られるものではないが，一般にブラシを介して回転子巻線に電 流を供給するモータにおいては，該回転子巻線に接続されたコミュテータとブラ シとの接触状態を安定化させることが重要な課題である。ブラシとコミュテータ との接触状態が不安定であると，上記回転子巻線に対する電流供給が不安定にな るばかりでなく，非所望な電気的なノイズが発生したり，或いは火花が発生する ことによってコミュテータの摩耗が甚だしくなるため，モータの寿命を縮める原 因ともなる。

【０００３】 従来，小型モータのブラシとして，図４（Ａ）または（Ｂ）に図示されている ような金属製ブラシが知られている。即ち，図４（Ａ），（Ｂ）において，ブラ シ基部３が例えば図示省略したモータケース蓋に保持され，ブラシ・アーム部２ を湾曲させた状態のもとでブラシ摺動部１を図示省略したコミュテータに接触せ しめていた。

【０００４】 上記ブラシ摺動部１とコミュテータとの接触安定性を良くするためには，上記 コミュテータに対するブラシ摺動部１の押圧力（以下ブラシ圧と呼ぶ）を強くす れば良い（但し，ブラシ圧を強くしすぎると機械的な摩耗が生じ易くなるため好 ましくない）。当該ブラシ圧は，上記ブラシ・アーム部２を湾曲させることによ って生じる弾性により得られるものであるため，当該湾曲度を大きくすることに より或る程度まで大きくすることが可能である。

【０００５】 しかしながら，上記ブラシ・アーム部２の有する弾性限界値以上に湾曲度を大 きくすることはできない。従って，図４（Ａ）または（Ｂ）図示の如きブラシを 用いることによって，ブラシ摺動部１の上記コミュテータに対する接触面積を小 さくし，単位面積当たりのブラシ圧を大きくすることが考慮されている。即ち， 図４（Ａ）図示従来例は，ブラシ摺動部１を折り曲げてＶ字形状に形成し，該Ｖ 字形状の突起部１Ａ，１Ａ，１Ａがコミュテータと接触するようにしたものであ る。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし，図４（Ａ）図示従来例においては，次のような非所望な問題がある。 即ち，上記ブラシ摺動部１を折り曲げて突起部１Ａを形成することから，或る程 度のＲができることは避けられない。一般にコミュテータの表面には例えばグリ ースのような潤滑油（以下コミ油と呼ぶ）が塗布されている。そのため，コミュ テータに対する接触部分がＲ面である図４（Ａ）図示従来例においては，上記コ ミ油のキレが悪くなり，所望する接触安定性が得られない。

【０００７】 また，図４（Ｂ）図示従来例は，ブラシ・アーム部２に捻りを持たせて，平板 状のブラシ摺動部１の角部１Ｂ，１Ｂ，１Ｂがコミュテータと接触するようにし て前述したコミ油の切れを良くするようにしたものである。しかし，図４（Ｂ） 図示従来例においては，コミュテータに対するブラシ摺動部１の傾斜角が安定し ないため，安定した接触状態が得られないという問題があった。

【０００８】 本考案の第１目的は，上記の如き問題点を解決して安定した接触状態が得られ るブラシ装置を提供することにあり，第２の目的は更にコミュテータの摩耗を小 さくすることによってモータ寿命を長くすることを可能ならしめるブラシ装置を 提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため，本考案は，導電性金属板によって一体に形成された ブラシ基部とブラシ・アーム部とブラシ摺動部とを有する１対のブラシをそなえ ，当該夫々のブラシのブラシ摺動部が小型モータのコミュテータと摺動するよう に構成された小型モータのブラシ装置において， 上記ブラシ摺動部はＶ字形状に折り曲げられて形成されると共に，当該Ｖ字形 状の開脚端が上記ブラシ・アーム部によって作られる平面と同一面上に位置して 上記コミュテータに摺動するように構成されていることを特徴としている。

【００１０】 本考案において，１対のブラシの夫々の摺動部の摺動位置がコミュテータの軸 方向に所定距離離隔しているように構成することができる。

【００１１】

【作用】

上記の構成により，ブラシ摺動部とコミュテータとは安定した接触状態を維持 できると共に，コミュテータの摩耗を小さくすることによってモータ寿命を長く することが可能になる。

【００１２】

【実施例】

図１は本考案の一実施例説明図，図２は本考案の他の一実施例説明図，図３は 小型モータにおける電気ノイズに関する実験結果を示す図であって，（Ａ）は従 来例，（Ｂ）は本考案に係るブラシ装置を用いた小型モータに関するものである 。そして，図中の符号１はブラシ摺動部，1'は開脚端，２はブラシ・アーム部， ３はブラシ基部，４はコミュテータ，５はモータ軸を表している。

【００１３】 図１図示実施例は，ブラシ摺動部１をＶ字形状に形成し，当該Ｖ字形状の開脚 端1'，1'，…がブラシ・アーム部２によって作られる平面と同一面上に位置する ようにして，コミュテータ４と摺動するように構成されている。なお，本考案に 用いられるブラシは，上記ブラシ摺動部１と一体に形成されたブラシ・アーム部 ２が湾曲した状態になるようにブラシ基部３が例えば図示省略したモータケース 蓋に保持されている。従って，上記ブラシ摺動部１は，上記ブラシ・アーム部２ を湾曲させることによって生じる弾性によって上記コミュテータ４を押圧した状 態でもって，当該コミュテータ４と接触している。

【００１４】 そして，上記ブラシ摺動部１，１，１は，夫々２個の開脚端1'，1'において上 記コミュテータ４と接触しており，かつ２個の開脚端1'，1'がブラシ・アーム部 によって作られる平面と同一面上に位置するために，例えブラシ・アーム部２に よじれが生じる如き状態になっても，上記Ｖ字形状の開脚端1'，1'がコミュテー タ４の表面で非所望に転がることがなく，コミュテータ４に対するいわゆる座り がよくなり安定性が良い。更に，上記開脚端1'，1'，…は角部であるため，本願 明細書冒頭に説明したコミ油の切れも良く，ブラシとコミュテータとの接触場所 の個数が増し導電状態を安定に保持することができる。

【００１５】 なお，図１においては，ブラシは１個のみ図示されているが，後述する図２に 図示されている如く，他の１個のブラシも図１図示態様と同様にもうけられてい ることは言うまでもない。

【００１６】 次に，図２に関連させて本発明における１対のブラシの配設態様について説明 する。本考案においては，１対のブラシのコミュテータ４の軸方向における相対 的な位置関係を，図２に図示されている如く，所定の距離ｄだけずらすようにし て構成されている。そのため，１対のブラシがコミュテータ４に摺動する軌跡を ，図２図示点線によって示されている如く，完全にずらすことになり，ブラシの 摺動によるコミュテータの摩耗を減少させることができる。このことは，モータ の耐久寿命を長くすることにつながる。

【００１７】 以上説明した如く，本考案によれば，ブラシとコミュテータとの接触状態を安 定させることができるため，当該ブラシとコミュテータとを接触させて給電させ る場合に発生する電気ノイズを，図３に図示されている如く，著しく減少させる ことができかつ長時間運転しても当該電気ノイズの変動を少なくすることが可能 となる。

【００１８】 図３は本願考案者らが行った運転時間の経過に伴う電気ノイズの測定結果を示 すものである。なお，（Ａ）は従来のブラシ装置が用いられた小型モータにおけ る電気ノイズ測定結果，（Ｂ）は本考案に係るブラシ装置を用いた小型モータに おける電気ノイズ測定結果を示している。また，図３（Ａ），（Ｂ）においては ，横軸に時間経過，縦軸に電気ノイズ値（ｄＢμ）を夫々示している。

【００１９】

【考案の効果】

以上説明した如く，本考案によれば，ブラシとコミュテータとの接触状態を安 定させることが可能となるため，回転子巻線に対する給電が安定して行われ，非 所望な電気的なノイズの発生を減少せしめることができる。また，コミュテータ の摩耗を少なくすることが可能となるため，モータ寿命を長く維持することに大 きく寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例説明図である。

【図２】本考案の他の一実施例説明図である。

【図３】小型モータにおける電気ノイズに関する実験結
果を示す図であり，（Ａ）は従来のブラシ装置が用いら
れたもの，（Ｂ）は本考案に係るブラシ装置を用いたも
のを示す。

【図４】小型モータのブラシ装置に用いられるブラシの
従来例斜視図である。

【符号の説明】

１ ブラシ摺動部 １' 開脚端 ４ コミュテータ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性金属板によって一体に形成された
   ブラシ基部とブラシ・アーム部とブラシ摺動部とを有す
   る１対のブラシをそなえ，当該夫々のブラシのブラシ摺
   動部が小型モータのコミュテータと摺動するように構成
   された小型モータのブラシ装置において， 上記ブラシ摺動部はＶ字形状に折り曲げられて形成され
   ると共に，当該Ｖ字形状の開脚端が上記ブラシ・アーム
   部によって作られる平面と同一面上に位置して上記コミ
   ュテータに摺動するように構成されていることを特徴と
   する小型モータのブラシ装置。
2. 【請求項２】 １対のブラシの夫々の摺動部の摺動位置
   がコミュテータの軸方向に所定距離離隔していることを
   特徴とする請求項１記載の小型モータのブラシ装置。