JPH056710A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物

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JPH056710A
JPH056710A JP3183215A JP18321591A JPH056710A JP H056710 A JPH056710 A JP H056710A JP 3183215 A JP3183215 A JP 3183215A JP 18321591 A JP18321591 A JP 18321591A JP H056710 A JPH056710 A JP H056710A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 不純物としてのアルカリ金属酸化物の含有量
が0.03重量%以下のBaTiO3 100重量部に対
し、Nb2 5 を0.5〜3.0重量部、Co2 3
0.1〜1.0重量部、MnO2 を0.05〜0.5重
量部およびBaO−B2 3 −Li2 O−SiO2 を主
成分とする酸化物ガラスを0.05〜2.0重量部を含
有する。 【効果】 +25℃における静電容量を基準とした時、
−55℃〜+125℃の広い温度範囲にわたって静電容
量の温度変化率が±15%以内と平坦で、かつ誘電損失
が1.2%以下と小さい誘電体磁器組成物が得られる。
また、この組成物は、このような平坦な温度特性である
にもかかわらず、その誘電率が3000以上と高い値を
示している他、グレインサイズが1μm以下と小さく、
1250℃以下という比較的低い温度で焼結することが
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は誘電体磁器組成物に関
し、特に積層コンデンサなどの材料として用いられる誘
電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高誘電率で、誘電率温度変化
の小さい誘電体磁器組成物としては、たとえば、BaT
iO3 を主成分とし、これにBi2 3 −TiO2 ,B
2 3 −SnO2 ,Bi2 3 −ZrO2 などのビス
マス化合物と希土類元素とを副成分として添加したもの
がある。また、BaTiO3 を主成分とし、これにビス
マス化合物とMgO,SiO2 などを副成分として添加
したものも広く採用されている。
【0003】一方、上記の組成の誘電体磁器組成物とは
別に、BaTiO3を主成分とし、これにNb2 5
Nd2 3 およびMn,Cr,Fe,Ni,Coの酸化
物を副成分として添加したものもある。(特開昭51−
143899号,特開昭57−92575号)こうした
組成の誘電体磁器組成物においても、平坦な誘電率温度
特性が得られると報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、BaT
iO3 を主成分とし、ビスマス化合物を添加した誘電体
磁器組成物は、高周波に対する誘電損失tanδが大き
く、誘電率が1000〜2000と低かった。また、誘
電率を高くすると、静電容量の温度変化率が大きくな
り、逆に、静電容量の温度変化率を小さくすると、誘電
率が低下するという相反する傾向を示していた。そのた
め、この誘電体磁器組成物をコンデンサの材料として用
いた場合、コンデンサの小型大容量化には限界があっ
た。
【0005】また、副成分としてビスマス化合物を含む
誘電体磁器組成物では、焼成時にBi2 3 が蒸発し
て、磁器に歪が生じたり、組成割合が変化して、必要な
電気的特性にばらつきを生じたりするという問題点があ
った。さらに、こうした組成物を積層コンデンサの材料
に用いた場合には、内部電極としてPdあるいはAg−
Pd合金が用いられると、このPdとBi2 3 が反応
して、電極の特性が損なわれてしまう。そのため、Bi
2 3 と反応しない高価なPtを、内部電極として使用
せざるを得なかった。
【0006】特開昭51−143899号に開示されて
いる組成の誘電体磁器組成物は、−25℃〜+85℃の
狭い温度範囲においてさえ、−27%以上の誘電率温度
変化率を示していた。そのため、−55℃〜+125℃
の広い温度範囲においては、±15%以内の平坦な誘電
率温度特性を得ることができなかった。
【0007】また、特開昭57−92575号に開示さ
れている組成の誘電体磁器組成物は、−55℃〜+12
5℃の温度範囲において、誘電率温度変化率は15%以
下の値を示しているが、誘電率2800以上、誘電損失
2.5%以下、焼成温度1250℃以下という条件を満
足するまでには至っていない。
【0008】一方、3000〜5000の誘電率を有
し、平坦な誘電率温度特性を有する組成物が開示されて
いる。(特開昭64−45772号)しかし、これら大
きな誘電率を有する組成物は、焼成温度が1280℃と
高い。また、最近の磁器コンデンサは小型化の傾向があ
り、特に積層コンデンサにおいては、小型化かつ大容量
化のために、磁器誘電体層の厚みが5μm〜15μmと
薄膜化される傾向がある。そのため、誘電体磁器組成物
は、高誘電率であるだけでなく、磁器のグレインサイズ
が小さいこと、さらに、電圧依存性が小さいことも望ま
れている。ところが、大きな誘電率を有する組成物は電
圧依存性が大きいため、最近の薄膜化に対応できず、小
型大容量の積層コンデンサを作製することができなかっ
た。
【0009】それゆえに、この発明の主たる目的は、誘
電率が3000以上で、+25℃における静電容量を基
準とした時、−55℃〜+125℃の広い温度範囲にわ
たって静電容量の温度変化率が±15%以内と平坦で、
かつ誘電損失が1.2%以下と小さく、グレインサイズ
が1μm以下と小さく、1250℃以下という比較的低
い温度で焼結することが可能な、誘電体磁器組成物を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、不純物とし
てのアルカリ金属酸化物の含有量が0.03重量%以下
のBaTiO3 100重量部に対し、Nb2 5 を0.
5〜3.0重量部と、Co2 3 を0.1〜1.0重量
部と、MnO2 を0.05〜0.5重量部と、BaO−
2 3 −Li2 O−SiO2 を主成分とする酸化物ガ
ラスを0.05〜2.0重量部とを含有する、誘電体磁
器組成物である。
【0011】
【発明の効果】この発明によれば、+25℃における静
電容量を基準とした時、−55℃〜+125℃の広い温
度範囲にわたって静電容量の温度変化率が±15%以内
と平坦で、かつ誘電損失が1.2%以下と小さい、誘電
体磁器組成物が得られる。また、この組成物は、このよ
うな平坦な温度特性であるにもかかわらず、その誘電率
が3000以上と高い値を示している他、グレインサイ
ズが1μm以下と小さく、1250℃以下という比較的
低い温度で焼結することが可能である。
【0012】したがって、磁器誘電体層の厚みを薄くす
ることができる。そして、内部電極として30Ag−7
0Pd(数字は重量%)の使用が可能であり、安価かつ
小型大容量で温度特性の良好な積層セラミックコンデン
サを得ることができる。
【0013】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、以下の実施例の詳細な説明から一層明
らかとなろう。
【0014】
【実施例】(実施例1)まず、出発原料として、種々の
純度のTiCl4 とBa(NO3 2 とを準備し、これ
らの原料をBaイオンとTiイオンとのモル比が1.0
00となるように秤量して秤量物を得た。この秤量物を
蓚酸によって、BaTiO(C2 4 )・4H2 Oとし
て沈殿させ沈殿物を得た。この沈殿物を700℃以上の
温度で加熱分解して、BaTiO3 を合成した。この合
成物を、平均粒子径が1μm以下になるまで、乾式粉砕
機によって粉砕した。このようにして、表1に示すA〜
Eの純度の異なった5種類のBaTiO3 を得た。
【0015】
【表1】
【0016】次いで、Nb2 5 ,Co2 3 ,MnO
2 およびBaO−B2 3 −Li2 O−SiO2 を主成
分とする酸化物ガラスを表2に示した組成割合になるよ
うに秤量し、酢酸ビニル系バインダを加えて、16時間
湿式混合を行って混合物を得た。
【0017】
【表2】
【0018】さらに、得られた混合物を乾燥し、造粒し
た後、2000kg/cm2 の圧力で直径10mm、厚
さ0.5mmの円板状にプレス成形して成形体を得た。
その後、この成形体を、表3に示す焼成温度で2時間焼
成し、円板状の磁器を得た。
【0019】得られた磁器表面を走査型電子顕微鏡に
て、倍率1500倍で観察し、グレインサイズを測定し
た。
【0020】そして、得られた磁器の主表面に銀電極を
焼き付けして測定試料(コンデンサ)とし、その室温で
の誘電率(ε),誘電損失(tanδ)および温度変化
に対する静電容量の変化率を測定した。
【0021】この場合、誘電率(ε)および誘電損失
(tanδ)は、温度25℃,1kHz,1Vrmsの
条件で測定した。また、温度変化に対する静電容量の変
化率については、25℃での静電容量(C25)を基準と
して、−55℃と+125℃での温度変化率(ΔC/C
25)と、−55℃〜+125℃の間における温度変化率
が最大である値の絶対値、いわゆる最大変化率(|ΔC
/C25max )とを示した。さらに、周波数1kHzで
200V/mmの電圧を印加した時の誘電損失(tan
δ)を測定した。
【0022】以上の各試験の結果を、表3に合わせて示
す。
【0023】
【表3】
【0024】次に、添加物である酸化物の添加量の範囲
を限定した理由を説明する。
【0025】すなわち、Nb2 5 について、その範囲
を0.5〜3.0重量部としたのは、試料番号1のよう
に、0.5重量部未満では焼結温度が高く、誘電損失が
大きくなる。また、静電容量の温度変化率が、−55℃
〜+125℃の温度範囲で±15%よりも大きな値とな
る。また、試料番号5のように、3.0重量部を超える
と誘電率が低下する。
【0026】Co2 3 について、その範囲を0.1〜
1.0重量部としたのは、試料番号12のように、0.
1重量部未満では、静電容量の温度変化率が、−55℃
〜+125℃の温度範囲で±15%よりも大きな値とな
る。また、試料番号13のように、1.0重量部を超え
ると、誘電損失が著しく大きくなり、静電容量の温度変
化率も大きくなる。
【0027】MnO2 について、その範囲を0.05〜
0.5重量部としたのは、試料番号19のように、0.
05重量部未満では、焼結性を向上させる効果が乏し
く、静電容量の温度変化率が大きくなる。また、試料番
号20のように、0.5重量部を超えると、誘電率が2
800を超えず、誘電損失が大きくなる。
【0028】酸化物ガラスについて、その範囲を0.0
5〜2.0重量部としたのは、この組成範囲内では焼結
性が改善され、電圧依存性が小さくなるが、試料番号8
のように、0.05重量部未満では焼結性が悪くなり、
交流電圧依存性が大きくなる。また、試料番号9のよう
に、2.0重量部を超えると、誘電率が3000より低
くなる。
【0029】さらに、アルカリ金属の含有量を0.03
重量%以下としたのは、試料番号21のように、0.0
3重量%を超えると誘電率が3000を超えない。
【0030】このように、BaTiO3 ,Nb2 5
Co2 3 系の高誘電率組成物においては、主成分であ
るBaTiO3 中に不純物として存在するSrO,Ca
Oなどのアルカリ土類金属酸化物、Na2 O,K2 Oな
どのアルカリ金属酸化物、その他Al2 3 ,SiO2
などの酸化物のうち、Na2 O,K2 Oなどのアルカリ
金属酸化物の含有量が、組成物の電気的特性に大きく影
響することを、本発明者らは見いだした。
【0031】(実施例2)実施例1の試料番号8および
16の誘電体セラミック原料粉末を用意した。この誘電
体セラミック原料粉末に、ポリビニルブチラール系バイ
ンダおよびエタノールなどの有機溶剤を加え、ボールミ
ルによって湿式混合して、セラミック・スラリーを調整
した。その後、このセラミック・スラリーを、ドクター
ブレード法によってシート成形し、厚み12μmの矩形
のグリーンシートを得た。
【0032】次に、このセラミック・グリーンシート上
に、Pdを主体とする導電ペーストを印刷し、内部電極
を構成するための導電ペースト層を形成した。そして、
導電ペースト層が形成されたセラミック・グリーンシー
トを、導電ペースト層の引き出されている側が互い違い
となるように複数枚積層し、積層体を得た。
【0033】得られた積層体を空気中において、表4に
示す温度で2時間焼成した。焼成後、得られたセラミッ
ク焼結体の両端面に銀ペーストを塗布し、大気中におい
て750℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続
された外部電極を形成した。
【0034】上述のようにして得られた積層コンデンサ
の外形寸法は、幅3.2mm,長さ1.6mm,厚さ
1.2mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミ
ック層の厚みは8μmである。また、有効誘電体セラミ
ック層の総数は19であり、一層当たりの対向電極の面
積は2.1mm2 である。
【0035】静電容量(C)および誘電損失(tan
δ)を測定するために、自動ブリッジ式測定器を用い
て、各試料の積層コンデンサに1kHz,1Vrmsの
電圧を印加した。次に、25℃,125℃の絶縁抵抗
(R)を測定するために、絶縁抵抗計を用いて、16V
での電圧を2分間印加した。そして、静電容量(C)と
絶縁抵抗(R)との積、すなわちCR積を求めた。
【0036】また、温度変化に対する静電容量の変化率
を測定した。さらに、1kHz,1Vrmsの電圧を印
加した上に、直流電圧を16V重畳した時の静電容量の
変化率を測定した。なお、温度変化に対する静電容量の
変化率については、25℃での静電容量(C25)を基準
として、−55℃と+125℃での温度変化率(ΔC/
25)と、−55℃〜+125℃の間における温度変化
率が最大である値の絶対値、いわゆる最大変化率(|Δ
C/C25max )とを示した。
【0037】以上の各試験の結果を、表4に合わせて示
す。
【0038】
【表4】
【0039】表4から明らかなように、本発明の範囲内
にある試料番号16の積層セラミックコンデンサは、大
きな誘電率が得られるにもかかわらず、静電容量の変化
率が小さく平坦な温度特性を示し、誘電損失も小さい。
また、この積層セラミックコンデンサは、絶縁抵抗にも
優れ、直流電圧を重畳した時の容量変化率も小さい。
【0040】このように、本発明の組成による積層セラ
ミックコンデンサは、誘電体セラミック層が8μmと薄
くなっても、十分に対応でき、小型大容量の積層セラミ
ックコンデンサとして期待できる。さらに、焼成温度が
1250℃以下と低いため、内部電極として30Ag−
70Pd(数字は重量%)の使用が可能である。
【0041】これに対して、本発明の範囲外の試料番号
8の積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミック層
が8μmと薄くなると、大きな誘電率が得られるもの
の、静電容量の温度変化率が大きく、EIA規格に規定
するX7R特性を満足しない。また、この積層セラミッ
クコンデンサは、誘電損失も大きく、直流電圧を重畳し
た時の容量変化率も大きい。さらに、このコンデンサ
は、高温(125℃)での絶縁抵抗が低く、焼成温度も
高い。
【0042】なお、上記実施例では、BaTiO3 とし
て蓚酸法によって作製したものを用いたが、これに限定
されるものではなく、アルコキシド法や共沈法によって
作製されたBaTiO3 や、たとえば、BaCO3 とT
iO2 の粉末を用いて作製したBaTiO3 でも同様の
効果が得られる。また、Nb2 5 ,Co2 3 ,Mn
2 などの添加物を、酸化物粉末として添加したが、N
b,Co,Mnを、酸化物換算で本発明の請求範囲にな
るように配合すれば、溶液による添加でも同様の効果が
得られる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 不純物としてのアルカリ金属酸化物の含
    有量が0.03重量%以下のBaTiO3 100重量部
    に対し、Nb2 5 を0.5〜3.0重量部、Co2
    3 を0.1〜1.0重量部、MnO2 を0.05〜0.
    5重量部、およびBaO−B2 3 −Li2 O−SiO
    2 を主成分とする酸化物ガラスを0.05〜2.0重量
    部含有する、誘電体磁器組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0737655A1 (en) * 1995-04-12 1996-10-16 Murata Manufacturing Co., Ltd. Non-reduced dielectric ceramic compositions
EP1978004A1 (en) * 2007-03-30 2008-10-08 TDK Corporation Dielectric ceramic composition, complex electronic device and multilayer ceramic capacitor
US9030840B2 (en) 2010-03-17 2015-05-12 Robert Bosch Gmbh Arrangement comprising an electric and/or electronic module and a circuit carrier

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US7799718B2 (en) 2007-03-30 2010-09-21 Tdk Corporation Dielectric ceramic composition, complex electronic device and multilayer ceramic capacitor
US9030840B2 (en) 2010-03-17 2015-05-12 Robert Bosch Gmbh Arrangement comprising an electric and/or electronic module and a circuit carrier

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