JP3064519B2 - 誘電体磁器組成物 - Google Patents
誘電体磁器組成物Info
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Description
し、特に積層コンデンサなどの材料として用いられる誘
電体磁器組成物に関する。
の小さい誘電体磁器組成物としては、たとえば、BaT
iO3 を主成分とし、これにBi2 O3 −TiO2 ,B
i2 O3 −SnO2 ,Bi2 O3 −ZrO2 などのビス
マス化合物と希土類元素とを副成分として添加したもの
がある。また、BaTiO3 を主成分とし、これにビス
マス化合物とMgO,SiO2 などを副成分として添加
したものも広く採用されている。
別に、BaTiO3を主成分とし、これにNb2 O5 ,
Nd2 O3 およびMn,Cr,Fe,Ni,Coの酸化
物を副成分として添加したものもある。(特開昭51−
143899号,特開昭57−92575号)こうした
組成の誘電体磁器組成物においても、平坦な誘電率温度
特性が得られると報告されている。
iO3 を主成分とし、ビスマス化合物を添加した誘電体
磁器組成物は、高周波に対する誘電損失tanδが大き
く、誘電率が1000〜2000と低かった。また、誘
電率を高くすると、静電容量の温度変化率が大きくな
り、逆に、静電容量の温度変化率を小さくすると、誘電
率が低下するという相反する傾向を示していた。そのた
め、この誘電体磁器組成物をコンデンサの材料として用
いた場合、コンデンサの小型大容量化には限界があっ
た。
誘電体磁器組成物では、焼成時にBi2 O3 が蒸発し
て、磁器に歪が生じたり、組成割合が変化して、必要な
電気的特性にばらつきを生じたりするという問題点があ
った。さらに、こうした組成物を積層コンデンサの材料
に用いた場合には、内部電極としてPdあるいはAg−
Pd合金が用いられると、このPdとBi2 O3 が反応
して、電極の特性が損なわれてしまう。そのため、Bi
2 O3 と反応しない高価なPtを、内部電極として使用
せざるを得なかった。
いる組成の誘電体磁器組成物は、−25℃〜+85℃の
狭い温度範囲においてさえ、−27%以上の誘電率温度
変化率を示していた。そのため、−55℃〜+125℃
の広い温度範囲においては、±15%以内の平坦な誘電
率温度特性を得ることができなかった。
れている組成の誘電体磁器組成物は、−55℃〜+12
5℃の温度範囲において、誘電率温度変化率は15%以
下の値を示しているが、誘電率2800以上、誘電損失
2.5%以下、焼成温度1250℃以下という条件を満
足するまでには至っていない。
し、平坦な誘電率温度特性を有する組成物が開示されて
いる。(特開昭64−45772号)しかし、これら大
きな誘電率を有する組成物は、焼成温度が1280℃と
高い。また、最近の磁器コンデンサは小型化の傾向があ
り、特に積層コンデンサにおいては、小型化かつ大容量
化のために、磁器誘電体層の厚みが5μm〜15μmと
薄膜化される傾向がある。そのため、誘電体磁器組成物
は、高誘電率であるだけでなく、磁器のグレインサイズ
が小さいこと、さらに、電圧依存性が小さいことも望ま
れている。ところが、大きな誘電率を有する組成物は電
圧依存性が大きいため、最近の薄膜化に対応できず、小
型大容量の積層コンデンサを作製することができなかっ
た。
電率が3500以上で、+25℃における静電容量を基
準とした時、−55℃〜+125℃の広い温度範囲にわ
たって静電容量の温度変化率が±15%以内と平坦で、
かつ誘電損失が1.2%以下と小さく、グレインサイズ
が1μm以下と小さく、1250℃以下という比較的低
い温度で焼結することが可能な、誘電体磁器組成物を提
供することである。
てのアルカリ金属酸化物の含有量が0.03重量%以下
のBaTiO3 100重量部に対し、Nb2 O5 を0.
6〜2.0重量部と、Co2 O3 を0.1〜0.8重量
部と、MnO2 を0.05〜0.3重量部と、Nd2 O
3 を0.02〜0.5重量部と、BaO−B2 O3 −L
i2 O−SiO2 を主成分とする酸化物ガラスを0.0
5〜1.0重量部とを含有し、そのグレインサイズが1
μm以下である、誘電体磁器組成物である。
電容量を基準とした時、−55℃〜+125℃の広い温
度範囲にわたって静電容量の温度変化率が±15%以内
と平坦で、かつ誘電損失が1.2%以下と小さい、誘電
体磁器組成物が得られる。また、この組成物は、このよ
うな平坦な温度特性であるにもかかわらず、その誘電率
が3500以上と高い値を示している他、グレインサイ
ズが1μm以下と小さく、1250℃以下という比較的
低い温度で焼結することが可能である。
ることができる。そして、内部電極として30Ag−7
0Pd(数字は重量%)の使用が可能であり、安価かつ
小型大容量で温度特性の良好な積層セラミックコンデン
サを得ることができる。
徴および利点は、以下の実施例の詳細な説明から一層明
らかとなろう。
純度のTiCl4 とBa(NO3 )2 とを準備し、これ
らの原料をBaイオンとTiイオンとのモル比が1.0
00となるように秤量して秤量物を得た。この秤量物を
蓚酸によって、BaTiO(C2 O4 )・4H2 Oとし
て沈殿させ沈殿物を得た。この沈殿物を700℃以上の
温度で加熱分解して、BaTiO3 を合成した。この合
成物を、平均粒子径が1μm以下になるまで、乾式粉砕
機によって粉砕した。このようにして、表1に示すA〜
Eの純度の異なった5種類のBaTiO3 を得た。
2 ,Nd2 O3 およびBaO−B2 O3 −Li2 O−S
iO2 を主成分とする酸化物ガラスを表2に示した組成
割合になるように秤量し、酢酸ビニル系バインダを加え
て、16時間湿式混合を行って混合物を得た。
た後、2000kg/cm2 の圧力で直径10mm、厚
さ0.5mmの円板状にプレス成形して成形体を得た。
その後、この成形体を、表3に示す焼成温度で2時間焼
成し、円板状の磁器を得た。
て、倍率1500倍で観察し、グレインサイズを測定し
た。
焼き付けして測定試料(コンデンサ)とし、その室温で
の誘電率(ε),誘電損失(tanδ)および温度変化
に対する静電容量の変化率を測定した。
(tanδ)は、温度25℃,1kHz,1Vrmsの
条件で測定した。また、温度変化に対する静電容量の変
化率については、25℃での静電容量(C25)を基準と
して、−55℃と+125℃での温度変化率(ΔC/C
25)と、−55℃〜+125℃の間における温度変化率
が最大である値の絶対値、いわゆる最大変化率(|ΔC
/C25|max )とを示した。さらに、周波数1kHzで
200V/mmの電圧を印加した時の誘電損失(tan
δ)を測定した。
す。
を限定した理由を説明する。
を0.6〜2.0重量部としたのは、試料番号1のよう
に、0.6重量部未満では焼結温度が高く、誘電損失が
大きくなる。また、静電容量の温度変化率が、−55℃
〜+125℃の温度範囲で±15%よりも大きな値とな
る。また、試料番号4のように、2.0重量部を超える
と誘電率が低下する。
0.8重量部としたのは、試料番号7のように、0.1
重量部未満では、静電容量の温度変化率が、−55℃〜
+125℃の温度範囲で±15%よりも大きな値とな
る。また、試料番号8のように、0.8重量部を超える
と、誘電損失が著しく大きくなり、静電容量の温度変化
率も大きくなる。
0.3重量部としたのは、試料番号18のように、0.
05重量部未満では、焼結性を向上させる効果が乏し
く、静電容量の温度変化率が大きくなる。また、試料番
号19のように、0.3重量部を超えると、誘電率が3
500を超えず、誘電損失が大きくなる。
〜0.5重量部としたのは、この組成範囲内では焼結性
が改善され、電圧依存性が小さくなるが、試料番号22
および23のように、0.02重量部未満では焼結性が
悪くなり、交流電圧依存性が大きくなる。また、試料番
号20のように、Nd2 O3 が0.5重量部を超える
と、Co2 O3 量が0.8重量部と範囲内であっても、
誘電率が3500より低くなる。さらに、試料番号21
のように、Nd2 O3 が0.5重量部を超えると、Co
2 O3 が0.2重量部と範囲内であっても、静電容量の
温度変化率が、−55℃〜+125℃の温度範囲で±1
5%よりも大きな値となる。
5〜1.0重量部としたのは、この組成範囲内では焼結
性が改善され、電圧依存性が小さくなるが、試料番号1
2および試料番号23のように、0.05重量部未満で
は焼結性が悪くなり、交流電圧依存性が大きくなる。ま
た、試料番号13のように、1.0重量部を超えると、
誘電率が3500より低くなる。
重量%以下としたのは、試料番号24のように、0.0
3重量%を超えると誘電率が3500を超えない。
Co2 O3 系の高誘電率組成物においては、主成分であ
るBaTiO3 中に不純物として存在するSrO,Ca
Oなどのアルカリ土類金属酸化物、Na2 O,K2 Oな
どのアルカリ金属酸化物、その他Al2 O3 ,SiO2
などの酸化物のうち、Na2 O,K2 Oなどのアルカリ
金属酸化物の含有量が、組成物の電気的特性に大きく影
響することを、本発明者らは見いだした。
23の誘電体セラミック原料粉末を用意した。この誘電
体セラミック原料粉末に、ポリビニルブチラール系バイ
ンダおよびエタノールなどの有機溶剤を加え、ボールミ
ルによって湿式混合して、セラミック・スラリーを調整
した。その後、このセラミック・スラリーを、ドクター
ブレード法によってシート成形し、厚み12μmの矩形
のグリーンシートを得た。
に、Pdを主体とする導電ペーストを印刷し、内部電極
を構成するための導電ペースト層を形成した。そして、
導電ペースト層が形成されたセラミック・グリーンシー
トを、導電ペースト層の引き出されている側が互い違い
となるように複数枚積層し、積層体を得た。
示す温度で2時間焼成した。焼成後、得られたセラミッ
ク焼結体の両端面に銀ペーストを塗布し、大気中におい
て750℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続
された外部電極を形成した。
の外形寸法は、幅3.2mm,長さ1.6mm,厚さ
1.2mmであり、内部電極間に介在する誘電体セラミ
ック層の厚みは8μmである。また、有効誘電体セラミ
ック層の総数は19であり、一層当たりの対向電極の面
積は2.1mm2 である。
δ)を測定するために、自動ブリッジ式測定器を用い
て、各試料の積層コンデンサに1kHz,1Vrmsの
電圧を印加した。次に、25℃,125℃の絶縁抵抗
(R)を測定するために、絶縁抵抗計を用いて、16V
での電圧を2分間印加した。そして、静電容量(C)と
絶縁抵抗(R)との積、すなわちCR積を求めた。
を測定した。さらに、1kHz,1Vrmsの電圧を印
加した上に、直流電圧を16V重畳した時の静電容量の
変化率を測定した。なお、温度変化に対する静電容量の
変化率については、25℃での静電容量(C25)を基準
として、−55℃と+125℃での温度変化率(ΔC/
C25)と、−55℃〜+125℃の間における温度変化
率が最大である値の絶対値、いわゆる最大変化率(|Δ
C/C25|max )とを示した。
す。
にある試料番号5の積層セラミックコンデンサは、大き
な誘電率が得られるにもかかわらず、静電容量の変化率
が小さく平坦な温度特性を示し、誘電損失も小さい。ま
た、この積層セラミックコンデンサは、絶縁抵抗にも優
れ、直流電圧を重畳した時の容量変化率も小さい。
ミックコンデンサは、誘電体セラミック層が8μmと薄
くなっても、十分に対応でき、小型大容量の積層セラミ
ックコンデンサとして期待できる。さらに、焼成温度が
1250℃以下と低いため、内部電極として30Ag−
70Pd(数字は重量%)の使用が可能である。
23の積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミック
層が8μmと薄くなると、大きな誘電率が得られるもの
の、静電容量の温度変化率が大きく、EIA規格に規定
するX7R特性を満足しない。また、この積層セラミッ
クコンデンサは、誘電損失も大きく、直流電圧を重畳し
た時の容量変化率も大きい。さらに、このコンデンサ
は、高温(125℃)での絶縁抵抗が低く、焼成温度も
高い。
て蓚酸法によって作製したものを用いたが、これに限定
されるものではなく、アルコキシド法や共沈法によって
作製されたBaTiO3 や、たとえば、BaCO3 とT
iO2 の粉末を用いて作製したBaTiO3 でも同様の
効果が得られる。また、Nb2 O5 ,Co2 O3 ,Mn
O2 ,Nd2 O3 などの添加物を、酸化物粉末として添
加したが、Nb,Co,Mn,Ndを、酸化物換算で本
発明の請求範囲になるように配合すれば、溶液による添
加でも同様の効果が得られる。
Claims (1)
- 【請求項1】 不純物としてのアルカリ金属酸化物の含
有量が0.03重量%以下のBaTiO3 100重量部
に対し、 Nb2 O5 を0.6〜2.0重量部、 Co2 O3 を0.1〜0.8重量部、 MnO2 を0.05〜0.3重量部、 Nd2 O3 を0.02〜0.5重量部、およびBaO−
B2 O3 −Li2 O−SiO2 を主成分とする酸化物ガ
ラスを0.05〜1.0重量部含有し、 そのグレインサイズが1μm以下である 、誘電体磁器組
成物。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
JP3183216A JP3064519B2 (ja) | 1991-06-26 | 1991-06-26 | 誘電体磁器組成物 |
DE19924215638 DE4215638C2 (de) | 1991-05-13 | 1992-05-12 | Dielektrische, keramische Zusammensetzung |
FR9205816A FR2678605A1 (fr) | 1991-05-13 | 1992-05-13 | Composition de ceramique dielectrique. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3183216A JP3064519B2 (ja) | 1991-06-26 | 1991-06-26 | 誘電体磁器組成物 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH056711A JPH056711A (ja) | 1993-01-14 |
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Family
ID=16131818
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3183216A Expired - Lifetime JP3064519B2 (ja) | 1991-05-13 | 1991-06-26 | 誘電体磁器組成物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3064519B2 (ja) |
-
1991
- 1991-06-26 JP JP3183216A patent/JP3064519B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH056711A (ja) | 1993-01-14 |
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