JPH0566837U - キースイッチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】キートップ２を昇降案内するための２つのリン
ク４，５の側面視Ｘ字状に交叉連結部の下方の押圧部２
６にてその下方に配置する頭部６ａを押圧してラバース
プリング６を弾性変形させる場合、ラバースプリングの
不均一な弾性変形を防止し、ラバースプリングの耐久性
を向上させる。 【構成】ラバースプリング６の頭部６ａ上面に摩擦係数
の小さい合成樹脂製のフィルムからなる滑り層３１を設
ける。これにより、押圧部２６と頭部６ａとの間で滑り
が良くなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等の入力装置等のキー ボード等に使用されるキースイッチに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のキーボードにおけるキースイッチとして、特開昭６０−８９０ １１号公報や特開昭６０−６０２１７号公報等に開示されているように、キート ップの下面に下向き突設したステムをホルダ部材に形成されたステムガイド部に 挿通させて上下動可能に案内支持すると共に、ステムの下方に、下面に接点部を 備えたラバースプリングを配置し、該ラバースプリングの下端に、フレキシブル シートに電気接点を形成したメンブレンスイッチなどのスイッチング部材を配設 したキースイッチが一般的に使用されている。

【０００３】 そして、前記先行技術の特開昭６０−６０２１７号公報のキースイッチでは、 接点部と比較して平面形状の大きいスペースキー等のキートップの一端部を押下 したとき、当該キートップが傾かずに平行状に上下動するようにするため、側面 視Ｘ字状に配置した一対のリンク部材における中途部同士を回動自在に連結し、 この一対のリンク部材を、キートップ下面とホルダ部材との間に配置することを 提案している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記両先行技術では、ステムとステムガイド部によりキートップを案内支持す るから、キーストロークを長くすると、ステムとステムガイドとのオーバーラッ プ量が短くなり、上下摺動時にこじれが生じる。従って、ステム及びステムガイ ド部を長くしなければならず、キーボードの薄型化を実現できないという問題が あった。この問題を解決するため、本出願人は、先に特願平３−３３０１６０号 において、キートップの上下動の案内手段を、側面視Ｘ字状に交叉配設した第１ リンクと第２リンクとにより構成し、該両リンクの中途交叉部で回動自在に連結 し、第１リンク及び第２リンクの各自由端部のうちの一方を、前記キートップの 下面とホルダ部材とに回動可能に係止する一方、他方を略水平方向に摺動可能に 係止し、前記ラバースプリングの頭部を、前記両リンクの交叉部近傍の下面にて 押圧するように構成することを提案した。

【０００５】 この技術においては、一方のリンクの下自由端部をホルダ部材における係止部 に回動可能に係止するので、キートップの押下時には、前記係止部を中心にして 前記両リンクの中途交叉部は下向き回動するから、その下方に位置するラバース プリングの頭部上面と前記中途交叉部との当接部で横ずれが生じる。そしてラバ ースプリングの頭部はゴム製であるので、前記押圧部とのすべり摩擦が大きくな り、ラバースプリングに、その外周ドームが略均一に座屈するような押圧力が掛 けられず、ラバースプリングの座屈変形が不確実で、且つ不均一となり、キー操 作感が悪くなると共に、ラバースプリングが前記摩擦により摩耗が激しくなって 耐久性も悪いという問題があった。

【０００６】 本考案は、この問題を解決することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、本考案は、キートップの下面とその下方のホルダ部 材とに連結係止してキートップの上下動を案内支持するための案内手段と、前記 キートップによる上下入力操作にて前記案内手段を介して弾性変形可能なキャッ プ状のラバースプリングと、該ラバースプリングの弾性変形によりスイッチ動作 するスイッチング部とからなるキースイッチにおいて、前記案内手段を、側面視 Ｘ字状に交叉配置した第１リンクと第２リンクとにより構成し、該両リンクをそ の中途交叉部で回動自在に連結し、第１リンク及び第２リンクの各自由端部のう ちの一方を、前記キートップの下面とホルダ部材とに回動可能に係止する一方、 他方を略水平方向に摺動可能に係止し、前記ラバースプリングの頭部を、前記両 リンクの交叉部近傍の下面にて押圧するように構成し、且つラバースプリングの 頭部上面には、摩擦係数の小さい滑り層を形成したものである。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案を具体化した実施例について図１〜図９を参照して説明する。図 １はキースイッチの側断面図を示し、キースイッチ１はキートップ２と、第１リ ンク４と第２リンク５とを側面視Ｘ字状に配置した案内手段３と、該案内手段３ にて押圧されるキャップ状のラバースプリング６と、前記案内手段３を支持する ための合成樹脂製のホルダ部材７と、該ホルダ部材７の取付け孔７ａにスイッチ ング部２９，２９（図６及び図７参照）が臨むようにホルダ部材７の下面に張設 するフレキシブルな印刷基板９と、その下面側に張設した補強板１０とからなる 。

【０００９】 図１、図６及び図８に示すように、ラバースプリング６は、印刷基板９におけ るスイッチング部（電気接点部）２９，２９の上方を覆うように、ホルダ部材７ の取付け孔７ａ内に嵌挿配置する。本考案のラバースプリング６は、電気絶縁性 のシリコーンゴム或いはＥＰＤＭ（エチレンプロピレンジエンメチレン）等にて 構成され、平面視略円板状の厚い頭部６ａと、該頭部６ａの周囲から下向きに延 びる截頭円錐状のドーム部６ｂと、該ドーム部６ｂの外周に略水平に半径外向き に延びる厚肉の鍔部６ｃとからなる下向き開放のキャップ状に一体成形する。キ ートップの押下時に、第１リンク４と第２リンク５との連結交叉部下面き押圧部 ２６にて押圧されるラバースプリング６の頭部６ａの下面には、前記スイッチン グ部２９，２９の接点部に当接して両スイッチング部を電気的にＯＮ・ＯＦＦす るための導電性を有する導電ゴムからなる可動接点部３０を固着する。なお、ラ バースプリング６全体を、シリコーンゴムにカーボンブラック等の導電性粒子を 分散充填させて導電性を備えるように形成しても良い。

【００１０】 そして、ラバースプリング６の頭部６ａの上面には、ポリテトラフルオロエチ レン、ポリフッ化ビニル等の摩擦係数の小さい合成樹脂製のフィルムを張設し、 または前記合成樹脂を塗布するなどして形成した滑り層３１を設ける（図１及び 図８参照）。この滑り層３１にてリンク４，５の押圧部２６からの押圧時に前記 頭部６ａにねじれ、ひねり等の無理な力が作用しないようにするのである。

【００１１】 ＡＢＳ樹脂等の合成樹脂にて成形されたキートップ２は、その上面（表面）に 数字、英字等の文字が刻印または印刷等により付されている。キートップ２の下 面には、後述する第１リンク４における上自由端側のピン部１１ａ，１１ｂを略 水平方向でキートップ２の前後方向に摺動可能に係止するための前後長手溝状の 摺動係止部１６，１６と、第２リンク５における上自由端のピン部１３ａ，１３ ｂを回動のみ可能に係止するための孔状の回動係止部１５，１５とを一体的に備 えた前後長手の左右一対の係止部材１７，１７を一体成形或いは接着剤等により 接着させて突設させる（図５参照）。

【００１２】 図４（ａ）（ｂ）を参照して、ガラス繊維強化合成樹脂製等の合成樹脂製の第 １リンク４及び第２リンク５を詳細に説明する。図４（ａ）は第１リンク４の平 面図、図４（ｂ）は第２リンク５の平面図である。第１リンク４は基部１８と上 下自由端部１９，２０とにより平面視で実質上略Ｈ状に一体成形したもので、基 部１８にはその側面に水平方向に貫通する支持孔２１を備える。下自由端部２０ の左右両側端から延びるアーム部２０ａ，２０ｂの側面には、各々ピン部１２ａ ，１２ｂを横向きに突設し、上自由端部１９の側面にはピン部１１ａ，１１ｂを 横向きに突設する。

【００１３】 また、第２リンク５も基部２２と上下自由端部２３，２４とにより平面視で実 質上略Ｈ状に一体成形する。前記基部２２の一側面には横向きに支持軸２５を突 設し、該支持軸２５を前記第１リンク４における支持孔２１に嵌挿し、第１リン ク４と第２リンク５とを支持軸２５回りに回動可能に連結する。第２リンク５に おける下自由端部２４の左右両側端から延びるアーム部２４ａ，２４ｂの側面に は、各々ピン部１４ａ，１４ｂを横向きに突設し、上自由端部２３の側面にはピ ン部１３ａ，１３ｂを横向きに突設する。

【００１４】 この実施例では側面視において、前記第１リンク４における支持孔２１の中心 線から上下のピン部１１ａ，１２ａの中心線までの距離及び、第２リンク５にお ける支持軸２５の中心線からピン部１３ａ，１４ａまでの距離がそれぞれ相等し くなるように形成する。このように構成すると、後述のように、第１リンク４の 下自由端側のピン部１２ａ，１２ｂ箇所を中心にして案内手段３が回動変位する ことにより、キートップ２はホルダ部材７の上面に対して平行状に昇降動するこ とができる。

【００１５】 図６及び図７はガラス繊維強化合成樹脂製等の合成樹脂製のホルダ部材７の一 部を示す図で、該ホルダ部材７には前記キャップ状のラバースプリング６下端の 鍔部６ｃが位置ずれ不能に嵌挿できる略矩形状の取付け孔７ａを穿設し、該取付 け孔７ａの左右両側縁には、左右一対の回動係止部２７と、前後長手溝状の摺動 係止部２８とを、その各係止部２７，２８が下方に開放するように一体的に射出 形成されている。そして、この回動係止部２７，２７に対しては、第１リンク４ における下端側のピン部１２ａ，１２ｂが回動可能に嵌挿し、摺動係止部２８， ２８に対しては第２リンク５における下端側のピン部１４ａ，１４ｂが前後摺動 するように嵌挿する。

【００１６】 このとき、ピン部１１ａ，１１ｂ及び１４ａ，１４ｂ並びに摺動係止部１６， ２８の形状寸法は、第１リンク４、第２リンク５が図５における左右方向に対し て略不動となり、且つピン部１１ａ，１４ａの図１中の左右方向の摺動を妨げな いように決定される。具体的には、本実施例においては、各ピン部先端が対応す る摺動係止部の外側側面と略接して摺動するようにしている。また、このため、 支持孔２１より支持軸２５が抜け出ることが防止される。

【００１７】 この構成により、キートップ２の押下時に、ホルダ部材７の回動係止部２７の 箇所を中心として第１リンク４が下向き回動するので、該第１リンク４と第２リ ンク５との側面視Ｘ字状に回動連結された中途交叉部である押圧部２６は、ラバ ースプリング６の頭部６ａの滑り層３１を斜め下向きに押圧することになる。従 って、ラバースプリングの頭部６ａに水平方向の外力が掛かっても、滑り層３１ 表面を押圧部２６が滑りながら押圧するので、当該頭部６ａをひねったり、ねじ ったりする不自然な力が作用せず、キートップ２の押圧によりラバースプリング ６のドーム部６ｂ全体が略均一に座屈変形して、キー操作感が良好になる。

【００１８】 また、柔らかなゴム製の頭部６ａに対して前記リンクの押圧部で局部的に押圧 すると、その局部だけが凹み変形し易いが、前記滑り層３１を剛性の大きいフィ ルム状に形成して頭部６ａ上面に張設すると、当該頭部６ａ略全体に押圧力が作 用して、局部的変形を防止でき、ひいてはキートップ２の押圧によりラバースプ リング６のドーム部６ｂ全体が略均一に座屈変形して、キー操作感が良好になる と共に、スイッチング部２９へのスイッチング動作も確実となる。さらに、滑り 層３１による前記押圧部とラバースプリングとの滑りが円滑となることにより、 頭部６ａの摩耗が少なくなり、ラバースプリングの耐久性が向上するという効果 を奏する。

【００１９】 図９に示す他の実施例では、滑り層として、前記と同様の摩擦係数の小さい合 成樹脂からなる薄フィルムをリング体３２に形成して頭部６ａの上面に接着剤に て張設する。このリング体３２をリンク４，５の押圧部（中途交叉部）で押圧す ると、前記実施例の作用・効果に加えて、ラバースプリング６を最大限下向きに 押圧したとき（押し切り状態という、図９（ｂ）参照）、頭部６ａ下面の可動接 点３０が印刷基板９や補強板１０の表面に押圧された反力で、柔らかな頭部６ａ が上向きに弾性変形し、その変形部がリング体３２の内径側の空間部に突出でき るから、前記押し切り状態でのキートップ２、ひいては指先に掛かる反力が柔ら かくなり、押し切り時のキータッチの衝撃を和らげることができるという優れた 効果を奏する。

【００２０】 なお、前記第１リンク４と第２リンク５とによる押圧部２６を、両リンク４， ５の基部１８，２２下面側で下向き凸多角形平面となるように形成しても良いこ とは勿論でありこのように多数の平面からなる押圧部２６に形成すると、キート ップのストロークのどの時点でも、頭部６ａ上面、ひいては滑り層３１の上面を 同時に複数の異なる面積領域で押圧するので、ラバースプリングの座屈変形がよ り一層均一にできる。また、スイッチング部２９を形成するフレキシブル印刷基 板９に代えてメンブレンスイッチ回路板等の基板であっても良く、可変容量型キ ーボードにも適用できる。

【００２１】

【考案の作用・効果】

以上要するに、本考案では、キートップをホルダ部材に対して上下動案内支持 するため、側面視Ｘ字状に交叉連結させた第１リンクと第２リンクとによる交叉 部の下方に位置したラバースプリングの頭部上面に摩擦係数の小さい滑り層を設 けたのであるから、前記交叉部近傍の押圧部とラバースプリングとの滑りが円滑 となることにより、ラバースプリングの頭部の摩耗が少なくなり、ラバースプリ ングの耐久性が向上するという効果を奏する。

【００２２】 そして、滑り層を合成樹脂製のフィルムに形成して柔らかいゴム製の頭部上面 に張設すれば、当該頭部略全体に押圧力が作用して、局部的変形を防止でき、ひ いてはキートップの押圧によりラバースプリング全体が略均一に座屈変形して、 キー操作感が良好になると共に、スイッチング部へのスイッチング動作も確実と なるという効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】キースイッチの側断面図である。

【図２】押し切り状態のキースイッチの側断面図であ
る。

【図３】キートップの下面図である。

【図４】（ａ）は第１リンクの平面図、（ｂ）は第２リ
ンクの平面図である。

【図５】図１のＶ−Ｖ矢視断面図である。

【図６】ラバースプリング及び取付け孔の平面図であ
る。

【図７】ホルダ部材の取付け孔部の斜視図である。

【図８】ラバースプリングの断面図である。

【図９】（ａ）は滑り層の他の実施例の断面図、（ｂ）
はその作用説明図である。

【符号の説明】

２ キートップ ４ 第１リンク ５ 第２リンク ６ ラバースプリング ６ａ 頭部 ６ｂ ドーム部 ６ｃ 鍔部 ７ ホルダ部材 ７ａ 取付け孔 ９ 印刷基板 １０ 補強板 １１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂ ピン部 １３ａ，１３ｂ，１４ａ，１４ｂ ピン部 １５，２７ 回動係止部 １６，２８ 摺動係止部 ２５ 支持軸 ２６ 押圧部 ２９ スイッチング部 ３０ 可動接点部 ３１ 滑り層 ３２ リング体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】キートップの下面とその下方のホルダ部材
   とに連結係止してキートップの上下動を案内支持するた
   めの案内手段と、前記キートップによる上下入力操作に
   て前記案内手段を介して弾性変形可能なキャップ状のラ
   バースプリングと、該ラバースプリングの弾性変形によ
   りスイッチ動作するスイッチング部とからなるキースイ
   ッチにおいて、前記案内手段を、側面視Ｘ字状に交叉配
   置した第１リンクと第２リンクとにより構成し、該両リ
   ンクをその中途交叉部で回動自在に連結し、第１リンク
   及び第２リンクの各自由端部のうちの一方を、前記キー
   トップの下面とホルダ部材とに回動可能に係止する一
   方、他方を略水平方向に摺動可能に係止し、前記ラバー
   スプリングの頭部を、前記両リンクの交叉部近傍の下面
   にて押圧するように構成し、且つラバースプリングの頭
   部上面には、摩擦係数の小さい滑り層を形成したことを
   特徴とするキースイッチ。