JPH0566482B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、例えば変圧貫流ボイラのようなボイ
ラ装置において、その起動を制御するボイラの起
動制御装置に関する。

〔発明の背景〕

近年、火力プラントを高効率で運用するため、
ボイラ装置は加成りの頻度で起動、停止を行なう
運転が実施されるようになつている。ところで、
このような運転におけるボイラ起動時、特に変圧
貫流ボイラではボイラ火炉流体の膨出現象が発生
する。このような現象を図により説明する。

第４図は変圧貫流ボイラ装置の系統図である。
図で、１はボイラ火炉、１Ｂはボイラ火炉に設け
られたバーナ、２はボイラ火炉を構成する火炉管
からの汽水混合流体から水分を分離する汽水分離
器、３は汽水分離器２からの蒸気を過熱する過熱
器、４は過熱器３からの蒸気により駆動されるタ
ービン、５はタービン４で使用された蒸気を復水
する復水器である。

６は汽水分離器２で分離された水が流入するド
レンタンク、７はドレンタンク６のレベルを調節
するレベル調節弁、８はドレンタンク６の水をボ
イラ火炉１、汽水分離器２、ドレンタンク６と循
環させるボイラ循環ポンプ、９はボイラ循環流量
調節弁である。１０はボイラ火炉１に水を供給す
る給水ポンプ、１１は給水流量調節弁、１２は給
水ポンプ１０で給水された水を加熱する高圧給水
加熱器である。１３はボイラ火炉からの排ガスに
より給水の加熱を行なう節炭器、１４はドレンタ
ンク６のレベルを検出するドレンタンクレベル検
出器である。

給水ポンプ１０から吐出された給水は給水流量
調節弁１１、高圧給水加熱器１２、節炭器１３を
通つてボイラ火炉１の水冷壁に供給され、バーナ
１Ｂで燃料を燃焼することにより得られた熱量を
吸収して汽水混合流体となり、汽水分離器２へ流
入する。汽水分離器２では汽水混合流体を蒸気と
水に分離し、発生した蒸気は過熱器３により通過
蒸気とされてタービン４に供給され、タービン４
を駆動して復水器５に入つて復水される。一方、
汽水分離器２で分離された水はドレンタンク６に
導かれ、ボイラ循環ポンプ８により、ボイラ循環
流量調節弁９を通つて給水ポンプ１０から吐出さ
れる給水の給水ラインに戻される。このように、
ドレンタンク７からの水を給水ラインに戻すこと
により熱回収が行なわれる。

ここで、ボイラ循環流量調節弁９はドレンタン
クレベル検出器１４で検出されたレベルに応じて
ドレンタンクの貯水量が一定レベルを超えないよ
うに制御されるが、一方、ボイラ循環流量が増加
した場合、節炭器１３に流入する流体のエンタル
ピが上昇し、節炭器１３において蒸気が発生し、
節炭器１３の管内の圧力および温度が上昇して管
が破裂する危険があり、さらに、膜沸騰によるボ
イラ火炉１における流量アンバランスを生じるの
で、このような事態を防止するため、循環流量の
上限値が定められ、当該上限値以上の流量を生じ
ないように制御される。又、ドレンタンク６への
流入量が増大し、前記上限値制御のためのドレン
タンク６内の貯水量が増加してその容量が設定容
量を超えると、水が過熱器３に流入してしまう。
これを防止するため、レベル調節弁７は、ドレン
タンクレベル検出器１４の検出値に基づいて、ド
レンタンク６のレベルが所定レベル以上にならな
いように制御され、ドレンタンク６の水を復水器
５に逃すようにしている。さらに、給水流量調節
弁１１は給水流量が少なくなり水冷壁３が過熱し
て管が破裂するのを防止するため、通常、最大流
量の20数％の最低給水流量を確保できるように制
御される。

このような変圧貫流ボイラ装置において、ボイ
ラ起動前には、ボイラ圧力は低く、ボイラ火炉流
体温度は飽和温度に近い状態にある。このような
状態において、ボイラ起動時、バーナ１Ｂが点火
されると、ボイラ火炉１への入熱が変化し、その
水冷壁中の流体には局部的に飽和水から飽和蒸気
への変化が生じる。そして、このような変化の割
合は、近年、起動時間の短縮が図られて起動時の
燃料量が増加する傾向にあることから大きくなつ
ている。上記変化が発生すると、流体の比容積が
変化して蒸気の割合が大きくなる。ここで、蒸気
の比容積は水の比容積に比べて著しく大きい（圧
力20Kg／cm²において、飽和水比容積は0.00117、
飽和蒸気比容積は0.10146）ので、上記変化が発
生すると、その発生場所後流側の流体が一時的に
押出されて膨出現象を生じるのである。この現象
が発生すると、汽水分離器２には一時的に通常の
２〜３倍の汽水混合流体が流入し、その後通常の
0.1倍程度に減少するため、ドレンタンク６のレ
ベルは異常に高くなつた後、極めて低レベルとな
る。

ところで、このような現象が生じると、ボイラ
循環流量調節弁９は通常開度から全閉となつてし
まい、このため、ボイラ循環ポンプ８がトリツプ
し、さらに、全体の給水流量が不足してボイラト
リツプをも生じ、ボイラ起動が停止してしまう場
合がある。又、上記現象が生じたとき、レベル調
節弁７は通常開度→全開→全閉となるが、この現
象においては流量変化量が大きく、かつ、変化速
度の速いため、レベル調節弁７の動作はこれに追
従することができず、ドレンタンクのレベルが異
常低下状態にあるにもかかわらず開状態にあり、
レベル低下を防止できない事態を生じていた。

この事態を避けるため、従来、ボイラ循環流量
を少なくし、その分ボイラ給水ポンプからの冷水
を増加させることにより、ボイラ点火操作に先立
つて火炉流体温度を飽和温度以下に下げ、膨出現
象を抑制するとともにボイラトリツプを防止する
手段が採られていた。しかし、このような手段は
起動時の熱損失を甚だしく増大させ、かつ、起動
時間が長くなるという欠点を生じていた。さらに
他の手段として、燃料量を徐々に増加することに
より膨出現象を防止し、レベル変動を小さくする
手段も採用されていたが、このような手段は起動
時間が極めて長くなるという欠点があつた。さら
に又、バーナ１Ｂの１セル（４本組）当りの燃料
を低減し、点火バーナ本数を増加させることも考
えられるが、そのような手段は、制御系および機
器構成とも複雑となるという欠点があつて採用す
るのは困難であつた。

〔発明の目的〕

本発明は、このような事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、上記従来の問題点を解決
し、ボイラ起動時におけるドレンタンクレベルの
異常な低下を防止することができ、これによりボ
イラ起動を円滑に行なうことができるボイラ装置
の起動制御装置を提供するにある。

〔発明の概要〕

上記の目的を達成するため、本発明は、ドレン
タンクのレベルの変化率を微分器により演算し、
この演算値に応じてドレンタンクのレベル検出器
の検出値に所定の値を加算し、この加算された値
に基づいて循環流量調節弁およびレベル調節弁を
制御するようにしたことを特徴とする。

〔発明の実施例〕

以下、本発明を図示の実施例に基づいて説明す
る。

第１図は本発明の実施例に係る起動制御装置の
ブロツク図である。図で、７はレベル調節弁、９
は循環流量調節弁、１１は給水流量調節弁、１４
はドレンタンクレベル検出器であり、これらは第
４図に示すものと同じである。２１はドレンタン
ク６からとり出される水の循環流量を検出する循
環流量検出器であり、検出された循環流量に応じ
た信号を出力する。２２はドレンタンクレベル検
出器１４からのタンクレベルに応じた信号が入力
される加算器、２３は関数発生器である。この関
数発生器２３は、加算器２２からのタンクレベル
信号を定められた対応する循環流量に変換する機
能を有し、タンクレベル信号が一定値以下におい
ては出力する循環流量が減少する特性を有する。
２４は減算器、２５は比例積分調節器（PI調節
器）である。関数発生器２３、減算器２４、PI
調節器２５により循環流量制御部２６が構成され
る。

２７はタンクレベル検出器１４からの入力信号
のうち、所定の高レベル範囲の信号のみ通過させ
る制限器、２８は微分器、２９は所定の特性を有
する関数発生器である。３０はタンクレベル検出
器１４からの信号が入力される加算器、３１は加
算器３０からの出力信号に比例した信号を出力す
る比例調節器である。比例調節器３１によりドレ
ンタンクレベル制御部３２が構成される。３３は
タンクレベル検出器１４からの入力信号のうち、
所定の高レベル範囲の信号のみ通過させる制限
器、３４は微分器、３５は所定の特性を有する関
数発生器である。制限器３３、微分器２４、関数
発生器３５により給水流量制御部３６が構成され
る。

次に、本実施例の動作を第２図および第３図に
示すグラフを参照しながら説明する。第２図はボ
イラ装置起動時の各種値の特性曲線を示すグラフ
であり、各曲線は次の値を示す。

曲線Ａ：ドレンタンクレベル調節弁流量 曲線Ｂ：ボイラ循環流量 曲線Ｃ：ドレンタンクレベル 曲線Ｄ：ドレンタンク流出量 曲線Ｅ：ボイラ給水ポンプ吐出流量 曲線Ｆ：節炭器入口給水流量 曲線Ｇ：ドレンタンク流入量 ここで、曲線Ｃによりドレンタンクレベルをみ
ると、起動後、レベルが急速に増大する膨出現象
がみられ、その後レベルは急激に減少している。
曲線Ｇのドレンタンク流入量は曲線Ｃのドレンタ
ンクレベルを基にして推定したものである。ドレ
ンタンクレベルの急激な低下により循環流量調節
弁９が暫くの間全閉となり、これにより曲線Ｆに
示すように給水流量が大きく低下していることが
判る。このようなドレンタンクレベルおよび給水
流量の低下は、第１図に示す制御装置により防止
することができる。以下、その動作を説明する。

ドレンタンクレベル検出器１４からの信号は、
ドレンタンクレベルが通常のレベルにあるときに
は制限器２７により阻止され、微分器２８には入
力されない。しかし、第２図に示す膨出現象時の
ように、ドレンタンクレベルが所定のレベル以上
になると、その信号は制限器２７を通過して微分
器２８に入力される。膨出現象時、微分器２８は
当該膨出現象末期に生じるタンクレベルの急激な
減少を捕捉して、その微分値に応じた信号を関数
発生器２９に対し出力する。ここで、関数発生器
２９が例えば、所定値のコンデンサおよび抵抗で
構成されているとすると、関数発生器２９の出力
信号（レベルバイアス信号）は微分器２８の出力
信号に応じた値（この値はドレンタンクレベルが
減少方向に変化するため負の値）となり、以後、
コンデンサと抵抗により定まる時定数に応じて
徐々に０に近づいてゆく。このレベルバイアス信
号が、時間軸を他の値と一致させて第３図の曲線
Ｈに示されている。

この負のレベルバイアス信号は、加算器２２お
よび加算器３０に入力される。加算器２２におい
ては、ドレンタンクレベル検出器１４の信号とレ
ベルバイアス信号とが加算され、この結果、加算
器２２からの出力信号は、ドレンタンクレベル検
出器１４の信号よりレベルバイアス信号分だけ減
少した信号となる。この減少した信号に基づいて
関数発生器２３からは循環流量に相当した信号が
出力され、減算器２４で実際の循環流量と比較さ
れ、その偏差信号がPI調節器２５を経て循環流
量調節弁９の開度を制御する。即ち、関数発生器
２９から出力されるレベルバイアス信号は、ドレ
ンタンクレベルの減少を先行して予測する信号と
なり、このレベルバイアス信号をドレンタンクレ
ベル検出器１４から出力される実際のドレンタン
クレベル信号に加算することにより、循環流量制
御部２６は、ドレンタンクレベルが実際に低下し
てしまう以前に、循環流量調節弁９を閉じる方向
に制御して循環流量を減少せしめ、ドレンタンク
レベルの低下を防止することになる。

一方、加算器３０においても、加算器２２にお
ける動作と同じく、ドレンタンクレベル信号が減
少せしめられ、この減少せしめられたドレンタン
クレベル信号に比例してレベル調節弁７が制御さ
れるので、レベル調節弁７はドレンタンクレベル
が実際に低下するのに先行して閉じる方向に駆動
される。したがつて上記の循環流量調節弁９の動
作と相俟つて、ドレンタンクレベルの低下が防止
されることになる。

第３図に示す特性図は上記のような先行的制御
の結果を示す図である。図で、第２図に示す曲線
と同一曲線には同一符号が付してある。曲線Ｈは
前述のレベルバイアス信号を示し、曲線Ｉはレベ
ルバイアス信号により減少せしめられた加算器２
２，３０から出力されるドレンタンクレベル信号
を示す。第２図に示す曲線Ｃと第３図に示す曲線
Ｃとを比較すると、ドレンタンクレベルの低下が
防止されているのを明確に観察することができ
る。

給水流量制御部３６においても、さきに述べた
制限器２７、微分器２８、関数発生器２９により
レベルバイアス信号を得たと同様の動作により給
水流量調節弁１１の制御信号を得ることができ
る。ただし、この場合、給水流量制御部３６から
出力される制御信号は、給水流量調節弁１１を開
く方向に駆動させる信号となる。この結果、給水
流量調節弁１１は、ドレンタンクレベルの実際の
低下に先行してより大きく開かれるので、第３図
の曲線Ｆに示すように節炭器入口における給水流
量は低下しない。

このように、本実施例では、起動時におけるド
レンタンクレベルの急激な低下を微分器により捕
捉し、この微分器の出力信号に応じて関数発生器
によりレベルバイアス信号を発生し、ドレンタン
クレベル検出器により検出される実際のドレンタ
ンクレベル信号を加算器によりレベルバイアス信
号分だけ減少せしめ、この減少せしめられた信号
に基づいて循環流量調節弁およびレベル調節弁を
制御するようにしたので、起動時におけるドレン
タンクレベルの低下を防止することができ、その
結果、ボイラ循環ピンプトリツプおよびボイラト
リツプが発生することはなく、円滑な起動を行な
うことができる。又、制限器を設けたので、起動
時以外の通常制御範囲における微分器の作動を防
止することができる。さらに、給水流量制御部に
より、循環流量調節弁およびレベル調節弁と同様
の先行制御を、給水流量調節弁に対しても適用し
たので、起動時における節炭器入口の給水流量の
低下を防止することができる。

なお、各関数発生器、比例調節器に設定される
値が、プラントに応じて適宜選定されるのは当然
である。又、ドレンタンクレベルの低下時だけで
なく上昇時における循環流量調節弁およびレベル
調節弁の制御も可能である。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明では、ドレンタンク
レベル検出器の検出値の変化率を微分器により演
算し、その演算値に応じて所定の値を前記検出値
に加算し、この加算された値に基づいて循環流量
調節弁およびレベル調節弁を制御するようにした
ので、ボイラ装置起動時におけるドレンタンクレ
ベルの低下を防止することができ、ひいてはボイ
ラ循環ポンプトリツプ、ボイラトリツプを防止し
てボイラ装置の起動を円滑に行なうことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係る起動制御装置の
ブロツク図、第２図および第３図はボイラ装置起
動時の各値の特性図、第４図は変圧貫流ボイラ装
置の系統図である。 １……ボイラ火炉、２……汽水分離器、６……
ドレンタンク、７……レベル調節弁、８……ボイ
ラ循環ポンプ、９……循環流量調節弁、１０……
給水ポンプ、１１……給水流量調節弁、１３……
節炭器、１４……ドレンタンクレベル検出器、２
１……ボイラ循環流量検出器、２２，３０……加
算器、２３，２９，３５……関数発生器、２４…
…減算器、２５……PI調節器、２７，３３……
制限器、２８，３４……微分器、３１……比例調
節器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボイラ火炉からの汽水混合流体を汽水分離す
   る汽水分離器と、この汽水分離器に接続されたド
   レンタンクと、このドレンタンクのレベルを検出
   するレベル検出器と、検出されたレベルに応じて
   ドレンタンクからの循環水の流量を制御する循環
   流量調節弁と、前記検出されたレベルに応じてド
   レンタンクの水を排出するレベル調節弁とを備え
   たボイラ装置において、前記レベル検出器の検出
   値の変化率を演算する微分器と、この微分器の出
   力に応じて前記レベル検出器の検出値に所定の値
   を加算する加算手段とを設けたことを特徴とする
   ボイラ装置の起動制御装置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記微分器
   は、前記レベル検出器で検出された値が予め定め
   られた一定範囲内にあるとき演算動作を行なうこ
   とを特徴とするボイラ装置の起動制御装置。