JPH0565519A - 溶銑への脱珪剤打ち込み装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】溶銑を覆う集塵カバー内の雰囲気温度を下げる
と共に、溶銑に打ち込まれる脱珪剤の飛散を防止するこ
とを目的としている。 【構成】溶銑１に、筒体形状からなるランス２の先端開
口部が上方から対向されているランス２の外周には、そ
の先端部から所定の長さ分だけランス２と同軸且つ所定
の空間をあけて外筒４が配設されて２重管構造を形成
し、その外筒４の上端部は水ボックス４ａを形成し、そ
の水ボックス４ａに水又は水蒸気を供給する水配管５が
接続されている。また、外筒４ａの下端部は開口してい
て、下方に向けて水若しくは水蒸気が噴出可能となって
いる。前記溶銑樋９を覆うように集塵カバー７が設けら
れており、該集塵カバー７に集塵機８が連通している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高炉鋳床における溶銑
の脱珪処理において、ランスを使用して溶銑樋中の溶銑
に脱珪剤を打ち込む方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、溶銑への脱珪剤の打ち込み装置で
は、例えばランスがその先端開口部を溶銑樋内の溶銑表
面と上下に対向するように配設され、また、前記溶銑樋
を覆うように集塵カバーが配設されると共に、該集塵カ
バーに開設された集塵吸引口に集塵機が連通され構成さ
れ、ランスで誘導されてきた粉体形状の脱珪剤が、該ラ
ンスの先端開口部から圧縮空気と共に溶銑樋内の溶銑表
面へ吹き付けられ、脱珪反応に伴って大量に発生する粉
塵ガスや粉塵を集塵カバーの集塵吸引口と通して集塵機
で吸引していた。

【０００３】なお、前記粉体形状の脱珪剤は、ランス上
部に接続されて脱珪剤を搬送する供給管中の搬送を円滑
に行うために、可能な限り含有水分を低下させていると
共に粒径も小さくなっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の脱珪剤打ち込み装置では、脱珪剤が溶銑に吹き付け
られる際に、その脱珪剤は粉体であるため飛散し一部が
集塵吸引口から集塵機に吸引されて、集塵機のファンを
磨耗させたり、濾布を破損するなどの不具合があると共
に、溶銑内の珪素と反応する脱珪剤の量が少なくなり脱
珪反応の効率が悪いという問題がある。

【０００５】このとき、前記集塵機への脱珪剤の吸引を
防止するために、従来例えば特開昭６３−１７６４０８
号公報に記載されているように脱珪剤を打ち込む配管の
壁部の一箇所から水または水蒸気を注入する方法が開示
されているが、この方法は、配管の一箇所から水若しく
は水蒸気を注入するために、該注入された水や水蒸気は
偏在して添加されて一部の脱珪剤と混合するだけであ
り、その一部の脱珪剤の飛散を防止しているに過ぎな
い。

【０００６】また、前記脱珪反応は発熱を伴って集塵カ
バー内が高温雰囲気となり高温となった粉塵ガスが集塵
機に吸引されて、該集塵機の寿命を短くするという問題
がある。これに対して、実開平１−８９９４３号公報に
記載されているように溶銑に向けて水蒸気を噴射して該
集塵カバー内の雰囲気温度を下げることが開示されてい
るが、この方法は、雰囲気内の温度を下げる役割しか行
われておらず、脱珪剤が飛散して集塵機へ吸引されるこ
とを防止することができない。

【０００７】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、集塵カバー内の雰囲気温度を下げると
共に、溶銑に打ち込まれる脱珪剤の飛散を防止すること
を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の溶銑への脱珪剤打ち込み装置は、ランスの
先端開口部を溶銑表面と上下に対向させ、該ランスの先
端開口部から溶銑に向けて脱珪剤を打ち込む脱珪剤打ち
込み装置において、該ランスの先端開口部外周の周方向
全周から溶銑表面に向けて、水または水蒸気を噴出可能
な水噴出手段を備えたことを特徴としている。

【０００９】前記水噴出手段としては、例えばランスの
外周に所定の空間をあけて外筒を設けて二重管構造と
し、その所定の空間内に水等を下方に向けて流すことで
実現するとよい。また、請求項２に記載されているよう
に、ランスの先端開口部を溶銑と上下に対向させ、該ラ
ンスの先端開口部から溶銑に向けて脱珪剤を打ち込む脱
珪剤打ち込み装置において、先端部から所定距離だけ離
れた前記ランスの壁部に対して、該壁部を貫通する貫通
孔を周方向に沿って複数設け、該複数の貫通孔からラン
ス内に水又は水蒸気を注入可能な水注入手段を備えたこ
とを特徴とする溶銑への脱珪剤打ち込み装置を適用して
もよい。

【００１０】

【作用】打ち込まれる脱珪剤を水等でシールして打ち込
む脱珪剤打ち込み装置では、ランスの先端部から吹き付
けられる脱珪剤が、その外周を噴出される水又は水蒸気
で囲まれるため、該脱珪剤の飛散が防止されて、直接脱
珪剤が集塵機に吸引されることがなくなる。

【００１１】また、前記噴出された水又は水蒸気によっ
て雰囲気内の熱が吸収されて、該雰囲気温度の上昇を抑
えると共に、脱珪反応で発生した粉塵ガスを冷却して集
塵機に吸収される該粉塵ガスの量を減少させることがで
きる。また、脱珪剤に水を混合して打ち込む脱珪剤打ち
込み装置では、ランスの先端から水と脱珪剤との混合に
要する所定長さだけ上流の位置で、全周方向から水又は
水蒸気が注入されるため、該ランス内を通過する脱珪剤
へ水分が均一に添加され、さらに該添加位置からランス
の先端部までの落下の間に、脱珪剤と水分の混合がおこ
なわれる。

【００１２】このため、脱珪剤は水分を含んで重くなり
飛散することなく溶銑に吹き付け可能となると共に、脱
珪剤と共にランスから吹き付ける水分が雰囲気中の熱を
吸収し、該雰囲気温度を下げる。この水等との混合部が
ランス先端開口部に可及的に近いことから、脱珪剤のラ
ンス内の搬送を円滑に進めるための障害にならない。

【００１３】

【実施例】本発明に基づく実施例を図面に基づいて説明
する。まず構成を説明すると、図１に示すように、傾注
樋等からなる溶銑樋９内の溶銑１に、筒体形状からなる
ランス２の先端開口部が上方から対向し、そのランス２
の上端部は脱珪剤を搬送してくる脱珪剤供給管３に接続
されている。その脱珪剤供給間３は図示しないコンプレ
ッサー及び脱珪剤用タンク１２に接続されている。

【００１４】前記ランス２の外周には、その先端部から
所定の長さ分だけランス２と同軸且つ所定の空間をあけ
て外筒４が配設されて２重管構造を形成し、その外筒４
の上端部は大径になって水ボックス４ａを形成して、そ
の水ボックス４ａに水又は水蒸気を供給する水配管５が
弁６を介して接続され、また、外筒４ａの下端部は開口
していて、下方，即ち溶銑１表面に向けて水若しくは水
蒸気が噴出可能となって、該外筒４，水ボックス，及び
水配管５とから水噴出手段を構成している。

【００１５】また、前記出銑樋９を覆うように集塵カバ
ー７が配設されており、該集塵カバー７に集塵吸引穴７
ａが開設されて、その集塵吸引穴７ａはダクト７ｂを介
して集塵機８に連通している。前記構成において、図示
しない出銑樋から溶銑樋９に溶銑１が注入される。そし
て、該溶銑１中の珪素を除去するために、脱珪剤が圧縮
空気と共に脱珪剤供給管３及びランス２を介して、該ラ
ンス２先端部の開口部まで運ばれ、該開口部から溶銑樋
９中の溶銑１に向けて脱珪剤が矢印Ｄのように吹き付け
られる。

【００１６】前記脱珪剤の吹き付けに合わせて水ボック
ス４ａを介して外筒４とランス２との間の空間に水また
は水蒸気が供給され、該外筒４の下端開口部から下方に
向けて矢印Ｓのように水また水蒸気が下方に噴出され
る。これにより、該外筒４から噴出される水または水蒸
気によって、前記溶銑１に向けて吹き付ける脱珪剤の外
周を囲うように筒状の水のカーテンが形成されて、該水
のカーテン内を落下する脱珪剤は、該水のカーテンでシ
ールされて外側に飛散することがなくなって、溶銑１中
の珪素と脱珪剤の反応で発生する粉塵ガス等を吸引して
いる集塵機８に吸い込まれることが防止され、もって脱
珪剤は全て溶銑１中の珪素と反応するので脱珪反応効率
が向上する。

【００１７】さらに、外筒４から噴出する水または水蒸
気は、前記溶銑１中の珪素と脱珪剤の反応で発生した熱
を吸収し、該集塵カバー内の雰囲気温度を下げて、高温
となった粉塵ガスが集塵機８に吸引されることを防止す
ることができる。なお、前記ランス２外周部からの水ま
たは水蒸気の噴出手段を、図２に示すように、ランス２
の先端部外周部のみを覆うリング状の箱体１０を設け、
該箱体１０の下端部に下方に向かって貫通する噴出孔１
０ａを該ランス２の周方向全周に渡って複数設けると共
に、ランス２の側面に沿って固定されて水または水蒸気
を誘導する誘導管１１を該箱体１０に接続して構成する
などして、該複数の貫通孔１０ａから下方に噴出する水
または水蒸気で、ランス２から吹き出す脱珪剤の外周を
シールしてもよく、要は、打ち込んだ脱珪剤の飛散を防
止するために、その外周を囲むように水または水蒸気が
噴出可能であればよい。

【００１８】次に、第２実施例について説明する。まず
構成を説明すると、ランス２先端部から所定距離だけ離
れたランス２の壁部に貫通孔２ａが周方向全周に渡って
複数形成され、該複数の貫通孔２ａを覆うようにリング
状の中空体２１が配設され該中空体２１に水配管５が接
続されて、該貫通孔２ａ，中空体２１及び水配管５によ
り水注入手段を構成している。他の構成は、第１実施例
と同様である。

【００１９】上記構成においては、ランス２内を通過す
る粉体形状の脱珪剤に対して、ランス２の周方向全周か
ら水または水蒸気が注入され、該注入された位置からラ
ンス２の先端開口部まで落下中に該水分が脱珪剤に吸収
されて、該脱珪剤は重くなる。このとき、ランス２の径
方向全周から水または水蒸気を供給しているため、ラン
ス２内を落下する脱珪剤へ均一に水分を添加可能とな
る。

【００２０】そして、該脱珪剤は、ランス２先端開口部
から溶銑樋９中の溶銑１に向けて吹き付けられる。この
とき、該脱珪剤は水分を吸収して重くなっているため
に、飛散することなく溶銑１に入り込み該溶銑１と反応
すると共に、該脱珪剤に吸収された水分や脱珪剤と一緒
にランス２先端開口部から落下する水または水蒸気によ
って、溶銑と脱珪剤の反応によって発生する熱が吸収さ
れて、集塵カバー７内の雰囲気温度をさげる。

【００２１】なお、溶銑樋とは、溶銑の流下する出銑樋
及び枝樋，又は末端の傾注樋を含むものである。

【００２２】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の溶銑
への脱珪剤打ち込み装置では、脱珪剤と溶銑中の珪素と
の反応による雰囲気温度の上昇を抑えることができると
ともに、ランスから打ち込まれる脱珪剤の飛散を防止し
て、該脱珪剤による脱珪反応効率を向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る脱珪剤打ち込み装置を示す概要説
明図である。

【図２】同脱珪剤打ち込み装置の第２例を示す側面図で
ある。

【図３】本発明に係る脱珪剤打ち込み装置の第２実施例
を示す概要説明図である。

【符号の説明】

１ 溶銑 ２ ランス ３ 脱珪剤供給管 ４ 外筒 ５ 水配管 ６ 弁 ７ 集塵カバー ８ 集塵機 ９ 溶銑樋 １０ 箱体 １１ 誘導管 １２ 脱珪剤タンク ２１ 中空体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ランスの先端開口部を溶銑表面と上下に
   対向させ、該ランスの先端開口部から溶銑に向けて脱珪
   剤を打ち込む脱珪剤打ち込み装置において、該ランスの
   先端開口部外周の周方向全周から溶銑表面に向けて、水
   または水蒸気を噴出可能な水噴出手段を備えたことを特
   徴とする溶銑への脱珪剤打ち込み装置。
2. 【請求項２】 ランスの先端開口部を溶銑と上下に対向
   させ、該ランスの先端開口部から溶銑に向けて脱珪剤を
   打ち込む脱珪剤打ち込み装置において、先端部から所定
   距離だけ離れた前記ランスの壁部に対して、該壁部を貫
   通する貫通孔を周方向に沿って複数設け、該複数の貫通
   孔からランス内に水又は水蒸気を注入可能な水注入手段
   を備えたことを特徴とする溶銑への脱珪剤打ち込み装
   置。