JPH0564656B2

JPH0564656B2 -

Info

Publication number: JPH0564656B2
Application number: JP60212599A
Authority: JP
Inventors: Katsumi Nishimura; Masaaki Murakami; Hisashi Kaneko; Michio Nakane
Original assignee: Toyo Ink Mfg Co Ltd
Current assignee: Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date: 1985-09-27
Filing date: 1985-09-27
Publication date: 1993-09-16
Also published as: JPS6272735A

Description

【発明の詳細な説明】

〔発明和の目的〕（産業上の利用分野）本発明は、電気機器の絶縁材料に適した、有害
ガスの発生や発煙がなく、難燃性、機械的物性、
電気絶縁物性などの諸物性にすぐれた難燃樹脂組
成物に関する。（従来の技術）電線，ケーブルなど電気機器の絶縁材料として
ポリエチレンなどのポリオレフインが使用されて
いる。これらの用途には難燃性を要求されるた
め、従来、ポリエチレンやポリプロピレンなどの
ポリオレフインに塩素化ポリオレフインなどのハ
ロゲン化ポリマーを配合したり、ポリオレフイン
またはポリオレフインとハロゲン化ポリマーの配
合物に、難燃剤としてハロゲン化合物またはハロ
ゲン化合物と高価な三酸化アンチモンとの混合物
を配合することによつて、ポリオレフインに難燃
性を付与することが行なわれていた。しかしなが
ら、これらの材料を用いて高い難燃性を達成する
には、ハロゲン化ポリマーやハロゲン化合物の配
合量を多くする必要があり、その結果、得られた
樹脂組成物は、その機械的強度が低い、成形時に
人体に有害なハロゲン系ガスの発生とそれによる
金型の腐食がある、燃焼時に有害ガスの発生と多
量の発煙とがあり、火災時に消火活動などに支障
を生じるという欠点があつた。これらの欠点を改良するために、ポリエチレン
やポリプロピレンに、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウムなどの水和無機化合物を配合した
ものが提案された。これによれば、成形時や燃焼
時の有害ガスの発生と発煙とは改良されるもの
の、所望の難燃性を得ようとすると、水和無機化
合物を60重量％以上配合する必要があり、成形時
の流れ性、製品の外観、抗張力や伸びなどの機械
的物性、低温時の耐衝撃性、電気絶縁特性などが
悪くなり、実用化にあたつて問題が多く、薄肉製
品の難燃化が困難であつた。これらの欠点を改良するために、ポリオレフイ
ンに水和無機化合物および赤りんを配合して、水
和無機化合物の配合量を減らすことが試みられ
た。これによれば得られた樹脂組成物の機械的強度
は若干改良されるものの、赤りんと樹脂との相溶
性が悪く、成形品の外観悪く、耐寒性も低下する
とともに、成形時や燃焼時に、人体に有害なりん
系ガスの発生と多量の発煙があるという欠点があ
つた。これらの欠点を改良するために、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、またはポリエチレンやポリプ
ロピレンにエチレン−酢酸ビニル共重合体または
ポリ酢酸ビニルを混合したものに、水和無機化合
物を高充填させることが提案された。これは、成
形時の流れ性、機械的強度や伸びは比較的良好で
あるが、表面硬度が低く外傷を受けやすく、また
耐熱変形性や耐寒性が劣るという欠点があつた。ポリエチレンやポリプロピレン、あるいはエチ
レン−酢酸ビニル共重合体に、オルガノポリシロ
キサンと水和無機化合物とを配合し、水和無機化
合物の配合量を減らすことが提案された。成形時
の流れ性はよくなるものの、オルガノポリシロロ
キサンを用いるために高価となる、耐寒性が悪
い、ポリエチレンやポリプロピレンを用いる場合
には抗張力などの機械的物性と耐熱変形性が悪
い、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合
には可撓性が低いなどの欠点があつた。これらの欠点を改良するため、ポリエチレンや
ポリプロピレンに、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、オルガノポリシロキサンおよび水和無機化合
物を配合することが検討された。これによれば、
耐熱変形性、可撓性、機械的棒物性と難燃性との
バランスは良好となるが、耐熱老化性に劣る、耐
寒性は若干よくなるもののまだまだ不十分であ
る。オルガノポリシロキサンを用いるので高価と
なるなどの欠点があつた。また、水架橋型のシラングラフトポリオレフイ
ンに水酸化マグネシウムを配合した難燃性ポリオ
レフイン組成物も提案されたが、これは耐寒性が
きわめて低いという欠点を有するものであつた。（発明が解決しようとする問題点）本発明は、従来の難燃樹脂組成物の有する上記
の種々の欠点を改良し、成形時あるいは燃焼時に
有害ガスの発生や発煙がなく、成形時の流れ性が
良好で、抗張力や伸びなどの機械的物性と難燃性
とのバランス、可撓性、耐寒性（低温時の耐衝撃
性）、耐熱変形性、耐熱老化性、電気絶縁特性お
よび成形品の外観が良好で、成形品の表面硬度も
高く、薄肉製品の難燃化も可能で安価な難燃樹脂
組成物を提供するものである。〔発明の構成〕（問題点を解決するための手段）本発明は、結晶性オレフイン系樹脂100重量部，
水和無機化合物50〜100重量％および水和無機化
合物以外の無機充填剤50〜０重量％からなる無機
充填剤混合物50〜200重量部，およびシリコーン
ゴムとエチレン−プロピレンゴムとの共重合体５
〜300重量部からなることを特徴とする難燃樹脂
組成物である。本発明において、結晶性オレフイン系樹脂とし
ては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン−１などのα−オレフインの単独重合体あ
るいはこれらの混合物、結晶性エチレン−プロピ
レン共重合体、結晶性エチレン−ブテン−１共重
合体などの異種α−オレフインの共重合体あるい
はこれらの混合物、結晶性エチレン−アクリル酸
共重合体、結晶性エチレン−アクリル酸エチル共
重合体、結晶性エチレン酢酸ビニル共重合体ある
いはその部分けん化物、不飽和カルボン酸または
その無水物などでグラフト変性されたポリオレフ
イン類などα−オレフインと他のモノマーとの共
重合体あるいはこれらの混合物、あるいはこれら
の混合物があるが、難燃性と可撓性とのバランス
および耐寒性の面から、結晶性エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体および（または）結晶性エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、あるいはこれらを含
むものを用いることが好ましい。本発明において水和無機化合物としては、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和けい
酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイド
ロタルサイトなどあるいはこれらの混合物がある
が、難燃性とペレツト成形時の発泡防止の面から
水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。水
和無機化合物以外の無機充填剤としては、タル
ク、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム、炭酸
カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ゼオライト、マイ
カ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスビーズなど
あるいはこれらの混合物があるが、難燃性を損な
うことが少なくない、押出し吐出量の低下が小さ
い、加工性がよいことからタルクを用いることが
好ましい。水和無機化合物および水和無機化合物
以外の無機充填剤は表面処理されていてもいなく
てもよく、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪
酸、ステアリン酸鉛などの金属石鹸、シラン化合
物、チタネート化合物などのカツプリング剤など
で表面処理されたものを用いてもよい。水和無機
化合物は無機充填剤混合物総量の50〜100重量％
の割合で使用される。水和無機化合物の量が無機
充填剤混合物総量の50重量％未満では難燃性が低
くなる。無機充填剤混合物は、結晶性オレフイン
系樹脂100重量部に対して、50〜200重量部使用さ
れるが、難燃性と機械的物性とのバランスから60
〜150重量部用いることが好ましい。50重量部未
満では難燃性が低くなり、200重量部より多いと
機械的物性に劣るようになる。本発明のシリコーンゴムとエチレン−プロピレ
ンゴムとの共重合体のエチレン−プロピレンゴム
とはゴム状のエチレン−プロピレン共重合体また
はエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体で
ある。シリコーンゴムとエチレン−プロピレンゴ
ムとの共重合体としては何でもよいが、後架橋し
なくとも加工性を損なうことなく耐熱老化性が高
くなるので、あらかじめ共加硫したものを用いる
ことが好ましい。シリコーンゴムとエチレン−プ
ロピレンゴムとの共重合体は、結晶性オレフイン
系樹脂100重量部に対して、５〜300重量部使用さ
れるが、耐熱老化性および難燃性と機械的物性お
よび加工性とのバランスからは、10〜250重量部
用いることが好ましい。５重量部未満では難燃性
および耐熱老化性が低くなり、300重量部より多
いと抗張力、伸びなどの機械的物性および加工性
が低くなる。本発明において、結晶性オレフイン系樹脂、無
機充填剤混合物およびシリコーンゴムとエチレン
−プロピレンゴムとの共重合体を混合する順序と
方法には特に制限はなく、これらを同時に混合し
ても、いくつかをあらかじめ混合した後、残りを
混合しても、逐次混合してもよい。本発明の難燃樹脂組成物は、未架橋のまま、あ
るいは架橋させて用いられる。架橋の方法には、
電子線による架橋、過酸化物や加硫剤による化学
架橋がある。架橋させる時期には特に制限はない
が、すべての材料を混合した後が効率の上から好
ましい。結晶性オレフイン系樹脂100重量部に対
するシリコーンゴムとエチレン−プロピレンゴム
との共重合体の使用量が100〜300重量部の場合に
は、機械的物性特に抗張力の面から、架橋させて
から用いることが推奨される。本発明の難燃樹脂組成物には、その作用効果を
阻害しない範囲で必要に応じて、染顔料、帯電防
止剤、防曇剤、ステアリン酸などの高級脂肪酸、
ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸などの
滑剤や分散剤、チタネート化合物、シラン化合物
などのカツプリング剤、サリチル酸酸誘導体、ベ
ンゾフエノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫
外線吸収剤、フエノール系などの酸化防止剤、銅
害防止剤など各種添加剤、オルガノポリシロキサ
ンなど少量の他の熱可塑性樹脂を配合することが
できる。（実施例）以下、実施例により本発明を説明する。実施例１〜７および比較例１〜６表１−１および表１−２に示すような配合の樹
脂組成物を２本ロールで10分間混練した後、プレ
ス機にてシートとし、得られたシートを用いて、
難燃性試験、引張り試験、耐熱老化試験、耐寒性
試験および電気特性試験を行なつた。結果をあわ
せて表１−１および表１−３に示す。なお、試験
条件、結果の表示、規格は次の通りとした。 (1) 難燃性試験：JIS Ｋ−7201に準拠。酸素指数
で表示。30以上を合格とした。 (2) 引張り試験：結晶性オレフイン系樹脂がポリ
プロピレンを含む場合、JIS Ｋ−6758に、エチ
レン系ポリマーのみの場合JIS Ｋ−6760にそれ
ぞれ準拠。抗張力および伸長率で表示。抗張力
１Kg／mm²以上、伸長率400％以上を合格とした。 (3) 耐熱老化試験：180℃で１週間保持後の抗張
力残存率および伸長率残存率で表示。抗張力混
存率65％以上、伸長率残存率60％以上を合格と
した。 (4) 耐寒性老化試験：ASTM Ｄ−746に準拠。
耐寒温度で表示。−30℃より低い温度を合格と
した。 (5) 電気特性試験：JIS Ｋ−6723に準拠。体積固
有抵抗値で表示。５×10¹⁴Ω・cm以上を合格と
した。

【表】

〔発明の効果〕

本発明により成形時あるいは燃焼時に有害ガス
の発生や発煙がなく、成形時の流れ性が良好で、
抗張力や伸びなどの機械的物性と難燃性とのバラ
ンス、可撓性、耐寒性（低温時の耐衝撃性）、耐
熱変形性、耐熱老化性、電気的絶縁特性および成
形品の外観が良好で成形品の表面硬度も高く、薄
肉製品の難燃化も可能であり、電線、ケーブルな
どの被覆材料として、あるいは光フアイバーのス
ペーサーなど異形押出し用途に最適な安価な難燃
樹脂組成物が得られるようになつた。

Claims

【特許請求の範囲】１結晶性オレフイン系樹脂100重量部，水和無
機化合物50〜100重量％および水和無機化合物以
外の無機充填剤50〜０重量％からなる無機充填剤
混合物50〜200重量部，およびシリコーンゴムと
エチレン−プロピレンゴムとの共重合体５〜300
重量部からなることを特徴とする難燃樹脂組成
物。２結晶性オレフイン系樹脂が、結晶性エチレン
−酢酸ビニル共重合体および（または）結晶性エ
チレンアクリル酸エチル共重合体，あるいはこれ
らを含むものである特許請求の範囲第１項記載の
難燃樹脂組成物。３水和無機化合物が水酸化マグネシウムである
特許請求の範囲第１項または第２項記載の難燃樹
脂組成物。