JPH0564197B2

JPH0564197B2 -

Info

Publication number: JPH0564197B2
Application number: JP2010685A
Authority: JP
Inventors: Hitoshi Kobashi; Yoshihito Kadoma
Original assignee: Nippon Oil and Fats Co Ltd
Current assignee: NOF Corp
Priority date: 1985-02-06
Filing date: 1985-02-06
Publication date: 1993-09-14
Also published as: JPS61181895A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕本発明は冷凍機油に関し、詳しくはフロン安定
性、熱安定性および潤滑性にすぐれた冷凍機油に
関するものである。〔従来の技術〕近年、冷凍および冷蔵産業、各種産業機器の高
度化に伴なう冷却あるいは廃エネルギーの有効利
用などの広範な分野においてフロンの利用がはか
られている。これらの具体的な例としては、冷凍
機、冷房機器をはじめ、変圧器、整流器などの絶
縁油の冷却、フロンタービンなどがある。これらのフロンを使用する装置の小型大容量化
に伴なつて、冷凍機油の使用条件はますます厳し
くなり、化学安定性および潤滑性のすぐれた冷凍
機油が要求されている。また、冷凍機装置の高温
部では冷凍機油、フロンおよび金属が共存するた
めに、油とフロンとの反応あるいはフロンの熱分
解によつて塩化水素が生成し、その結果金属の腐
食やスラツジの発生などが起こり、冷凍機の故障
の原因とさえなつているので、用いる冷凍機油は
高温におけるフロン安定性が強く求められてい
る。従来、冷凍機油としては、ナフテン系鉱油やア
ルキルベンゼン系油が使用されているが、高温に
おける化学的安定性が不十分なだけでなく潤滑性
も満足すべきものではない。そこで、熱安定性に
すぐれているエステル系油を冷凍機油として単独
もしくは配合して使用することが行われている
（特開昭56−125494号、特開昭59−164393号）。エステル系油は冷凍機油として用いる場合、潤
滑性および高温における安定性においてナフテン
系鉱油やアルキルベンゼン系油に比して大きな優
位性を持つている。だが、エステル系油はナフテ
ン系鉱油やアルキルベンゼン系油よりも更に高温
で使用される場合が多くあり、高温における安定
性にまさるエステル系油といえどもフロンの安定
化が十分でなく、装置の金属部分の腐食を抑制す
ることは難かしい。この点を解決するために添加
剤の使用が試みられている（特開昭55−155093
号、特開昭58−15592号）が、ベースであるエス
テル系油に対する溶解性が十分でないために過酷
な条件下では満足すべき効果を発揮していない。
特に、酸化防止剤の効果がなくなつたとき、冷凍
機油が急激に劣化するので、長期間にわたる冷凍
機の運転において突発的なトラブルを発生しかね
ない。〔発明が解決しようとする問題点〕過酷な条件下に長期間にわたつて運転を行う冷
凍機油に求められる性能としては、潤滑性はもと
よりのこと高温での安定性とフロン安定性があげ
られる。本発明の目的は、添加剤を用いないでも過酷な
条件下においてフロンを安定化させて装置の金属
部分の腐食を抑制するとともに熱安定性と潤滑性
にすぐれた冷凍機油を得ようとするものである。〔問題点を解決するための手段〕本発明者らは、ヒドロキシアリール脂肪酸を含
むカルボン酸混合物の多価アルコールエステルが
添加剤を用いなくても高温において著しいフロン
安定性を有していることを見出して、本発明を完
成するにいたつた。すなわち本発明は、ヒドロキシアリール脂肪酸
を含むカルボン酸混合物と多価アルコールとのエ
ステルを含有することを特徴とする耐フロン性冷
凍機油である。本発明において用いるヒドロキシアリール脂肪
酸は、分子内にフエノール性のヒドロキシル基を
含有するアリール脂肪酸である。特に、目的を達
成する効果の面で、一般式 R₁は炭素数１〜19の直鎖アルキル基、R₂は炭
素数１〜19の直鎖アルキレン基で、R₁とR₂の炭
素数の和は10〜20であり、R₃およびR₄は水素原
子、ヒドロキシル基、炭素数１〜９のアルキル基
またはアルコキシ基のいずれかであるで表わされるヒドロキシアリール脂肪酸が適して
いる。このヒドロキシアリール脂肪酸の具体的な
例としては、４−（ジヒドロキシフエニル）パル
ミチン酸、９−（ヒドロキシフエニル）パルミチ
ン酸、12−（ジヒドロキシフエニル）パルミチン
酸、15−（ヒドロキシノニルフエニル）パルミチ
ン酸、３−（ヒドロキシフエニル）ステアリン酸、
５−（ヒドロキシジメチルフエニル）ステアリン
酸、９−（ヒドロキシメトキシメチルフエニル）
ステアリン酸、10−（ヒドロキシノニルフエニル）
ステアリン酸、13−（ヒドロキシメチルフエニル）
ステアリン酸、17−（ヒドロキシフエニル）ステ
アリン酸、４−（ヒドロキシフエニル）ベヘン酸、
５−（ヒドロキシメトキシメチルフエニル）ベヘ
ン酸、７−（ヒドロキシメチルフエニル）ベヘン
酸、11−（ジヒドロキシフエニル）ベヘン酸、15
−（ヒドロキシフエニル）ベヘン酸、20−ヒドロ
キシノニルフエニル）ベヘン酸などがあげられ
る。本発明においてヒドロキシアリール脂肪酸を含
むカルボン酸混合物を構成するヒドロキシアリー
ル脂肪酸以外のカルボン酸としては、炭素数４〜
36のモノおよびジカルボン酸が用いられる。これ
らカルボン酸の好ましい例として、エナント酸、
カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデ
カン酸、ラウリン酸、９−ヘキサデセン酸、６，
10，14−ヘキサデカトリエン酸、オレイン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、エルカ酸、アラキドン
酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、２−エチ
ルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イ
ソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソステアリ
ン酸、合成脂肪酸などのモノカルボン酸および、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダ
イマー酸などのジカルボン酸があげられる。また、本発明においてヒドロキシアリール脂肪
酸を含むカルボン酸混合物とエステルを構成する
多価アルコールとしては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、グ
リセリン、ブタン−１，２，３−トリオール、エ
リスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタ
エリスリトール、キシリトールなどがあるが、特
にネオペンチルグリコール、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トールが好ましい。これらのヒドロキシアリール脂肪酸、カルボン
酸および多価アルコールは各々単独または二種以
上混合したものを用いることができる。本発明においてヒドロキシアリール脂肪酸の量
はカルボン酸混合物に対して10重量％以上、好ま
しくは30重量％以上が適している。10重量％より
少ないと目的とする効果を得ることが難しくな
る。本発明のヒドロキシアリール脂肪酸を含むカル
ボン酸混合物と多価アルコールとのエステルは、
通常のエステル製造方法により製造することが可
能で、また通常のエステルを精製する場合と同様
に、脱酸、水洗、脱水、脱色、過などの一連の
処理により精製することができる。本発明のエステルは、それ単独で冷凍機油とし
て用いることができるだけでなく、他の冷凍機油
と混合して用いることもできる。混合して用いら
れる他の冷凍機油としては、ナフテン系鉱油、ア
ルキルベンゼン系油、エステル系油などがある。
エステル系油の例としては、一価アルコールとジ
カルボン酸とのエステル（特開昭56−36570号）、
多価アルコールとモノカルボン酸とのエステル
（特開昭56−133241号）、多価アルコールとジカル
ボン酸およびモノカルボン酸からなるエステル
（特開昭59−164393号）などがある。本発明のエステルを他の冷凍機油と混合して用
いる場合には、本発明のエステルを10重量％以
上、好ましくは30重量％以上含有することが望ま
しい。10重量％より少ないと目的とする効果を得
ることが難しくなる。〔作用〕本発明においてヒドロキシアリール脂肪酸を含
むカルボン酸混合物と多価アルコールとのエステ
ルがフロン存在下の系を安定化する理由は明らか
ではないが、冷凍機装置の金属部分の腐食の主因
となる脂肪酸銅および脂肪酸鉄の生成が著しく少
なくなることから金属不活性化剤的な効果が想定
される。〔発明の効果〕本発明の冷凍機油は潤滑性および熱安定性にす
ぐれているばかりでなく、フロン安定性も改善さ
れた冷凍機油である。このため、本発明の冷凍機
油を用いることによつて、冷凍機を過酷な条件下
に長期間にわたつて問題なく運転することが可能
である。また、本発明の冷凍機油に従来から知られてい
る冷凍機油用添加剤を添加しても十分にその効果
を発揮することができる。〔実施例〕本発明を実施例により説明する。実施例におい
て用いたヒドロキシアリール脂肪酸を含むカルボ
ン酸混合物と多価アルコールとのエステルを比較
のエステルとともに表１に示す。本発明のエステ
ル単独もしくは本発明のエステルとナフテン系鉱
油またはアルキルベンゼン系油との混合物につい
てシールドチユーブテストを行い、冷凍機油とし
て評価した。シールドチユーブテスト：パイレツクス管（内径６mm、肉厚２mm）に冷凍
機油0.6ml、銅棒（Ｏ／２×50mm）、鋼棒（Ｏ／２×50
mm）およびアルミニウム箔（２×30mm）を入れ、
つぎに−60℃の冷却浴中でフロン−22（クロロジ
フルオロメタン）を入れて封管し、加熱試験を行
つた後、試料の色相の変化、塩酸生成量、銅メツ
キ現象の有無、銅棒および鋼棒の腐食状態につい
て測定した。なお、加熱試験は本発明のエステル
単独の場合には200℃で５日間であり、他の冷凍
機油との混合物の場合には180℃で５日間である。本発明のエステル単独の場合に得られた結果を
表２に、また、他の冷凍機油との混合物の場合の
結果を表３に、まとめて示す。表２および表３に
おいて各試験における符号はつぎのとおりであ
る。色相の変化は加熱試験前後における色相（１
（淡色、最良）〜10（濃色、最悪）の10段階評価）
の差を表わし、数字の小さいほど良好である。塩酸生成量は小ないほど良好である。 ○：25ppm未満 △：25〜100ppm ×：100ppm超過銅メツキ現象は鋼棒のメツキ度合で、認められ
ないものが良好である。 ◎：認められない ○：極く軽微 △：軽度 ×：多大銅および鋼の腐食は少ないほど良好である。 ○：ほとんど認められない △：軽度の腐食 ×：激しい腐食

【表】

【表】ロ：市販アルキルベンゼン系油
表２の結果から、本発明のエステルは単独で用
いた場合に、色相の変化、塩酸生成量、銅メツキ
現象、銅および鋼の腐食のすべての項目において
すぐれており、極めて良好な熱安定性およびフロ
ン安定性を有していることがわかる。また、表３の結果から、本発明のエステルを他
の冷凍機油と混合して用いた場合にも、得られた
冷凍機油は極めて良好な熱安定性とフロン安定性
を有していることがわかる。

Claims

【特許請求の範囲】１ヒドロキシアリール脂肪酸を10重量％以上含
むカルボン酸混合物と多価アルコールとのエステ
ルを10重量％以上含有することを特徴とする耐フ
ロン性冷凍機油。２ヒドロキシアリール脂肪酸が一般式 R₁は炭素数１〜19の直鎖アルキル基、 R₂は炭素数１〜19の直鎖アルキレン基で、 R₁とR₂の炭素数の和は10〜20であり、 R₃およびR₄は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数１〜９のアルキル基またはアルコキシ基の
いずれかであるで表わされるものである特許請求の範囲第１項記
載の耐フロン性冷凍機油。３多価アルコールがネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール
またはジペンタエリスリトールである特許請求の
範囲第１項記載の耐フロン性冷凍機油。