JPH0562725B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、写真フイルムを移動できるように収
容保持したフイルムパツクに関するもので、さら
に詳しくは、写真フイルムの移動時に、フイルム
乳剤面と摺接する接触部に改良を施したフイルム
パツクに関するものである。

〔従来技術〕

写真撮影をした後、その場でプリントされた写
真画像が得られるインスタント写真システムで
は、インスタントフイルムユニツトが使用されて
いる。このようなインスタントフイルムの中で
も、特にピールアパートタイプのものでは、ポジ
シートと別体にされたネガシートを、露光後にポ
ジシートと重ね合わせるために、フイルムパツク
内でその移動方向を180°変更するように屈曲して
移動させている。こうして、ネガシートが屈曲さ
れると、その反発力が前記摺接部での接触圧を高
めるように作用するので、ネガシートの乳剤面と
露光枠とは、かなり強く擦れ合うことになる。

このように、フイルムシートはフイルムパツク
内の各部に接触しながら移動されるが、例えば上
述したピールアパートタイプのフイルムユニツト
を収容している従来のフイルムパツクでは、ネガ
シートの乳剤面を外れた部分の両側でネガシート
を受ける凸部を設けているのみで、乳剤面と接触
する部分には平坦にされているに過ぎない。従つ
て、ネガシートがその移動時に弾性変形したりす
ると、その変形された部分だけが前記平坦部に強
く摺接する結果となり、その部分に擦傷が入りや
すい。しかも、こうして生ずる擦傷は幅も広いも
のになりやすく、現像処理後にポジシート上で得
られるプリント画像にもその影響が生じ、良好な
画像が得られないという欠点があつた。

〔発明の目的〕

本発明は、上述のような従来技術のもつ欠点を
解消するためになされたもので、露光後にフイル
ムパツク内で移動されるフイルムシートが、フイ
ルムパツク内の所要部に摺接しても、これによる
擦傷の発生を抑え、良質なプリント画像が得られ
るようにしたフイルムパツクを提供することを目
的とする。

〔発明の構成〕

上記目的を達成するため、本発明のフイルムパ
ツクでは、乳剤面を形成したフイルムシートをパ
ツク内で移動させながら乳面剤を外向きにして
180°折り返すときに乳剤面と強く擦れる露光枠の
一辺の内壁に、先端側を細くし、かつフイルムシ
ートの移動方向に沿つて延長した複数の突起を形
成しておくことを構成の特徴とするものである。

〔実施例の構成〕

ピールアパートタイプのカラーインスタントフ
イルムユニツトを収容するフイルムパツクに、本
発明を適用した一例を示す第１図において、フイ
ルムパツク１は、弾性が得られるような金属性薄
板からなるベース２および圧板３と、例えばハイ
インパクトポリスチレンなどにより成型して得ら
れるカバー４とから構成されている。前記ベース
２には、その両側に内側に折り曲げ形成したばね
板部５が形成され、圧板３の折り曲げ部６を押圧
して圧板３を上方に付勢している。カバー４は、
前記圧板３をベース２との間に挟み込むようにし
てベース２に係着される。

前記フイルムパツク１に収容されているフイル
ムユニツトは、第２図にも示したように、圧板３
の上面平坦部に位置しているネガシート１０と、
このネガシート１０を引き出すために、これに連
結された引出しシート１１と、引出しシート１１
に一端が接着され、ポジシート１２を引き出すた
めの引出しシート１３、そしてネガシート１０と
引出しシート１１との連結部近傍には、現像液が
収容された現像液ポツド１５を備えている。さら
に、前記引出しシート１１の引出し端１６の近傍
には、タブ１７の一端が接着されている。前記ポ
ジシート１２は、引出しシート１３の開口からそ
の表面が露出している。そして、ネガシート１０
を引き出すための引出しシート１１以降は、圧板
３の左端に丸く屈曲形成された折り返し部２０を
通つて、圧板３の下側に回り込んでいる。

前記圧板３および圧板３の上下にわたつて配置
されたフイルムユニツトは、ベース２とカバー４
との間に遮光状態で収容されている。そして、ベ
ース２に形成されたばね板部５が、圧板３の折り
曲げ部６を上方に押し上げることによつて、ネガ
シート１０の乳剤面はカバー４に向かつて押しつ
けられる。前記カバー４には、露光窓２３を画定
している露光枠２２が、カバー４の内側に向かつ
て隆起して形成されている。従つて、ネガシート
１０の乳剤面は、その周囲が前記露光枠２２に押
しつけられて位置決めされることになる。

前記露光枠２２の一辺には、カバー４の成型時
に一体に形成された突起列２４が設けられてい
る。この突起列２４は、第１図中の一点鎖線部Ａ
を拡大図示した第２図に示したように、先端が先
細にされた断面三角形状の突起２５を配列するこ
とにより構成されている。突起２５は、後述する
ように、ネガシート１０の引出し方向に沿つて延
長して形成され、その配列のピツチＰは0.6mm、
突起２５の頂角θは90°にされている。さらに、
前記突起列２４の両端には凸部２６が設けられて
いる。

〔実施例の作用〕

上述の構成からなるフイルムパツク１を使用す
る時には、第３図に示すように、フイルムパツク
１を暗箱３０の所定位置に装填する。暗箱３０に
は、周知のように撮影光束を通過させるためのア
パーチエア３１が形成され、撮影レンズ（図示省
略）を通つた撮影光束は、アパーチエア３１およ
びフイルムパツク１の露光窓２３を介して、ネガ
シート１０の乳剤面上に結像される。さらに、暗
箱３０には、タブ１７を引き出すための引出し開
口３２、一対の展開ローラ３３等が設けられてい
る。なお第３図では、露光済みのネガシート１０
が、すでにある程度引き出されている状態を図示
しており、従つてネガシート１０は、露光枠２３
から移動されている。

露光済みのネガシート１０に基づき、ポジシー
ト１２上にプリント画像を得るためには、まずタ
ブ１７を引き出す。これにより、引出しシート１
１の引出し端１６が展開ローラ３３の間に侵入
し、さらにタブ１７が引かれると、タブ１７は引
出しシート１１から剥離する。その後、展開ロー
ラ３３の間から引出し端１６を引き出すと、引出
しシート１３も一緒に引かれてネガシート１０の
乳剤面と、ポジシート１２の転写面とが重なり合
つて進行される。そして、ネガシート１０とポジ
シート１２とが展開ローラ３３間に侵入する直前
に、現像液ポツド１５が展開ローラ３３によつて
押し潰され、ネガシート１０とポジシート１２と
の間に拡布される。さらに引出し端１６が引か
れ、展開ローラ３３間にネガシート１０とポジシ
ート１２とが進行してくると、これらに適当な展
開圧が加えられ、現像液がこの両者間にむらなく
展開され、画像の転写が行われる。その後、所定
の現像処理時間をおいて、ポジシート１２からネ
ガシート１０を引き剥がすと、ポジシート１２上
にプリント画像が得られる。なお、多数のフイル
ムユニツトが収容されている状態の場合にあつて
は、次のフイルムユニツトに接着されているタブ
がタブ引出し開口３２から突出されているので、
同様の手順を繰り返せばよい。

上述の作用において、ネガシート１０の引出し
操作時には、ネガシート１０はばね板部５で押圧
されている圧板３によつて露光枠２３に押しつけ
られながら、図中左方にスライド移動される。従
つて、ネガフイルム１０の乳剤面は、露光枠２３
の突起列２４に摺接する。しかも、ネガシート１
０は、ある程度の剛性をもつていることから、移
動方向が180°変更される折り曲げ部２０の所で
は、かなりの反発力が生じ、前記突起列２４との
接触圧は増加される。しかしながら、突起列２４
には、微細なピツチで多数の突起２５が配列さ
れ、これらによりネガシート１０を同時に受ける
ことになるので、前記のようにして生じた接触圧
を分散させる作用を行う。しかも、前記突起２５
の先端が先細とされていることから、例えこれに
よりネガシート１０の乳剤面に擦傷が入ることが
あつたとしても、非常に微細なものとなり、ポジ
シート１２上で得られるプリント画像では、殆ど
目立たなくなる。

第４図は、横軸にフイルムパツク１からフイル
ムユニツトを引き出した枚数を、縦軸にプリント
画像中で目視で観察される擦傷の本数をとつた場
合の相関図である。第４図に実線で示すように、
上記の突起列２４と凸部２６とを設けたフイルム
パツク１では、プリント画像で観察される擦傷の
本数は、突起２６のみをもつた従来のフイルムパ
ツクの場合（破線で図示）よりも格段に減少して
いることが認められる。なお、凸部２６を省略し
突起列２４のみを設けたフイルムパツクを使用し
た場合では、一点鎖線で示したようになり、この
場合でも擦傷の減少は顕著に認められる。また、
引出し枚数と擦傷本数との関係から、フイルムパ
ツク１内に残されているフイルムユニツト枚数が
減つてくると、最上層のネガシート１０と露光枠
２３との接触圧、すなわち圧板３による押圧力が
減少する方向に働き、擦傷本数も減つてくること
が確認される。

このように、ネガシート１０の乳剤面が摺接す
る露光枠２３の内側に、多数の突起２５を形成す
ることによつて擦傷の発生を防止できるが、この
突起２５の配列ピツチＰあるいは頂角θは、ネガ
シート１０の剛性、あるいは圧板３の押圧力など
に応じて適宜最良のものに選択すればよい。特
に、上記実施例のようなピールアパートタイプの
カラーインスタントフイルムユニツトを収容した
ものでは、突起２５の配列ピツチＰが１mm以下、
頂、角θが90°以下で効果的である。

なお、上記突起２５を形成する個所としては、
上記実施例のように、ネガシート１０の乳剤面と
強い接触圧で摺接する露光枠２３の内側が最も効
果的である。また、突起２５の形状としても先端
が先細であればよく、フイルムシートの移動方向
に延長する代わりに、その方向にも多数の点状の
突起を配列したり、ランダムに分布させたりして
もよい。

〔発明の効果〕

以上に述べたとおり、本発明によれば、フイル
ムパツク内でフイルムシートが移動され、その移
動の途中でフイルムシートが180°折り返されると
きに、この折り返し部近傍の露光枠の内壁と乳剤
面とが強く接触しても、この内壁に先端が細く、
かつフイルムシートの移動方向に延ばした複数の
突起を設けてあるから、乳剤面に加わる接触圧を
分散して擦傷の発生を抑えることができるので、
良質のプリント画像が得られることになる。しか
も、本発明の実施にあたり、突起を成型部品に形
成する場合には一体成型ができ、金属薄板に形成
する場合には型押し工程と共に得られることか
ら、従来のフイルムパツクの製造工程をなんら複
雑化させることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明を用いたフイルムパツクを示
す分解斜視図である。第２図は、第１図における
一点鎖線部Ａの拡大図である。第３図は、タブが
引き出されている状態を示すフイルムパツクの断
面図である。第４図は、フイルムユニツトの引出
し枚数と、摩傷の発生本数との相関図である。 １……フイルムパツク、２……ベース、３……
圧板、４……カバー、５……ばね板部、６……折
り曲げ部、１０……ネガシート、１２……ポジシ
ート、１７……タブ、１５……現像液ポツド、２
０……折り返し部、２２……露光枠、２４……突
起列、２５……突起、２６……凸部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 乳剤面が形成されたインスタントタイプのフ
   イルムシートを収容し、露光済みのフイルムシー
   トをスライドさせながら乳剤面を外向きに180°折
   り返して移動できるように保持したフイルムパツ
   クにおいて、 露光済みのフイルムシートの移動方向と直交
   し、かつ前記フイルムシートの折り返し部近傍に
   設けられた露光枠の一辺の内壁に、先端が細く、
   かつフイルムシートの移動方向に沿つて延長され
   た複数の突起を形成したことを特徴とするフイル
   ムパツク。 ２ 前記フイルムシートは、移動された後にポジ
   シートと重ね合わされるネガシートであることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載のフイルム
   パツク。