JPH0560789B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は医療器材の滅菌に使用される滅菌袋に
好適な滅菌袋用フイルムの製造方法に関するもの
である。

＜従来の技術＞ 医療器具、医療資材を滅菌する方法として現
在、乾熱滅菌、ホルマリン滅菌、蒸気滅菌（オー
トクレーブ滅菌）、エチレンオキサイド（EO）ガ
ス滅菌及び放射線滅菌が行われている。これらに
使用される滅菌用包装材に必要な要件としては、
乾熱滅菌は耐熱性、オートクレーブ滅菌、EOガ
ス滅菌及びホルマリン滅菌は、それぞれ蒸気、
EOガス、ホルマリンガスの浸透が良く、各滅菌
温度下に於ける応力に耐える材質で構成され、加
えて滅菌後の長期無菌保存が約束されるバリア性
が不可欠である。この様な特性を持つた滅菌袋
は、両面滅菌紙の袋、片面滅菌紙で片面プラ
スチツクフイルムをヒートシールした袋、プラ
スチツクフイルムの一部に滅菌紙を貼り付けた
袋、片面プラスチツク繊維シートに片面プラス
チツクフイルムをヒートシールした袋、等の形態
のものが使用されており、内容物の見えるフイル
ムを使用したタイプのものが増えてきている。

滅菌袋に使用されるフイルムは上記の様にバク
テリア・バリア性やヒートシール性、また包装材
としての強度や耐熱・耐候性等が要求されること
から、従来は第１図のようなプラスチツクフイル
ムからなる支持体１にポリプロピレン又はポリエ
チレンからなるポリオレフインフイルム３を接着
剤２で貼り合わせた複合フイルムや第２図のよう
なプラスチツクフイルムからなる支持体１にポリ
エチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂からなる熱
可塑性ポリオレフイン樹脂層４を押出しラミネー
トしたものが主に使用されている。

しかしながら、上記の様な従来滅菌袋に使用さ
れてきたフイルムは必ずしも満足されるものでは
なかつた。即ち、接着剤で貼り合わせる複合フイ
ルムの場合、製品流通経路に伴う接着剤の経時劣
化が起こり、フイルムラミネート不良（浮き状
態）の発生、接着強度の低下により滅菌時の応力
に耐えられず、ラミネートが剥離したり、また接
着剤中の成分のフイルムの移行等によりフイルム
劣化や接着剤中の成分がフイルムを透過して内容
物へ移行したりして、滅菌袋としての機能を損な
うといつた問題が発生する。また、第２図のラミ
ネートタイプのフイルムの場合、ラミネート層が
露出しているためキズ等の損傷を受けやすいとい
う問題がある。更に、第１図のタイプの場合は接
着剤を使用すること、また第２図のタイプの場合
は滅菌袋としての特性を持たせる為にラミネート
層をある程度厚くしなければならないこと、等の
ために両タイプ共コスト的にも高価になつてしま
うという問題もある。

一方、最近は上記のこれらフイルムタイプの滅
菌袋は、清潔感を与える等の外観がよいことや、
ヒートシールにより、シールラインが他の面より
も濃色になり、ヒートシール状態の良否が無色透
明フイルムタイプのものより確認しやすいこと、
等の理由から薄緑や淡いブルーの様な透明着フイ
ルムが望まれて使用される様になつてきた。この
場合、着色させる方法として、接着剤を着色さ
せる、着色ポリオレフインフイルムを使用す
る、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂
の着色ペレツトを使用してラミネートする等が行
われているが、の場合は前記と同様に接着剤の
問題があり、の場合は接着剤の問題と共に着色
ポリオレフインフイルムのコストアツプの問題が
あり、の場合は前記のラミネートタイプの問題
と共に着色ペレツトのコストアツプ問題がある。
この様に透明着色フイルムタイプの場合、前記の
問題以外に更に大幅なコストアツプの問題があ
る。

又、前記との場合には、フイルム層の着色
剤が被滅菌物と直接接触することになり、滅菌処
理時及びその後の保存時に着色剤が被滅菌物へ移
行し、汚染せしめる問題もあつた。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 本発明はこの様な従来の問題点を解決するもの
で、経時安定性が良く、強度も実用的に十分満足
され、しかもコスト的にメリツトのある滅菌袋用
着色フイルムの製造方法を提供するものである。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は、着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂を
Ｔ型ダイス法により溶融押出しして、プラスチツ
クフイルムからなる支持体とポリオレフインフイ
ルムとを前記着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂を
介して圧熱接着することを特徴とする滅菌袋用着
色フイルムの製造方法である。即ち、本発明の製
造方法は、第３図に示すように着色熱可塑性ポリ
オレフイン樹脂４のラミネートによつてプラスチ
ツクフイルムからなる支持体１とポリオレフイン
フイルム３を貼り合わせたことにより、接着剤を
使用せずに強度及び経時安定性に優れた滅菌袋用
フイルムを得るものである。

本発明に使用されるプラスチツクフイルムから
なる支持体としては、適度な耐熱性と機械的強度
をもつた透明のプラスチツクフイルムが適宜使用
される。例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリフエニレンサルフアイ
ド、ポリエーテル・エーテルケトン等のプラスチ
ツクフイルムを挙げることができるが、特に限定
されるものではない。なお、滅菌袋としての機能
やコストの面から、厚さ約10〜25μのポリエステ
ルフイルムが特に好ましい。また、ポリオレフイ
ンフイルムも市販のものが適宜使用でき、特に限
定されるものではないが、同様に厚さ約10〜50μ
のポリエステルフイルム又はポリプロピレンフイ
ルムが好ましい。更に、これらプラスチツクフイ
ルムからなる支持体及びポリオレフインフイルム
は、滅菌袋としての強度や使用される滅菌方法に
必要とされる耐熱性、及びポリオレフインフイル
ムのヒートシール性等からフイルムの物理特性を
適宜選択して使用される。

本発明に使用される着色熱可塑性ポリオレフイ
ン樹脂、一般にラミネート用に使用されているポ
リエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂が染料ま
た顔料でカラーリングされ適用される。

本発明の滅菌用着色フイルムの製造方法は、一
般に行われているＴ型ダイス法が適用される。こ
れは、着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂を溶融押
出し機でＴ型ダイス法によりフイルム状に押出
し、このフイルム状のポリオレフイン樹脂が溶融
状態にあるうちにプラスチツクフイルムらなる支
持体及びポリオレフインフイルムの間にサンドイ
ツチさせ、プレツシヤーロール等により圧着して
ラミネートすることによつて複合フイルムを形成
するものである。ここでラミネートされた着色熱
可塑性ポリオレフイン樹脂層の厚さは圧着条件、
樹脂の溶融粘度等により適宜調節されるものであ
るが、約５〜25μが好ましい。

＜実施例＞ 次に、実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。

実施例 １ 緑色ポリエステル樹脂ペレツト（融点130℃）
を溶融押出し機によりフイルム状に押出し、厚さ
12μのポリエステルフイルム及び厚さ35μのポリ
エチレンフイルムの間にサンドイツチさせ、プレ
ツシヤロールにより圧着（条件；スピード240
ｍ／min、圧力30Kg／cm²、温度320℃）し、冷却
して本発明の製造方法による滅菌袋用フイルムを
作製した。

以上の実施例１で得られたフイルムのポリエチ
レン側の表面とポリエチレン繊維シート（タイベ
ツク、デユポン社製）とをヒートシールして滅菌
袋を作製した。この際、透明着色フイルムを使用
したことにより、ヒートシール状態の良否判定が
非常に容易であつた。次に、この滅菌袋をエチレ
ンオキサイドガス滅菌用に使用した結果、経時安
定性、強度等良好な滅菌袋が得られた。また、実
施例１のフイルムにおいて、サンドイツチラミネ
ートされている着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂
層の厚さは15μであつた。即ち、従来滅菌袋用透
明着色フイルムの場合は第２図の如く、着色ポリ
オレフイン樹脂のラミネート層を形成していた
が、実施例１ではこの半分以上を無色透明フイル
ムに置き換えることができたため高価な着色樹脂
の使用量を削減することができた。

＜発明の効果＞ 本発明の製造方法による滅菌袋用着色フイルム
は従来品に比べて経時安定性に優れた効果を発揮
するものである。また、無着色のポリオレフイン
フイルム層があり着色剤の移行を阻止し、被滅菌
物を汚染させる虞がなく、従来品の着色による大
幅なコストアツプをかなり削減する経済的効果を
発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の接着剤で貼り合わせたタイプ
の滅菌袋用フイルムの断面図であり、第２図は、
従来のフイルム上にラミネート層を形成したタイ
プの滅菌袋用フイルムの断面図であり、第３図
は、本発明の製造方法による滅菌袋用フイルムの
断面図である。 １…プラスチツクフイルムからなる支持体、２
…接着剤層、３…ポリオレフインフイルム、４…
着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂をＴ型ダイ
   ス法により溶融押出しして、プラスチツクフイル
   ムからなる支持体とポリオレフインフイルムとを
   前記着色熱可塑性ポリオレフイン樹脂を介して圧
   熱接着することを特徴とする滅菌袋用着色フイル
   ムの製造方法。