JPH0560627A - 磁歪式トルク測定装置 - Google Patents

磁歪式トルク測定装置

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JPH0560627A
JPH0560627A JP22391891A JP22391891A JPH0560627A JP H0560627 A JPH0560627 A JP H0560627A JP 22391891 A JP22391891 A JP 22391891A JP 22391891 A JP22391891 A JP 22391891A JP H0560627 A JPH0560627 A JP H0560627A
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temperature
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coil
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Munekatsu Shimada
田 宗 勝 島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】温度位相をトルク位相から離すに際して、多大
な工数を必要としないうえ、温度ドリフトが少なく、安
定した測定を行うことが可能である磁歪式トルク測定装
置を提供する。 【構成】ブリッジ回路の2辺のコイル辺のコイル巻数を
各々違え、コイル巻数の多い方のコイル辺に温度係数を
もたない小抵抗を挿入する。コイルと小抵抗からなるイ
ンピーダンスベクトルおよびコイルのみからなるインピ
ーダンスベクトルを各々Z(〜),Z(〜)、角度
を各々θ,θとあらわした時にθ≒θでかつθ
<θの関係に設定して、ブリッジバランスを設定し
たブリッジ回路を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のドライブシャ
フトなどや、工作機械のスピンドルなど、あるいは電気
モータの回転軸などの軸において、その軸(被測定軸)
に加わるトルクを当該軸の磁気歪作用を利用して非接触
にて検出するのに利用される磁歪式トルク測定装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のトルク測定装置としては、軸
(被測定軸)の磁気歪作用を利用したものがある(例え
ば、特開昭62−179627号,特開昭63−117
230号,特開平1ー170823号等)。
【0003】図1は、被測定軸の磁気歪作用を利用した
トルク測定装置のトルク検出部の一例を示し、図2は、
前記トルク測定装置のトルク検出回路を構成するブリッ
ジ回路および信号処理回路の一例を示したものである。
【0004】図1に示すトルク測定装置のトルク検出部
1は、磁気歪作用を有する被測定軸2を備え、トルクを
伝達するこの被測定軸2には、形状異方性を付与するた
めの部分らせん状溝3,4が左右対称に設けてあり、前
記部分らせん状溝3,4に対向して励磁兼検出用のコイ
ル5,6を図示しないヨーク等により非接触に保持した
構造をなしている。
【0005】図2に示すトルク測定装置のトルク検出回
路10のブリッジ回路において、Z(〜),Z
(〜)は図1に示したコイル5,6のインピーダンス
ベクトルであって、〜はインピーダンスが複素数である
ことを示している。また、以下においては、交流信号で
あることを示すのにも〜なる同じ記号を用いることとす
る。
【0006】図2に示すトルク検出部10のブリッジ回
路において、符号7,8は抵抗値がR,Rの固定抵
抗であって、これらの抵抗7,8とコイル5,6とでブ
リッジ回路を形成している。また、符号11,12は抵
抗値がRex,Rexであるブリッジバランスをと
るための可変抵抗である。
【0007】そして、ブリッジ回路には、信号処理回路
の発振器13よりV・ejwtなる交流電圧が供給され
る。ここにおいて、Vは振幅,ω=2πfは角振動数
(f:周波数)である。
【0008】このブリッジ回路の出力電圧は差動増幅器
14によって
【0009】
【0010】に増幅され、同期検波器15によって同期
検波され、装置出力△V(−)は直流として出力され
る。また、同期検波の参照信号θtは、発振器13より
移相器16を介して供給される。
【0011】このような図1,図2に示す構成の磁歪式
トルク測定装置によって、被測定軸2に加えられたトル
クTを測定するに際しては、トルクTが印加されていな
い状態で可変抵抗11,12の抵抗値Rex,Rex
を調整して、ブリッジのバランスをとり、{△V
(〜)=0(〜)}としておく。
【0012】その後、図1に示すようにトルクTが印加
されると、一方のコイル5のインピーダンスが増加する
と共に他方のコイル6のインピーダンスが減少するた
め、ブリッジ出力電圧にアンバランスが生じて{△V
(〜)≠0(〜)}となる。そして、このアンバランス
は、印加トルクTの大きさに比例するため、装置出力は
【0013】
【0014】の関係となる。
【0015】ところで、自動車や工作機械などの実動軸
類には、十分な機械的強度が要求されるため、トルク測
定装置の一部を兼ねることとなる軸材としては熱処理を
施した鋼が用いられることが多い。
【0016】そして、鋼を使った磁歪式トルク測定装置
においては、トルクに対する装置感度を得るため、比較
的高い回路増幅率が必要とされる。
【0017】そのため、温度変化に対して敏感となり、
トルク測定装置のゼロ点が温度とともにドリフトしてし
まうことが多い。
【0018】そこで、トルクのみ印加したときのブリッ
ジ回路出力の位相、すなわちトルク位相に対して、温度
のみ一様に変えたときのブリッジ回路出力の位相、すな
わち温度位相を離し、温度位相で検波することによりゼ
ロ点のドリフトをなくす対策がなされている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】温度位相が未調整の段
階においては磁歪式トルク測定装置の温度位相は装置ご
とに異なっている。
【0020】そこで、従来の温度位相をトルク位相から
離す手法においては、まず、室温においてトルク検出回
路のブリッジバランスをとり、トルク検出部を一様に所
定の温度まで上げ、未調整の段階における温度位相を調
べることが基本的に必要である。
【0021】次に、温度位相を所定の角度以上トルク位
相から離す調整作業を行なう。
【0022】この温度位相はコイルの温度係数によって
決まっており、温度係数の大小関係を変えることで温度
位相を動かせることまでわかっているので、一方のコイ
ル辺に温度係数をもつ小抵抗を入れ、温度位相が所定の
角度以上トルク位相から離れるまで調整をくり返し行な
うようにしていた。
【0023】このように、温度位相をトルク位相から離
す従来の手法では、以上に述べた調整作業の内容からわ
かるように、調整に多大な工数を必要としており、効率
的でないという課題があった。
【0024】
【発明の目的】本発明は、温度位相をトルク位相から離
すためのより効率のよいすぐれた手法を見い出すべく、
ブリッジ回路の特性やブリッジ回路の出力特性やコイル
の温度係数等について鋭意検討の結果なされたもので、
その目的とするところは、温度位相をトルク位相から離
すに際して多大な調整工数を必要とせず、しかも温度ド
リフトが少なく、安定したトルクの測定を行なうことが
可能である磁歪式トルク測定装置を提供することにあ
る。
【0025】ところで、本発明に至る過程において、ブ
リッジ回路の特性やブリッジ回路の出力特性等について
鋭意検討したが、このようなブリッジ回路について述べ
てある文献としては、 西野治著 『ブリッジ回路とその応用』,オーム社(昭
52年) 原宏著 『わかりやすいブリッジ回路』,産報(196
6年) 渡辺理著 『ひずみゲージとその応用[改訂版]』,日
刊工業新聞社(昭52年) 等がある。
【0026】それらには、ブリッジ感度が各辺のインピ
ーダンスが等しいとき、最も大きくなること等が述べら
れているが、本発明の内容である磁歪式トルク測定装置
に固有なブリッジ回路出力の詳細な特性についての記述
はなかった。
【0027】本出願人は、温度位相をトルク位相から離
すより効果的な対策を見い出し別途出願している。
【0028】それは、コイル辺の一方に温度係数をもた
ない小抵抗を挿入すると共にコイル辺の他方に温度係数
をもつ小抵抗を挿入し、前記コイル辺と小抵抗からなる
インピーダンスベクルトをそれぞれZ(〜),Z
(〜)、角度をそれぞれθ,θとあらわしたとき
にθ<θの関係としてブリッジバランスを設定した
トルク検出回路を具備した構成とすることによって、温
度位相を離すという内容のものである。
【0029】本発明は、上記発明と目的とするところは
同じであるが、後で詳しくその内容について説明するよ
うに、全く別の発想,考え方に基づくものである。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる磁歪式ト
ルク測定装置は、相互に隣り合う2辺を被測定軸に設け
たコイル辺とすると共に他の2辺を固定抵抗としてブリ
ッジを組み、前記2辺のコイル辺および前記2辺の固定
抵抗辺に対し各々並列に2つのブリッジバランス調整用
の可変抵抗を設けたブリッジ回路を備え、前記被測定軸
に印加されたトルクを磁気歪作用により前記ブリッジ回
路で検出する磁歪式トルク測定装置において、前記2辺
のコイル辺のコイル巻数をそれぞれ違えて各々のインピ
ーダンスの大きさに差を持たせると共に、コイル巻数の
多い方のコイル辺に温度係数をもたない小抵抗を挿入
し、前記コイル辺と小抵抗からなるインピーダンスベク
ルトおよびコイル辺のみからなるインピーダンスベクト
ルをそれぞれZ(〜),Z(〜)、角度をそれぞれ
θ,θとあらわしたときに
【0031】
【0032】でかつθ<θの関係としてブリッジバ
ランスを設定したトルク検出回路を具備した構成とした
ことを特徴としており、本発明による磁歪式トルク測定
装置の実施態様においては、温度のみ一様に変えたとき
のブリッジ回路出力の位相である温度位相に、同期検波
のタイミングを設定した構成とし、同じく実施態様にお
いて、トルクのみ印加したときのブリッジ回路出力の位
相であるトルク位相に対し、同期検波のタイミングをト
ルク位相+90°に設定した構成としたことを特徴とし
ており、上記した磁歪式トルク測定装置の構成を前述し
た従来の課題を解決するための手段としている。
【0033】以下に、数式および数値解析例等を用い、
本発明の構成をさらに詳細に説明する。
【0034】〔動作原理、ブリッジ回路特性、ブリッジ
回路出力特性〕まず、磁歪式トルク測定装置の動作原理
ならびにブリッジ回路特性,ブリッジ回路出力特性等に
ついて数式を使って述べる。
【0035】図3は、単純化したブリッジ回路を示すも
のであり、ブリッジ回路の出力△V(〜)は、つぎの数
式1で表わされる。
【0036】
【数式1】
【0037】
【0038】したがって、コイル5,6のインピーダン
スZ(〜),Z(〜),固定抵抗7,8の抵抗値R
,Rを含めると、△V(〜)は数式2,数式3で示
される。
【0039】
【数式2】
【0040】
【0041】
【数式3】
【0042】
【0043】また、V(〜)は、発振器13からのブリ
ッジ印加電圧であって、数式4で表わされる。
【0044】
【数式4】
【0045】
【0046】一方、バランス条件は△V(〜)=0
(〜)であるから、数式2より数式5を得る。
【0047】
【数式5】
【0048】
【0049】そして、バランスがとれているときには、
数式5から数式6が導かれる。
【0050】
【数式6】
【0051】
【0052】ここで、数式6におけるインピーダンスZ
(〜),Z(〜)を数式7および数式8のようにそ
れぞれ置き換えると、次の数式9および数式10が導か
れる。
【0053】
【数式7】
【0054】
【0055】
【数式8】
【0056】
【0057】
【数式9】
【0058】
【0059】
【数式10】
【0060】
【0061】つまり、バランスが成立しているときに
は、インピーダンスZ(〜)とZ(〜)の各々の角
度θ,θが等しいことになる。
【0062】さて、被測定軸2にトルクTが印加される
と、あるいはトルク検出部1の温度が変わると、コイル
5,6のインピーダンスZ(〜),Z(〜)は数式
11および数式12のようにそれぞれ変化する。
【0063】
【数式11】
【0064】
【0065】
【数式12】
【0066】
【0067】したがって、ΔV(〜)はΔV(〜)≠0
(〜)となる。
【0068】また、数式3,数式11および数式12か
ら数式13を導き、さらに、この数式13を変形すると
数式14が得られる。
【0069】
【数式13】
【0070】
【0071】
【数式14】
【0072】
【0073】ここで、バランスがとれているときの数式
5の値に[ ]を付記して数式15のように表わすこと
により識別するようにしている。
【0074】
【数式15】
【0075】
【0076】さて、ここで、数式14は数式16のよう
に表わすことができる。
【0077】
【数式16】
【0078】
【0079】この近似は、十分満足できる近似であっ
て、結果にほとんど影響をおよぼさないことが確認され
ている。
【0080】また、数式16における{ }でくくった
部分は、バランス条件である数式5または数式15によ
り数式17と変形できる。
【0081】
【数式17】
【0082】
【0083】そして、数式18を数式17に代入すると
数式19を得ることができ、このとき、θはインピー
ダンスZ(〜)の角度である。
【0084】
【数式18】
【0085】
【0086】
【数式19】
【0087】
【0088】つまり、数式16における{ }でくくっ
た部分は、図3から明らかなように、インピーダンスZ
(〜)と抵抗値Rとの大きさの関係で決定されるブ
リッジ回路の感度ファクターであり、この感度ファクタ
ーはX=1のとき最大値となる。
【0089】すなわち、インピーダンスZ(〜)と抵
抗値Rの大きさが等しいとき、ブリッジ感度ファクタ
ーが一番大きくなる。ブリッジ辺のインピーダンスが等
しいときにブリッジ感度が一番大きくなることは、よく
知られている事実である。
【0090】また、数式16における右側の( )でく
くった部分は、Z(〜),Z(〜)の変化量で決定
されるブリッジ回路の本質的な部分である。
【0091】したがって、ΔZ(〜)/(Z)(〜)の
値がZ(〜)の大きさに左右されないのならば、Z
(〜),Z(〜)の大きさは必ずしも同じ程度とす
る必要はないこととになり、例えば、Z(〜)をZ
(〜)に対して小さくした場合、RもRに対して同
じて割合で小さくすると、数式16においてΔV(〜)
/V(〜)は変化しないこととなる(数式19参照)。
【0092】なお、Z(〜),Rを小さくすると、
(〜)に比べてZ(〜)の方により多くの電流が
流れることになるが、後述するトルク依存係数,温度依
存係数は、トルク測定装置のコイルに流す実用電流値に
ほとんど影響を受けない。
【0093】また、トルク依存係数は、Z(〜)の大き
さにもほとんど影響されない。
【0094】ここで、以下のような置き換えを行なう。
【0095】
【数式20】
【0096】
【0097】
【数式21】
【0098】
【0099】
【数式22】
【0100】
【0101】
【数式23】
【0102】
【0103】さらに、数式15,数式22および数式2
3から数式24を得る。
【0104】
【数式24】
【0105】
【0106】次に、数式16に数式4,数式7,数式2
0,数式21および数式23をそれぞれ代入し、インピ
ーダンスZ(〜)をZe(jθ)で表わせば数式25が
導かれる。
【0107】
【数式25】
【0108】
【0109】一方、数式24は数式26と表わせるの
で、数式25から数式27が導かれる。
【0110】
【数式26】
【0111】
【0112】
【数式27】
【0113】
【0114】そして、数式27を数式28の形に書くと
数式29および数式30が導かれ、両式において、△Z
およびθがブリッジ回路の本質的な部分と関係す
る。
【0115】
【数式28】
【0116】
【0117】
【数式29】
【0118】
【0119】
【数式30】
【0120】
【0121】なお、数式式29における{ }でくくっ
た部分は、数式31として表わされる(数式19参
照)。
【0122】
【数式31】
【0123】
【0124】ここで、インピーダンスZ(〜)および
(〜)を数式32および数式33のように表わす。
【0125】
【数式32】
【0126】
【0127】
【数式33】
【0128】
【0129】そして、トルクまたは温度が印加されて、
インダクタンスLおよび抵抗Rが以下の数式で表わされ
るとする。
【0130】
【数式34】
【0131】
【0132】
【数式35】
【0133】
【0134】
【数式36】
【0135】
【0136】
【数式37】
【0137】
【0138】このとき、αはトルク依存係数[1/kg
m]または温度係数[1/°C]であり、tはトルク
[kgm]または温度[°C]である。LAO,RAO
等はトルクが印加されていない0°Cのときのインダク
タンスLおよび抵抗Rの値である。
【0139】すると、△Z(〜)および△Z(〜)
は、数式32〜37より、以下の数式38および数式3
9で表わせることとなる。
【0140】
【数式38】
【0141】
【0142】
【数式39】
【0143】
【0144】また、数式22は数式38および数式39
により数式40のように表わせる。
【0145】
【数式40】
【0146】
【0147】さらに、数式24により△Zは以下のよ
うに表わせる。
【0148】
【数式41】
【0149】
【0150】したがって、数式40および数式41よ
り、数式42が導かれる。
【0151】
【数式42】
【0152】
【0153】一方、バランス条件である数式5および数
式32〜37により、数式43が導かれ、この数式43
の実数部分および虚数部分を各々対応させることによ
り、数式44および数式45が以下のように導かれる。
【0154】
【数式43】
【0155】
【0156】
【数式44】
【0157】
【0158】
【数式45】
【0159】
【0160】つまり、数式42はつぎのように表わされ
る。
【0161】
【数式46】
【0162】
【0163】また、θは数式40等により次式のよう
に表わされる。
【0164】
【数式47】
【0165】
【0166】したがって、トルク依存係数αまたは温度
係数αが一定なときにはθは定数であり、△Zはト
ルクtまたは温度tに比例することがわかり、数式29
のVdおよび数式30のθdは、△Zおよびθでそ
れぞれ決定されることがわかる。
【0167】さて、装置出力△V(−)は△V(〜)を
周期検波したもので、検波のタイミングをθtとすると
θt+πまでは△V(〜),θt+πからθt+2πま
では−△V(〜)として積分したものが△V(−)であ
るので、数式28により次式を得る。
【0168】
【数式48】
【0169】
【0170】この数式から、θt=θdのとき△V
(−)は0であり、θt−θd=90°のとき△V
(−)は最大値となる。
【0171】以上が、ブリッジ回路特性,ブリッジ回路
出力特性ならびに動作原理である。
【0172】〔トルク位相、温度位相、および温度依存
分の消去法等について〕ここで、ある温度でかつトルク
が印加されていないときに、ブリッジのバランスをとる
と△V(〜)=0(〜)としうる。ところが、トルクが
印加されていなくとも温度のみ変わると△V(〜)≠0
(〜)となってしまう。
【0173】その理由は、数式46のtの係数が0でな
いためである。
【0174】実際問題として、tの係数が0、すなわち
温度係数が同じということはありえない。
【0175】そのため、トルク測定装置のゼロ点は温度
とともにドリフトするわけである。
【0176】ある温度でかつトルクが印加されていない
状態でブリッジのバランスをとると、△V(〜)=0
(〜)となる。その状態において、トルクのみが印加さ
れたときの数式30のθdをトルク位相と定義する。こ
のトルク位相θdはほとんど一定であり、振幅Vdは、
トルクの大きさとともに変わる。
【0177】また、温度のみが変化したときのθdを温
度位相と定義する。この温度位相θdもほとんど一定で
あり、振幅Vdは温度変化の度合に応じてかわる。
【0178】トルク位相をθd(トルク),温度位相を
θd(温度)と書くことにする。
【0179】さて、θd(トルク)とθd(温度)が9
0°程度離れている場合、検波タイミングθtをθd
(温度)とすると、温度依存分は数式48より明らかな
ように消し去ることができ、トルクに対してのみ有効に
装置出力が出ることになる。これが、温度位相で同期検
波することによる温度依存分の消去法である。
【0180】さて、θd(トルク)とθd(温度)を比
較することは、θ(トルク)とθ(温度)を比較す
ることと本質的に同じである。というのは、数式30に
おいてθ,θは定数とみなせるからである。
【0181】なお、θは測定不可能な量であり、測定
できるのはθdである。
【0182】次に、θ(トルク)について図4のベク
トル図も参照して考察する。
【0183】数式47において、αLAとαLBの符号
は反対、αRAとαRBの符号も反対であり、それらは
結果として和となる。
【0184】また、一般にトルク依存係数においては、
【0185】
【0186】という関係になっている。したがって、θ
(トルク)は次式のように表わされる。
【0187】
【数式49】
【0188】
【0189】参考までにX=1のときつまりR=Z
のときには、θ=θ/2である(図6のベクトル図
参照)。
【0190】また、数式10によりバランスが成り立っ
ているときには、θ=θであるから、数式30より
【0191】
【0192】となる。
【0193】さて、ここでトルク依存係数において、
【0194】
【0195】なのはどうしてなのかの理由についても言
及しておく。
【0196】コイルのインピーダンスZ(〜)は、これ
まで述べて来たように、次式で表わされる。
【0197】
【数式50】
【0198】
【0199】一方、材料の特性としての交流透磁率μ
(〜)は、数式51で表わされ、μ´およびμ″は、イ
ンダクタンスLおよび抵抗Rに対して以下の関係をな
す。
【0200】
【数式51】
【0201】
【0202】
【数式52】
【0203】
【0204】ここで、Racとは交流抵抗分であり、次
式のように表わせる。
【0205】
【数式53】
【0206】
【0207】また、Rdcはコイルの直流抵抗分であ
り、Racに比べてその値は小さい。
【0208】つまり、トルクを印加した際、μ´もμ″
も同程度変化するため、
【0209】
【0210】となるわけである。
【0211】次に、θ(温度)について図5のベクト
ル図も参照して考察する。
【0212】数式47において、αLAとαLBは同符
号、αRAとαRBも同符号であり、それらの差が関係
してくる。
【0213】一般に、温度係数には僅かの差があり温度
係数の差Δα,△αは(+)の場合も(−)の場合
もありうるので、θ(温度)は、トルク測定装置毎に
異なってくる。
【0214】したがって、温度ドリフトは、トルク測定
装置毎に違ってくることになる。
【0215】そこで、温度係数の大小関係を調整し、θ
(温度)をθ(トルク)から離して設定しようとい
うのが、基本となる考え方である。
【0216】〔θ(温度)設定の考え方〕θ(トル
ク)はθでほぼ確定しており、θ>0でありかつ軸
径19mmの鋼の場合は約73°である。
【0217】したがって、θ(温度)の方は(−)の
値をとるように温度係数の大小関係を次式のように設定
すればよい(数式47参照)。
【0218】
【数式54】
【0219】
【0220】数式54において、軸径が19mmの鋼の
場合、以下の値を得る。
【0221】
【数式55】
【0222】
【0223】なお、図7はθ(温度)設定の説明図で
ある。
【0224】つまり、θ(温度)を(−)の値に設定
できれば、温度位相をトルク位相に対してθの大きさ
よりも大きく離せるわけである。
【0225】〔実際のブリッジ回路〕実際のブリッジ回
路は、図2に示してあるように、バランス調整用の抵抗
Rex,Rexを並列に入れてある。
【0226】図8は実際のブリッジ回路をよりわかり易
く書き直したものである。
【0227】図8は図2とまったく同じで、バランスが
成り立ったときの外付抵抗の大きさをRz,Rexr
であらわしたものである。
【0228】さて、並列に抵抗を入れたときのブリッジ
回路の各辺の合成インピーダンスをZ´(〜),R
´等と表わすことにすれば、これまで算出した式はその
まま使うことができる。
【0229】なお、本出願人が別途出願している発明に
おいては、例えば、2辺のコイル辺を有するブリッジ回
路のコイル辺の他方に温度係数をもつ小抵抗をつけてα
RBを大きくし、αRA<αRBとする。つまりαRA
−αRB<0とする。
【0230】また、αLA−αLB>0の関係を確実に
成り立たせるため、コイル辺の一方に温度係数をもたな
い小抵抗をつけてθ<θの関係とし、θの方をθ
よりも約1°程度小さく設定する。
【0231】このように角度設定してブリッジバランス
をとると、ブリッジバランスがとれた時点のコイル辺の
他方の合成インピーダンスの角度θ´は、θより若
干小さな角度となる。このとき、合成インピーダンスに
おける温度係数αLB´,αRB´は減少するが、これ
を角度変更による温度係数の変更と呼んでいる。
【0232】したがって、αLA´−αLB´>0が実
現できる。
【0233】また、コイル辺の一方には、温度係数をも
たない小抵抗をつけるのでαRAも若干小さくなる。
【0234】以上のような構成とすることにより、数式
54の関係をほぼ成立させるようにしているのが、本出
願人により別途出願した発明の内容である。
【0235】本発明においては、以下に述べるように、
まったく別の考え方に基づく手法で数式54の関係を実
現させる。
【0236】[コイルの温度係数]Rの温度係数はどの
ように決まっているのか考察してみる。
【0237】既に述べたようにRは、数式53よりRd
c+Racで表わされる。ここで、Rdcの方の温度係
数をαdc、Racの方の温度係数をαacとすると、
同じく数式53よりt℃のときのR(t)は、次式で表
わされる。
【0238】
【数式56】
【0239】
【0240】このとき、Rdc°,Rac°を0℃での
値とし、数式53を変形すると、数式57を得る。
【0241】
【数式57】
【0242】
【0243】したがって、Rの温度係数αは次式のよ
うに表わせる。
【0244】
【数式58】
【0245】
【0246】さて、αdcは巻線である銅線の温度係数
であり、以下の値となっている。
【0247】
【数式59】
【0248】
【0249】一方、αacの方は交流透磁率の虚数部
μ″の温度係数αμ″であり、このαμ″は、交流透磁
率μ´の温度係数αμ´とほぼ同じ値であると考えられ
る。
【0250】このαμ´はインダクタンスLの温度係数
であるので、約3×10-4/℃(30kHzでの値)で
ある(数式51および数式52参照)。
【0251】したがって、次式のようになる。
【0252】
【数式60】
【0253】
【0254】つまり、αacとαdcとは、大きさが1
桁異なっていることになる。
【0255】なお、Rac°>Rdc°であってαR
1×10-3/℃の大きさとなっている。
【0256】次に、巻数を変えたときのαはどうなる
かを考察してみると、Rac°の大きさは巻数が増すほ
ど大きくなるので、αは数式58より小さくなること
がわかる。
【0257】以上述べてきたように、コイル巻数が多く
なるとαは小さくなるわけである。
【0258】次に、インダクタンスLの温度係数がコイ
ル巻数によってどうなるのかを考察する。
【0259】コイル巻数を変えて温度係数の測定を試み
たところ、Rの温度係数は以上の推論どおり、コイル巻
数が多いほど小さくなっていた。
【0260】一方、インダクタンスLの温度係数の方は
巻数が多いほど若干大きくなっていた。
【0261】その理由は、以下のように推論される。
【0262】溝部でのαμ´とそのわきの平坦部のαμ
´とでは差がある(図1参照)ことが、理論的考察と間
接的な測定データとから推定された。この場合、溝部の
αμ´の方が若干小さいと考えられ、したがって、コイ
ル巻数が増すと、磁束の拡がりが大きくなるため、イン
ダクタンスLの温度係数が若干大きくなると考えること
ができる。
【0263】以上の考察をまとめると、コイル巻数が多
いほどインダクタンスLの温度係数は若干大きくなり、
Rの温度係数は小さくなるということになる。
【0264】したがって、コイル辺の一方の巻数を多く
すると共に、コイル辺の他方の巻数を少なくすると、α
LA−αLB>0,αRA−αRB<0となって、数式
54の関係をみたすことができることになる。
【0265】なお、トルク依存係数の方は、コイル巻数
によって、ほとんどかわらないことを実験において確認
している。
【0266】また、トルク依存係数および温度係数も、
トルク測定装置で用いる電流域である数十mA以下にお
いては、ほとんど電流に依存しないことがわかってい
る。
【0267】なお、上記の説明および後に示す実施例で
は、発明の内容を説明するために極めて限定された例示
等の記述にとどまっているが、上記の概念を利用するブ
リッジ回路における調査方法も含むことはいうまでもな
い。
【0268】
【発明の作用】この発明に係わる磁歪式トルク測定装置
は、上記した構成としてあるので、温度位相をトルク位
相から離して設定する調整作業を簡単に行えるようにな
ることから、この作業工数は少ないものとなり、加え
て、位相の分離を確実に行えることから、温度ドリフト
が少なく、測定は安定して行われることとなる。
【0269】
【実施例1】クロムモリブデン(SCM)系の鋼を素材
とし、これを機械加工して、軸径19mmのトルク測定
装置用被測定軸2とした。
【0270】そして、この被測定軸2には、幅1mm,
深さ1.5mm(0.5R)の部分らせん状溝3,4を
(±)45°方向に一対形成した(図1参照)。この場
合、溝本数は20本(20等分)で、溝部長さは10m
mのものとした。その後、浸炭焼入れ、焼戻しを施し
た。
【0271】この被測定軸2に対しては、5mm幅のコ
イル5,6を部分らせん状溝3,4に対向させて設置し
た。
【0272】この状態において、両コイル5,6の巻数
を考え、各種測定を試みた。
【0273】その結果は、前述した内容に集約されてい
る。
【0274】さて、実験の結果より、コイル5の巻数は
6層として126ターンに、また、コイル6の巻数は5
層として105ターンとすることにした。
【0275】なお、巻線には、線径0.2mmのポリウ
レタン被覆銅線を用いた。
【0276】上記のように巻数を設定したときの常温で
のインダクタンスLおよび抵抗Rの値(30kHz)
は、次式の通りであった(軸入りでの値)。
【0277】
【数式61】
【0278】
【0279】また、温度係数の測定も試みたところ、次
式の値を得た。
【0280】
【数式62】
【0281】
【0282】ここで、θ(温度)を概算してみると、
数式47から以下の値が得られる。
【0283】
【数式63】
【0284】
【0285】ところで、θ=73.80°,θ=7
3.26であり、θおよびθの関係はθ>θ
なっている。このままブリッジを組んでバランスをとる
と、バランスが成り立ったときのθ´(θ´はブリ
ッジ辺での合成インピーダンスの角度)はθより若干
小さい値となるため、ブリッジ辺の合成インピーダンス
における温度係数αLA´およびαRA´は若干減少し
てしまう。
【0286】そのため、αLA´−αLB´>0が確保
されなくなる。
【0287】そこで、コイル辺の一方に温度係数を持た
ない小抵抗を入れ、
【0288】
【0289】でかつθ<θになるようにする必要が
ある。
【0290】この角度変更による温度係数の変更につい
ての内容は、本出願人が別途出願した発明に含まれてい
る。
【0291】ここでは、マンガニン線で作成した1.3
Ωの抵抗をコイル辺の一方につけた。そのときのθ
73.16°であり、θより0.1°小さいものとな
った。また、1.3Ωの抵抗をつけることにより、数式
62のαRAは、αRA=1.045×10−3/°C
となる。
【0292】αLB,αRBの方は、ほとんど温度係数
の変更をうけないと考えてよいので、あらためて、θ
(温度)を予想すると、以下の結果を得る。
【0293】
【数式64】
【0294】
【0295】ところで、Z=111.9Ω,Z=7
9.2Ωなので、固定抵抗はR=110Ω,R=7
8Ωとし、また、バランス調整用の抵抗はRex=R
ex=500kΩとした。
【0296】このようにして、ブリッジを組んで室温に
おいてバランスをとった。
【0297】トルク検出部の温度を20°C上げた時の
温度位相は、88.4°であった。θ=36.9°,
θ=36.9°と予想されるので、数式30よりθ
(温度)は(−)14.6°と見積れる。したがって、
θ(温度)の値は、ほぼ予想通りになっていることに
なる(数式64)。
【0298】この温度位相に検波タイミングθtを設定
した(実作業としては、トルク測定装置出力が0になる
ように検波タイミングを設定すればよい。) 温度を室温にもどしてトルク印加したときのトルク位相
は(−)0.3°であった。数式30によりθ(トル
ク)を見積ると、74.1°となる。
【0299】つまり、もとのθが73.8°なので
【0300】
【0301】の関係も成り立っている(数式49参
照)。
【0302】したがって、温度位相とトルク位相は8
8.7°離れており、きわめて望ましい状態に設定でき
ていることになる。
【0303】そして、室温にて(±)20kgmのトル
ク印加テストを行なったが、(+),(−)の感度差が
ほとんどなく、加えてヒステリシスもほとんどない特性
となっていた。
【0304】また、このトルク測定装置のトルク検出部
の温度を100°Cまで上げたときのゼロ点の温度ドリ
フトは、(+)0.1kgmであり、それ以下の温度域
ではさらに小さかった。
【0305】
【実施例2】Al:13重量%、残部FeよりなるFe
−Al合金(高感度軸材料)を素材とし、これを機械加
工して、軸径19mmのトルク測定装置用被測定軸とし
た。
【0306】そして、この被測定軸には、幅1mm,深
さ1.5mm(0.5R)の部分らせん状溝を(±)4
5°方向に一対形成した(図1参照)。この場合、溝本
数は20本(20等分)で、溝部長さは10mmのもの
とした。その後、真空中で860°Cに加熱して3時間
保持し、オイル中にて急冷するという熱処理を施した。
【0307】第1実施例で用いた軸径19mmの被測定
軸のみを交換して、試験を行うことにした。
【0308】2辺のコイル辺のコイル巻数を違えてコイ
ル辺の一方を126ターンとすると共にコイル辺の他方
を105ターンとした。そして、コイル巻数の多いコイ
ル辺に1.3Ωのマンガニン線で作成した抵抗を挿入
し、コイル辺のインピーダンスベクトルの角度の大小関
係を調べたところ、軸入りの状態ではθの方が0.1
°弱小さくなっていた。
【0309】そこで、固定抵抗は第1実施例の場合と同
様にR=110Ω,R=78Ωのままとすると共
に、バランス調整用の抵抗も同じくRex=Rex
=500kΩとし、ブリッジを組んで室温にてバランス
をとった。
【0310】(+)4kgmのトルクを印加したのトル
ク位相は、−0.2°であったことから、88.8°に
検波タイミングθtを設定した(実作業としては、感度
が最も大きくなるようにθtを設定することになる。) そして、トルクをかけないでのトルク検出部の温度を1
00°Cまで上げたときのゼロ点のドリフトは−0.0
1kgmであった。
【0311】一方、トルク検出部の温度を20°Cまで
一様に上げたときの、温度位相は88.4°であった。
【0312】つまり、温度位相はトルク位相に対して8
8.6°離れていることになり、位相関係が第1実施例
の被測定軸を鋼とした場合とほぼ同じになっていること
がわかる。
【0313】なお、温度係数の差の関係は、第1実施例
の場合とほぼ同じになっているものと考えられることか
ら、この実施例では、温度係数の測定等は省略した。
【0314】以上のように、被測定軸に高感度軸材料で
あるFe−Al合金を使った磁歪式トルク測定装置にお
いては、温度位相を設定するだけでよく、室温において
トルク位相+90°で検波することにより、温度ドリフ
トを少なく、しかもドリフトする方向を常に一定させる
ことができる。
【0315】なお、軸方向に温度差が発生すると、温度
差による誤差が生ずるため、実用的な磁歪式トルク測定
装置においては、4個のコイルによって温度差による分
を補償する対策がとられている。
【0316】本発明では、その内容を説明するため、2
個のコイルの場合についてのみ述べたが、この発明を4
個のコイルの場合に適用することももちろんできる。
【0317】4個のコイルとした場合、軸方向にコイル
を4個、すなわちZ(〜),Z(〜),Z
(〜),Z(〜)の順で配置しており、Z
(〜),Z(〜)を溝部分に対向させている。
【0318】そして、例えば、Z(〜)とZ(〜)
のペアをコイル5とすると共にZ(〜)とZ(〜)
のペアをコイル6とし、Z(〜)に対してZ(〜)
を、またZ(〜)に対してZ(〜)をぞれぞれ一定
の割合で小さくすれば、先のコイル2個の場合と同様の
作用・効果が期待できる。
【0319】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明に係わる
磁歪式トルク測定装置では、ブリッジ回路の2辺のコイ
ル辺のコイル巻数をそれぞれ違えると共にコイル巻数の
多い方のコイル辺に温度係数をもたない小抵抗を挿入
し、インピーダンスベクトルZ(〜),Z(〜)の
角度θ,θ,を
【0320】
【0321】でかつθ<θの関係としてブリッジバ
ランスを設定したトルク検出回路を具備した構成とした
から、温度位相をトルク位相から離す際の設定作業を極
めて簡単に行うことができるので、これまで必要であっ
た多大な調整工数をなくすことができるうえ、一度の設
定作業で温度位相をトルク位相から70°以上確実に離
せることから、温度ドリフトが少なくなって、安定した
測定が可能になるという非常に優れた効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁歪式トルク測定装置のトルク検出部の概略構
成を例示する説明図である。
【図2】磁歪式トルク測定装置のトルク検出回路である
ブリッジ回路および信号処理回路構成を例示する説明図
である。
【図3】磁歪式トルク測定装置のブリッジ回路出力特性
を数式化するときに用いた、簡単化したブリッジ回路の
説明図である
【図4】(a)インピーダンスZ(〜)のトルク印加
によるベクトル図である。 (b)インピーダンスZ(〜)のトルク印加によるベ
クトル図である。
【図5】(a)インピーダンスZ(〜)の温度印加に
よるベクトル図である。 (b)インピーダンスZ(〜)の温度印加によるベク
トル図である。
【図6】インピーダンスZ(〜)のベクトル図であ
る。
【図7】温度位相を支配している位相の設定域を示す説
明図である。
【図8】バランス調整用の抵抗が並列に入っていること
を強調して示した実際のブリッジ回路と等価なブリッジ
回路の説明図である。
【符号の説明】
1 トルク測定装置のトルク検出部 2 被測定軸 5,6 コイル 10 トルク測定装置のトルク検出回路
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】に増幅され、同期検波器15によって同期
検波され、装置出力△V(−)は直流として出力され
る。また、同期検波の参照信号(位相,θt)は、発振
器13より移相器16を介して供給される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】
【発明の目的】本発明は、温度位相をトルク位相から離
すためのより効率のよいすぐれた手法を見い出すべく、
ブリッジ回路の特性やブリッジ回路の出力特性やコイル
の温度係数等について鋭意検討の結果なされたもので、
その目的とするところは、温度位相をトルク位相から離
すに際して多大な調整工数を必要とせず、しかも温度ド
リフトが少なく、安定してトルクの測定を行なうことが
可能である磁歪式トルク測定装置を提供することにあ
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】それは、コイル辺の一方に温度係数をもた
ない小抵抗を挿入すると共にコイル辺の他方に温度係数
をもつ小抵抗を挿入し、コイルと小抵抗からなるインピ
ーダンスベクルトをそれぞれZ(〜),Z(〜)、
角度をそれぞれθ,θとあらわしたときにθ<θ
の関係に設定した後ブリッジバランスを設定させたブ
リッジ回路を具備した構成とすることによって、温度位
相を離すという内容のものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる磁歪式ト
ルク測定装置は、相互に隣り合う2辺を被測定軸に設け
たコイル辺とすると共に他の2辺を固定抵抗としてブリ
ッジを組み、前記2辺のコイル辺および前記2辺の固定
抵抗辺に対し各々並列に2つのブリッジバランス調整用
の可変抵抗を設けたブリッジ回路を備え、前記被測定軸
に印加されたトルクを磁気歪作用により前記ブリッジ回
路で検出する磁歪式トルク測定装置において、前記2辺
のコイル辺のコイル巻数をそれぞれ違えて各々のインピ
ーダンスの大きさに差を持たせると共に、コイル巻数の
多い方のコイル辺に温度係数をもたない小抵抗を挿入
し、コイルと小抵抗からなる前記コイル辺のインピーダ
ンスベクトルおよびコイル辺のみからなるインピーダン
スベクトルをそれぞれZ(〜),Z(〜)、角度を
それぞれθ,θとあらわしたときに
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】でかつθ<θの関係に設定した後ブリ
ッジバランスを設定させたブリッジ回路を具備した構成
としたことを特徴としており、本発明による磁歪式トル
ク測定装置の実施態様においては、温度のみ一様に変え
たときのブリッジ回路出力の位相である温度位相に、同
期検波のタイミングを設定した構成とし、同じく実施態
様において、トルクのみ印加したときのブリッジ回路出
力の位相であるトルク位相に対し、同期検波のタイミン
グをトルク位相+90°に設定した構成としたことを特
徴としており、上記した磁歪式トルク測定装置の構成を
前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】一方、バランス条件は△V(〜)=0
(〜)であるから、数式3より数式5を得る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正内容】
【0109】一方、Δθは数式24より数式26と表
わせるので、数式25から数式27が導かれる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0167
【補正方法】変更
【補正内容】
【0167】さて、装置出力△V(−)は△V(〜)を
周期検波したもので、検波のタイミングをθtとすると
θtからθt+πまでは△V(〜),θt+πからθt
+2πまでは−△V(〜)として積分したものが△V
(−)であるので、数式28により次式を得る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正内容】
【0170】この数式から、θt=θdのとき△V
(−)は0であり、θt−θd=90°のとき△V
(−)は最も大きな値となる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0190
【補正方法】変更
【補正内容】
【0190】また、数式2によりバランスが成り立って
いるときには、θ=θでもあるから、数式30より
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0213
【補正方法】変更
【補正内容】
【0213】一般に、温度係数には僅かの差があり温度
係数の差Δα,△αは+の場合も−の場合もありう
るので、θ(温度)は、トルク測定装置毎に異なって
くる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0217
【補正方法】変更
【補正内容】
【0217】したがって、θ(温度)の方は−の値を
とるように温度係数の大小関係を次式のように設定すれ
ばよい(数式47参照)。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0224
【補正方法】変更
【補正内容】
【0224】つまり、θ(温度)を−の値に設定でき
れば、温度位相をトルク位相に対してθの大きさより
も大きく離せるわけである。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0270
【補正方法】変更
【補正内容】
【0270】そして、この被測定軸2には、幅1mm,
深さ1.5mm(0.5R)の部分らせん状溝3,4を
±45°方向に一対形成した(図1参照)。この場合、
溝本数は20本(20等分)で、溝部長さは10mmの
ものとした。その後、浸炭焼入れ、焼戻しを施した。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0297
【補正方法】変更
【補正内容】
【0297】トルク検出部の温度を20°C上げた時の
温度位相は、88.4°であった。θ=36.9°,
θ=36.9°と予想されるので、数式30よりθ
(温度)は−14.6°と見積れる。したがって、θ
(温度)の値は、ほぼ予想通りになっていることになる
(数式64)。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0298
【補正方法】変更
【補正内容】
【0298】この温度位相に検波タイミングθtを設定
した(実作業としては、トルク測定装置出力が0になる
ように検波タイミングを設定すればよい。) 温度を室温にもどしてトルク印加したときのトルク位相
は−0.3°であった。数式30によりθ(トルク)
を見積ると、74.1°となる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0303
【補正方法】変更
【補正内容】
【0303】そして、室温にて±20kgmのトルク印
加テストを行なったが、+,−の感度差がほとんどな
く、加えてヒステリシスもほとんどない特性となってい
た。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0304
【補正方法】変更
【補正内容】
【0304】また、このトルク測定装置のトルク検出部
の温度を100°Cまで上げたときのゼロ点の温度ドリ
フトは、+0.1kgmであり、それ以下の温度域では
さらに小さかった。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0306
【補正方法】変更
【補正内容】
【0306】そして、この被測定軸には、幅1mm,深
さ1.5mm(0.5R)の部分らせん状溝を±45°
方向に一対形成した(図1参照)。この場合、溝本数は
20本(20等分)で、溝部長さは10mmのものとし
た。その後、真空中で860°Cに加熱して3時間保持
し、オイル中に急冷するという熱処理を施した。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0310
【補正方法】変更
【補正内容】
【0310】+4kgmのトルクを印加したのトルク位
相は、−0.2°であったことから、88.8°に検波
タイミングθtを設定した(実作業としては、感度が最
も大きくなるようにθtを設定することになる。) そして、トルクをかけないでのトルク検出部の温度を1
00°Cまで上げたときのゼロ点のドリフトは−0.0
1kgmであった。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0321
【補正方法】変更
【補正内容】
【0321】でかつθ<θの関係に設定してブリッ
ジバランスを設定したブリッジ回路を具備した構成とし
たから、温度位相をトルク位相から離す際の設定作業を
極めて簡単に行うことができるので、これまで必要であ
った多大な調整工数をなくすことができるうえ、一度の
設定作業で温度位相をトルク位相から70°以上確実に
離せることから、温度ドリフトが少なくなって、安定し
た測定が可能になるという非常に優れた効果がもたらさ
れる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に隣り合う2辺を被測定軸に設けた
    コイル辺とすると共に他の2辺を固定抵抗としてブリッ
    ジを組み、前記2辺のコイル辺および前記2辺の固定抵
    抗辺に対し各々並列に2つのブリッジバランス調整用の
    可変抵抗を設けたブリッジ回路を備え、前記被測定軸に
    印加されたトルクを磁気歪作用により前記ブリッジ回路
    で検出する磁歪式トルク測定装置において、前記2辺の
    コイル辺のコイル巻数をそれぞれ違えて各々のインピー
    ダンスの大きさに差を持たせると共に、コイル巻数の多
    い方のコイル辺に温度係数をもたない小抵抗を挿入し、
    前記コイル辺と小抵抗からなるインピーダンスベクルト
    およびコイル辺のみからなるインピーダンスベクトルを
    それぞれZ(〜),Z(〜)、角度をそれぞれ
    θ,θとあらわしたときに でかつθ<θの関係としてブリッジバランスを設定
    したトルク検出回路を具備したことを特徴とする磁歪式
    トルク測定装置。
  2. 【請求項2】 温度のみ一様に変えたときのブリッジ回
    路出力の位相である温度位相に、同期検波のタイミング
    を設定したことを特徴とする請求項1に記載の磁歪式ト
    ルク測定装置。
  3. 【請求項3】 トルクのみ印加したときのブリッジ回路
    出力の位相であるトルク位相に対し、同期検波のタイミ
    ングをトルク位相+90°に設定したことを特徴とする
    請求項1または2に記載の磁歪式トルク測定装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19521530A1 (de) * 1994-06-13 1995-12-14 Honda Motor Co Ltd Anordnung zum Kompensieren thermischer Charakteristika eines Sensors
US7126355B2 (en) 2004-05-31 2006-10-24 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Physical quantity sensing device with bridge circuit and temperature compensating method
US7180311B2 (en) 2004-05-31 2007-02-20 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Physical quantity sensing device with bridge circuit and zero point adjusting method

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