JPH0560390B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、繊維強化プラスチツクを主材料とし
て形成したゴルフクラブヘツドに関し、さらに詳
しくは、クラブヘツド内部にあらかじめ成形した
シンタクチツクフオームなどの軽量材からなる芯
体を有し、かつ、その芯体の全面もしくは一部に
芯体およびヘツドの成形時の温度に耐えうる程度
の耐熱性を有する繊維からなるクロスを１層ない
し２層以上埋設したウツドゴルフクラブヘツドに
関するものである。

〔従来技術〕

従来、ウツドゴルフクラブと呼称されているゴ
ルフクラブのヘツドは、柿材（パーシモン）等を
主材料としたものが一般的であつたが、最近では
柿材に代つて繊維強化プラスチツク（FRP）、特
にカーボン繊維強化プラスチツク（CFRP）を主
材料とするクラブヘツドが開発され、普及されて
きている。

ところで、上記のような繊維強化プラスチツク
製のウツドゴルフクラブの多くは、比重の低い素
材、例えば硬質ウレタンフオームのような発泡性
合成樹脂（特公昭51−21436号公報）、または微小
中空体をエポキシ樹脂等の樹脂マトリツクスで複
合化したシンタクチツクフオーム等からなる芯体
を内在させる構造（特開昭60−68873号公報）の
ものである。そして、多用されているこの種のウ
ツドゴルフクラブは、圧縮成形あるいは射出成形
により芯体と共に一体的に成形されるか、もしく
は外層部（外殻）を繊維強化プラスチツクで成形
したる後に芯材を挿入埋設して成形されている。

このような構造におけるウツドゴルフクラブ
は、ヘツド内部に埋設される芯体の破壊強度は一
般的に低く、芯体と共に一体的に成形されるヘツ
ドにあつては、その成形時の加工圧で芯体に亀裂
が入り易く、その亀裂が大きい場合には、ヘツド
成形時に金型内で芯体が部分的に移動し、それが
繊維強化プラスチツクからなる外殻の偏肉を生ぜ
しめたり、ヘツド重心の狂いにも発展することが
あつた。また、ゴルフクラブ使用時のゴルフボー
ル打撃による衝撃でも埋設された芯体が破損し易
く、芯体の破壊強度の弱化がクラブの耐久性を落
す原因ともなつていた。

〔発明の目的〕

本発明は、繊維強化プラスチツクからなるクラ
ブヘツド、特にカーボン繊維強化プラスチツクを
主材料としたクラブヘツドの芯体の全面または一
部をクロスにより補強強化することにより、偏肉
の防止等クラブヘツドの品質を向上させ、クラブ
ヘツド成形時や使用時における芯体の亀裂や破壊
を防止し、さらには、クラブヘツドそのものの耐
久性、すなわち破壊強度を向上させたゴルフクラ
ブヘツドを提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

本発明は、上記目的を達成するために、繊維強
化プラスチツクを主材料として成形したウツドク
ラブヘツドの外殻の内部に、シンタクチツクフオ
ーム等の比重の軽い素材からなる芯体を一体的に
埋設し、前記芯体の全面もしくは底面などの一部
に、芯体およびヘツドの成形時の温度に耐えうる
程度の耐熱性を有する繊維からなるクロスを１層
ないし２層以上、芯体成形時に一緒に埋設するこ
とを要旨とするものである。

以下、図を参照して本発明の構成について詳し
く説明する。

以下添付図面に基づき、本発明の実施例を説明
する。

第１図は、本発明のウツドゴルフクラブヘツド
の一例の要部外観斜視図を示す。ウツドゴルフク
ラブヘツド１は、第２図に示すように繊維強化プ
ラスチツクを主材料として成形した外殻２と、こ
の外殻２の内部に埋設されたシンタクチツクフオ
ームを主材料とする芯体３とから構成されてい
る。

ウツドゴルフクラブヘツド１は、第２図〜第４
図に示すように、外殻２の内部に芯体３を内在さ
せて、適量のカーボン繊維強化プラスチツクの素
材SMC（シート・モールデイング・コンパウン
ド）と共に金型内で圧縮成形により一体的に成形
したものである。

第２図は芯体３の全面にクロス５を１層埋設し
た場合を、第３図は芯体３の一部の表面部にクロ
ス５を１層埋設した場合をそれぞれ示す。４は、
ソールプレートを表わす。第４図は、ソールプレ
ート４にソールプレート支持ピン６および芯体支
持シリンダー７を設け、芯体３の内部にクロス５
を１層埋設した場合を示す。

本発明における芯体３は、シンタクチツクフオ
ーム等の軽量材を主材とする。その成形は、エポ
キシ樹脂等の熱硬化性樹脂の中に、ガラス等から
なる微小中空球を添加し、減圧下において混合
し、ペースト状にしたものを計量して適量芯体用
金型に挿入する。この際、クロス補強を行う部分
に、別に切断して準備した片状のクロスを１層な
いし２層以上、ペースト状の芯材と共に金型内に
セツテイングし、加熱硬化させて、芯体３を得
る。

クロス５は、芯体３の表面に近い全面に入れる
か、または最も強度を必要とする底面もしくはヘ
ツドフエース面、さらには、これ等の組合せで入
れることができる。

また、クロス５は、芯体３およびクラブヘツド
１の成形温度に耐え得る繊維、たとえば、ビニロ
ンやナイロン、ポリプロピレン、芳香族ポリアミ
ド、レーヨンなどの化学繊維、さらには、麻など
の天然繊維やガラス繊維、金属繊維などからなる
が、クラブヘツド成形時での成形圧による芯体３
の亀裂防止の面から、ヘツド成形温度での繊維の
伸びが極力少ない方がより好ましい。また、クロ
ス５の形状は、特に限定はしないが、好ましく
は、寒冷紗のごとく粗目に織られたものがより適
する。

ここで用いられる芯体３の主材は、シンタクチ
ツクフオームに限ることなく、一般にクラブヘツ
ド用芯材とに用いられる硬質ウレタンフオームな
どでもよい。

以下、実施例を示す。

実施例 １ Ｎ，Ｎ，N′，N′−テトラグリシジルメタキシ
レンジアミン〔TETRAD−Ｘ（三菱ガス化学(株)〕
31.7重量部、無水メチルハイミツク酸（日立化成
(株)）68.3重量部、ガラス質微小中空球A16／500
（スリーエム(株)）28.7重量部を減圧撹拌機を用い
て、ガラス質微小中空球を破壊しないようにしな
がら均一に混合し、ペースト状の未硬化のシンタ
クチツクフオーム組成物を得た。これをクラブヘ
ツド芯体の金型に適量、クロス５と共に装填し、
150℃で60分間ギヤーオーブンに入れて反応硬化
させ、芯体３を得た。バリの除去等、表面を部分
修正した後、この芯体３を、適量のビニルエステ
ル樹脂をあらかじめ含浸させたカーボン繊維のシ
ート・モールデイイグ・コンパウンド〔外殻２の
構成部分〕と、ソールプレート４などと一緒にク
ラブヘツド圧縮成形用金型に挿入して加圧加熱
し、加熱硬化によりクラブヘツド１を作成した。

また、クロス５としては、表面処理済みのビニ
ロン（クラレ(株)）20s／１（番手）を５cm幅に55±
３本、平織にしたものを用いた。

上述したように作成したクラブヘツド１を切断
し、断面の状態を確認したところ、成形圧による
芯体３の破壊や亀裂の発生は無く、また、成形時
の芯体３のズレもなく、カーボン繊維強化プラス
チツク層２の偏肉等は見られなかつた。

また、このクラブヘツド１をウツドと呼称され
ているゴルフクラブに仕立て、耐久性テストを行
つたところ、クロス補強のない芯体を有するクラ
ブヘツドに比較し、芯体の耐破壊性は大きく改善
されていることを確認した。ここで、耐久性テス
トとしては、加速耐久性試験として、ゴルフボー
ルの代りに、ゴルフボール大のセラミツク球を複
数回ヒツテイングし、その後ヘツドを切断し、内
部の破損の状態を調べることによつた。

実施例 ２ 実施例１でのビニロン製クロス代りに、表面処
理を施した440D／１（デニール）のナイロン繊維
（ユニチカ(株)）を５cm幅に59±３本で平織にした
クロスを用いた。

この場合も、実施例１と同様、クラブヘツド成
形時での芯体の損傷は見られず、かつ、ウツドク
ラブでの耐久性テストにおいても同様の結果を得
ることができた。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、ヘツド成
形時やゴルフクラブ使用時等における芯体の亀裂
や破壊を有効に防止でき、さらには、クラブヘツ
ドの耐久性を大幅に改善することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のウツトゴルフクラブヘツドの
一例の要部外観斜視図、第２図〜第４図は、それ
ぞれ、第１図のＡ−Ａ矢視断面説明図である。 １……ウツトゴルフクラブヘツド、２……外
殻、３……芯体、４……ソールプレート、５……
クロス、６……ソールプレート支持ピン、７……
芯体支持シリンダー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ クラブヘツドの外殻の内部に、比重の軽い素
   材からなる芯体を一体的に埋設してなるウツドゴ
   ルフクラブヘツドにおいて、前記芯体の全面もし
   くは一部の表面部および／または内部に、芯体お
   よびヘツド成形時の温度に耐えうる程度の耐熱性
   を有する繊維からなるクロスを１層ないし２層以
   上埋設したことを特徴とするウツドゴルフクラブ
   ヘツド。