JPH0560212B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は小型陰極線管等に適用して好適な陰極
線管用磁界型レンズ装置に関する。

〔従来の技術〕

以下に、第３図を参照して、集束手段として磁
界型レンズ装置を用いた陰極線管（以下CRTと
いう）について説明する。５は集束用磁界型レン
ズ装置を示す。２枚の円環状磁石５Ａ，５Ｂを厚
み方向、即ち軸Ｚ方向に着磁し、その各同じ磁極
を対向させ、反発力によつて間隙と磁石５Ａ，５
Ｂを保持している。３は磁石５Ａ，５Ｂを保持す
るための円筒状の保持器本体、２はこれをCRT
９のネツク部１に固定する為のネジである。４は
２枚の磁石５Ａ，５Ｂの間隙を調整することによ
り、軸Ｚ上の磁束密度を可変し、収束を行わせる
為の調節ネジである。６は磁気２重極で構成され
たセンタリング磁石、もしくは４〜８重極で構成
されたアステイグマ（非点収差）補正用の磁石で
いずれも軸Ｚと直角な平面内で着磁され、本体３
に取付けられている。７は偏向ヨークDY、８は
CRT９のパネルで、内面に螢光面が形成されて
いる。

管軸Ｚと螢光面との直交性は他の方法で調整さ
れているものとし、ここでは磁界型レンズ装置５
に限つて話を進める。第４図Ａは磁石５Ａ（第４
図Ｂ）の軸Ｚ方向の磁束密度Ｂ(Z)の分布を示す。
１３は磁石５Ａの幾何学的中心軸（軸Ｚと同じ）、
１２は磁界の中心軸である。１４は軸１２、１３
間の偏差を示す。１５は軸Ｚ方向の磁束密度分布
曲線を示すを示す。ここでは軸１２と軸１３
｛Ｚ｝および軸すれ１４が問題となつている。即
ち、磁石５Ａは管軸Ｚの周囲に固定されるからで
ある。軸１３と直交する平面で、磁石５Ａの厚み
方向の中心線を含む平面１１内で直交する２方向
をそれぞれｘ、ｙ方向とする。磁束密度の軸方向
成分Ｂ(Z)のこれらいずれかの方向ｘ、ｙの分布が
曲線１５である。しかして、軸１２をビームの中
心軸に一致させれば、収差は発生しないことにな
る。

ここで、磁石による集束（永久磁石による磁界
型レンズ）の原理を簡単に説明する。磁界型レン
ズ装置は良く知られているように、下記の公式に
より光学レンズと対置される。焦点距離をｆとす
ると、これは次式のように表わされる。

f^-1＝2.20×10¹⁰／Va∫∞ −∞B²(Z)dZ 〔ｍ〕 但し、Va：陽極電圧〔Ｖ〕 Ｂ(Z)：軸上磁束密度〔Ｔ〕 Ｚ：軸方向距離〔ｍ〕 尚、電磁集束（磁界型レンズ装置の使用）は、
大口径レンズが得られ易く、低収差であり、電子
速度毎に異なる軌道を描くため、ビーム反発効果
による収差が少なく、像倍率を小さくすることが
でき、微少ビーム径が得られ易いなどの特長があ
り、高解像度のCRTを得やすい。特に磁石を用
いているので、集束に必要な磁界を発生する為の
電流を流さなくてすみ、低電力化が可能という特
長がある。又、安定でもある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上述した従来の磁界型レンズ装置は、その幾何
学的中心軸と心軸と磁界の中心軸とを一致させる
ことが困難である。これは磁石（フエライト、サ
マリユームコバルト等の磁性材料から成る）の表
面の磁化の不均一性（粒子等の磁気特性のバラツ
キ、製造による特性のバラツキ等による）に起因
するものである。

かかる点はCRTの集束手段の場合、電子レン
ズ装置に収差が生じるので、例えば３管式投写型
のテレビジヨン受像機の場合、軸合せが困難とな
る。

上述の点に鑑み本発明は、幾何学的中心軸と磁
界の中心軸との偏差（偏磁）を少なくすることの
できる陰極線管用磁界型レンズ装置を提案しよう
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明による陰極線管用磁界型レンズ装置は、
夫々厚み方向に着磁され、同じ磁極が対向するよ
うに配された一対の円環状磁石５Ａ，５Ｂと、こ
の一対の円環状磁石５Ａ，５Ｂの非対向磁極に取
付けられ、各周縁遊端部が互いに近接対向する如
く折曲げられた一対の円環状ヨーク１７Ａ，１７
Ｂとから成るものである。

〔作用〕

かかる本発明によれば、ヨークの磁気飽和特性
（ヒステリシス特性）により磁石５Ａ，５Ｂ及び
ヨーク１７Ａ，１７Ｂより成る各磁気回路の磁束
密度が飽和し、偏磁が減少する。

〔実施例〕 以下に第１図を参照して、本発明による陰極線
管用磁界型レンズ装置５の一実施例を詳細に説明
する。５Ａ，５Ｂは第３図と同様の円環状の一対
の磁石で、夫々厚み方向に着磁され、同じ磁極が
対向するように互いに平行に配されている。

１７Ａ，１７Ｂは一対の円環状のヨーク（例え
ば低炭素鋼等の軟磁性材料から成る）で、夫々磁
石５Ａ，５Ｂの非対向磁極に取付けられ、各周縁
遊端部が互いに近接対向する如く折曲げられてい
る。

尚、磁石５Ａ，５Ｂ及びヨーク１７Ａ，１７Ｂ
の各中心孔の径を同じく（例えば11mm）してい
る。又、磁石５Ａ，５Ｂの外径は例えば20mm、ヨ
ーク１７Ａ，１７Ｂの内径は例えば30mmである。

更に、磁石５Ａ，５Ｂの外周とヨーク１７Ａ，
１７Ｂの内周との間の各間隔は、磁石５Ａ，５Ｂ
及びヨーク１７Ａ，１７Ｂの各厚さの夫々の和よ
り大に選定することにより、磁石及びヨークより
成る磁気回路の磁気抵抗が外周側に比べて内周側
が小となり、内周側での磁束が外周側より大とな
るて、電子ビームに対する集束効率が大となる。

ａ、ｂは磁石５Ａ，５Ｂ及びヨーク１７Ａ，１
７Ｂの夫々から出入する磁束の一部を示す。

尚、第１図では第３図に於ける各要素２，３及
び４の図示を省略してある。又、かかる磁界型レ
ンズ装置５は第３図と同様にCRT９に装着して
集束手段として使用する。

〔発明の効果〕

上述せる本発明によれば、偏磁が軽減される。
即ち、磁石表面の磁化のバラツキがヨークの飽和
磁気特性（ヒステリシス特性）（第２図参照）に
よつてクリツプされて、均一化され、それに伴つ
て磁石の磁気的中心軸と、幾何学的中心軸の不一
致性が軽減される。

又、ヨークを設けたことにより、磁石が外部に
対して磁気シールドされる。特に空隙部分におい
ても同じ磁極が対向している為、漏れ磁束が軽減
される。

更に、本発明のCRT集束手段に適用した場合、
集束調整が容易となる。

更に、本発明のCRTの集束手段に適用した場
合、磁石の幾何学的中心と磁気的中心の偏差を軽
減することにより、磁石を管外壁と一致させるだ
けで、磁石の調整が完了する。後はビームを管軸
と一致させればよい。但し、管軸と螢光面との直
角性は補償されているものとする。ビーム及び磁
界の中心の双方が管軸からズレている場合と比較
して、調整の容易さは格段に向上する。これと同
時に収差が改善され、特性が向上することにつな
がる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による陰極線管用磁界型レンズ
装置の一実施例を示す断面図及び平面図、第２図
は特性曲線図、第３図は従来の陰極線管用磁界型
レンズ装置を取付けた陰極線管を示す断面図、第
４図は磁石及びその磁界の関係を示す曲線図及び
断面図である。 ５は陰極線管用磁界型レンズ装置、５Ａ，５Ｂ
は磁石、１７Ａ，１７Ｂはヨークである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 夫々厚み方向に着磁され、同じ磁極が対向す
   るように配された一対の円環状磁石と、該一対の
   円環状磁石の非対向磁極に取付けられ、各周縁遊
   端部が互いに近接対向する如く折曲げられた一対
   の円環状ヨークとから成る陰極線管用磁界型レン
   ズ装置。