JPH0559951A - エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

エンジンの燃焼制御装置

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JPH0559951A
JPH0559951A JP22139291A JP22139291A JPH0559951A JP H0559951 A JPH0559951 A JP H0559951A JP 22139291 A JP22139291 A JP 22139291A JP 22139291 A JP22139291 A JP 22139291A JP H0559951 A JPH0559951 A JP H0559951A
Authority
JP
Japan
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chamber
cylinder
main chamber
combustion
piston
Prior art date
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Application number
JP22139291A
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English (en)
Inventor
Jiro Watase
治朗 渡瀬
Masanori Goto
正徳 後藤
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、大気汚染の原因となる有害成分の排
出を抑えつつ、高出力運転が可能となるエンジンの燃焼
制御装置の提供を目的とする。 【構成】シリンダ、シリンダヘッドおよびピストンによ
って囲まれた燃焼室に、点火プラグを設けたエンジンに
おいて、上記燃焼室は、シリンダのボア中心線上に位置
する主室と、この主室に連続してピストンの頂面の外周
部に向って広がるスキッシュエリアを含み、このスキッ
シュエリアの一部に、点火プラグの電極が臨む点火室
と、この点火室を主室に連通させて、この主室への連通
端がシリンダの壁面に向けて開口する火炎路を設けたこ
とを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として自動車に用い
られるガソリンエンジンに係り、特にエンジン運転時に
おける大気汚染物質の発生を可及的に抑えるための燃焼
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンから排出される排気中
には、多種多用の有害成分が含まれており、この中で特
に大気汚染に対する影響が大きいとして規制の対象とな
っているのは、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)
および窒素酸化物(NOx )の三種類である。
【0003】そして、従来では、この排気中に含まれる
三種類の有害成分を浄化するため、吸気として理論空燃
費の混合気を用いるとともに、燃焼ガスの排気通路に三
元触媒を設け、未燃焼成分の酸化反応と窒素酸化物の還
元反応を同時に行うようにした触媒浄化方式が採用され
ている。
【0004】しかしながら、この三元触媒を用いた浄化
方式は、法的規制の範囲内では有効性が高いものの、法
的規制の範囲外である高負荷運転域においては、エンジ
ンから排出される燃焼ガスの排出量が、法的規制の範囲
内に比べて極めて多くなるため、触媒の処理能力が不足
気味となり、規制範囲の数倍の量の有害成分が排出され
ているのが現状である。すなわち、高負荷運転域におい
ても、有害成分の排出量を法的規制の範囲に準じる程度
にまで低減させるには、触媒の処理能力を数倍に増強し
なくてはならず、極めて容量の大きな触媒コンバータが
必要となる。このことから、高価な触媒の浪費につなが
るのは勿論のこと、排気系の過熱や広い設置スペースを
必要とするといった新たな問題が生じてくる。したがっ
て、これを避けるためには、エンジン自体から排気通路
に排出される炭化水素と酸化窒素の量を、より一層低い
水準に抑える必要がある。
【0005】現在、触媒を用いずに窒素酸化物の発生を
抑える方法としては、不活性成分である排気の一部を再
び吸気系に戻して混合気に加える排気再循環(EGR)
や、点火時期を最適時期より遅らせることによって、混
合気の燃焼最高温度を略1700゜C程度に抑えること
が行われており、近年では、この燃焼温度を抑える方法
と上記触媒浄化方式を併用した浄化装置が広く用いられ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに燃焼速度を遅らせると、一般に低負荷運転域では窒
素酸化物の減小と同時に、燃焼室内の温度が高くなって
炭化物の排出が減じられるが、混合気の吸入量が多くな
る高負荷・高回転運転域では、排気行程が終了するまで
に、燃焼室に吸入された混合気の全てを燃焼させること
が甚だ困難となる。このため、未燃焼あるいは不完全燃
焼の燃料成分、つまり、燃焼室の消炎層に残った混合気
がそのまま排出されてしまい、炭化水素の排出濃度が増
加するといった問題が生じてくる。
【0007】本発明は、このような事情にもとづいてな
されたもので、大気汚染の原因となる有害成分の排出を
抑えつつ、高出力運転が可能となるエンジンの燃焼制御
装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明において
は、シリンダ、シリンダヘッドおよびピストンによって
囲まれる燃焼室に、点火プラグを設けるとともに、この
燃焼室に連なる排気通路に、排気浄化用の触媒を設けた
エンジンにおいて、上記燃焼室は、シリンダのボア中心
線上に位置する主室と、この主室に連続して上記ピスト
ンの頂面の外周部に向って広がり、このピストンが上死
点付近に達した際に、混合気を圧縮して上記主室内に導
くためのスキッシュエリアを含み、このスキッシュエリ
アの一部に、上記点火プラグの電極が臨む点火室と、こ
の点火室を上記主室に連通させて、この主室への連通端
が上記シリンダの壁面に向けて開口する火炎路を設けた
ことを特徴としている。
【0009】
【作用】このような構成によれば、ピストンが圧縮上死
点付近に達すると、燃焼室は主室と、スキッシュエリア
に設けられた点火室とに区画される。そして、点火室内
で圧縮された混合気に、圧縮上死点付近で点火プラグを
介して点火されると、この点火によって生じた火炎核
は、急速に点火室内で成長する。しかしながら、この時
点ではピストンは圧縮上死点付近にあり、このピストン
とシリンダヘッドとの間隔が極めて狭いために、点火室
内の火炎は、火炎路を通じて成長しつつ、シリンダの壁
面に向けて激しく噴出する。この火炎の噴出により、シ
リンダの壁面の温度が急激に上昇するとともに、このシ
リンダの壁面に付着した混合気の剥離が促進され、消炎
層が薄くなる。このことから、未燃焼の燃料成分が減じ
られ、排気通路への有害成分の排出量が少なくなる。
【0010】ピストンが圧縮上死点を過ぎて下降に転じ
ると、火炎が点火室や火炎路から主室内に向けて噴出
し、この時点から混合気の燃焼が一気に進行する。この
ため、燃焼初期には火炎の伝ぱ速度が遅くなり、燃焼最
高温度および燃焼圧力が低く抑えられて、窒素酸化物が
発生し難くなる。
【0011】やがて、ピストンがさらに下降し、燃焼温
度が窒素酸化物の発生範囲の下限付近にまで低下する
と、上記スキッシュエリアが広がるので、点火室内に生
じた火炎は、火炎路やスキッシュエリアを通じて主室内
へ噴出し、この主室内で圧縮された混合気と広い面積で
接触する。この結果、主室内での燃焼が急激に進行し、
短時間のうちに燃焼を終了するので、上記燃焼初期にお
ける燃焼の遅れが一気に、解消され、エンジンの熱効率
を良好に維持することができる。
【0012】
【実施例】以下本発明の第1実施例を、図1ないし図6
にもとづいて説明する。
【0013】図1において、符号1で示す自動車用の4
サイクルガソリンエンジンは、シリンダブロック2およ
びシリンダヘッド3を備えている。シリンダブロック2
内には、シリンダ4が形成されている。シリンダ4内に
は、ピストン5が軸方向に摺動可能に収容されており、
このピストン5は、コンロッド6を介してクランク軸
(図示せず)に連結されている。そして、本実施例のエ
ンジン1は、シリンダ4のボア径が75mm、ピストン
5の行程が85mmのロングストローク形であって、そ
のピストン5の行程容積(排気量)が375cc、圧縮
比が10.2:1となっている。なお、シリンダブロッ
ク2とシリンダヘッド3との間には、金属製のガスケッ
ト7が介在されている。
【0014】上記エンジン1は、シリンダヘッド3、シ
リンダ4およびピストン5の頂面5aとで囲まれる燃焼
室8を有している。シリンダヘッド3には、燃焼室8に
開口する吸気通路9と排気通路10が形成されている。
吸気通路9と排気通路10の燃焼室8への開口端は、図
2に示すように、クランク軸の軸線X1 と平行であり、
かつ一列に並べて配置されており、これら吸気通路9と
排気通路10の開口端は、夫々吸気弁11および排気弁
12によって開閉されるようになっている。
【0015】図6に示すように、吸気通路9には、吸入
空気量を制御するための絞り弁13と燃料噴射ノズル1
4が設けられている。燃料噴射ノズル14は、燃料配管
15を介して燃料タンク16に接続されている。この燃
料配管15の途中には、燃料を加圧するとともに、一定
の圧力で燃料噴射ノズル14に供給するための燃料ポン
プ17が設けられている。
【0016】また、排気通路10の下流端は、消音器1
9を介して大気中に開放されている。この排気通路10
の途中には、三元触媒を用いた触媒コンバータ20と、
排気中の酸素濃度を検出するO2 センサ21が設けられ
ている。O2 センサ21は、空燃比を制御するためのも
ので、このO2センサ21から出力された信号は、演算
処理装置22に入力される。この演算処理装置22に
は、排気中の酸素濃度ばかりでなく、エンジン1の運転
状況を示す種々の信号が入力される。具体的には、アク
セルセンサ23からアクセルペダルの開度を示す信号
と、ノックセンサ24からエンジン1のノッキングを検
知する信号と、クランクセンサ25を通じてクランク軸
の回転角度や回転速度を示す信号が入力される。そし
て、この演算処理装置22では、上記信号にもとづいて
現在のエンジン1の運転状況を判断し、燃料噴射ノズル
14から吸気通路9に噴射される燃料の噴射量と、この
噴射量に見合った量の空気量を得るための絞り弁13の
開度を演算し、それを実現するための駆動信号を、上記
燃料噴射ノズル14と絞り弁13を開閉駆動するための
アクチュエータ26に出力するようになっている。
【0017】ところで、このようなエンジン1の燃焼室
8は、図1や図2に示すように、シリンダ4のボア中心
線CL上に位置する主室30と、この主室30に連続し
て上記ピストン5の頂面5aの外周部に向って広がり、
このピストン5が圧縮上死点付近に達した際に、混合気
を圧縮して上記主室30に導くための一対のスキッシュ
エリア31a,31bを含んでいる。主室30は、深さ
が10mmのバスタブ形あるいはくさび形をなしてお
り、その略平坦な頂面に30aに、上記吸気通路9と排
気通路10が開口されている。スキッシュエリア31
a,31bは、ピストン5が上死点にまで達した時に、
シリンダヘッド3の下面3aとピストン5の頂面5aの
外周部との間に形成される約1mmの狭い間隙であり、
これらスキッシュエリア31a,31bは、上記主室3
0の周方向に連続することなく、この主室30を挾んで
対向し合うような位置に設けられている。そして、本実
施例の場合、上記主室30は、ボア中心線CLに対しシ
リンダ4の径方向一側、つまりクランク軸の軸線X1
直交する方向にやや偏心して設けられており、この主室
30の偏心により、一方のスキッシュエリア31aの面
積の方が、他方のスキッシュエリア31bの面積よりも
広くなっている。
【0018】一方のスキッシュエリア31aを構成する
シリンダヘッド3の下面3aには、上記シリンダ4の壁
面4aに近接して点火室32が形成されている。点火室
32は、上記主室30に対する容積比が10%程度の小
さな窪みであり、この点火室32の頂面に、点火プラグ
33の電極33aが臨んでいる。点火室32は、火炎路
34を介して上記主室30に連通されている。火炎路3
4は、シリンダヘッド3の下面3aに形成されており、
上記ピストン5の頂面5aに向って開放された溝状をな
している。この火炎路34は、上記シリンダ4の周方向
に沿うように略円弧状に延びており、その主室30への
開口端35が、シリンダ4の壁面4aを指向している。
そして、図3に示すように、火炎路34の頂面34a
は、点火室32から主室30に進むに従いピストン5の
頂面5aに近づく方向に傾斜されており、火炎路34の
通路断面積が点火室32から主室30に向って徐々に減
じられている。この場合、火炎路34の通路断面積は、
火炎の通過を許容し得る範囲内でなるべく狭く形成する
のが望ましく、本実施例では、火炎路34の深さDが点
火室32との連続部分で8mm、主室30への開口端3
5の部分で4mmに設定され、この開口端35の部分で
の開口幅Wが、2mmに設定されている。
【0019】なお、シリンダブロック2には、シリンダ
4を囲むウォータジャケット37が形成されている。こ
のウォータジャケット37は、シリンダ4のシリンダヘ
ッド3側の上部、具体的にはシリンダヘッド3から略1
0mmの範囲を強く冷却し、残りの部分の冷却を弱くし
得るように、その通路形状が工夫されており、上記燃焼
室8の温度が比較的高く保たれるようになっている。次
に、上記構成の作用について説明する。
【0020】ピストン5が下死点を過ぎて圧縮行程に入
ると、吸気通路9から燃焼室8に吸入された混合気が次
第に圧縮される。そして、ピストン5が圧縮上死点に達
する以前、すなわちクランク角で10〜30°の範囲内
に達した時に点火プラグ33に通電がなされ、その電極
33aに電気火花が生じる。この場合、ピストン5が圧
縮上死点付近に達すると、上記燃焼室8は、主室30と
点火プラグ33を有する点火室32とに区画されるの
で、上記電気火花により生じた火炎核は、急速に点火室
32内で成長する。
【0021】しかしながら、この火炎核が成長する時点
では、ピストン5が略圧縮上死点前10°から圧縮上死
点の間に上昇してきており、スキッシュエリア31a,
31bが極めて狭められた状態にある。このことから、
点火室32で生じた火炎は、火炎路34内に流れ込みな
がら成長し、その一部が図2の矢印で示すように、火炎
路34の開口端35からシリンダ4の壁面4aに向けて
激しく噴出する。この火炎の噴出により、シリンダ4の
壁面4aの温度が急上昇するとともに、上記火炎路34
自体がシリンダ4の周方向に延びているので、シリンダ
4内に火炎の渦流が発生する。この結果、シリンダ4の
壁面4aに付着した混合気の剥離が促進されて、消炎層
が薄くなり、炭化水素や一酸化炭素等の未燃焼の燃料成
分が減じられる。
【0022】ピストン5が圧縮上死点を過ぎて下降に転
じると、スキッシュエリア31a,31bが僅かに広が
るので、点火室32や火炎路34内の火炎が、スキッシ
ュエリア31aを通じて一斉に主室30内へ噴出し、こ
の時点から混合気の燃焼が一気に進行する。この場合、
通常のガソリンエンジンでは、図4の二点鎖線で示すよ
うに、燃焼室8内の燃焼温度が最高となるのは、圧縮上
死点後10°前後の範囲内にあるから、上記のように混
合気の本格的な燃焼が圧縮上死点後に行われれば、点火
から圧縮上死点後10°前後に至る燃焼初期の火炎伝ぱ
速度が遅くなる。したがって、図4の実線で示すよう
に、燃焼圧縮上死点後10°前後の時に生じる燃焼最高
温度および燃焼圧力が低く抑えられることになり、混合
気燃焼による窒素酸化物の発生が抑制される。
【0023】ピストン5が圧縮上死点後10°前後まで
降下すると、燃焼室8内の燃焼温度が窒素酸化物の発生
範囲の下限付近にまで低下する。このピストン5の降下
により、スキッシュエリア31a,31bがさらに広が
るので、点火室32内の火炎は、火炎路34およびスキ
ッシュエリア31aを通じて主室30内へ激しく噴出
し、この主室30内で圧縮された混合気と広い面積で接
触する。この結果、主室30内での燃焼が急激に進行
し、短時間のうちに燃焼を終了するので、上記燃焼初期
における燃焼速度低下の影響、つまり燃焼の遅れが一気
に解消されることになり、エンジン1の熱効率を良好に
維持することができる。
【0024】また、通常の自動車用エンジン(ピストン
の行程容積が350〜650cc程度)では、図5に示
すように、ピストン5が圧縮上死点後10〜30°の範
囲内にある時、このピストン5は圧縮上死点から2〜3
mm降下した位置にある。この位置では、シリンダヘッ
ド3の下面3a、ピストン5の頂面5aおよびシリンダ
4の壁面4aとで囲まれる空間が、薄い円筒形をなして
いるので、上記火炎路34の開口端35から噴出する火
炎によって、上記空間内にはシリンダ4の壁面に沿うよ
うな高速な渦流が発生する。このため、ピストン5が圧
縮上死点後10〜30°の範囲内にある時でも、シリン
ダ4の壁面4aに近接した部分での火炎の流速が増すの
で、極めて短時間のうちに燃焼が終了するとともに、シ
リンダ4の壁面4aの温度が急激に上昇して、この壁面
4aに沿って生成された消炎層を薄くする。したがっ
て、燃焼初期でも消炎層が薄くなることと合わせて、炭
化水素や一酸化炭素等の未燃焼の燃料成分を減じること
ができる。
【0025】この結果、上記のように燃焼速度を遅らせ
たことによって、混合気の全てが燃え難くなるような運
転域においても、排気通路10への有害成分の排出を抑
制することができ、その分、三元触媒の負担を軽減する
ことができる。
【0026】さらに、上記構成によると、点火室32や
火炎路34は、スキッシュエリア31aに設けられてい
るので、燃焼ガスの掃気を良好に行うことができ、着火
性や火炎の成長が促進される。それとともに、これら点
火室32や火炎路34は、主室30の奥方に入り込むこ
となく、ピストン5の頂面5aと対面し合うシリンダヘ
ッド3の下面3aに設けられているので、鋳造成形や機
械加工を容易に行えるといった利点もある。
【0027】なお、本発明は上記第1実施例に特定され
るものではなく、図7および図8に本発明の第2実施例
を示す。この第2実施例のエンジン40は、主に燃焼室
41を含むシリンダヘッド42の構成が上記第1実施例
と相違しており、この第2実施例において、上記第1実
施例と同一構成部分には同一の参照符号を付して、その
説明を省略する。
【0028】図7および図8に示すように、燃焼室41
は、ペントルーフ形の主室43と、この主室43に連続
するスキッシュエリア44を備えている。主室43の頂
面43aには、一対の吸気通路45a,45bと排気通
路46a,46bが開口されている。吸気通路45a,
45bと排気通路46a,46bの開口端は、クランク
軸の軸線X1 を挾んで互いに対向されており、これら各
開口端は、一対の吸気弁47と排気弁48によって開閉
される。
【0029】また、図8に示すように、スキッシュエリ
ア44は、シリンダ4の周方向に略連続して設けられて
いる。このスキッシュエリア44を構成するシリンダヘ
ッド42の下面42aには、一対の吸気弁47の間に近
接した位置と、同じく一対の排気弁48の間に近接した
位置に、夫々点火室50a,50bが形成されている。
これら一対の点火室50a,50bは、上記主室43に
対する容積比が3〜5%程度の小さな窪みであり、上記
ボア中心線CLを挾んで互いに対向して設けられてい
る。そして、各点火室50a,50bの側面に点火プラ
グ33の電極33aが臨んでいる。これら点火プラグ3
3は、シリンダヘッド42の側面からねじ込まれてお
り、上記ボア中心線CLに対し直交した姿勢で配置され
ている。
【0030】各点火室50a、50bは、火炎路51
a,51bを介して主室43に連通されている。火炎路
51a,51bは、シリンダヘッド42の下面42aに
形成されており、ピストン5の頂面5aに向けて開放さ
れた溝状をなしている。そして、これら火炎路51a,
51bは、シリンダ4の周方向に沿うように互いに逆向
きに延びており、その主室43への開口端52a,52
bがシリンダ4の壁面に近接するとともに、ボア中心線
CLを挾んで対向し合う単一の吸気弁47と排気弁48
の近傍に位置されている。
【0031】なお、この実施例のエンジン40は、シリ
ンダ4のボア径が85mm、ピストン5の行程が85m
mであり、かつ、その圧縮比を11:1のようにやや高
めに設定して、火炎の伝ぱ速度の向上を図っている。
【0032】このような構成によると、燃焼室41の径
方向に離間した二箇所に点火室51a、51bが設けら
れ、これら点火室51a,51bと主室43とが、一対
の火炎路51a,51bを介して連通されているので、
点火後にピストン5が圧縮上死点付近に達した際には、
点火室51a,51b内に生じた火炎の一部が、図8の
矢印で示すように、燃焼室41の径方向に対向し合う二
箇所からシリンダ4の壁面4aに向けて激しく噴出す
る。したがって、シリンダ4の壁面4aに付着した混合
気の剥離が促進され、この壁面4aの温度上昇と相まっ
て、消炎層をより薄くすることができる。
【0033】しかも、両方の点火室51a,51bから
主室43やスキッシュエリア44を含む燃焼室41の各
点に対する火炎伝ぱ距離が短くなるので、ピストン5が
下降に転じてスキッシュエリア44が広がると、火炎が
直ちに主室43に拡散し、燃焼が短時間のうちに一気に
進展する。したがって、燃焼初期での燃焼の遅れが解消
されるとともに、デトネーションの発生も防止すること
ができる。
【0034】なお、上記各実施例では、火炎路をシリン
ダヘッドの下面に形成したが、本発明はこれに限らず、
例えば火炎路の一部又は全部を、ピストンの頂面に形成
するようにしても良い。
【0035】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、ピストン
が圧縮上死点付近に達すると、燃焼室が点火プラグを有
する点火室と主室とに区画され、点火後に点火室内に生
じた火炎がピストンの降下に伴い火炎路やスキッシュエ
リアを通じて主室内に拡散されていくので、燃焼室内に
おける火炎の伝ぱ速度を、燃焼初期には遅く、その後急
激に早めることができる。このため、エンジンの熱効率
を良好に維持しつつ、最高燃焼温度や燃焼圧力を低く抑
えることができ、エンジン運転中における窒素酸化物の
発生を抑制することができる。また、点火室内に生じた
火炎は、火炎路を通じてシリンダの壁面に向けて激しく
噴出し、このシリンダの壁面に付着した混合気の剥離を
促進させるので、この壁面の温度上昇と合わせて消炎層
が薄くなり、炭化水素や一酸化炭素等の未燃焼の燃料成
分を減じることができる。したがって、燃焼速度を遅ら
せたことによって混合気の全てが燃え難くなる高負荷運
転域においても、排気通路への有害成分の排出を抑制す
ることができ、その分、排気浄化用の触媒の負担を軽減
できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例における4サイクルガソリ
ンエンジンの断面図。
【図2】燃焼室をピストン側から見た図。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図。
【図4】クランク角度で示したピストンの位置に対する
シリンダ内圧力と熱発生率との関係を表す特性図。
【図5】クランク角とピストン位置との関係を示す図。
【図6】エンジンの空燃比を制御するための制御系統を
示す図。
【図7】本発明の第2実施例における4サイクルガソリ
ンエンジンの断面図。
【図8】燃焼室をピストン側から見た図。
【符号の説明】
1,40…エンジン、3,42…シリンダヘッド、4…
シリンダ、5…ピストン、8,41…燃焼室、10,4
6a,46b…排気通路、20…触媒(触媒コンバー
タ)、30,43…主室、31a,31b,44…スキ
ッシュエリア、32,50a,50b…点火室、33…
点火プラグ、33a…電極、34,51a,51b…火
炎路。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ、シリンダヘッドおよびピスト
    ンによって囲まれた燃焼室に、点火プラグを設けるとと
    もに、 この燃焼室に連なる排気通路に、排気浄化用の触媒を設
    けたエンジンにおいて、 上記燃焼室は、シリンダのボア中心線上に位置する主室
    と、この主室に連続して上記ピストンの頂面の外周部に
    向って広がり、このピストンが上死点付近に達した際
    に、混合気を圧縮して上記主室内に導くためのスキッシ
    ュエリアを含み、 このスキッシュエリアの一部に、上記点火プラグの電極
    が臨む点火室と、この点火室を上記主室に連通させて、
    この主室への連通端が上記シリンダの壁面に向けて開口
    する火炎路を設けたことを特徴とするエンジンの燃焼制
    御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009054154A1 (ja) * 2007-10-22 2009-04-30 Ygk Co., Ltd. 多点点火エンジン
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