JPH0559819U - モールドプリントコイルトランス - Google Patents

モールドプリントコイルトランス

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JPH0559819U
JPH0559819U JP77792U JP77792U JPH0559819U JP H0559819 U JPH0559819 U JP H0559819U JP 77792 U JP77792 U JP 77792U JP 77792 U JP77792 U JP 77792U JP H0559819 U JPH0559819 U JP H0559819U
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resin
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mold portion
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淳 上田
保則 杉原
佳昭 津田
恵 溝渕
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Daihen Corp
Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】コアの損傷やインダクタンの低下がほとんど生
じないモールドプリントコイルトランスを提供する。 【構成】プリントコイルシート2a〜2cの積層体1に
フェライトコア3を取付けたトランス本体Tをポッティ
ングケース5内に配置する。ポッティングケース5内に
コア保護用樹脂を注型してフェライトコア3を完全に被
覆するコア保護用樹脂モールド部6Aを形成する。コア
保護用樹脂モールド部6Aの上にバリア用樹脂モールド
部6Bを形成して、コア保護用樹脂モールド部を空気か
ら遮蔽する。コア保護用樹脂としては、ガラス転移温度
が0℃以下で、かつ常温の弾性率が5×108 dyn/cm2
以下の熱硬化性樹脂を用いる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、プリントコイルシートの積層体とフェライトコアとからなるトラン ス本体を樹脂でモールドしてなるモールドプリントコイルトランスに関するもの である。
【0002】
【従来の技術】
モールドプリントコイルトランスにおいては、鉄心を貫通させるための窓部を 有するプリントコイルシートを複数枚積層して構成した積層体と、一部が該積層 体の窓部を貫通した状態で閉磁路を構成するフェライトコアとによりトランス本 体が構成され、フェライトコアを保護するためにトランス本体が樹脂でモールド されている。
【0003】 この種のトランスにおいては、樹脂が硬化する際の圧力が直接フェライトコア に加わると、コアが損傷したり、インダクタンスが低下したりするため、実開昭 63−153506号に示されているように、樹脂またはゴムの発泡体をコアの 周囲に配設することによりコアに直接圧力が掛からないようにしてから、トラン ス本体を樹脂でモールドすることが行われている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら上記の構造を採用した場合には、コアの周囲に発泡体を配設する 作業が煩雑であるため、製造の工数が増加し、コストが高くなるのを避けられな かった。
【0005】 また上記の構造では、ヒートサイクルにより生じる内部応力により、フェライ トコアが損傷するのを防ぐことが困難であった。
【0006】 即ち、モールドプリントコイルトランスでは、フェライトコアの線膨脹係数が 10-6のオーダーであるのに対し、樹脂モールド部の線膨脹係数は10-5のオー ダーであるため、トランスの温度の変化に伴って内部応力が大きく変化する。し かも全体を小形に仕上げるために一般に偏平なコアを用いているモールドプリン トコイルトランスでは、その構造上偏平なコアに応力が集中し易いため、温度の 変化に伴って大きな応力が生じるとコアが損傷するおそれがある。
【0007】 特に温度が上昇したときには、コアの内側でのモールド樹脂及びプリントコイ ルシートの膨脹により生じた応力がコアの偏平部に集中するだけでなく、プリン トコイルシートに用いられている金属材料(例えば銅)の弾性がコアを広げる方 向に作用するため、フェライトコアに無理な力が加わって該コアが損傷する恐れ が大になる。
【0008】 モールド樹脂とフェライトコアとの間の熱膨脹係数の差により生じる応力は、 モールド樹脂が硬化する際に生じる応力に比べてはるかに大きいため、コアの周 囲に発泡体を配設しても、従来と同様の材料でモールドを行うと、程度の差はあ るが、インダクタンスの低下やフェライトコアの損傷が生じるのを避けられなか った。
【0009】 本考案の目的は、発泡体を使用せずにトランス本体を直接モールドしてもコア の損傷やインダクタンの低下がほとんど生じないようにしたモールドプリントコ イルトランスを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案は、プリントコイルシートの積層体にフェライトコアを付設したトラン ス本体を樹脂モールド部で被覆してなるモールドプリントコイルトランスに係わ るもので、本考案においては、上記樹脂モールド部を構成する樹脂として、ガラ ス転移温度が0℃以下で、かつ常温の弾性率が5×108 dyn/cm2 以下の熱硬化 性樹脂を用いる。
【0011】 本考案ではまた、上記樹脂モールド部を、少なくともフェライトコアを完全に 被覆するように設けられたコア保護用樹脂モールド部と、コア保護用樹脂モール ド部を空気から遮蔽するように被覆するバリア用樹脂モールド部とにより構成で きる。
【0012】 この場合にもコア保護用樹脂モールド部は、ガラス転移温度が0℃以下で、か つ常温での弾性率が5×108 dyn/cm2 以下の熱硬化性樹脂により構成する。
【0013】 本考案はまた、プリントコイルシートの積層体にフェライトコアを付設したト ランス本体をポッティングケース内に収納して、該ポッティングケース内に樹脂 を注型して樹脂モールド部を形成する場合にも適用できる。
【0014】 この場合には、フェライトコアをポッティングケースの底部側に位置させた状 態でトランス本体をポッティングケース内に配置し、樹脂モールド部は、フェラ イトコアが完全に埋まるまで注型して硬化させたコア保護用樹脂モールド部と、 硬化されたコア保護用樹脂モールド部を空気から遮蔽するように該コア保護用樹 脂モールド部の上に注型して硬化させたバリア用樹脂モールド部とにより構成す る。この場合もコア保護用樹脂モールド部を構成する樹脂としては、ガラス転移 温度が0℃以下で、かつ常温の弾性率が5×108 dyn/cm2 以下の熱硬化性樹脂 を用いる。
【0015】 上記バリア用樹脂モールド部は、ガラス転移温度がトランス使用時の温度以上 の耐熱性が高い樹脂により構成するのが好ましい。
【0016】 本考案者は、種々検討した結果、通常のトランス使用温度域にガラス転移温度 Tg を有する樹脂を用いてトランス本体をモールドした場合には、フィラーの含 有率によっても異なるが、ガラス転移温度Tg 以下の温度で弾性率が2〜3桁上 昇するため、コアに集中する応力が大きくなって、コアが損傷し易くなることを 見出した。
【0017】 これに対し、ガラス転移温度が0℃以下で、常温での弾性率が5×108 dyn /cm2 以下の樹脂を用いてトランス本体をモールドすれば、通常の使用において コアが損傷する恐れがなく、インダクタンスの低下を抑えることができることが 明らかになった。
【0018】 本考案において、コアを保護するために用いるモールド樹脂は、上記の条件を 満たす樹脂であればよく、エポキシ樹脂等の適宜の樹脂を用いることができる。 また樹脂中へのフィラーの添加の有無も問わない。
【0019】 但し、硬化剤の量を少なくして未架橋分子を多くしたり、熱可塑性樹脂を可塑 剤として添加して弾性率やガラス転移温度を調整することは樹脂の安定性の上で 好ましくない。好ましくは、反応基が反応を完了した後も上記特性を保持してい る樹脂を用いるのが良い。
【0020】 架橋反応速度を考慮すると、現実にはエポキシ樹脂が最も適している。例えば 、モールド樹脂を150℃で硬化させる場合にシリコン樹脂を用いると、その反 応速度が早すぎるため、樹脂がコアの内部まで十分に充填する前に硬化してしま い、内部に樹脂が充填されない部分が残される恐れがある。
【0021】 シリコン樹脂の反応を遅らせるために反応遅延剤を添加することが考えられる が、大量の遅延剤を添加すると遅延剤が熱で発泡してしまい、使用に耐えないも のとなるので注意を要する。
【0022】 またウレタン樹脂を用いた場合には、イソシアネート同士のカップリングで二 酸化炭素が発生してボイドを作るという問題がある。またウレタン樹脂は高分子 中に多くのウレタン基を有するため、吸湿し易いという難点がある。
【0023】 エポキシ樹脂を用いる場合には、多くの硬化剤の中から適切なものを選択する ことにより、本考案で要求する条件を容易に満たすことができる。必要であれば 、エポキシ樹脂に脂肪族のエポキシやゴム変性エポキシを添加することもできる 。また電気的な特性の上でもエポキシ樹脂が優れている。
【0024】 本考案において、樹脂モールド部の形成方法は任意であり、ポッティング、キ ャスッティング、ディッピング、射出成形、トランスファモールド等、部品の大 きさや製造設備の規模等に応じて適宜の方法をとることができる。
【0025】 モールドプリントコイルトランスは使用の際に発熱するため、モールド樹脂が 空気に触れていると、樹脂が空気中の酸素と反応して劣化していく。樹脂モール ド部の厚みが十分厚い場合や、製品の寿命を余り重視しない場合には、モールド 樹脂の経年劣化は余り問題にならないが、樹脂モールド部の厚みが比較的薄く、 長期の信頼性を要求される場合や、使用環境が厳しい場合には、樹脂モールド部 の経年劣化が問題になる。
【0026】 この点を解決するため、本考案では、前述のように、トランス本体を被覆する 樹脂モールド部を、少なくともコアを被覆するコア保護用樹脂モールド部と、該 コア保護用樹脂モールド部を被覆するバリア用樹脂モールド部とにより構成する か、または、トランス本体をポッティングケース内に収納して、該ケース内にコ ア保護用の樹脂をコアが完全に埋まるまで注型することによりコア保護用樹脂モ ールド部を形成し、更にコア保護用樹脂モールド部の上に、プリントコイルシー トのパターン端子部が埋まるまで耐熱性に優れたバリア用樹脂を注型することに より、バリア用樹脂モールド部を形成する。
【0027】 このように構成すると、バリア用樹脂モールド部がコア保護用樹脂モールド部 を空気から遮蔽するため、長期に亘ってコア保護用樹脂モールド部の劣化を防ぐ ことができる。また一般に耐熱性が高い樹脂は酸素との反応速度が遅いため、バ リア用樹脂が早期に劣化することはない。
【0028】 尚バリア用樹脂もコア保護用樹脂と同様にフェライトコアに対してストレスを かけることになる。フェライトコアにかけるストレスは、コア保護用樹脂の量と バリア用樹脂の量とに関係する。一般に耐熱性が高い樹脂は硬く、弾性率が高い ため、バリア用樹脂の量が多くなるとコアにかかるストレスが大きくなる。従っ てコアにかかるストレスを小さくするためには、バリア用樹脂の量を少なくする ことが好ましいが、バリア用樹脂を余り少なくするとバリア用樹脂とコア保護用 樹脂との接着強度が低下し、ヒートサイクルにより両樹脂が剥離する恐れが生じ る。またバリア用樹脂の量が少なすぎると耐熱性が低下する。従って、バリア用 樹脂の量は、コア保護用樹脂との接着強度と耐熱性とを考慮して決定する。
【0029】 バリア用樹脂として、熱硬化性樹脂を用いる場合には、ストレスを残さないよ うにするため、その硬化温度をコア保護用樹脂と同程度に設定するのが好ましい 。また樹脂の劣化速度を考慮すると、バリア用樹脂としては、そのガラス転移温 度Tg が、トランスが晒される連続環境温度よりも高いものを用いるのが好まし い。
【0030】
【作用】
本考案のように、ガラス転移温度が0℃以下で、かつ常温の弾性率が5×108 dyn/cm2 以下の熱硬化性樹脂をモールド樹脂として用いると、通常の使用時に コアが損傷する恐れをなくすことができ、また温度上昇時にコアが損傷するのを 防ぐことができる。
【0031】 また上記のように、トランス本体を被覆する樹脂モールド部を、少なくともコ アを被覆するコア保護用樹脂モールド部と、該コア保護用樹脂モールド部を被覆 するバリア用樹脂モールド部とにより構成するか、または、トランス本体をポッ ティングケース内に収納して、該ケース内にコア保護用の樹脂をコアが完全に埋 まるまで注型することによりコア保護用樹脂モールド部を形成し、更にコア保護 用樹脂モールド部の上に、プリントコイルシートのパターン端子部が埋まるまで バリア用樹脂を注型するようにすると、バリア用樹脂モールド部がコア保護用樹 脂モールド部を空気から遮蔽するため、長期に亘ってコア保護用樹脂モールド部 の劣化を防ぐことができる。
【0032】 またコア保護用樹脂モールド部をコア保護用樹脂モールド部よりも硬く、耐熱 性が高いバリア用樹脂モールド部により被覆すると、コイルからの端子導出部の 機械的強度を高くすることができる。
【0033】
【実施例】
図1はスイッチング電源用の電源トランスに本考案を適用した実施例の構造を 概略的に示したもので、同図において1は複数のプリントコイルシート2a,2 b,2cを積層してなるプリントコイルシート積層体である。プリントコイルシ ート2aは図2に示したように中央部にコア貫通用の窓部200を有する絶縁基 板201と、絶縁基板201の両面にそれぞれ形成された所定ターン数のコイル パターン202,203とからなり、絶縁基板201の両面にそれぞれ形成され たコイルパターン202,203はそれぞれの内径側で、絶縁基板を貫通した接 続部により相互に直列に接続されている。絶縁フィルム201の一端には端子導 出部204,205が突設され、端子導出部204,205にはそれぞれ、コイ ルパターン202,203の一端及び他端にそれぞれつながるパターン端子部2 06,207が設けられている。
【0034】 他のプリントコイルシート2b,2cは、それぞれの端子導出部204,20 5の位置が異なる点を除きほぼ同様に構成されている。本実施例では、プリント コイルシート2a及び2cにより1次コイルが構成され、プリントコイルシート 2bにより2次コイルが構成されている。1次コイルを構成するプリントコイル シート2a及び2cの各パターン端子部には1本のリード端子3a及び3cが半 田付けされ、2次コイルを構成するプリントコイルシート2bの各パターン端子 部には電流容量を増大させるために2本のリード端子3b,3b´が半田付けさ れている。
【0035】 尚図示してないが、各プリントコイルシート2a,2b,2cの両面には絶縁 フィルムシートによるカバー絶縁が施されており、これらのプリントコイルシー トを積層した際に隣接するコイルパターン同士が電気的に短絡することがないよ うになっている。
【0036】 3はフェライトコアで、このフェライトコアは、プリントコイルシート積層体 1を構成するプリントコイルシートの窓部200を貫通した偏平直方体状の脚部 301と、該脚部301の両端に接合された断面コの字形のヨーク302とから なり、脚部301とヨーク302とは接着等により結合されている。
【0037】 プリントコイルシート積層体1とフェライトコア3とによりトランス本体Tが 構成されている。
【0038】 フェライトコア3を保護するため、トランス本体Tは樹脂モールド部により被 覆される。この実施例では、トランス本体Tが、コア3を下側に置いた状態でキ ュービック状のポッティングケース5内に配置され、該ポッティングケース5内 にコア3が完全に埋まるまで(図示のA面まで)コア保護用樹脂が注型されてコ ア保護用樹脂モールド部6Aが形成されている。またコア保護用樹脂モールド部 6Aが完全に硬化した後、該モールド部6Aの上に更にバリア用樹脂が注型され てバリア用樹脂モールド部6Bが形成されている。図示のB面はバリア用樹脂モ ールド部6Bの上面を示している。
【0039】 一般にトランスは、通常の使用時にその内部損失や周囲の部品の発熱により9 0℃程度まで温度上昇する可能性があり、またトランスを回路基板等に実装する ためにその端子を半田付けする際には、トランスが150℃程度に加熱される可 能性がある。従って、使用に耐えるモールドプリントコイルトランスを得るため には、90℃ないし150℃程度の温度にさらされた場合でもコアが損傷しない ようにしておく必要がある。
【0040】 一般には、熱ストレスを回避するために、モールド樹脂は常温で硬化させるの が良いとされているが、温度上昇時のコアの損傷の問題を解決するためには、樹 脂の硬化温度をトランスの使用温度以上に(例えば150℃程度)設定すること が好ましい。
【0041】 通常のフェライトコアの特性からすれば、トランスの使用時の温度を120℃ 以上にすることは不可能である。また半田付け時の温度上昇は150℃程度を考 慮しておけば十分である。トランスの周囲環境温度を50℃とし、トランスの温 度上昇を40℃とした場合、トランスの使用時の温度は90℃程度と考えておけ ば良い。従ってモールド樹脂の硬化温度は、好ましくは150℃、低くても80 ℃程度に設定するのが良い。
【0042】 上記の例では、トランス本体をポッティングケース内に入れてトランス本体を 完全に埋めるようにコア保護用樹脂モールド部を形成し、該コア保護用樹脂モー ルド部の上にバリア用樹脂モールド部を形成したが、寿命を余り問題にしない場 合には、バリア用樹脂モールド部を形成せずに、トランス本体の少なくともフェ ライトコアを被覆する(好ましくはトランス本体全体を被覆する)コア保護用樹 脂モールド部のみを形成するようにしても良い。またコア保護用樹脂モールド部 を形成した後、離型させてコア保護用樹脂モールド部が外部に露呈する状態で使 用に供するようにしても良い。
【0043】 更にポッティングケースを用いずに、コア保護用樹脂モールド部と該コア保護 用樹脂モールド部全体を外側から被覆するバリア用樹脂モールド部とからなる2 重構造の樹脂モールド部によりトランス本体を被覆する構造としても良い。
【0044】 以下幾つかの具体的な実施例と、比較例とを挙げるが、以下の実施例及び比較 例においては、50μm厚のポリイミドフィルムを絶縁基板として、該基板の両 面に70μm厚の銅箔を接着剤により接合した銅貼り基板を用意し、該銅貼り基 板に化学的なエッチングとスルーホールメッキとを施すことによりコイルパター ン202,203を形成した。その後25μm厚のポリイミドフィルムを接着剤 により基板の両面に貼り合わせてカバー絶縁を行い、外形及び窓部200をプレ スにより打ち抜いて、幅30×長さ40×厚さ0.4mmのプリントコイルシート を製作した。そして上記のようにして形成したプリントコイルシートを3枚積層 することにより形成した積層体にフェライトコアを取り付けるとともに、各パタ ーン端子部にリード端子を半田付けして図1に示すようなトランス本体Tを構成 した。このトランス本体TをPBTポリブチレンテレフタレート性のポッティン グケース5内に配置し、該ポッティングケース5内にモールド樹脂を注入して樹 脂モールド部を形成した。
【0045】 実施例1 下記の配合のエポキシ樹脂をモールド樹脂を使用して、該樹脂を図1のA面ま で充填して、150℃の温度下で2時間加熱硬化することにより、コア保護用樹 脂モールド部6Aを形成した。 主剤 可撓性エポキシ樹脂XB−4122(チバガイギー社製) 硬化剤 無水ドデシルコハク酸、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ ル)フェノール 実施例2 下記の配合のエポキシ樹脂をモールド樹脂を使用して、該樹脂を図1のA面ま で充填して、150℃の温度下で2時間加熱硬化することにより、コア保護用樹 脂モールド部6Aを形成した。 主剤 ビスフェノールAエポキシ樹脂(#828)、及びひまし油変性エポキ シ樹脂 硬化剤 直鎖二塩基酸無水物SB−20AH(岡村製油社製)、及び2,4,6 −トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール 実施例3 実施例1により形成したコア保護用樹脂モールド部の上に更にエポキシ注型樹 脂ニトロンL−2214(日東電工社製)を図1のB面まで注型し、150℃の 温度下で2時間加熱硬化することにより、バリア用樹脂モールド部6Bを形成し た。 実施例4 ウレタン注型樹脂を図1のA面まで注入して、120℃の温度下で1時間加熱 硬化することにより、コア保護用樹脂モールド部6Aを形成した。
【0046】 比較例1 エポキシ注型樹脂ニトロンL−2214(日東電工社製)を図1のA面まで注 入し、150℃の温度下で2時間加熱硬化することにより、コア保護用樹脂モー ルド部6Aを形成した。 比較例2 下記の配合のエポキシ樹脂を使用して150℃の温度下で2時間加熱硬化を行 うことにより、コア保護用樹脂モールド部6Aを形成した。 主剤 ビスフェノールA型エポキシ(#828)、及びひまし油変性エポキシ 樹脂 硬化剤 無水ドデシルコハク酸、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ ル)フェノール
【0047】 上記の各実施例及び比較例のトランスについて、温度を25℃から150℃ま で変化させた場合の励磁インダクタンスの変化率を測定し、励磁インダクタンス の低下率を求めた。また各実施例及び比較例のトランスを100℃のオーブン中 に1000時間放置し、樹脂の外観を観察した。その結果は下記の表1の通りで あった。
【0048】
【表1】 上記表1の結果から、実施例1ないし3では、インダクタンスの低下率を十分 低く抑えることができるとともに、コアの損傷を防ぐことができることが分かる 。特に実施例3のようにバリア用樹脂モールド部を形成した場合には、100℃ の温度に1000時間さらした状態でも外観が良好であり、長期間に亘ってコア 保護用樹脂モールド部を空気から遮蔽して耐久性を向上させることができる。尚 実施例4では、120℃でコアにクラックが生じたが、一般にトランスの使用温 度は120℃よりも低いため、この実施例のトランスも十分に使用に耐えるもの である。
【0049】 比較例1及び2のトランスは、温度変化に対するインダクタンスの低下率が高 いため実用には不向きである。
【0050】
【考案の効果】
以上のように、本考案によれば、ガラス転移温度が0℃以下で、かつ常温の弾 性率が5×108 dyn/cm2 以下の熱硬化性樹脂をモールド樹脂として用いたこと により、通常の使用時にコアが損傷する恐れをなくすことができ、また温度上昇 時にコアが損傷するのを防ぐことができた。
【0051】 特に請求項2または3に記載した考案によれば、バリア用樹脂モールド部がコ ア保護用樹脂モールド部を空気から遮蔽するため、長期に亘ってコア保護用樹脂 モールド部の劣化を防ぐことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例の構造を概略的に示した斜視図
である。
【図2】図1の実施例で用いるプリントコイルシートを
示した斜視図である。
【符号の説明】
1…プリントコイルシート積層体、2a〜2c…プリン
トコイルシート、3…フェライトコア、5…ポッティン
グケース、6A…コア保護用樹脂モールド部、6B…バ
リア用樹脂モールド部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 津田 佳昭 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内 (72)考案者 溝渕 恵 大阪府大阪市淀川区田川2丁目1番11号 株式会社ダイヘン内

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】プリントコイルシートの積層体にフェライ
    トコアを付設したトランス本体を樹脂モールド部で被覆
    してなるモールドプリントコイルトランスにおいて、 前記樹脂モールド部はガラス転移温度が0℃以下で、か
    つ常温での弾性率が5×108 dyn/cm2 以下の熱硬化性
    樹脂からなっていることを特徴とするモールドプリント
    コイルトランス。
  2. 【請求項2】プリントコイルシートの積層体にフェライ
    トコアを付設したトランス本体を樹脂モールド部で被覆
    してなるモールドプリントコイルトランスにおいて、 前記樹脂モールド部は、少なくとも前記フェライトコア
    を完全に被覆するように設けられたコア保護用樹脂モー
    ルド部と、前記コア保護用樹脂モールド部を空気から遮
    蔽するように被覆するバリア用樹脂モールド部とからな
    り、 前記コア保護用樹脂モールド部は、ガラス転移温度が0
    ℃以下で、かつ常温での弾性率が5×108 dyn/cm2
    下の熱硬化性樹脂からなっていることを特徴とするモー
    ルドプリントコイルトランス。
  3. 【請求項3】プリントコイルシートの積層体にフェライ
    トコアを付設したトランス本体をポッティングケース内
    に収納し、前記ポッティングケース内に樹脂を注型して
    樹脂モールド部を形成してなるモールドプリントコイル
    トランスにおいて、 前記トランス本体は前記フェライトコアを前記ポッティ
    ングケースの底部側に位置させた状態で配置され、 前記樹脂モールド部は、前記フェライトコアが完全に埋
    まるまで注型されて硬化されたコア保護用樹脂モールド
    部と、前記硬化されたコア保護用樹脂モールド部を空気
    から遮蔽するように該コア保護用樹脂モールド部の上に
    注型されて硬化されたバリア用樹脂モールド部とからな
    り、 前記コア保護用樹脂モールド部は、ガラス転移温度が0
    ℃以下で、かつ常温での弾性率が5×108 dyn/cm2
    下の熱硬化性樹脂からなっていることを特徴とするモー
    ルドプリントコイルトランス。
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