JPH0559475A - 都市ごみ焼却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金 - Google Patents
都市ごみ焼却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金Info
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- JPH0559475A JPH0559475A JP24496391A JP24496391A JPH0559475A JP H0559475 A JPH0559475 A JP H0559475A JP 24496391 A JP24496391 A JP 24496391A JP 24496391 A JP24496391 A JP 24496391A JP H0559475 A JPH0559475 A JP H0559475A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 300℃以上の廃熱ボイラ運転蒸気温度を可
能にすることにより廃熱ボイラの高温・高圧化の問題を
適切に解決し、有利な操業を行わしめ得る、都市ごみ焼
却炉の廃熱ボイラ環境で高い耐食性を示す熱交管器用材
料を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜
3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.
03%以下、Al:0.5〜5.0%、N:0.04%以下、C
r:15〜35%、Mo:0.5〜5.0%、Fe:30%以下
を含有し、残部がNiおよび不可避不純物から成り、さら
にCr、Ni、Feの含有量が1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+
0.7×〔%Cr〕)<1.6の関係式を満足する都市ごみ焼
却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金である。
能にすることにより廃熱ボイラの高温・高圧化の問題を
適切に解決し、有利な操業を行わしめ得る、都市ごみ焼
却炉の廃熱ボイラ環境で高い耐食性を示す熱交管器用材
料を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜
3.0%、Mn:0.5〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.
03%以下、Al:0.5〜5.0%、N:0.04%以下、C
r:15〜35%、Mo:0.5〜5.0%、Fe:30%以下
を含有し、残部がNiおよび不可避不純物から成り、さら
にCr、Ni、Feの含有量が1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+
0.7×〔%Cr〕)<1.6の関係式を満足する都市ごみ焼
却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は都市ごみ焼却炉廃熱ボイ
ラ用耐高温腐食Ni基合金に係り、都市ごみの焼却設備に
おいて、ごみの燃焼により生じる熱エネルギーを回収す
る目的で運転される廃熱ボイラの熱交換器管用などに適
した材料を提供しようとするものである。
ラ用耐高温腐食Ni基合金に係り、都市ごみの焼却設備に
おいて、ごみの燃焼により生じる熱エネルギーを回収す
る目的で運転される廃熱ボイラの熱交換器管用などに適
した材料を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみを焼却炉の廃熱ボイラとしては
現在300℃以下という低い蒸気温度で運転されている
が効率面から発電設備として十分に機能しているものと
なし得ない。これは年々増加するごみの大半を処理する
焼却炉本来の目的を安定して果すことが最重視され、高
効率化に必要な蒸気条件の上昇に伴って生ずる諸問題を
一つ一つ解決して行くという方式を採用し難い状況にあ
るためである。
現在300℃以下という低い蒸気温度で運転されている
が効率面から発電設備として十分に機能しているものと
なし得ない。これは年々増加するごみの大半を処理する
焼却炉本来の目的を安定して果すことが最重視され、高
効率化に必要な蒸気条件の上昇に伴って生ずる諸問題を
一つ一つ解決して行くという方式を採用し難い状況にあ
るためである。
【0003】しかしながら、都市ごみの量の増加や高カ
ロリー化に伴い、ごみ焼却による発生エネルギー量も著
しく増大してきており、その高効率回収への期待が高ま
っているのも近年のエネルギー事情や資源保存の観点か
ら当然のことであり、廃熱ボイラの操業条件の向上の可
能性が検討されるようになって来た。
ロリー化に伴い、ごみ焼却による発生エネルギー量も著
しく増大してきており、その高効率回収への期待が高ま
っているのも近年のエネルギー事情や資源保存の観点か
ら当然のことであり、廃熱ボイラの操業条件の向上の可
能性が検討されるようになって来た。
【0004】然して従来の都市ごみ焼却炉の廃熱ボイラ
における蒸気温度条件が上記のように抑えられている最
大の原因としては、高温高圧化された場合に予想される
ボイラ水管や過熱管の腐食が挙げられる。つまり現状の
運転条件の場合ですらこれらの部品は腐食を受け易く、
空気の過剰燃焼や耐火物による被覆等の対策を施して運
転を行うなど管表面の温度を抑制するような設計をなす
等により長寿命化に努めている。
における蒸気温度条件が上記のように抑えられている最
大の原因としては、高温高圧化された場合に予想される
ボイラ水管や過熱管の腐食が挙げられる。つまり現状の
運転条件の場合ですらこれらの部品は腐食を受け易く、
空気の過剰燃焼や耐火物による被覆等の対策を施して運
転を行うなど管表面の温度を抑制するような設計をなす
等により長寿命化に努めている。
【0005】ところで現在上記したような部品には炭素
鋼や低合金鋼製管などが採用されているが、これは市販
ステンレス鋼や高合金材料を使用しても高コスト化の割
には防食効果が少いことによるものである。
鋼や低合金鋼製管などが採用されているが、これは市販
ステンレス鋼や高合金材料を使用しても高コスト化の割
には防食効果が少いことによるものである。
【0006】なおこのようなごみ焼却炉廃熱ボイラ用高
耐食鋼としては特開平2−217449および特開平2−
217443があり、またこれとは別に特開平3−49980 お
よび特開平3−126842がある。即ちはフェライト
鋼であって、高い耐食性が発現するためにAl含有量を高
めたものであり、は成程その利用分野の1つとして
焼却炉が挙げられてはいるが、その実施例から判断し
て700℃以上の熱交換器を主たる対象としており、
は500℃以上で運転される通常の火力発電ボイラを主
たる対象としたものである。
耐食鋼としては特開平2−217449および特開平2−
217443があり、またこれとは別に特開平3−49980 お
よび特開平3−126842がある。即ちはフェライト
鋼であって、高い耐食性が発現するためにAl含有量を高
めたものであり、は成程その利用分野の1つとして
焼却炉が挙げられてはいるが、その実施例から判断し
て700℃以上の熱交換器を主たる対象としており、
は500℃以上で運転される通常の火力発電ボイラを主
たる対象としたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記したような従来技
術において、運転蒸気温度が300℃に制限されること
は効率的に相当の不利であり、又近時において次第に高
エネルギー化する都市ごみの焼却処理自体も制限を受け
ざるを得ない。
術において、運転蒸気温度が300℃に制限されること
は効率的に相当の不利であり、又近時において次第に高
エネルギー化する都市ごみの焼却処理自体も制限を受け
ざるを得ない。
【0008】また耐火物使用の増大などに原因して焼却
設備の施工を煩雑且つ困難となし、しかも熱交換器管な
どの交換頻度が大となり、更には低酸素運転によって発
生する NOx増大などによる不利も避け得ない。
設備の施工を煩雑且つ困難となし、しかも熱交換器管な
どの交換頻度が大となり、更には低酸素運転によって発
生する NOx増大などによる不利も避け得ない。
【0009】前記した〜のように発表されているも
のは何れもごみ焼却炉とは実質的な技術条件を異にして
いる。即ち都市ごみ焼却炉の廃熱ボイラの腐食環境は複
雑であり、そこで生じる金属の高温腐食の機構について
も広く認められたものは未だない。熱交換用の過熱器伝
熱管の場合、さらされる燃焼ガスは、30%程度の水分
を含みさらに最大1000ppm の塩化水素(HCl)および最大
数百ppm の窒素酸化物及び硫黄酸化物が含まれたもので
あり、管外壁に堆積する燃焼生成物(ダスト)は最大8
0%程度のNa、K系のアルカリ硫酸塩及び20%程度の
Na、K系塩化物中にPb、Zn等の重金属系の感化物が数%
混在したものである。塩分および重金属はいずれも廃棄
物(ごみ)に由来するものであり、特に塩分の量は近年
のプラスチック類廃棄物量の増加と共に増大しており、
塩化物量が20%を大きく越えるダストを生じる例も知
られている。なお、このような条件下では管外表面の温
度が350℃を越えると腐食が著しく激しくなるため、
現状では管外表面の温度は最高300℃程度に制限して
いる。従って前記のような熱交換器の場合とは高温
腐食機構が全く異り、の技術が焼却炉に妥当し得な
いことは明かである。
のは何れもごみ焼却炉とは実質的な技術条件を異にして
いる。即ち都市ごみ焼却炉の廃熱ボイラの腐食環境は複
雑であり、そこで生じる金属の高温腐食の機構について
も広く認められたものは未だない。熱交換用の過熱器伝
熱管の場合、さらされる燃焼ガスは、30%程度の水分
を含みさらに最大1000ppm の塩化水素(HCl)および最大
数百ppm の窒素酸化物及び硫黄酸化物が含まれたもので
あり、管外壁に堆積する燃焼生成物(ダスト)は最大8
0%程度のNa、K系のアルカリ硫酸塩及び20%程度の
Na、K系塩化物中にPb、Zn等の重金属系の感化物が数%
混在したものである。塩分および重金属はいずれも廃棄
物(ごみ)に由来するものであり、特に塩分の量は近年
のプラスチック類廃棄物量の増加と共に増大しており、
塩化物量が20%を大きく越えるダストを生じる例も知
られている。なお、このような条件下では管外表面の温
度が350℃を越えると腐食が著しく激しくなるため、
現状では管外表面の温度は最高300℃程度に制限して
いる。従って前記のような熱交換器の場合とは高温
腐食機構が全く異り、の技術が焼却炉に妥当し得な
いことは明かである。
【0010】又上記のようなごみ焼却炉の環境は、
で言及されている火力発電等において知られている高温
腐食環境と一見類似しており、金属の腐食機構としても
(1)金属表面に堆積したスケール(ダストと金属の反応
生成物)を通して酸素と金属原子の拡散が起こり、金属
が酸化物の形で失われて行く、(2) 金属表面に堆積した
スケールが溶融し、いわゆる溶融塩腐食が生じる、等火
力発電ボイラの場合に知られているものと同様の機構が
提唱されている。また、塩化水素が存在することから
(3) 金属が低昇華点の塩化物又は塩素酸化物を形成し、
直接的に減量して行く、といういわゆるハロゲンガス腐
食説も提唱されている。しかしながら、(1) の機構は5
00℃程度の火力発電用ボイラで知られているものであ
り、火力発電の場合と比較して著しく激しい腐食が30
0℃程度のごみ焼却炉廃熱ボイラで生じることが説明で
きない。また(3) のハロゲンガス腐食が支配的であると
すれば、焼却炉廃熱ボイラの腐食は現状知られているよ
りもより激しいものであることが容易に予測され、満足
できる説明となり得ない。従ってこのようなの技術
を以てごみ焼却炉の場合を兎角し得ないことも明確であ
り、結局ごみ焼却炉廃熱ボイラなどにおける苛酷な条件
下においてその運転蒸気温度を適切に高め、耐火物使用
量や熱交換管交換頻度を低減し、更には低酸素運転によ
る発生 NOxの低減を図り得ない。
で言及されている火力発電等において知られている高温
腐食環境と一見類似しており、金属の腐食機構としても
(1)金属表面に堆積したスケール(ダストと金属の反応
生成物)を通して酸素と金属原子の拡散が起こり、金属
が酸化物の形で失われて行く、(2) 金属表面に堆積した
スケールが溶融し、いわゆる溶融塩腐食が生じる、等火
力発電ボイラの場合に知られているものと同様の機構が
提唱されている。また、塩化水素が存在することから
(3) 金属が低昇華点の塩化物又は塩素酸化物を形成し、
直接的に減量して行く、といういわゆるハロゲンガス腐
食説も提唱されている。しかしながら、(1) の機構は5
00℃程度の火力発電用ボイラで知られているものであ
り、火力発電の場合と比較して著しく激しい腐食が30
0℃程度のごみ焼却炉廃熱ボイラで生じることが説明で
きない。また(3) のハロゲンガス腐食が支配的であると
すれば、焼却炉廃熱ボイラの腐食は現状知られているよ
りもより激しいものであることが容易に予測され、満足
できる説明となり得ない。従ってこのようなの技術
を以てごみ焼却炉の場合を兎角し得ないことも明確であ
り、結局ごみ焼却炉廃熱ボイラなどにおける苛酷な条件
下においてその運転蒸気温度を適切に高め、耐火物使用
量や熱交換管交換頻度を低減し、更には低酸素運転によ
る発生 NOxの低減を図り得ない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ね、硫化物と塩化物との混合塩中への溶解度が非常に少
い酸化物皮膜を表層において安定に形成する材料とする
ことによりそれらの課題を適切に解決することに成功し
たものであって以下の如くである。
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ね、硫化物と塩化物との混合塩中への溶解度が非常に少
い酸化物皮膜を表層において安定に形成する材料とする
ことによりそれらの課題を適切に解決することに成功し
たものであって以下の如くである。
【0012】(1) 重量%で、 C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.5〜3.
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.5
〜5.0%、N:0.04%以下、Cr:15〜35%、Mo:
0.5〜5.0%、Fe:30%以下を含有し、残部がNiおよ
び不可避不純物から成り、さらにCr、Ni、Feの含有量が 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6 の関係式を満足することを特徴とする都市ごみ焼却炉廃
熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金。
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.5
〜5.0%、N:0.04%以下、Cr:15〜35%、Mo:
0.5〜5.0%、Fe:30%以下を含有し、残部がNiおよ
び不可避不純物から成り、さらにCr、Ni、Feの含有量が 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6 の関係式を満足することを特徴とする都市ごみ焼却炉廃
熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金。
【0013】(2) 重量%で、 C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.5〜3.
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.5
〜5.0%、N:0.04%以下、Cr:15〜35%、Mo:
0.5〜5.0%、Fe:30%以下に加えて、Yまたは希土
類金属を1種類以上、合計で0.005〜0.1%を含有
し、残部がNiおよび不可避不純物から成り、さらにCr、
Ni、Feの含有量が 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6 の関係式を満足することを特徴とする都市ごみ焼却炉廃
熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金。
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.5
〜5.0%、N:0.04%以下、Cr:15〜35%、Mo:
0.5〜5.0%、Fe:30%以下に加えて、Yまたは希土
類金属を1種類以上、合計で0.005〜0.1%を含有
し、残部がNiおよび不可避不純物から成り、さらにCr、
Ni、Feの含有量が 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6 の関係式を満足することを特徴とする都市ごみ焼却炉廃
熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金。
【0014】
【作用】上記のような本発明について更に具体的に説明
するならば、本発明者らは、都市ごみ焼却炉の廃熱ボイ
ラの腐食環境は(1) 塩化物量が多い、(2) 重金属量が多
い、の2点で火力発電ボイラの場合と顕著に異なってい
る点に着目し、これが火力発電用ボイラと比較して著し
く厳しい腐食環境を形成する原因となっている可能性を
検討した。その結果火力発電ボイラ環境で金属表相に生
成するスケールはアルカリ系硫酸塩又はこれにFe等の管
の主成分金属が結合した金属アルカリ複硫酸塩であり、
これらの融点は500℃以上である。これに対し、焼却
炉の廃熱ボイラ環境で生じるスケールはこれら硫酸塩に
加えてアルカリ塩化物が存在し、融点が500℃以下で
あるダストを主体に、Fe等の管の構成金属の塩化物やP
b、Zn等ごみから混入した重金属の塩化物がかなりの量
含まれている。このようなスケールの融点は350〜4
00℃まで低下しているが、重金属塩化物の融点への影
響は特に大きく、その存在量によっては融点が300℃
以下になる場合もあることが明らかになった。
するならば、本発明者らは、都市ごみ焼却炉の廃熱ボイ
ラの腐食環境は(1) 塩化物量が多い、(2) 重金属量が多
い、の2点で火力発電ボイラの場合と顕著に異なってい
る点に着目し、これが火力発電用ボイラと比較して著し
く厳しい腐食環境を形成する原因となっている可能性を
検討した。その結果火力発電ボイラ環境で金属表相に生
成するスケールはアルカリ系硫酸塩又はこれにFe等の管
の主成分金属が結合した金属アルカリ複硫酸塩であり、
これらの融点は500℃以上である。これに対し、焼却
炉の廃熱ボイラ環境で生じるスケールはこれら硫酸塩に
加えてアルカリ塩化物が存在し、融点が500℃以下で
あるダストを主体に、Fe等の管の構成金属の塩化物やP
b、Zn等ごみから混入した重金属の塩化物がかなりの量
含まれている。このようなスケールの融点は350〜4
00℃まで低下しているが、重金属塩化物の融点への影
響は特に大きく、その存在量によっては融点が300℃
以下になる場合もあることが明らかになった。
【0015】即ちこのような検討結果によれば、都市ご
み焼却炉の廃熱ボイラ環境で見られる金属の激しい腐食
は、塩化物及び重金属の存在により著しく融点の低下し
たスケールが運転中の管表面に形成され、これが溶融す
ることにより過熱管等に著しい溶融塩腐食を起こすこと
によることが示唆され、これは実際の廃熱ボイラの過熱
管の腐食が、管表面温度が350℃を越えると特に激し
くなるという知見とも一致するものである。
み焼却炉の廃熱ボイラ環境で見られる金属の激しい腐食
は、塩化物及び重金属の存在により著しく融点の低下し
たスケールが運転中の管表面に形成され、これが溶融す
ることにより過熱管等に著しい溶融塩腐食を起こすこと
によることが示唆され、これは実際の廃熱ボイラの過熱
管の腐食が、管表面温度が350℃を越えると特に激し
くなるという知見とも一致するものである。
【0016】溶融塩腐食の場合、金属は金属のままの形
で直接的に溶融塩と反応し失われて行くか、あるいは金
属の酸化物の形で溶融塩中に溶解する。実際の焼却炉の
廃熱ボイラでは溶融塩腐食が生じ始めるまでに当然管表
面の酸化が起っており、管の腐食は主に金属酸化物の溶
融塩中への溶解により進行するものと認められる。この
ことより管の構成金属の酸化物が、その接している溶融
塩に対して溶解度を持つ、即ち溶解する以上、管の腐食
は防止できないことを意味している。一方硫化物と塩化
物の混合塩中への溶解度の非常に小さい酸化物皮膜を表
層に安定に形成する材料により、焼却炉廃熱ボイラ環境
において実用的には十分満足できる水準の耐食性を示す
熱交器管を提供できる可能性が十分あると考え、検討を
行い、以下の要約するような知見を得た。
で直接的に溶融塩と反応し失われて行くか、あるいは金
属の酸化物の形で溶融塩中に溶解する。実際の焼却炉の
廃熱ボイラでは溶融塩腐食が生じ始めるまでに当然管表
面の酸化が起っており、管の腐食は主に金属酸化物の溶
融塩中への溶解により進行するものと認められる。この
ことより管の構成金属の酸化物が、その接している溶融
塩に対して溶解度を持つ、即ち溶解する以上、管の腐食
は防止できないことを意味している。一方硫化物と塩化
物の混合塩中への溶解度の非常に小さい酸化物皮膜を表
層に安定に形成する材料により、焼却炉廃熱ボイラ環境
において実用的には十分満足できる水準の耐食性を示す
熱交器管を提供できる可能性が十分あると考え、検討を
行い、以下の要約するような知見を得た。
【0017】即ち、斯かる知見の第1は、塩化物と硫化
物の体積比が2:8である混合塩を500℃に保ち溶融
させ、その中に各種金属の酸化物を浸漬した場合の溶解
度は通常の鋼やステンレス鋼、高合金の主要構成金属の
酸化物において程度の差はあるものの一定以上である。
これに対してAl、Si、Y及び希土類金属の酸化物の溶解
度は極めて小さい。これら元素を加工性、靱性に悪影響
を与えない程度の量を含有したNi基合金は、当該環境で
実用上十分な耐食性を有する熱交器管用材料である。
物の体積比が2:8である混合塩を500℃に保ち溶融
させ、その中に各種金属の酸化物を浸漬した場合の溶解
度は通常の鋼やステンレス鋼、高合金の主要構成金属の
酸化物において程度の差はあるものの一定以上である。
これに対してAl、Si、Y及び希土類金属の酸化物の溶解
度は極めて小さい。これら元素を加工性、靱性に悪影響
を与えない程度の量を含有したNi基合金は、当該環境で
実用上十分な耐食性を有する熱交器管用材料である。
【0018】本発明者等の得た知見の第2は、Ni基合金
においては主要構成金属であるCr、Ni、Feの酸化物が同
時に溶解する。これらの金属の酸化物の存在は互いに他
の金属の酸化物の溶解を抑制し合い、CrとFeの酸化物の
量の和とNiの酸化物の量の比を最適の範囲に制御するこ
とにより、合計の溶解量を相当量少なくできる。このよ
うな酸化物の量比を実現するためには、母合金中のCr、
Fe、Niの含有量が重量%で、以下の如くである。 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6
においては主要構成金属であるCr、Ni、Feの酸化物が同
時に溶解する。これらの金属の酸化物の存在は互いに他
の金属の酸化物の溶解を抑制し合い、CrとFeの酸化物の
量の和とNiの酸化物の量の比を最適の範囲に制御するこ
とにより、合計の溶解量を相当量少なくできる。このよ
うな酸化物の量比を実現するためには、母合金中のCr、
Fe、Niの含有量が重量%で、以下の如くである。 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6
【0019】本発明者等による新しい知見の第3は、実
際の焼却炉廃熱ボイラ環境で腐食された熱交器管の腐食
形態には、全面腐食の形態を呈する上記の酸化物の溶解
による損傷に加えて、結晶粒界の著しい損傷が観察され
る場合も多い。この現象は酸素及び管構成金属の一部が
結晶粒界を経路とし異常拡散するためであり、粒界拡散
を抑制する作用を有する合金元素としてMn及びMoが非常
に効果的である。
際の焼却炉廃熱ボイラ環境で腐食された熱交器管の腐食
形態には、全面腐食の形態を呈する上記の酸化物の溶解
による損傷に加えて、結晶粒界の著しい損傷が観察され
る場合も多い。この現象は酸素及び管構成金属の一部が
結晶粒界を経路とし異常拡散するためであり、粒界拡散
を抑制する作用を有する合金元素としてMn及びMoが非常
に効果的である。
【0020】以上のような第1〜第3の新しい知見を基
として、Ni基合金中のAl、Si、Mn、Mo、Feの含有量を当
該環境における耐食性および加工性、組織安定性などを
考慮して最適化し、本発明合金を得た。さらにYを希土
類金属の酸化物はAl、Siの酸化物より小さい溶解度を示
すため、必要に応じてこれらの金属を微量に添加するこ
とにより新材料の特性を更に高め得た。
として、Ni基合金中のAl、Si、Mn、Mo、Feの含有量を当
該環境における耐食性および加工性、組織安定性などを
考慮して最適化し、本発明合金を得た。さらにYを希土
類金属の酸化物はAl、Siの酸化物より小さい溶解度を示
すため、必要に応じてこれらの金属を微量に添加するこ
とにより新材料の特性を更に高め得た。
【0021】以上のような検討により得られた本発明の
第1は、Niを主成分とする合金に、所定量のSi、Mn、A
l、Cr、Mo、Feを含有せしめ、都市ごみ焼却炉の廃熱ボ
イラ環境で金属表面に、その環境に特徴的な塩化物と硫
酸塩から成る腐食性溶融塩に対する溶解度が著しく小さ
い酸化物皮膜を形成すること、及び当該溶融塩による金
属結晶粒界の損傷に対する高い抵抗力を有することを特
徴とする廃熱ボイラ熱交器管用高耐食Ni基合金である。
また、本発明の第2は、上記第1に述べたNi基合金にさ
らにY及び希土類金属を1種類以上、量として合計0.0
05〜0.1重量%添加し、当該環境管表面に生成する酸
化物皮膜の上記溶融塩中への溶解度をさらに小さくする
と共に、Al、Siの酸化物の金属母材表面への密着性を向
上せしめたことを特徴とする廃熱ボイラ熱交器管用高耐
食Ni基合金であって、前述の如くであって、その各成分
元素量を前述した範囲に規定した理由は以下の如くであ
る。
第1は、Niを主成分とする合金に、所定量のSi、Mn、A
l、Cr、Mo、Feを含有せしめ、都市ごみ焼却炉の廃熱ボ
イラ環境で金属表面に、その環境に特徴的な塩化物と硫
酸塩から成る腐食性溶融塩に対する溶解度が著しく小さ
い酸化物皮膜を形成すること、及び当該溶融塩による金
属結晶粒界の損傷に対する高い抵抗力を有することを特
徴とする廃熱ボイラ熱交器管用高耐食Ni基合金である。
また、本発明の第2は、上記第1に述べたNi基合金にさ
らにY及び希土類金属を1種類以上、量として合計0.0
05〜0.1重量%添加し、当該環境管表面に生成する酸
化物皮膜の上記溶融塩中への溶解度をさらに小さくする
と共に、Al、Siの酸化物の金属母材表面への密着性を向
上せしめたことを特徴とする廃熱ボイラ熱交器管用高耐
食Ni基合金であって、前述の如くであって、その各成分
元素量を前述した範囲に規定した理由は以下の如くであ
る。
【0022】C:Cには脱酸作用があるが、その作用は
含有量が0.01重量%未満では十分でない。一方、C含
有量が0.10重量%を超えると鋼の加工性を損なう。従
って、Cの含有量は0.01〜0.10重量%の範囲に限定
する。
含有量が0.01重量%未満では十分でない。一方、C含
有量が0.10重量%を超えると鋼の加工性を損なう。従
って、Cの含有量は0.01〜0.10重量%の範囲に限定
する。
【0023】Si:Siは、焼却炉の廃熱ボイラ環境で生成
する溶融塩に対して溶解度の小さい酸化物をNi基合金の
表面に形成し、その耐食性を改善する作用を有する。し
かし、その作用は含有量が0.2重量%以下では充分でな
く、一方含有量が3重量%を超えてもその作用はそれ以
上増大せず、逆に熱間加工性を劣化させる。従って、Si
の含有量は0.2〜3重量%の範囲に限定する。
する溶融塩に対して溶解度の小さい酸化物をNi基合金の
表面に形成し、その耐食性を改善する作用を有する。し
かし、その作用は含有量が0.2重量%以下では充分でな
く、一方含有量が3重量%を超えてもその作用はそれ以
上増大せず、逆に熱間加工性を劣化させる。従って、Si
の含有量は0.2〜3重量%の範囲に限定する。
【0024】Mn:Mnは、前述のようにNi基合金の焼却炉
廃熱ボイラ環境における耐食性、特に結晶粒界における
腐食に対する抵抗性を高める元素である。しかし、その
効果はMnの含有量が0.5重量%以下では十分でなく、ま
た、含有量が3重量%を超えてもその効果はそれ以上増
大せず、逆に加工性を劣化させる。従って、Mnの含有量
は3重量%以下に限定する。
廃熱ボイラ環境における耐食性、特に結晶粒界における
腐食に対する抵抗性を高める元素である。しかし、その
効果はMnの含有量が0.5重量%以下では十分でなく、ま
た、含有量が3重量%を超えてもその効果はそれ以上増
大せず、逆に加工性を劣化させる。従って、Mnの含有量
は3重量%以下に限定する。
【0025】P及びS:P及びSは不純物元素である
が、これらの含有量が0.03重量%を超えると加工性及
び耐高温腐食性を損なう。従って、P及びSの含有量は
0.03重量%以下に限定する。
が、これらの含有量が0.03重量%を超えると加工性及
び耐高温腐食性を損なう。従って、P及びSの含有量は
0.03重量%以下に限定する。
【0026】Al:AlはSiと同様に、焼却炉の廃熱ボイラ
環境で生成する溶融塩に対する溶解度が非常に小さい酸
化物をNi基合金表面に形成することにより合金の耐食性
を改善する元素である。しかし、その作用はAlの含有量
が0.05重量%以下では十分期待できない。また、含有
量が5重量%を超えると、Ni基合金の熱間加工性を著し
く損なうようになる。従って、Alの含有量は0.05〜5
重量%の範囲に限定する。
環境で生成する溶融塩に対する溶解度が非常に小さい酸
化物をNi基合金表面に形成することにより合金の耐食性
を改善する元素である。しかし、その作用はAlの含有量
が0.05重量%以下では十分期待できない。また、含有
量が5重量%を超えると、Ni基合金の熱間加工性を著し
く損なうようになる。従って、Alの含有量は0.05〜5
重量%の範囲に限定する。
【0027】N:Nは、Ni基合金の高温強度を改善する
作用を有する。しかし、Nの含有量が0.04重量%を超
えるとNi基合金の加工性を損なう。よって、Nの含有量
は0.04重量%以下に限定する。
作用を有する。しかし、Nの含有量が0.04重量%を超
えるとNi基合金の加工性を損なう。よって、Nの含有量
は0.04重量%以下に限定する。
【0028】Cr:Crは、高温における一般的耐食性、耐
酸化性を維持するために必要な元素である。その効果は
含有量が15重量%以下では十分ではなく、一方含有量
が35重量%を超えるとσ相等の析出が起こり、靱性を
損なうようになる。従って、Crの含有量は15〜35重
量%の範囲に限定する。
酸化性を維持するために必要な元素である。その効果は
含有量が15重量%以下では十分ではなく、一方含有量
が35重量%を超えるとσ相等の析出が起こり、靱性を
損なうようになる。従って、Crの含有量は15〜35重
量%の範囲に限定する。
【0029】Mo:Moは、Ni基合金の焼却炉廃熱ボイラ環
境における耐食性、特に結晶粒界における損傷に対する
抵抗力を高める作用を有する。しかし、その作用は含有
量が0.5重量%以下では十分発現されず、一方含有量が
5重量%を超えてもその作用はそれ以上増加しないのみ
ならず、Ni基合金のオーステナイト組織を不安定にし、
加工性、靱性を損なうようになる。従って、Moの含有量
は0.5〜5重量%の範囲に限定する。
境における耐食性、特に結晶粒界における損傷に対する
抵抗力を高める作用を有する。しかし、その作用は含有
量が0.5重量%以下では十分発現されず、一方含有量が
5重量%を超えてもその作用はそれ以上増加しないのみ
ならず、Ni基合金のオーステナイト組織を不安定にし、
加工性、靱性を損なうようになる。従って、Moの含有量
は0.5〜5重量%の範囲に限定する。
【0030】Fe:Feは安価な金属であり、本発明合金で
は残部補填のため必要に応じて添加する。しかし、その
含有量が30重量%を超えると、Ni基合金のオーステナ
イト組織を不安定にし、加工性、靱性を損なうようにな
る。従って、Feの含有量は30重量%以下の範囲とす
る。
は残部補填のため必要に応じて添加する。しかし、その
含有量が30重量%を超えると、Ni基合金のオーステナ
イト組織を不安定にし、加工性、靱性を損なうようにな
る。従って、Feの含有量は30重量%以下の範囲とす
る。
【0031】Y及び希土類元素:Y及び希土類元素は、
AlやSiと同様に、焼却炉の廃熱ボイラ環境で生成する溶
融塩中への溶解度の極めて小さい酸化物をNi基合金表面
に形成し、合金の耐食性を改善する作用を有する。加え
て、これら元素は、Ni基合金表面に形成したAlやSiの酸
化物の母材に対する密着性を高める作用も有する。これ
らの作用は、使用する元素により変化することはないの
でY及び希土類元素の中から1種以上を任意に選択して
よいし、ミッシュメタルを使用してもよい。しかし、こ
れらの作用は、含有量の合計が0.005重量%以下では
十分に発現されず、一方、含有量の合計が0.1重量%を
超えると合金の熱間加工性を劣化させる。以上により、
Y及び希土類元素の含有量は、合計で0.005〜0.1重
量%の範囲に限定する。
AlやSiと同様に、焼却炉の廃熱ボイラ環境で生成する溶
融塩中への溶解度の極めて小さい酸化物をNi基合金表面
に形成し、合金の耐食性を改善する作用を有する。加え
て、これら元素は、Ni基合金表面に形成したAlやSiの酸
化物の母材に対する密着性を高める作用も有する。これ
らの作用は、使用する元素により変化することはないの
でY及び希土類元素の中から1種以上を任意に選択して
よいし、ミッシュメタルを使用してもよい。しかし、こ
れらの作用は、含有量の合計が0.005重量%以下では
十分に発現されず、一方、含有量の合計が0.1重量%を
超えると合金の熱間加工性を劣化させる。以上により、
Y及び希土類元素の含有量は、合計で0.005〜0.1重
量%の範囲に限定する。
【0032】以上に加えて、管表面に生成するCr、Feお
よびNiの酸化物皮膜の溶融塩中への溶解を最大限抑制す
るため、合金中のCr、Fe、Niの含有量を以下の関係式を
満足する範囲に限定することは既述の如くである。 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6
よびNiの酸化物皮膜の溶融塩中への溶解を最大限抑制す
るため、合金中のCr、Fe、Niの含有量を以下の関係式を
満足する範囲に限定することは既述の如くである。 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6
【0033】
【実施例】次の表1に示す化学成分からなる本発明鋼及
び表2に示す比較鋼を各10kg溶製し、15mm厚さまで
熱間圧延を施した後、溶体化熱処理を施した。
び表2に示す比較鋼を各10kg溶製し、15mm厚さまで
熱間圧延を施した後、溶体化熱処理を施した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】上述のようにして得られた材料から15mm
幅×20mm長さ×5mm厚さの腐食試験片を機械加工によ
り作製した。各腐食試験片は、エメリー紙で800番ま
で研磨した後、脱脂し、腐食試験に供した。腐食試験
は、都市ごみ焼却炉の廃熱ボイラを模擬した雰囲気で行
ったが、加速のため塩化物、特に重金属塩化物の含有量
が実環境で観察されるものより多い人工ダストを用い
た。即ち、Na2SO4:K2SO4 : NaCl : KCl:PbCl2 : Z
nCl2: SnCl2がモル比で3.5:3.5:1.25:1.25:
0.3:0.15:0.05になるように秤量、混合して作製
した塩をダストとした。
幅×20mm長さ×5mm厚さの腐食試験片を機械加工によ
り作製した。各腐食試験片は、エメリー紙で800番ま
で研磨した後、脱脂し、腐食試験に供した。腐食試験
は、都市ごみ焼却炉の廃熱ボイラを模擬した雰囲気で行
ったが、加速のため塩化物、特に重金属塩化物の含有量
が実環境で観察されるものより多い人工ダストを用い
た。即ち、Na2SO4:K2SO4 : NaCl : KCl:PbCl2 : Z
nCl2: SnCl2がモル比で3.5:3.5:1.25:1.25:
0.3:0.15:0.05になるように秤量、混合して作製
した塩をダストとした。
【0037】上記の人工ダストを腐食試験片の全表面に
50g/cm2の割合で均一に塗布し乾燥させた後に、ア
ルミナボート上に置いた試験片を、試験温度に加熱した
石英製炉心管を有する加熱炉中で100時間加熱した。
雰囲気ガスは30% H2O/0.1 % HCl/0.03% NO2/0.
03% SO2/残空気であり、常圧で、ガス流量は1リット
ル/分であって、試験温度は300℃、400℃及び5
00℃とした。各試験片の腐食減量は、加熱後、試験片
表面の腐食スケールを薬品を用いて除去した後に重量を
測定し、あらかじめ測定しておいた加熱前の重量との差
を用いて計算した。また、これに加えて400℃にて試
験に供した試験片断面のミクロ組織を光学顕微鏡を用い
て観察し、結晶粒界における損傷の有無を調査した。
50g/cm2の割合で均一に塗布し乾燥させた後に、ア
ルミナボート上に置いた試験片を、試験温度に加熱した
石英製炉心管を有する加熱炉中で100時間加熱した。
雰囲気ガスは30% H2O/0.1 % HCl/0.03% NO2/0.
03% SO2/残空気であり、常圧で、ガス流量は1リット
ル/分であって、試験温度は300℃、400℃及び5
00℃とした。各試験片の腐食減量は、加熱後、試験片
表面の腐食スケールを薬品を用いて除去した後に重量を
測定し、あらかじめ測定しておいた加熱前の重量との差
を用いて計算した。また、これに加えて400℃にて試
験に供した試験片断面のミクロ組織を光学顕微鏡を用い
て観察し、結晶粒界における損傷の有無を調査した。
【0038】300℃、400℃及び500℃での各供
試鋼の腐食減量及び400℃での試験における結晶粒界
損傷の有無を表3、表4に示した。現在の焼却炉廃熱ボ
イラの条件にほぼ等しい300℃での試験結果では、発
明合金の腐食減量はほぼゼロであり、現在実際の焼却炉
で使用されている材料も含めた比較鋼、合金と比較して
著しく優れた耐食性を示した。さらに、発明合金の40
0℃における腐食減量は、現在使用されている鋼の30
0℃における腐食減量と比較しても格段に少なく、本発
明合金は廃熱ボイラの運転温度が400℃まで上昇して
も十分実用に耐え得ることを示唆している。500℃で
の試験では、本発明合金の腐食減量は現在使用されてい
る鋼の300℃での腐食減量とほぼ同程度であり、工学
的な対策と本発明合金を併用することにより、焼却炉廃
熱ボイラの運転温度を500℃まで上昇させることも可
能であることを示唆している。また、本発明合金は当該
環境における結晶粒界の損傷に対して優れた抵抗力を有
することも確認された。以上の実験の結果、本発明合金
の焼却炉廃熱ボイラ環境における優れた耐食性が確認さ
れた。
試鋼の腐食減量及び400℃での試験における結晶粒界
損傷の有無を表3、表4に示した。現在の焼却炉廃熱ボ
イラの条件にほぼ等しい300℃での試験結果では、発
明合金の腐食減量はほぼゼロであり、現在実際の焼却炉
で使用されている材料も含めた比較鋼、合金と比較して
著しく優れた耐食性を示した。さらに、発明合金の40
0℃における腐食減量は、現在使用されている鋼の30
0℃における腐食減量と比較しても格段に少なく、本発
明合金は廃熱ボイラの運転温度が400℃まで上昇して
も十分実用に耐え得ることを示唆している。500℃で
の試験では、本発明合金の腐食減量は現在使用されてい
る鋼の300℃での腐食減量とほぼ同程度であり、工学
的な対策と本発明合金を併用することにより、焼却炉廃
熱ボイラの運転温度を500℃まで上昇させることも可
能であることを示唆している。また、本発明合金は当該
環境における結晶粒界の損傷に対して優れた抵抗力を有
することも確認された。以上の実験の結果、本発明合金
の焼却炉廃熱ボイラ環境における優れた耐食性が確認さ
れた。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明は、都市ごみ焼却炉の廃熱ボイラ
環境で高い耐食性を示す熱交管器用材料を提供するもの
であり、300℃以上の廃熱ボイラ運転蒸気温度を可能
にすることにより現在社会的な課題となっている廃熱ボ
イラの高温・高圧化の問題を適切に解決し、有利な操業
を行わしめることができるものであるから、工業的にそ
の効果の大きい発明である。
環境で高い耐食性を示す熱交管器用材料を提供するもの
であり、300℃以上の廃熱ボイラ運転蒸気温度を可能
にすることにより現在社会的な課題となっている廃熱ボ
イラの高温・高圧化の問題を適切に解決し、有利な操業
を行わしめることができるものであるから、工業的にそ
の効果の大きい発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 学 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山之内 直次 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.5〜3.
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.5
〜5.0%、N:0.04%以下、Cr:15〜35%、Mo:
0.5〜5.0%、Fe:30%以下を含有し、残部がNiおよ
び不可避不純物から成り、さらにCr、Ni、Feの含有量が 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6 の関係式を満足することを特徴とする都市ごみ焼却炉廃
熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.01〜0.1%、Si:0.2〜3.0%、Mn:0.5〜3.
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.5
〜5.0%、N:0.04%以下、Cr:15〜35%、Mo:
0.5〜5.0%、Fe:30%以下に加えて、Yまたは希土
類金属を1種類以上、合計で0.005〜0.1%を含有
し、残部がNiおよび不可避不純物から成り、さらにCr、
Ni、Feの含有量が 1.0<〔%Ni〕/(〔%Fe〕+0.7×〔%Cr〕)<1.6 の関係式を満足することを特徴とする都市ごみ焼却炉廃
熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24496391A JPH0559475A (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 都市ごみ焼却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24496391A JPH0559475A (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 都市ごみ焼却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0559475A true JPH0559475A (ja) | 1993-03-09 |
Family
ID=17126563
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24496391A Pending JPH0559475A (ja) | 1991-08-30 | 1991-08-30 | 都市ごみ焼却炉廃熱ボイラ用耐高温腐食Ni基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0559475A (ja) |
-
1991
- 1991-08-30 JP JP24496391A patent/JPH0559475A/ja active Pending
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