JPH0559456A - ベル型バツチ焼鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法 - Google Patents
ベル型バツチ焼鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法Info
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- JPH0559456A JPH0559456A JP24450191A JP24450191A JPH0559456A JP H0559456 A JPH0559456 A JP H0559456A JP 24450191 A JP24450191 A JP 24450191A JP 24450191 A JP24450191 A JP 24450191A JP H0559456 A JPH0559456 A JP H0559456A
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- bell
- inner cover
- coil
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ベル型バッチ焼鈍炉による高炭素鋼板または
ステンレス鋼板コイルの焼鈍において、雰囲気ガス中の
水分に起因するコイルエッジ部の脱炭、粒界酸化反応を
防止してテンパーカラーの発生を抑制する。 【構成】 ベル型バッチ焼鈍炉の焼鈍用バーナーに点火
前または予め鋼板コイルを100〜400℃に加熱して
ストリップに付着した水分を蒸発させたのち、インナー
カバー内を10トール以下まで真空引きてインナーカバ
ー内の水分を外部に排除し、しかるのち焼鈍雰囲気ガス
を投入して常圧となし、昇温して焼鈍する。 【効果】 焼鈍雰囲気ガス中の水分に起因するコイルエ
ッジ部の脱炭、粒界酸化反応を防止してテンパーカラー
の発生を大幅に抑制でき、歩留向上を図ることができ
る。
ステンレス鋼板コイルの焼鈍において、雰囲気ガス中の
水分に起因するコイルエッジ部の脱炭、粒界酸化反応を
防止してテンパーカラーの発生を抑制する。 【構成】 ベル型バッチ焼鈍炉の焼鈍用バーナーに点火
前または予め鋼板コイルを100〜400℃に加熱して
ストリップに付着した水分を蒸発させたのち、インナー
カバー内を10トール以下まで真空引きてインナーカバ
ー内の水分を外部に排除し、しかるのち焼鈍雰囲気ガス
を投入して常圧となし、昇温して焼鈍する。 【効果】 焼鈍雰囲気ガス中の水分に起因するコイルエ
ッジ部の脱炭、粒界酸化反応を防止してテンパーカラー
の発生を大幅に抑制でき、歩留向上を図ることができ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ベル型バッチ焼鈍炉
において冷間圧延鋼板コイルを焼鈍時に発生するテンパ
ーカラー、粒界酸化および脱炭を防止できる焼鈍方法に
関する。
において冷間圧延鋼板コイルを焼鈍時に発生するテンパ
ーカラー、粒界酸化および脱炭を防止できる焼鈍方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】適当な圧延率で冷間圧延された鋼板コイ
ルは、加工硬化して加工性が極めて悪くなっている。し
たがって成形加工に供するためには再結晶後、結晶粒を
適度の大きさに成長せしめ、さらに深絞り性に有利な結
晶方位とすることが必要である。また、高炭素鋼板にお
いては、炭化物の球状化焼鈍が施される。このような目
的で行われる冷間圧延鋼板コイルの軟質化焼鈍方式は、
バッチ焼鈍と連続焼鈍に大別される。バッチ焼鈍方式に
は、タイト焼鈍とオープンコイル焼鈍があり、後者では
雰囲気ガスの調整により、脱炭焼鈍および脱窒焼鈍も行
われている。
ルは、加工硬化して加工性が極めて悪くなっている。し
たがって成形加工に供するためには再結晶後、結晶粒を
適度の大きさに成長せしめ、さらに深絞り性に有利な結
晶方位とすることが必要である。また、高炭素鋼板にお
いては、炭化物の球状化焼鈍が施される。このような目
的で行われる冷間圧延鋼板コイルの軟質化焼鈍方式は、
バッチ焼鈍と連続焼鈍に大別される。バッチ焼鈍方式に
は、タイト焼鈍とオープンコイル焼鈍があり、後者では
雰囲気ガスの調整により、脱炭焼鈍および脱窒焼鈍も行
われている。
【0003】ベル型バッチ焼鈍炉での鋼板コイルの焼鈍
処理は、図4に示すとおり、鋼板コイル1をベース金物
2上に載置したのち、インナーカバー3を被せ、さらに
アウタカバー4を被せたのち、炉点火時の爆発防止とコ
イル表面の過度の酸化防止を目的にインナーカバー3内
の空気を窒素ガス等で置換する。しかるのち、HNXガ
ス(水素濃度1〜20%の水素と窒素の混合ガス)等の
還元性ガスを吹込み、ベースフアン5により炉内還元性
ガスを対流させながら、バーナー6に点火してインナー
カバー3の外部から鋼板コイル1を間接的に加熱する方
法が取られている。
処理は、図4に示すとおり、鋼板コイル1をベース金物
2上に載置したのち、インナーカバー3を被せ、さらに
アウタカバー4を被せたのち、炉点火時の爆発防止とコ
イル表面の過度の酸化防止を目的にインナーカバー3内
の空気を窒素ガス等で置換する。しかるのち、HNXガ
ス(水素濃度1〜20%の水素と窒素の混合ガス)等の
還元性ガスを吹込み、ベースフアン5により炉内還元性
ガスを対流させながら、バーナー6に点火してインナー
カバー3の外部から鋼板コイル1を間接的に加熱する方
法が取られている。
【0004】通常、焼鈍雰囲気ガスとして使用されるH
NXガスは、高純度で水分の含有量も少なく露点が−5
0〜−80℃以下である。しかしながら、実際の焼鈍雰
囲気の露点は、鋼板コイルのストリップ表面に付着した
水分の蒸発により、加熱開始初期から上昇し、通常の加
熱速度10〜20℃/Hrで昇温すると、焼鈍雰囲気の
露点は水蒸気含有量の増加により±0℃以上まで上昇す
る。その結果、鋼板中のCおよびMnの含有量が高い高
炭素鋼板や、Cr含有量の高いステンレス鋼板において
は、昇温速度の早いコイルエッジ部において、以下に示
すような酸化反応や脱炭反応が生じ、その用途、機能上
大きな問題となる。 C+H2O→CO+H2 Mn+H2O→MnO+H2 2Cr+H2O→Cr2O3+3H2
NXガスは、高純度で水分の含有量も少なく露点が−5
0〜−80℃以下である。しかしながら、実際の焼鈍雰
囲気の露点は、鋼板コイルのストリップ表面に付着した
水分の蒸発により、加熱開始初期から上昇し、通常の加
熱速度10〜20℃/Hrで昇温すると、焼鈍雰囲気の
露点は水蒸気含有量の増加により±0℃以上まで上昇す
る。その結果、鋼板中のCおよびMnの含有量が高い高
炭素鋼板や、Cr含有量の高いステンレス鋼板において
は、昇温速度の早いコイルエッジ部において、以下に示
すような酸化反応や脱炭反応が生じ、その用途、機能上
大きな問題となる。 C+H2O→CO+H2 Mn+H2O→MnO+H2 2Cr+H2O→Cr2O3+3H2
【0005】上記従来のベル型焼鈍炉における鋼板コイ
ルの焼鈍においては、ストリップ表面に付着した水分を
強制的に排除させる機能を有していないため、ストリッ
プ表面の水分の蒸発とコイルエッジの昇温を抑制をコン
トロールすることにより、上記反応の抑制が図られてい
た。すなわち、加熱初期の鋼板コイルの温度を水分が蒸
発し、テンパカラーが発生しない温度域である100〜
400℃に保持し、この間HNXガスを大量にインナー
カバー内に供給する、いわゆるシェルフィングを行うこ
とによって、水分の蒸発および置換を促進させる方法が
行われていた。しかしこの方法は、通常の焼鈍時間内で
は焼鈍雰囲気の露点を−10〜−20℃程度にできる
が、前記脱炭および酸化反応の抑制の観点からは必ずし
も十分ではなく、十分に満足する効果を得るには、長時
間のシェルフィングを必要とし、生産性が著しく阻害さ
れ、しかもHNXガスの消費量が著しく増大するという
問題点を有している。
ルの焼鈍においては、ストリップ表面に付着した水分を
強制的に排除させる機能を有していないため、ストリッ
プ表面の水分の蒸発とコイルエッジの昇温を抑制をコン
トロールすることにより、上記反応の抑制が図られてい
た。すなわち、加熱初期の鋼板コイルの温度を水分が蒸
発し、テンパカラーが発生しない温度域である100〜
400℃に保持し、この間HNXガスを大量にインナー
カバー内に供給する、いわゆるシェルフィングを行うこ
とによって、水分の蒸発および置換を促進させる方法が
行われていた。しかしこの方法は、通常の焼鈍時間内で
は焼鈍雰囲気の露点を−10〜−20℃程度にできる
が、前記脱炭および酸化反応の抑制の観点からは必ずし
も十分ではなく、十分に満足する効果を得るには、長時
間のシェルフィングを必要とし、生産性が著しく阻害さ
れ、しかもHNXガスの消費量が著しく増大するという
問題点を有している。
【0006】上記バッチ焼鈍炉における鋼板コイルの焼
鈍におけるテンパカラーを防止する方法としては、前記
方法以外に種々の提案が行われている。例えば、炉内に
不活性ガスまたは還元性ガスを通入しながら炉内の真空
度を10-3トール以下で操業する方法(特開昭56−5
919号公報)、焼鈍炉点火直後少なくとも5時間、イ
ンナーカバー内への雰囲気ガスの1時間当りの供給量
を、インナカバー内の空間容積の70%以上に設定して
焼鈍する方法(特開昭57−137428号公報)ある
いは所定成分組成の耐候性フェライト系ステンレス鋼帯
を光輝焼鈍するに際し、光輝焼鈍炉の炉内ガスとしてH
2比率が50%以上で露点が−40〜−50℃のものを
使用し、材料温度を980℃以上で焼鈍する方法(特開
平1−306520号公報)等がある。
鈍におけるテンパカラーを防止する方法としては、前記
方法以外に種々の提案が行われている。例えば、炉内に
不活性ガスまたは還元性ガスを通入しながら炉内の真空
度を10-3トール以下で操業する方法(特開昭56−5
919号公報)、焼鈍炉点火直後少なくとも5時間、イ
ンナーカバー内への雰囲気ガスの1時間当りの供給量
を、インナカバー内の空間容積の70%以上に設定して
焼鈍する方法(特開昭57−137428号公報)ある
いは所定成分組成の耐候性フェライト系ステンレス鋼帯
を光輝焼鈍するに際し、光輝焼鈍炉の炉内ガスとしてH
2比率が50%以上で露点が−40〜−50℃のものを
使用し、材料温度を980℃以上で焼鈍する方法(特開
平1−306520号公報)等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭56−59
19号公報に開示の方法は、鋼板表面の酸化防止には有
効であるが、焼鈍中常時真空ポンプを運転しなければな
らないので、運転時間が長く、コスト増につながる。ま
た、高温で真空度を10-3トール以下に保持することが
必要であるため、従来真空炉と呼ばれる専用炉で実施さ
れており、既設のベル型焼鈍炉ではインナーカバーの強
度、雰囲気ガスのシール性等の問題で実施不可能であ
る。特開昭57−137428号公報に開示の方法は、
雰囲気ガスの使用量が増大しコスト増となる。また、得
られる雰囲気ガスの露点は、−10〜−20℃で普通鋼
の表面酸化防止には有効であるが、高炭素鋼板およびス
テンレス鋼板の表面酸化防止には十分でない。また、特
開平1−306520号公報に開示の方法は、表面酸化
の防止には有効であるが、タイトコイルでのバッチ焼鈍
炉において、雰囲気ガスの露点−40〜−50℃を得る
には、ストリップ間付着水分が長時間に亘って蒸発する
ため、実現困難である。
19号公報に開示の方法は、鋼板表面の酸化防止には有
効であるが、焼鈍中常時真空ポンプを運転しなければな
らないので、運転時間が長く、コスト増につながる。ま
た、高温で真空度を10-3トール以下に保持することが
必要であるため、従来真空炉と呼ばれる専用炉で実施さ
れており、既設のベル型焼鈍炉ではインナーカバーの強
度、雰囲気ガスのシール性等の問題で実施不可能であ
る。特開昭57−137428号公報に開示の方法は、
雰囲気ガスの使用量が増大しコスト増となる。また、得
られる雰囲気ガスの露点は、−10〜−20℃で普通鋼
の表面酸化防止には有効であるが、高炭素鋼板およびス
テンレス鋼板の表面酸化防止には十分でない。また、特
開平1−306520号公報に開示の方法は、表面酸化
の防止には有効であるが、タイトコイルでのバッチ焼鈍
炉において、雰囲気ガスの露点−40〜−50℃を得る
には、ストリップ間付着水分が長時間に亘って蒸発する
ため、実現困難である。
【0008】この発明の目的は、ベル型バッチ焼鈍炉に
おける高炭素鋼板およびステンレス鋼板の焼鈍におい
て、コイルエッジ部の脱炭、酸化反応を抑制してテンパ
ーカラーの発生を抑制できる焼鈍方法を提供することに
ある。
おける高炭素鋼板およびステンレス鋼板の焼鈍におい
て、コイルエッジ部の脱炭、酸化反応を抑制してテンパ
ーカラーの発生を抑制できる焼鈍方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験研究を行った。その結果、テンパ
ーカラーは、焼鈍温度が300℃を超えると次第に発生
しはじめるが、その間の雰囲気ガスの露点、O2濃度を
十分に低下させておけば、テンパーカラーの発生を防止
できること、ベル型バッチ焼鈍炉での焼鈍前の不活性ガ
スパージによるインナーカバー内の空気の置換に替え
て、インナーカバー内の空気を真空引きすることによっ
て、ストリップ表面に付着した水分を外部に完全に排除
できることを究明し、この発明に到達した。
を達成すべく種々試験研究を行った。その結果、テンパ
ーカラーは、焼鈍温度が300℃を超えると次第に発生
しはじめるが、その間の雰囲気ガスの露点、O2濃度を
十分に低下させておけば、テンパーカラーの発生を防止
できること、ベル型バッチ焼鈍炉での焼鈍前の不活性ガ
スパージによるインナーカバー内の空気の置換に替え
て、インナーカバー内の空気を真空引きすることによっ
て、ストリップ表面に付着した水分を外部に完全に排除
できることを究明し、この発明に到達した。
【0010】すなわちこの発明は、ベル型バッチ焼鈍炉
を用いて鋼板コイルを焼鈍する方法において、焼鈍用バ
ーナー点火前にインナーカバー内の空気を10トール以
下まで真空引きし、しかるのち焼鈍雰囲気ガスを投入し
て常圧に戻し、バーナーに点火して焼鈍するのである。
を用いて鋼板コイルを焼鈍する方法において、焼鈍用バ
ーナー点火前にインナーカバー内の空気を10トール以
下まで真空引きし、しかるのち焼鈍雰囲気ガスを投入し
て常圧に戻し、バーナーに点火して焼鈍するのである。
【0011】また、ベル型バッチ焼鈍炉を用いて鋼板コ
イルを焼鈍する方法において、インナーカバー内空気を
不活性ガスにより置換したのち、焼鈍雰囲気ガスを投入
して焼鈍用バーナーに点火し、予め鋼板コイルを100
〜400℃に加熱してストリップ表面に付着した水分を
蒸発せしめたのち、その温度を保持したままでインナー
カバー内の焼鈍雰囲気ガスを10トール以下まで真空引
きし、しかるのち再度焼鈍雰囲気ガスを投入して常圧に
戻し、昇温して焼鈍するのである。
イルを焼鈍する方法において、インナーカバー内空気を
不活性ガスにより置換したのち、焼鈍雰囲気ガスを投入
して焼鈍用バーナーに点火し、予め鋼板コイルを100
〜400℃に加熱してストリップ表面に付着した水分を
蒸発せしめたのち、その温度を保持したままでインナー
カバー内の焼鈍雰囲気ガスを10トール以下まで真空引
きし、しかるのち再度焼鈍雰囲気ガスを投入して常圧に
戻し、昇温して焼鈍するのである。
【0012】
【作用】この発明においては、焼鈍用バーナー点火前に
インナーカバー内の空気を10トール以下まで真空引き
するから、ストリップ表面に付着した水分が外部に排除
される。しかるのちインナーカバー内に焼鈍雰囲気ガス
を投入して常圧に戻し、バーナーに点火して焼鈍する。
したがって、インナーカバー内の空気を不活性ガスで置
換したのち、焼鈍雰囲気ガスを投入して焼鈍する従来方
式では、点火開始時−10〜−20℃であったインナー
カバー内雰囲気ガス露点が加熱初期より上昇し、±0℃
以上まで上昇するが、本発明方法では、加熱開始前のイ
ンナーカバー内雰囲気ガス露点が−40℃以下まで低減
しており、昇温に伴って露点が上昇しても−20℃以下
を保持することが可能となり、高炭素鋼板やステンレス
鋼板の焼鈍において、エッジ部の脱炭を防止できると共
に、ストリップの表面酸化を大幅に低減することができ
る。
インナーカバー内の空気を10トール以下まで真空引き
するから、ストリップ表面に付着した水分が外部に排除
される。しかるのちインナーカバー内に焼鈍雰囲気ガス
を投入して常圧に戻し、バーナーに点火して焼鈍する。
したがって、インナーカバー内の空気を不活性ガスで置
換したのち、焼鈍雰囲気ガスを投入して焼鈍する従来方
式では、点火開始時−10〜−20℃であったインナー
カバー内雰囲気ガス露点が加熱初期より上昇し、±0℃
以上まで上昇するが、本発明方法では、加熱開始前のイ
ンナーカバー内雰囲気ガス露点が−40℃以下まで低減
しており、昇温に伴って露点が上昇しても−20℃以下
を保持することが可能となり、高炭素鋼板やステンレス
鋼板の焼鈍において、エッジ部の脱炭を防止できると共
に、ストリップの表面酸化を大幅に低減することができ
る。
【0013】また、予め鋼板コイルを100〜400℃
に加熱してストリップ表面に付着した水分を蒸発せしめ
たのち、その温度を保持したままでインナーカバー内の
焼鈍雰囲気ガスを10トール以下まで真空引きするか
ら、ストリップ表面から蒸発した水分が速やかに外部に
排出される。しかるのち再度焼鈍雰囲気ガスを投入して
常圧に戻し、昇温して焼鈍するから、ストリップ表面に
付着した水分の蒸発により上昇したインナーカバー内の
雰囲気ガス露点が、テンパーカラーの発生前に−40℃
以下に低減され、高炭素鋼板やステンレス鋼板の焼鈍に
おいても、エッジ部の脱炭を防止できると共に、ストリ
ップの表面酸化を大幅に低減することができる。
に加熱してストリップ表面に付着した水分を蒸発せしめ
たのち、その温度を保持したままでインナーカバー内の
焼鈍雰囲気ガスを10トール以下まで真空引きするか
ら、ストリップ表面から蒸発した水分が速やかに外部に
排出される。しかるのち再度焼鈍雰囲気ガスを投入して
常圧に戻し、昇温して焼鈍するから、ストリップ表面に
付着した水分の蒸発により上昇したインナーカバー内の
雰囲気ガス露点が、テンパーカラーの発生前に−40℃
以下に低減され、高炭素鋼板やステンレス鋼板の焼鈍に
おいても、エッジ部の脱炭を防止できると共に、ストリ
ップの表面酸化を大幅に低減することができる。
【0014】この発明において、インナーカバー内の真
空引きの真空度を10トール以下としたのは、10トー
ルを超える真空度ではストリップ表面に付着した水分の
外部への排除が十分ではないからである。また、インナ
ーカバー内の真空引きの真空度は、低いほど好ましいが
10-5トール以下となると現状の技術水準では経済的に
不利となる。また、予め鋼板コイルを100〜400℃
に加熱するのは、100℃未満ではストリップ表面に付
着した水分の蒸発促進効果が少なく、400℃を超える
と蒸発した水分と鋼板が反応して前記脱炭、酸化反応が
発生し、テンパーカラーが発生する。しかも、高温状態
で真空引きするのは、既設のインナーカバーの強度等か
ら困難であり、400℃に昇温する間に水分が十分に低
減されるため、これ以上の温度での真空引きは不要であ
る。
空引きの真空度を10トール以下としたのは、10トー
ルを超える真空度ではストリップ表面に付着した水分の
外部への排除が十分ではないからである。また、インナ
ーカバー内の真空引きの真空度は、低いほど好ましいが
10-5トール以下となると現状の技術水準では経済的に
不利となる。また、予め鋼板コイルを100〜400℃
に加熱するのは、100℃未満ではストリップ表面に付
着した水分の蒸発促進効果が少なく、400℃を超える
と蒸発した水分と鋼板が反応して前記脱炭、酸化反応が
発生し、テンパーカラーが発生する。しかも、高温状態
で真空引きするのは、既設のインナーカバーの強度等か
ら困難であり、400℃に昇温する間に水分が十分に低
減されるため、これ以上の温度での真空引きは不要であ
る。
【0015】なお、この発明においては、インナーカバ
ー内の真空引きを、焼鈍バーナー点火前または予め鋼板
コイルを100〜400℃に加熱してストリップ表面に
付着した水分を蒸発せしめたのちとしたが、図3に示す
とおり、焼鈍バーナー点火前に真空引きしたのち、予め
鋼板コイルを100〜400℃に加熱してストリップ表
面に付着した水分を蒸発せしめ再度真空引きすれば、さ
らに脱炭、酸化反応の防止効果が大きくなることはいう
までもない。
ー内の真空引きを、焼鈍バーナー点火前または予め鋼板
コイルを100〜400℃に加熱してストリップ表面に
付着した水分を蒸発せしめたのちとしたが、図3に示す
とおり、焼鈍バーナー点火前に真空引きしたのち、予め
鋼板コイルを100〜400℃に加熱してストリップ表
面に付着した水分を蒸発せしめ再度真空引きすれば、さ
らに脱炭、酸化反応の防止効果が大きくなることはいう
までもない。
【0016】
実施例1 表1に示す成分組成の高炭素鋼板コイルをベル型バッチ
焼鈍炉に装入し、インナーカバーおよびアウタカバーを
被せたのち、焼鈍バーナー点火前に60分間10-3トー
ルで真空引きし、雰囲気ガスとしてHNXガスを投入し
たのち、焼鈍バーナーに点火して80℃/Hrで720
℃まで昇温し、その温度で22時間保持したのち、その
まま放冷した本発明法と、比較のため焼鈍バーナー点火
前に窒素ガスで置換したのち、雰囲気ガスとしてHNX
ガスを投入し、焼鈍バーナーに点火して80℃/Hrで
720℃まで昇温し、その温度で22時間保持したの
ち、そのまま放冷した従来法のそれぞれについて、エッ
ジ部のテンパーカラーの幅、粒界酸化深さ、脱炭深さを
測定した。その結果を表2に示す。また、鋼板コイルを
ベル型バッチ焼鈍炉に装入以降のインナーカバー内の雰
囲気温度と経過時間および雰囲気ガス露点を図1に示
す。
焼鈍炉に装入し、インナーカバーおよびアウタカバーを
被せたのち、焼鈍バーナー点火前に60分間10-3トー
ルで真空引きし、雰囲気ガスとしてHNXガスを投入し
たのち、焼鈍バーナーに点火して80℃/Hrで720
℃まで昇温し、その温度で22時間保持したのち、その
まま放冷した本発明法と、比較のため焼鈍バーナー点火
前に窒素ガスで置換したのち、雰囲気ガスとしてHNX
ガスを投入し、焼鈍バーナーに点火して80℃/Hrで
720℃まで昇温し、その温度で22時間保持したの
ち、そのまま放冷した従来法のそれぞれについて、エッ
ジ部のテンパーカラーの幅、粒界酸化深さ、脱炭深さを
測定した。その結果を表2に示す。また、鋼板コイルを
ベル型バッチ焼鈍炉に装入以降のインナーカバー内の雰
囲気温度と経過時間および雰囲気ガス露点を図1に示
す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】図1に示すとおり、従来法では加熱開始前
の雰囲気ガス露点−20℃が加熱開始に伴い10℃まで
上昇しているのに対し、本発明法では焼鈍バーナー点火
前の60分間の真空引きによって、雰囲気ガス露点が−
40℃まで低下しており、加熱開始に伴い上昇するが−
20℃近傍までである。その結果、表2に示すとおり、
本発明法は従来法に比較し、テンパーカラーの幅が従来
法の1/5に低減された。また、粒界酸化および脱炭
は、ほとんど認められなかった。
の雰囲気ガス露点−20℃が加熱開始に伴い10℃まで
上昇しているのに対し、本発明法では焼鈍バーナー点火
前の60分間の真空引きによって、雰囲気ガス露点が−
40℃まで低下しており、加熱開始に伴い上昇するが−
20℃近傍までである。その結果、表2に示すとおり、
本発明法は従来法に比較し、テンパーカラーの幅が従来
法の1/5に低減された。また、粒界酸化および脱炭
は、ほとんど認められなかった。
【0020】実施例2 表3に示す成分組成のSUS430のステンレス鋼板コ
イルをベル型バッチ焼鈍炉に装入し、インナーカバーお
よびアウタカバーを被せたのち、インナーカバー内を窒
素ガスで置換したのち、焼鈍雰囲気ガスとしてHNXガ
スを投入し、焼鈍バーナーに点火して300℃/Hrで
300℃まで昇温せしめたのち、その温度で2時間保持
し、ついで10-4トールで60分間真空引きしてストリ
ップ表面から蒸発した水分を外部に排除した。そして再
度焼鈍雰囲気ガスとしてHNXガスを投入してインナー
カバー内を常圧となし、80℃/Hrで850℃まで昇
温して40時間保持して焼鈍し、しかるのちそのまま放
冷した本発明法と、比較のため焼鈍バーナー点火前に窒
素ガスで置換したのち、雰囲気ガスとしてHNXガスを
投入し300℃で10時間保持したのちに、80℃/H
rで850℃まで昇温し、その温度で40時間保持した
のち、そのまま放冷した従来法のそれぞれについて、エ
ッジ部のテンパーカラーの幅を測定した。その結果を表
4に示す。また、鋼板コイルをベル型バッチ焼鈍炉に装
入以降のインナーカバー内の雰囲気温度と経過時間およ
び雰囲気ガス露点を図2に示す。
イルをベル型バッチ焼鈍炉に装入し、インナーカバーお
よびアウタカバーを被せたのち、インナーカバー内を窒
素ガスで置換したのち、焼鈍雰囲気ガスとしてHNXガ
スを投入し、焼鈍バーナーに点火して300℃/Hrで
300℃まで昇温せしめたのち、その温度で2時間保持
し、ついで10-4トールで60分間真空引きしてストリ
ップ表面から蒸発した水分を外部に排除した。そして再
度焼鈍雰囲気ガスとしてHNXガスを投入してインナー
カバー内を常圧となし、80℃/Hrで850℃まで昇
温して40時間保持して焼鈍し、しかるのちそのまま放
冷した本発明法と、比較のため焼鈍バーナー点火前に窒
素ガスで置換したのち、雰囲気ガスとしてHNXガスを
投入し300℃で10時間保持したのちに、80℃/H
rで850℃まで昇温し、その温度で40時間保持した
のち、そのまま放冷した従来法のそれぞれについて、エ
ッジ部のテンパーカラーの幅を測定した。その結果を表
4に示す。また、鋼板コイルをベル型バッチ焼鈍炉に装
入以降のインナーカバー内の雰囲気温度と経過時間およ
び雰囲気ガス露点を図2に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】図2に示すとおり、従来法では加熱開始前
の雰囲気ガス露点−20℃が加熱開始に伴い10℃まで
上昇しているのに対し、本発明法では加熱開始により上
昇し、テンパーカラーの発生しない300℃で10℃程
度まで上昇した露点が、真空引きによって−40℃まで
低下し、しかるのち、雰囲気ガスを投入して常圧としな
し、850℃まで昇温して40時間の焼鈍においても−
30℃以下に保持されている。この結果、表4に示すと
おり、本発明法は従来法に比較し、テンパーカラーの幅
が従来法の1/3に減少している。
の雰囲気ガス露点−20℃が加熱開始に伴い10℃まで
上昇しているのに対し、本発明法では加熱開始により上
昇し、テンパーカラーの発生しない300℃で10℃程
度まで上昇した露点が、真空引きによって−40℃まで
低下し、しかるのち、雰囲気ガスを投入して常圧としな
し、850℃まで昇温して40時間の焼鈍においても−
30℃以下に保持されている。この結果、表4に示すと
おり、本発明法は従来法に比較し、テンパーカラーの幅
が従来法の1/3に減少している。
【0024】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、ベル型バッチ焼鈍炉による鋼板コイルの焼鈍におい
て、焼鈍雰囲気ガス中の水分に起因するコイルエッジ部
の脱炭、粒界酸化反応を大幅に抑制でき、テンパーカラ
ーの発生を従来法の1/3〜1/5に低減できる。この
ため、エッジ部のトリム量の減少による歩留向上を図る
ことができる。
ば、ベル型バッチ焼鈍炉による鋼板コイルの焼鈍におい
て、焼鈍雰囲気ガス中の水分に起因するコイルエッジ部
の脱炭、粒界酸化反応を大幅に抑制でき、テンパーカラ
ーの発生を従来法の1/3〜1/5に低減できる。この
ため、エッジ部のトリム量の減少による歩留向上を図る
ことができる。
【図1】実施例1における鋼板コイルをベル型バッチ焼
鈍炉に装入以降のインナーカバー内の雰囲気温度と経過
時間および雰囲気ガス露点の関係を示すグラフである。
鈍炉に装入以降のインナーカバー内の雰囲気温度と経過
時間および雰囲気ガス露点の関係を示すグラフである。
【図2】実施例2における鋼板コイルをベル型バッチ焼
鈍炉に装入以降のインナーカバー内の雰囲気温度と経過
時間および雰囲気ガス露点の関係を示すグラフである。
鈍炉に装入以降のインナーカバー内の雰囲気温度と経過
時間および雰囲気ガス露点の関係を示すグラフである。
【図3】この発明方法の他の具体的な一例の模式図であ
る。
る。
【図4】一般的なベル型バッチ焼鈍炉の説明図である。
1 鋼板コイル 2 ベース金物 3 インナーカバー 4 アウタカバー 5 ベースフアン 6 バーナー
Claims (2)
- 【請求項1】 ベル型バッチ焼鈍炉を用いて鋼板コイル
を焼鈍する方法において、焼鈍用バーナー点火前にイン
ナーカバー内の空気を10トール以下まで真空引きし、
しかるのち焼鈍雰囲気ガスを投入して常圧に戻し、バー
ナーに点火して焼鈍することを特徴とするベル型バッチ
焼鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法。 - 【請求項2】 ベル型バッチ焼鈍炉を用いて鋼板コイル
を焼鈍する方法において、インナーカバー内空気を不活
性ガスにより置換したのち、焼鈍雰囲気ガスを投入して
焼鈍用バーナーに点火し、予め鋼板コイルを100〜4
00℃に加熱してストリップ表面に付着した水分を蒸発
せしめたのち、その温度を保持したままでインナーカバ
ー内の焼鈍雰囲気ガスを10トール以下まで真空引き
し、しかるのち再度焼鈍雰囲気ガスを投入して常圧に戻
し、昇温して焼鈍することを特徴とするベル型バッチ焼
鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24450191A JPH0559456A (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | ベル型バツチ焼鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24450191A JPH0559456A (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | ベル型バツチ焼鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0559456A true JPH0559456A (ja) | 1993-03-09 |
Family
ID=17119615
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24450191A Pending JPH0559456A (ja) | 1991-08-28 | 1991-08-28 | ベル型バツチ焼鈍炉における鋼板コイルの焼鈍方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0559456A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107002159A (zh) * | 2015-04-02 | 2017-08-01 | 株式会社Ihi | 热处理装置 |
-
1991
- 1991-08-28 JP JP24450191A patent/JPH0559456A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107002159A (zh) * | 2015-04-02 | 2017-08-01 | 株式会社Ihi | 热处理装置 |
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