JPH0558980A - α−シアノ桂皮酸エステル系化合物及び該化合物からなる有機非線形光学材料 - Google Patents

α−シアノ桂皮酸エステル系化合物及び該化合物からなる有機非線形光学材料

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JPH0558980A
JPH0558980A JP31486691A JP31486691A JPH0558980A JP H0558980 A JPH0558980 A JP H0558980A JP 31486691 A JP31486691 A JP 31486691A JP 31486691 A JP31486691 A JP 31486691A JP H0558980 A JPH0558980 A JP H0558980A
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JP
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nonlinear optical
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cyano
optical material
methylpropyl
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JP31486691A
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Takahiro Hidaka
敬浩 日高
Hideki Hayashi
秀樹 林
Hiroyuki Nakatani
博之 中谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな非線形光学効果を有し、室温で安定で
耐光損傷性に優れ、反転対称中心を持たない単結晶を形
成し、必要に応じて大きな単結晶に成長させることがで
きる有機非線形光学材料を提供すること。 【構成】 下記一般式〔I〕で表されるα−シアノ桂皮
酸エステル系化合物、及び該化合物からなる非線形光学
材料。 【化1】 ただし、一般式〔I〕中、各記号の意味は下記の通りで
ある。 D:NH2、N(CH32、N(C252またはNHC
OCH3 R:CHまたはCH=CH−CH R’:CH(CH3)CH2CH3、CH(CH3)(CH
25CH3またはCH(CH3)(C66

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な有機化合物に関
し、さらに詳しくは、有機発光材料、レーザー色素、非
線形光学材料などとして有用なα−シアノ桂皮酸エステ
ル系化合物に関する。また、本発明は、該α−シアノ桂
皮酸エステル系化合物からなる有機非非線形光学材料に
関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料は、レーザー光の周波数
変換、増幅、発振、スイッチングなどの現象を生じ、第
2高調波発生(SHG)、第3高調波発生(THG)、
高速度シャッター、光メモリー、光演算素子などへの応
用が可能である。このように、非線形光学材料は、光周
波数を変換する機能を有しているほか、電場によって屈
折率が変化する特質を生かした光スイッチなどへの応用
が可能であるため、活発な研究が進められている。
【0003】従来、非線形光学材料としては、主に無機
系の単結晶材料が用いられており、実用化されている例
としては、例えば、KH2PO4を変換材料として用い
た、強力なYAGレーザーの第2高調波発生が挙げら
れ、慣性核融合用短波長レーザードライバーやウラン分
離用色素レーザー励起光源等として用いられている。一
方、最近では、尿素やp−ニトロアニリン、2−メチル
−4−ニトロアニリン、4−(N,N−ジメチルアミ
ノ)−4′−ニトロスチルベンなどの有機非線形光学材
料の開発が進められている。
【0004】有機非線形光学材料は、一般に、非線形性
の起源が分子内π電子や分子間電荷移動等であるため、
光応答に対して格子振動を伴わず、したがって無機材料
に比べ応答が速く、また、非線形光学定数が大きいもの
や吸収領域が変化できるものなどを合成することが可能
である。しかも、材料素子化の方法も、単結晶化による
だけではなく、LB膜、蒸着法、液晶化、高分子化など
の各種の方法が考えられる。
【0005】非線形光学材料の最近の研究成果について
は、例えば、加藤、中西監修「有機非線形光学材料」
(シー・エム・シー社、1985年発行)、D.S.C
HEMLA J.ZYSS編“Nonlinear O
ptical Properties and Cry
stals”Vol.I,Vol.II(ACADEM
IC PRESS,1987年発行)、梅垣真祐著「有
機非線形光学材料」(ぶんしん出版、1990年発行)
などの文献にまとめられている。
【0006】ところで、非線形光学材料には、一般に、
次のような特性を有することが求められる。 (1)非線形光学効果のうち、特に第2高調波発生(S
HG)は、変換の効率が高い等の理由から波長変換の基
本技術として位置付けられており、SHG効率(第2高
調波の相対強度)の高いことが求められる。
【0007】(2)SHG等の2次の非線形光学効果を
生じさせるには、その物質は反転対称中心を欠くことが
必要な条件であり、また、結晶となった場合に、例え
ば、分子がその双極子モーメントを互いに相殺するよう
に配列して反転対称中心を持つに至ることのないことが
実用上求められる。
【0008】(3)室温で安定でかつ出来るだけ大きな
単結晶を形成するものであることが望まれる。 (4)現在の半導体レーザーの波長は800nm程度で
あるので、極大波長やカットオフ波長は出来るだけ短波
長領域にあることが望ましい。
【0009】ところが、公知の無機非線形光学材料は、
純度の高い単結晶が高価であり、潮解性を有し、しかも
有機材料に比して一般にSHG効率が小さく、光の波長
変換も限られた範囲でしか利用できないという欠点があ
る。一方、有機非線形光学材料には、一般にSHG効率
の大きいものがあることは知られているが、室温で安定
かつ大きな結晶を調製するのが困難である。これまで、
下記の一般式〔II〕
【0010】
【化5】 〔ただし、式中、D1〜D5は、CH3、C25、OC
3、OC25、N(CH32またはN(C252であ
り、X、YおよびZは、−CN、−COORまたはNO
2である。〕で表わされるスチレン誘導体はよく知られ
ているが、これらの公知化合物は、比較的大きな非線形
感受率βを有するものの、中心対称を持つ結晶を形成し
易く、その結晶は、必ずしも非線形効果を有しない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の有する問題点を克服し、大きな非線形光学効
果を有し、室温で安定で耐光損傷性に優れ、反転対称中
心を持たない単結晶を形成し、必要に応じて大きな単結
晶に成長させることができる有機非線形光学材料を提供
することにある。
【0012】本発明者らは、鋭意研究した結果、α−シ
アノ桂皮酸エステル系化合物であって、エステル結合し
た置換基に、キラルな炭素を導入した構造の化合物が、
分子自体反転対称中心を有していないのみならず、その
結晶も反転対称中心を有せず、SHGが発現することを
見出した。しかも、これらの化合物は、文献未載の新規
化合物である。本発明は、これらの知見に基づいて完成
するに至ったものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、下記一般式〔I〕で表されるα−シアノ桂皮酸エス
テル系化合物が提供される。
【0014】
【化6】 ただし、一般式〔I〕中、各記号の意味は下記の通りで
ある。 D:NH2、N(CH32、N(C252またはNHC
OCH3 R:CHまたはCH=CH−CH R’:
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】 または
【0017】
【化9】 また、本発明によれば、該α−シアノ桂皮酸エステル系
化合物からなる有機非線形光学材料が提供される。
【0018】以下、本発明について詳述する。前記一般
式〔I〕で表わされる化合物は、いずれも比較的大きな
π電子共役系を有し、電子供与基としてアミノ基、ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基またはアセチルアミノ
基を有し、電子吸引基としてシアノ基およびアルコキシ
カルボニル基を有する化合物であり、分子内電荷移動効
果が期待される。また、これらの化合物は、いずれもs
ec−ブチル基、sec−オクチル基または1−フェニ
ルエチル基の中にキラル中心炭素があるため、結晶化し
た場合に反転対称性が崩れ、SHG活性が生じたものと
推定できる。
【0019】一般式〔I〕で表される一連の化合物は、
予め調製した(S)−シアノ酢酸sec−ブチルエステ
ル、(R)−シアノ酢酸1′−メチルヘプチルエステ
ル、または(R)−シアノ酢酸1′−フェニルエチルエ
ステルなどと、相当する芳香族アルデヒドとの縮合反応
により合成することができる。
【0020】一般式〔I〕で表される化合物の具体例
と、その合成法について説明する。(1)(S)−2−
シアノ−3−(4−アミノフェニル)−2−プロペン酸
1′−メチルプロピル
【0021】
【化10】 この化合物は、p−アミノベンズアルデヒドと(S)−
シアノ酢酸sec−ブチルエステルを反応させることに
より得ることができる。
【0022】
【化11】
【0023】(2)(S)−2−シアノ−3−(4−ジ
メチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−メチル
プロピル
【0024】
【化12】 この化合物は、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドと
(S)−シアノ酢酸sec−ブチルエステルを反応させ
ることにより得ることができる。
【0025】(3)(S)−2−シアノ−3−(4−ジ
エチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−メチル
プロピル
【0026】
【化13】 この化合物は、p−ジエチルアミノベンズアルデヒドと
(S)−シアノ酢酸sec−ブチルエステルを反応させ
ることにより得ることができる。
【0027】
【化14】
【0028】(4)(S)−シアノ−3−(4−アセチ
ルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロ
ピル
【0029】
【化15】 この化合物は、p−アセチルアミノベンズアルデヒドと
(S)−シアノ酢酸sec−ブチルエステルを反応させ
ることにより得ることができる。
【0030】
【化16】
【0031】(5)(R)−2−シアノ−3−(4−ジ
メチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−フェニ
ルエチル
【0032】
【化17】 この化合物は、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドと
(R)−シアノ酢酸1′−フェニルエチルエステルを反
応させることにより得ることができる。
【0033】
【化18】
【0034】(6)(S)−2−シアノ−5−(4−ジ
メチルアミノフェニル)−2,4−ペンタジエン酸1′
−メチルプロピル
【0035】
【化19】 この化合物は、p−ジメチルアミノシンナムアルデヒド
とシアノ酢酸sec−ブチルエステルを反応させること
により得ることができる。
【0036】(7)(R)−2−シアノ−3−(4−ジ
メチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−メチル
ヘプチル
【0037】
【化20】 この化合物は、p−ジメチルアミノベンズアルデヒドと
(S)−シアノ酢酸1′−メチルヘプチルエステルを反
応させることにより得ることができる。
【0038】
【化21】
【0039】これらの化合物は、結晶性が良好であり、
室温で安定で、光損傷を受けにくく、また、加工が容易
であるためデバイス化も容易である。そして、これらの
化合物は、優れた非線形光学効果を示し、粉末、単結
晶、溶液などの各種の態様で、非線形光学材料として用
いることができる。また、これらの化合物は、有機発光
材料やレーザー色素などとしても用途も期待できる。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、いうまでもなく本発明は、これらの実施例のみ
に限定されるものではない。
【0041】[実施例1] 〔(S)−2−シアノ−3−(4−アミノフェニル)−
2−プロペン酸1′−メチルプロピルの合成〕 (1)シアノ酢酸15gと(S)−sec−ブチルアル
コール10gに40mlの1,2−ジクロロエタンを加
え溶解させたのち、触媒量の硫酸を滴下して12時間還
流した。放冷した後、50mlの水を加えて有機層を分
離した。この有機層をNaHCO3水溶液で洗浄し、N
2SO4で一夜乾燥した。この溶液から溶媒を留去し、
減圧蒸留を行い(80℃/4mmHg)目的物である
(S)−シアノ酢酸sec−ブチルエステルを得た。
【0042】(2)上記で得られた(S)−シアノ酢酸
sec−ブチルエステル2.0mlに、ピペリジン10
滴、ベンゼン20mlを加えて、油温100℃で還流し
ながら、市販のp−アミノベンズアルデヒドモノマー
1.63gを抽出し、6時間反応を行った。反応終了
後、析出した固体をベンゼンで洗浄し、真空乾燥して目
的物である(S)−2−シアノ−3−(4−アミノフェ
ニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルを得た。
【0043】(3)次に、生成物の融点、赤外線スペク
トル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括し
て示す。 融点 :125℃ IR(KBr) :3480,3370(Ar−NH
2),2230(−CN),1700(−CO−O
−),1580(Ar−C=C)[cm-1] UV(EtOH) :λmax=406[nm] NMR(DMSO):0.91(t,3H),1.24
(d,3H),1.62(quint,2H),4.8
9(m,1H),6.66(d,2H),6.70
(S,2H),7.83(d,2H),8.01(S,
1H)[ppm]
【0044】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(S)−2−シアノ−3−(4−アミノフェニル)
−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの微粉末結晶に
Nd:YAGレーザー(波長=1.064μm、出力1
0mJ/パルス)を照射すると、第2高調波(SHG)
が発生し、入射光の1/2の波長(532nm)の緑色
光が観測出来た。また、SHG効率は、尿素と同程度で
あった。この結晶は、室温で安定であり、結晶性に優
れ、光損傷は見られなかった。以上の事実から、この化
合物が優れた有機非線形光学材料であることが確認され
た。
【0045】[実施例2] 〔(S)−2−シアノ−3−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの合成〕 (1)実施例1で得られた(S)−シアノ酢酸−sec
−ブチルエステル2.0mlに、p−ジメチルアミノベ
ンズアルデヒド1.49g、ピペリジン10滴、ベンゼ
ン20mlを加えて、100℃で6時間反応を行った。
反応終了後、析出した固体を酢酸エチル/ヘキサンで再
結晶して目的物である(S)−2−シアノ−3−(4−
ジメチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−メチ
ルプロピルを得た。
【0046】(2)次に、生成物の赤外線スペクトル
(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核磁気
共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括して示
す。
【0047】IR(KBr) :2220(−C
N),1710(−CO−O−),1570(Ar−C
=C),1280(Ar−N)[cm-1]UV(EtO
H) :λmax=423[nm] NMR(DMSO):1.02(t,3H),1.37
(d,3H),1.74(m,2H),3.43(s,
6H),5.02(m,1H),6.96(d,2
H),8.09(d,2H),8.21(d,1H)
[ppm]
【0048】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(S)−2−シアノ−3−(4−ジメチルアミノフ
ェニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの微粉
末結晶にNd:YAGレーザー(波長=1.064μ
m、出力10mJ/パルス)を照射すると、第2高調波
(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(532n
m)の緑色光が観測出来た。また、SHG効率は、尿素
と同程度であった。この結晶は、室温で安定であり、結
晶性に優れ、光損傷は見られなかった。以上の事実か
ら、この化合物が優れた有機非線形光学材料であること
が確認された。
【0049】[実施例3] 〔(S)−2−シアノ−3−(4−ジエチルアミノフェ
ニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの合成〕 (1)実施例1で得られた(S)−シアノ酢酸sec−
ブチルエステル2.0mlに、p−ジエチルアミノベン
ズアルデヒド1.77g、ピペリジン10滴、ベンゼン
20mlを加えて、100℃で6時間反応を行った。反
応終了後、析出した固体を酢酸エチル/ヘキサンで再結
晶して目的物である(S)−2−シアノ−3−(4−ジ
エチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′−メチル
プロピルを得た。
【0050】(2)次に、生成物の融点、赤外線スペク
トル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括し
て示す。 融点 :103℃ IR(KBr) :2210(−CN),1710
(−CO−O−),1620(Ar−C=C),129
0(Ar−N)[cm-1] UV(EtOH) :λmax=430[nm] NMR(DMSO):0.90(t,3H),1.25
(d,3H) 1.62(m,2H),3.30(s,6H),3.4
8(q,4H),4.90(m,1H),6.82
(d,2H),7.94(d,2H),8.05(d,
1H)[ppm]
【0051】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(S)−2−シアノ−3−(4−ジエチルアミノフ
ェニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの微粉
末結晶にNd:YAGレーザー(波長=1.064μ
m、出力10mJ/パルス)を照射すると、第2高調波
(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(532n
m)の緑色光が観測出来た。また、SHG効率は、尿素
と同程度であった。この結晶は、室温で安定であり、結
晶性に優れ、光損傷は見られなかった。以上の事実か
ら、この化合物が優れた有機非線形光学材料であること
が確認された。
【0052】[実施例4] 〔(S)−2−シアノ−3−(4−アセチルアミノフェ
ニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの合成〕 (1)実施例1で得られた(S)−シアノ酢酸sec−
ブチルエステル2.0mlに、p−アセチルアミノベン
ズアルデヒド1.63g、ピペリジン10滴、ベンゼン
20mlを加えて、油温100℃で6時間反応を行っ
た。反応終了後、析出した固体を酢酸エチル/ヘキサン
で再結晶して目的物である(S)−2−シアノ−3−
(4−アセチルアミノフェニル)−2−プロペン酸1′
−メチルプロピルを得た。
【0053】(2)次に、生成物の融点、赤外線スペク
トル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括し
て示す。 融点 :120℃ IR(KBr) :3350(−CO−NH−),3
200−2900(CH3)2250(−CN),17
20(−CO−O−),1700(−CO−NH−),
1600(Ar−C=C)[cm-1] UV(EtOH) :λmax=351[nm] NMR(DMSO):1.03(t,3H),1.39
(d,3H),1.77(quint,2H),2.2
2(s,3H),5.06(m,1H),7.89
(d,2H),8.16(d,2H),8.38(S,
1H),10.54(S,1H)[ppm]
【0054】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(S)−2−シアノ−3−(4−アセチルアミノフ
ェニル)−2−プロペン酸1′−メチルプロピルの微粉
末結晶にNd:YAGレーザー(波長=1.064μ
m、出力10mJ/パルス)を照射すると、第2高調波
(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(532n
m)の緑色光が観測出来た。また、SHG効率は、尿素
と同程度であった。この結晶は、室温で安定であり、結
晶性に優れ、光損傷は見られなかった。以上の事実か
ら、この化合物が優れた有機非線形光学材料であること
が確認された。
【0055】[実施例5] 〔(R)−2−シアノ−3−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−2−プロペン酸1′−フェニルエチルの合成〕 (1)シアノ酢酸15gと(R)−1−フェニルエタノ
ール10gに40mlの1,2−ジクロロエタンを加え
溶解させたのち、触媒量の硫酸を滴下して6時間還流し
た。放冷した後、50mlの水を加えて有機層を分離し
た。この有機層をNaHCO3水溶液で洗浄し、Na2
4で一夜乾燥した。この溶液から溶媒を留去し、減圧
蒸留を行い目的物である(R)−シアノ酢酸1′−フェ
ニルエチルエステルを得た。
【0056】(2)上記で得られた(R)−シアノ酢酸
1′−フェニルエチルエステル2.0mlに、p−ジメ
チルアミノベンズアルデヒド1.49g、ピペリジン1
0滴、ベンゼン20mlを加えて、油温100℃で6時
間反応を行った。反応終了後、析出した固体を酢酸エチ
ル/ヘキサンで再結晶して目的物である(R)−2−シ
アノ−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−プロ
ペン酸1′−フェニルエチルを得た。
【0057】(3)次に、生成物の融点、赤外線スペク
トル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括し
て示す。 融点 :114℃ IR(KBr) :2210(−CN),1705
(−CO−O−),1620(Ar−C=C),127
0(Ar−N)[cm-1] UV(EtOH) :λmax=427[nm] NMR(DMSO):1.64(d,3H),3.10
(s,3H),6.04(q,1H),6.69(d,
2H),7.30(d,1H),7.36(t,2
H),7.44(d,2H),7.93(d,2H),
8.06(d,1H)[ppm]
【0058】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(R)−2−シアノ−3−(4−ジメチルアミノフ
ェニル)−2−プロペン酸1′−フェニルエチルの微粉
末結晶にNd:YAGレーザー(波長=1.064μ
m、出力10mJ/パルス)を照射すると、第2高調波
(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(532n
m)の緑色光が観測出来た。また、SHG効率は、尿素
と同程度であった。この結晶は、室温で安定であり、結
晶性に優れ、光損傷は見られなかった。以上の事実か
ら、この化合物が優れた有機非線形光学材料であること
が確認された。
【0059】[実施例6] 〔(S)−2−シアノ−5−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−2,4−ペンタジエン酸1′−メチルプロピル
の合成〕 (1)実施例1で得られた(S)−シアノ酢酸sec−
ブチルエステル2.0mlに、p−ジメチルアミノシン
ナムアルデヒド1.75g、ピペリジン10滴、ベンゼ
ン20mlを加えて、100℃で6時間反応を行った。
反応終了後、析出した固体を酢酸エチル/ヘキサンで再
結晶して目的物である(S)−2−シアノ−5−(4−
ジメチルアミノフェニル)−2,4−ペンタジエン酸
1′−メチルプロピルを得た。
【0060】(2)次に、生成物の融点、赤外線スペク
トル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括し
て示す。 融点 :121℃ IR(KBr) :2220(−CN),1710
(−CO−O−),1550(Ar−C=C),129
0(Ar−N)[cm-1] UV(EtOH) :λmax=471[nm] NMR(DMSO):0.95(t,3H),1.30
(d,3H),1.55(m,2H),3.07(s,
6H),4.98(quint,1H),6.67
(d,2H),7.07(dd,1H),7.18
(d,1H),7.48(d,2H),7.95(d,
1H)[ppm]
【0061】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(S)−2−シアノ−5−(4−ジメチルアミノフ
ェニル)−2,4−ペンタジエン酸1′−メチルプロピ
ルの微粉末結晶にNd:YAGレーザー(波長=1.0
64μm、出力10mJ/パルス)を照射すると、第2
高調波(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(5
32nm)の緑色光が観測出来た。また、SHG効率
は、尿素との2倍程度であった。この結晶は、室温で安
定であり、結晶性に優れ、光損傷は見られなかった。以
上の事実から、この化合物が優れた有機非線形光学材料
であることが確認された。
【0062】[実施例7] 〔(R)−2−シアノ−3−(4−ジメチルアミノフェ
ニル)−2−プロペン酸1′−メチルヘプチルの合成〕 (1)シアノ酢酸15gと(R)−2−オクタノール1
0gに40mlの1,2−ジクロロエタンを加え溶解さ
せたのち、触媒量の硫酸を滴下して6時間還流した。放
冷した後、50mlの水を加えて有機層を分離した。こ
の有機層をNaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4
一夜乾燥した。この溶液から溶媒を留去し、減圧蒸留を
行い目的物である(R)−シアノ酢酸1′−メチルヘプ
チルエステルを得た。
【0063】(2)上記で得られた(R)−シアノ酢酸
1′−メチルヘプチルエステル2.0mlに、p−ジメ
チルアミノベンズアルデヒド1.49g、ピペリジン1
0滴、ベンゼン20mlを加えて、油温100℃で6時
間反応を行った。反応終了後、析出した固体を酢酸エチ
ル/ヘキサンで再結晶して目的物である(R)−2−シ
アノ−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−プロ
ペン酸1′−メチルヘプチルを得た。
【0064】(3)次に、生成物の融点、赤外線スペク
トル(IR)、紫外線吸収スペクトル(UV)および核
磁気共鳴吸収スペクトル(NMR)の測定結果を一括し
て示す。 融点 :54℃ IR(KBr) :3050−2900(C−H),
2230(−CN),1710(−CO−O−),15
90(Ar−C=C),1270(Ar−N)[c
-1] UV(EtOH) :λmax=423[nm] NMR(DMSO):0.85(t,3H),1.24
−1.29(m,11H),1.52−1.64(m,
2H),3.09(s,6H),4.92−5.00
(m,1H),6.84(d,2H),7.96(d,
2H),8.09(s,1H)[ppm]
【0065】〔非線形光学効果の確認実験〕前記で得ら
れた(R)−2−シアノ−3−(4−ジメチルアミノフ
ェニル)−2−プロペン酸1′−メチルヘプチルの微粉
末結晶にNd:YAGレーザー(波長=1.064μ
m、出力10mJ/パルス)を照射すると、第2高調波
(SHG)が発生し、入射光の1/2の波長(532n
m)の緑色光が観測出来た。また、SHG効率は、尿素
と同程度であった。この結晶は、室温で安定であり、結
晶性に優れ、光損傷は見られなかった。以上の事実か
ら、この化合物が優れた有機非線形光学材料であること
が確認さ
【0066】
【発明の効果】本発明のα−シアノ桂皮酸エステル系化
合物は、室温で安定かつ結晶性が良好で、SHG活性が
大きく、耐光損傷性に優れた有機非線形光学材料であ
る。さらに、大きな蛍光が見られることから発光材料お
よびレーザー色素としても実用上重要な意義を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔I〕で表されるα−シアノ
    桂皮酸エステル系化合物。 【化1】 ただし、一般式〔I〕中、各記号の意味は下記の通りで
    ある。 D:NH2、N(CH32、N(C252またはNHC
    OCH3 R:CHまたはCH=CH−CH R’: 【化2】 、 【化3】 または 【化4】
  2. 【請求項2】 請求項1記載のα−シアノ桂皮酸エステ
    ル系化合物からなることを特徴とする有機非線形光学材
    料。
JP31486691A 1990-11-28 1991-11-28 α−シアノ桂皮酸エステル系化合物及び該化合物からなる有機非線形光学材料 Pending JPH0558980A (ja)

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JP14714891 1991-06-19
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JP3-147148 1991-06-19
JP14714991 1991-06-19
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2826365A1 (fr) * 2001-06-20 2002-12-27 Oreal Compositions cosmetiques photoprotectrices contenant des derives amides, sulfonamides ou carbamates aromatiques d'acrylonitrile et nouveaux derives amides, sulfonamides ou carbamates d'acrylonitrile
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