JPH0557862B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ 本発明は、例えば膝等の関節腔内における軟
骨、繊維性組織或いは腫瘍等を効率良く切除可能
とする外科用切除器具に関する。

［従来の技術］ 数十年前から人体の関節は目視深針、つまり内
視鏡を挿入すれば目視できることは知られていた
が、関節手術は主として切開法で行われていた。
例えば、代表的な関節の手術は、膝蓋骨上の腫瘍
を除去したり、膝関節から破損した軟骨等を切除
すること等であるが、大きな切開を必要として
た。このため、切開による外傷、苦痛等がなくな
る程度まで直るのに多くの時間を要するという欠
点を有していた。

又、関節腔内の半月等の軟骨を切除しなければ
ならない場合のように、狭い腔内での組織の切除
ということは、大きく切開しなければ殆んど行う
ことができなかつた。

このため、近年、関節鏡の観察のもとで、切開
しないで、小さな穿刺孔を形成し、該穿刺孔に挿
入されたプローブを使用して手術する外科用切除
器具が種々提案されている。例えば、特開昭59−
186548号に開示されている従来例は、例えば、膝
関節内の破損した関節半月、腫瘍等を切除するた
めの切除器具として中空の挿入部の先端側にカツ
プ状で対向する２つの刃を設け、その一方を開閉
可能な開閉刃にすると共に、該開閉刃の刃先に逃
げを防止する突出部を設け、且つ手元側に切除し
た組織片等を吸引して排出可能とする手段を設け
ている。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記従来例では、切除対象となる関節内組織が
弾力的で粘性を持つているので、切除の際、組織
への食い付きが十分でなく、組織の逃げも発生
し、効率の良い切除が行えない不都合が発生する
場合があつた。

本発明は上述した点にかんがみてなされたもの
で、例えば膝関節体腔内における軟骨、腫瘍等の
切除されるべき組織への食い付きが良好で、組織
の逃げを防止して効率良く切除できる外科用切除
器具を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段及び作用］ この器具では、細長の外管４内に内管５を挿通
し、この内管５先端側に互いに拡開するよう付勢
されて分岐され、各先端に切除用の刃部８を設け
た鍵刃７，７を形成し、且つ外管４の先端周縁に
切除用の刃部６を形成し、前記外管４に対し、内
管５を前後動させることによつて、複数の鍵刃
８，８を開閉して組織を把持し、切除すると共
に、外管４の先端の刃部６によつても組織を切除
できる。

［実施例］ 以下、図面を参照して本発明を具体的に説明す
る。

第１図ないし第５図は本発明の第１実施例に係
り、第１図は第１実施例の全体を示し、第２図は
挿入部先端側の縦断面図で刃が突出した状態、第
３図は刃を引き込んだ状態、第４図は第３図の符
号Ａ方向から見た矢視図、第５図は第１実施例の
使用例を示す。

第１図に示すように第１実施例の外科用切除器
具１は手元側の操作部２と、この操作部から前方
へ延設されて体腔内、例えば関節腔内へ挿入され
る細長の挿入部３とから構成される。前記挿入部
３は基部を操作部２に固定した外管４と、この外
管４内に軸方向に摺動自在に内装された内管５か
ら成り、外管４の先端には周縁に鋭く尖つた刃を
設けた外管刃部６が形成されている。又、内管５
は、第２図又は第３図に示すようにその先端側
に、例えば上下方に１対の鍵刃７，７が内管５の
軸方向に分岐形成され、これら鍵刃７，７の先端
側が拡開するように付勢してある。しかして各鍵
刃７の先端には鋭く尖つた鍵刃部８がそれぞれ形
成されている。これら鍵刃部８，８は、前方に突
出する１対の鍵刃７，７に対して、略90°に近い
角度で対向する内側に突出させてあり、弾力性を
有する組織に対しても食い付きが良好で、組織の
逃げを十分防止できるように形成してあり、鍵刃
部８，８を閉じることによつて、切除できるよう
にしてある。又、上記外管４の先端に、外管刃部
６を設けることによつて、上記鍵刃部８，８で把
持した状態の組織を、外管刃部６によつても切除
できるようにしてある。

上記内管５の中空管路は切片吸引路９として利
用されるためのもので、先端側から操作部２側の
吸引口金１０に連通し、この吸引口金１０に接続
される吸引手段にて切片吸引路９内の切除された
切片を吸引して排除できるようにしてある。

上記外管４操作部側端部（手元側端部）は、固
定ハンドル１１に固着され、一方、内管５の操作
部側端部は、駆動ハンドル１２に接続してあり、
これら固定ハンドル１１及び駆動ハンドル１２は
枢支部１３にて一方のハンドル１１に対し、他方
のハンドル１２が適宜角度にわたり回動できるよ
うにしてある。従つて、操作する者は、固定ハン
ドル１１の下端にループ状に設けた指掛け１４
と、駆動ハンドル１２の下端に設けた指掛け１５
に指を入れて、第１図に示す状態から矢印Ｂで示
すように指掛け１４，１５を閉じるように回動さ
せると、第１図又は第２図に示すように外管４の
先端から突出する状態であつた鍵刃７，７は、内
管５が外管４内を後方に摺動するのに伴つて、外
管刃部６側に退避し、両指掛け１４，１５を閉じ
た状態では、挿入部３の先端側は第２図に示す状
態から第３図に示す状態になるようにしてある。
この場合第３図のＡ方向から見た図は第４図に示
すようになる。尚、内管５におけるハンドル１２
との接続部は、例えば内管５外周の２箇所にピン
１６，１６（第１図では一方のみを示す）を突設
し、一方ハンドル１２側には、各ピン１６を係入
する孔が形成されている。各孔は、枢支部１３方
向に若干長孔となる形状にしてある。

このように構成された第１実施例の動作を以下
に説明する。

第５図に示すように目的とする部位、例えば膝
関節内で半月等の切除を行う場合、膝部に第１実
施例の先端側を挿入できる小孔をトラカール等の
穿刺操作等によつて設け、挿入部３先端側を挿入
する。この場合、ハンドル１１，１２を互いに引
きよせて、鍵刃７を閉じた第３図に示す状態で挿
入する。

又、上記第１実施例の目的部位への挿入及び目
的部位の切除を観察しながら行えるように、関節
鏡２１の照明及び観察光学系が配設された関節鏡
挿入部２２をトラカール等の穿刺操作によつて導
入し、関節鏡２１の接眼部に眼を近接して、又は
装着したテレビカメラ２３によつて、投影した映
像を表示装置４６の画面に関節孔内の様子及び第
１実施例の先端を観察できる状態にする。

さらに、生理的食塩水を制御された水圧で、給
水源２５から穿刺した給水管２６を経て関節内に
供給できる状態する。又、吸引口金１０にはチユ
ーブを介して吸引装置２７に接続する。

このように設定した状態で、照明光源３１の照
明光によつて関節鏡２１の挿入部２２内を挿通さ
れたライトガイドを経て照明された関節腔内を術
者は表示装置２４で観察しながら、第１実施例の
外科用切除器具１の先端側を脛骨３２と大腿骨３
３との間の狭い関節腔内に挿入し、その内側にあ
る切除部位となる半月部位等に先端刃先部を近接
ないしは当接させる。（第５図においては、膝部
の一部を切欠いて示してある。）。

しかして、ハンドル１１，１２を開き、鍵刃
７，７を開き、切除部位をその開いた鍵刃７，７
先端の鍵刃部８，８で把持し、この状態で指掛け
１４，１５を閉じるハンドル操作をすると、外管
４に対し、相対的に内管５が後方に移動して、鍵
刃７，７の先端の鍵刃部８，８の間隔が小さくな
り、該鍵刃部８，８に当接する部分の組織が切除
されたり、組織に鍵刃部８，８が食い込んでい
く。

又、このハンドル操作によつて、鍵刃７，７は
外管４内側に順次収納されていくことになり、こ
の際鍵刃部８，８で食い込み把持された組織の先
端画合（切除器具側から言えば外管４に近い方）
は外管４先端に形成された外管刃部６に当接し、
切除されることになる。

このようにして、ハンドル１１，１２を閉じる
と、鍵刃部８，８は第３図に示すように、その先
端が閉じた状態になり、この状態になると、切除
部位は切除されて組織片として鍵刃７，７内側に
収納される。手元側には吸引装置２７が接続され
ているので、潅流液と共に切片吸引路９を通り、
吸引装置２７に吸引され、排出口等から排出され
る。

このように動作する第１実施例によれば、切除
すべき部位が例えば軟骨（関節半月、関節軟骨）
等の弾力性を有する組織あるいは腫瘍等の組織で
あつても、鍵刃７，７の先端の鍵刃部８，８で逃
げを防止し、ハンドル操作で簡単、且つ効率良く
切除できると共に、切除された組織片は、吸引手
段により手元側に移送されるので、迅速且つ短時
間で切除による治療処置を終えることができる。

第６図は、本発明の第２実施例の外科用切除器
具４１を示す。

この第２実施例は、外管４を回動する構造にし
てある。

第７図に拡大して示すように、外管４の手元側
を段部状に拡径にした拡径部４２を形成し、固定
ハンドル１１の上端側に設けた筒状の外管接続部
材４３に回動自在に外装されている。この拡径部
４２には、螺旋状又は斜めに歯を形成したウオー
ムホイール４４が固着してある。一方、このウオ
ームホイール４４に係合するウオーム４５が挿入
部３の軸方向に延設してあり、このウオーム４５
を前後動させると、ウオームホイール４４は回動
されるようにしてある。このウオーム４５は例え
ば後端側をＬ字状に屈曲させて、内管５に固定し
てある。

尚、外管４を回動させた場合、外れないように
太径部４２にはピン４６を突設し、このピン４６
は接続部材４３の周溝に嵌入させてある。

その他は上記第１実施例と同様である。

この第２実施例によれば、ハンドル１１，１２
を回動すると、内管５が外管４に対して相対的に
移動し、この際ウオーム４５が共に移動するた
め、このウオーム４５に係合するウオームホイー
ル４４が回転駆動される。従つて、鍵刃部８，８
で把持した組織は、回動する外管刃部６で切除さ
れることになる。

この第２実施例によれば、外管刃部６での切除
機能を増大できる。

尚、ウオームホイール４４に対向して形成され
たウオーム４５の位置を例えば第７図における左
側位置の一部のみに形成する等することによつ
て、内管５が適宜移動された場合にのみ回動させ
るようにすることもできる。

尚、上記各実施例では、鍵刃は２枚（２個）で
形成されているが３個以上で形成することもでき
る。又、外管４の先端周縁に形成した刃部として
は図示のものに限らず、例えば挿入部３の軸方向
にスリツト状の切欠きを形成し、且つこの切欠き
縁部を鋭くして刃部を形成し、回転の際に組織を
切除し易くすることもできる。

［発明の効果］ 弾力性を有する軟骨その他の組織への食い付き
が良好で、逃げを防止して効率良く切除できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本発明の第１実施例に係
り、第１図は第１実施例の全体を示す側面図、第
２図は鍵刃を突出させて開いた状態での挿入部先
端側を示す縦断面図、第３図は鍵刃を閉じ、外管
内に退避させた状態での挿入部先端側を示す縦断
面図、第４図は第３図の矢印Ａ方向から見た挿入
部先端を示す正面図、第５図は第１実施例の使用
状態を示す説明図、第６図は本発明の第２実施例
を示す側面図、第７図は外管の手元側部分を拡大
して示す縦断面図である。 １，４１……外科用切除器具、２……操作部、
３……挿入部、４……外管、５……内管、６……
外管刃部、７……鍵刃、８……鍵刃部、９……切
片吸引路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 細長の外管内を挿通された内管の先端側に分
   岐されて互いに開拡するよう付勢され、先端に鋭
   い刃部を設けた鍵刃を設け、該鍵刃を外管先端か
   ら進退自在に形成して前記鍵刃を開閉可能にする
   と共に、外管先端の周縁に刃部を設けたことを特
   徴とする外科用切除器具。