JPH0557383A - 自動鍛造プレスのトランスフアー自動段替装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 自動鍛造プレスのトランスファー装置の金型
交換を合理化する。 【構成】 クランク軸とトランスファー装置の駆動部を
直結し、ビームを周期的にサイクル運動する運動カムの
うち、アドバンスリターン用運動カム３１のリターン曲
面中央を挟んでカム回転軸の中心３２を中心とする円弧
面３３を切込んで曲面を二分する。円弧面では運動カム
が回転してもビームは停止したままであるから、ラムの
下死点の前後に亘ってビームが特定の位置で必ず停止す
る。 【効果】 ラムの下死点に多少のずれが生じてもビーム
は影響されずに正しい位置へ停止し微調整を必要としな
いから、そのための装置を省くことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は自動鍛造プレスにおける
トランスファー装置の金型を自動的に交換する段替装置
に係る。

【０００２】

【従来の技術】鍛造プレスのクランク軸と連結しプレス
運動とトランスファー運動とを同期させる自動鍛造プレ
スにおいては、図９に示すように従来から鍛造プレス本
体１ａのクランク軸とトランスファー装置４ａをギアボ
ックス３ａを介して連結し、通常のプレス作業時の駆動
を伝えるとともに、伝動軸２ａの中間にクラッチ１０１
を介在させてトランスファー装置の駆動とクランク軸の
駆動の同期を遮断自在とした。その代りにトランスファ
ー装置４ａの作動を単独で行うために微速回転モータ１
０２とブレーキ１０３を設けてトランスファー装置内の
ビームを動かして段替をするための正しい位置で停止す
るように構成している。

【０００３】トランスファー装置の概略を図１０に基づ
いて説明すると、ビーム４０は駆動側の固定ビーム４
１，中間ビーム４２，従動側の固定ビーム４３の３本の
ビームを着脱自在に連結し、中間ビーム４２には加工品
の形状に適したフィンガー７０を複数取付け下ボルスタ
ー１６の上に載せた下金型１８上で一定の軌跡を描いた
サイクル運動を行う。この三次元運動は図の右上に示す
ようにクランプ工程Ｃ，上昇工程Ｕ，アドバンス工程
Ａ，下降工程Ｄ，アンクランプ工程Ｗ，リターン工程Ｒ
の順に運動を繰り返して素材等を金型から金型へ搬送す
る。この運動を起こすのは図示しないプレスのクランク
軸に連結した伝動軸が駆動部４５内のカム軸に回転を伝
え、カムの形状によってそれぞれの工程を連続的に進行
するものであり、３本のビームは連結した状態で素材を
掴んで規則的に持ち運ぶ。

【０００４】図１１イ，ロ，ハ，ニは鍛造プレス１のラ
ム１１の位置とビーム４０の位置の関係を示したもの
で、ベッド１２の上に下アダプタ１４，下ボルスター１
６を係止して下金型１８を載せ、一方ラム１１の下に上
アダプター１３，上ボルスター１５を係止して上金型１
７を吊支し昇降する。図の中でビーム４０に付した矢印
は次工程に移動する方向を示し、Ａ（アドバンス）は紙
面の表から裏へ進む方向、Ｒ（リターン）は紙面の裏か
ら表へ進む方向を示している。このラムの上下とビーム
４０の移動の関係をまとめたのが図１２であって横軸が
クランク角度、縦軸がストローク長さを示し、クランク
角度１８０°においてラムの下死点Ｋがあり、そのとき
ビームはＲ（リターン）の丁度中間点に達した位置にあ
ることを表している。

【０００５】予定した製品ロッドの生産が終了すると次
の製品ロッドを生産するために金型を取り替えなければ
ならない。すなわち段替作業に入るが、基本的には上下
のアダプター１３，１４と上下のボルスター１５，１６
の係止を解き、上ボルスター１５と上金型１７とを下金
型１８の上に重ね、中間ビーム４２と両側の固定ビーム
４１，４３の連結を外し、下ボルスターから上を図１０
に示すようにレール１９上を移動搬出し、次の上下金型
と中間ビームを含む上下ボルスターを反対側から搬入す
る手順を踏む。この段替作業は従来は作業員の手作業に
頼っていたが、生産性の向上を求めて自動化または省力
化するいくつかの提案があり、たとえば実平１−１３９
９４６号公報，実開昭５７−５６５２７号公報，実開昭
５７−１０８８４０号公報，実開昭５９−８１５３５号
公報などが挙げられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記の段替に関する従
来技術のうち、実開平１−１３９９４６号公報を除いた
他のものは手作業の負担を軽減するための考案に留ま
り、最初の引用技術だけが無人段替装置を目指した点に
特徴があるものと解される。ところで段替、すなわち金
型交換の時期はリターン工程Ｒの中間点、すなわち鍛造
プレスの下死点Ｋで行うことが要件である。この時点に
おいてだけ上下の金型が完全に重なり合っているから、
まとめて搬出するのに一番適しているためであり、一方
フィンガーを突出したビーム同士は相互に最も遠く離れ
て最下降点に位置するから下型の表面へ上型を重ねるの
に妨げとはならない好都合な時機に当るのである。とこ
ろがリターン工程Ｒにあるビームは大きく移動している
最中であるから鍛造プレスのラムの工程Ｐの下死点Ｋが
少しずれてもビームの位置は大きく変動する。図１３は
図１２のビームの位置とクランク角度との関係を拡大し
て示したものでラムの下死点位置が角度Ｅだけずれて
（１８０°±Ｅ）となると、ビームの停止位置は距離Ｆ
又はＧだけ変動し常に定点を保つことが難しいという課
題がある。このため従来技術はすべて前述のように伝動
軸２ａの中間にクラッチ１０１を介装して、鍛造プレス
のラムがほぼ下死点の近くで停止するとクラッチを作動
させて鍛造プレスとトランファ装置の動力伝達を切り離
しトランスファー装置へは微速回転モータ１０２とブレ
ーキ１０３を作動させてトランファー装置だけを微速で
動かしビームを正しい位置へ停止するように微調整して
いるのである。しかしながらトランスファー装置全体が
複雑化し段替手順も煩雑となるうえ、装置の価格も高騰
せざるを得ないという課題は依然として残っている。

【０００７】本発明は以上に述べた課題を解決するため
にクラッチによる鍛造プレスからの駆動力の切り替えを
必要とせず、ビームの停止位置を微調整する必要もない
トランスファー自動段替装置の提供を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る自動鍛造プ
レスのトランスファー自動段替装置は、クランク軸と直
結しトランスファー駆動部内へ装着されて、相対向する
１組のビームの三次元運動を駆動する複数の運動カムの
うち、アドバンス，リターン用運動カム（以下「ＡＲカ
ム」という）のリターン曲面中央を挟んでカムの回転軸
中心を中心とする円弧面を切込み該曲面を二分したこと
によって前記の課題を解決した。

【０００９】またこれに関連して前記の１組のビームは
それぞれ従動側の固定ビーム，中間ビーム，駆動側の固
定ビームの３本を油圧駆動のビームクランプによって着
脱自在に連結して形成し、中間ビームは単独でビームサ
ポート装置によって昇降自在に支保され、従動側および
駆動側の固定ビームはそれぞれ単独で昇降用運動カムの
変位を昇降ロッドに伝達するレバーに取付けた昇降用シ
リンダーによって昇降させる手段を設けた。

【００１０】

【作用】本発明の基本的構成は図１に示すように鍛造プ
レス１のクランク軸から伝動軸２を介してギヤボックス
３と直結し、トランスファー装置４へ駆動力を伝達す
る。図１０における駆動部４５内にはビームを移動する
６工程を順次作動させる運動カムが内蔵しているが、そ
のうちアドバンスとリターンの両工程を受持つＡＲカム
３１を図２(イ)に示す。このカムの一方の曲面はアドバ
ンス工程Ａを作動するもので従来と変らないが、他方の
曲面にはカムの回転軸中心の３２を中心とする半径Ｍの
円弧面３３を中央を挟んで切込み、二つの曲面３４，３
５に分割している。すなわちＡＲカム３１はリターン工
程において前期リターンＲ₁ と後期リターンＲ₂ に二分
され、その間に挟まってＡＲカムが回転しても位相が進
まない休止点Ｑを形成する作用が生じる。なお図(ロ)は
従来のＡ₀Ｒ₀カム３１ａであり回転軸の中心点３２ａを
中心に偏心運動を続けるにつれ連続したリターン工程Ｒ
を作動する。図３，図４は本発明のクランク角度とスト
ローク長さの関係を図示したもので、比較のため従来技
術の同じ関係図（図１２，図１３）を点線で転写した。
この図で明らかなとおり、本発明のビームはラムの下死
点Ｋを挾むある範囲に亘ってリターン工程Ｒが中断する
休止点Ｑがあり、クランク角度が角度Ｅだけずれてもビ
ームの位置は一定不変で影響を受けることなく所定位置
に停止する作用を特徴とするのである。

【００１１】

【実施例】本発明の実施例を説明するがトランスファー
装置の構成自体は図１０に示した従来技術と同じである
から重複を避けて補足すると、従動側の固定ビーム４３
は従動部４６に、また駆動側の固定ビーム４１は駆動部
４５にそれぞれ単独でも昇降可能となるように支えられ
つつ中間ビーム４２と着脱自在に連結している。図５は
両固定ビーム４１，４３と中間ビーム４２を連結するビ
ームクランプ５０を示す断面図であり、クランプロッド
５１の先端のＴ字状ヘッド５２はビームの上下方向に貫
通している溝５３に嵌入して図の接続口中央部から負荷
を伝える油圧によって両ビームを連結する。連結を外す
には接続口左右２ヶ所に油圧の負荷を加えて両ビームの
拘束を外す。固定ビームを昇降してＴ字状ヘッドを溝か
ら抜出す作用が必要である。図６はビームクランプ５０
のＴ字状ヘッド５２と溝５３とを切り離すために、トラ
ンスファ装置４の運動カムが停止中であってもそれぞれ
の固定ビーム４１，４３が昇降する機構を示したもの
で、具体的には駆動部４５内に軸支された昇降用運動カ
ム３７の外周を転動するＬ字形のレバー５５は上方に昇
降ロッド５６を載せて他端に伸縮自在の昇降シリンダー
５４を回動自在に本体へ取付けている。この昇降シリン
ダー５４は昇降用運動カム３７が回転している時にはレ
バー５５の運動が昇降用運動カム面から離れないように
制御する役目を果している。プレスが停止してトランス
ファ装置及び昇降用運動カム３７の回転が停止した場合
には昇降シリンダー５４を油圧で作動させ伸張すると昇
降ロッド５６と共に固定ビーム４１および４３を上昇さ
せることができる。このようにして中間ビーム４２と固
定ビーム４１，４３との間には段差ができるからビーム
４０の連結を切離すことが出来る。

【００１２】図７、イ〜ニはこの実施例の段替手順を経
時的変化で捉え示したものである。鍛造プレスのプレス
作業が停止し上下の金型１７，１８が重なった下死点の
段階で既に述べたようにビーム４０は相互に最も遠く離
れた最下方の位置に正しく停止している。このとき下ア
ダプター１４は鍛造プレスのベッド上に固定されその上
に下ボルスター１６を下クランプシリンダ８３と下クラ
ンパ８４とによってクランプし、さらにクランプを外し
た状態で下ボルスター１６から上の部材を昇降するリフ
トシリンダー８５とリフトアーム８６を具えている。下
ボルスター１６の上に下金型１８を取付け、金型の前後
方向にビームサポート装置６０を具えている。一方上金
型１７は上ボルスター１５に取付けられ、上ボルスター
１５は上アダプター１３に具えた上クランパ８２と上ク
ランプシリンダー８１によって上アダプタと係脱自在に
吊支されている。図(イ)においてはラム１１が下死点で
停止し段替作業の開始する状態であり、各部材は鍛造プ
レスに対応して作動するように係合した関係にある。図
(ロ)では上アダプター１３にある上クランパ８２と上ク
ランプシリンダー８１とが作動して上アダプターと上ボ
ルスター１５との係止を外すととも、ビームサポート装
置６０も作動をはじめ、ビームサポート６２が上昇して
ビーム４０を下から支持する。図(ハ)ではビーム４０が
前記のビームクランプ解除と固定ビームの昇降作用によ
って連結が解除し中間ビーム４２だけがビームサポート
６２の上に載って支えられる。その後サポートシリンダ
ー６３が作動してビームサポート６２が下降し、中間ビ
ーム４２をビームホールダー６１へ嵌合保持する。固定
ビーム４１，４３は昇降シリンダー５４によって上昇し
たままの状態であり、中間ビーム４２と高さの差を設け
たからプレスを低速で作動させてラム１１を上死点に移
動して固定ビーム４１，４３が運動しても中間ビーム４
２と干渉することはない。さらに下アダプター１４のク
ランプシリンダー８３と下クランパー８４を作動して下
ボルスター１６との係止を外しリフトシリンダー８５を
作動させるとリフトアーム８６が下ボルスター１６から
上の部材、すなわち上下金型１７，１８、上ボルスター
１５、ビームサポート装置６０、中間ビーム４２までを
まとめて一緒に上昇し下ボルスター１６から内蔵した車
輪が突出し、図(ニ)のように下ボルスターから上ボルス
ターまでの金型一式がレール１９上を搬出されるのであ
る。

【００１３】図８は鍛造プレスに取付けたラムバランサ
ー９１の空気圧力を自動制御する圧力制御弁９４と圧力
電流変換器９３の構成を示したものである。ラム１１の
下部には上アダプター１３，上ボルスター１５，上金型
１７を取付けてプレス作業をするから、作業時にはラム
バランサー９１の空気圧力は前記１１，１３，１５，１
７を合計した重量に釣合わしている。しかし段替作業に
おいては図７(ハ)で説明したように上ボルスター１５と
上金型１７とがラム１１から離脱するからラムバランサ
９１の空気圧力は前記１５，１７に見合った分だけ低下
させなければならない。ラムバランサ９１に加わる重量
と空気圧力とが釣合っていないと、作動中のラム１１を
所望の位置に正確に停止させることができない。ラム１
１の重量及びラム１１に加減すべき重量は事前に判って
いるから、これに見合う空気圧力値も計算できる。この
計算値はマイコン等に予め記憶させておき選択された段
替作業に必要な電気的指示を圧力制御弁９４に与えてラ
ムバランサ９１の空気圧力を制御し、ラム１１の停止位
置の精度を向上させるものであり、自動段替作業に必要
である。

【００１４】以上のように個別に述べた各部材の作動は
すべて一定の順序とタイミングを保って正確に発現され
るように電子的，電気的な制御によって自動化されてい
ることは云うまでもないから、作業者が何ら手を煩わす
ことなく自動的に金型の置換を済ますことができる。

【００１５】

【発明の効果】本発明は鍛造プレス本体の駆動とトラン
スファー装置の駆動を直結し、前記の構成によって他の
駆動手段の補助を受けるまでもなく正確な位置にトラン
スファー装置を停止し、自動的に段替作業を行うことが
できる。作業性，経済性，保全点検などすべての面で従
来の技術をさらに前進させる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の基本構成を示す関係図である。

【図２】(イ)，(ロ)によって本発明と従来技術の運動用
カムを示す。

【図３】クランク軸とストローク長さの関係図である。

【図４】図３の休止点Ｑ付近の拡大図である。

【図５】ビームクランプの断面図である。

【図６】固定ビームの昇降装置を示す。

【図７】イ〜ニによって段替作業の手順を示す。

【図８】ラムバランサーの位置関係を示す。

【図９】従来技術の基本構成を示す関係図である。

【図１０】トランスファ装置の一般形状を示す斜視図で
ある。

【図１１】イ〜ニによって鍛造プレスとビームの位置関
係を示す。

【図１２】従来技術のクランク角度とストローク長さを
示す。

【図１３】図１２の要部の拡大図である。

【符号の説明】

１ 鍛造プレス本体 ２ 伝動軸 ４ トランスファー装置 31 アドバンス、リターン用運動カム（ＡＲカム） 32 カム回転軸中心 33 円弧面 34,35 曲面 36 昇降用カム 40 ビーム 41 駆動側の固定ビーム 42 中間ビーム 43 従動側の固定ビーム 50 ビームクランプ 54 昇降シリンダー 60 ビームサポート装置 Ｍ 円錐面の半径 Ａ アドバンス工程 Ｒ リターン工程 Ｒ₁ 前期リターン工程 Ｒ₂ 後期リターン工程 Ｑ 休止点

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鍛造プレスのクランク軸と連結しプレス
   運動とトランスファー運動とを同期させる自動鍛造プレ
   スのトランスファー装置において、クランク軸と直結し
   トランスファー駆動部内へ装着されて、相対向する１組
   のビームの三次元運動を駆動する複数の運動カムのう
   ち、アドバンスリターン用運動カムのリターン曲面中央
   を挟んでカムの回転軸中心を中心とする円弧面を切込み
   該曲面を二分したことを特徴とする自動鍛造プレスのト
   ランスファー自動段替装置。
2. 【請求項２】 請求項１において１組のビームはそれぞ
   れ従動側の固定ビーム，中間ビーム，駆動側の固定ビー
   ムの３本を油圧駆動のビームクランプによって着脱自在
   に連結して形成し、中間ビームは単独でビームサポート
   装置によって昇降自在に支保され、従動側および駆動側
   の固定ビームはそれぞれ単独で昇降シリンダーによって
   昇降することを特徴とする自動鍛造プレスのトランスフ
   ァー自動段替装置。
3. 【請求項３】 請求項１または２において鍛造プレスの
   ラムバランサは、個有の段替に伴うそれぞれの重量変化
   と対応すべき制御値をあらかじめ記憶したマイコンと、
   該マイコンの指示に応えて作動する圧力制御弁とを具え
   たことを特徴とする自動鍛造プレスのトランスファー自
   動段替装置。