JPH055641Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

《産業上の利用分野》 この考案は、防爆形のアルカリ電池に関し、特
に電池内部に充填された固形物の噴出によるガス
抜きが阻害されることを未然に防止できるように
した構造に関する。 《従来の技術》 アルカリ電池などでは内圧上昇による破裂事故
を未然に防止するために防爆構造となつている。 この防爆構造は、電池ケースの開口部を封止す
る封口ガスケツトの一部に薄肉部を形成したもの
で、電池の内圧が高まると、この薄肉部を破断し
てガスを放出するようになつており、この破断作
用によつて内圧上昇による破裂を防止し、安全性
を保つことができる。 第３図はこの種の防爆構造を採用した従来の筒
形アルカリ電池を示すものであり、１は電池ケー
ス、２は電池ケース１の中央部に突設された負極
集電棒であり、この集電棒２の周縁には負極３、
セパレータ筒４、正極合剤５が同心状に配置され
ている。 そして、ケース１の開口部には中心に前記集電
棒２を貫通させた封口ガスケツト６が嵌合され、
その上面内周部に前記集電棒２に接合する負極端
子板７を抱込んだ状態でケース１の開口周縁をカ
シメ付けることによつて電池内部を気密に封止し
ている。 前記封口ガスケツト６のフランジ部６ｃの一部
には薄肉部８が形成され、さらには前記負極端子
板７の一部には通気孔７ａが形成されている。 以上の構成において、ガス発生により電池の内
圧が高まると、その圧力で最も弱い部分である薄
肉部８が破断し、発生ガスはこの破孔８ａ部分お
よび通気孔７ａを通じて外部に放出され、電池内
部の圧力を調整する。 そして、この破断圧力は薄肉部８の厚みに応じ
て定まるものであつて、破断圧力を低く設定しほ
うが安全性の面で望ましいが、実際には低圧力で
破断するようにした場合には、薄肉部８の強度が
低下し、封口部をかしめたときの割れが問題とな
るため、一般的には破断圧力を20気圧以上に設定
している。 《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、このように比較的高い圧力で破
断する際には、特に、負極３の噴出を伴なう惧れ
が大きくなる。 噴出物が電解液や、ガスであれば破孔８ａ部分
を速やかに通過し、内圧は緩衝されるが、特に、
負極３中の活物質である亜鉛粒子も同時に噴出す
る場合があり、特に、破孔８ａを通過しないよう
な粒度の亜鉛粒子が噴出する場合には亜鉛粒子が
破孔８ａ或いは通気孔７ａを塞ぎ、この状態では
内圧の緩衝が妨げられ、ついには破裂に至る危険
性があつた。 この考案は以上の背景に基づきなされたもので
あり、亜鉛粒などの固形分の噴出を防止し、この
噴出物による破孔または通気孔の閉塞がなく、破
裂などの危険性を未然に防止するようにした防爆
形アルカリ電池を提供することを目的とするもの
である。 《課題を解決するための手段》 前記目的を達成するため、この考案は、ケース
内の中央部に負極を充填するとともに、その周縁
にセパレータ筒を介して隔離された状態で正極合
剤を充填し、前記負極の端面から隔離してこれを
覆う封口ガスケツトによつて前記ケースの開口部
を気密に封止するとともに、前記負極の前記端面
と対向する前記封口ガスケツトの一部に電池の内
圧が所定値以上に上昇した時に破断するガス抜き
用の薄肉部を形成した防爆形アルカリ電池におい
て、前記負極の前記端面を目開き150μm以下に設
定されたネツトで被覆したことを要旨とするもの
である。 《作用》 上記構成のアルカリ電池では、負極の上面を目
の細かいネツトで覆つているので、ガス圧力が高
まり、薄肉部が破断した場合、前記亜鉛粒子が噴
出しようとしても前記ネツトのフイルタ効果によ
つて亜鉛粒子は噴出が阻止され、内容物の噴出に
よる破孔部分または通気孔の閉塞が防止される。 《実施例》 以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。 なお、この考案の要部以外は従来と同様なので
同一部分には同一符号を付し、異なる部分にのみ
異なる符号を付して説明する。 第１図において、１は正極缶を兼用した電池ケ
ース、２は電池ケース１の中央部を貫通して突設
された負極集電棒であり、この集電棒２の周縁に
は負極３、セパレータ筒４、正極合剤５が同心状
に充填配置されている。 そして、ケース１の開口部には中心に前記集電
棒２を貫通させた封口ガスケツト６が嵌合され、
その上面内周部に前記集電棒２に接合する負極端
子板７を抱込んだ状態でケース１の開口周縁をカ
シメ付けることによつて電池内部を気密に封止し
ている。 前記封口ガスケツト６は、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ナイロンなどの合成樹脂の射出成形
体であつて、前記集電棒２を貫通装着する挿通孔
６ａを中心に形成したボス部６ｂと、ボス部６ｂ
の周縁にＷ形に形成されたフランジ部６ｃと、フ
ランジ部６ｃの外周に一体化された立上部６ｄと
からなつており、前記フランジ６ｃの一部にリン
グ状の薄肉部８と、さらにリング状薄肉部８と交
差するように円周上に２ケ所に薄肉の溝部を設け
てある。 そして、このフランジ部６ｃの下部と負極３の
上面との間には隙間が形成され、ガスが発生する
とこの隙間にためこまれた状態で内圧が上昇し、
従来と同様に前記リング状薄肉部８を突き破つて
破孔８ａを生じ、この破孔８ａおよび負極端子板
に開口したガス抜き穴７ａを経て外部に放出され
るようになつている。 また、前記負極亜鉛３の表面にはネツト１０が
固定配置されている。 このネツト１０は、ポリプロピレン、ビニロン
等の耐アルカリ性繊維からなる編物材料、または
ポリプロピレン、ビニロン、リンターパルプなど
の繊維からなる不織布材料であつて、その目の荒
さは、目開き150μm以下となつている。 そして、このネツト１０は第２図に示すように
中央に前記集電棒２を挿通する穴１２を開口して
いるとともに、周縁フランジ部１４を前記セパレ
ータ筒４の内周部に嵌合固定することによつて負
極３の上面を覆つた状態で固定されている。 以上の構成において、電池の貯蔵中に内圧が高
まり、この値が例えば20気圧を越えると、ガス圧
によつて、前記薄肉部８が破断し、この破孔およ
び負極端子板７に形成された通気孔７ａを通じて
ガスは外部に放出され、電池内部の圧力が緩和さ
れる。 また、この放出圧力は極めて高いため、同時に
内容物が噴出するが、負極３中の活物質である亜
鉛粒子のうち、特に、破孔を通過しないような粒
度の亜鉛粒子は前記ネツト１０の内部に閉じこめ
られ、これのフイルタ効果によつて噴出が妨げら
れ、破孔の部分には至らず、これが破孔を閉塞す
ることもなくなるのである。 以下の表はLR20サイズのアルカリ電池につい
て、第１図に示す本考案の防爆構造のものと第３
図に示す従来の防爆構造の電池とをそれぞれ20個
づつ人為的に充電させ、ガス発生により破孔を生
じた場合の亜鉛粒子によつて破孔が目詰りした電
池の個数の比較結果を示している。

【表】 以上の比較結果からも明らかなように、この考
案の構造とすることによつて、防爆構造の目詰り
現象が全く発生しないことが確認されている。 なお、前記実施例では、LR20サイズのアルカ
リ電池に適用した場合を例示したが、LR03，
LR6などの比較的小径の規格の電池にも有効であ
る。 《考案の効果》 以上実施例によつて詳細に説明したように、こ
の考案によれば、ガス圧力が高まり、薄肉部が破
断した場合、負極中の亜鉛粒子が噴出しようとし
てもネツトのフイルタ効果によつて亜鉛粒子はそ
の噴出が阻止され、内容物の噴出による破孔部分
または通気孔の閉塞を防止する。 したがつて、この考案によれば、従来に比べて
より確実に破裂を防止でき、安全性向上に寄与で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るアルカリ電池の防爆構
造を示す断面図、第２図はネツトの斜視図、第３
図は従来のアルカリ電池の防爆構造を示す一部拡
大断面図である。 １……電池ケース、３……負極亜鉛、４……セ
パレータ筒、５……正極合剤、６……負極端子
板、７……封口ガスケツト、８……薄肉部、１０
……ネツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケース内の中央部に負極を充填するとともに、
   その周縁にセパレータ筒を介して隔離された状態
   で正極合剤を充填し、前記負極の端面から隔離し
   てこれを覆う封口ガスケツトによつて前記ケース
   の開口部を気密に封止するとともに、前記負極の
   前記端面と対向する前記封口ガスケツトの一部に
   電池の内圧が所定値以上に上昇した時に破断する
   ガス抜き用の薄肉部を形成した防爆形アルカリ電
   池において、前記負極の前記端面を目開き150μm
   以下に設定されたネツトで被覆したことを特徴と
   する防爆形アルカリ電池。