JPH0554570B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本発明は動力伝動用ベルト、特に剛性を有し耐
側圧性に優れた高負荷伝動用Ｖ形コグベルトに関
するものである。

【従来の技術】

従来、動力伝動用Ｖ形コグベルトは、ロープ抗
張体を並列埋設した上下クツシヨンゴム層表面に
ゴム付帆布を積層貼着し、ベルト下面、即ちプー
リとの接触面に波形状のコグ群を設けているた
め、屈曲性は良好であるが反面、通常コグ部のク
ツヨンゴムが柔難性を有するため、プーリに嵌合
して駆動した際、ベルト全体が横方向に湾曲変形
してプーリ中に落ち込み、変形による伝達力の低
下、早期破損の原因になるなどの問題があつた。 そこで、かかるベルトの耐側圧性を改善すべく
ベルトコグ部に木材の外、剛性の大きい金属棒や
パイプあるいは樹脂パイプや樹脂棒等を使用する
ことが試みられたが、しかし、最近における要求
伝達馬力の向上から木材は強度の点、樹脂はプー
リ上でのベルトのスリツプ屈曲による発熱条件が
加わると各種特性が大きく低下し、強度、摩耗性
のため使用に耐えなくなること、特に金属はアル
ミの場合、摩耗性、鉄系はその比重が大きいこと
による高速走行に難がある等の点で種々の欠点を
有していることが分つた。 そのため、更にその後、改善の努力が続けら
れ、第３図図示のように低伸度高強力のロープ抗
張体１０を埋設せしめた平形ベルト１１の上部に
補強板１２、下部に台形状ブロツクからなる補強
材１３を対向的に配し、ボルト等の止着材１４を
用いてそれら補強板、平ベルト、補強材を貫通
し、一体的に締付け、固定せしめた高負荷伝動ベ
ルトが提案され、その一環としてその後、平形ベ
ルトのコグ状のブロツク補強材の材質に着目し、
帆布に熱硬化性樹脂を含浸させかつ渦巻状にして
結合せしめた台形状ブロツクをもつて前記補強材
を構成せしめた構成などが更に提案された。

【実
願昭昭58−48727号】

【発明が解決しようとする問題点】

しかしながらボルト締結によるブロツクベルト
に要求される品質の最大のものは何と云つても剛
性であり、上記帆布に樹脂を含浸させたものを渦
巻状に巻いて成型したブロツクは一般の樹脂含浸
帆布を平行に積層したものに比べその剛性が向上
する利点はあるが、さて実際に成型しようとする
にあたつては樹脂を含浸せしめているため渦巻状
への巻成が面倒であり、作業性の面で問題を有し
ているのみならず、帆布と樹脂の複合材であるた
め重量が重くなりコストの上昇と取扱いの不便さ
が避けられない有様であつた。 かくて、本発明は上述の如き実状に対処し、更
にブロツクの構成に着目し、前記提案に係るもの
が帆布に樹脂を含浸せしめたものを直接巻成する
のに対し、芯材を共用し、しかも、芯材の材料選
択を可能とすることによつて剛性の保持と共に前
記欠点の解消、即ち成型性の向上、コスト低減な
らびに重量の軽減を達成せんとするものである。

【問題点を解決するための手段】

即ち、本発明の特徴とするところは、ロープ抗
張体をゴム状弾性体内に並列状に埋設した平形ベ
ルトに台形状ブロツクをボルト等の止着材で締め
付け固定してなるベルトにおいて、そのブロツク
を、熱硬化性樹脂を含浸せしめた帆布を芯材を内
蔵させ、そのまわりに巻いて成型してなる材料で
構成せしめた点にある。 ここで芯材は本発明における重要な要素をなし
ており、その材質は熱硬化性樹脂からなる成形体
や、更に同樹脂内に短繊維を分散することにより
補強せしめた補強成形体、あるいは同樹脂にゴム
質を混入せしめた成形体帆布に熱硬化性樹脂を含
浸しこれれを積層形成せしめた積層体などからな
る。 そして、これら材質は必らずしも１種に限らず
適宜、組み合せて使用することもできる。 特にゴム質を混入した樹脂の使用はプーリとブ
ロツクとの衝突あるいはプーリの径方向にすべつ
たとき、長手方向にすべつたときに発する衝突音
きしみ音、スリツプ騒音などを緩和、低減する上
に有効である。 更に前記熱硬化性樹脂に滑材を混入することも
よく、この場合には摩擦係数を0.1〜0.7程度に調
整することができる。又、比重の小さい樹脂を芯
材に使用すれば重量軽減に有効である。 上記芯材に用いられる熱硬化性樹脂としてはフ
エノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂などが含まれ、又、補強
用の短繊維や、帆布を用いる場合には該帆布とし
て綿繊維、ポリエステル繊維などの合成繊維、ガ
ラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの１種又は２
種以上が使用される。 そして、上記芯材はその横断面形状は特定され
ることなく、円形、四角形に限らず、任意の不定
形状のものが用いられる。 一方、上記芯材の周りに巻成される熱硬化性樹
脂を含浸した帆布はさきに提案したものと同様で
あり、帆布には上述と同じく綿繊維、合成繊維、
炭素繊維、ガラス繊維などの１種又は２種以上の
混用になる帆布が用いられ、熱硬化性樹脂として
はフエノノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド
樹脂、ポリエステル樹脂などの何れかが用いられ
る。 しかして、本発明において平ベルトに締め付け
固定される台形状ブロツクは前記芯材の周りに上
記熱硬化性樹脂含浸の帆布を巻くことによつて台
形状の所要形態に成型され、平ベルトに固定され
るが、この場合、台形状ブロツクは平ベルトの上
下何れか一方だけに用いてもよく、又、上下両方
に用いてもよい。 かくして、以上のような伝動ベルトは熱硬化性
樹脂含浸帆布の渦巻使用により剛性を保持すると
共に芯材により巻き易くして作業性を良好ならし
め、又、芯材の適当な選択によりブロツクの必要
な摩擦係数を得ることができ、頗る好適である。

【実施例】

以下、更に、添付図面にもとづき本発明ベルト
の実施例を説明する。 第１図は本発明に係る高負荷伝動ベルトの１例
を示し、図においてａはＶ形コグベルトの高負荷
伝動ベルト本体、ｂは該ベルトａを構成する平ベ
ルトで、NR

【天然ゴム】、SBR

【スチレン・ブタ
ジエンゴム】、CR

【クロロプレンゴム】、NBR

【ニ
トリルゴム】、IIR

【ブチルゴム】、ハイパロン

【クロルスルフオン化エチレン】などの単一材又
はこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウ
タンゴムなどのゴム状弾性体１よりなり、通常、
上面には特に図示していないが、ナイロン帆布、
ケプラー

【商標名】帆布あるいは経緯綿糸よりな
るバイアス帆布もしくは広角度帆布が１〜複数
層、例えば１〜３層積層貼着され、又、前記弾性
体層１中にはポリエステル、脂肪族ポリアミド、
芳香族ポリアミド、あるいはガラス繊維又はワイ
ヤー撚線のような高強力低伸度のロープ抗張体２
がスパイラルに並列状に埋設されており、更にそ
の下部には前記上部帆布と同材質もしくはウーリ
ー加工した捲縮ナイロン経糸と通常のナイロン緯
糸で繊成した伸縮性帆布が配層されている。 そして、上記の如き平ベルトｂに対しその長手
方向に沿つて定ピツチで直交方向に本発明の特徴
をなすブロツク３，４が上下に配されており、ボ
ルトからなる止着材５を該ブロツク３，４に貫通
させることによつて平ベルトｂに対しブロツク
３，４を固定している。 第２図は上記構成におけるブロツクの各例を示
しており、大別して芯材７と、該芯材７を取り巻
いて渦巻状に巻かれた熱硬化性樹脂含浸帆布８と
からなつていて所定の台形状に形成されている。 なお、上面に配するブロツクは、第１図に図示
する如く板状となしてもよい。勿論、上部ブロツ
クに代え補強板とすることもある。 しかして、第２図におけるブロツクの各構成
は、イにあつては断面円形の芯材７が用いられ樹
脂含浸帆布８がそのまわりに渦巻状に巻かれて構
成され、ロにあつては、断面四角形の芯材７のま
わりに、同じく樹脂含浸帆布が巻かれて構成され
ている。 そして、上記各例においては何れも芯材７は熱
硬化性樹脂からなる成形体によつて形成されてい
るがハ図においては熱硬化性樹脂を含浸せしめた
帆布の積層による積層体が芯材７として用いられ
ており、同じく熱硬化性樹脂含浸帆布８が前記芯
材７の周りに巻かれて構成されている。 その他、上記に限らず、前記本発明の要旨を逸
脱しない限りにおいて種々の組み合わせをもつて
ブロツクを構成することができる。 又、図示例においてはボルト５を止着材として
いるが、これも、他の手段、例えばリベツトを使
用することもできる。 又、ボルト又はリベツト、その他の止着材によ
り締めつけるとき、スプリングワツシヤ、平ワツ
シヤ等を併用することは締付効果を向上するの
で、必要に応じて用いる事が望ましい。 かくして、本発明例において台形ブロツク３，
４と平ベルトｂは止着材５によつて一体となり、
ブロツク３，４の脱落は防止され、抗張体とブロ
ツクとの間のゴム層の疲労も阻止されてすぐれた
耐側圧性を保持して高負荷の伝動に寄与する。 以上は、低伸度高強力のロープ抗張体をスパイ
ラルにゴム状弾性体内に埋設し、上下両面に帆布
層を積層貼着した平ベルトの場合についてである
が、勿論、上下両面に帆布層をもたない平ベルト
即ち、ロープ抗張体をスパイラルにゴム状弾性体
内に埋設した平ベルトの場合にも同様に適用さ
れ、ボルト等の止着材による止着態様も亦、同様
である。

【発明の効果】

以上の如く、本発明伝動用ベルトは、帆布に熱
硬化性樹脂を含浸させ、芯材の周りに渦巻状にし
て挿入せしめた材料からなる台形状ブロツクを平
形ベルトに所定ピツチで配設したものであり、帆
布に樹脂を含浸せしめ、渦巻状に巻いて成型した
ブロツクにより耐側圧性ならびに剛性を増大さ
せ、ベルトとしての耐久性向上に著しい効果を奏
すると共に芯材を内蔵させたことにより、更に下
記の如き顕著な効果を達成する。 (a) まず、このブロツクを製造する際に、単に熱
硬化性樹脂を含浸させた帆布を渦巻き状に巻く
よりも、芯材を芯として内包させて巻く方が容
易であり、作業性が向上するとともに、帆布の
渦巻き形状の均一性も保ちやすくなり、ひいて
は高負荷伝動ベルトの性能の均一化にもつなが
る。 (b) 芯材を内包しているために横方向の剛性が高
く、ベルトが湾曲してプーリ中に落と込むこと
がなく、また湾曲することによるベルトの伝達
力の低下、早期破壊を防止することができる。 (c) 芯材の周りは熱硬化性樹脂を含浸させた帆布
を渦巻き状に成形したものよりなつているの
で、芯材の部分よりも剛性は低く、プーリとの
あいだの衝突で生じる騒音も低く抑えることが
できる。 (d) 芯材は熱硬化性樹脂を含んで構成されている
ので、渦巻状に巻く帆布に含浸した熱硬化性樹
脂と親和性が強く、芯材の剥離は起こらず、充
分な剛性保持が可能でである。 (e) 芯材の適宜な選択によりブロツクの必要な摩
擦係数を容易に得ることができる。例えばガラ
ス帆布と樹脂からなる芯材を使用すれば摩擦係
数が上がり、一方、滑材を混入した樹脂を使用
することにより摩擦係数を下げることができる
など調整が容易で、0.1〜0.7の範囲まで可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１例に係る高負荷伝動ベルト
の一部斜視図、第２図イ，ロ，ハは台形状ブロツ
クの各実施例を示す断面概要図、第３図は従来の
ブロツク使用高負荷伝動ベルトの１例を示す断面
概要図である。 ａ……高負荷伝動ベルト、ｂ……平形ベルト、
１……ゴム状弾性体、２……ロープ抗張体、３，
４……ブロツク、５……止着材、７……芯材、８
……熱硬化性樹脂含浸帆布。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 低伸度高強力のロープ抗張体をゴム状弾性体
   内に並列状に埋設した平形ベルトの長手方向に沿
   い直角方向所定ピツチで台形状ブロツクをボルト
   等の止着材にて締め付け固定してなるベルトにお
   いて、前記ブロツクを帆布に熱硬化性樹脂を含浸
   させ、これを熱硬化性樹脂を含み構成された芯材
   のまわりに渦巻状に巻いて成型せしめた材料によ
   り構成してなることを特徴とする高負荷伝動用ベ
   ルト。 ２ 熱硬化性樹脂がフエノール樹脂、エポキシ樹
   脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエテル樹脂より
   なる群から選ばれた熱硬化性樹脂である特許請求
   の範囲第１項記載の高負荷伝動用ベルト。 ３ 帆布が綿繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素
   繊維、金属繊維よりなる群から選ばれた少なくと
   も１種の繊維よりなる帆布である特許請求の範囲
   第１項又は第２項記載の高負荷伝動用ベルト。 ４ 芯材の横断面形状が円形である特許請求の範
   囲第１〜３項の何れかの項に記載の高負荷伝動用
   ベルト。 ５ 芯材の横断面形状が四角形である特許請求の
   範囲第１〜３項の何れかの項に記載の高負荷伝動
   用ベルト。