JPH0141969Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は動力伝達用ベルト、特に耐側圧性の大
きい高負荷伝動ベルトに関するものである。

（従来の技術） 高負荷伝動ベルトは最近における要求伝達馬力
の向上に伴なつて頓に脚光を浴びて来たベルトで
あり、最も一般的な形態として平形ベルトの上部
に補強板、下部にコグ状補強板を対向的に配し、
ボルト等の止着材で用いてそれら補強板、平ベル
ト、補強材を貫通し、一体的に締付、固定せしめ
た構成からなつている。

ところが近時、より耐側圧性の向上が求められ
ると共に更に積々の改善が試みられ、数多くの提
案がなされている。

第１図はそれらの提案の１つであり、低伸度高
強力のロープ抗張体１をスパイラルにゴム状弾性
体２内に並列状に埋設し、上下に帆布３，４を積
層した平形ベルトａに台形ブロツクｂを補強板６
を当てボルト等の止着材５にて締め付け固定して
なるベルトにおいて、前記ブロツク材として熱硬
化性樹脂を成分とし、帆布を積層又は渦巻き状に
して装入せしめた材料を用いた構成が示されてい
る。

しかしながら、この構成になるものは、帆布を
積層又は渦巻き状にして装入するにしても、ブロ
ツク全体が一様に構成されており、ブロツク本来
の役割の上で必らずしも充分とは云えないことが
判明した。

即ち、ブロツクには、その役割としてプーリ中
におけるベルトに対する側圧に対して、これを担
持する高剛性が要求されると共にベルトとプーリ
間の衝突による発音に対してこれを低減すること
も必要であり、更にベルトが走行中、プーリに対
して出入するとき、シエアーにより摩擦されて層
間剥離を起さないことも肝要である。

ところが、前記ブロツク全体が一様に作られて
いるときは高剛性を満足するが、発音低減に難が
残り、かつ層間剥離が懸念される。

（考案の目的） かくして、本考案は叙上の如き実状に対処し、
ゴム又は樹脂強化補強帆布の積層配置の態様を考
慮し、プーリ中におけるベルトに対する側圧に対
してはボルトに対して直角方向に積層された高剛
性強化帆布で側圧を担持し、ベルトとプーリ間の
衝突による発音に対しては前記高剛性強化帆布を
芯部として包み込むように積層した、前記強化帆
布より稍軟質の補強帆布で低減することにより、
高負荷伝動ベルトとしての性能を向上せしめるこ
とを目的とするものである。

（考案の構成） 即ち、本考案の特徴とするところは、平ベルト
の長手方向に対して直角定ピツチでブロツクを配
設してなる高負荷伝動ベルトにおいて、前記ブロ
ツクを樹脂又はゴムで強化せしめた帆布をベルト
巾方向に積層形成した剛性芯部分と、該芯部分の
周りを前記強化帆布により包み積層せしめた動力
伝達部分との両部分により構成し、前記動力伝達
部分を前記芯部分に比し稍、軟質となした点にあ
る。

ここで、平形ベルトは低伸度高強力のロープ抗
張体をスパイラルにゴム状弾性体内に並列状に埋
設した平形エンドレスベルトと、更にその表面に
１〜複数層の帆布層を積層貼着した平形エンドレ
スベルトの双方を含む。

（実施例） 以下、更に添付図面を参照しつつ、本考案ベル
トの具体的な実施例につき説明する。

第２図は本考案に係る高負荷伝動ベルトのベル
トの１例を示し、図においてａは平形ベルト本
体、ｂはブロツク、ｐはプーリ、２はNR（天然
ゴム）、SBR（スチレン、ブタジエンゴム）、CR
（クロロブレンゴム）、NBR（ニトリルゴム）、IIR
（ブチルゴム）、ハイパロン（クロルスルフオン化
エチレン）などの単一材又はこれらを適宜ブレン
ドしたゴムあるいはポリウレタンゴムからなる前
記平ベルトａのゴム状弾性体層で、必要に応じ該
ゴム状弾性体層２の上にはナイロン帆布、ケブラ
ー（商標名）帆布あるいは経緯綿糸よりなるバイ
アス帆布もしくは広角度帆布３が１〜複数層、通
常は１〜３層積層貼着され、又、前記弾性体層２
中にはポリエステル、脂肪族ポリアミド、芳香族
ポリアミドあるいはガラス繊維又はワイヤー撚線
のような高強力低伸度のロープ抗張体１がスパイ
ラルに並列状に埋設されており、その下部には前
記上部帆布３と同材質もしくはウーリー加工した
捲縮ナイロン経糸と通常のナイロン経糸で織成し
た伸縮性帆布４が必要に応じて配層されている。

そして、更に前記平ベルト本体ａは、その上部
に補強板６が、そして一方、下部に本考案の要部
をなす台形ブロツク６が夫々配設されており、こ
れら補強板６、平ベルトａ及び補強材である台形
ブロツクｂはボルトからなる止着材５によつて第
２図に示する如く貫通され一体的に締付け固定さ
れている。

このうち、前記台形ブロツクｂは本考案の特徴
部分をなしており、前記平ベルト本体ａの下部に
ベルト長手方向に対して直角方向に配設され、樹
脂又はゴム含浸等により強化された帆布を複数層
積層した材料を素材として以下のように構成され
ている。

即ち、b₁，b₂は上記ブロツクｂを構成する２つ
の部分であり、本考案におけるブロツクｂはこの
２つの部分b₁，b₂によつて構成され、その１つの
部分b₁は主としてブロツクの剛性を受けもつ剛性
芯部分で前記強化された帆布をベルト巾方向にボ
ルトに対して直角方向に積層されて形成されてい
る。

一方、もう１つの部分b₂はプーリｐに接する部
分にあり、動力伝達部分をなし、図に示す如く前
記剛性芯部分b₁を包み込むように補強強化帆布を
積層し形成されている。

この場合、上記各部分を構成する帆布の強化に
使用される樹脂又はゴムは両部分において全く同
じものであつてもよく、又、異なるものであつて
もよい。又、帆布を積層するときのバインダーに
関しても同様で、同じであつても異なるものであ
つてもよい。

なお、使用される上記強化樹脂又はゴムとして
は、フエノール、エポキシ、イミド樹脂などの樹
脂、CR、NR、NBR、IR、EPT、EMP等のゴ
ムが含まれ、又、ゴムと樹脂のブレンド組成物か
らなる変性樹脂などが含まれる。

一方、帆布としては、ガラス繊維、綿、ポリエ
ステル、ナイロン等からなる帆布が最も一般的で
ある。

なお、前記ブロツクｂの両部分b₁，b₂において
は剛性芯部分b₁に比し動力伝達部分b₂の方が軟質
であることが効果的である。

又、第２図の図示例において特に補強板６、台
形ブロツクｂと平形ベル本体ａとの締付固定にボ
ルト５を用いているが、これも亦、他の手段、例
えば図示とは逆にボルトを下から通し、ベルト上
面でナツトにより締め付けてもよく、又、補強材
６に予め、ねじ溝を刻設しておき、上から先端部
にねじ部を備えたボルトを挿入して締付固定して
もよい。

更に、ボルトに限らず、リベツトを使用し、ベ
ルト上下部を固定せしめることもでき、前記第１
図、第２図の如きボルトとナツトとの接触部を溶
接するとか、突出したボルト先端をプレスにより
かしめ、係止をより強固にすることもできる。

かくして、本考案においてブロツクｂと補強板
６は止着材５によつて一体となり、夫々の部分の
強化帆布積層により抗張体とブロツクｂとの間の
ゴム層の疲労も阻止されてすぐれた耐側圧性を保
持して高負荷の伝動に寄与する。

以上は、低伸度高強力のロープ抗張体をスパイ
ラルにゴム状弾性体内に埋設し、上下両面に帆布
層を積層しない平ベルトの場合についてである
が、勿論、上下両面に帆布層を有する平ベルトの
場合にも同様に適用され、ボルト等の止着材によ
る止着態様も亦、同様である。

（考案の効果） 以上の如く、本考案伝動用ベルトは樹脂、ゴム
により強化せしめた帆布積層物の積層方向を特定
化し、剛性芯部分を軟質動力伝達部分で包被せし
めたブロツクを平形ベルト下部に配設し形成せし
めたものであり、従来の樹脂、金属材料等からな
るブロツクの欠点を改善し、耐側圧性を大巾に向
上すると共に、スリツプ率の減少と変形防止効果
により同断面積当りの伝達力を向上し、かつ、前
記の如く耐久性に格段の実効を発揮し、ベルトラ
イフの増大に著しい効果を奏する。

とりわけ、本考案における芯部分は剛性が大き
く、プーリ中におけるベルトに対する側圧に対し
て充分な担持力を有し、その上、プーリに接する
部分は比較的軟質で、前記芯部分全体を包み込ん
でいるため音の発生は著しく軽減し、更に剛性芯
部分の剥離を確実に防止すると共に耐摩耗性を向
上し、従前の高負荷伝動ベルトの特性を大巾に改
善する効果が期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従前の高負荷伝動用ベルトの１例を示
す断面図、第２図は本考案に係る高負荷伝動ベル
トの１例を示す断面図である。 ａ……平ベルト、ｂ……ブロツク、b₁………剛
性芯部分、b₂……動力伝達部分、ｐ……プーリ、
１……ロープ抗張体、２……ゴム状弾性体、３…
…平形ベルト上部帆布、４……平形ベルト下部帆
布、５……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平ベルトの長手方向に対して直角定ピツチでブ
   ロツクを配設してなる伝動ベルトにおいて、前記
   ブロツクを、樹脂又はゴムで強化せしめた帆布を
   ベルト巾方向に積層形成した剛性芯部分と、該芯
   部分の周りを前記強化帆布により包み積層せしめ
   た動力伝達部分との両部分により構成し、前記動
   力伝達部分を前記芯部分に比し稍、軟質となした
   ことを特徴とする高負荷伝動ベルト。