JPH0554543B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （関連出願との関係） 本出願に関連するものとして、本願発明と関連
する技術課題に関し且つ本願の承継人に壌渡され
た共願の“前端縁に鋳込み／挿入材を有するグレ
ーダー用ブレード（米国特許出願番号第017106
号、1987年２月20日出願、現在米国特許第
4715450号として特許）がある。

（産業上の利用分野） 本発明は、広義にはグレードが除雪機などのブ
レードに関し、特に階層状の一対の挿入部材を備
えることにより、前側底縁における耐衝撃摩耗性
ならびに耐圧下摩耗性が改良されたグレードに関
する。

（発明が解決しようとする課題） グレーダーおよび除雪機はともに良く知られて
いる。これ等は比較的長いモールド板を有しこれ
は作業対象面に対して概ね横方向に延在しており
且つモールド板の長手方向に対して概ね直角な方
向に移動するようになつている。このモールド板
の下方端縁に、鋼製のグレーダーブレードを装着
することは良く行なわれる。このブレードは、モ
ールド板の下方端縁から更に下方に延在し、この
ブレードの下端縁が作業面となる。

鋼製のグレーダーブレードは安価であるという
利点を有する一方、非常に早く摩耗してしまうと
いう欠点をも有する。グレーダーブレードが摩耗
してしまつたならば、これを取り替えなければモ
ールド板が損傷してしまう。

鋼製ブレードの取り替えは、もち論時間を必要
とし、装置全体の不稼働時間を減少する結果とな
る。この問題を解決するために、多年にわたり、
鋼製ブレードの寿命を延長するための幾多の試み
が提唱されて来た。例えば、炭化物の粒子によつ
てブレードの刃部を含浸硬化する方法、侵透炭化
物の挿入部材をブレードの端縁中あるいは端縁上
に取り付ける方法などがある。このような技術は
例えばラツセル他の米国特許第1922917号、ステ
フアンソンの米国特許第3529677号、トーズの米
国特許第3888027号、ステフアンソン他の米国特
許第3934654号およびモーエン他の米国特許第
4052802号の各明細書に開示されたブレード、な
らびにケンナメタル会社（Kennametal
Corporation）によつて製造されてるグレーダー
ブレードであるケンガードＡ（Kengard）ブレー
ド等において利用されている。

これ等の先行技術は、設計条件に見合う限定さ
れた作業条件下ではかなり良く作動するようであ
るが、いずれも複雑さ、性能、信頼性およびコス
トあたりの有効性等の点でいくつかの問題を含ん
でおり、十分に満足のゆくものではなかつた。

従つて、グレーダー用ブレードの設計に関して
従来の局面と異る面からアプローチ、例えば、グ
レーダーブレードの下端における摩耗ならびに力
の作用の種類を適切につきとめる等の試みをなす
ことが必要となつて来ている。

（課題を解決するための手段） 本発明は、このような要求を満たすべく設計さ
れたグレーダーブレードを提供することを目的と
する。本発明によるグレーダーブレードは階層状
に二重に配設された、侵透炭化物を有する部材を
用いる点に基本的な特徴を有する。一方の前側の
部材は主に衝撃による摩耗に対する耐力を与える
ものであり他方の後側の部材は圧下摩耗に対する
耐力を与える。

特に、本発明によるブレードにおいては、その
底縁の前側部分に一対の侵透炭化物挿入部材が設
けられている。この侵透炭化物挿入部材は、相互
に接触して階層状に設けられ、ブレードの下端縁
の前側部分中にかつこれに沿つて延在する段付凹
所の中に配置されていて、相互に対して、ならび
にブレードの体部に対してろう付けされている。
階層状の挿入部材の前側のものは、高いコバルト
含有量を有する侵透炭化物組成から成り、それに
よつて耐衝撃摩耗性が賦与されている。階層状の
挿入部材の後側のものは低いコバルト含有量を有
する侵透炭化物組成からなり、それによつて耐圧
下摩耗性が付与されている。前側の挿入部材の横
断面積は後側の挿入部材のそれよりも大きい。

一般論として言うと、グレーダーブレードの底
縁において二つの挿入部材を用いることは知られ
ており、例えばケンガードＡグレーダーブレード
のような先例がある。本願発明のものとは対照的
に、ケンガードＡグレーダーブレードは前側凹所
とその前側凹所から隔たつた中間スロツトとを有
しており、この凹所とスロツトとにそれぞれ挿入
部材が設けられている。前側凹所はブレードの前
下端縁に沿つて設けられており、一方スロツト
は、この前側凹所とブレード本体の後面との間
に、これ等から離隔して設けけられている。即
ち、スロツトは、鋼製ブレードの底部の中間部分
によつて前側凹所から隔てられ、且つ該底部の後
部によつてブレード本体の後面から隔てられてい
る。前側凹所はケンガードＡなる材料でできた第
１の挿入部材を受容しており、この材料は、高靭
性加工硬化ステンレス鋼の生地中に複合タングス
テンカーバイド粒子を含有せしめた材料である。
一方、中間のスロツトは10乃至13重量パーセント
の侵透炭化タングステンから成る第２の挿入材料
を収容している。挿入材料は、鋼製ブレード体部
の中間部ならびに後部を含む部分にろう付けされ
ている。ケンガードグレーダーブレードの他の側
においては、一対の挿入部材は互いに近接して置
かれている。

この公知のケンガードＡグレーダーブレード
は、複合金属マトリツクス中のバインダーの流出
や、元来多孔質であるがためのろう付不良等の問
題を生じ、結果としてコストあたりの有効性が低
いものであつた。本発明によるグレーダー用ブレ
ードの構造は、これ等の問題を除くことができる
ものである。

即わち、本発明によれば、(イ)底縁を備え、前記
底縁の前部に沿つて凹所が設けられている鋼製体
部と、(ロ)一対の細長い挿入部材であつて異る侵透
炭化物組成を有し、互いに階層状に接触する関係
をもつて当該凹所に配置され、相互に対して、お
よび前記体部に対してろう付けされた挿入部材と
を有することを特徴とするグレーダー用ブレード
が提供される。

更に詳しく言うと、階層状に配置された挿入部
材のうち前側のものが高いコバルト成分を有する
侵透炭化物組成を有する材料から成り、以つて耐
衝撃摩耗性が賦与されている。

前側挿入部材の組成のコバルト成分は、好まし
くは18乃至22重量パーセントであり、更に、好ま
しくは19.5乃至20.5重量パーセントである。特
に、前側挿入部材の組成は約80重量パーセントの
炭化タングステンと、20重量パーセントのコバル
トとを含むものである。

一方後側挿入部材は少いコバルト成分を有する
侵透炭化物組成を有し、以つて耐圧下摩耗性を賦
与されている。後側挿入部材のコバルト含有料
は、好ましくは10乃至13重量パーセント、より好
ましくは11.0乃至12.4重量パーセントである。特
に、後側挿入部材の組成は約88.5重量パーセント
の炭化タングステンと11.5重量パーセントのコバ
ルトとを含むものである。

またブレード体部の底縁の前部に設けられた凹
所は段階状の横断面を有している。階層状の挿入
部材のうち前側のものは後側のものより大きな横
断面を有し、それによつて階層状の両挿入部材が
凹所の階段状の横断面に適合し、且つ凹所から前
方且つ下方に突出する。

本発明の上記および他の利点は、以下に添付図
面を参照しつつ行なう実施例の説明から当業者に
は明らかとなるであろう。

実施例 添付図面の各図を通じて、同様な参照符号は同
様な部分を指し示す。また以下の記載において
“前方”、“後方”、“左方”、“右方”、“上方”、
“下
方”などの術語は単に便宜的に用いられるもので
発明の範囲を限定する趣旨ではない。

添付図面、特に第１図において、グレーダーや
スクレーパーや除雪機等に使用可能な公知のモー
ルド板１２の下端１０が示されている。

モールド板１２は傾斜した傾斜部分１４と真直
な終端部分１６とを有している。全体として符号
１８で示す本発明によるグレーダーブレードは、
細長い鋼製の体部２０を有し、この体部２０は、
互いに横方向に隔置された貫通孔２２を有する。
体部２０の上端部分はモールド板１２の前側にお
いて前記傾斜部分１４と前記終端部分１６との複
合形状に合致するような形状とされている。これ
によつて、ボルト２４を前記体部１２の貫通孔２
２を通して、モールド板下端１０の終端部分１６
中の対応ボルト孔２６に螺入することによつてブ
レード１８をモールド板１２に強固に取り付ける
ことが容易となつている。

第２乃至第４図において、本発明に従うところ
のブレード１８の体部２０は合金鋼でできてお
り、鋼製体部の前面、後面、および底面３０，３
２，３４によつて画定された底端縁２８を有して
いる。鋼合金は、ASTM仕様Ａ３６の合金AISI
1020である。好ましくは階段状の横断面を有する
ところの凹所３６がブレード体部２０の底端縁２
８に沿い且つこの底端縁２８の中に設けられてい
て、前面および底面３０，３４において開放され
ている。

対をなす細長い前側および後側挿入部材３８，
４０は、異る侵透炭化物組成を有し、階層状をな
して相互に接触しつつ、鋼製体部２０の中の凹所
３６中に配設されている。挿入部材３８，４０は
ブレードの体部２０および相互に対してろう付さ
れている。即ち、ろう付けは、前側挿入部材３８
の頂面および底面４２，４４および後側挿入部材
４０の頂面、後面および前面４６，４８，５０に
おいて行なわれている。ろう付け材料としては、
鋼開発協会合金番号681−02（COA）を有すると
ころのCerro W17が用いられる。両挿入部材３
８，４０が組み合わさつた状態で呈する横断面寸
法は、凹所３６の横断面寸法よりも大きく、従つ
て挿入部材は、体部の底縁２８の前面および底面
３０，３４を越えて突出し、ブレードの使用中に
この突出部が作業対象面に接触する。

第３図から明瞭にわかるように、前側の挿入部
材３８は後側の挿入部材４０よりも大きな横断面
を有しており、それによつて、両挿入部材が組み
合わされた状態で呈する横断面は凹所３６の段付
き横断面に適合するようになつている。後側の挿
入部材４０は傾斜した底面５２を有しており、こ
の傾斜底面を介して前側挿入部材３８の平坦な底
面と鋼製の体部底縁２８の底面３４とが接続され
ている。前側の挿入部材３８が概ね矩形の横断面
を有するのにひきかえ、後側挿入部材４０は、傾
斜した底面５２を有するために台形横断面を有し
ている。

前側の炭化物挿入部材３８は、高いコバルト含
有量を有する侵透炭化物組成を有し、それによつ
て前側の挿入部材３８に、グレーダーブレード１
８の使用中、高い耐衝撃摩耗性が賦与される。例
えば、この組成におけるコバルト成分は、約18乃
至22パーセントであり、更に好ましくは19.5乃至
20.5重量パーセントである。この前側挿入部材の
組成は、好ましくは約80重量パーセントの炭化タ
ングステンと、20重量パーセントのコバルトとを
含むものである。一方、後側挿入部材４０は低い
コバルト含有料を有する侵透炭化物組成を有し、
それによつて、ブレード１８の使用中に生じる圧
下力による摩耗に対する抗力が増大されている。
例えば、この後側挿入部材４０のコバルト成分は
好ましくは10乃至13重量パーセント、更に好まし
くは11.0乃至12.4重量パーセントである。この後
側挿入部材４０の組成は、好ましくは、約88.5重
量パーセントの炭化タングステンと、約11.5重量
パーセントのコバルトとを含むものである。

前側挿入部材の材料中におけるコバルト成分が
後側挿入部材の材料中におけるコバルト成分より
大きいということは、前側挿入部材３８が高い靭
性と低い硬度あるいは〓性を有するということを
意味する。即ち、グレーダーブレード１８のこの
部分に作業対象面から与えられる衝撃がより良く
吸収されるということである。後側挿入部材の材
料中におけるコバルト成分が前側挿入部材の材料
中におけるコバルト成分よりも小さいということ
は、後側の挿入部材が、〓性が大きく靭性が劣る
という欠点があるにしても、前側挿入部材３８よ
りも良く摩耗し、従つてブレードのこの部分に作
用する圧下力により摩耗に対して高い抗力が得ら
れる。

以上の記載から、本発明によるグレーダー用ブ
レードの構成ならびにその利点が理解されよう。
また、本発明の精神および範囲から逸脱すること
なく、各部の形状、構成、配置等を種々に変更し
得るものであることも理解されよう。従つて、記
載された本発明の形態は単に推奨あるいは例示的
な実施例であるに過ぎない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による構成のグレーダー用ブ
レードを取着したグレーダーモールド板の下端縁
の垂直断面図、第２図は、モールド板から取り外
したブレードの部分正面図、第３図は、第２図の
線３−３に沿える拡大垂直断面図、第４図は、本
発明のグレーダーブレードに組み込まれる、侵透
炭化タングステン製挿入部材の端面図である。 １０……モールド板の下端、１２……モールド
板、１８……ブレード、２０……ブレード体部、
３８，４０……挿入部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ グレーダー用ブレードにおいて、 (イ) 底縁２８を備え当該底縁２８に沿つて凹所３
   ６が設けられた鋼製体部２０と； (ロ) １対の細長い挿入部材３８，４０であつて異
   る浸透炭化物組成を有し、互いに階層状に接触
   する関係をもつて当該凹所３６に配置され、相
   互に且つ当該体部２０にろう付けされた１対の
   細長い挿入部材３８，４０とから成り、ここに
   おいて当該階層状の挿入部材３８，４０の前側
   のもの３８は耐衝撃摩耗特性を付与せしめるた
   め高いコバルト含有量の浸透炭化物組成より成
   ることを特徴とするグレーダー用ブレード。 ２ 前記コバルト成分が約18乃至22重量パーセン
   トであることを特徴とする請求項１記載のグレー
   ダー用ブレード。 ３ 前記前側３８の挿入部材の組成が約80重量パ
   ーセントの炭化タングステンと約20重量パーセン
   トのコバルトとを含むことを特徴とする請求項１
   記載のグレーダー用ブレード。 ４ 前記階層状の挿入部材３８，４０のうち後側
   ４０のものは少いコバルト成分を有する浸透炭化
   物組成を有し、以つて耐圧下摩耗性を賦与されて
   おり前記コバルト成分は10乃至30重量パーセント
   であることを特徴とする請求項１記載のグレーダ
   ー用ブレード。 ５ 前記階層状の挿入部材３８，４０のうち後側
   ４０のものの前記組成が約88.5重量パーセントの
   炭化タングステンと約11.5重量パーセントのコバ
   ルトとを含むことを特徴とする請求項２記載のグ
   レーダー用ブレード。 ６ 前記凹所３６が段状の横断面を有することを
   特徴とする請求項１記載のグレーダー用ブレー
   ド。 ７ 前記階層状の挿入部材３８，４０のうちのひ
   とつのものが他のものより大きな横断面を有して
   おりそれにより一対の挿入部材が前記凹所３６の
   段状横断面に適合することを特徴とする請求項６
   に記載のグレーダー用ブレード。 ８ 前記階層状の挿入部材３８，４０のうち前側
   ３８のものが後側４０のものより大きな横断面を
   有していることを特徴とする請求項７記載のグレ
   ーダー用ブレード。 ９ (イ) 前面３０、後面３２および底面３４にて
   規定される底縁２８をそなえた鋼製の体部２０
   であつて、前記底縁２８の前部中に且つ前記全
   部に沿つて設けられた凹所３６を有し、前記凹
   所３６は前記前面３０および後面３２において
   開放されておりかつ前記後面３２から前方に隔
   たつて設けられているような体部２０と、 (ロ) 異なる浸透炭化物組成を有する一対の細長い
   挿入部材３８，４０であつて、前記凹所３６中
   に互いに階層状に接触する関係で配置され前記
   体部２０及び相互に対してろう付けされ、前記
   底縁２８の前面３０および後面３２を越えて延
   在する挿入部材３８，４０とを有しており、 (ハ) 前記一対の挿入部材３８，４０うち前側３８
   のものは高いコバルト成分を有する浸透炭化物
   組成を有する材料からなり、もつて耐衝撃摩耗
   性を賦与されており、前記前側３８の挿入部材
   の材料の前記組成は約80重量パーセントの炭化
   タングステンと約20重量パーセントのコバルト
   とを含むものであり、 (ニ) 前記一対の挿入部材３８，４０のうち後側４
   ０のものは低いコバルト成分を有する浸透炭化
   物組成を有する材料から成り、もつて耐圧下摩
   耗性を賦与されており、前記後側４０の挿入部
   材の材料の前記組成は約88.5重量パーセントの
   炭化タングステンを約11.5重量パーセントのコ
   バルトとを含むものであることを特徴とするグ
   レーダー用ブレード。 １０ 前記凹所３６が段状の横断面を有している
   ことを特徴とする請求項９記載のグレーダー用ブ
   レード。 １１ 前記挿入部材３８，４０のうち一方のもの
   は他方のものより大きな横断面を有しており、そ
   れにより一対の挿入部材が前記凹所３６の段状横
   断面に適合することを特徴とする請求項１０記載
   のグレーダー用ブレード。 １２ 前記階層状の挿入部材３８，４０のうち前
   側３８のものが後側４０のものより大きな横断面
   を有していることを特徴とする請求項１１記載の
   グレーダー用ブレード。