JPH0553480U - ハエ類防除用不妊化装置 - Google Patents

ハエ類防除用不妊化装置

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JPH0553480U
JPH0553480U JP107799U JP10779991U JPH0553480U JP H0553480 U JPH0553480 U JP H0553480U JP 107799 U JP107799 U JP 107799U JP 10779991 U JP10779991 U JP 10779991U JP H0553480 U JPH0553480 U JP H0553480U
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JP
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cloth
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晴 大内
ピーター・エー・ラングレー
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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    • A01M1/20Poisoning, narcotising, or burning insects
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    • AHUMAN NECESSITIES
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ハエ類が一方から他方へ通過し得る中空部1
0の下部に連通する導入用開口部6bを上記ハエ類の進
入できるように設ける。中空部10の上部に連通する出
口用開口部2bを上記ハエ類の脱出し得るように設け
る。上記ハエ類を誘引する色が外面6aに備えられると
共に、上記ハエ類の不妊化剤が所定の溶液に溶解されて
前記中空部10の上部に露出して備える。 【効果】 ハエ類の雄が同属の雌をそれぞれ探し出して
接触、交尾するという習性を利用して、ハエ類の雌に不
妊化剤を選択的に伝達できるので、ハエ類を極めて効率
良く不妊化できる。したがって、害虫としてのハエ類の
増殖を抑制できてハエ類を防除できると共に、不妊化剤
の環境への流出を低減できるので、不妊化剤の効率的な
利用を図ることができて、不妊化剤の使用量を従来より
大幅に低減でき、ハエ類防除をコストダウンできる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、害虫としてのハエ類の不妊化による防除に有効なハエ類防除用不妊 化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、ハエ類により伝播される種々の疾病が知られており、中でも、熱帯 から亜熱帯地方にかけて、特に赤道直下に広がるアフリカ中央部では、ハエ類を 媒介として人や家畜に伝播する風土病、例えばフィラリヤや、睡り病と呼ばれる トリパノゾーマ病が問題となっている。このような病原微生物を媒介する防除法 としては、主として殺虫性農薬を散布する方法がとられてきた。
【0003】 しかしながら、かかる方法によるハエ類の防除法においては、その幼虫や卵の 駆除が不充分であったり、抵抗性の発現を招来するなどの問題があり、また、上 水道の完備していない前記の地域においては、水系への流出の点で、その使用が 制限されている。
【0004】 そこで、最近になり、ハエ類を防除するために、通常の殺虫性農薬に比し哺乳 類に対する毒性が極めて低く、また、特定の害虫に対する選択性も高い昆虫成長 制御剤(insect growth regulator )の散布が試みられてきている。
【0005】 上記の昆虫成長制御剤は、従来の殺虫性農薬とは異なり、対象害虫の生理的発 育機構を阻害することにより、害虫を駆除する薬剤であり、そのような薬剤とし ては、表皮形成阻害剤、幼若ホルモン様物質などが挙げられる。
【0006】 表皮形成阻害剤(キチン合成阻害剤)は、ジフルベンズロン等を挙げることが でき、昆虫の新しいクチクラ形成を阻害して脱皮不全を起こさせ、死に至らしめ る化合物である。また、幼若ホルモン様物質(juvenile hormone mimic) として は、メソプレン等を挙げることができ、幼若ホルモン様物質を幼虫に投与すると 、幼虫は過齢幼虫となるため蛹化や羽化が阻害され、結果として致死することに なる。このように幼若ホルモン様物質は、幼虫の成虫への成長を阻害することか ら、幼虫を不妊化することとなる。
【0007】 上記のような幼若ホルモン様物質の使用方法は、そのような幼若ホルモン様物 質が極めて少量で作用を発現することから、その希薄溶液を所定領域に散布して いた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる昆虫成長制御剤の散布による防除においても、その希薄 溶液を所定領域に散布する等の使用形態が限られており、また、このような使用 方法においても、環境内に流出して利用されない薬剤が多く、薬剤の利用効率が 悪いという問題を生じている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、幼若ホルモン様物質を雌成虫に投与すると、その産出された卵 や幼虫の発育が阻害される、いわゆる不妊化効果に着目すると共に、上記の問題 に鑑み、農薬等の薬剤を環境中に散布することなく、標的となる害虫を有効に防 除できる装置について、鋭意検討した結果、昆虫成長制御剤を、所定の害虫に対 して誘引性を有する色または吸収波長を外壁に備える不妊化装置に設けることで 、標的となる害虫、特にハエ類を選択的に、しかも少量の薬剤量で極めて効率的 に防除できることを見出し本考案を完成するに至った。
【0010】 すなわち、請求項1記載のハエ類防除用不妊化装置は、ハエ類が一方から他方 へ通過し得る中空部を備えるハエ類防除用不妊化装置であって、上記中空部の下 部に連通する導入用開口部が上記ハエ類の進入できるように設けられる一方、上 記中空部の上部に連通する出口用開口部が上記ハエ類の脱出し得るように設けら れ、上記ハエ類を誘引する色が外面に備えられると共に、上記ハエ類の不妊化剤 が所定の溶剤に溶解されて前記中空部の上部に露出して備えられていることを特 徴としている。
【0011】 また、請求項2記載のハエ類防除用不妊化装置は、請求項1記載のハエ類防除 用不妊化装置において、上記ハエ類がツェツェバエであり、前記外面に青色系部 が設けられていることを特徴としている。
【0012】 前記の不妊化剤としては、ピリプロキシフェン〔4-フェノキシフェニル〕〔(R S)-2-(2-ピリジルオキシ)プロピルエーテル〕、フェノキシカルブ〔エチル〕〔 2-(4−フェノキシフェノキシ)エチルカーバメート〕、メトプレン〔イソプロピ ル 11-メトキシ-3,7,11-トリメチル−2,4-ドデカジエノエート〕、NC−184 〔4-クロロ-2-(2-クロロ−2-メチルプロピル)-5-(6-イオドプロピルメチルオキ シ)ピリダジン-3(2H)−オン〕等の幼若ホルモン様化合物が挙げられ、さらに、 ジフルベンズロン〔1-( 4-クロロフェニル)-3-(2,6-ジフルベンゾイル)ウレア 〕、クロルフルアズロン{1-〔3,5-ジクロロ-4-(3-クロロ−5-トリフルオロメチ ルピリジン−2-イルオキシ)フェニル〕-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)ウレア }、テフルベンズロン〔1-(3,5- ジクロロ−2,4-ジフルオロフェニル)-3-(2,6- ジフルオロベンゾイル)ウレア〕、トリフルムロン〔2-クロロ−N-{[〔( 4-ト リフロオロメトキシ)フェニル〕アミノ]カルボニル}ベンズアミド〕、フルフ ェノクスロン[1-〔4-( 2-クロロ−4-トリフルオロメチルフェノキシ)-2-フルオ ロフェニル〕-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)ウレア]、フルシクロクスロン[ 〔(E)-(50%-80%):(Z)-(50%-20%) 〕−1-〔α-(4-クロロ−α−シクロプロピ ルベンジリデンアミノ−オキシ)−p-トリル〕-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル) ウレア]、ヘキサフルムロン[1-〔3,5-ジクロロ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエ トキシ)フェニル〕-3-(2,6-ジフルオロベンゾイル)ウレア]、S−624[1- (2,6−ジフルオロベンゾイル)-3-〔2-フルオロ-4-(1,1,2,2-テトラフルオロエト キシ)フェニル〕ウレア]、S−622〔1-(2,6−ジフルオロベンゾイル)-3-( 2-フルオロ−4-トリフルオロメチルフェニル)ウレア〕、シロマジン(N-シクロ プロピル−1,3,5-トリアジン−2,4,6-トリアミン)等のキチン合成阻害剤が挙げ られる。
【0013】 前記のハエ類としては、ハナバエ科(Anthomyiidae) のヒメイエバエ(Fannia canicularis ) など、イエバエ科(Muscidae) のイエバエ( Musca domstica) 、オオイエバエ( Muscina stabulas)など、サシバエ科(Stomoxyidae)のサシ バエ(Stomoxys calcitrans)、Horn Fly(Haematobia irritans )、ツェツ ェバエ(Glossina spp.) 等、クロバエ科(Calliphoridae) のヒツジキンバエ(L ucilia cuprina)、ヒロズキンバエ(Lucilia sericata) 、ラセンウジバエ ( C hrysomya bezziana)等が挙げられる。
【0014】 前記の溶剤としては、 パラフィン:炭素数10〜20の常温で油状液体の鎖状あるいは分岐した飽和 炭化水素。例えば、テトラデカン、ペンタデカン、オクタデカン等。 オレフィン:炭素数10〜20の常温で油状液体の鎖状あるいは分岐した不飽 和炭化水素。例えば、1−ウンデセン、1−ヘンエイコセン等。 アルキルベンゼン:炭素数9〜24の常温で油状液体のアルキルベンゼン。例 えば、オクタデシルベンゼン、トリエチルベンゼン等。 アルキルナフタリン:炭素数11〜22の常温で油状液体のアルキルナフタリ ン。例えば、ドデシルナフタリン等。 脂肪酸:炭素数10以上の常温付近で油状液体の高級脂肪酸。例えばオレイン 酸、カプリン酸、エナント酸等。 一価アルコール:炭素数5〜15の飽和一価アルコール。例えばペンタデカノ ール。また、炭素数5〜15の芳香族一価アルコール。例えば2,6-ジイソプロピ ルフェノール。 多価アルコール:エチレングリコール、ジエチレングリコール、分子量1500以 下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール 、分子量2000以下のポリプロピレングリコール、グリセリン。また、以上の多価 アルコールのモノエーテル、モノエステル、エーテルエステルも含まれる。例え ば、エチルセロソルブ、エチレングリコールメチルエチルアセテート。 エステル:RCOOR’で表されるエステルであって、R=炭素数3〜20の 炭化水素、R’=炭素数1〜20の炭化水素。例えば、ラウリル酸メチル、パル ミチン酸エチル、酪酸オクチルなど。飽和二塩基酸のモノおよびジエステルも含 まれる。例えばコハク酸ジオクチル、アジピン酸ジデシル等。 塩素化炭化水素:トリクロロエタン、セレクロールS45(ICI社製)等。 の群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0015】 また、これらの溶剤に、オリーブ油、大豆油、ナタネ油、ヒマシ油、アマニ油 、綿実油、パーム油、アボガド油、サメ肝油などの動植物油脂や、ソルベッソ20 0 、流動パラフィンなどの鉱物油由来の特定の沸点留分として得られる炭化水素 混合物を混合して使用することができる。
【0016】 なお、光、熱、酸化などに対する不妊化剤の安定性を高めるため、前記の不妊 化剤と溶剤との溶液に酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加してもよい。使用し得る 酸化防止剤としては、例えば、グアヤク脂、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブ チルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピルなど のフェノール系化合物、また、トコフェロール、セザモール、ゴシポール、ヒド ロキノン、アルカノールアミン、リン脂質、ソルビトール、グリセリン、プロピ レングリコール、アジピン酸、リン酸などが挙げられる。
【0017】 一方、使用できる紫外線吸収剤として、上記のフェノール系化合物、ビスフェ ノール誘導体またはフェニル−β−ナフチルアミン、フェネチジンとアセトンと の縮号物等のアリールアミン類、ベンゾフェノン系化合物が挙げられる。
【0018】 また、前記の不妊化剤と溶剤との溶液は比較的粘度が高いことから、上記溶液 の調製時に必要に応じ、希釈用の溶媒を用いてもよい。そのような溶媒としては 、上記の各剤と反応しない不活性なものであれば特に限定されないが、アセトン 、キシレン、酢酸エチル、メタノール、ヘキサン、シェルゾールA、ソルベッソ 150 等が挙げられる。
【0019】 前記の不妊化剤と溶剤との溶液は、前記装置における出口用開口部内の内部に 溶液が露出するように設置して使用され、適当な担体に保持させて、その担体に より装置の上部を形成してもよいし、また別に、担体を上下に貫通する略筒状に 形成して、そのような担体を出口用開口部を塞ぐように配設して装置の内外を連 通するように設けてもよい。
【0020】 そのような保持用担体としては、例えばろ紙・厚紙などの紙類、パルプ、また 、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの樹脂板、セラミックス、ア スベスト、ガラス繊維、炭素繊維、化学繊維、天然繊維、不織布、多孔性高分子 フィルム、多孔性ガラス材料、マット用基材(コットンリンターとパルプの混合 物のフィブリルを板状に固めた物)等が挙げられ、前記の溶液を保持させた上記 の担体を任意の形状に成形して使用できるが、不妊化剤の効率的な利用のために 担体の形状は布状、ネット状、フィルム状もしくは薄板状が望ましい。
【0021】 また、不妊化剤の使用量としては、上記の担体の表面積に対して、0.01〜200 ga.i./m2 が用いられ、好ましくは0.1 〜50ga.i./m2 、さらに好ましくは1〜 10ga.i./m2 である(a.i.はactive ingredient の略) 。一方、溶剤の使用量と しては、0.1 〜200 g/m2 が用いられ、好ましくは1〜100 g/m2 である。
【0022】
【作用】
前記の請求項1および2記載の構成により、飛翔しているハエ類は、外面の色 に誘引され、さらに、導入用開口部が暗部となってウシ類等の動物と見誤ってハ エ類を誘引することから、導入用開口部から中空部内に進入する。進入したハエ 類は、その習性により上方に飛翔する。
【0023】 その後、ハエ類は所々でとまりながら上方に移動し、中空部の上部に設けられ 露出した不妊化剤溶液と接触することが可能となり、ハエ類の運動能力を損なう ことなく、ハエ類の体表、特に足根部に必要量の上記溶液を付着させることがで きる。
【0024】 この際、ハエ類が雌であれば、溶液の不妊化剤により、次代の卵もしくは幼虫 の成長が阻害されて不妊化する一方、ハエ類が雄であれば、雄のハエ類は同種の ハエ類の雌を探し出し複数の雌とそれぞれ接触、交尾する習性を有するので、溶 液を付着させたままの雄のハエ類は出口用開口部から外部に飛翔し、その付着し た溶液を雌にそれぞれ伝達することができ、それらの雌を前記と同様にそれぞれ 不妊化させることが可能となる。
【0025】 また、請求項2記載の構成によれば、ツェツェバエは青色系に誘引されるので 、ツェツェバエを選択的に、しかも、より効率よく不妊化することが可能である 。
【0026】
【実施例】
本発明の一実施例を第1実施例として図1ないし図6に基づいて説明すれば、 以下の通りである。 〔第1実施例〕 ハエ類防除用不妊化装置では、図1に示すように、金属パイプ製や木製の支柱 1が使用され、その支柱先端部1aは、先端が細くなるテーパー形状に成形され ていて、支柱1をその支柱先端部1aを下にして地中に突き刺して立設させるこ とが可能となっており、さらに、支柱1は2分割できて、その中央部にジョイン トが設けられている。
【0027】 一方、支柱1の他端部1bには、後述するネットを支持する略円錐台形状の外 形を備える支持器2が同軸に取り付けられ、そのような支持器2は軽量な金属パ イプからなり、その支持器2の下部に上記他端部1bと嵌合する嵌合凹部2aが 形成される一方、支持器2の上端部に出口用開口部2bが形成されており、その 外径は、後述する保持器7を挿着できるように設定されている。
【0028】 また、ハエ類の通過を制止する網目を有し、白色系に染色された略筒状の前述 したネット3が設けられ、そのネット3の上端が支持器2の小径部である上端部 に取り付けられ、そのネット3の下端が支持器2の大径より大きな径を有する円 形フレーム4に取り付けられており、ネット3が円形フレーム4を支持すること により、ネット3が略円錐台形状に成形され、かつ、円形フレーム4を前記支持 器2とほぼ同軸に保持できる。したがって、支持器2を支柱1に取りつけ支柱1 を立てると、ネット3が中空の略円錐台形状に広がるようになる。このような円 形フレーム4は金属製パイプからなっている。
【0029】 円形フレーム4の全周には、略円錐台筒状の誘引用布6が取り付けられていて 、その誘引用布6は、その大径を円形フレーム4の外径に、誘引用布6の小径を 支柱1の外径にほぼ合わせて成形されており、その誘引用布6が取り付けられて 円形フレーム4から垂下されると、中空の略逆円錐台形状に形成される。このよ うにネット3と誘引用布6とが円形フレーム4を介して連結されてハエ類が一端 から他端に通過できる中空部10を形成している。また、ネット3の内面には、 図2に示すように、その軸方向に沿って、中空部10内を縦にほぼ4分割するよ うに黒色系の導入用布5が取り付けられている。
【0030】 さらに、誘引用布6は、その外面6aにハエ類を誘引する色、あるいは吸収波 長を備えており、ハエ類を誘引する色、あるいは吸収波長は、ハエ類の属に対応 して設定され、例えばツェツェバエでは、光沢のある青色系が選択される。なお 、ハエ類を誘引する色、あるいは吸収波長は、ハエ類に感知されるものであれば よく、人の可視領域とはかならずしも一致しない。
【0031】 その上、誘引用布6には、図3にも示すように、その下部に中空部10と連通 してハエ類の進入し得る導入用開口部6bが複数形成されると共に、図1に示す ように、中空部10内に黒色系の導入用布5が取り付けられていることから、導 入用開口部6bが暗部となってハエ類がウシ類等の動物と見誤り、導入用開口部 6a内に誘引され、その上、導入用開口部6aから誘引用布6内の中空部10に 進入したハエ類を、中空部10における上方の明るいネット3方向に向かわせる ようになっている。
【0032】 一方、前記の支持器2には、図1に示すように、上下に貫通する略円錐台形状 の前述した保持器7がほぼ同軸に着脱自在に上方から取り付けられ、図4(a) に示すように、保持器7の上端面には、径方向外向きに延びる上端フランジ部7 aが設けられている。
【0033】 また、薬剤を保持する布状体が後述するように挿着された保持器7は支持器2 に上方から挿着できるように設定され、かつ、そのフランジ内径7cは、標的と なるハエ類の大きさに応じて出入りできる程度に設定され、例えば、ツェツェバ エの場合、その体長が6〜14mmであるから、上記フランジ内径7cは、布状体 が挿着されたときに、その内径が1cm程度となるように設定される。なお、保持 器7を支持器2内に装着するようにしてもよい、この場合は、保持器7の上端フ ランジ部7aの外径を支持器2の上端部に嵌まるように設定すればよい。また、 保持器7は塩化ビニル樹脂等の可撓性を有する合成樹脂から成形されている。
【0034】 前述した布状体8は略筒状に成形され、不妊化剤を所定の溶剤に溶かした薬剤 溶液9が布状体8に含浸あるいは散布される。そのような布状体8は、図4(b )に示すように、その一端を保持器7の上端フランジ部7aの開口から挿入して 保持器7の内部を通って保持器7の下端開口部7bに達して、その下端開口部7 bで折り返すことにより係止される一方、布状体8の他端を径方向外向きに拡げ て保持器7の上端フランジ部7aの上面を被い、前記上端フランジ部7aの外周 に掛かるように折り曲げて取り付けられる。
【0035】 なお、布状体8の素材としては、柔軟で後述する溶液を多く保持できる多孔質 であれば特に限定されないが、例えばコットン等の天然繊維製の布や網、合成繊 維製の布や網、不織布、紙などが使用できる。
【0036】 次に、上記のような薬剤溶液9の調製について説明すると、処方1として不妊 化剤としての幼若ホルモン様物質であるであるピリプロキシフェンを10%、ア セトン45%、溶剤としての塩素化炭化水素(セレクロールS45、ICI社製 )45%を混合溶解する。
【0037】 処方2として有効成分であるピリプロキシフェンを5%、アセトン47.5% 、塩素化炭化水素である鉱物油(セレクロールS45、ICI社製)47.5% を混合溶解する。
【0038】 処方3としてピリプロキシフェンを10%、綿実油60%、テトラデカン20 %、溶剤としての界面活性剤(スパン85、ICI社製)10%を混合溶解する 。なお、上記各処方の秤量は重量パーセントである。
【0039】 次いで、このような溶液を、前記の布状体8に浸すか、塗布もしくは散布する 。その使用量は、上記溶液1〜20mg/担体1cm2 (10〜 200g/担体m2)となり 、不妊化剤の使用量に換算すると、0.05〜2mg/cm2 ( 0.5〜20g/担体m2)で ある。
【0040】 溶液にアセトン等の揮発成分を含む場合は、上記溶液を布状体8への含浸、塗 布もしくは散布処理後、その布状体8を常温乾燥し、その揮発成分を除去した後 、使用に供する。なお、溶液に揮発成分を含有しないときは、溶液を布状体8へ の含浸、塗布もしくは散布処理して使用に供する。
【0041】 上記の溶剤としては、高沸点で不妊化剤に対して不活性なものであれば特に限 定されない。また、不妊化剤の経年的な安定を増すために、酸化防止剤や紫外線 吸収剤を薬剤溶液9に添加してもよい。
【0042】 さらに、臭いによりハエ類を誘引する誘引物質を、図1に示すトラップとして のネット3、誘引用布6の内部あるいは外部近傍に設けてもよい。例えば、ツェ ツェバエの場合、そのような誘引物質としては、オクテノール、プロピルフェノ ール、メチルフェノールまたは牛の尿、汗、唾液などを使用できる。好ましくは 、1−オクテン−3−オール、3−n−プロピルフェノールおよび4−メチルフ ェノールの1:4:8混合物、あるいは牛の尿が挙げられる。
【0043】 このような誘引物質は、通常、瓶に収納してハエ類防除用不妊化装置の近傍に 設置するが、ネット3や誘引用布6の表面に直接塗布してもよい。さらに、誘引 物質の放出量をコントロールするために、瓶のキャップに小孔を開けてコントロ ールすることが望ましい。そのような小孔としては、直径 2.5mm程度でよく、例 えば前記の誘引物質の混合物を直径 2.5mm程度の小孔を備える瓶に収納した場合 、外気温度27℃で放置すると、誘引物質の放出量は1時間当たり 100mg前後であ る。
【0044】 このように、上記実施例の構成では、図1に示すように、誘引用布6の外面に 特定の色を備え、かつ、所定の誘引物質を設置しているため、目的とする害虫と してのハエ類を選択的に誘引することができ、その上、中空部10に黒色系の導 入用布5が垂下されているため、導入用開口部6bが暗く、ハエ類がウシ類等の 標的動物と見誤って導入用開口部6bから誘引用布6内の中空部10に進入する 。
【0045】 その後、内部に進入したハエ類は、その習性によりネット3の設けられた明る い上方に向かって所々とまりながら飛翔し、その狭くなった出口用開口部2bの 近傍に設置され、薬剤溶液9を露出して備える布状体8に接触することになる。
【0046】 したがって、その接触したハエ類が雌であれば、雌のハエ類は、薬剤溶液9と の接触によって不妊化剤を吸収して、後述するように不妊化する。
【0047】 また、薬剤溶液9と接触したハエ類が雄であれば、雄のハエ類はその体表、特 に足根部に不妊化剤を付着させたまま、前記の出口用開口部2bから外部に飛翔 し、環境中の同種の雌を探し、その雌と接触、交尾することで不妊化剤を雌のハ エ類に伝達することが可能となる。通常、ハエ類では、雄は同種の雌を探し出し て接触し、そのような接触、交尾は複数の雌と頻繁になされるので、一匹の雄が 複数の雌に不妊化剤をそれぞれ伝達でき、不妊化剤の伝達された雌の多くは不妊 化する。
【0048】 さらに、羽化直後の雌のハエ類は、羽や羽を駆動する筋肉の発達が未熟なため 飛翔できず、殺虫剤の到達し難い倒木の幹の下や草の根本に生息するが、そのよ うな雌に対しても雄のハエ類は探し出して接触することから、不妊化剤を上記の ような雌に効率よく伝達できる。
【0049】 前述した雌のハエ類の不妊化は、幼若ホルモン様物質が、その雌の体内を通し て卵もしくは、ツェツェバエのような場合、その子宮内幼虫にも伝達されること により、幼若ホルモン様物質が所定量以上伝達された幼虫は蛹化できず、過齢幼 虫となって成虫となることがなく、増殖能が阻害されるので不妊化される。
【0050】 ところで、従来は、幼若ホルモン様物質を散布していたため、利用されずに環 境中に流出する薬剤も多いため、利用効率の向上を図り難く、ハエ類防除のコス トアップを招いていた。
【0051】 しかしながら、上記実施例の構成では、ハエ類の習性を利用して、誘引用布6 の外面に誘引性を備える色、例えばツェツェバエの場合、光沢のある青色系を備 え、さらに、黒色系の導入用布5を設けることにより導入用開口部6aを暗部に してハエ類をより中空部10内に進入させ易くしており、ハエ類を、その習性を 効果的に利用して効率良く集めることができ、効率的に不妊化できる。
【0052】 さらに、雄のハエ類が同種のハエ類の雌を選択的に接触、交尾するという習性 を利用して多くの雌のハエ類に不妊化剤が効率良く伝達されて、ハエ類の雌の不 妊化が極めて効率よくできる。これらの結果、ハエ類の増殖を極めて有効に抑制 できて、ハエ類の効率的な防除が可能となる。
【0053】 このように上記構成では、ハエ類の不妊化による防除が極めて選択的に、かつ 環境への流出を皆無とすることが可能となるので、不妊化剤の使用による栽培作 物への残留や水系への考慮を全く省くことができるとともに、高価な幼若ホルモ ン様物質の効率の良い利用が可能となり、ハエ類防除を安価にできる。
【0054】 なお、上記実施例の構成では、不妊化剤として幼若ホルモン様物質を用いた例 を挙げたが、同様の機能を有する表皮形成阻害剤を用いることも可能である。ま た、上記実施例の構成では、中空部を形成する形状としてネット3および誘引用 布6とによる筒状のものを例として挙げたが、ほぼ下部から上部に貫通する中空 状であれば特にその形状は限定されるものではなく、角柱形状であっても円柱形 状であってもよい。
【0055】 一方、上記実施例の構成では、保持器7を略円錐台形状の合成樹脂製の例を挙 げたが、布状体8を、その内径が出口に向かって小さくなるテーパー形状にして 保持できれば、特にその形状や材質が限定されることはなく、例えば針金により 略円錐台形状とし、その小径部に径方向外向きのフランジ部を設けた保持器を用 いてもよいし、また、図5に示すように、略円筒状の形状とし、その上端に径方 向内向きに上端フランジ部7aを設けてた形状としてもよい。この場合、そのよ うな保持器7に布状体8を取り付けると、図6に示すように、布状体8の筒状部 は上方に向かって径が小さくなるテーバー形状となっている。
【0056】 さらに、厳しい環境下で使用する保持器7を保護するために、透明あるいは半 透明な合成樹脂製ボトル形状の保護部材内に収納して用いてもよく、そのような 保護部材は出口用開口部2bに連通して取り付けられる。そのような取り付けは 螺着等を使用でき、また、本件の装置の側部に、別途上方に延びる支持棒を配設 し、その先端部から紐等で上記の保護部材が吊り下げられ、保護部材と共にネッ ト3などを保持する形状としても良い。なお、保護部材の内部も中空部の一部を 形成することは言うまでもない。
【0057】 また、上記実施例では、溶液9を保持する布状体8を別に設けた例を挙げたが 、ネット3や誘引用布6の内側に直接、含浸または塗布してもよい。
【0058】 次に、本発明の他の実施例を第2実施例として図1、図7および図8に基づい て説明する。ただし、上記第1実施例と共通の各部材については、同一の部材番 号を付与し、その説明を省いた。
【0059】 〔第2実施例〕 本発明のハエ類防除用不妊化装置は、図1に示すネット3および誘引用布6と により囲まれた中空部10を備えており、支持器2より下方において前記第1実 施例と同様の構成を有している。よって、それらの詳細な説明を省く。
【0060】 上記ハエ類防除用不妊化装置には、図7に示すように、上下に貫通する略円錐 台形状に形成された支持器2が設けられ、その支持器2の下端中央部に、支柱1 の先端部と嵌合する筒状の支持用筒部2aがほぼ同軸上に下方に延びるように溶 接等により固定されている。
【0061】 一方、支持器2における上端開口部である出口用開口部2bには、上下に貫通 する略円錐台形状のネット保持用コーン11の下端部11aが嵌め込まれ、この ネット保持用コーン11の外周面にネット3の上端部内面を沿わせることにより 、ネット3が、支持器2およびネット保持用コーン11を介して支柱1により支 持される。また、ネット保持用コーン11の上端から上方に延びる円筒部11b が形成されていて、その円筒部11bと後述する連結部12の円筒部12bとを 嵌合させることにより、連結部12をより強固に連結する。
【0062】 前述した連結部12は上下に貫通する略円筒状の連結部本体12dを有し、そ の連結部本体12dの下端から連結部本体12d内をほぼ同軸上に上方に延びる 上下に貫通する略円錐台形状の連結部コーン12aを備えている。さらに、その 連結部コーン12aの上端から上方に同軸上に延びる上下に貫通する略円筒状の 前述した円筒部12bが形成されており、一方、連結部本体12dの上端部外周 面に、後述する保持器7と係合して保持するための係合用凹部12cが形成され ている。
【0063】 前述した保持器7は、上下に貫通する略筒状に成形されていて、略円筒状の保 持器本体7fと、その保持器本体7fの上端から上方に延びる略円錐台形状の布 状体保持用コーン7gと、その布状体保持用コーン7gの上端から上方に延びる 円筒部7dとを備えている。また、保持器7の下端内周面には、前記の係合用凹 部12cと係合する係合用凸部7eが形成されている。なお、上記円筒部7dの 内径は、前記第1実施例と同様に、標的とするハエ類の大きさに応じて設定され る。
【0064】 そして、保持器7における布状体保持用コーン7gの内面に布状体8が張り付 けられており、前記第1実施例と同様な素材が使用され、かつ、同様の薬剤溶液 が含浸、または塗布されている。
【0065】 また、保持器7には、その円筒部7dの上端開口部を、所定の間隔を備えて上 方から覆うように断面略Cの字状のレインプロテクター13が取り付けられてお り、このレインプロテクター13により、円筒部7dの上端開口部からのハエ類 の外部への飛翔に支障なく、雨水の保持器7内部への侵入を回避することができ る。
【0066】 このように第2実施例の構成では、図8に示すように、前記第1実施例と同様 に、中空部10に進入したハエ類は、明るいネット3方向に飛翔し、ネット保持 用コーン11、円筒部12bを通って保持器7内に進入する。このように保持器 7内に進入したハエ類は、その習性として明るい上方に向かうが、出口である円 筒部7dに向かって径が小さくなるテーパー形状に布状体保持用コーン7gが形 成され、その布状体保持用コーン7gに布状体8が張り付けられているため、そ の布状体8上にとまることが多くなる。よって、前記第1実施例で述べたように 、薬剤溶液9がハエ類に付着し、ハエ類を不妊化できる。
【0067】 その上、上記構成は、前記第1実施例の構成の効果に加えて、連結部12がネ ット保持用コーン11に嵌め込まれているだけであるので、容易に連結部12お よび保持器7を着脱でき、保持器7内の布状体8への薬剤溶液9の再度の含浸、 または塗布が容易にでき便利である。
【0068】 また、ネット保持用コーン11の円筒部11b内と、連結部12の円筒部12 b内をハエ類は容易に移動できるが、蛾類のような大型の昆虫類は保持器7内に 移動できない程度に設定することができ、蛾類などの鱗粉等による保持器7にお ける布状体8の汚染を防止できる。また、布状体8は、それが保持器7内に収納 されているため、雨水や粉塵などから保護されている。これらにより、布状体8 の表面が粉塵や鱗粉等で覆われて、布状体8における薬剤溶液9とハエ類との接 触が阻害されることが回避され、布状体8における薬剤溶液9の効果をより長く 持続させることができる。
【0069】 その上、保持器7、連結部12およびネット保持用コーン11は、ほぼ同形の コーン部を有しており、それら各部材7・12・11を、例えば、ミネラルウオ ーターや醤油の容器としてよく使用されるPET(ボリエチレンテレフタレート )ボトルの一部を用いて作製することができ、極めて安価に再生することが可能 である。
【0070】 なお、上記構成では、保持器7と連結部12との連結接続には、係合用凹部1 2cと係合用凸部7eとを用いた例を挙げたが、他の係合手段、例えば、たこ糸 等の弾性線状体を布状体保持用コーン7gの外周に回し掛け、その弾性線状体の 複数箇所から、上記と同様の弾性線状体を下方に延びるように取り付け、その各 先端部にフックを設けて、連結部12の下端に各フックを係合させる手段を設け てもよい。
【0071】 次に、本発明のさらに他の実施例を第3実施例として図1、図9、図10、図 11に基づいて説明する。ただし、上記第1実施例と共通の各部材については、 同一の部材番号を付与し、その説明を省いた。
【0072】 〔第3実施例〕 本発明のハエ類防除用不妊化装置は、図1に示すネット3および誘引用布6と により囲まれた中空部10を備えており、支持器2より下方において前記第1実 施例と同様の構成を有している。よって、それらの詳細な説明を省く。
【0073】 上記ハエ類防除用不妊化装置には、図9に示すように、上下に貫通する略円錐 台形状に形成された支持器2が設けられ、その支持器2の下端中央部に、支柱1 の先端部と嵌合する筒状の嵌合用凹部2aがほぼ同軸上に下方に延びるように溶 接等により固定されている。
【0074】 一方、支持器2における上端開口部である出口用開口部2bには、上下に貫通 する略円筒状のコネクター14が取り付けられており、そのコネクター14の下 端部14bの外径が出口用開口部2bの内径とほぼ等しくなるように設定され、 かつ、コネクター14の外周面のほぼ中央部に径方向外向きにフランジ部14a が形成されていることにより、コネクター14は出口用開口部2bに嵌め込まれ 、そのフランジ部14aが出口用開口部2bの上端と当接することにより、所定 位置に設定される。
【0075】 また、出口用開口部2bには、後述するコネクター係合部14dと係合する係 合用突出部2cが径方向内向きに設けられる一方、コネクター14の下端部外周 には、略逆L字状の溝からなるコネクター係合部14dが形成されている。これ により、コネクター14の下端におけるコネクター係合部14dと前記係合用突 出部2cとを合わせて、コネクター14を出口用開口部2bに嵌め込み、そのコ ネクター14を、所定方向例えば時計方向に回すことで、コネクター14が出口 用開口部2bに強固に係止される。
【0076】 また、コネクター14には、図10に示すように、その底部14eが形成され 、その底部14eには、コネクター14を上下に連通するように複数の径の異な る連通孔14f…・14g…が穿設されている。小径である連通孔14gは、標 的となるハエ類が通ることのできる大きさに設定され、大径である連通孔14f は、上記連通孔14gより大きいが、蛾類のような大型昆虫は通り抜けできない ように設定されている。
【0077】 このように径の異なる連通孔14f…・14g…を設けるのは、コネクター1 4の成形上、そのコネクター14の外周面の近辺に連通孔14fのような大径の 連通孔を形成することが困難であり、一方、ハエ類の習性として、ハエ類が飛翔 して移動する際、ネット3のような壁づたいに所々とまりながら移動するため、 ネット3に近接する底部14eのコネクター14外周面側に連通孔を設ける必要 があるためである。
【0078】 また、上記ハエ類防除用不妊化装置では、コネクター14の上端部14cの内 径より大きく、かつ、フランジ部14aの外径より小さな外径を有する略円板状 の仕切り板15が設けられ、その仕切り板15の中央部には連通用開口15aが 穿設されている。
【0079】 一方、その仕切り板15の外径より小さな外径を有し、かつ、仕切り板15に より保持される外径を備える上下に貫通する略円筒状の保持器7が設けられ、そ の保持器7の上端には径方向内向きの上端フランジ部7aが形成され、その上端 フランジ部7aの内径は、前記第1実施例と同様に設定されている。
【0080】 その上、保持器7を収納できる上下軸方向に貫通する略円筒状のケース16が 設けられ、そのケース16の内径は、後述するように布状体8の取り付けられた 保持器7の外径よりは大きく、かつ、前記の仕切り板15がほぼ嵌合するように 設定されている。
【0081】 また、ケース16の上端部は径が小さくなるテーパー形状に成形され、標的と なるハエ類の大きさに応じて設定される出口用開口部16aが設けられており、 これにより、外部から雨水などがケース16に侵入し難くなっている。なお、前 記第2実施例と同様に出口用開口部16aを覆うレインプロテクターを設けても よい。
【0082】 さらに、ケース16の下端内周には、前記のコネクター14に螺着するための メネジ部16cが設けられ、一方、そのメネジ部16cと螺合するように、コネ クター14におけるフランジ部14aの上方に隣接してオネジ部14hが設けら れている。
【0083】 このように第3実施例の構成では、図11に示すように、前記第1実施例と同 様に、中空部10に進入したハエ類は、明るいネット3方向に飛翔し、各連通孔 14f…・14g…、仕切り板15の連通用開口15aを通って保持器7内の布 状体8に達する。このように保持器7内に進入したハエ類は、その習性として明 るい上方に向かうが、出口であるケース16の出口用開口部16aに向かって径 が小さくなるテーパー形状に布状体8が形成されているため、その布状体8上に とまることが多くなる。よって、前記第1実施例で述べたように、薬剤溶液9が ハエ類に付着し、ハエ類を不妊化できる。
【0084】 その上、上記構成は、前記第1実施例の構成の効果に加えて、ケース16がコ ネクター14に螺着されているだけであるので、ケース16を容易にコネクター 14から着脱でき、布状体8が取り付けられた保持器7を簡単に取り出すことが できて、布状体8に薬剤溶液9の再度の含浸、または塗布が容易にでき便利であ る。
【0085】 また、コネクター14において、連通孔14f…・14g…が設けられている ため、ハエ類は容易に保持器7内に移動できるが、蛾類のような大型の昆虫類は 保持器7内への移動が阻止され、蛾類などの鱗粉等による保持器7における布状 体8の汚染を防止できる。また、布状体8は、それがケース16内に収納されて いるため、雨水や粉塵などから保護されている。これにより、布状体8の表面が 粉塵や鱗粉等で覆われて、布状体8における薬剤溶液9とハエ類との接触が阻害 されることが回避され、布状体8における薬剤溶液9の効果をより長く持続させ ることができる。
【0086】 なお、上記構成では、コネクター14と出口用開口部2bとの連結接続には、 係合用突出部2cとコネクター係合部14dとを用いた例を挙げたが、他の係合 手段、コネクター14の下端部外周面にメネジ部を形成し、螺着により接続する 手段を設けてもよい。
【0087】
【考案の効果】
請求項1記載のハエ類防除用不妊化装置は、以上のように、ハエ類が一方から 他方へ通過し得る中空部の下部に連通する導入用開口部が上記ハエ類の進入でき るように設けられる一方、上記中空部の上部に連通する出口用開口部が上記ハエ 類の脱出し得るように設けられ、上記ハエ類を誘引する色が外面に備えられると 共に、上記ハエ類の不妊化剤が所定の溶剤に溶解されて前記中空部の上部に露出 して備えられている構成である。
【0088】 また、請求項2記載のハエ類防除用不妊化装置は、以上のように、請求項1記 載のハエ類防除用不妊化装置において、上記ハエ類がツェツェバエであり、前記 外面に青色系部が設けられている構成である。
【0089】 それゆえ、上記請求項1および2記載の構成は、ハエ類の雄が同種の雌をそれ ぞれ探し出して接触、交尾するという習性を利用して、ハエ類の雌に不妊化剤を 選択的に伝達できるので、ハエ類を極めて効率良く不妊化できる。
【0090】 したがって、害虫としてのハエ類の増殖を抑制できてハエ類を防除できると共 に、不妊化剤の環境への流出を低減できるので、不妊化剤の効率的な利用を図る ことができて、不妊化剤の使用量を従来より低減でき、ハエ類防除をコストダウ ンできるという効果を奏する。
【0091】 さらに、請求項2記載の構成は、ツェツェバエが青色系に良く誘引されること から、家畜や人に対する風土病である睡り病(トリパノソーマ病)の病原となる 原虫を媒介するツェツェバエを選択的に効率よく防除できるという効果を奏する 。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第1実施例のハエ類防除用不妊化装置
の斜視図である。
【図2】上記ハエ類防除用不妊化装置における一部を破
断して内部構造を示す斜視図である。
【図3】上記ハエ類防除用不妊化装置の一部を破断して
内部構造を示す平面図である。
【図4】上記ハエ類防除用不妊化装置の保持器の斜視
図、および布状体を有する上記保持器の斜視図である。
【図5】上記ハエ類防除用不妊化装置における保持器の
一変形例を示す斜視図である。
【図6】布状体を有する上記保持器の斜視図である。
【図7】本発明の第2実施例のハエ類防除用不妊化装置
の要部分解斜視図である。
【図8】上記ハエ類防除用不妊化装置の要部断面図であ
る。
【図9】本発明の第3実施例のハエ類防除用不妊化装置
の要部分解斜視図である。
【図10】上記ハエ類防除用不妊化装置におけるコネク
ターの断面図、および底面図である。
【図11】上記ハエ類防除用不妊化装置の要部断面図で
ある。
【符号の説明】
2b 出口用開口部 6b 導入用開口部 9 薬剤溶液 10 中空部

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハエ類が一方から他方へ通過し得る中空部
    を備えるハエ類防除用不妊化装置であって、 上記中空部の下部に連通する導入用開口部が上記ハエ類
    の進入できるように設けられる一方、上記中空部の上部
    に連通する出口用開口部が上記ハエ類の脱出し得るよう
    に設けられ、上記ハエ類を誘引する色が外面に備えられ
    ると共に、上記ハエ類の不妊化剤が所定の溶剤に溶解さ
    れて前記中空部の上部に露出して備えられていることを
    特徴とするハエ類防除用不妊化装置。
  2. 【請求項2】上記ハエ類がツェツェバエであり、前記外
    面に青色系部が設けられていることを特徴とする請求項
    1記載のハエ類防除用不妊化装置。
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