JPH0553131U - 密閉形蓄電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 下部極板でのデンドライトの成長を抑制し、
サイクル寿命の優れた密閉形蓄電池を提供する。 【構成】 端子５、６と、極板１、２と、電槽７とを有
する密閉形蓄電池であって、前記端子５、６は、前記極
板１、２の一方の側面１ａ，２ａに取付けられているも
のであり、前記極板１、２は、前記一方の側面１ａ，２
ａが高くなり、かつ平面１ｂ，２ｂが水平面に対し斜め
になるように前記電槽７内に配置されていることを特徴
とする。 【効果】 極板１の一方の側面１ａが電解液に浸からな
くなり、デンドライトの成長が抑制され、サイクル寿命
が延びる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、可搬用、据置用、電気自動車用の電源として用いられる密閉形蓄電 池に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

密閉形蓄電池は液量規制を行うことにより充電末期に正極より発生する酸素ガ スを、負極活物質に吸収させることを可能とする。従って制限された電解液は、 極板及びリテーナーと呼ばれる不織布、ガラスマット等に保持されている。

【０００３】 又、可搬用、据置用、電気自動車用等は電池容量がポータブル用に比べて大き く、それに応じて極板高さが高くなる傾向にあり、更に電池保守の容易さより密 閉化の傾向が強い。この様な比較的大容量の密閉形蓄電池においては電池サイズ が大きくなれば大きくなる程、従来充放電サイクルの進行に伴い高さ方向の電解 液量の不均一、或いは濃度の不均一が生じ易かった。このため極板の電流密度に 不均一が生じたり、充電末期の負極の酸素ガス吸収が不均一になり、負極の利用 面積が低下しサイクル寿命がフリー電解液の多いベント形或いは小容量の密閉形 蓄電池に比べて劣る欠点を有していた。

【０００４】 この対策として例えば特開昭６１−２５９４６４号公報のように電池を極群の 極板面が水平面に対して平行になるように置くなどの方法がとられた。この方法 により極板面に対する電解液の不均一、濃度の不均一が緩和され、サイクル寿命 がその分改善された。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来の極板面が水平になるように配置した電池は、電解液の下方 への移行が大きくフリー液が極群の最下部に溜まり、最下部負極の酸素ガス吸収 が大幅に低下する。 その結果、負極板同士の組成バランスが崩れ、下部極板でデンドライトショー トが発生するという問題点を有していた。 本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは 、下部極板でのデンドライトの成長を抑制し、サイクル寿命の優れた密閉形蓄電 池を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、端子５，６と極板１，２と電槽７とを 有する密閉形蓄電池であって、 前記端子５，６は、前記極板１，２の一方側１ａ，２ａに取り付けられている ものであり、 前記極板１，２は、前記一方側１ａ，２ａが高くなり、かつ平面１ｂ，２ｂが 水平面に対し斜めになるように前記電槽７内に配置されていることを特徴とする ものである。

【０００７】

【作 用】

極群の下方に電解液が溜まっても、極板１，２の一方側１ａ，２ａが高くなっ ているため、電解液に浸ることがない。 従って、下部負極板１の一方側１ａは、酸素ガス吸収が低下することなく、デ ンドライトの成長が抑制される。 尚、下部負極板１の一方側１ａと対向する側面は、電解液に浸り、デンドライ トが成長するが、保液紙３とセパレータ４に包み込まれているため正極板２と短 絡することがない。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１は本考案の蓋を取り付けていない状態を示す一部切欠側面図である。 図において、亜鉛極１は多数の孔が形成された銅パンチング集電体を中心とし てその両面に亜鉛活物質シートが付着されており、一方の側面１ａに取り付けら れた端子５により全ての亜鉛極１がつながっている。ニッケル極２は焼結式ニッ ケル多孔体に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を化学含浸法により充填した 公知の正極で、一方の側面２ａに取り付けられた端子６により全ての正極２がつ ながっている。さらにそれぞれの極板１，２は前記一方の側面１ａ，２ａを除い て保液紙３及びセパレータ４に包まれている。以上の構成からなる極群を極板１ ，２の平面１ｂ，２ｂが水平面に対し斜めになるように電槽７内へ挿入し、比重 １．３５のＫＯＨ水溶液を用いて１００Ａｈの密閉形ニッケル亜鉛蓄電池を構成 した。尚、本実施例では図１のように４セル構造の電池とした。

【０００９】 次に、上記構成の電池Ａを１０個用いて、放電電流２０Ａで放電深度を公称容 量の６０％、充電電流１０Ａで充電量は放電量の１０５％としたときの充放電サ イクル数と放電容量の関係を調べた。 なお、比較例として極板面が垂直方向になるように設計された従来型電池Ｂを 横置きにしたものも同様の調査をした。 その結果を図２に示す。

【００１０】 図２より電池Ｂは、初期の放電容量が電池Ａとはぼ同等であるが、充放電サイ クルが進む内に突然容量が低下する現象がみられる。これは充放電中において、 電解液及び亜鉛酸イオンが下方へ除々に移行して、その結果充電末期に液に浸か った亜鉛極においてデンドライトが成長してニッケル極端子にまで至り、短絡が 起こったためである。 一方、本考案の電池Ａは、初期性能の６０％に至るまで電池のショートの傾向 は見受けられず良好なサイクル寿命を実現できることが確認できた。

【００１１】 これは、電槽７下部の極板１の一方側１ａが高くなっており、極板下部（端子 ５の反対側）方向に電解液が溜りそこから電解液がはい上がる構造となっている 。そのため端子５と、セパレータ４や保液紙３の上部（端子側）と、極板１の一 方側１ａが電解液に浸かることがなく、デンドライトが発生しなくなり、その結 果ショートが起こらなくなったことによる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。 （１） 極板の一方側（端子側）のデンドライトの成長を抑制できるので、サ イクル寿命の優れた密閉形蓄電池を提供できる。 （２） 極板面が垂直方向に配置された電池に比べて、極板の電解液量の不均 一あるいは電解液濃度の不均一が解消されるのでサイクル寿命が優れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】蓋を省略した本考案の一実施例を示す一部切欠
側面図である。

【図２】本考案電池Ａと従来電池Ｂのサイクル寿命特性
図である。

【符号の説明】

１ 負極板 １ａ 負極板の一方の側面 １ｂ 負極板の平面 ２ 正極板 ２ａ 正極板の一方の側面 ２ｂ 正極板の平面 ５，６ 端子 ７ 電槽

フロントページの続き (72)考案者 森 圭一 大阪府高槻市城西町６番６号 湯浅電池株 式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 端子（５，６）と極板（１，２）と電槽
   （７）とを有する密閉形蓄電池であって、 前記端子（５，６）は、前記極板（１，２）の一方の側
   面（１ａ，２ａ）に取り付けられているものであり、 前記極板（１，２）は、前記一方の側面（１ａ，２ａ）
   が高くなり、かつ平面（１ｂ，２ｂ）が水平面に対し斜
   めになるように前記電槽（７）内に配置されていること
   を特徴とする、 密閉形蓄電池。